Ⅱ 水虫薬の基礎知識登録販売者用 症状 部位別 ネットセミナー 基礎講座 ⅩⅩⅡ-2 水虫 2. 剤型からみた水虫薬水虫薬にはさまざまな剤型がある ( 図表 6) 同じ成分を配合していても 剤形によって適した症状が異なるので 患部がどんな状態か どんな剤型のものを希望するか ( 手を汚さずに使いたい べとつきのないものがいいなど ) をよく聞いて より適したものをお勧めできるようにしておこう ( 図表 7) 図表 6 水虫薬の剤型の特徴 剤型軟膏クリームゲル 特徴 ワセリンなどの油脂性基剤を用いたもの べとつきが強いため 一般的に使用感はあまりよくないが 刺激が少なく 皮膚保護作用も期待できる いろいろなタイプの水虫に使用できる 特に患部がジュクジュクしているとき 皮膚表面に傷やひび割れがあるときにも ただし 実際には軟膏の水虫薬は少なく クリームを用いることが多い 商品名が 軟膏 となっていても 実際には乳剤性基剤を用いたクリーム剤となっているものもあるので 注意 界面活性剤を用いて乳化した基剤 ( 乳剤性基剤 ) や水溶性基剤のマクロゴールなどを基剤としたもの のびがよくてべとつきが少なく 使用感がよい 軟膏に比べると やや刺激がある いろいろなタイプの水虫に使用できるが 乳剤性基剤を使用したものをジュクジュクしたところに用いると 表面の分泌液が病巣に逆戻りして悪化することもあるので 注意 ゲル化剤を用いて ゼリー状にしたもの べとつきがなく 清涼感のあ 1
Ⅱ 水虫薬の基礎知識 るものが多い 軟膏 クリームに比べると 刺激がある 乾燥した患部に アルコールなどの溶媒に有効成分を溶解させたもの アルコールを含むものは 乾きが速く べとつきもない 手を汚さずに使用できるというメリットもある ただし 刺激が強いため ジュクジ 液スプレーパウダースプレー ュクしたところ 傷のあるところには使用しない 患部の乾燥が強いときも使用を避ける 目薬との誤用を避けるため 容器の先端を患部に押し当てないと液が出ないようになっているものや 容器の底の部分を押さないと液が出ないものなどもある 商品の使い方についても確認しておく 冷却効果を持つものが多く 使用感がよい 手を汚さずに使用でき 使用方法も簡単 アルコールを含むものは 乾きが速く べとつきもない 刺激が強いため ジュクジュクしたところ 傷のあるところには使用しない 患部を乾燥させ サラサラにする効果がある ジュクジュクした水虫に と宣伝されていることもあり 指名買いされる方 愛用している方も多い しかし 最近は 皮膚の傷は湿った状態を保ったまま治す という考え方が主流となっており パウダースプレーの使用はあまり好ましくない とする指摘もある 図表 7 水虫のタイプ 症状と剤型 水虫のタイプ 症状カサカサしている趾間型ジュクジュクしている 適した剤型液 ゲル スプレー軟膏 クリーム * 患部がジュクジュクして湿っているときは 亜鉛華軟膏を塗って患部を乾燥させてから水虫薬を使うと 回復が早いともいわれる (1 日 1 回 亜鉛華軟膏を患部に塗り ガーゼをはさんでおく これを数日間行ってジュクジュ クが治まってから 水虫薬を使用する ) 2
Ⅱ 水虫薬の基礎知識 小水疱型角質増殖型爪水虫 水疱が破れていない水疱が破れているカサカサしているゴワゴワしている ( 乾燥がより強い ) 液 ゲル スプレー * 水疱内液を吸い出す作用があるアルコールを含む液剤を用いるとよい 軟膏 クリーム * アルコールが入っていると刺激となるので アルコールを含まないものを選ぶ 液 ゲル軟膏 クリーム * アルコールは乾燥をさらに進行させることがあるので アルコールを含まないものを選ぶ * 皮膚が固くなっているときは 尿素やサリチル酸を配合したものを選ぶ ただし 傷やひび割れがあると刺激となり ピリピリした痛みを生じることになるので これらの成分の使用は避ける 外用薬では効果が期待できない 抗真菌薬の内服が必要 受診を 3. 