大阪府における土壌汚染対策の 現状と取り組み 平成 27 年 10 月 16 日 大阪府環境農林水産部環境管理室環境保全課 1
業務の紹介 大阪府環境農林水産部環境管理室環境保全課化学物質対策グループについて 土壌汚染対策 土壌汚染対策法 府生環条例 ( 土壌汚染対策 ) 地下水汚染対策 水質汚濁防止法 ( 汚染井戸周辺地区調査 地下水浄化 ) 大阪府地下水質保全対策要領 地盤沈下対策 工業用水法 府生環条例( 地盤沈下防止 ) 2
土壌汚染対策法及び 大阪府生活環境の保全等 に関する条例の概要 3
法 条例の整備について 1 大 気 大気汚染防止法 昭和 43 年公布 2 水 質 水質汚濁防止法 昭和 45 年 3 騒 音 騒音規制法 昭和 43 年 4 振 動 振動規制法 昭和 51 年 5 悪臭 悪臭防止法昭和 46 年 6 地盤沈下 工業用水法昭和 31 年 7 土壌 土壌汚染対策法平成 14 年 大阪府生活環境の保全等に関する条例平成 6 年公布条例では 法の規制を基本に 調査対象物質にダイオキシン類を追加 土壌汚染状況調査の機会や土地の利用履歴調査を追加 土地の所有者等の責務について規定 4
大阪府における 土壌汚染 対策制度 ( 法及び条例 ) 5
届出 手続きのフロー ( 府条例 : ピンク色 ) 6
法と条例の関係 調査契機 調査対象物質 土壌汚染対策法 有害物質使用特定施設の使用廃止 ( 法第 3 条 ) 土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある場合 ( 法第 5 条 ) 3,000 m2以上の土地の形質の変更 ( 法第 4 条第 1 項 条例第 81 条の 5) で 土地の利用履歴調査 ( 条例第 81 条の 5) 等により汚染のおそれがあると判明した場合 鉛, 砒素, トリクロロエチレンなど 25 物質 ( 特定有害物質 ) 府 条 例 有害物質使用届出施設等の使用廃止 ( 条例第 81 条の 4) 有害物質使用特定施設等を設置している工場敷地での土地の形質変更 ( 条例第 81 条の 6) 上記の 25 物質に ダイオキシン類を追加したもの ( 管理有害物質 ) 7 7
府条例の主な特徴 8
条例の届出 条例第 81 条の 5 土地の利用履歴等調査結果報告書 大阪府知事様 ( 土地の利用履歴等調査結果報告書 土地の形質変更者が届出 ( 通常は発注者が該当 ) 平成 年 月 日 届出者住所大阪府 市 番 号氏名 株式会社代表取締役社長 印 ( 法人にあっては 名称及び代表者の氏名 ) 提出日 代表者印 大阪府生活感情の保全等に関する条例第 81 条の 5 第 1 項の規定により 次のとおり報告します 添付書類 法届出の添付書類と同様のもの 土地の利用の履歴を山林 田畑に遡るまで調査 表形式で整理 9 土地の形質の変更対象となる土地の所在地 土地の形質の変更の場所 土地の形質の変更の着手予定日 土地の形質の変更の規模 一時的に掘削する面積も含む 土地の利用の履歴 大阪府 市 番 別紙 1 のとおり 平成 年 月 日 3,500 m2 地番で記入 敷地平面図を添付 提出日の 30 日後以降 形質の変更を行う敷地の全体の面積 :4,000 m2 ( 掘削部分の面積 :3,200 m2 ) S30 年から 50 年頃 市の一般廃棄物処分場であった S50 年以降 工業の 鍍金工場が操業しており 平成 5 年に廃業 その後工場は撤去され 更地となり現在に至る 詳細は別紙 2 の報告書のとおり
有無 有 土地の利用履歴等調査結果報告書 必要に応じて 以下が記載された書類を添付 各履歴の根拠資料 ( 過去の住宅地図や航空写真等 ) 過去に工場等があった場合は 有害物質の使用状況を確認できる書類 ( 他法令に基づく届出書や敷地平面図等 ) 過去に実施した土壌汚染の調査結果 有害物質の使用等の履歴 工場又は事業場の状況 埋設廃棄物の状況 土壌汚染に係る調査の実施状況 工場又は事業場の名称及び業種 使用等されていた有害物質の種類 管理有害物質の使用等の状況 ( 場所 時期 使用方法 ) 有無 埋設廃棄物の状況 ( 場所 時期 性状 ) 有害物質の含有の有無及び種類 有無 実施時期 調査対象物質 指定基準超過物質 汚染範囲 汚染の除去等の措置の状況 鍍金株式会社 ( 金属製品製造業 ) 六価クロム化合物 場所 : 別紙 3 のとおり時期 : 昭和 50 年 ~ 平成 5 年使用方法 : 鍍金用材に使用 有 場所 : 別紙 4 のとおり時期 : 昭和 30 年 ~ 昭和 50 年頃性状 : 汚泥状 有鉛及びその化合物 水銀及びその化合物 有 平成 21 年 5~7 月 第 1 種管理有害物質すべて第 2 種管理有害物質すべて 鉛及びその化合物 別紙 5 のとおり 掘削除去済み別紙 6 のとおり 10 調査実施機関 株式会社 ( 指定調査機関番号 - - )
