(イ係)

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控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

算税賦課決定 (5) 平成 20 年 1 月 1 日から同年 3 月 31 日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正のうち還付消費税額 6736 万 8671 円を下回る部分及び還付地方消費税額 1684 万 2167 円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定 (6) 平成 20 年 4 月

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

4 処分行政庁が平成 25 年 3 月 5 日付けでした控訴人に対する平成 20 年 10 月 1 日から平成 21 年 9 月 30 日までの事業年度の法人税の再更正処分のうち翌期へ繰り越す欠損金 4 億 万 6054 円を下回る部分を取り消す 5 処分行政庁が平成 25 年 3 月

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

式会社 (A) の債務に係る保証債務及び清算人を務める株式会社 (B) の債務の履行にそれぞれ充てた控訴人が 上記各債務の履行に伴って生じた求償権を一部行使することができなくなったとして これに相当する金額につき 譲渡所得の金額の計算上なかったものとみなす所得税法 ( 法 )64 条 2 項の規定を

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

賦課決定 ( 以下 本件賦課決定 といい, 本件更正と併せて 本件更正等 という ) を受けたため, 本件更正は措置法 64 条 1 項が定める圧縮限度額の計算を誤った違法なものであると主張して, 処分行政庁の所属する国に対し, 本件更正等の一部取消し等を求める事案である 原審は, 控訴人の請求をい

平成  年(オ)第  号

4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨主文と同旨第 2 事案の概要 1 本件は, 競馬の勝馬投票券 ( 以下 馬券 という ) の的中による払戻金に係る所得を得ていた控訴人が, 平成 17 年から平成 21 年までの各年分の所得税に係る申告期限後の確

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

旨の申告 ( 以下 本件申告 という ) をしたところ, 処分行政庁から, 本件不動産取得税を還付しない旨の処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 処分行政庁が所属する東京都を被告として, 本件処分の取消しを求める事案である 原判決は, 控訴人の請求を棄却したので, これを不服とする控

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

株式等に係る譲渡損失の額を控訴人申告に係る3196 万 8863 円から813 万 9478 円と更正したため 控訴人が 処分行政庁の属する国に対し 本件更正処分のうち上記更正に係る部分が違法であると主張してその取消しを求める事案である 原判決は 控訴人の請求を棄却したため 控訴人が控訴した 1 法

平成  年(あ)第  号

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は, 亡 AとBとの間の子である 原告は, 所得税法 16 条 2 項の規定により, その営む事業に係る事業場の所在地である渋谷区を納税地としている イ亡 Aは, 平成 年 月 日に死亡し, 原告は, 渋谷区 α 番地 1ほか所在の区分所有建物及

 

2(1) 所得税法 34 条 2 項は, 一時所得の金額は, その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額 ( その収入を生じた行為をするため, 又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る ) の合計額を控除し, その残額から所定の特別控除額を控除した金額とす

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

原判決は, 控訴人ら及び C の請求をいずれも棄却したので, 控訴人らがこれを不服として控訴した 2 本件における前提事実, 関係法令の定め, 争点及びこれに対する当事者の主張は, 後記 3 のとおり, 原判決を補正し, 後記 4 のとおり, 当審における当事者の主張 を付加するほかは, 原判決 事

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

 

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

0A8D6C A49256C A0

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

という ) 開始に係る各相続税 ( 以下 本件各相続税 という ) の申告をしたところ, 処分行政庁から本件各相続税の各更正及びこれらに係る重加算税の各賦課決定を受け, 裁決行政庁からこれらに係る原告らの審査請求を却下する旨の各裁決を受けたのに対し, 上記各更正のうち原告らが主張する納付すべき税額を

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

取っていないため課税されるべき所得はなく 川越税務署長が平成 24 年 8 月 24 日付けで原告に対して行った平成 19 年分 平成 22 年分及び平成 23 年分の所得税の各決定処分 ( 以下 本件決定処分 という ) 並びに平成 22 年分及び平成 23 年分の無申告加算説の各賦課決定処分 (

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

7265BB4891EFF48E A000659A

平成  年(オ)第  号

<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

いう ) に対し, 本件周辺道路整備工事の係る公金の支出 ( ただし, 支出命令を除く ) の差止めを求めるとともに, 文京区と東京大学との間で締結した 小石川植物園と区道の整備に関する基本協定書 による本件周辺道路整備工事に関する基本協定 ( 以下 本件基本協定 という ) に基づく年度毎の協定の

