東京大会と感染症サーベイランス ~ 普段とどこがちがうのか ~ 疾患疫学が変化する可能性 多数の訪日外国人の流入 多くのマスギャザリングイベント 事前のリスク評価に基づいたサーベイランスと対応の強化の必要性を検討する 体制構築の観点から 行政と大会組織委員会の責任範囲と協力体制の構築が必要 国内移動

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横浜市感染症発生状況 ( 平成 30 年 ) ( : 第 50 週に診断された感染症 ) 二類感染症 ( 結核を除く ) 月別届出状況 該当なし 三類感染症月別届出状況 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月計 細菌性赤痢

1 月号は以下の情報を掲載しています 1. 茨城県感染症発生動向調査事業に基づく試験検査 検出状況 1) 全数把握疾患 2) 病原体定点依頼検査その他の検査 3) 集団 ( 施設や学校等 ) 事例 月別検出件数 1) 三類 四類 五類 ( 全数把握 ) 2) 五類 ( 定点 ) その他の検査 3)

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つが虫病 (40) デング熱 (41) 東部ウマ脳炎 (42) 鳥インフルエンザ (H5N1 及びH7N9を除く ) (43) ニパウイルス感染症 (44) 日本紅斑熱 (45) 日本脳炎 (46) ハンタウイルス肺症候群 (47)Bウイルス病 (48) 鼻疽 (49) ブルセラ症 (50) ベネズ

2017 年 25 週 (06 月 19 日 ~06 月 25 日 ) 2 類感染症 3 類感染症 都道府県 結核 ジフテリア 重症急性呼吸器症候群 中東呼吸器症候群 鳥インフルエンザ (H5N1) 鳥インフルエンザ (H7N9) コレラ 細菌性赤痢 総数北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨

スライド 1

記号の説明 前からの推移 : 倍以上の減少.~ 倍未満の減少. 未満の増減.~ 倍未満の増加 倍以上の増加流行状況 : 空白発生なし 僅か 少し やや多い 多い 非常に多い 定点当り患者数について 過去 年間の標準偏差値に感染症の種類毎に係数を乗じた値を 等分し 流行状況の目安として 段階で表示して

流行の推移と発生状況 疾病名推移発生状況疾病名推移発生状況 インフルエンザ RS ウイルス感染症 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 水痘 手足口病 伝染性紅斑 突発性発疹 百日咳 ヘルパンギーナ 流行性耳下腺炎 急性出血性結膜炎流行性角結膜炎 細菌性髄膜炎 無菌性髄膜炎 マイコ

2018 年 47 週 (11 月 19 日 ~11 月 25 日 ) 2 類感染症 3 類感染症 都道府県 結核 ジフテリア 重症急性呼吸器症候群 中東呼吸器症候群 鳥インフルエンザ (H5N1) 鳥インフルエンザ (H7N9) コレラ 細菌性赤痢 総数北海道青森県岩手県宮城県秋田県山形県福島県茨

全数把握対象疾患報告数 2018 年第 52 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 52 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

流行の推移と発生状況疾病名 推移 発生状況 疾病名 推移 発生状況 インフルエンザ RSウイルス感染症 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 水痘 手足口病 伝染性紅斑 突発性発疹 百日咳 ヘルパンギーナ 流行性耳下腺炎 急性出血性結膜炎 流行性角結膜炎 細菌性髄膜炎 無菌性髄膜炎

茨城県感染症流行情報 INFECTIOUS DISEASE WEEKLY REPORT IBARAKI 2018 年第 36 週 (09 月 03 日 ~09 月 09 日 ) 今週の動向 腸管出血性大腸菌感染症の報告が 6 件ありました 百日咳の報告が 5 件ありました 風しんの報告が 4 件あり

全数把握対象疾患報告数 2016 年第 38 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 38 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

全数把握対象疾患報告数 2018 年第 49 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 49 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核



Infectious Diseases Weekly Report FUKUSHIMA IDWR 2017 年 第 35 週 (8 月 28 日 ~9 月 3 日 ) 福島県感染症発生動向調査週報 福島県感染症情報センター ( 福島県衛生研究所 ) 福島市方木田字水戸内 16 番