大阪府土壌汚染に係る自主調査及び自主措置の実施に関する指針 条例第 81 条の 21 の 3 知事は 自主調査を実施しようとする者に対し 当該自主調査が指針に即して適切に実施されるよう必要な指導又は助言をすることができる 知事は 前項の報告に基づき必要があると認めるときは 当該報告を行った者に対し 汚染の除去等の措置について必要な指導又は助言をすることができる 自主調査及び自主措置の実施に関する指針 < 平成 22 年 11 月 30 日策定 施行 > 自主調査及び自主措置の実施に関する基本的な事項を定めることにより 適切で かつ客観性のある自主調査 自主措置が実施され その結果が適切に活用されることを目的とする 法や条例の対象となる形質変更が行われる可能性のある土地に関する調査又は自主措置 法第 14 条に基づく区域指定申請を行う可能性のある土地に関する調査 調査または措置の結果が 土壌汚染の状況を示す客観的資料として不特定多数の人に向けた説明等に用いられるもの 11
自主調査の届出様式 ( 抜粋 ) 評価結果の添付 12
条例第 81 条の 6 関係 調査が必要となる場合 稼働中の有害物質使用工場敷地で土地の形質の変更する際は調査が必要となる場合がある < 注意点 > 3,000m2以上の形質変更で法第 4 条第 1 項 条例第 81 条の5の対象となる場合には 本規定は適用されない 特定施設等を設置している工場 事業場と同一の工場 業場の敷地として利用する場合は 本規定の対象とはならない 13
大阪府における施行状況 14
( 大阪府所管分 ) 46 件 (25%) 25 20 131 件 (75%) 調査一時猶予以外調査一時猶予 件数の内訳 ( 累積 H15~H26) 15 10 5 0 H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26 15 届出件数調査一時猶予件数 一部権限移譲市町村の件数を含む 15
科学技術に関する研究 試験 検査又は専門教育を行う事業場 9% その他 20% 大阪府所管分 ( 累積 ) 金属製品製造業 機械器具製造業等 33% 有機化学工業製品製 造業 3% 無機化学製品製 造業 ( 無機顔料 製造業等除く ) 5% 無機顔料及び有機顔料製造業 2% 紡績業又は繊維製品の製造業若しくは加工業 病院 電気めっき業 溶融めっき業 洗たく業 14% 写真現像業 3% 1% 1% 9% 一部権限移譲市町村の件数を含む 16
四塩化炭素 一 二 ジクロロエタン 一 一 ジクロロエチレン シス 一 二 ジクロロエチ 一 三 ジクロロプロペン ジクロロメタン テトラクロロエチレン 一 一 一 トリクロロエタン 一 一 二 トリクロロエタン トリクロロエチレン ベンゼン カドミウム及びその化合物 六価クロム化合物 シアン化合物 水銀及びその化合物 セレン及びその化合物 鉛及びその化合物 砒素及びその化合物 ふっ素及びその化合物 ほう素及びその化合物 シマジン チオベンカルブ チウラム ポリ塩化ビフェニル (PCB) 有機りん化合物 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 大阪府所管分 ( 累積 ) 17 17 一部権限移譲市町村の件数を含む
土壌汚染対策法 ( 第 4 条土地形質変更届 ) 施行状況 ( 大阪府所管分 ) 対象件数うち 命令件数うち 自主調査件数 平成 22 年度 81 5 0 平成 23 年度 78 3 0 平成 24 年度 55 2 1 平成 25 年度 55 0 3 平成 26 年度 47 2 4 ( ひとつの大規模造成区域の中で複数の届出が行われたものは複数件数で計上 ) 一部権限移譲市町村の件数を含む 18
120 100 80 60 40 20 0 H22~H26 年度 ( 大阪府所管分 ) 19
土壌汚染対策法 ( 第 14 条区域指定申請 ) 施行状況 ( 大阪府全体 ) 年度 要措置区域 形質変更時要届出区域 法 3 条 法 4 条 法 14 条 法 3 条 法 4 条 法 14 条 平成 23 年度 0 2 0 16 15 33 平成 24 年度 1 1 0 13 9 47 平成 25 年度 0 0 1 18 5 67 合計 1 3 1 47 29 147 160 148 20 140 120 100 80 60 40 20 0 48 32 法 3 条 法 4 条 法 14 条 要措置区域 形質変更時要届出区域 (H23~25)