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

11総法不審第120号

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

 

MJS/ 第 79 回租税判例研究会 ( ) MJS 判例研究会 平成 30 年 8 月 9 日 報告者西野道之助 更正の請求/ 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除 平成 28 年 7 月 8 日 東京地裁 ( 棄却 )( 控訴 ) 平成 29 年 1 月 26 日

事実及び理由控訴人補助参加人を 参加人 といい, 控訴人と併せて 控訴人ら と呼称し, 被控訴人キイワ産業株式会社を 被控訴人キイワ, 被控訴人株式会社サンワードを 被控訴人サンワード といい, 併せて 被控訴人ら と呼称する 用語の略称及び略称の意味は, 本判決で付するもののほか, 原判決に従う

事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は 控訴人に対し 427 万 5200 円及びこれに対する平成 4 年 8 月 7 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 訴訟費用は 第 1 2 審とも 被控訴人の負担とする 4 仮執行宣言第 2 事案の概要等 1

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

主 文 本件控訴を棄却する 控訴費用は, 控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 外務大臣が控訴人に対して平成 18 年 4 月 27 日付けでした行政文書の開示請求に係る不開示決定 ( 情報公開第 号 ) を取り消す 3 訴訟費用は, 第 1,2 審を通じ,

株式保有会社の相続税評価の緩和

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

21855F41214EA DB3000CCBA

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

処分済み

11総法不審第120号

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

については証拠上必ずしも明らかではなく 見舞金未計上額を益金に算入せず 競走馬の帳簿価額から直接減価することが上記のような意味で重要性に乏しかったものと解することは困難であるのみならず そもそも損金経理のこのような趣旨からすれば 情報利用者の意思決定にとって重要ではないとの理由のみによってこれを省略

2 原判決は 控訴人の請求を棄却したので 控訴人がこれを不服として控訴をした 3 関係法令の定め 通達 前提事実 争点及び争点に関する当事者の主張は 原判決の 事実及び理由 中の 第 2 事案の概要 の1から4に記載のとおりであるから これを引用する 第 3 当裁判所の判断 1 当裁判所も 控訴人の

国籍確認請求控訴事件平成 12 年 11 月 15 日事件番号 : 平成 12( 行コ )61 大阪高等裁判所第 4 民事部 裁判長裁判官 : 武田多喜子 裁判官 : 正木きよみ 松本久 原審 : 大阪地方裁判所平成 11 年 ( 行ウ )54 < 主文 > 一. 原判決を 取り消す ニ. 訴訟費用

原告は 昭和 58 年度分以降の年分の所得税について 当時の所轄税務署長である保士ヶ谷税務署長から 所得税法 143 条所定の青色の申告書により提出することの承認を受けた (2) 原告は 平成 15 年分から平成 17 年分の所得税の確定申告において 不動産所得金額の計算上 収入金額に比して多額の借

11総法不審第120号

平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行コ ) 第 7 号所得税更正処分等取消請求控訴事件 主 文 1 原判決中, 過少申告加算税賦課決定処分の取消請求を認容した部分をいずれも取り消し, 同請求をいずれも棄却する 2 前項に関する訴訟の総費用は被控訴人らの負担とする 事実及び

 

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

除く 以下同じ ) に因り財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有するものは この法律により 贈与税を納める義務がある旨定めている ( 3 ) 相続税法 9 条本文は 4 条から 8 条までに規定する場合を除く外 対価を支払わないで又は著しく低い価額の対価で利益を受

11総法不審第120号

11総法不審第120号

11総法不審第120号

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

平成  年(行ツ)第  号

11総法不審第120号

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

審決取消判決の拘束力

CEF A000659D

第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に より いずれも棄却すべきである 第 5 調査審議の経過審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日審議経過 平成 30 年 3 月 6 日 諮問 平成 30 年 4 月 26 日審議 ( 第

DE C759E2B A000659E

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

1 繰越控除適用事業年度の申告書提出の時点で判定して 連続して 提出していることが要件である その時点で提出されていない事業年度があれば事後的に提出しても要件は満たさない 2 確定申告書を提出 とは白色申告でも可 4. 欠損金の繰越控除期間に誤りはないか青色欠損金の繰越期間は 最近でも図表 1 のよ

