電力システム改革に関する意見 <ポイント>

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御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

図 2: 今後の主な市場整備等 2. ベースロード電源市場等 2.1. 契約見直しの必要性新電力がベースロード電源 ( 石炭火力 水力 原子力等 ) にアクセスすることを容易にし 小売競争を更に活性化させることを目的として ベースロード電源市場を創設するとともに ベースロード電源を保有する旧一般電気

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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1. 調整力公募について 本年 4 月に施行された第 2 弾の改正電事法により 新しいライセンス制度が導入されたことを受け 一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御 需給バランス調整を行うこととなっている そのために必要な調整力を調達するにあたって 一般送配電事業者は原則として公募の方法で調達する

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

1. 非 FIT 非化石証書の取引について 2. 非 FIT 非化石証書の価格等について 3. 非 FIT 非化石証書の種類について 4. 非 FIT 非化石証書の約定 / 未約定分の取り扱いについて 5. 市場創設スケジュールについて 6. 非化石証書の取引に伴う収入の取り扱いについて 1

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

FEPC INFOBASE i - 電気事業制度

Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

1. これまでの電気料金制度

資料 3 第 21 回制度設計専門会合事務局提出資料 ~ 卸電力市場活性化に係る事業者ヒアリング ~ 平成 29 年 8 月 28 日 ( 月 )

Microsoft PowerPoint - 22_容量市場(松久保)


我が国における電力卸取引の現状と今後の役割 一般社団法人日本卸電力取引所國松亮一 -0- C2018Japan Electric Power Exchange All Rights Reserved

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

2 I. 電力小売自由化後の課題 II. 都市ガス自由化に向けての課題 III.LP ガスの課題 まとめ

目次中の赤字は変更があった項目 < 目次 > 1. 新 総合特別事業計画... 3 (1) 今回の改訂の趣旨... 3 (2) 新 総合特別事業計画 (2014 年 1 月 ) 策定の趣旨... 3 (3) 総合特別事業計画 (2012 年 5 月 )... 3 (4) 総合特別事業計画策定後の事業

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スライド 1

はじめに Ⅰ 豊かで活力ある経済社会を支えるエネルギー政策のあり方 はじめに Ⅰ 1 エネルギー政策に関する基本的考え方と現在のエネルギー情勢 (1) エネルギー問題は 国民生活と事業活動の基盤となる極めて重要な政策課題 (2) 安全性の確保を大前提に 安定供給 経済合理性 環境適合性のバランス S

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

資料 4 非化石価値取引市場について 2017 年 11 月 28 日 資源エネルギー庁

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表 1 小売電気事業者( 新電力とみなし小売電気事業者の総計 ) の平成 29 年 3 月分 販売電力量 ( エリア別 ) 販売電力量合計 ( 単位 :MWh) その他需要 合計 北海道 260,709 1,129,470 1,028, ,749 8,428 2,730,690 東北 1

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整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

3. 制度見直しの方向性 3-1. 送配電関連設備に係る費用の利用者間の負担 送配電網の利用者として 送配電網に接続している発電者と需要家が挙げられるが 現行制度上 送配電関連設備に係る費用は 発電側による電源接続時の初期費用負担を除き 需要側のみが負担 ( 小売電気事業者が託送料金を負担し それを

総論 1. 既に東電賠償 廃炉費用は国民負担に転嫁されはじめている福島第一原発事故費用については 既に多額の国民負担が生じている 1F の廃炉 汚染水対策費用のうち 安定化維持費用 ( 毎年経常的に発生する修繕費 委託費 消耗品費等 2015 年度は 836 億円 ) と 廃止措置資産償却費 ( 廃

成 29 年には小売の地域独占が撤廃され 料金規制が原則廃止される 小売全面自由化を機に 課税の公平性 を担保することは 新規参入を促進すると同時に 競争の活性化による料金抑制 更なる天然ガス利用拡大に寄与し ガスシステム改革の目的達成に資することから 抜本的な現行課税方式の見直しが必要である 2

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緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

整力を確保する一方 小売部門が GC までの自社需要の想定誤差に対する予備力を確保する対 応をしていることから 一部の旧一般電気事業者については 送配電部門と小売部門が確保し ている予備力の合計値が 調整力公募制度開始以前と比較して増加している ( 卸電力取引所活性化の必要性 ) 旧一般電気事業者の