区域指定の状況 (H27.9.9 時点 ) 年度法条例 要措置区域 形質変更時要届出区域 要措置管理区域 要届出管理区域 大阪府 1 11 0 3 権限移譲市 7 244 0 23 政令市 0 20 0 3 合計 8 275 0 29 21
権限移譲について 22
土壌汚染対策制度の市町村への権限移譲 権限移譲日市町村備考 平成 23 年 10 月 1 日 池田市 箕面市 豊能町 能勢町 問合せ窓口は 池田市 平成 24 年 1 月 1 日 平成 24 年 4 月 1 日 平成 24 年 10 月 1 日 平成 25 年 1 月 1 日 平成 26 年 1 月 1 日 泉大津市 忠岡町 河内長野市 富田林市 大阪狭山市 太子町 河南町 千早赤阪村 阪南市 和泉市 松原市 貝塚市 熊取町 問合せ窓口は泉大津市 問合せ窓口は河内長野市 ( 参考 ) 政令市大阪市 堺市 豊中市 吹田市 茨木市 高槻市 寝屋川市 枚方市 東大阪市 八尾市 岸和田市 23
土壌汚染対策関係事務移譲状況 政令市 11 市 23 年度中事務移譲市町村 13 市町村 24 年度中事務移譲市町村 3 市 25 年度中事務市町村 1 町 24
リスクコミュニケーション 事例について 25
事例紹介 平成 21 年 6 月 大阪府内のクリーニング工場跡地において クリーニングの洗浄剤として使用されていたテトラクロロエチレン及びその分解物質であるトリクロロエチレン シス -1,2- ジクロロエチレンによる高濃度の土壌汚染及び地下水汚染が発覚 大阪府は直ちに周辺地域の地下水調査を実施し 当該地を土壌汚染対策法に基づく指定区域に指定 汚染を除去するため土地所有者が 鉄粉混合による原位置での浄化と一部掘削除去を実施 当該地の土地所有者は 汚染原因者ではなかったため 対策工事は土壌汚染対策基金を活用した土壌汚染対策助成事業として実施 26
事案の経過概要 平成 21 年 2 月クリーニング事業者倒産により施設廃止届出 6 月 22 日土地所有者から土壌汚染状況調査結果報告提出土壌汚染 地下水汚染判明 6 月 23 日報道提供第 1 報土壌 地下水調査結果 6 月 25 日第 2 報 7 月 10 日第 3 報周辺井戸の調査結果 7 月 16 日土壌汚染対策法区域指定 平成 22 年 3 月 9 日土壌汚染対策基金運営委員会にて協議 6 月 15 日改正法要措置区域指定 措置指示 6 月 25 日助成金交付決定 8~9 月詳細調査 結果に基づき複数設計案を比較検討 平成 23 年 3 月 ~6 月対策工事平成 23 年 9 月 ~25 年 6 月地下水モニタリング平成 25 年 12 月 16 日区域指定解除 27
報告を受けての大阪府の動き 土壌 地下水汚染について報道提供 井戸水を飲用しないよう住民に周知 周辺の 23 井戸で地下水質調査 自治会回覧資料 井戸をお持ちの皆様へ 井戸の利用について ( お願い ) 先日 市 の土地で 土壌調査の結果 化学物質による地下水汚染があることがわかりました そのため 周辺地域の地下水について汚染状況を調査することとしています 御家庭で井戸を所有されている方は 飲料水には安全な水道水を利用していただくようお願いいたします 28
得られた教訓 個人の土地所有者が高濃度の土壌汚染や地下水汚染に適切に対策を施すことは 技術面 経済面で非常に難しい 汚染原因者でない者が対策を実施しなければならない状況になった場合 単に 法で義務付けられているから ということだけでは理解が得ずらい 行政は 土地所有者の理解が得られるよう 制度上の必要性を十分に説明することはもちろん 技術面での指導 助言をきめ細かに 丁寧に わかりやすく行うことが重要 個人が行う大規模な土壌汚染対策に対して 調査機関や工事施工者の理解が得られるよう 土地所有者との調整などを行うことも行政に必要な技術的支援 29
府の報道提供の例 汚染確認の周辺住民への周知について 健康被害のおそれがある情報については 把握後速やかに提供することが望ましいため 地下水汚染確認後 報道提供等により速やかに周知を行う 30 30
事業者におけるリスクコミュニケーション 成功事例 地下水 土壌汚染の事実の速やかな開示 健康リスク情報や今後の対策などについて丁寧な説明 日ごろからの地域住民との信頼関係の構築 ( 会社情報の開示 地域貢献 : 清掃活動の実施 盆踊り等のイベント開催など ) 失敗事例 地下水 土壌汚染の事実の開示が遅れる 健康リスク情報や今後の対策などについて丁寧な説明を怠る 日ごろから地域住民との信頼関係を築けていない 不安 不信感の増大 信頼関係の回復は困難 31