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

最高裁○○第000100号

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

11総法不審第120号

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

処分済み

滞納処分によって財産の差押えを受け 被告がその売却代金等の配当を受けたことについて 本件各申告の一部は錯誤に基づく無効なものであり これを前提としてされた滞納処分も無効であるから 被告は法律上の原因なく配当を受けているとして 不当利得返還請求権に基づき 前記第 1の請求記載の各金員の支払を求めている

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

にもかかわらず同項を適用して本来許容され得る範囲を超えて容積率の緩和を許可している点で違法である,2 本件確認処分は, 違法な本件許可処分を前提としているから違法であるなどとして, 本件許可処分及び本件確認処分の各取消しを求める事案である 2 原審は, 控訴人 D 寺及び同 Eの訴えは, 同控訴人ら

平成  年(オ)第  号

88186FC9FB40AF6A49256D41000B09B

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

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平成 26 年 5 月 19 日判決言渡 平成 25 年 ( 行コ ) 第 391 号所得税更正処分取消請求控訴事件 主 文 本件控訴を棄却する 控訴費用は控訴人の負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 四日市税務署長が平成 25 年 3 月 15 日付けで控訴人に対してした平成 21 年分所得税の更正処分のうち課税総所得金額 2361 万 7000 円, 還付金の額に相当する税額 182 万 8105 円を超える部分及び四日市税務署長が平成 23 年 7 月 5 日付けで控訴人に対してした過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す 第 2 事案の概要等 1 事案の概要本件は, 控訴人が, 株式市場 (A 市場 ) に上場されている, 自己の保有する B 株式会社の株式 ( 以下, 同社を B 社, その株式を 本件株式 又は B 社株式 という ) を, 株式会社 C( 以下 C 社 という ) に対し,1 平成 21 年 3 月 2 日,112 万株,2 同年 11 月 24 日,31 万 7550 株, いずれも1 株当たり550 円 ( 以下 本件取引単価 という ) で, 市場外における相対取引により売却し ( 以下,1,2を併せて 本件譲渡 という ), 各譲渡価額全額を譲渡所得として平成 21 年分の所得税確定申告 ( 甲 1,2) をしたところ, 処分行政庁である四日市税務署長において, 本件譲渡に係る収入金額と, 本件譲渡がされた日のA 市場における本件株式の終値 ( 以下 本件市場単価 という 1は290 円,2は426 円 ) を基に算出した評価額との差額合計 3 億 5057 万 6200 円 ( 以下 本件差額 という ) は控訴人がC 1

社から贈与を受けたものであり, 譲渡所得ではなく一時所得に該当するとして, 平成 23 年 7 月 5 日付けで更正処分 ( 以下 本件更正処分 という ) 及び過少申告加算税賦課決定処分 ( 以下 本件賦課決定処分 という ) をし ( 甲 3), さらに, 平成 25 年 3 月 15 日付けで再更正処分 ( 以下 本件再更正処分 という ) をしたが ( 乙 37), 本件差額部分を控訴人の一時所得として課税したことは, 所得税法の解釈適用を誤った違法な処分であると主張して, 国である被控訴人に対し, 本件再更正処分のうち課税総所得金額 2361 万 7000 円, 還付金の額に相当する税額 182 万 8105 円を超える部分及び本件賦課決定処分の各取消しを求めた事案である 原審は, 控訴人の請求を棄却した そこで, 控訴人が, これを不服として, 本件控訴をした 2 関係法令の定め, 前提事実, 被控訴人の主張する各処分の根拠及び適法性原判決の 事実及び理由 中の 第 2 事案の概要 の1 項ないし3 項 ( 原判決 2 頁 23 行目から4 頁 12 行目 ) に記載のとおりであるから ( 原判決別紙 2,3を含む ), これを引用する なお, 略語は, 特に断らない限り, 原判決の例による 3 争点及び当事者の主張 (1) 後記 (2) のとおり当審における控訴人の主張を加えるほかは, 原判決の 事実及び理由 中の 第 2 事案の概要 の4 項,5 項 ( 原判決 4 頁 13 行目から8 頁 7 行目 ) に記載のとおりであるから, これを引用する (2) 当審における控訴人の主張原判決は, 個人の有する資産の譲渡金額を,1 譲渡の 対価 たる性格を有する部分と,2そうでない部分に区分し,1については, 譲渡所得に係る収入金額,2については, 一時所得等の譲渡所得以外の所得に係る収入金額として課税すべきである旨判示した しかし, 原判決の判断は, 誤りであり, 本件譲渡に係る本件取引単価 (1 株 550 円 ) の全額が譲渡所得に該当する 2