水虫薬の使い方と治療のアドバイス 1 1 日 1 回塗布タイプの水虫薬はお風呂上りに 1 日 2~3 回塗布タイプの水虫薬 はお風呂上りと朝の着替えの前に ( 足をよく洗ってから ) 使用する 2 水虫薬は 症状が現われている患部より広めに塗る ( 角層に白癬菌が潜んでいる 可能性がある ) 3 水虫薬は 2~3 ヶ月 根気よく続ける 症状がなくなってから さらに 1 ヶ月続 けるとよい 4 水虫薬を 1~2 週間使っても症状の改善傾向がみられない場合は 水虫ではない 可能性があるので 受診を 5 民間療法は症状を悪化させてしまうことも多いので 自己判断では行わない 6 消毒薬 は白癬菌には無効 患部を刺激することになるので使用しない 7 水虫に対して ステロイド剤は使わない 水虫か湿疹か迷う場合は 受診を 消毒薬 は消毒薬として市販されているものを想定している 主に消毒用エタノ 3
Ⅱ 水虫薬の基礎知識 ールを指し作成している 水虫の方の中には 患部を清潔にしようと思うあまり 消毒用エタノールを用いて消毒しようとする方がいらっしゃるが 白癬菌を殺菌するためには長時間接触させておく必要がある しかも エタノールは刺激が強く 蛋白質を変性させる作用も有するため 強い痛みが生じたり 症状を悪化させたりするおそれもあるので 使用は避けたほうが安心である エタノールは添加物 ( 溶剤 ) として液体やゲルタイプ スプレータイプの水虫薬に配合されていることがあるが カサカサしたタイプの水虫や水疱が破れていない水虫などには適しているが 趾間型のじゅくじゅくした水虫 小水疱型で水疱が破れた水虫に使用すると 逆効果になることが考えられる 時々 しみるくらいじゃないと効いている気がしない という方もいらっしゃいるが 丁寧に説明して より適した剤型 配合成分の商品をおすすめして下さい なお 刺激が少ない消毒薬としてアクリノール水和物やポビドンヨードなどもあるが 皮膚が着色して 患部の状態がよくわからなくなるおそれがある 使用はやはり避けたほうがよいであろう 4. 生活面でのアドバイス 1 バスマット バスタオル スリッパ サンダルなどは共用せず 自分だけのものを使用する 2 靴下 ストッキング バスタオルなどは毎日洗濯し 日光に当てて乾燥させる 3 靴は何足か用意し 同じものを履き続けない きつい靴を無理して履かない 4 石鹸を使って指の間まで丁寧に洗い 石鹸分が残らないようにしっかりすすぐ 洗い終わったら 水気を十分に取り 乾かす 5. 糖尿病患者さんへのフットケアのアドバイス 1 1 日 1 回は足の状態をチェック 水虫や魚の目 タコ 傷などはないか 変色や変形はしていないか 出血などはしていないかを確認 2 お風呂では ぬるま湯と石鹸 やわらかいタオルでやさしく足を洗う ゴシゴシこすらない ( お風呂に入るときは 必ず手でお湯の温度を確認する ) 3 お風呂から上がったら足をよく乾かして 保湿クリームを塗る 4 靴下は通気性がよく 厚手のものを選ぶ 出血したときにわかりやすいように 色は白 ゴムの部分がきつくないものを 5 家の中でも靴下を履き 素足で歩き回らない 6 靴はクッション性に優れたウォーキングタイプのものを 7 靴を履く前には 小石などが入っていないかを確認 8 爪は深く切り過ぎないように 断面はヤスリをかけて滑らかにしておく 4
Ⅱ 水虫薬の基礎知識 5
Ⅲ こんな顧客が来店したら Ⅲ こんな顧客が来店したら どんな対応をとりますか ケース 1 梅雨時 50 代くらいの男性が来店 足の裏に小さな水ぶくれがいくつもで 顧客の訴え きてかゆい 仕事柄 革靴を履いて外を歩くことが多く 足がむずむずする 毎年今ごろになると同じような症状が現われる 1 いつもはどのように対応しているか 市販の水虫薬を塗っている 秋になると 自然によくなる 2 いつも使っている水虫薬は何か 特に決まっていない そのときに勧められたものを買って使っているが 水虫薬 を使ったら症状がか 確認するこ と 対応 えってひどくなったことがあるので それは使わないようにしている ( 商品名から調べると 水虫薬 にはミコナゾール硝酸塩が配合されていることがわかった ) 3 水ぶくれは破れていないか 破れていない 4 水虫薬に対する希望は? かぶれないもの 手を汚さずに使えるものを ミコナゾール硝酸塩配合の水虫薬でかぶれた経験がある 本成分だけでなく イミダゾール系の抗真菌成分を配合したものは避ける 