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

Ⅰ 第 30 週の発生動向 (2017/7/24~2017/7/30) 1. 手足口病については むつ保健所管内で警報が発令されました 東地方 + 青森市保健所管内 弘前保健所管内 上十三保健所管内で警報が継続しています 三戸地方 + 八戸市保健所管内では 定点当たり報告数の増加が続いており 警報レ

Microsoft Word - WIDR201826


Microsoft Word - WIDR201839

第51回日本小児感染症学会総会・学術集会 採択結果演題一覧

記号の説明 前からの推移 : 倍以上の減少.~ 倍未満の減少. 未満の増減.~ 倍未満の増加 倍以上の増加 流行状況 : 空白発生なし 僅か 少し やや多い 多い 非常に多い 定点当り患者数について 過去 年間の標準偏差値に感染症の種類毎に係数を乗じた値を 等分し 流行状況の目安として 段階で表示し


全数把握対象疾患報告数 2018 年第 47 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 47 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

48小児感染_一般演題リスト160909

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全数把握対象疾患報告数 206 年第 48 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 48 年累計 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核


全数把握対象疾患報告数 2018 年第 50 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 50 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

報告は 523 人 (14. 5) で前週比 9 と減少した 例年同時期の定点あたり平均値 * (16. ) の約 9 割である 日南 (37. 3) 小林(26. 3) 保健所からの報告が多く 年齢別では 1 歳から 4 歳が全体 の約 4 割を占めた 発生状況 ( 宮崎県 ) 定

新旧対照表 doc

全数把握対象疾患報告数 2018 年第 48 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 48 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

本文は 2014 年に発行された Infectious diseases prioritisation for event-based surveillance at the European Union level for the 2012 Olympic and Paralympic Games

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

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疾患名 平均発生規模 ( 単位 ; 人 / 定点 ) 全国 県内 前期 今期 増減 前期 今期 増減 県内の今後の発生予測 (5 月 ~6 月 ) 発生予測記号 感染性胃腸炎 水痘

全数把握対象疾患報告数 2018 年第 01 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 1 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

Microsoft Word - 案1 week14-21

全数把握対象疾患報告数 2019 年第 02 分類 対象疾患 茨城県 ( 診断日 ) 全国 ( 診断日 ) 年累計 2 年累計 1 類 エボラ出血熱 クリミア コンゴ出血熱 痘そう 南米出血熱 ペスト マールブルグ病 ラッサ熱 2 類 急性灰白髄炎 結核

Microsoft Word - full_SIDWR


第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

感染症法の変遷

PowerPoint プレゼンテーション

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Microsoft Word - 届出基準

流行の推移と発生状況 疾病名推移発生状況疾病名推移発生状況 インフルエンザ RS ウイルス感染症 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 水痘 手足口病 伝染性紅斑 突発性発疹 百日咳 ヘルパンギーナ 流行性耳下腺炎 急性出血性結膜炎流行性角結膜炎 細菌性髄膜炎 無菌性髄膜炎 マイコ

報告風しん

Microsoft Word - 01沖縄県蚊媒介感染症対策行動計画(第3版)

Microsoft PowerPoint - 51w 梅毒

2018 年 5 月 11 日 岡山県感染症週報 2018 年第 17 週 ( 4 月 23 日 ~ 4 月 29 日 ) 2018 年第 17 週 ( 4 / 23~ 4 / 29) の感染症発生動向 ( 届出数 ) 全数把握感染症の発生状況 第 16 週 3 類感染症 腸管出血性大腸菌感染症 3

流行の推移と発生状況 疾病名推移発生状況疾病名推移発生状況 インフルエンザ RS ウイルス感染症 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 水痘 手足口病 伝染性紅斑 突発性発疹 百日咳 ヘルパンギーナ 流行性耳下腺炎 急性出血性結膜炎流行性角結膜炎 細菌性髄膜炎 無菌性髄膜炎 マイコ

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

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Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 青森市 3 人 弘前 人 八戸市 2 人 五所川原 2 人 上十三 人 (28 年計 :97 人 ) レジオネラ症 ( 四類全把握対象疾患 ): 青森市 人 (28 年計 :7 人 ) カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 ( 五類全把握対象疾

