患者の声協議会第 45 回勉強会医療計画を住民目線でチェック 医療計画とは何かなぜ 患者 住民が読むべきなのか 2018 年 5 月 26 日患者の声協議会世話人埴岡健一
医療計画? 患者 住民に届いているの? 地域 / 現場に届いているの? 手段が目的化していない? そもそも役に立つの? 住民も関心ないし 今は違います! 医療計画なんて子供の夏休みの宿題でしょ! 2
本日の趣旨 活動 初期ゴール 中間ゴール 最終ゴール 医療計画の現状と課題を知る モデル計画イメージが共有される 医療計画の質と実行の向上 地域医療の格差の解消と均てん化の達成 均てん化 = どこでもあまねく最高の状態となっていること 3
新 がん計画 4
新 医療計画脳卒中部分抜粋 5
アウトカム格差そのまま 上げてから実行する 実行する 良い PDCA 高いアウトカム 良い計画 良いとこ取り補正計画計画格差上げる 絵に描いた餅 ( 不実行 ) 低いアウトカム 良くない計画 低いアウトカム 2018 年 2021 年 2024 年 6
沖縄県新 医療計画脳卒中分野のロジックモデル ( 施策 指標マップ ) 7
8
9
1 生活習慣病を予防する健康づくり対策の推進 2 食育の推進 3 特定健康診査 特定保健指導など生活習慣病を予 防する取組の支援 1 1 4 救命救急士の養成及びプレホスピタル ケア ( 病院前救護 ) の充実 1 ( 予防と早期発見 ) 特定検診受診率 1 ( 予防と早期発見が進んでいる ) 5 ドクターヘリを活用した早期治療の推進 2 2 6 救急医療情報システムの運営及び機能充実 1 ( 急性期 回復期 維持期 ) t-pa 療法や血栓回収療法の実実施件数 2 ( 医療サービスが連携 継続して実施される体制が構築されている ) 7 急性期脳梗塞治療ネットワークなどの連携体制の構築 8 医療機関の機能分化と連携の促進 9 地域において在宅療養を支援する連携体制の構築 10 患者を支える多職種連携システムの確立 11 口腔アセスメントの充実 埼玉県新医療計画脳卒中部分施策指標マップ変換例 10
1 生活習慣と脳血管疾患の関係についての周知 1 1 生活習慣と脳血管疾患の危険因子の関連について 理解できるよう 情報を発信していく 2 特定検診等の定期的な健診を受診する必要性について 周知する 3 4 特定保健指導において効果的に実施できるよう 保健指導従事者に対する研修を実施する 未成年者の喫煙防止 受動喫煙防止対策 禁煙の支援に関する情報提供等のたばこ対策を推進する 1 ( 生活習慣と脳血管疾患の関係についての周知ができている ) 2 特定検診 特定保健指導による生活習慣予防対策の推進 2 地域保健と職域保険の連携による共同事業の実施や生涯を通じた 1 保健サービスの提供 健康管理体制の整備を推進します 1 ( 特定検診 特定保健指導による生活習慣予防対策の推進できている ) 2 特定健診データを収集 分析しその結果や効果的な実践例を情報発信する 3 保健指導の向上を図るための人材育成を実施する 1? 3 脳卒中発症時の対応に関する啓発 3 1 速やかに救急隊を要請する等の対処を行えるよう 発症時の症状に関する知識を普及啓発する 4 救急医療体制の整備 4 1 傷病者の搬送及び受け入れの実施に関する基準の継続的な見直しを行う 5 地域リハビリテーション支援体制の整備 5 1 地域リハビリテーション広域支援センター を二次保健医療圏ごとに概ね 1 箇所指定し 地域リハビリテーション支援体制の整備を図る 6 退院支援 6 1 ( 脳卒中発症時の対応に関する啓発ができている ) 1 ( 救急医療体制の整備ができている ) 1 ( 地域リハビリテーション支援体制の整備ができている ) 1 切れ目のない医療 介護を提供するための多職種連携を促進する 1 ( 退院支援ができている ) 食塩摂取量 運動習慣者の割合 特定健診 特定保健指導の実施率 高血圧の改善 脂質異常者の減少 成人喫煙率 在宅復帰率 O O 死亡率 平均在院日数 O 2 3 入退院支援の仕組みつくりや ICT 等の活用の検討など 効果的 効率的な連携の支援に取り組む 千葉県在宅医療連携協議会などを活用し 医療 介護の連携促進に取り組む ( 循環型地域医療連携システムの構築 ) 1 t-pa24 時間対応可能病院 S 1 2 地域包括ケア病棟病床数 S 2 3 神経内科医師数 S 4 脳神経外科医師数 S 5 訪問診療実施施設数 S 6 機能強化型訪看 ST S 7 地域連携パス S ( 循環型地域医療連携システムが構築され機能している ) 千葉県新医療計画脳卒中部分施策指標マップ変換例 11