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

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余白 1

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RIETI Highlight Vol.66

新電力のシェアの推移 全販売電力量に占める新電力のシェアは 216 年 4 月の全面自由化直後は約 5% だったが 217 年 5 月に 1% を超え 218 年 1 月時点では約 12% となっている 電圧別では 特別高圧 高圧分野 ( 大口需要家向け ) は時期により変動しつつも 全体的には上昇

( 考慮すべき視点 ) 内管について 都市ガスでは需要家の所有資産であるがガス事業者に技術基準適合維持義務を課しており 所有資産と保安責任区分とは一致していない LPガスでは 一般にガスメータの出口より先の消費設備までが需要家の資産であり 資産区分と保安責任区分が一致している 欧米ではガスメータを境

i-1 電気事業制度についてー 1 自由化 2000 年 3 月から大口需要家に対する電力小売が自由化 その後 2004 年 4 月 2005 年 4 月と 自由化範囲が段階的に拡大 さらに 電力システム改革専門委員会での検討を踏まえ 2016 年 4 月から小売全面自由化が開始された (j-3 参

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農地中間管理機構 ( 仮称 ) の制度の骨格 ( 案 ) 資料 農地中間管理機構の指定都道府県のコントロールの下に適切に構造改革 生産コスト引下げを推進するため 都道府県段階に設置する 1 都道府県知事は 農地中間管理事業を公平かつ適正に行うことができる法人 ( 地方公共団体の第 3セク

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

スライド 1

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事故炉の廃炉等に係る積立金制度の創設

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FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

経営効率化計画について

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

スライド 1

2. 各検討課題に関する論点 (1) 費用対効果評価の活用方法 費用対効果評価の活用方法について これまでの保険給付の考え方等の観点も含め どう考 えるか (2) 対象品目の選定基準 1 費用対効果評価の対象とする品目の範囲 選択基準 医療保険財政への影響度等の観点から 対象となる品目の要件をどう設

ホールディングカンパニー制の概要と一般担保付社債の取扱いについて

前回の御議論 2 1) 第 6 回連系線利用検討会において 下記のような御意見があった 経過措置の転売を禁止することで効率性を低下させているため 転売を可能とすることについても 改めて検討すべき 経過措置が 10 年という長期であるにもかかわらず 経過措置を転売不可とすると 非効率性が増す側面もある

Ⅰ. 論点の明確化 1

海外における電力自由化動向

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

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検討結果 電力小売事業の全面自由化時 (2016 年 /4 月 ) から使用される 需要家スイッチング支援システム を中心にした スイッチング関連業務に関するルール の建付けについて 検討した結果を報告します 1. スイッチング関係ルールを 広域機関ルール として以下のように策定する ( 対象のルー

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

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第 21 回系統 WG プレゼン資料資料 1 九州本土における再エネ出力制御の実施状況について 年 4 月 2 6 日 九州電力株式会社

参考資料3(第1回検討会資料3)

目次 1. エネルギー基本計画見直しのポイント 2 2. エネルギー基本計画における電源別に見た論点 6 3. 電力システム改革の進捗状況 電力及び関連業界に与える影響 14 ご参考資料 17 1

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

市町村から国への要望一覧 事項名要望内容改善案 ( 省庁名を記入してください ) いつまでに実施するか 効果 ( 現状との数値比較等 ) 再生可能エネルギーの導入促進 要望事項 1 政府は将来を見据えた責任あるエネルギー政策を実行するためにも エネルギー基本計画に掲げている再生可能エネルギーの導入量

携帯電話の料金その他の提供条件に関する タスクフォース 取りまとめ 平成 27 年 12 月 16 日

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スイッチングの状況 (2017 年 3 月時点 ) 本年 3 月末時点での新電力への契約先の切替え ( スイッチング ) 件数は約 4.7%( 約 295 万件 ) 大手電力 ( 旧一般電気事業者 ) の自社内の契約の切替件数 ( 規制 自由 ) は約 4.1% ( 約 258 万件 ) であり 合

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

種類以上 再生可能エネルギー 100% のメニューだけでも 5~60 種類あり 新規参入が低調になりやすい家庭部 門においても 豊富な選択肢が確保されている 表 1: 米国の全面自由化実施州における新規参入状況 自由化中断 廃止州 : 7 州 ( カリフォルニア ネバダ アリゾナ ニューメキシコ モ

