整理番号 : 経済産業省 6 平成 29 年度関税率 関税制度改正要望事項調査票 ( 延長 ) 要望元 : 経済産業省製造産業局生活製品課 品名 ( 関税率関係 ) 又は皮革 革靴の関税割当制度制度名 ( 関税制度関係 ) 改正要望の内容 改正を要する法令及び条項関税暫定措置法第 2 条第 1 項 ( 別表第 1) 関税割当制度に関する政令第 1 条第 2 項 ( 別表 ) 具体的な改正内容上記法令中の 平成 29 年 3 月 31 日 を 平成 30 年 3 月 31 日 に改め 適用期限を延長する 統計改正前税率改正後税率 WTO 税番品目備考細分基本暫定特恵基本暫定特恵譲許税率牛馬革 ( 染着色 ) 13.3% 13.3% 13.3% 牛馬革 ( その他 ) 12% 12% 12% 羊 やぎ革 ( 染着色 ) 16% 16% 16% 履物 ( 革を使用しているもの ) ま 17.3% ま 17.3% 17.3% 革 ( 牛 馬 羊 やぎ ) 及びたは履物 ( 革を使用しているもの ) 4800 に関して 政令で定める一定の円 / 足数量以内まで暫定関税を適用のう たは 4800 円 / 足のう する ちい ちい ずれ ずれ か高 か高 い税 い税 率 率 改正要望内容の 適用期間 適用期間 平成 29 年 4 月 1 日 ~ 平成 30 年 3 月 31 日 暫定措置の理由 平成 27 年のTPP 大筋合意において 発効時に二次税率を一次税率に下げ 1 1 年目から撤廃 ( 毎年均等削減 ) することになったところ また 現在 日 EU とのEPA 交渉が進められている 我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を行 い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高級品と対抗しうる国際競争力が備 わるまでの間の暫定措置として 関税割当制度を存続させなければ 国内産業は多 大な影響を受けるため 改正を要望する理由 1 政策目的
及び必要性 低税率を適用して需要者に安価な輸入品の供給を確保する一方 一定数量を超えた輸入分については高税率を適用することにより 国内の皮革産業及び革靴産業の保護を目的としている 2 政策目的達成時期我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を行い アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高価格品と対抗しうる国際競争力が備わるまで 本制度を維持する必要がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ国内皮革産業及び革靴産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めることにより 欧州から輸入される高価格の製品と 主にアジア諸国から輸入される低価格製品に対抗できる競争力の確保を図る必要がある しかしながら 近年 アジア諸国において 欧州及び米国からの技術導入により生産技術 品質が急速に向上していることに加え 安価な人件費を利用した大量生産方式により圧倒的なコスト競争力を有することから 我が国の皮革産業及び革靴産業の競争力は相対的に低下の一途を辿っている このような状況において 政府が推進する経済政策により我が国全体としては一定の景気回復基調にあるものの 国内皮革産業及び革靴産業にあっては 消費者ニーズの多様化 海外製品の輸入増に加え 良質な原皮の確保が困難になっていることや 為替や燃料費が乱高下し 化学薬品等の製造コストも増大する中で それらを販売価格に十分に転嫁できない状況にあり 引き続き厳しい事業環境となっている イ. 現状があるべき姿となっていないことの現状分析我が国の皮革産業及びその最大のユーザーである革靴産業は 小規模 零細な事業者が大部分を占め 経営基盤は極めて脆弱であり 国際競争力も乏しい さらに近年 欧州 中国からの輸入に加え カンボジア ミャンマー バングラデシュ等のLDC( 後発開発途上国 ) 諸国からの無税による低価格の輸入品が国内シェアを伸ばしたことで これらの産業に従事する国内の製造業者は深刻な打撃を受け 厳しい業況が続いている ウ. 課題の特定かかる状況下において 平成 29 年 3 月 31 日で関税暫定措置法の適用期限が終了するが 皮革産業及び革靴産業が構造改善を進め ブランド化 高付加価値化に対応するまでの間 関税割当制度を維持存続しなければ 欧州の高級品からアジアの低価格品に至るまで広範な範囲の輸入品が国内市場に大量に流入することにより 国内産業に壊滅的な打撃を与える懸念があることから 本制度の維持存続が必要 4 改正の適正性
国内皮革産業及び革靴産業の保護を目的とする他の措置として補助金の交付等が考えられるが 以下の観点から関税割当制度は最も有効な措置であると考えられる ア. 社会的費用補助金支給に係るコストに加え 現下の経済情勢下においては 直接製造支援等を行うための補助金は市場原理をゆがめるおそれがある あくまで各企業が市場原理を前提とした上で国内産業に競争力をつけることが必要である イ. 効果アジア諸国からの低価格品及び欧州からの高級品と対抗しうる国際競争力を備えるためには 関税制度による国内産業保護が効果的である ウ. 