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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

愛媛県学力向上5か年計画

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教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

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資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

学校の危機管理マニュアル作成の手引

基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

南陽市登下校防犯プラン 南陽市教育委員会 H30.8 月策定 1 はじめに平成 30 年 5 月 新潟市において 下校途中の7 歳の児童が殺害された事件を受け 今後も 社会全体で子供の安全を守ることが一層求められている そのような中 平成 30 年 6 月 22 日 登下校時の子供の安全確保に関する

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学校安全の推進に関する計画(表紙・目次・本文)

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基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします

平成18年度標準調査票

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評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

教員の専門性向上第 3 章 教員の専門性向上 第1 研修の充実 2 人材の有効活用 3 採用前からの人材養成 3章43

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

新学習指導要領の理念と カリキュラム マネジメント 2019( 平成 31) 年 1 月 16 日 文部科学省 3 階講堂 天笠茂 ( 千葉大学特任教授 )

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工業教育資料347号

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

県立学校職員 ( 趣旨 ) 第 1 条この要綱は 地方公務員法 ( 昭和 25 年法律第 261 号 ) 第 15 条の2 第 1 項第 5 号の規定に基づき 山形県教育委員会における職員 ( 学校教育法 ( 昭和 22 年法律第 26 号 ) 第 7 条に規定する校長及び教員等 ) の標準職務遂行

ICT による新しい学び 急速な情報通信技術 (ICT) の進展やグローバル化など 変化の激しい社会を生きる子供たちに 確かな学力 豊かな心 健やかな体の調和のとれた 生きる力 を育成することがますます重要になってきています 2

「標準的な研修プログラム《

持続可能な教育の質の向上をめざして ~ 教員の多忙化解消プラン に基づく取組について ~ 平成 30 年 3 月 愛知県教育委員会

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P5 26 行目 なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等の関係から なお 農村部は 地理的状況や通学時 間等から P5 27 行目 複式学級は 小規模化による学習面 生活面のデメリットがより顕著となる 複式学級は 教育上の課題が大きいことから ことが懸念されるなど 教育上の課題が大きいことから P

ICTを軸にした小中連携

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

市中学校の状況及び体力向上策 ( 学校数 : 校 生徒数 :13,836 名 ) を とした時の数値 (T 得点 ) をレーダーチャートで表示 [ ] [ ] ハンドボール ハンドボール投げ投げ H29 市中学校 H29 m 走 m 走 表中の 網掛け 数値は 平均と同等または上回っているもの 付き

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1. 地域における連携の強化ああ登下校時における防犯対策の推進に当たっては 警察 教育委員会 学校 自治体の3 者に加え 放課後児童クラブ 放課後子供教室 地域住民 保護者等の関係者が連携することが不可欠である このため 以下の対策に取り組む (1) 登下校時における防犯対策に関する 地域の連携の場

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

Q1: 社会に開かれた教育課程 の実現とは, どのようなことですか? A: 教育課程を編成する際には, よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念とともに, 子どもたちにどのような資質 能力を育むのかについて学校と社会が共有することが求められています さらに, 社会と連携 協働することでそ

新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について(答申のポイント等)

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第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

広島市障害者計画 2013 ー 2017 平成 25 年 3 月 広島市

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

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目次 1 はじめに 1 2 根拠法令 1 3 計画期間 1 4 大綱の基本方針 2 5 主な取組 3 参考資料 7

第4章 道徳

第 1 章高校教育を取り巻く現状と課題 2 高校教育を取り巻く現状と課題 (2) 県立高校の現状と課題 4 不登校生徒や中途退学者の状況 そのため, 高校と中学校 特別支援学校 地域の保健福祉部門等との連携を強化し, 教育相談体制を拡充するとともに, 生徒一人一人の自己肯定感の涵養や自己実現を積極的

(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ


別添 事業者向け放課後等デイサービス自己評価表 及び 保護者等向け放課後等デイサービス評価表 について 放課後等デイサービスガイドライン ( 以下 ガイドライン ) は 放課後等デイサービス事業所における自己評価に活用されることを想定して作成されたものですが 各事業所で簡易に自己評価を行うことができ

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岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

農山漁村での宿泊体験活動の教育効果について

大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

平成18年度標準調査票

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18 定期的にモニタリンク を行い 放課後等ディサービス計画の見直しの必要性を判断しているか 19 カ イト ラインの総則の基本活動を複数組み合わせて支援を行っているか 20 障害児相談支援事業所のサービス担当者会議にその子どもの状況に精通した最もふさわしい者が参画しているか 関係機関や保護者との連