患者住民が参加したか 12
患者 住民参画の位置づけ平成 24 年 3 月 30 日医政局長通知 なお 都道府県医療審議会等において評価等を行うに当たっては その役割が発揮できるよう 委員の構成 ( 医師 歯科医師 薬剤師 看護師 医療保険者 医療を受ける立場にある者 ( 患者等 ) 学識経験のある者 ) 及び運営 ( 作業部会の積極的な活用や患者を代表する委員への情報の提供等 ) について 適切に取り組むこと 13
患者 住民参画の位置づけ平成 24 年 3 月 30 日医政局長通知 都道府県は 5 疾病 5 事業及び在宅医療について それぞれの医療体制を構築するため 医療審議会もしくは医療対策協議会の下に 5 疾病 5 事業及び在宅医療のそれぞれについて協議する場 ( 以下 作業部会 という ) を設置する とし 作業部会の構成員に ( オ ) 医療 介護サービスを受ける患者 住民を位置づけた さらに なお 医療サービスを受ける立場の意見についても 十分に配慮することが望ましいことから ( オ ) の患者 住民に対しては 十分な情報提供と解説などの支援を行うことにより 議論に参加しやすい環境が整うよう努めること とした 14
患者 住民委員の広がり 地域医療計画 47 都道府県 ( 本審議会 +11 部会 ) 3 人 = 約 1500 人 340 医療圏 ( 本圏域会議 +11 部会 ) 3 人 = 約 12000 人 がん計画 47 都道府県 ( 本協議会 +5 部会 ) 3 人 = 約 800 人 47 都道府県連携協議会 ( 本協議会 +5 部会 )= 約 800 人 合計 約 1 万 5000 人の潜在的人数 ( 地域医療構想調整会議 がん予防などの会議は計算外 ) さらに 地域包括ケア 在宅医療など中学校区単位の議論を広めるには もっと多くの患者 住民委員の必要性がある 15
地域医療計画策定への 患者 住民委員の参画状況 出典 :http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/hpu/seminar/2014-10-12/d/guideline_fall_rev.pdf 16
17
地域医療構想作成における達成度 ( 都道府県担当者アンケートより ) 地域医療構想調整会議の運営において 自己評価が比較的低いのは 患者 住民の立場からの発言 地域医療構想調整会議 * 1 の運営について 2015 年 12 月末時点 (N=42) 達成状況 出所 :2016 年 1 月 H-PAC 地域医療構想策定に関する都道府県アンケート より *1: 地域医療構想調整会議が未設置で 地域保健医療協議会 地域医療構想策定作業部会 圏域会議などで検討を行った場合も含む 18
* 構想の内容やウェブサイトを通じて把握 出典 : 政策研究 地域医療構想の成果と課題 合意形成を軸とした切れ目のない提供体制を ( 東京財団 2017 年 8 月 ) 19
20
参画者の悩みとニーズを知る 患者住民委員アンケートの概要 患者の声 協議会が実施 (2015 年 11 月 3 日発表 ) 47 都道府県の地域医療審議会 / がん対策推進協議会 ( それに相当する会議 ) 47 都道府県の地域医療計画とがん対策推進協議会に付されている委員名簿を使用 患者 住民の立場に相当する方 ( 患者 家族 患者団体 / 市民団体メンバーなど )( 住民代表とあっても市町 村長 議員などは除く ) を抽出 約 330 人存在した ウェブ検索等によって メールアドレス ファクス番号の連絡先を調査 そのうち約 240 人の連絡先を確保した 21