水疱が破れていない小水疱型の水虫と考えられる アルコール基剤の液剤 ゲル剤 スプレー剤が適していると考えられる 手を汚さなくていいものを希望 液剤 スプレー剤がよいと思われる かゆみがあり むずむずする かゆみをしずめる成分 ( 抗ヒスタミン成分 クロタミトン 局所麻酔成分など ) や清涼感を与える成分 ( メントール カンフルなど ) を配合したものを こんなアドバイスも 靴は何足か用意し 同じ靴を続けて履かないように心がける 水虫薬は根気よく塗り続ける 症状がなくなってから さらに 1 ヶ月くらい使用すると 再発もしにくくなると思われる 6
Ⅲ こんな顧客が来店したら ケース 2 顧客の訴え 20 代前半くらいの女性 足の指の間が白くふやけたようになり ブヨブヨ している ブーツやタイツを履くことが多い 1 今までに同じような症状を経験したことがあるか ない 父親が水虫な ので うつったのではないかと心配している 確認するこ と 2 第 4 趾間 ( 足の薬指と小指の間 ) にも症状があるか ある 3 今までに薬や化粧品などでかぶれたことは? 特にないが 肌は敏感な ほう 4 ほかに水虫薬に対する希望は? 塗る回数が少なくてよいもの ベトベトしないものがいい 家族に水虫の人がいること 第 4 趾間に症状があること 水虫と考えられる 症状から 趾間型の水虫と考えられる 軟膏 クリームが適していると考えられる 塗る回数が少なくて済むもの ベトベトしないものを希望 1 日 1 回タイプのクリームがよいと思われる 肌が敏感とのことから 多くの成分を配合したものは避け 抗真菌成分単味の商品を勧める 対応 こんな対応も 患部がジュクジュクしているときは 亜鉛華軟膏の使用も検討する ( 日 1 回 亜鉛華軟膏を患部に塗り ガーゼをはさんでおく これを数日間行ってジュ クジュクが治まってから 水虫薬を使用する ) こんなアドバイスを 水虫薬は 1 日 1 回 お風呂上りに塗る バスマットやバスタオル スリッパなどは共用しない 同じブーツを続けて履かない 脱いだ後は 足を丁寧に洗い 乾燥させる お父さんも一緒に水虫の治療をする 7
Ⅲ こんな顧客が来店したら * 若い女性の場合は恥ずかしさが先に立ち 相談していただけないケース 質問をしてもはっきり答えていただけないケースも少なくない 相談を受けたときも 声の大きさや言葉遣い 表情などにも気をつけて 安心して話していただけるような雰囲気をつくるように配慮する ケース 3 冬 60 代くらいの男性が来店 足の裏全体がカサカサして厚ぼったくなっ 顧客の訴え ている 特にかかとがひどく 皮膚がはがれてボロボロ落ちてくる ひび割 れや傷はなく かゆみも感じない 1 今までに何か薬は使ってみたか 乾燥によるものだと思い 保湿クリー ムを毎日塗っているが まったくよくならない 確認するこ と 対応 2 今まで水虫にかかったことはないか ある 毎年 夏になると 足の指の間がジュクジュクしてかゆくなる かゆみが強いときだけ 市販の水虫薬を塗っている 3 薬に対する希望は? 足の裏なので ベトつくものは避けたい 顧客の話から 角質増殖型の水虫ではないかと考えられる ひび割れや傷がない 尿素やサリチル酸を配合した水虫薬が適していると考えられる ベトつくものは避けたい 液やゲルでもよいが アルコールを含むものは避ける ( 乾燥をさらに進行させることがある ) のびがよく 使用感にもすぐれたクリームが最も適しているのではないかと思われる こんなアドバイスを 夏場の水虫に対しては 水虫薬をきちんと使って しっかり治しておく 角質増殖型の水虫では薬効成分が患部に届きにくく なかなか改善がみられないこともある 抗真菌薬の内服薬が必要となることもあるので 水虫薬を1~2 週間使っても改善がみられない場合は受診を 8
Ⅲ こんな顧客が来店したら ケース 4 顧客の訴え確認すること対応 50 代くらいの男性 足の指の爪がボロボロと崩れてくる テレビで見た爪水虫と似ているので 相談に来た 1 症状があるのはどの指か 足の親指 白く濁って 厚くなっている 症状から 爪水虫と考えられる 外用の水虫薬では対応できず 内服の抗真菌薬が必要となるため 受診を勧める 9