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研究ノート 国際研究論叢 25(1):167 175,2011 ユニセックスファッションの商品企画に関する研究 - ユニセックス化のための情報収集 - * 縄田文子 Product Planning for Unisex Fashions - Gathering information to make unisex products - Fumiko Nawata * キーワード ユニセックスファッション アパレル企業 商品企画 ユニセックスアイテム 1. はじめに近年 男女どちらでも着られる衣服 髪型およびそれを身につける ユニセックスファッション がよく見受けられるが ユニセックスファッションにはユニセックス用として製造 販売されている服を着用する場合と 男性用の衣服で女性でも着られそうな服を女性が着る場合 また女性用の衣服で男性でも着られそうな服を男性が着る場合とがあり それらの境目が曖昧になっている 1) しかし ユニセックスファッションに関する研究は少なく 小林 (1989) による男子大学生を対象とした着装行動とユニセックス観に関するものがある程度で アパレル企業の商品企画に資することを主目的とした研究は見当たらない そこで本研究では アパレルに関する消費者の着用実態調査を通して ユニセックス化に適したアイテムを見出すとともに 学生と親世代の調査結果を比較することによって ユニセックスアイテムと世代との関連についても考察を加え アパレル企業がユニセックスファッションの商品企画を行う際に有用な情報を入手することを試みた 2. ユニセックスファッションの捉え方冒頭でも触れたように ユニセックスファッションとして捉えられる事象には2つのケースがある 一つは もともとユニセックス用としてアパレル企業が製造 販売した服が消費者に取り入れられているケースであり 今一つは 男性または女性が 着られそうな異性用の服を着用しているケースである すなわち 前者はアパレル企業がユニセックスファッションを訴求したいという意図に沿って商品企画を行っているのに対して 後者は消費者が男性用や女性用という着用者区分にこだわることなく 自らのニーズに合うも * なわたふみこ : 大阪国際大学ビジネス学部教授 2011.5.17 受理 167

国際研究論叢 のを取り入れた結果としてユニセックスファッションが発現するケースである したがって 後者の場合には ユニセックスファッションの訴求を試みようとするアパレル企業の意図は働いていないことになる 本研究のスタンスは アパレル企業がユニセックスファッションの商品企画を展開する際に有用な情報を入手することによって アパレル企業を支援しようとするものである 3. アンケート調査 3 1 質問項目の作成消費者の着用実態をアンケート調査によって捉えるために 先ず 以下の設問からなる質問紙を作成した 1) 調査対象者の基本属性について 2) 普段のファッションスタイルについて ( 学生のみ ) 3) カジュアルウエア100アイテムに対する着用度 (4 段階評価 ) についてである なお 着用度の調査に用いたカジュアルウエア100アイテムは表 1に示すように トップス ボトムス 重衣料 その他の 4カテゴリーに区分されるものである 表 1 カジュアルウエア 100 アイテムの詳細 トップスボトムス重衣料その他 ブラトップチューブトップキャミソールワンショルダーフォルターネックタンクトップノースリーブシャツ半袖 T シャツ七分袖 T シャツ長袖 T シャツタートルネックシャツ半袖ポロシャツ長袖ポロシャツトレーナー半袖パーカー長袖パーカー半袖ブラウス長袖ブラウスアロハシャツカッターシャツ半袖セーター長袖セーターカーディガンポンチョベストダウンベストニットベスト ( 以上 27 アイテム ) スキニーパンツスリムパンツストレートパンツブーツカットパンツベルボトムパンツバギーパンツローライズパンツカーゴパンツハーレムパンツショートパンツハーフパンツ七分丈パンツサルエルパンツオールインワンオーバーオールつなぎミニスカートタイトスカートロングスカートフリルスカートプリーツスカートギャザースカートマーメイドスカートティアードスカートスリットスカート A ラインスカートアシメトリースカートバルーンスカートハイウエストスカートジャンパースカートキュロットスカート ( 以上 31 アイテム ) ウインドブレーカースタジアムジャンパーテーラードジャケットジーンズジャケットライダースジャケットダウンジャケットトレンチコート P コートニットコートモッズコートダッフルコートキャミソールワンピースシャツワンピースパーカーワンピースニットワンピースワンピース ( 以上 16 アイテム ) レギンストレンカステテコパンティーストッキングひざ下ストッキングカラータイツスニーカーソックスソックスハイソックスニーハイソックスネクタイ蝶ネクタイスカーフストールマフラー手袋 ( 革 ) 手袋 ( それ以外 ) 手袋 ( ミトン ) ハットキャップサンバイザーハンチングベレー帽ニット帽カンカン帽 ( 麦藁帽 ) ロシアン帽 ( 以上 26 アイテム ) 168