ア控訴人が資産である本件株式を売買契約である本件譲渡により譲渡して得た所得は, 所得税法 33 条 1 項所定の 資産の譲渡による所得 であるから, それが時価より高い金額の売買であっても, 当該資産の譲渡に基因する所得の全額が譲渡所得に該当する 所得の性質は, 原因行為の内容によって決まり, 本件譲渡は, 形式 実質のいずれにおいても売買契約であり, 贈与契約が含まれていない以上, その対価の所得は全額が譲渡の対価となるのであり, その中に贈与の性格を有する金員が含まれていると性質決定するためには,(a) 私法上の法律関係の実質が1 個の売買契約であったことを否定し, 売買契約と贈与契約の 2 個の契約であったと認定するか, 又は (b) 課税庁による私法上の法律関係から離れた所得の性質決定を認めるかのいずれかしかないところ, 原判決は,(a) の立場によらない以上,(b) であることが明らかである 所得税法の通常の理解によれば, 譲渡代金を1と2とに分け,2を贈与による所得とすることは, 明文規定がないのに, 私法上の法律関係から離れた所得区分の決定を認めるものであり, 課税は私法上の法律行為に即して行うという原則を無視し, 租税法律主義 ( 憲法 84 条 ) に反する課税を認めるものであって, 許されない イ租税法上の明文規定がないのに, 取引当事者の特殊関係 ( 原判決によれば, 譲渡の当事者が会社とそのオーナー ( 株主 ) という特殊な関係にあり, 特殊な取引であるため, 独立かつ対等な第三者間での取引と異なる場合 ) を理由に通常と異なる課税をすることは, 同族会社の行為否認計算 ( 所得税法 157 条 ) の場合以外には許されない 本件は通常の取引と同じ基準によるべきであって, 通常と異なる課税をすべき根拠はない ウ横浜地方裁判所平成 8 年 11 月 25 日判決 ( 以下 横浜地裁平成 8 年判決 という ) は, 極めて高額な財産分与がされ, 譲渡所得に該当するのが全部か一部かが争われた事案において, 同事件の原告が, 財産分与に 3

ついては, 離婚する夫婦の共有財産の清算, 慰謝料, 扶養という本来的な要素のほかに, 例えば, 離婚に応じない相手の気持ちを和らげるためや, 離婚の不当な引き延ばしを避けるために財産分与の名目で資産を譲渡することもあるから, 財産分与として相当である部分とこれを超える部分とを区別し, 後者についてはこれを贈与とみるべきである と主張したのに対し,( その主張は ) 財産分与に, 本来的な財産分与の部分とそうでない部分があることを前提とするものであるが, このような概念を持ち出すことは, 本来財産分与が当事者間の協議により自由に定めうるものであることと矛盾するものであり, たやすく採用することはできない と判示し, その主張を排斥しており, 真実存在する私法上の法律関係から離れて独自の法律行為を設定して, それを前提に課税することを否定しており, 本件においても, 同様の考え方に基づいて判断されるべきである 第 3 当裁判所の判断 1 当裁判所も, 本件更正処分, 本件賦課決定処分及び本件再更正処分はいずれも適法であり, 本件再更正処分のうち課税総所得金額 2361 万 7000 円, 還付金の額に相当する税額 182 万 8105 円を超える部分及び本件賦課決定処分の各取消しを求める控訴人の請求は理由がないから棄却すべきものと判断する その理由は, 次のとおり補正し, 後記 2のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほかは, 原判決の 事実及び理由 中の 第 3 当裁判所の判断 ( 原判決 8 頁 8 行目から25 頁 9 行目 ) に記載のとおりであるから, これを引用する (1) 原判決 9 頁 15 行目末尾に続けて, 次を加える このように解することは, 所得税法 33 条 1 項の 資産の譲渡による所得 の解釈として正当であり, また, 租税法律主義に反するものではない (2) 原判決 15 頁 21 行目の 原告に支払い を削る 4

