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出願人のための特許協力条約(PCT) -国際出願と優先権主張-

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特許制度 1. 現行法令について 2001 年 8 月 1 日施行 ( 法律 14/2001 号 ) の2001 年改正特許法が適用されています 2. 特許出願時の必要書類 (1) 願書 (Request) 出願人の名称 発明者の氏名 現地代理人の氏名 優先権主張の場合にはその情報等を記載します 現

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

2.2.2 外国語特許出願の場合 2.4(2) を参照 2.3 第 184 条の 5 第 1 項に規定された書面 (1) 日本語特許出願 外国語特許出願を問わず 国際特許出願の出願人は 国内書面提出期間 ( 注 ) 内に 出願人 発明者 国際出願番号等の事項を記載した書面 ( 以下この部において 国

では理解できず 顕微鏡を使用しても目でみることが原理的に不可能な原子 分子又はそれらの配列 集合状態に関する概念 情報を使用しなければ理解することができないので 化学式やその化学物質固有の化学的特性を使用して 何とか当業者が理解できたつもりになれるように文章表現するしかありません しかし 発明者が世

例 2: 組成 Aを有するピアノ線用 Fe 系合金 ピアノ線用 という記載がピアノ線に用いるのに特に適した 高張力を付与するための微細層状組織を有するという意味に解釈される場合がある このような場合は 審査官は 請求項に係る発明を このような組織を有する Fe 系合金 と認定する したがって 組成

ことができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している さらに 台湾専利法第 76 条は 特許主務官庁は 無効審判を審理する際 請求によりまたは職権で 期限を指定して次の各号の事項を行うよう特許権者に通知することができる 1. 特許主務官庁に出頭して面接に応じる と規定している なお

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REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

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作成日 :2006 年 10 月 1 日 世界知的所有権機関 World Intellectual Property Organization (WIPO) 所在地 :34 chemin des Colombettes, 1211 GENEVE 20, Switzerland Tel : (41 2

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なって審査の諸側面の検討や評価が行われ 関係者による面接が開始されることも ある ベトナム知的財産法に 特許審査官と出願人またはその特許代理人 ( 弁理士 ) の間で行われる面接を直接定めた条文は存在しない しかしながら 審査官は 対象となる発明の性質を理解し 保護の対象を特定するために面接を設定す

ウルグアイ東方共和国 (UY) ORIENTAL REPUBLIC OF URUGUAY ウルグアイの概要 : ウルグアイは 南米大陸の大西洋側に位置しブラジル及びアルゼンチンと国境を接しております ウルグアイの総面積は 約 17.6 万 k m2で人口は約 343 万人 首都はモンデビデオにありま

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

 

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参加人は 異議申立人が挙げていない新たな異議申立理由を申し立てても良い (G1/94) 仮 にアピール段階で参加した参加人が 新たな異議申立理由を挙げた場合 その異議申立手続は第 一審に戻る可能性がある (G1/94) 異議申立手続中の補正 EPCにおける補正の制限は EPC 第 123 条 ⑵⑶に

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1. 特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約とは 特許法条約 (PLT) 及び商標法に関するシンガポール条約 (STLT) は 各国で異なる国内出願手続の統一化及び簡素化に関する条約である 近年 出願件数が多い欧米諸国の加入が進んでおり 両条約の締約国は PLT が 36 か国 STLT が

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特許庁の役割 特許庁の役割は 産業財産権制度を通じて 発明や意匠の創作の奨励 商標の保護により 日本の産業を発展させること IT 技術の進展 TPP 等の経済連携協定等を通じて 企業活動がますます国籍や国境を越え 日本企業の海外進出や 海外企業の日本国内進出が進むことが予想される中 日本を含めあらゆ

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F02 ワシントン D.C. 周辺エリア 米国特許制度および模擬裁判 IPR 等の研修 募集定員 :40 名 2018 年 11 月募集予定 本コースは 米国の知的財産制度及びその関連法を正しく理解し 米国の知的財産権の問題に対し迅速かつ的確に対応できる能力を有する人材を育成することを目的としたもの

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調査報告書 ~ASEAN 各国における産業財産権権利化に係る費用及び期間 ~ 第 1 はじめに本報告書は 独立行政法人日本貿易振興機構バンコク事務所 ( 以下 貴機構 という ) の委託を受けて 弊事務所が行ったインドネシア マレーシア フィリピン シンガポール タイ及びベトナムにおける産業財産権の

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間延長をしますので 拒絶査定謄本送達日から 4 月 が審判請求期間となります ( 審判便覧 の 2.(2) ア ) 職権による延長ですので 期間延長請求書等の提出は不要です 2. 補正について 明細書等の補正 ( 特許 ) Q2-1: 特許の拒絶査定不服審判請求時における明細書等の補正は