ユニセックスファッションの商品企画に関する研究 - ユニセックス化のための情報収集 - 3 2 本調査の実施表 2に示す本学守口キャンパスの学生とその保護者を対象として調査を実施した なお 調査は平成 22 年の10 月下旬に行い その際に回収したサンプルの有効件数は315 件 ( 学生 194 件 保護者 121 件 ) であった なお 調査対象者の年齢は表 2に示す通りである 表 2 調査対象者の内訳 学生 保護者 性別 件数 平均年齢 女子学生 122 20.1 男子学生 72 20.2 小計 194 - 女性保護者 71 46.7 男性保護者 50 49.0 小計 121 - 合計 315-4. ユニセックスアイテムの捉え方 ( 提案 ) 4 1 ユニセックスアイテムの定義今回の調査では カジュアルウエア100アイテムを提示し 調査対象者に各アイテムに対する着用度を4 段階評価で尋ねている 例えば 調査対象者に 半袖 Tシャツ というアイテムの着用度を4 段階尺度 ( 非常に着用する どちらかといえば着用する どちらかといえば着用しない 全く着用しない ) により評定してもらうという形式であり 同様の設問を表 1に挙げた100アイテムについて行っている なお どちらともいえないという中立的な尺度は意図的に除いた さて 上記のような方法で 半袖 Tシャツ の着用度を尋ねた場合 半袖 Tシャツというアイテム名を挙げているだけであるので 調査対象者はそれぞれが任意に半袖 Tシャツをイメージして回答することになる 例えば ある調査対象者は男性用のTシャツをイメージして回答するかもしれないし また ある調査対象者は女性用のTシャツをイメージして回答するかもしれない したがって 男女ともに着用度が高かったとしても それが直ぐにユニセックスアイテムであるということにはならない しかし ユニセックスアイテムを規定する明確な定義が見当たらない中で それらの抽出を試みるためには ユニセックスアイテムの定義を独自に設定した上で 抽出方法を検討する必要がある そこで筆者は 男女ともに着用度が高いアイテムであれば ユニセックス化による果実もまた得やすいアイテムである と仮定して分析を試みることにした なぜならば アパレル企業がTシャツをユニセックスアイテムとして捉え 従来品に加えてユニセックス用の商品を積極的に企画 製造 販売すれば 消費者側にとってTシャツというアイテムの選択肢がこれまで以上に増えるだけでなく 企業側には売上増をもたらす商機になると考えたからである そこで本研究では ユニセックス化に適するアイテムを ユニセックスアイテム と呼 169

国際研究論叢 ぶこととし 以下のように定義した すなわち 男女ともに着用度が高く 且つ 両者の着用度の差が小さいアイテムがユニセックスアイテム である ちなみに今回は 着用度に関する回答に対して 非常に着用するに4 点 どちらかといえば着用するに3 点 どちらかといえば着用しないに2 点 全く着用しないに1 点を与えて数値化した上で 着用度の平均値が3.0 以上で 着用度の差が0.3 以下を基準値として用い この条件に該当するアイテムをユニセックスアイテムとして抽出することにした また 各アイテムの着用度を異なる世代の同性間で比較した場合に 両者の着用度の差が大きいアイテムを 世代間で差があるアイテム と呼ぶこととし 今回は 着用度の差が1.0 以上を基準値として用い 検討することにした 4 2 分析方法上記の定義と基準値を用いて分析を進め 先ず 1) 男子学生と女子学生 男性保護者と女性保護者のカジュアルウエア100アイテムの着用度比較を行い ユニセックスアイテムを抽出した 次に 2) 学生の男女間から得られたユニセックスアイテムと保護者の男女間から得られたそれを比較することによって 世代によるユニセックスアイテムの変化を捉えた さらに 3) 世代の異なる同性 ( 男子学生と男性保護者 女子学生と女性保護者 ) の結果を比較することによって 各アイテムの世代間における着用度の差を捉えた 5. 