Ⅰ 第 47 週の発生動向 (2017/11/20~2017/11/26) 1. 手足口病については 上十三保健所管内で警報が継続しています 県全体の定点当たり報告数が過去 5 年間の同時期と比較してかなり多くなっていますので注意が必要です 2. インフルエンザについては 東地方 + 青森市保健所管

数人 / 定点数人 / 定点数人 / 定点数人 / 定点数人 / 定点数人 / 定点数人 / 定点数 小児科内科インフルエンザ 小児科 眼科 基幹 Weekly Report on Aomori Prefecture Infec

Microsoft Word - full_SIDWR

Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 東地方 人 三戸地方 人 上十三 人 (8 年計 : 人 ) 腸管出血性大腸菌感染症 ( 三類全把握対象疾患 ): 弘前 人 (8 年計 :5 人 ) アメーバ赤痢 ( 五類全把握対象疾患 ): 八戸市 人 (8 年計 : 人 ) カルバペネム

Microsoft Word - 感染症週報

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

熊本県感染症情報 ( 第 31 週 ) 県内 170 観測医の患者数 (7 月 28 日 ~8 月 3 日 ) 今週前週今週前週 インフルエンザ 0 1 百日咳 0 0 RS ウイルス感染症 7 0 ヘルパンギーナ 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

0 Chiba Weekly Report 第 38 週 /9/18~2017/9/24 千葉県結核 感染症週報 千葉県感染症天気図 2 今週の注目疾患 後天性免疫不全症候群 全数報告疾患集計表 5 定点報告 ( 五類感染症 )

0 Chiba Weekly Report 第 41 週 /10/9~2017/10/15 千葉県結核 感染症週報 千葉県感染症天気図 2 今週の注目疾患 感染性胃腸炎 全数報告疾患集計表 5 定点報告 ( 五類感染症 ) 疾病別

東京都微生物検査情報 第37巻第4号

流行の推移と発生状況 疾病名推移発生状況疾病名推移発生状況 インフルエンザ RS ウイルス感染症 咽頭結膜熱 A 群溶血性レンサ球菌咽頭炎 感染性胃腸炎 水痘 手足口病 伝染性紅斑 突発性発疹 百日咳 ヘルパンギーナ 流行性耳下腺炎 急性出血性結膜炎 流行性角結膜炎 細菌性髄膜炎 無菌性髄膜炎 マイ

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別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

さらに 風疹予防対策の最大の目的の一つである CRS の予防については 今後妊娠する可能性のある女性で 風疹ウイルスに対する免疫を十分に持たない女性に対し 妊娠前に小児期を含めて 2 回のワクチンを接種することが最も重要であることも明記されている 本市において麻疹 風疹疑い事例が発生した場合には 当

Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 青森市 人 (8 年計 :3 人 ) 腸管出血性大腸菌感染症 ( 三類全把握対象疾患 ): 弘前 人 八戸市 人 上十三 人 むつ 人 (8 年計 : 人 ) 百日咳 ( 五類全把握対象疾患 ): 弘前 3 人 (8 年計 :3 人 ) Ⅳ 病

夏休みに海外へ渡航される方に向けた感染症情報が 厚生労働省のホームページに掲載されています 海外には 通常日本国内に存在しない感染症が多くあります 海外で感染症にかからないようにするには 出発前にあらかじめ渡航先の感染症に関する情報を入手しておくことが大切です 旅行中の注意 生水 氷 カットフルーツ

Weekly Report on Aomori Prefecture Infectious Disease 青森県感染症発生情報 (2019 年第 3 週 ) 発行青森県感染症情報センター (2019 年 1 月 24 日 ) ( 青森県環境保健センター : 担当微生物部 ) TEL

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Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 青森市 1 人 上十三 1 人 (2018 年計 :146 人 ) 腸管出血性大腸菌感染症 ( 三類全把握対象疾患 ): 五所川原 1 人 (2018 年計 :30 人 ) 梅毒 ( 五類全把握対象疾患 ): 弘前 1 人 八戸市 2 人 (2

