2 他都市比較で見る京都市財政の特徴 2-1 歳入 歳入構成の特徴市税, 歳総額割 ~ 市税は, 歳入総額のほぼ3 割 ~ ~ 他都市に比べて地方交付税に大きく依存 ~ 歳入内訳 ( 平成 22 年度決算 ) 地方交付税 654 億円 府支出金 268 億円 市税 2,452 億円 国庫支出金 1,213 億円 市債 1,061 億円 その他 2,169 億円 総額 7,817 億円 市民一人当たり歳入内訳 ( 平成 22 年度決算 ) 市税 166,000 円 国庫支出金 82,000 円 市債 72,000 円 その他 147,000 円 総額 529,000 円 地方交付税 44,000 円 府支出金 18,000 円
自主財源比率は他都市の平均を下回っており, 財政基盤がぜい弱です 自主財源 市税, 使用料手数料など, 自主的に収入し得る財源依存財源 地方交付税, 国庫支出金など, 国等に依存した財源
(1) 市税 市民一人当たり市税収入 ( 平成 22 年度決算 ) 京都市 市民税 70,578 固定資産税 68,932 その他 26,810 市税合計 166,320 円 差額 14,985 円 他政令指定都市平均 市民税 固定資産税 その他 78,672 74,834 27,799 市税合計 181,305 円 0 25,000 50,000 75,000 100,000 125,000 150,000 175,000 200,000 225,000 円 京都市市民人当たり市税収入は他指定都市平均に比べ約円も少なく京都市の市民一人当たり市税収入は, 他の指定都市の平均に比べ, 約 15,000 円も少なく, 京都市の人口は約 147 万人なので, 市税収入総額では, 約 221 億円もの減収となります
固定資産税が少ない要因 広大 (828km2 うち旧京北町 218km2 ) な市域面積も山林が多く, 宅地は少ない 課税対象面積の割合が小さい 地目別土地面積比較 京都市 他の指定都市平均 [ 資料 : 平成 21 年大都市比較統計年表 ]
さいたま浜松堺福岡京都市の市民一人当たり市税収入は, 指定都市の中で低い方から 9 番目となっています 相模原名古屋北九州札幌岡山川崎静岡神戸広島他都市大阪仙台千葉新潟横浜平均都政令指定都市の市民一人当たりの市税収入 ( 平成 22 年度 ) 個人市民税法人市民税固定資産税その他市税 円 250,000 234,783 斜体の数字は市税収入合計 210,353 40,559 200,000 189,905 197,794 32,953 181,305 177,078 181,302 176,188 28,335 174,512 172,917 166,320 171,300 164,953 25,787 23,854 161,251 27,799 25,082 27,107154,526 156,257 153,289 26,810 148,995 27,998 26,556 150,000 143,686 144,872 25,489 104,695 26,072 20,417 22,025 24,621 24,562 22,471 87,744 23,367 29,210 73,037 80,177 65,050 74,834 68,633 633 74,376 65,989 75,363 72,886 68,967 100,000 68,932 60,341 66,537 70,473 63,630 57,809 61,686 74,287 18,764 13,963 17,042 11,940 19,061 26,251 40,527 23,953 17,873 19,577 16,028 19,398 7,717 15,217 12,631 16,124 50,000 13,640 13,591 11,701 12,412 52,705 59,611 47,675 53,898 69,410 65,431 77,118 77,342 58,912 56,825 47,124 54,941 63,405 49,002 49,462 57,447 50,168 56,863 45,342 54,975 0 京一番多い大阪市とは, 市民一人当たりで約 68,000 円もの差があります