効率性我が国の皮革産業及び革靴産業は 小規模 零細な事業者が大部分を占めており 産業全体を網羅する観点では 関税制度が効率的である エ. その他特定産業保護のための補助金は 国際的な批判を招くおそれがある 5 本年度改正において要望する理由平成 29 年 3 月 31 日で関税暫定措置法の適用期限が終了するが 我が国の皮革産業及び革靴産業が構造改善を進め ブランド化 高付加価値化を達成するに至っていないため 関税割当制度を維持存続する必要がある 改正による効果 6 政策評価の結果我が国皮革産業及び革靴産業は 小規模 零細な事業者が大多数を占め 一方で貿易自由化の進展やLDC 諸国からの輸入により国産品の需要を奪われる厳しい状況にある そのため 我が国皮革産業及び革靴産業の競争力強化に必要となるブランド化 高付加価値化や人材育成等の取組みに対し 外部有識者等の評価も受けながら国として継続して予算措置を講じているところである 関税割当制度は 低税率の適用による需要者への安価な輸入品の供給の確保と 一定数量を超えた輸入分への高税率の適用による皮革産業及び革靴産業の保護を兼ね備えた効果的な制度であり 関係業界からの継続要望も強いことから 我が国皮革産業及び革靴産業に十分な競争力が備わるまでの間は予算措置と関税割当制度による支援が必要である また 平成 27 年 12 月の関税 外国為替等審議会関税分科会において 国内の生産者及び消費者等の間の利益調整に及ぼす影響 国際交渉との関係 産業政策上の必要性等を考慮する必要がある ことを踏まえ 暫定税率の適用期限を延長することが適当である とされている 1 効果を判断するための指標延長を行わなかった場合の影響について 関税割当 (TQ) 対象となっている革靴 ( 革製の紳士靴 婦人靴 子供靴等 ) とTQ 対象外である運動用の革靴 ( 革製のスパイク 登山靴等 ) の輸入浸透率 ( 輸入数量 /( 出荷数量 + 輸入数量 )) の推移を比較してみると TQの対象ではない運動用革靴の輸入浸透率は 1986 年の
24.9% から 2014 年には 91.5% にまで上昇している ( 表 1) 内需が2014 年の水準と変わらないものとして TQ 対象革靴も輸入浸透率が 91.5% まで増加すると仮定すると 輸入数量は28,306 千足から42,8 92 千足へ51.5% 増加し その分国内出荷数量は18,572 千足から3,9 85 千足へ78.5% の減少となることが予想される ( 表 2) また 運動用革靴の製造事業所数は 1986 年から2014 年までに輸入浸透率が66.6%(24.9% 91.5%) 増加したことに伴い 78.4%(1 11 社 24 社 ) 減少 ( 表 3) していることから 浸透率 1% の増加につき 1. 2% の事業所が減少したことになる TQ 対象革靴についても 輸入浸透率が運動用革靴と同じ91.5% まで増加すると仮定すると 31.1 91.5%60.4% 1.2% =37.3% ( 浸透率の増加率 )X( 浸透率 1% の増加に対する事業所の減少率 ) となり TQ 対象革靴は2014 年の水準から さらに37.3% の事業所の減少が予想される 表 1.TQ 対象革靴と運動用革靴の輸入浸透率の比較 ( 数量ベース ) 1986 年 1995 年 2014 年 TQ 対象革靴 1.9% 11.8% 60.4% 運動用革靴 24.9% 82.2% 91.5% 出典 : 貿易統計及び工業統計 品目編 より算出 表 2. 想定計算 ( 千足 ) 2014 年 TQ 撤廃後の想定 TQ 撤廃時 ( 想定 ) と 2014 年実績の差 輸入数量 (a) 28,306 42,892 +51.5% 出荷数量 (b) 18,572 3,985 78.5% 内需 (a+b) 46,877 46,877 ( 不変と仮定 ) 輸入浸透率 (a/(a+b)) 60.4% 91.5% +31.1% 事業所数 278 174 37.3% 出典 : 貿易統計及び工業統計 品目編 千足未満を四捨五入しているため合計において数値が合わない部分がある 表 3. 運動用革靴製造業の事業所数の推移 1986 年 1995 年 2014 年 事業所数 111 63 24
関連措置 出典 : 工業統計 品目編 2 見込まれる具体的効果このように TQ 対象革靴産業の国内出荷数量が78.5% 減少し 製造事業所が37.3% 減少することが予想され 革靴産業は大きな打撃を受ける事になる また 革靴は国内で生産される皮革素材の約 4 割を消費するため 国内皮革産業にも影響は波及し 皮革関連産業全体に甚大な被害が発生することが見込まれる 本制度の延長により 急激な輸入数量の増加を緩和し 我が国皮革産業及び革靴産業が構造改善を進め 国際競争力強化に向けた取り組みの促進を図ることができる なし 措置の延長を要望する場合 前回要望及び改正時期 要望時期 : 平成 27 年 8 月 改正時期 : 平成 28 年 4 月 1 日 前回改正の目標達成度 TQ 対象革靴製造業の生産 輸入実績 ( 千足 ) 2013 年 2014 年 対前年比 輸入数量 (a) 31,503 28,306 10.1% 出荷数量 (b) 19,430 18,572 4.4% 内需 (a+b) 50,933 46,877 8.0% 輸入浸透率 (a/(a+b)) 61.9% 60.4% 1.5% 事業所数 291 278 5.2% 出典 : 貿易統計及び工業統計 品目編 2013 年と2014 年を比較すると TQ 対象となっている革靴 ( 革製の紳士 靴 婦人靴 子供靴等 ) の国内出荷数量は4.4% 減 製造事業所についても 5. 2% 減となっている 加えて 出荷金額についても 101,240 百万円 (20 13 年 ) 96,978 百万円 (2014 年 ) と4,262 百万円減少 ( 出典 : 工業統計 品目編 ) しており 業況は依然として厳しい状況 しかし 先述のとおり TQ 対象革靴と運動用革靴の輸入浸透率の増加率の違い から TQ 制度の効果は明らかである 延長の必要性 改正を要望する理由及び必要性 改正要望内容の適用期間 と同じ 及び恒久化の是非 これまでの改正状況 皮革 革靴の関税割当制度は 1986 年に導入されて以降 現在まで延長されて いるところ