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

2017(平成29)年度第1四半期 決算説明資料

特別会計の改革について

注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

報告書の主な内容 2012 年度冬季の電力需給の結果分析 2012 年度冬季電力需給の事前想定と実績とを比較 検証 2013 年度夏季の電力需給の見通し 需要面と供給面の精査を行い 各電力会社の需給バランスについて安定供給が可能であるかを検証 電力需給検証小委員会としての要請 2013 年度夏季の電

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力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

UIプロジェクトX

総合資源エネルギー調査会基本政策分科会第 18 回会合資料 2-5 火力発電の高効率化 資源エネルギー庁 平成 27 年 11 月

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

目次 はじめに 2 1. 福島の長期展望と電力市場の構造変化を見据えた持続可能な仕組みの構築 4 ~ 国の事故対応制度の整備 東京電力の抜本改革 (1) 福島事業を長い目で展望した上での必要な資金規模 4 1 廃炉 その進展 2 賠償 避難指示解除と自立支援への局面に 3 除染 中間貯蔵 復興事業と

本日の議論 ( 背景等 ) 全面自由化された小売分野における健全な競争を促すためには 競争的な電源調達環境が必要不可欠 具体的には 相対取引 取引所取引などの形を問わず 小売電気事業者が如何に競争条件下で電源にアクセスできるかが重要となる こうした観点から これまでも 常時バックアップの導入 運用改

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1 制度の概要 (1) 金融機関の破綻処理に係る施策の実施体制金融庁は 預金保険法 ( 昭和 46 年法律第 34 号 以下 法 という ) 等の規定に基づき 金融機関の破綻処理等のための施策を 預金保険機構及び株式会社整理回収機構 ( 以下 整理回収機構 という ) を通じて実施してきている (2

宮下第三章

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電力システム改革に関する意見 - 電力システム改革貫徹のための政策小委員会中間とりまとめ を中心に < ポイント > 2017 年 1 月 17 日 一般社団法人日本経済団体連合会

Ⅰ. 総論 (1) 政府 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 (2016 年 9 月に設置 ) において 小売分野における競争の一層の活性化や 自由化の下での公益的課題への対応 1F 事故対応について精力的に議論 同年 12 月公表の 中間とりまとめ において 総合的な判断として一つの方向性を打ち出したことを評価 (2) デフレ脱却と経済再生に向けた国内投資の促進にあたり 事業環境のイコールフッティングの確保が不可欠 経済性ある価格での安定的な電力の確保 はその重要な要素の一つ 1 原子力発電所の稼働停止や FIT 賦課金の負担増などにより 産業用電気料金が大幅に上昇 2 わが国における電力の質の高さは 国際競争力や都市間競争の基盤 (3) 電力システム改革の推進にあたっては わが国のエネルギー施策の根幹である S+3E に立脚すべき (4) とくに 電気料金の引上げや電力供給の不安定化を招かないよう 慎重に制度設計をすることが必要 改革の進展や環境変化に応じ 柔軟に変更し得る制度を設計することが重要 電力システム改革の目的 1 電力の安定供給の確保 2 電気料金の最大限抑制 3 需要者の選択肢や事業者の事業機会の拡大 電力システム改革のスケジュール 1. 更なる競争の活性化 政府が予定している制度的措置 (1) ベースロード電源市場の創設 ( スライド 2) 2. 自由化の下での公益的課題への対応 (1) 安定供給容量メカニズムの整備 ( スライド 3) 3. 原発依存度低減 廃炉の円滑な実施 (2) 環境 再エネ導入非化石価値取引市場の創設 ( スライド 4) (1) 賠償への備え原子力事故賠償の準備不足分を全需要家から公平に回収 ( スライド 5) (2) 廃炉資金の管理 確保 1 事故炉 管理型積立金制度 創設など 2 通常炉廃炉会計制度の維持 託送料金の仕組みの利用 ( スライド 6) < 経団連事務局作成資料 > 1

Ⅱ. 各論 1. ベースロード電源市場の創設 (1) 中間とりまとめ における基本方針 1 新規参入者が 安価で安定的なベースロード電源 ( 石炭火力 大型水力 原子力など ) にアクセスし易くするため 卸電力市場に ベースロード電源市場 を創設 2 旧一般電気事業者等が保有するベースロード電源により発電された電気の一部について 適正な価格 ( ) で市場へ制度的に供出 入札価格の上限を設定 ( 保有するベースロード電源の固定費を含む平均コストに資源価格の変動等を加味 ) 3 電源開発 に対し 旧一般電気事業者と締結した需給契約等の見直しを求め 電源の供出を確実に実施 4 新規参入者が優先的にベースロード電源にアクセス 5 市場全体の供出量の目安は 新規参入者の需要の3 割程度 旧一般電気事業者と新電力との非対称規制の導入 1 売り手の供出量と価格および買い手の調達量に一定のルールを設け 安定供給 料金低減 需要家の選択肢拡大を図るべき 2 産業用の電気料金が上昇するとの指摘もあり 料金に与える影響を注視することが必要 3 制度的な電源供出は 当面の間やむを得ないとしても 将来的には 小売競争の進展を確認したうえで撤廃も視野に検討すべき 旧一般電気事業者と新規参入者の供給力構成の違いとベースロード電源市場 2