結果および考察 5 1 ユニセックスアイテムの抽出表 3は 男子学生と女子学生の各アイテムの着用度 ( 平均値 ) と両者の差の絶対値を示したものである この表は 100アイテムの中から今回の条件に合致するアイテムを抜粋し 各アイテムの値を差の絶対値を参照して昇順に並べている 今回設定したユニセックスアイテムの条件 ( 着用度の平均値が3.0 以上で着用度の差が0.3 以下 ) を満たすのは 表上部で網掛けされている 長袖パーカー 半袖 Tシャツ および 長袖 Tシャツ の3アイテムである なお ダウンジャケット と ストレートパンツ は 今回設定したユニセックスアイテムの条件には合致していないが 男子学生と女子学生の着用度 ( 平均値 ) がともに2.5 以上のアイテムであり ユニセックスアイテムに準ずるアイテムとして捉えることができる これらの結果から 長袖パーカー 半袖 Tシャツ および 長袖 Tシャツ が 学生世代に於けるユニセックスアイテムであり ダウンジャケット と ストレートパンツ はユニセックスアイテム予備軍であると言える また 表下部の フリルスカート から レギンス までの21アイテムは いずれも男子学生と女子学生の着用度 ( 平均値 ) の差が1 以上のアイテムであり この場合は21アイテム全てが女性用アイテム ( 女子学生の平均値 >= 男子学生の平均値 +1) である 男子学生の カーディガン の着用度 ( 平均値 ) がやや高いものの その他のアイテムに対する男子学生の着用度 ( 平均値 ) はいずれも1 点台であることから これらの21アイテムが女性用アイテムであるとしても問題はなさそうである この結果は アパレルに対する消費意欲が旺盛であると言われている若い女性をターゲットとするアイテムが 実際に多数 170

ユニセックスファッションの商品企画に関する研究 - ユニセックス化のための情報収集 - 展開されており また それらが多くの若い女性に取り入れられている ということを物語っている 表 3 男子学生と女子学生の比較 アイテム 男子学生 女子学生 差の絶対値 長袖パーカー 3.38 3.38 0 ダウンジャケット 2.89 2.81 0.08 半袖 Tシャツ 3.55 3.67 0.12 ストレートパンツ 2.75 2.58 0.17 長袖 Tシャツ 3.49 3.71 0.22 フリルスカート 1.11 2.11 1 パーカーワンピース 1.11 2.13 1.02 サルエルパンツ 1.44 2.46 1.02 半袖ブラウス 1.46 2.5 1.04 カーディガン 2.34 3.39 1.05 長袖ブラウス 1.59 2.69 1.1 キャミソールワンピース 1.13 2.24 1.11 オールインワン 1.23 2.42 1.19 ポンチョ 1.13 2.36 1.23 ストール 1.51 2.74 1.23 ショートパンツ 1.63 2.91 1.28 カラータイツ 1.14 2.45 1.31 シャツワンピース 1.13 2.46 1.33 ロングスカート 1.1 2.44 1.34 ミニスカート 1.17 2.55 1.38 ニットワンピース 1.15 2.55 1.4 タイトスカート 1.14 2.84 1.7 ワンピース 1.23 2.97 1.74 キャミソール 1.09 2.88 1.79 トレンカ 1.07 2.94 1.87 レギンス 1.33 3.39 2.06 次の表 4は 男性保護者と女性保護者の各アイテムの着用度 ( 平均値 ) と両者の差の絶対値を示したものである この表の作成方法は表 3と同様である 先ず 男性保護者と女性保護者間におけるユニセックスアイテムを見ると 半袖 Tシャツ のみが該当していることがわかる なお 保護者世代におけるユニセックスアイテムの予備軍として ダウンジャケット ソックス および トレーナー の3アイテムが挙がっている また 男性保護者と女性保護者の着用度 ( 平均値 ) の差が1 以上のアイテムをみると カッターシャツ と ネクタイ が男性用アイテム( 男性保護者の平均値 >= 女性保護者の平均値 +1) で 半袖ブラウス から 長袖ブラウス までと パンティーストッ 171

