問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

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Transcription:

民生部門対策のための グリーン IT 普及支援の枠組み 富士通総研経済研究所主任研究員生田孝史 ikuta.takafumi@jp.fujitsu.com

問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用したインセンティブの設計が必要 1

報告内容 1. 民生部門対策の課題とグリーン IT の活用 2. 民生部門対策のインセンティブの枠組み 2

1. 民生部門対策の課題とグリーン IT の活用 3

気候変動対策のカギを握る民生部門 2006 年度排出量 2008~2012 年度 基準年比 シェア 基準年比 産業 -4.6% 34.0% 運輸 +16.7% 19.0% エネルギー起源 CO 2 業務 家庭 その他温室効果ガス エネルギー転換 +39.5% +30.0% +13.9% -23.7% 17.1% 12.4% 5.8% 11.5% -0.6% 6.8% 8,600 万 t-co 2 削減が必要 森林吸収源 + 京都メカニズム -5.4% 合計 +6.2% -6% 4

民生部門対策が進まないとどうなるか 京都議定書の目標達成問題 民生部門の排出削減目標 2006 年度比約 4,500 万 t-co 2 / 年 民生部門の削減不足分を全て海外のクレジットによって取得する場合 ケース 1 2010 年度排出量 90~06 年度間の伸び率を維持 削減不足率 ( 対削減目標 ) クレジット取得費用 169% 2,200 億円 / 年 2 06 年度排出量のまま横ばい 100% 1,300 億円 / 年 3 目標の 5 割削減 50% 650 億円 / 年 4 目標の 9 割削減 10% 130 億円 / 年 ( クレジット取得価格を 2,900 円 /t-co 2 として算出 ) 5

民生部門の排出増の構造 (1990 年度 ~2006 年度 ) 業務部門のエネルギー消費量 29% 増 床面積 = 38% 増 床面積あたりのエネルギー消費量 6% 減 冷房用途 30% 増照明 OA 機器等 26% 増 家庭部門のエネルギー消費量 26% 増 世帯数 = 24% 増 世帯数あたりのエネルギー消費量 2% 増 照明 家電機器等 21% 増 6

従来の民生部門対策 住宅 建築物 要素 設備 機器 個人行動 対策の種類 規制的手法 補助金税制優遇措置 情報開示 製造 販売事業者 事業者 個人 製造 販売事業者 普及啓発 事業者 個人 7

普及啓発中心では限界 排出量が把握されない テナント単位での把握 家庭内での把握 省エネインセンティブが希薄 中小ビル テナントビルの問題 個人レベルの省エネ行動 IT の効果的な活用 グリーン IT 個人レベルの排出削減行動を促す経済的インセンティブ 8

グリーン IT の 2 CO 排出削減効果 IT 機器自身の省エネ 2025 年に約 2050 年に約 5,000 万 2 削減 t-co 2 2 削減 1.3 億 t-co 2 削減 2 削減 3 1 億 t-co 2 現状維持 対策ケース ( 経産省予測 ) IT の活用による CO 2 排出削減 2012 年 ( 総務省予測 ) + 6,800 万 t-co 2 0 差し引きの排出削減量 ITの活用による排出削減効果 IT 機器の使用による排出量 2006 2025 2050 3,800 万 t-co 2 3,000 万 t-co 2 9

民生部門対策へのグリーン IT の活用 CO 2 管理 計測 CO 2 管理 計測 省エネデータセンタ 省エネ IT 機器 計測 計測 計測制御 計測制御 計測 業務効率化 省エネ IT 家電 10

民生部門対策の基本設計とグリーン IT 前提条件 CO 2 排出量の見える化 個人レベルの排出削減行動を促すインセンティブ 住宅 建築物 設備 機器 個人行動 計測 管理 省エネ機器 規制的手法 補助金税制優遇措置 情報開示 普及啓発 効率化 制御 低炭素ソリューション 11

2.. 民生部門対策のインセンティブの枠組み 12

民生部門対策試案の検討 前提条件 CO 2 排出量の見える化 個人レベルの排出削減行動を促すインセンティブ試案 1 排出目標超過分のエネルギー料金への課金試案 2 CO 2 排出削減分の買い上げ制度試案 3 エネルギー料金課金 + 買い上げ制度 カーボンオフセット市場へのアクセス 13

海外における 見える化 推進の動向 省エネ計測器の導入計画が進行 ( 例 ) 英国政府 全家庭にリアルタイム可視型モニターを無料提供計画 出所 :Engage Consultin を基に富士通総研作成 14

海外における 見える化 ツールの普及 開発 Smart Meter Current State 電力 ガス両用型 携帯電話型 ( 開発段階 ) (http://www.energy-retail.org.uk/smartmeters.html) (http://www.thegreenergrass.org/2008 15