指定 ( 又は選択 ) 官庁 PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 - ベトナム国家知的所有権庁 (NOIP) 国内段階に入るための要件の概要 3 頁概要 国内段階に入るための期間 PCT 第 22 条 (3) に基づく期間 : 優先日から 31 箇月 PCT 第 39 条 (1)(b)

実体審査における審査官面接に関して GPE には面接における協議の方法 時期および内容など 詳細な要件が定められている 例えば GPE には 最初のオフィスアクションの応答書が出願人により提出された後 審査官は当該出願の審査を継続しなければならない と規定されている (GPE 第 II 部第 2 章

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寄稿集していることに対して各国企業が危機感を強めている このセミナーは 実用新案制度の改正を検討しているマ もう一つは新興国 途上国で知的財産制度の整備が進むにつれ知的財産制度を自国の産業の発展の基礎にできないかという意識が高まったことである 新興国 途上国では TRIPS 履行義務以降 知的財産制

特許出願の審査過程で 審査官が出願人と連絡を取る必要があると考えた場合 審査官は出願人との非公式な通信を行うことができる 審査官が非公式な通信を行う時期は 見解書が発行される前または見解書に対する応答書が提出された後のいずれかである 審査官からの通信に対して出願人が応答する場合の応答期間は通常 1

意匠法第十七条の三意匠登録出願人が前条第一項の規定による却下の決定の謄本の送達があつた日から三月以内にその補正後の意匠について新たな意匠登録出願をしたときは その意匠登録出願は その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす 2 前項に規定する新たな意匠登録出願があつたときは もとの意匠登

1. 欧州連合における意匠検索 ( 調査 ) の必要性 1.1 欧州連合における意匠制度欧州共同体意匠制度とは 欧州連合知的財産庁に 1の出願 登録を行うことで 欧州連合加盟国全部をカバーする意匠権を得ることが出来る制度です 欧州連合は 下の地図のうち 水色及び薄緑色の国が加盟し成立しています スイ

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イ特許専門業務特許戦略 法務 情報 調査 特許戦略に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有すること (1) 特許出願戦略 ( ポートフォリオ戦略等 ) (2) 研究開発戦略と特許戦略の関係 (3) 事業戦略と特許戦略の関係 (4) 標準化戦略 法務に関し 次に掲げる事項について専門的な知識を有

PCT 出願人の手引 - 国内段階 - 国内編 -MY MY 1 頁 マレーシア知的所有権公社 ( 指定官庁又は選択官庁 ) 目 次 国内段階 - 概要 国内段階の手続 附属書手数料 附属書 MY.Ⅰ 国内段階移行手数料 ( 特許様式 No.2A) 附属書 MY.Ⅱ 特許代理人の選任又は変更 ( 特

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

米国特許ニュース AIA102( 条 (a)(1) の出願日前の販売 (on sale) は たとえ販売内容が秘密であっても旧法 102 条 (b) の オンセール と同じで 特許を無効にすると最高裁判決 服部健一米国特許弁護士 2019 年 2 月 HELSINN HEALTHCARE S. A.

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

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問 2 戦略的な知的財産管理を適切に行っていくためには, 組織体制と同様に知的財産関連予算の取扱も重要である その負担部署としては知的財産部門と事業部門に分けることができる この予算負担部署について述べた (1)~(3) について,( イ ) 内在する課題 ( 問題点 ) があるかないか,( ロ )

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手続きガイドライン ( 日本語仮訳 ) ( ラオス関連特許出願に対する特許の付与円滑化に関する協力に基づく早期特許査定申請 ) 日本国特許庁 (JPO) により付与された特許を有する出願人は JPO での特許出願の審査結果を利用したラオス関連特許出願の 特許の付与円滑化に関する協力 ( 以下 CPG

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神戸法学雑誌 65 巻 1 号 1 神戸法学雑誌第六十五巻第一号二〇一五年六月 目次

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定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

作成日 :2012 年 1 月 5 日 フィリピン共和国 特許庁の所在地 : Department of Trade and Industry, Intellectual Property Office P. O. Box 296 Manila Philippines T e l:

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(9) 商法 会社法 (10) 民事執行法 (11) 民事保全法 5 前各号に掲げる科目のほか次に掲げる科目のうち 受検者が選択するいずれか一の科目イ特許専門業務 A 戦略 A-1 知的財産戦略 B 管理 B-1 法務 C 創造 ( 調達 ) C-1 情報 調査 知的財産戦略に関し 次に掲げる事項に

2.1 提供方法 提供形態 登録されたサービス利用者に発行される ID パスワードによりアクセス できるダウンロードサイトから オンラインで提供される 提供周期 新規発生分 / 更新処理分のデータは 日次及び週次で提供される ただし 週次データにおいて期間内に更新又は削除が複

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第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