2. 容量メカニズムの整備 (1) 中間とりまとめ における基本方針 1 総括原価方式の撤廃による発電投資回収の予見可能性が低下 再生可能エネルギーの導入拡大による売電収入低下などから発電投資意欲が減退することを懸念 2 中長期的に必要な供給力 調整力を効率的に確保することで電気料金の安定化を図るため 容量メカニズム を導入 3 供給力の確実な確保や卸電力市場価格の安定化の観点から 発電容量 (kw) に対する価値を取引する 容量市場 が最も効率的 1 需要家の負担増に留意して設計 ( 新設電源と既存電源の扱いを分け 新設電源に対し 契約期間で優遇等 ) 2 再エネ導入促進に伴う調整コストは 容量市場に頼ることなく 発電側で負担すべき 3 広域機関による電源入札制度などとの整合性を図り 固定費の二重払いを避けることが必要 4 必要な容量を確保している事業者に対し 容量メカニズムで新たな負担を求めることは不適切 容量メカニズムによる投資費用回収イメージ 最適な容量メカニズム等の選択 発電容量に応じて 稼働していない期間 (kwh=0 の期間 ) でも一定の収入を得られる仕組みを導入 3

3. 非化石価値取引市場の創設 (1) 中間とりまとめ における基本方針 1 エネルギー供給構造高度化法は 小売電気事業者に非化石電源調達目標 (2030 年度に 44% 以上 ) を達成することを義務付け しかし 新規参入者の非化石電源調達手段は限定的で 目標達成は困難な状況 2 非化石電源 ( 再エネ 原子力 水力など ) の持つ非化石価値を証書化し 実電源と分けて取引する 非化石価値取引市場 を創設 小売電気事業者が自らの非化石電源比率を高める手段として活用 ( 高度化法の目標達成 ) 併せて FIT 電気の非化石価値を市場売却 (FITの非化石価値を選好する需要家が購入) することで FIT 賦課金の国民負担を軽減 3 非化石価値の移転に伴い ゼロエミ価値も移転 ( ダブルカウントの防止 ) オフセット効果(CO2 排出係数の算定方法 ) は別途検討 4 証書の流動性の観点から 小売電気事業者間での証書の転売を容認 1FIT 制度により高い賦課金の支払を強いられている需要家の負担軽減を図る趣旨には賛同 FITに頼らない再エネの導入や電気料金引下げの原資への充当を期待 2 高度化法等との関係での懸念が解消されないまま 2017 年度に市場を創設することには反対 (a) 自ら非化石電源を開発できる小売電気事業者は限られるため 多くの事業者は市場で非化石証書を調達 ( 電力部門への排出権取引制度の導入とほぼ同義 ) (b) 再エネ導入ペースが鈍化し 原子力発電所の再稼働も進まないなか 取引される証書の量が不足し 証書価格が急騰する懸念 電気料金の高騰を通じた国民負担 (c) 多くの非化石電源を保有する事業者と その他の事業者の間で 競争環境の公平性が損なわれる懸念 (d) 証書の転売により利益を得ようとする事業者が現れる懸念 (e) 温対法に基づくCO2 排出係数との整合性確保が必要 非化石価値を取り巻く課題等 新市場のイメージ 4