各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

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二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

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福利厚生基本計画

基本施策情報活用能力の育成を図ります 幼児教育の推進 にあたっては 幼児期が生涯の人格形成の基礎を培う大切な時期であるとの認識のもと 子どもたちの心身の発達に資する質の高い幼児教育を推進します 2 人との絆や自然との関わりの中で伸びゆく豊かな心の育成 子どもたちが生命を大切にする心や思いやりの心 感

02-01 ビジョンの基本的考え方

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領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

平成30年度学校組織マネジメント指導者養成研修 実施要項

104 (3) 全中学校において アクティブスクール を展開 全中学校を アクティブスクール として位置付け 自校の目標 ( 値 ) や取組内容を定めた 体力向上推進計画 を作成し 取組を強力に推進している (4) スーパーアクティブスクール や アクティブライフ研究実践校 による取組中学校 47

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1 趣旨このガイドラインは 日本国内の公道 ( 道路交通法 ( 昭和 35 年法律第 105 号 ) 第 2 条第 1 項第 1 号に規定する 道路 をいう 以下同じ ) において 自動走行システム ( 加速 操舵 制動のうち複数の操作を一度に行い 又はその全てを行うシステムをいう 以下同じ ) を

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神奈川県立逗子高等学校いじめ防止基本方針 1 いじめの防止等に関する基本的な考え方 ( 本校のいじめ防止に関する基本的な姿勢 ) いじめは いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず その生命又は身体に重大な危険を生じさせるお

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

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5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について

目 次 1 実施方針策定の趣旨 P. 1 2 振興計画に基づく取組みと求められる対応 P. 1 (1)Ⅰ 期期間中の取組み (2) 新制度のもと求められる対応 3 当面の実施方針 P. 2 (1) 基本となる考え方 (2) 当面の実施方針 4 新制度のもとでの市立幼稚園 P. 3 (1) 市立幼稚園

Transcription:

第 2 次 山口県学校安全推進計画 平成 2 9 年 1 2 月 山口県教育委員会

はじめに本県では 平成 27 年 3 月に 山口県学校安全推進計画 を策定し 子どもたちが安心 安全な学校生活を送ることができるよう 学校における安全管理体制の整備をはじめ 危険予測学習の手法による子どもたちの危険予測 回避能力の育成など 学校と家庭 地域 関係機関等が連携を図りながら 学校安全の取組を進めてまいりました 学校安全の推進体制は整いつつありますが 登下校中等の事件や交通事故 台風 土砂災害 地震 津波等の自然災害など 子どもたちを取り巻く環境には なお多くの危険が潜んでおり 子どもたちの安全確保に向けた取組の重要性はますます高まっております また 国においては 平成 24 年 4 月に策定された 学校安全の推進に関する計画 の5 年間の計画期間中における成果や課題 情勢の変化等を検証し 平成 29 年 3 月に 第 2 次学校安全の推進に関する計画 を策定したところです こうした国の動きや 本県での子どもたちが関係する事件 事故 災害の発生状況を踏まえて 学校安全の更なる充実を図るため 第 2 次山口県学校安全推進計画 を策定することといたしました 第 1 次計画と同様に 事件 事故 災害による被害を未然に防ぎ 子どもたちのかけがえのない命を守ること 子どもたちが自らの命を自ら守るために主体的に行動できる力を育成すること 自分の安全を確保した上で 周囲の人や社会の安全に貢献できる力を育成すること を学校安全の目標として掲げ 目標実現のために現状の課題把握とともに 基本的方向性と具体的方策を示しています 本計画に沿って 実効性のある学校安全を推進していくためには 市町教育委員会 関係機関等との密接な連携はもとより 学校 家庭 地域等 子どもたちの育成に関わる全ての関係者が一体となって取組を進めるための体制づくりや 具体的な取組と 評価 検証 改善を行っていくことが必要です 引き続き 関係各位の御尽力を賜り 全ての学校において安全教育 安全管理 組織活動の充実が図られ 子どもたちが 安全な教育環境の下 生涯にわたって安全で健康な生活を送るための基礎を培うとともに 自ら安全に行動し 周囲の人や社会の安全に貢献できる力を身に付け 事件 事故 災害から家族や地域を守ることができる大人へと成長していくことを願っています 平成 29 年 12 月 山口県教育委員会 教育長浅原司