(3) 原判決 20 頁 15 行目の 抽象的なものにすぎず, を 抽象的なものにすぎないし, 控訴人がB 社株式を取得した当初から常に存在していた事情であって, と改める 2 当審における控訴人の主張について (1) 上記第 2の3(2) アについて引用に係る補正後の原判決 (9 頁 3 行目から15 行目 ) に説示するとおり, 所得税法は, 譲渡所得に対する課税につき, 資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得とし, その資産が他に移転するのを機会に清算して課税する趣旨であり, 譲渡によって資産の移転が対価の受入れを伴う場合には, 対価のうちに増加益が具体化されることから, これを課税対象として捉えたものと解される そして, 有償の譲渡が行われる場合において, 譲渡所得として課税される対象は, 専ら所得税法 33 条 1 項の 資産の譲渡による所得 の解釈により決定されるところ, 当該資産のすべてが譲渡の対価たる性格を有するとはいえないときに, その部分は増加益が具体化したものとはいえないから, 譲渡所得の対象とならないのは, 事柄の性質上, 当然である 当事者が私法上の法律関係において, 当該法律行為にどのような法律効果を生じさせようとしたかという問題と, 当該法律行為により移転される資産の譲渡中に対価たる性格を有する部分とそうでない部分とがあり得るという問題とは, 事柄の性質上, 別個の問題である 後者については, 所得税法 33 条 1 項の上記解釈によれば, 資産の譲渡による所得とは解されないのであるから, それについて所得税法の区分に従って課税することは, 租税法律主義に反するものではないし, 引用に係る原判決 (24 頁 19 行目から 22 行目 ) に説示するとおり, 私法上の法律関係から離れて独自の所得区分の決定を認めるものとも解されない したがって, 控訴人の上記第 2の3(2) アの主張は, 理由がない (2) 上記第 2の3(2) イについて 5

引用に係る補正後の原判決 (9 頁 3 行目から15 行目 ) の説示した所得税法の譲渡所得課税に関する解釈に基づき, 同じく原判決 (10 頁 25 行目から18 頁 19 行目 ) に説示するとおり, 本件の事実関係の下においては, 本件株式の市場価格, 本件譲渡の動機 目的, 本件譲渡における価格決定の経緯, 当該価格の合理性などに照らせば, 本件譲渡における本件株式の譲渡の対価たる性格を有するのは, 本件取引単価のうち本件市場単価の部分に限られるから, 本件市場単価と本件取引単価との差額部分 ( 本件差額 ) は, 本件株式の譲渡の対価たる性格を有するとはいえず, 法人であるC 社から贈与された金員としての性格を有するものと解される 以上の判断は, 取引当事者の特殊関係のみを重視するものではない したがって, 控訴人の上記第 2の3(2) イの主張は, 失当である (3) 上記第 2の3(2) ウについて本件更正処分は, 上記 (1),(2) に説示したとおり, 所得税法の適正な解釈及び本件事実関係に基づくものである 控訴人の主張するように, 真実に存在する私法上の法律関係から離れて独自の法律行為を設定して課税したものではないから, 控訴人の主張は, その前提を欠く 加えて, 控訴人が引用する横浜地裁平成 8 年判決は, 単に財産分与の法的性質について判示したにとどまり, ある行為によって稼得された経済的利益につき, 所得区分の異なる複数の所得に分類することの適否について判示したのではないから, 本件とは事案を異にするものである したがって, 控訴人の上記第 2の3(2) ウの主張は, 理由がない (4) 控訴人が縷々述べるその余の主張は, いずれも法的に意味がないものか, 又は独自の見解であって, 上記の判断を左右するものではない 第 4 結論以上によれば, 控訴人の請求は, 理由がないから棄却すべきであり, これと同旨の原判決は相当であって, 本件控訴は理由がない 6

よって, 本件控訴を棄却することとし, 主文のとおり判決する 東京高等裁判所第 22 民事部 裁判長裁判官 加藤新太郎 裁判官 河田泰常 裁判官青野洋士は, 転補につき, 署名押印することができない 裁判長裁判官 加藤新太郎 7