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感染症発生動向調査 2019 年第 29 週 京都市感染症週報京都市感染症情報センター ( 京都市衛生環境研究所 ) (7 月 15 日 ~7 月 21 日 ) 今週のコメント

Ⅲ 全把握対象疾患 結核 ( 二類全把握対象疾患 ): 青森市 人 弘前 2 人 八戸市 人 上十三 3 人 (28 年計 :87 人 ) デング熱 ( 四類全把握対象疾患 ): 弘前 人 (28 年計 : 人 ) カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 ( 五類全把握対象疾患 ): 八戸市 人 (2

0 Chiba Weekly Report 第 39 週 /9/21~9/27 千葉県結核 感染症週報 千葉県感染症天気図 2 今週の注目疾患 流行性耳下腺炎 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 全数報告疾患集計表 5 定点報告

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2017 CHIBA WEEKLY REPORT 千葉県結核 感染症報 第 30 ( 平成 29 年 7 月 24 日 ~ 平成 29 年 7 月 30 日 ) 定点把握対象の五類感染症 千葉県感染症天気図 第 30 上段は = 報告 / 定点医療機関 下段は報告 定点 疾病名 流行状況 コメント

定点報告疾患 ( 定点当たり報告数の上位 3 疾患の発生状況 ) (1) インフルエンザ 第 51 週のインフルエンザの報告数は 1025 人で, 前週より 633 人多く, 定点当たりの報告数は であった 年齢別では,10~14 歳 (240 人 ),7 歳 (94 人 ),8 歳 (

第14巻第27号[宮崎県第27週(7/2~7/8)全国第26週(6/25~7/1)]               平成24年7月12日

四類感染症動物 飲食物等の物件を介して人に感染し 国民の健康に影響を与える恐れがある感染症 ( ヒトからヒトへの伝染はない ) 届け出診断後直ちに疾患の種類 E 型肝炎 A 型肝炎 黄熱 Q 熱 狂犬病 炭疽 鳥インフルエンザ (H5N1 H7N9 を除く ) ボツリヌス症 マラリア 野兎病 チクン

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国際的な人の移動の活発化に伴い 国内での感染があまり見られない感染症について 海外から持ち込まれる事例が増加している デング熱などの蚊が媒介する感染症 ( 以下 蚊媒介感染症 という ) についても 海外で感染した患者の国内での発生が継続的に報告されている 我が国においては 平成二十六年八月 デング

Transcription:

東京オリンピック パラリンピック競技大会における感染症サーベイランスについて ~ 技術的側面から ~ 国立感染症研究所 感染症疫学センター 松井珠乃

東京大会と感染症サーベイランス ~ 普段とどこがちがうのか ~ 疾患疫学が変化する可能性 多数の訪日外国人の流入 多くのマスギャザリングイベント 事前のリスク評価に基づいたサーベイランスと対応の強化の必要性を検討する 体制構築の観点から 行政と大会組織委員会の責任範囲と協力体制の構築が必要 国内移動 ( 日本人 外国人 ) の増加 自治体間の情報共有の強化と事例発生時のリスク評価の自治体間での一定程度の整合性が必要か 国際的注目度が高い 国際的な情報発信の強化が必要

東京オリンピック パラリンピック競技大会 ( 東京大会 ) と感染症のリスク評価

東京大会において注意すべき感染症 ( 国立感染症研究所感染症疫学センターによる検討 ) 輸入例の増加感染伝播の懸念 大規模事例の懸念 かつ高い重症度 特記事項 ワクチン予防可能疾患 (V PD) 新興 再興感染症 食品媒介感染症 * その他 麻しん 風しん 侵襲性髄膜炎菌感染症 インフルエンザ 百日咳 中東呼吸器症候群 蚊媒介感染症 ( デング熱 チクングニア熱 ジカウイルス感染症 ) 腸管出血性大腸菌感染症 細菌性赤痢 A 型肝炎 E 型肝炎 感染性胃腸炎 ( ノロウイルス感染症を含む ) 結核 梅毒 HIV/AIDS 接触者調査の負荷等 大会関係者における事例発生時の負荷等 接触者調査 リスクコミュニケーション等の負荷 媒介蚊対策の負荷等