新潟浜松堺札幌岡山北九州仙台静岡大阪神戸広島他都市平均都(2) 地方交付税 政令指定都市の市民一人当たりの地方交付税の収入額 ( 平成 22 年度決算 ) 円地方交付税歳入に占める地方交付税の割合 % 70,000 15 13.5 13.4 60,429 60,000 12.2 58,687 53,659 50,000 44,353 50,908 49,308 11.0 9.9 10 40,000 8.4 8.1 7.5 36,062 30,000000 20,000 52 5.2 6.0 23,230 23,529 29,007 29,012 5.4 20,907 2.9 17,991 7.2 29,616 5.6 5 10,000 0 京1.2 1.4 1.1 4,294 5,224 4,345 さいたま横浜千葉0.1 456 川崎1.7 5,535 相模原0.4 2,053 名古屋福岡0 京都市は, 市税収入が少ない分, 地方交付税に多くを依存しており, 市民一人当たりの地方交付税収入は, 他の指定都市平均の約 2 倍となっています
浜松堺さいたま新潟横浜川崎岡山札幌北九州相模原名古屋千葉仙台大阪他都市静岡神戸広島平均政令指定都市の財政力指数 ( 平成 22 年度決算 ) 1.2 1.0 0.8 0.759 0.877 1.076 1.015 1.025 1.041 0.999 1.000 0936 0.936 0.910 0.880 0.858 0.825 0.805 0.731 0.754 0694 0.694 0696 0.696 0695 0.695 0.838 0.6 0.4 0.2 0.0 京都福岡基準財政収入額 財政力指数は政令指定都市中 6 番目に低く, 他の指定都市と比べても, 国の地方交付税に多くを依存しなければ, 予算を編成できない状況にあります 財政力指数 = 基準財政収入額 基準財政需要額
地方交付税を取り巻く課題 地方財政全体で, 7.6 兆円もの巨額の財源不足! ( 平成 23 年度 ) 歳入平成 23 年度地方財政計画歳出 交付税対象の国税 5 税 33.6 兆円 所得税の 32% など 法定率分 10.6 兆円 その他の加算等 地方交付税 17.4 兆円 所得税 法人税 酒税 消費税 たばこ税 地方財政の財源不足 7.6 兆円 臨時財政対策加算 3.8 兆円臨時財政対策債 3.8 兆円既発債の元利等 臨時財政対策債 6.2 兆円 82.5 兆円人件費一般行政経費投資的経費 国は, 毎年度, 地方公共団体の歳入歳出総額の見込額 ( 地方財政計画 ) を作成します 平成 23 年度の地方財政計画では, 地方交付税の法定率分 ( 国税 5 税の一定割合 ) は10.6 兆円にとどまり, 地方財政の財源不足が7.6 兆円もの巨額に上っています この財源不足については, 国 ( 一般会計からの加算 ) と地方 ( 臨時財政対策債の発行 ) が折半で補てんすることとなっています 地方税国庫支出金地方債等の歳入 その他の加算等 地域活性化 雇用等臨時特例費の創設による国の一般会計からの加算等 公債費など
2-2 歳出 歳出構成の特徴 ( 目的別分析 ) ~ 社会福祉に最も多くの経費が使われています ~ 目的別歳出 ( 平成 22 年度決算 ) 市債 ( 借金 ) の返済 828 億円 その他 = 保健 清掃等, 産業振興, 消防, 総務管理など 教育 578 億円 社会福祉 2,584 億円 道路整備等 989 億円 その他 2,795 億円 総額 7,774 億円 市民一人当たり目的別歳出 ( 平成 22 年度決算 ) 社会福祉 175,000 円 道路整備等 67,000 円 その他 190,000 円 総額 527,000 円 市債 ( 借金 ) の返済 56,000 円 教育 39,000 円
円 700,000 政令指定都市の市民一人当たりの行政目的別歳出 ( 平成 22 年度 ) 社会福祉道路整備等市債の返済教育その他 600,000 500,000 400,000000 300,000 200,000 100,000 0 527,227 615,531 161,299 508,251 544,429 520,220 496,815 454,714 442,410 435,219 430,832 169,308 189,535 420,477 40,022 131,176 147,893 176,382 381,860860 385,159 327 373,442 375,121 384,327 124,225 134,256 126,891 349,622 83,783 117,107 125,950 347,122 352,813 50,367 40,247 315,795 87,720 39,190 112,560 123,699 94,946 96,551 59,743 44,419 38,315 32,811 97,271 85,540 97,139 39,921 72,637 36,852 48,087 85,191 85,090 56,169 33,534 30,122 91,535 31,688 59,424 52,374 62,469 77,020 37,336 33,963 52,710 64,268 36,089 30,445 37,518 44,181 49,819 40,450 