目 次 第 1 章学校安全の現状と課題及び本計画の位置付け 1 1 本県における学校安全に係るこれまでの取組 1 2 本県におけるこれまでの取組を踏まえた課題 1 3 第 2 次山口県学校安全推進計画 の位置付け 3 第 2 章今後の学校安全推進の方向性 4 1 めざすべき姿 学校安全の目標 基本方針 4 2 施策目標 4 (1) 学校安全に関する組織的取組の推進 (2) 安全に関する教育の充実方策 (3) 学校の施設及び設備の整備 点検 (4) 学校安全に関する PDCAサイクルの確立を通じた事故等の防止 (5) 家庭 地域 関係機関等との連携 協働による学校安全の推進 第 3 章学校安全を推進するための方策 8 1 学校安全に関する組織的取組の推進 8 (1) 学校における人的体制の整備 (2) 学校安全計画及び危機管理マニュアルの検証 周知の徹底 (3) 学校安全に関する教職員の研修の充実 2 安全に関する教育の充実方策 12

(1) カリキュラム マネジメント の確立を通じた系統的 体系的な安全教育の推進 (2) 指導の改善 充実 (3) 現代的課題への対応 3 学校の施設及び設備の整備 点検 18 (1) 学校施設の安全性の確保のための整備 (2) 学校における非常時の安全に関わる設備の整備 点検 4 学校安全に関する PDCA サイクルの確立を通じた 事故等の防止 20 (1) 学校における安全点検 (2) 学校管理下において発生した事故等の検証と再発防止策 5 家庭 地域 関係機関等との連携 協働による 学校安全の推進 23 (1) 家庭 地域との連携 協働の推進 (2) 関係機関等との連携による安全対策の推進 資料編 26 1 学校安全関係機関等連絡先 2 学校安全関連資料参照先 (1) 山口県教育委員会 学校安全関連サイトマップ (2) 文部科学省 (3) その他 3 参考文献

第 1 章学校安全の現状と課題及び本計画の位置付け 第 1 章学校安全の現状と課題及び本計画の位置付け 1 本県における学校安全に係るこれまでの取組山口県教育委員会 ( 以下 県教委 ) では 平成 27 年 3 月に 山口県学校安全推進計画 を策定し 学校安全に係る様々な施策を推進してきた 具体的には 地域ぐるみの学校防災総合推進事業 や 子どもたちの安心安全総合推進事業 の取組の中で 学校における安全管理体制の強化や児童生徒等の危険予測 回避能力の育成に努めてきた また 各市町では スクールガードが全小中学校区に組織されてきたことや やまぐち型地域連携教育の仕組みを生かした取組が進みつつあること等 地域ぐるみで児童生徒等の安全を守る体制の整備を進めてきた 日本スポーツ振興センター災害共済給付状況を見ると 学校管理下における県内の子どもたちの負傷 疾病者数は 近年減少傾向にあり こうした取組が一定の成果を上げていると考えられる しかしながら 近県において発生している集中豪雨による土砂災害 河川の氾濫や 地震による大規模災害等に対して しっかりとした備えが必要とされる場面は 数多く想定される また 児童生徒等への声かけやつきまとい 登下校時の重大交通事故 さらには 被害者のみならず加害者にもなり得る自転車乗車中の事故等 安全や命に関わる事件 事故 災害が後を絶たず 学校安全の取組の更なる深化 充実が求められている 2 本県におけるこれまでの取組を踏まえた課題 これまで 学校安全の目標として 事件 事故 災害等による被害を未然に防ぎ 子どもたちのかけがえのない命を守ること 子どもたちが自らの命を自ら守るために主体的に行動できる力を育成すること 自分の安全を確保した上で 周囲の人や社会の安全に貢献できる力を育成すること の 3 点を設定し 次の 6 つの基本方針により 学校安全の取組の推進を図ってき た 1