国内の 見える化 の現状 電気 ガス料金票への CO 2 量記載 努力義務 計測器導入は モデル事業以外 自主購入 省エネナビ ( 埼広エンジニヤリング社 ) 簡易測定器 ( エネゲート社 ) 見える化 推進には 計測器普及施策が必要 業務部門 計測装置の設置義務付け 家庭部門 全戸設置 + 助成 16

試案 1: エネルギー課金制度 CO 2 排出目標超過分のエネルギー価格引き上げ エネルギー価格 ( 民生用 ) に転嫁することによって全対象者に課金可能 超過課金分は 民生部門対策に活用 価格上乗せ 目標 実績 民生部門対策 ( 例 ) 計測器導入費用 対象者にとってのインセンティブ エネルギー料金増加の回避 + 追加料金支払の回避 17

試案 2: 買い上げ制度 自主参加による CO 2 目標超過削減分の買い上げ 業務 自主協定締結 家庭 制度への登録 CO 2 削減価値で買い上げ 目標 実績 参加者にとってのインセンティブ エネルギー料金削減 + CO 2 削減価値の収入 18

試案 3: エネルギー課金 + 買い上げ制度 エネルギー価格の超過課金分を買い上げ原資に活用 基金等 その他の民生部門対策 CO 2 目標 実績 実績 強制課金 自主参加 19

各試案の比較 対象 インセンティブ全体目標の達成 課題 試案 1: 超過課金 民生部門全体 目標達成 達成しない場合は徴収金を他の対策に活用 目標値の設定 単価の設定 社会的合意 試案 2: 自主参加 超過削減 達成の担保なし 目標値の設定 買い上げ 単価の設定 原資の問題 試案 3: 超過課金 + 買い上げ 課金は民生部門全体 買い上げは自主参加 超過削減 達成しない場合は徴収金を他の対策に活用 目標値の設定 単価の設定 社会的合意 20

目標値の設定について 方法 1: 排出実績をベースに削減幅を決定 モデル的な標準排出量を適用 方法 2: 削減目標排出量の割当 全体の削減目標排出量を均等に割当 家庭部門 一人当たり 世帯管理 業務部門 床面積当たり オフィス管理 排出量の計測 総合管理が必須 カーボンオフセット市場へのアクセス 21

カーボンオフセット市場へのアクセス カーボンオフセット市場 グリーン電力 森林整備 CO 2 ( 試案 3 の場合 ) 基金 運営組織など CO 2 管理 排出権市場 買い上げ CO 2 エネルギー会社等 CO 2 超過課金 民生部門 計測 計測 省エネデータセンタ 省エネ IT 機器 計測計測計測 計測制御 計測制御 省エネ IT 家電 22

カーボンオフセット市場 自主的な炭素価値の取引の場として欧米を中心に急成長 億ドル 15 17.3 億ドル (2007 年単価ケース ) 10 5 0 3.3 1.0 2004 2005 2006 20072010 年 出所 :New Carbon Fina 資料を基に富士通総研作成 国内でもカーボンオフセット商品が続々登場 23

カーボンオフセット市場へのアクセスの意義 市民レベルでの経済的価値の認識 試案との組み合わせによる効果 試案 1( 超過課金 ) オフセット市場からのクレジット購入によって 排出目標超過を回避 試案 2( 買い上げ ) 買い上げた削減クレジットをオフセット市場で流通 買い上げ原資の調達 オフセット商品購入資金の国内還流 24

オフセット商品購入資金の国内還流 現状 国内オフセット市場のクレジットの多くが海外プロジェクト由来 環境意識の高い層の資金が国外に流出 試案 + オフセット市場へのアクセスによって 国内の取り組みによる削減クレジットをオフセット市場に供給 国外に流出する資金の一部を国内に還流 国内カーボンオフセット市場の整備が必要 25

対策原資について 見える化機器設置 ( 家庭部門のみ ) の原資 計測機器のコストダウン ( 2 万円 ) と政府等による平均助成率を 1/2とすると 必要原資は5,000 億円 10 年間で実施した場合 年間約 500 億円 買い上げ制度の原資 削減目標の 2 割程度とすれば 年間約 260 億円以下 超過課金制度 + カーボンオフセット市場へのアクセスによって 必要原資の削減可能 削減が進まなければ 政府は海外クレジットを購入する必要 26

まとめ グリーン IT の普及 活用が 民生部門対策の推進に寄与 民生部門対策には 個人レベルの行動を促すインセンティブが不可欠 1 排出量把握のための測定機器の普及 2 排出削減クレジットの買い上げとエネルギー超過課金等によるインセンティブ供与 3 カーボンオフセット市場へのアクセスと市場整備 対策費用は数百億円 制度設計次第で費用削減可能 海外クレジット取得資金を 国内の民生部門対策に有効活用 27

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