アンケート結果概要 残念ながら回答わずか 回答数 38 人 (27 府県 ) 医療計画委員 19 人 がん計画委員 18 人 現職 30 人 前職 元職 8 人 支援者 12 人 地域住民 10 人 患者経験者 6 人 医療消費者 3 人 家族 2 人 遺族 1 人 団体代表 34 人 公募 2 人 個人 1 人 * ご回答いただいた方々にこの場を借りて深くお礼申し上げます 22
現状と課題 委員活動の結果 十分に意見を出せた 意見が十分に反映された 2 3 15 21 そう思うそう思わない無回答 19 16 そう思う そう思わない 無回答 n=38 自県計画のレベルが高い 5 19 14 そう思う そう思わない 無回答 出典 : 患者の声協議会ウェブサイト 意見が出せた は過半数 反映された は半分未満 計画レベルが平均以下 が多い 23
現状と課題 会議の運営 ( 十分と思うか ) 座長の会議運営力 審議に必要なデータ 十分 事務局の会議運営力 議題や審議事項の選定 患者 住民委員数 実施的議論 そう思う そう思わない 無回答 あなたへの事前説明 審議回数 時間 患者や住民の意見聴取 不十分 0 5 10 15 20 25 30 35 40 出典 : 患者の声協議会ウェブサイト 24
4 月実施の都道府県の医療計画 ( 左 ) とがん計画の素案へのパブリックコメントの数と反映状況 地域差が見られる (* 川上段階で直接意見を伝えることが より重要 ) 県番号 県名 パブコメ件数 パブコメ人 団反映 修正件数体数 1 北海道 92 12 2 2 青森県 0 0 0 3 岩手県 2 2 0 5 秋田県 3 3 0 6 山形県 4 2 1 7 福島県 76 ー 10 8 茨城県 30 9 7 9 栃木県 11 4 1 10 群馬県 1 1 1 14 神奈川県 157 50 78 15 新潟県 29 6 15 18 福井県 15 5 0 19 山梨県 51 5 31 20 長野県 65 ー 21 21 岐阜県 64 14 9 24 三重県 117 55 17 25 滋賀県 73 ー 23 26 京都府 31 14 9 27 大阪府 4 4 2 28 兵庫県 71 5 13 29 奈良県 22 7 14 32 島根県 33 ー 12 33 岡山県 26 ー 16 34 広島県 8 3 0 35 山口県 15 ー 5 37 香川県 4 1 0 38 愛媛県 6 2 0 39 高知県 4 2 1 42 長崎県 33 ー 19 43 熊本県 17 4 8 45 宮崎県 11 4 3 県番号 県名 パブコメ件数 パブコメ人 団体数 反映 修正件数 2 青森県 14 10 0 3 岩手県 2 2 2 4 宮城県 18 4 4 5 秋田県 24 6 1 7 福島県 20 6 5 8 茨城県 24 10 11 9 栃木県 1 1 0 10 群馬県 18 4 7 14 神奈川県 84 33 35 16 富山県 13 ー 0 17 石川県 6 3 0 18 福井県 42 10 10 19 山梨県 24 2 8 20 長野県 3 ー 1 21 岐阜県 0 0 0 24 三重県 38 4 3 26 京都府 34 14 6 27 大阪府 68 37 3 28 兵庫県 45 7 15 31 鳥取県 26 12 3 32 島根県 31 17 4 33 岡山県 23 ー 0 34 広島県 11 9 1 35 山口県 21 3 7 36 徳島県 39 50 0 37 香川県 23 4 2 38 愛媛県 24 9 0 40 福岡県 1 1 1 42 長崎県 3 ー 1 43 熊本県 19 5 1 44 大分県 5 2 1 45 宮崎県 7 1 0 47 沖縄県 115 ー 8 医療計画は4 月 4 日 がん計画は4 月 3 日現在 ウェブ上で演者が確認できたもの 反映数は県発表と演者カウントのもの 25 が混在 人口差への考慮が必要 また 組織票がある場合もあるので意見の内容を読んで確認する必要もある