4. 原子力事故に係る賠償への備え (1) 中間取りまとめにおける基本方針 11F の賠償費用の拡大見込み (2013 年見込み約 5 兆円 8 兆円 ) を踏まえ 対応を検討 21F の事故後 原子力事故に係る賠償への備えとして 原子力事業者は 原賠機構法に基づき 原賠 廃炉機構に一般負担金を納付 3 事故の際の賠償の備えは 1F 事故以前から確保されておくべきもの 制度の不備により 事業者は必要な費用を料金原価に不算入 4 電源構成に占める原子力の割合が供給区域ごとに異なること等を踏まえ 過去分 の回収方法としては 特定の供給区域内のすべての需要家に一律負担を求める託送料金の仕組みを利用することが適当 5 託送料金で回収すべき過去分の総額上限は 2.4 兆円 回収期間は 小売規制料金が原則撤廃される予定の 2020 年度から 40 年間 1kWh あたりの負担額平均 0.07 円 ( 標準家庭 (260kWh) での負担は 18 円 / 月 ) 6 託送料金上乗せ額の妥当性を担保する措置を講じる 需要家の負担の内容を料金明細票に明記を求める ( ガイドラインで対応 ) 1 過去分 を全需要家が公平に負担するよう 託送料金の仕組みを通じて 過去分 を回収することは合理的 2 透明性確保のため 負担金額を需要家に明示することが必要 3 一般負担金のあり方に関し 原子力事業者の予見可能性確保が重要 過去分 の規模 すべての需要家から公平に回収する 過去分 のイメージ A 3.8 兆円 B 小売回収分 1.3 兆円 託送回収分 (A-B) 2.4 兆円 今回 この部分は全額 A から控除し 全ての需要家からの回収分を 2.4 兆円とする 福島事故前に確保されておくべきであった賠償への備え 2011 2020 ( 原賠機構法成立 ) ( 託送回収開始 ) 5

5. 廃炉に向けた費用負担のあり方 (1) 中間とりまとめ における基本方針 1 事故炉 (a) 1F 廃炉に要する資金を長期間にわたって適切に管理するため 第三者機関 ( 原賠 廃炉機構 ) に廃炉に係る資金を積立て (b) 東京電力グループ全体で総力を挙げて資金を捻出 東電パワーグリッド ( 東電 PG) の経営努力分を 1F 廃炉費用に充当 託送収支の事後評価に例外を設ける ( 廃炉費用支払分を費用側に整理など ) 2 通常炉 (a) 廃炉に際しての一括費用認識を避ける観点から 2013 年度と 2015 年度に整備された廃炉会計制度を継続することが適当 (b) 小売規制料金撤廃後の費用回収には託送料金の仕組みを利用することが妥当 (c) 託送料金上乗せ額の妥当性を担保する措置を講じる 需要家の負担内容の料金明細票への明記を求める ( ガイドラインで対応 ) 1 事故炉 (a) 1F の廃炉費用を東京電力グループが負担する方針に賛同 (b) 東電 PG の事業の合理化分を廃炉費用に充てることはやむを得ないが 託送料金の値下げ機会の確保が重要 2 通常炉 (a) 廃炉会計制度存続のため 託送料金の仕組みを使用することはやむを得ない (b) 費用の妥当性を確認 負担金額を料金明細票に記載するなどの措置が不可欠 第三者機関による資金管理スキーム ( イメージ ) 廃炉会計制度の効果 ( イメージ ) 6

6. 電力システム改革を踏まえた送配電網の整備 運用負担 (1) 中間とりまとめ 等における基本方針 1 電力システム改革の進展や技術革新などの環境変化に対応するため 託送料金制度のあり方を検討 < 背景 > (a) 送配電網への負担とは独立した電源立地 (b) 送配電網の固定費の回収不足や需要家間の不公平の発生 (c) 蓄電池 IoT などを活用した高度なネットワーク利用の推進など 2 電力 ガス取引監視等委員会 送配電網の維持 運用費用の負担の在り方検討ワーキンク ク ルーフ で検討 2016 年度内を目途に送配電網の維持 運用負担のあり方についての基本方針をとりまとめる予定 3 電力広域的運営推進機関の広域系統整備委員会で 広域系統長期方針に係る検討や 広域系統整備計画に係る検討を実施 2016 年度内に長期方針をとりまとめる予定 1 電力 ガス取引監視等委員会において コストの抑制 低減 公平 適切な負担等の観点から検討が行われていることは有意義 2 適正な系統コスト負担と全国大メリットオーダーの両立に向け 政府 関係機関が連携して検討を深めることを期待 託送料金負担の構造広域的視野でのネットワーク整備の最適化 ( イメージ ) 1 小売事業者負担 2 固定費が 8 割を占めるのに対し 基本料金による回収は 3 割 3 電気が高圧系統から低圧系統に流れる前提で費用を配賦 < 電力 ガス取引監視等委員会資料 > 7