国際研究論叢 キング と ストール の合計 11アイテムが女性用のアイテム ( 女性保護者の平均値 >= 男性保護者の平均値 +1) であることがわかる 表 3の場合と同様に この結果からも女性用のアイテムの方が圧倒的に多いことがわかる 表 4 男性保護者と女性保護者の比較 アイテム 男性保護者 女性保護者 差の絶対値 ダウンジャケット 2.73 2.84 0.11 半袖 Tシャツ 3.46 3.63 0.17 ソックス 2.85 3.11 0.26 トレーナー 3.1 2.81 0.29 半袖ブラウス 1.44 2.44 1 スカーフ 1.02 2.03 1.01 ロングスカート 1.07 2.16 1.09 カーディガン 1.94 3.06 1.12 ひざ下ストッキング 1.02 2.14 1.12 ブーツカットパンツ 1.29 2.47 1.18 スリムパンツ 1.26 2.47 1.21 キャミソール 1.15 2.44 1.29 長袖ブラウス 1.4 2.7 1.3 カッターシャツ 3.04 1.73 1.31 パンティーストッキング 1.07 2.57 1.5 ストール 1.09 2.69 1.6 ネクタイ 2.81 1.14 1.67 5 2 世代によるユニセックスアイテムの変化ここで 表 3と表 4の結果に基づいて 世代によるユニセックスアイテムの変化を捉えてみることにする 今回設定したユニセックスアイテムの定義を適用すると 男女の学生間におけるユニセックスアイテムは 3アイテム ( 長袖パーカー 半袖 Tシャツ 長袖 Tシャツ ) で 男女の保護者間におけるユニセックスアイテムは1アイテム ( 半袖 Tシャツ ) であった このことから 保護者の世代よりも学生の世代の方が 男女が同一のアイテムを取り入れるケースが増えていることがわかる なお この結果は アパレル企業が 若い世代の消費者をターゲットとしてユニセックスファッションを展開しやすい環境になりつつあることを物語っている また アパレルのアイテムは女性用が圧倒的に多く 男性用アイテムとして挙がったのは カッターシャツ と ネクタイ だけで しかもそれらは保護者世代のみに見られるアイテムであった これらのことから 若い女性用のアイテムが多品種展開されているのに対して 若い男性に特有のアイテムと呼べるものはないことがわかる さらに 保護者世代においては 男性に特有のアイテムが2アイテム認められたが 学生世代では認められなかったことから 従来の男性ファッションがルールで成り立っている面があった 2) 172

ユニセックスファッションの商品企画に関する研究 - ユニセックス化のための情報収集 - のに対して 最近の男子学生のカジュアルファッションは理屈やルールではなく 感性を重視するものに変化しているように思われる 以上のことから 男性のカジュアルファッションの変化 とりわけ若い男性のカジュアルファッションの変化を 既存アイテムの着用度に依拠して捉えるのは難しいと思われるため 今後は 男性ファッションの質的な変化を捉える方法を検討していく必要がある 5 3 世代間における着用度の差表 5は女子学生と女性保護者の結果を比較し 両者の差が1 以上のアイテムを挙げたものである この表から 女性保護者の着用度は低いが 女子学生にはよく着用されているアイテムとして オーバーオール から ショートパンツ までの10アイテムがあることがわかる なお これらのアイテムの中には ミニスカート や ショートパンツ などのように 着用者の年齢によって着用度に差が生じたと思われるものと トレンカ や レギンス などのように 着用者のファッション情報感度によって差が生じたと思われるものとが混在していることがわかる なお ワンピース や タイトスカート などは 以前から存在したアイテムであるが これらが女子学生に多く採用されているのも それらのアイテムを新鮮なものとして捉えている彼女らのファッション情報感度が影響しているように思われる 石井 (1994) は 母と娘のおそろいファッションという装いのボーダーレス現象を取り上げ 年代別にファッションをシフトする時代ではなくなったと言っているが 母と娘のカップルコーディネートの浸透度については 検討の余地がありそうである 表 5 女子学生と女性保護者の比較 アイテム 女子学生 女性保護者 差の絶対値 オーバーオール 2.22 1.19 1.03 ワンピース 2.97 1.94 1.03 オールインワン 2.42 1.29 1.13 ライダースジャケット 2.89 1.72 1.17 タイトスカート 2.84 1.61 1.23 サルエルパンツ 2.46 1.21 1.25 トレンカ 2.94 1.67 1.27 ミニスカート 2.55 1.26 1.29 レギンス 3.39 1.99 1.4 ショートパンツ 2.91 1.39 1.52 次の表 6は 男子学生と男性保護者の結果を比較し 表 5と同様の形でまとめたものである 両者の差が1 以上のアイテムとして挙がったのは 長袖パーカー と ネクタイ の2アイテムである すなわち 男性の保護者世代と学生世代を区分するアイテムはそれぞれ1アイテムしかなく 学生世代においては 長袖パーカー が また保護者世代においては ネクタイ がそうであった 着用度に着目してカジュアルウエアのアイテムをみ 173