第 1 章学校安全の現状と課題及び本計画の位置付け 1 自他の命を守る 交通安全 の推進 2 防災対応能力の向上を図る 災害安全 ( 防災 ) の推進 3 安全意識 能力を育む 防犯を含む生活安全 の推進 4 教職員の安全意識の向上と学校の危機対応能力の強化 5 保護者 地域 関係機関と連携した学校安全の取組強化 6 総合的な安全教育 安全管理の取組を推進する組織活動の充実 取組の成果や課題を取り上げると 次のようになる 県教委作成の 学校危機対応演習資料 等を活用した実践的な研修会や出前講座の実施等を通じ 教職員の安全意識の向上を図るとともに 危機対応能力の強化に努めてきた 併せて 学校の安全に関する設備の充実 避難所機能の強化を図ってきた 各学校では 担当教員を位置付けて学校安全への取組が行われてきてはいるものの 若手の教員が増えている現状を考えると 更なる研修の充実が必要である 危険予測学習 (KYT) の実施率は 90% を超えており 児童生徒等の主体的な学びの場が確保されてきている 一方で 学校で作成した資料等による児童生徒等や地域の実態に応じた より実効性のある取組については 今後一層の充実を図る必要がある 県教委作成の 防災教育テキスト 防災訓練事例集 の活用や専門家と連携した防災出前授業の実施等により 計画的かつ効果的に防災教育を推進してきている 防災訓練の実施率は 100% であり 学校で積極的に取り組まれているところであるが 日時等を事前に告げない避難訓練の実施率は低く いつ発生するか予測ができない災害への備えが万全であるとは言えない状況である スクールガードによる登下校の見守り等 地域と連携した取組は充実してきている しかし 通学路の安全マップ作成の割合は高いとは言えず 児童生徒等が自ら危険予測できる主体的な態度の育成という視点では 今後も工夫した取組が必要である 学校施設及び設備の整備 点検については 今後も安全対策を徹底すると同時に 3 領域 ( 生活安全 交通安全 災害安全 ) の観点から通学 通園路の点検を実施して 事故等の防止に向けた取組をさらに充実させていく必要がある 2

第 1 章学校安全の現状と課題及び本計画の位置付け また 危機管理マニュアルの検証 改善への取組は定着しているものの 全ての教職員の安全意識向上や危機対応能力を強化し 地域ぐるみでの学校安全を推進するために 研修の場を計画的に設定するとともに 保護者や地域住民への周知を徹底させていく必要がある やまぐち型地域連携教育が推進され 家庭や地域とともに学校安全への取組を充実させようとする機運は高まりつつあり 今後は 地域間 学校間の格差をなくし 取組の質と水準を高めていく必要がある また 学校が避難所となる場合もあり得ることから 防災担当部局との連携をさらに強化していくことが求められる 取組の中で 例えば大規模災害発生を想定した児童生徒等の保護者への引き渡し訓練の実施率は 80% を超えている等 組織的な取組が充実してきている 今後も 検証と改善を継続して 地域の実態に応じた実効性のある活動を展開していく必要がある これらの具体的な取組の成果や課題を踏まえ 学校安全の全ての領域について 全ての教育活動により さらに総合的かつ効果的に推進していく必要がある 3 第 2 次山口県学校安全推進計画 の位置付け平成 21 年 4 月に改正された学校保健安全法第 3 条第 2 項では 国の責務として 各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため 学校安全の推進に関する計画の策定その他所要の措置を講ずるものとする ことが規定されている 併せて 同第 3 条第 3 項には 地方公共団体は 国が講ずる前項の措置に準じた措置を講ずるように努めなければならない とされている 本推進計画は 地方公共団体として 各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進する ことを目的に 第 1 次計画における学校安全の取組について 成果と課題を明確にして新たな方向性を明確にすることを意図している そして 本県における学校安全の質と水準の向上に資するため 平成 33 年度までの おおむね4 年先までを見通して 本県における学校安全の推進に向けて その基本的な方向性と具体的方策を示すものである 3