その他の注意点 ( 国立感染症研究所感染症疫学センターによる検討 ) 輸入感染症 : 一般の臨床医の診断経験が乏しいこと また 特異的な検査が医療機関レベルで行えないものもあり 診断が難しい 参加国の一部においてすでに排除が達成されている疾患 ( 例 : 麻しん 風しん等 ) については 万一 日本人ボランティア等の大会関係者における症例が発生した場合など 排除国等からの参加者においては リスク認識の程度に隔たりがある可能性がある 健康な人が突然 重症病態に陥り 特定の診断がつかないまま 感染症も否定できない などの報道がなされた場合においては リスク認識上の大きな課題が起こることが想定される 急性脳炎については 全数把握対象疾患であり 病原体検査による確定診断が重要である

各自治体で実施したリスク評価の結果をうけて 自治体感染症部局では何をするか? サーベイランス強化の必要性があるかどうかについて検討 ~ 事例の探知感度 迅速性への一層の配慮が必要であるかどうかが考慮のポイント 自治体の関連部局 大会関係者との密な連携 : 関係者への必要なワクチン接種についての周知情報共有体制の構築など 教育啓発活動 : 性感染症予防など 東京大会中の人員強化 検査費用等の予算の確保の必要性があるかどうかを検討する

東京大会とサーベイランス

NESID 質の高い包括的なシステムである NESID の最大限の活用が基本 全数把握疾患 全数把握対象疾患の報告義務についての医師への改めての周知 広域発生しやすい感染症について自治体間での情報共有の仕組みづくり 大会関係者 ( 例 : 選手 ボランテイア ) についての情報収集の必要性についての検討 医師に対する輸入感染症の診断支援の仕組み 定点把握疾患 特段の変更は必要なし 疑似症 目的 報告定義が不明確であることから大幅な変更が必要か?

追加スライド 疑似症サーベイランスについて 疑似症サーベイランスの課題症例定義が幅広いこと 医療機関の届出に対する負担感が大きいこと等のため 本来の機能を十分に果たしていない 疑似症サーベイランス変更案 報告対象 : 感染症を強く疑う ( 発熱 呼吸器症状 発しん他 )+ 症状が重篤 ( 集中治療に準じる医療が必要 )+ 直ちに特定の感染症と診断することが困難な症例 メリット : 公衆衛生インパクトの高い感染症を早期に探知できる 検討課題 : 医療機関の選定 関係機関における検査の実施内容 平成 30 年 9 月 27 日感染症部会資料より抜粋

競技会場関連の医療体制 ( イメージ図 ) と東京大会中の理想的なサーベイランス 有症状者 ( 観客 選手等 ) 医務室 ( 競技会場内など : 選手用 観客用など ) 観客等 観客等 大会指定医療機関以外の競技会場周辺の地域の病院 選手村総合診療所 組織委員会が設置 選手等 大会指定病院 組織委員会が指定 同上の地域のクリニック 注意点 : 観客等については必ずしも競技場周辺ではなく自宅周辺の医療機関を受診することがある 種類 理想的な実施状況 種類 理想的な実施状況 種類 理想的な実施状況 全数把握 本来の報告義務に従う 全数把握 本来の報告義務に従う 全数把握 本来の報告義務に従う 定点把握 原則対象外 定点把握 平素の役割通り 定点把握 平素の役割通り 原因不明重症疾患の探知 検査診断力が限定的であれば探知力は限定的 原因不明重症疾患の探知 東京大会中の強化が望まれる 原因不明重症疾患の探知 基本的には普段通り 症候によるサーベイランス 導入が望ましい 症候によるサーベイランス 導入が望ましい 症候によるサーベイランス 必須の対象ではない 大会関係者に関する集団発生報告 保健所との連携体制の構築のもとに実施 大会関係者に関する集団発生報告 保健所との連携体制の構築のもとに実施 大会関係者に関する集団発生報告 保健所との連携体制の構築のもとに実施