67,059 69,529 58,369 56,281 76,051 87,799 58,975 25,705 54,119 53,042 35,904 63,746 65,488 76,782 27,901 45,383 72,950 85,639 69,824 86,127 84,314 50,021 52,244 64,137 46,835 50,245 57,581 581 245,236 175,273 164,774 114,790 133,067 174,437 143,320 170,704 150,917 120,743 137,025 126,486 116,918 106,569 165,568 141,072 152,576 120,410 108,448 133,766 京都 他平都均市 札幌 仙台 さいたま 千葉 横浜 川崎 相模原 新潟 静岡 浜松 名古屋 大阪 堺 神戸 岡山 広島 北九州 福岡 京都市の市民一人あたり社会福祉費は, 指定都市の中では,2 番目に高くなっています
歳出構成の特徴 ( 性質別分析 ) ~ 義務的経費の割合が高くなっています ~ 性質別歳出 ( 平成 22 年度決算 ) 公債費 823 億円 投資的経費 865 億円 人件費 1,206 億円 扶助費 1,735 億円 物件費等 3,145 億円 総額 7774 7,774 億円 市民一人あたり性質別歳出 ( 平成 22 年度決算 ) 人件費 扶助費 82,000 円 118,000 円 物件費等総額 213,000 円 527,000 円 公債費投資的経費 56,000 円 58,000 円 義務的経費 = 人件費 + 扶助費 + 公債費
義務的経費の割合が高いほど, 財政の硬直化の度合いが高いといえます 市民一人当たりの義務的経費は指定都市の中で 4 番目に高く, 財政は依然として硬直した状態にあります
千葉横浜新潟さいたま浜松堺名古屋相模原札幌北九州岡山静岡神戸広島川崎他都市大阪仙台平均都(1) 人件費 政令指定都市の市民一人当たりの人件費 ( 平成 22 年度決算 ) 円市民一人当たりの人件費歳出に占める割合 % 150,000 25 100,000 50,000 19.3 17.6 17.9 17.5 16.9 16.4 16.8 16.8 16.4 15.6 16.1 15.5 15.6 14.6 14.5 15.0 81,801 81,866 13.4 13.9 76,452 89,808 12.5 72,21273,030 66,411 67,303 65,698 64,432 10.2 62,773 61,54060,260 69,01261 61,006 63,162 58,599 54,246 51,839 53,181 20 15 10 5 0 京福岡0 京都市の市民一人当たり人件費は, 前年度から減少していますが, 指定都市の中で,3 番目に高くなっています
札幌北九州静岡神戸広島岡山他都市川崎仙台大阪横浜新潟千葉さいたま浜松堺相模原名古屋平均都政令指定都市の市民千人当たりの職員数 ( 平成 23 年 4 月 1 日現在 ) 一般職員技能労務職員教育公務員消防職員 人 12.0 斜体の数字は, 職員数合計 11.0 10.0 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 9.3 1.3 7.7 7.5 7.6 7.2 7.1 0.7 1.3 1.0 0.9 6.9 6.7 6.3 1.0 6.5 6.2 6.3 6.5 6.7 6.8 1.1 0.6 1.0 6.0 0.5 5.9 0.6 0.3 10 03 2.6 10 10 1.1 0.9 1.2 1.0 5.7 1.0 54 1.1 02 54 0.4 1.0 1.0 5.4 0.3 0.2 1.0 1.2 1.2 0.9 1.3 0.5 0.5 5.4 1.0 0.4 0.2 0.4 1.1 1.8 0.7 0.3 1.1 0.7 0.9 0.1 0.6 0.7 0.8 0.7 0.7 0.8 0.6 0.7 0.3 0.2 0.5 0.4 0.3 0.2 0.9 0.8 0.6 3.0 2.0 4.6 4.2 3.4 4.2 4.1 4.5 3.5 4.6 4.2 4.8 4.4 4.3 4.7 4.7 4.2 4.3 4.5 4.7 5.0 3.8 1.0 0.0 京福岡京都市の市民千人当たり職員数は, 前年度から削減していますが, 指定都市の中で 2 番目に高くなっています