第 2 章今後の学校安全推進の方向性 第 2 章今後の学校安全推進の方向性 1 めざすべき姿 学校安全の目標 基本方針 めざすべき姿 全ての児童生徒等が 安全に関する資質 能力を確実に身に付けることをめざす 学校管理下における児童生徒等の事故に関し 死亡事故はもちろんのこと 負傷 疾病の発生について 確実に減少させることをめざす 学校安全の目標 事件 事故 災害による被害を未然に防ぎ 子どもたちのかけがえのない命を守ること 子どもたちが自らの命を自ら守るために主体的に行動できる力を育成すること ( 自助 ) 自分の安全を確保した上で 周囲の人や社会の安全に貢献できる力を育成すること ( 共助 公助 ) 基本方針 ~ 学校安全 3 領域 3 活動の取組を総合的かつ効果的に推進 ~ (3 領域 ) 1 安全意識 能力を育む 防犯を含む生活安全 の推進 2 自他の命を守る 交通安全 の推進 3 防災対応能力の向上を図る 災害安全 ( 防災 ) の推進 (3 活動 ) 4 学校教育活動全体を通じた 安全教育 の充実 5 PDCA サイクルの確立を重視した 安全管理 の充実 6 教職員の資質向上と 総合的な学校安全の取組による 組織活動 の充実 2 施策目標 (1) 学校安全に関する組織的取組の推進児童生徒等の安全を脅かす事故等は 学校管理下のあらゆる場面で発生することが予想されることから 全ての学校及び教職員は 日頃から事故等の未然防止や事故発生時における対応に関して 適切かつ組織的に行うことが必要である また 学校教育活動全体を通じた系統的 体系的で実践的な安 4

第 2 章今後の学校安全推進の方向性 全教育を推進するためには 学校組織全体が安全教育に関する目標を共有して 組織的に取り組むことが必要である このため 全ての学校において 管理職のリーダーシップの下 学校安全の中核となる教職員を中心として 組織的な取組を的確に行えるような体制を構築するとともに 学校安全計画及び危機管理マニュアルの改善等を徹底することが必要である 施策目標 1 全ての学校において 管理職のリーダーシップの下 学校安全の中核となる教職員を中心とした組織的な学校安全体制を構築する 施策目標 2 全ての学校において 学校安全計画及び危機管理マニュアルを関係者に周知する 施策目標 3 全ての学校において 自校の学校安全に係る取組を評価 検証し 学校安全計画及び危機管理マニュアルの改善を行う 施策目標 4 全ての教職員が 各種機会を通じて 各キャリアステージにおいて 必要に応じた学校安全に関する研修等を受ける (2) 安全に関する教育の充実方策児童生徒等が安全に関して主体的に行動する態度を身に付けるためには 学校における安全教育の質 量の両面での充実が不可欠である このため 全ての学校において 学校安全計画に安全教育の目標を位置付け これに基づいて カリキュラム マネジメントの確立と主体的 対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行い 系統的 体系的で実践的な安全教育を実施する 施策目標 5 全ての学校において 学校教育活動全体を通じた安全教育を実施する 施策目標 6 全ての学校において 自校の安全教育の充実の観点から その取組を評価 検証し 学校安全計画 ( 安全管理 研修等の組織活動を含む ) の改定を行う 5

第 2 章今後の学校安全推進の方向性 (3) 学校の施設及び設備の整備 点検学校施設は児童生徒等の学習 生活の場であり その安全性を確保することは極めて重要である 加えて 地域のコミュニティの拠点であり 災害時には避難所ともなることから 東日本大震災以降の教訓を踏まえ 耐震化及び防災機能の強化が推進されてきたところである また 加えて安全対策の観点から老朽化対策を推進する 施策目標 7 全ての学校において 耐震化の早期完了をめざすとともに 緊急的に取り組むことが必要な老朽化対策等の安全対策を実施する 施策目標 8 全ての学校において 地域の特性に応じ 非常時の安全に関わる設備の整備を含めた安全管理体制を充実する (4) 学校安全に関するPDCA サイクルの確立を通じた事故等の防止児童生徒等が安全で安心な環境下で学校生活を送ることを担保するためには 学校管理下における事故等の未然防止や再発防止策の確実な実施が必要である このため 全ての学校において 外部の専門家や関係機関と連携した安全点検を徹底するとともに 事故等の未然防止や発生後の調査 検証 再発防止のための取組の改善 充実を一連のサイクル (PDCAサイクル ) として実施する 施策目標 9 全ての学校において 定期的に学校施設 設備の安全点検を行うとともに 3 領域 ( 生活安全 交通安全 災害安全 ) 全ての観点から通学 通園路の安全点検を行い 児童生徒等の学校生活環境の改善を行う 施策目標 10 全ての学校において 学校管理下における重篤な事故等が発生した場合には 学校事故対応に関する指針 に基づく調査を行い 再発防止に資する (5) 家庭 地域 関係機関等との連携 協働による学校安全の推進児童生徒等の安全に関する課題については 複雑で多様な要因が関係しているものも多いことから 学校や教職員のみによって学校安全の取組を適切に進めることは困難である このため 全ての学校において 保護者や地域 6