都道府県がん対策推進計画のチェック 1 患者の政策決定参加を計画に記載 2 ロジックモデルを使用しているか 3 全体目標とその指標を設定しているか 4 死亡率削減目標を設定しているか 5 分野目標アウトカムを設定しているか 6 患者調査を情報源としているか 7 分野別にアウトカム指標を設定する意思があると読めるか 8 分野別にプロセス指標を設定する意思があると読めるか 9 アクションプランを掲載しているか 10 中間評価 / 年次評価 確認を明記しているか 26
第 3 期がん計画に関して 10 項目が該当するかの判定例 ( 試行的作業 ) 県名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 患者の政策決定参加を計画に記載 ロジックモデルを使用しているか 全体目標に指標を設定しているか 死亡率削減目標を設定しているか 分野目標アウトカムを設定しているか 患者調査を情報源としているか 分野別にアウト分野別にプロセカム指標を設定ス指標を設定すする意思があるる意思があると アクションプランを掲載しているか と読めるか 読めるか 中間評価 / 年次評価 確認を明記しているか 対照県 なし 見えない / 感 じられない なし なし 明確な記載な し なし読めない読めない掲載なしあり / なし 秋田県 なし 背景にあり ( 秋大レポートにあり ) 部分的記載 あり ( 数値設定 ) 明確な記載なし あり ( 県独自 ) 読める読める掲載ありあり / あり 東京都 ( 素案 ) なし 見えない / 感じられない 一部に記載が ある あり ( 数値設定 ) 単独文で明確に記載 あり ( 県独自 ) 読める読めない掲載なしなし / なし 福井県 あり 見えない / 感じられない なし あり ( 数値設定 ) 明確な記載なし あり ( 国調査 ) 読める読めない掲載なしなし / あり 滋賀県 あり 背景にあり ( 部分的 ) 全体的にあり あり ( 減少とのみ ) 単独文で明確に記載 あり ( 国調査 ) 読める読める掲載なしあり / あり 奈良県あり準ずる図あり全体的にあり あり ( 数値設定 ) 単独文で明確 に記載 あり ( 県独自 ) 読める読める掲載ありあり / あり 島根県 ( 素案 ) なし ( ただし佐藤均さんのことを記載 ) 背景にあり 全体的にあり ( 分野目標の集積 ) あり ( 数値設定 ) 単独文で明確に記載 あり ( 国調査 ) 読める読める掲載ありあり / なし 沖縄県 なし 背景にあり ( 医療計画に掲載 ) 部分的記載 あり ( 数値設定 ) 単独文で明確に記載 あり ( 国調査 ) 読める読める掲載なしあり / なし 27
1. 患者の政策決定参加を計画に記載 28
明記している県の表現 滋賀県 県民 : がん対策を議論し決定する過程に参加します 患者団体 : がん対策に関する意見の提言に努めます 奈良県 がん患者を含めた県民は 奈良県がん対策推進協議会 等のがん対策を議論し決定する過程に参加し がん医療やがん患者とその家族に対する支援を向上させるという自覚を持って活動するよう努めます 福井県 県のがん対策に意見を述べる機会に参画するなど がん医療やがん患者などに対する支援を向上させるための活動を行うよう努めます 29
4. 死亡率削減目標 30
出典 : 朝日新聞 2017 年 12 月 12 日朝刊 31
出典 : 朝日新聞 2017 年 12 月 12 日朝刊 32
6. 患者調査を情報源としているか 33
( 参考 ) 緩和ケア分野のロジックモデル 黄色は患者調査由来ミドリは医療者調査由来 出典 : 秋田県のがんと秋田大学医学部附属病院から秋田県に対する提言 34
沖縄県がん対策推進計画 ( 第 2 次 ) 分析報告書 のロジックモデルと指標 35
7. 分野別アウトカム指標の設定 36
島根県がん対策推進計画素案緩和ケア部分最終アウトカムと指標 (p72) 37
島根県がん対策推進計画素案緩和ケア部分中間アウトカム (1/3) の指標 (p75) 38
本日の趣旨 活動 初期ゴール 中間ゴール 最終ゴール 医療計画の現状と課題を知る モデル計画イメージが共有される 医療計画の質と実行の向上 地域医療の格差の解消と均てん化の達成 均てん化 = どこでもあまねく最高の状態となっていること 39
ありがとうございました