大会関係者における集団発生情報の収集 大会組織委員会との協力 選手村内の関係者 ( 選手 役員 スタッフ ) 大会関係者の滞在先ホテルの従業員 ボランテイア 警備関係者などについては 大会組織委員会の協力を得て集団発生の早期探知の仕組みと行政との協力体制を整えることが望ましい 医務室や選手村総合診療所の医師 各国選手団の同行医師からの情報は精度が高いことが期待されるが 同時に敏感度が高い情報であることにも注意が必要 集団発生を起こしやすいなど 大会関係者における早期探知の仕組みが必要な疾患 事象について あらかじめ大会組織委員会と行政の間で協議を行っておくことが重要である 医療機関との協力体制 競技場の周辺医療機関や医師会等に対して 大会関係者に関する集団発生事例の自治体への一報についての協力を依頼する ( 必要があれば )

東京大会期間中の関係者との感染症関連の情報共有

公式情報の発出 ( 今後の検討事項 ) 特段の事例が発生していない段階 : 定型 定時の情報共有 感染症発生動向調査週報 : 平時通り 東京大会向けの日報 ( 日本語 英語 ): 関係者回覧用 ( ただし公表に近いと考えるべき ) 国内の主な感染症の発生状況とリスク評価 ( 関係自治体からの情報の集約 ): 何もない ことの確認とその周知も大事 大会組織委員会からの情報は? 海外で発生した感染症事例のスクリーニングと東京大会への影響の評価 アウトブレイク発生時 アウトブレイクレポート : 関係者回覧用 ( ただし公表に近いと考えるべき ) 臨時の情報公開 ( プレス発表等 ): リスク評価に基づき実施される 通常は管轄自治体が実施するが 東京大会に関係する事例であった場合の大会組織委員会の役割は? 誰が どのタイミングで 何をやるか エクササイズ等と通じた具体的な検討と 一定の事前合意が必要

東京大会に向けて : その他の考慮点

情報共有 対応など 情報共有 普段とは異なる関係者の存在 できるだけ普段の情報共有ルートを崩さずに運用することができないか検討する 東京大会時は 情報共有のタイムラインを平素よりも前倒しにする必要があるかどうかについて検討する SNS などによって情報が混乱することを想定しておく必要がある 海外への情報発信の強化 対応 アウトブレイク時の選手村等への立ち入りの手順 外国語での対応 感染症以外の健康問題 ( 例 : 熱中症 ) テロ

輸入感染症の診断支援 : 輸入デング熱症例の情報還元 渡航者のリスク評価 ( どの国への渡航がリスクが高いか?) 国内の臨床医への診断の助けのために 適時に感染症発生動向調査情報を還元することが目的 ( 渡航国のサーベイランスがうまく機能していない場合には特に有用 )(2017 年 1 月から毎月更新 ) 渡航国別の輸入デング報告数は 渡航先のデング熱の流行の程度とともに 渡航者数により影響を受ける 渡航国別の日本人渡航者数を分母としたものも合わせて提示 https://www.niid.go.jp/niid/ja/dengue-m/690-idsc/6663-dengue-imported.html

他の輸入感染症へも拡充 (2018 年 5 月 18 日 ~ 半年に 1 回更新予定 ) アメーバ赤痢 E 型肝炎 A 型肝炎 クリプトスポリジウム症 細菌性赤痢 ジアルジア症 ジカウイルス感染症 チクングニア熱 腸チフス パラチフス 風疹 麻疹 マラリア レプトスピラ症 https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/1709-source/transport/idsc/8045-imported-cases.html

海外への情報発信 : ワクチン予防可能疾患 各国公衆衛生当局 関係機関に対して 2019 年ラグビーワールドカップ 東京大会に関連した訪日客へ 提示した疫学データをもとに 必要なワクチン推奨を行うことを勧めているムンプス 麻しん 風しん インフルエンザ 髄膜炎菌のワクチン接種の必要性についての検討 A 型肝炎 日本脳炎のハイリスク者に対しては これらのワクチンの必要性についても検討 WPSAR Vol 9, No 2, 2018 doi: 10.5365/wpsar.2017.8.4.002