2016 年 5 月 25 日 JETRO アセアン知財動向報告会 ( 於 :JETRO 本部 ) ASEAN 主要国における 司法動向調査 TMI 総合法律事務所シンガポールオフィス弁護士関川裕 TMI 総合法律事務所弁理士山口現

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経済産業省産業技術環境局産業技術政策課 パブリックコメント担当 御中

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Yamauchi Patent News VOL.61 ニュースの目次 1. 進歩性判断の再考 ( その 2) 2. 海外知財制度の紹介 ( 中国の実用新案制度 ) 3. タイ インドネシア マドプロ加盟 1. 進歩性判断の再考 ( その 2) 1. 進歩性判断の第 1 ステップは 3 頁の表に示すように 本願発明 ( または本件発明 ) の要旨認定にあります 本願発明の要旨認定は もちろん特許請求の範囲の記載に基づいてなされるわけで この点に疑いの余地はありませんが 実務上は 2 つの問題があります 一番目は 有名なリパーゼ最高裁判決の影響をどう考えるか という問題です 二番目は 権利設定の段階 ( 出願審査の段階 ) と権利行使の段階 ( 侵害訴訟等での無効論 ) とでは 特許請求の範囲の読み方に違いがあるのかどうか という問題です なお 本稿の論点は権利行使時における技術的範囲の解釈とは区別されるものですので 念のため 2. リパーゼ最高裁判決のミソの部分は 特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか, あるいは, 一見してその記載が誤記であることが明らかであるなどの特段の事情がある場合に限って, 明細書の発明の詳細な説明を参酌することが許されるにすぎない というものでした この最高裁判決の把え方については様々な解釈が示され 混乱も生じました たとえば 用語の意味の明確化という目的でも明細書の参酌は許されないとする説と許されるとする説の対立などがありました しかし 小職はつぎのように考えています まず 特許請求の範囲は発明を特定するための事項を記載したもの ( 特許 36 条 5 項 ) であって 発明の詳細な説明は文字通り発明を詳細に説明するため 発明を実施ができる程度に明確かつ充分に記載するもの ( 特許 36 条 4 項 ) ですから両者は一応の対応関係が付いています そして 更に両者の関係は ズレが生じないよう 特許請求の範囲の記載 (= 特許を受けようとする発明 ) は発明の詳細な説明に記載されたものであるとする対応付けが要求されています ( 特許 36 条 6 項 ) このような一体不可分の関係をみると 特許請求の範囲の文言の解釈に明細書の解釈が行われるのは当然であって 否定的な意見が出ること自体不自然に感じておりました 1

明細書の書き手たる小職としては 明細書の中に定義があろうがなかろうが 明細書全体を参酌するのは当り前では というのが正直な感覚でした たとえば 小職の駆け出しの頃の経験で こんな事例がありました 横向きに取付けられたワイヤの先にある部材が付いていて ワイヤは可撓性をもつので ある程度曲って先 ( つまり部材のある方 ) が下るわけですが この曲り具合が発明の機能を果すのに重要となっています (a) 図のワイヤは可撓性が余りなくほとんど曲りません (b) 図のワイヤは可撓性がありすぎてグニャリと垂れ下ります これら (a) (b) は共に役立ちません (c) 図のみは可撓性がちょうど良いので 発明が成立します このような 可撓性 のレベルを定義付けよと云われると心底困るわけです しかし 明細書全体を見てくれるなら 上記 (a) (b)(c) を比較して書いておけばいいので これは簡単です ですので 特許請求の範囲中の用語の意味は すべからく 明細書を見て下さい というのが正直な気持ちでした 現状では リパーゼ判決のような明細書参酌を厳しく制限するような判例傾向は見られません 特許庁の審査基準では ごく当り前のように 明細書及び図面の記載 を考慮して請求項に記載されている用語の意味を解釈する とされており この実務は定着しているものと思います 3. つぎに二番目の話ですが 結論から言いますと 権利設定の段階 ( 出願審査の段階 ) と権利行使の段階 ( 侵害訴訟等での無効論 ) とでは 特許請求の範囲の読み方に違いがあります 前者は広めに読まれ 後者は狭く読まれることがあるからです その理由は以下のとおりです (1) まず 権利設定の手続 ( 代表的には特許庁での審査 審判 ) を考えると それはあまた先行技術のあるなかで 新規性 進歩性を満たす領域がどこかを確定する作業と考えられます ここでいう領域を言葉で表したものが特許請求の範囲です そうすると特許請求の範囲を普通に読んでいって 先行技術と衝突しないかどうかを確認しなければなりません この作業が特許庁の行っている審査です また 特許請求の範囲は普通の意味に読める範囲ならば その範囲内で最大限に広い意味の解釈を用いるべきと思います そうでないと 読み方しだいで新規性 進歩性が失われたり失われなかったりするからです アメリカでは こうした意味の拡大解釈を Broadest Reasonable Interpretation と云って審査においては クレームは明細書の記載と一致した合理的な最も広い解釈を 2