< 参考 1> 新たに創設される市場の制度案の概要 ベースロード電源市場容量市場 ( 集中型 ) 非化石価値取引市場 目的 趣旨 新電力もベースロード電源へのアクセスを可能とすることで 小売競争および卸電力市場の活性化を通じ 電気料金を最大限抑制し 事業者の事業機会および需要家の選択肢を拡大する 総括原価方式の撤廃 再エネの大量導入のなかでも 一定の投資回収の予見性を確保し 中長期的に必要な供給力 調整力をより効率的に確保することで 電気料金の安定化を図る 1 取引の中で埋没する非化石価値を顕在化し 取引可能とすることで小売電気事業者の高度化法目標達成を後押し 2FIT 制度による国民負担の軽減 3 事業者の事業機会 環境価値を評価する需要家の選択肢拡大 取引対象物 ベースロード電源 ( 石炭火力 大型水力 原子力 ) で発電した電気 電力供給能力に対する価値 非化石電源 ( 再エネ 水力 原子力 ) の持つ環境価値 売り手 発電事業者 ( 旧一般電気事業者 旧卸電気事業者等 ) 発電事業者 費用負担調整機関 (FIT 電源 ) 発電事業者 ( 非 FIT 非化石電源 ) 買い手小売電気事業者広域機関原則として小売電気事業者 その他 全体の市場供出量は 新電力の需要の 3 割程度が目安 広域機関が市場の運営等において一定の役割を担当 温対法に基づく CO2 排出係数制度におけるゼロエミ価値の整理等 他の既存制度との調和が必要 スケジュール 2019 年度 ( 取引開始 ) 2020 年度 ( 受渡開始 ) 2020 年度 ( 受渡開始 ) 2021 年度以降 ( 容量契約発効 ) 2017 年度 (FIT 電源のみ ) 2019 年度 ( 全非化石電源 ) < 経団連事務局作成資料 > 8

< 参考 2> 福島第一原子力発電所事故対応に確保すべき資金 用途 総額 =22 兆円 負担者 除染 6 兆円 東京電力 :4 兆円国 :2 兆円 国 2 兆円 他電力 ( 2) 4 兆円 新電力 0.24 兆円 11 兆円 4 兆円 賠償 8 兆円 東京電力 :4 兆円他電力 ( 2):4 兆円新電力 :0.24 兆円 東京電力 16 兆円 5 兆円 廃炉 8 兆円 2 兆円 東京電力 :8 兆円 これまでの見積もり ( 1) 1 福島復興加速化方針 (2013 年 12 月閣議決定 ) に示された試算額 2 東京電力と沖縄電力を除く旧一般電気事業者 今回の試算 (2016 年 12 月 ) < 東京電力改革 1F 問題委員会 資料より経団連事務局作成 > 9

< 参考 3> 政府審議会における検討 東京電力改革 1F 問題委員会 (2016.10~) 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 (2016.10~) 市場整備 WG 財務会計 WG 原子力損害賠償制度専門部会 (2015.5~) 検討事項 非連続の経営改革 ( 事業再編 ) 企業改革 自立化へのスケジュール ベースロード電源市場の創設 連系線利用ルールの見直し 容量メカニズムの創設 非化石価値取引市場の創設 通常炉の廃炉費用の確保 ( 託送料金の利用 ) 1F 解体費用の確保 ( 送配電事業の利潤充当 託送料金の利用 ) 原賠機構法に基づく一般負担金の負担のあり方 原子力事業者の責任範囲 ( 有限責任 / 無限責任 ) 国の責務 被害者救済手続のあり方等 スケジュール 2016 年内目途に提言案 年度内目途に最終提言をとりまとめ提言内容を 2017 年初に改定される東京電力の 新々総合特別事業計画 に反映 中間とりまとめを受け 経済産業省が必要な制度措置を実施 2017 年春頃に報告書をとりまとめ 電力 ガス取引監視等委員会 ( 送配電網の維持 運用費用の負担の在り方検討 WG) 電力広域的運営推進機関 ( 広域系統整備委員会 ) 送配電網の維持 運用コストの抑制 低減 需要家負担に係る公平性の確保 イノベーションの促進 広域系統長期方針に係る検討 広域系統整備計画に係る検討 2016 年度末に基本方針をとりまとめ 2016 年度末に長期方針をとりまとめ 電力 ガス基本政策小委員会 (2016.10~) エネルギー産業が成長戦略の基盤として最大限効果を発揮するための施策 エネルギー産業を国際的に競争力あるものとするための政策課題等 未定 < 経団連事務局作成資料 > 10