国際研究論叢 た場合 若い女性をターゲットとしたアイテムは明らかに増加しているのに 若い男性をターゲットとしたアイテムは全くといってよいほど増えていないことから 女性用アイテムに比べて男性用アイテムは貧弱であると言わざるを得ない 表 6 男子学生と男性保護者の比較 アイテム 男子学生 男性保護者 差の絶対値 長袖パーカー 3.38 2.24 1.14 ネクタイ 1.48 2.81 1.33 しかし 近年 若い男性の中でファッション熱が過熱する傾向にあり メトロセクシャルやクロスセクシャルと呼ばれるような おしゃれに凝る男性が見受けられるようになっているのは周知のことである 彼らは ルールやスペックといったものよりも かっこよさやセンス ( 見た目 ) にこだわりがあるとされ 女性の服を着ることにもあまり抵抗がない 2) 今回の調査において 男性用アイテムが顕在化しなかった背景には 一部のおしゃれに凝る男性の着装行動が男性用アイテムの発現とは別のかたちで浸透しつつあるように思えるが それらについての究明は今後の検討課題としたい 6. おわりに本研究では アパレルに関する消費者の着用実態調査を通して アパレル企業がユニセックスファッションの商品企画を行う際に有用な情報の入手を試みた 独自に設定したユニセックスアイテムの定義と基準値を適用し 調査対象者のカジュアルウエア100アイテムに対する着用度の分析を行った結果 以下のことが明らかとなった 1) 学生世代におけるユニセックスアイテムとして 長袖パーカー 半袖 Tシャツ および 長袖 Tシャツ が抽出されたのに対し 保護者世代のユニセックスアイテムとしては 半袖 Tシャツ のみが抽出された 2) 学生世代の方が 男女が同一のアイテムを取り入れるケースが増えていたことから アパレル企業が若い世代の消費者をターゲットとしてユニセックスファッションを展開しやすい環境になりつつあることがわかった 3) 着用度からみた場合 女性用のアイテムが多いのに対して 男性用のアイテムは少なく 保護者世代において カッターシャツ と ネクタイ の2アイテムが認められたにすぎなかった また 男子学生においては特有なアイテムが見出せなかったことから 男性アイテムは女性アイテムに比べて貧弱であることがわかった 4) 同性の異世代間における結果から 女性では学生が保護者以上に多くのアイテムを取り入れる傾向があったのに対して 男性では保護者と学生の間に顕著な差が認められず 学生で 長袖パーカー 保護者で ネクタイ の着用度が高い程度であった 5) 世代間による女性のカジュアルファッションの変化が 着用アイテムの増加という視点で捉えられるのに対して 男性のカジュアルファッションの変化は 着用アイテム 174

ユニセックスファッションの商品企画に関する研究 - ユニセックス化のための情報収集 - の増減という量的変化を通して把握するのは難しいということがわかった なお 今回の調査において 男性に特有のアイテムが顕在化しにくかった背景には 男性 とりわけ若い男性のカジュアルファッションに対する価値観の変化といったものがあるように思われるが それらについての検討は 次回に譲りたいと考えている 消費者によるカジュアルウエアの着用実態調査を通して ユニセックス化が可能なアイテムを見出そうとした本アプローチが ささやかではあるがアパレル企業のサポートとなれば幸いである 謝辞調査やデータ入力等にご尽力くださった平成 22 年度卒業生の後藤亜梨紗さん ( 人間科学部心理コミュニケーション学科 ) に深く感謝の意を表します また 調査にご協力くださった方々に心よりお礼を申し上げます 注 1) ユニセックスファッション用語 - FashionDirectory -2011 年 2 月 25 日閲覧 http://fo.web-bz.com/fashion/ 2)Elastic: メトロセクシャルの次はクロスセクシャル 2011 年 2 月 25 日閲覧 http://taf5686.269g.net/article/3322957.html 参考文献 小林茂雄 男子大学生の着装行動とユニセックス観に関する一考察 共立女子大学家政学部紀要 (35),pp53 60,1989 03 石井とめ子 世紀末におけるボーダーレス現象 家庭科教育 68 巻 13 号,pp18 22,1994 ジョアンフィンケルシュタイン ファッションの文化社会学 せりか書房,2007 城一夫 渡辺直樹 日本のファッション明治 大正 昭和 平成 青幻舎,2007 175