第 2 章今後の学校安全推進の方向性 住民 関係機関等との連携 協働に係る体制を構築し それぞれの責任と役割を分担しつつ 学校安全に取り組む 施策目標 11 全ての学校において 児童生徒等の安全に関する保護者や地域住民との連携体制を構築する 施策目標 12 全ての学校において 児童生徒等の安全に関する外部専門家や関係機関との連携体制を構築する 7

第 3 章学校安全を推進するための方策 第 3 章学校安全を推進するための方策 1 学校安全に関する組織的取組の推進 (1) 学校における人的体制の整備 課題 方向性第 1 次計画では 学校における学校安全計画や各種安全に関する実施計画の策定 学校安全に関する活動の企画 調整 評価について 取組の中核となる教職員を 学校安全担当 として校務分掌の中に定め 学校安全を推進する体制を整備することが重要であることを示してきたが 実際に学校安全計画を立案 実践しているのは管理職が中心であるという学校が多い 学校での防災教育や防災管理等の実践活動に取り組んでいる例がある一方 優れた安全教育 安全管理の取組の多くは 一部の意欲のある教職員によって担われているという現状もあり 県内の学校における優れた安全教育 安全管理の取組の普及 定着に向け 学校内の人的体制整備に引き続き取り組むことが求められる また やまぐち型地域連携教育の仕組みを生かした地域人材の活用や 外部専門家等を活用した人的体制の更なる充実が必要である 具体的な方策視点 1 中核となる教職員の位置付けと育成県教委は 中核となる教職員の位置付けについて 各種研修会等において効果的な実践事例等を紹介することにより 全ての学校への普及とともに人材育成の取組を推進する 各学校においては 県教委の取組を踏まえて 学校安全の中核となる教職員の役割の明確化を図るとともに OJTの手法を生かして 人材育成を推進することが必要である また 管理職のリーダーシップの下 教職員全体で学校安全に取り組む組織体制づくりを進めることが重要である 視点 2 地域人材や専門家等の活用やまぐち型地域連携教育を推進する中で 小学校 中学校を中心に より効果的な地域人材の活用が図られているところである 8

第 3 章学校安全を推進するための方策 学校安全の推進においても 家庭 地域等との連携 協働について更なる推 進を図りつつ 地域の実態に応じた取組が成されるよう地域人材や外部専門家 等を活用した人的体制をより充実させることが必要である (2) 学校安全計画及び危機管理マニュアルの検証 周知の徹底 課題 方向性学校保健安全法に基づき 学校安全計画及び危機管理マニュアルの策定が義務付けられており 平成 27 年度の調査では 県内の全ての学校において策定及び定期的な見直しが成されている しかし 危機管理マニュアルを策定している学校であっても 危機管理マニュアルに盛り込んでいる内容を領域別に見ると 生活安全 災害安全については 100% であるが 交通安全については 96.6% となり 全ての領域に対応したマニュアルの作成に至っていない場合があるため その徹底を図る必要がある また 保護者や地域住民への 計画やマニュアルの周知については十分とは言えないのが現状である 具体的な方策視点 1 検証と改善及び関係者との情報共有学校や児童生徒等を取り巻く環境が年々変化し 新たな危機事象や各地域でこれまで想定されていなかった自然災害等が発生していることを鑑みれば 既に学校安全計画や危機管理マニュアルを策定している学校においても 不断の検証 改善が必要である その際 各学校の地域特性を踏まえて取り組む安全教育の目標やめざすべき児童生徒像 教職員の研修計画等 学校安全に関する基本的な方針を明確にするとともに 様々な事故等を踏まえ 適宜検証 改善を行っていくことも必要である その際 独立行政法人日本スポーツ振興センターの提供する学校事故に関する情報や外部専門家等の助言 実際の訓練の結果を活用 反映する等して より実効的なものにしていくことが重要である また 教職員への周知徹底のみならず 学校だよりや Webページ等を活用して 必要な部分を保護者や地域住民と情報を共有することが重要である なお 県教委においては 各学校及び幼稚園や特別支援学校を含めた各学校種の特性に応じた学校安全計画等の検証 改善を促進する 9