川崎他都市仙台大阪千葉新潟横浜さいたま浜松堺名古屋相模原札幌北九州静岡岡山神戸広島平均都(2) 扶助費 政令指定都市の市民一人当たりの扶助費 ( 平成 22 年度決算 ) 円市民一人当たりの扶助費歳出に占める割合 % 200,000 35 150,000 100,000 26.8 180,478 25.0 24.3 24.1 23.4 23.5 22.3 21.6 21.2 21.0 21.5 21.4 20.7 117,666 9 419 116,513 117,733 119,795 114,419 19.5 20.1 18.9 111,254 107,551 103,375 17.3 17.5 98,005 87,911 90,571 88,165 74,571 72,398 77,411 76,810 74,491 65,696 65,755 29.3 30.6 30 25 20 15 50,000000 10 5 0 京福岡0 京都市は, これまでから福祉に力を入れてきたことなどから, 市民一人当たり扶助費は, 指定都市の中で 4 番目に高くなっています
川崎他都市仙台大阪千葉横浜新潟さいたま浜松堺名古屋札幌北九州静岡岡山神戸広島平均都25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 政令指定都市の高齢化率と生活保護率 % % 19.99 2.87 18.1 高齢化率 ( 平成 17 年度国勢調査 ) 生活保護率 ( 平成 21 年度平均 ) 1.93 17.3 15.8 15.9 3.13 1.34 16.5 14.6 1.51 1.56 16.9 1.92 20.4 1.12 1.13 21.0 0.87 4.99 19.99 20.1 20.00 0.66 18.4 1.60 18.6 2.62 2.79 18.8 1.49 16.9 1.89 22.2 1.87 15.2 5.00 4.50 4.00 3.50 3.00 2.50 2.27 2.00 1.50 1.00 0.50 0.0 京福岡0.00 京都市は, 指定都市の中で, 高齢化率は 6 番目に高くなっています また, 生活保護率は 3 番目に高くなっています
(3) 公債費 政令指定都市の市民一人当たりの公債費 ( 平成 22 年度決算 ) 円市民一人当たりの公債費歳出に占める割合 % 100,000 20 16.4 83,348 84,812 16.7 15.4 15.0 76,720 14.4 14.1 72,270 15 13.4 13.3 14.7 12.0 63,357 12.5 64,092 13.5 13.3 10.6 62,269 59,210 58,808 13.1 55,829 12.5 52,117 49,667 52,468 10.2 54,119 53,015 50,000 10 10.3 44,075 45,336 9.3 35,874 8.8 35,911 27,841 5 0 京都札幌北九州静岡神戸広島岡山他都市川崎仙台大阪横浜新潟千葉さいたま浜松堺相模原名古屋平均福岡0 京都市は, 適正な市債管理に努めてきており, 市民一人当たり公債費は, 他都市平均を下回る水準にあります
静岡神戸広島他都市仙台大阪千葉横浜新潟さいたま浜松堺相模原名古屋札幌北九州岡山川崎平均都25 % 政令指定都市の実質公債費比率 ( 平成 22 年度決算 ) 20 21.4 18.0 15.9 15.6 16.4 15 10 13.1 13.1 10.6 11.9 11.9 10.8 12.7 12.2 12.1 10.2 12.9 11.7 5 6.1 4.3 5.4 0 京福岡平成 18 年度から導入された実質公債費比率は地下鉄や下水道などの公営企業の元利償還に対する繰出金も 平成 18 年度から導入された実質公債費比率は, 地下鉄や下水道などの公営企業の元利償還に対する繰出金も公債費に準じたものとして算定するため, 指定都市は一般市に比べると総じて高い数値となっています 京都市は, 指定都市中では他都市平均並みの水準にあります
川崎他都市大阪仙台千葉横浜新潟さいたま浜松堺名古屋相模原北九州札幌静岡神戸岡山広島平均都円 政令指定都市の市民一人当たりの市債残高 ( 臨時財政対策債除く )( 平成 22 年度決算 ) 1,000,000 904,028 800,000 761,147 749,930930 673,960 657,972 652,095 644,972 658,707 600,000 546,743 564,887 495,419 495,651 421,871 400,000 200,000000 357,456 217,055 401,142 204,769 260,746 262,847 315,915 0 京なお, 新たに指定都市となった都市は, 市債残高が少ないため, 指定都市が増えるほど平均が下がる傾向にあります 指定都市には, 他の市町村にはない国道, 道府県道の整備, 維持に係る仕事があります 福岡京都市の市民一人当たり市債残高は, 指定都市で高い方から 4 番目となっています