与えなければならない と定めています (MPMP 2111) もっとも 日頃の実務感覚では アメリカでは我々の想定以上に広く読まれ ビックリするほど離れた引用文献が引かれることがありますが 日本ではそこまでの感覚の開きはないようです (2) 一方 権利行使時は限定解釈の可能性が出てきます というのも 特許庁の審査は完全ではなく 審査で発見されなかった先行技術文献が権利行使時 ( たとえば 侵害訴訟時 ) に現れることがあります こうした場合に 特許請求の範囲を広く解釈せず狭く読んで特許の有効性を維持することがあります 最近では 広く解釈すれば分割出願要件を満たさなくなり 出願日の遡及効が失われる結果新規性違反で無効となってしまうとき 同要件を充足するように狭くクレーム解釈した 事例 ( 大阪地裁平成 20 年 5 月 8 日判決 ) がありました 3

2. 海外知財制度の紹介 ( 中国の実用新案制度 ) 1. 日本の実用新案制度との相違点 外国にある特有の制度について紹介するこのコーナーですが 今回は中国の実用新 案制度について紹介します 中国にも日本と同様実用新案制度が存在します 日本の 制度とよく似ていますが 相違点も存在します この相違点により 日本における実 用新案制度よりも 権利者側にとって使いやすい制度となっています 権利者側に有 利な相違点は以下の点になります (1) 同じ発明等について特許との併願が可能である (2) 権利行使時に実用新案技術評価書を提示した警告が必要ない (3) 権利行使後に実用新案権が無効になっても 原則損害賠償をする必要がない また 実用新案権の存続期間は 10 年であるものの 日本の実用新案と同じく進歩 性の基準が低く 加えて 実体審査もありませんから 出願から登録までの期間は短 く 無効にもなりにくいという利点があります 少し古い案件ですが 中国の実用新 案権に関する判決で シュナイダー事件という有名な判決があり この判決のでは実 用新案権の侵害に対して 22 億円の損害賠償が認められました この判決から 中国 の実用新案権は利用価値が高いと判断されています 2. 特許との併願の利点と問題点 上記の (1) で同じ発明等について特許との併願が可能である点を挙げました こ れは同一出願人が特許と実用新案を同時に出願することができる制度です すなわち 出願人は 同じ出願について 特許と実用新案とを同時に出願するとの声明を出願時 にすることで併願が可能となります この制度の利点は ある技術成果について 発明を実用新案制度により早く権利化 し 市場においてその効力を発揮したいニーズに応えることができるとともに 特許 制度によりその発明を長期間権利保護したいニーズにも応えることができるという 点です なお出願人は 特許権の登録と同時に実用新案権を放棄することが必要にな ります この制度は中国国内の出願人はよく利用していますが 日本の出願人にとっては若 干使いにくい点があります 日本の出願人が中国に出願する場合は PCT 出願を利 用することが多いのですが PCT 出願から中国へ国内移行する際には この制度を 利用できないのです これは 出願と同時に出す必要がある声明をすることができな いためです そのため この制度を利用するためには パリ条約の優先権を主張して 両方の出願をする必要があります 3. まとめ 日本の出願人にとって 若干利用しにくい特許と実用新案の併願制度ですが 中国 国内で広く行われているのは 出願人にとって価値が高いことを意味しています 弊 所では中国の現地代理人からの最新情報を セミナー等を通じて取得しています 皆 4

様におきましてもご希望がございましたら 内容をお知らせすることができますので 是非ご連絡ください 3. タイ インドネシア マドプロ加盟 こんにちは 弁理士の山内章子です さて 本日は マドリッド協定議定書にタイとインドネシアが加入したことをお伝えします タイもインドネシアも日本の企業の進出先として重要な国ですが これまでマドリッドプロトコルに加盟していなかったため 各国において個別に商標出願をせざるを得ない状況でした しかし マドリッド協定議定書に両国が加盟したことにより 2017 年 11 月 7 日より タイ を 2018 年 1 月 2 日より インドネシア を指定することができるようになりました ちなみにインドネシアは アセアン諸国としては 8 番目 全体としては 100 番目の加盟国であり マドリッド制度にとっても記念すべき国といえます なお マドリッド協定議定書に加盟しているアセアン諸国は シンガポール ベトナム フィリピン カンボジア ラオス ブルネイ タイ インドネシアです 未加盟の国は ミャンマーとマレーシアですが これらの国についても加盟を目指して動いているようです アセアン諸国が続々とマドリッド協定議定書に加盟していますので 今後はますますマドリッド制度を利用して東南アジアへの商標出願が多くなりそうです 5