第 3 章学校安全を推進するための方策 視点 2 カリキュラム マネジメント の確立学校安全計画に関しては 系統的 体系的で実践的な安全教育を推進する上で学校の教育活動全体を通じた カリキュラム マネジメント の確立が不可欠である また 立案においては 地域人材や外部専門家等を活用することや 教科や領域を横断した計画が立案されているか等の検証の視点が必要である (3) 学校安全に関する教職員の研修の充実 課題 方向性学校安全に係る取組を中心となって推進するのは教職員であることから 全ての教職員が 学校管理下における児童生徒等の安全に万全を期すという強い意識をもつとともに 児童生徒等の健康と安全を守る上で必要なことや 児童生徒等に対する指導内容 方法等に係る基礎的な知識 技能を身に付けておかなければならない これまで 県教委においては 各種研修会や危険予測学習 (KYT) 資料集等を活用して 教職員の安全管理に対する意識を高めることに努めてきた しかし 依然として 管理職が学校安全の推進役を担う傾向が続いていることや 近年の教職員の大量退職 大量採用の影響により 過去に発生した自然災害や学校管理下における事故等への対応について経験のない若手教職員が増加し 児童生徒等の安全教育や安全管理に対する危機感が希薄化しているのが現状である 具体的な方策視点 1 キャリアステージに応じた資質 能力の向上教職員の学校安全に関する資質 能力の向上を図るため 教職員人材育成基本方針 を踏まえて 策定中の ( 仮 ) 山口県教員育成指標 の中において 若手 中堅 ベテラン 管理職等 キャリアステージに応じて身に付けるべき学校安全に係る資質 能力を具体化に位置付ける 視点 2 OJTの推進学校は 教職員のキャリアステージに応じて国や県における研修と連動した校内研修を充実させることが必要である また 全ての教職員が学校安全に関する研修等を受けることができるよう 研修機会の充実を図るだけでなく O JTで職能を高めていくことも必要である 10

第 3 章学校安全を推進するための方策 研修においては 外部機関の知見も活用しつつ 学校が立地する地域の自然条件等の地域特性を踏まえた安全課題とともに 体育 運動部活動における事故防止のための適切な指導方法及び食物アレルギーをはじめとする健康課題や自動体外式除細動器 (AED) の適切な使用を含む心肺蘇生に関する適切な対応方法等に関する内容の扱いを徹底することが重要である 視点 3 教育課程における学校安全の視点の明確化教職員が 教育課程における学校安全の視点を明確にしながら 教育実践 取組の評価改善を行うために必要な資質 能力を身に付けることで 事故の未然防止や児童生徒等の主体的な安全学習への取組を充実させる必要がある また 前述した カリキュラム マネジメント の視点を 全ての教職員が共有して教育活動を推進していくことが大切である 11

第 3 章学校安全を推進するための方策 2 安全に関する教育の充実方策 (1) カリキュラム マネジメント の確立を通じた系統的 体系的な安全教育の推進 課題 方向性第 1 次計画においては 各教科 道徳 特別活動 総合的な学習の時間等 学校の教育活動全体において行われる総合的な安全教育によって 日常生活全般における安全確保のために必要な事項を実践的に理解し 自他の生命尊重を基盤として 生涯を通じて安全な生活を送る基礎を培うとともに 進んで安全で安心な社会づくりに参加し貢献できる資質 能力を養うことをねらいとした 幼稚園 小学校 中学校 高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について ( 答申 ) ( 平成 28 年 12 月 21 日中央教育審議会 ) では 安全で安心な社会づくりのために必要な力 は 現代的な諸課題に対応して求められる資質 能力の一つとして 教科等の関係を明確にし どの教科等におけるどのような内容に関する学びが資質 能力の育成につながるのかを可視化し 教育課程全体を見渡して確実に育んでいくこと とされている これを踏まえ 各学校におけるカリキュラム マネジメントの確立や 主体的 対話的で深い学びの実現に向けた授業改善により 安全に関する資質 能力を 各学校段階を通じて教科等横断的な視点で体系的に育んでいくことが重要である 上記の答申においては 全ての教科等について育成をめざす資質 能力を 知識 技能 思考力 判断力 表現力等 学びに向かう力 人間性等 の 3 つの柱で整理している 健康 安全 食に関する資質 能力 についても同様に整理しており このうち安全に関する内容を示すと次のようになり 各学校には これを踏まえつつ地域の特性や児童生徒等の実情に応じた安全教育の推進が求められる 12

第 3 章学校安全を推進するための方策 安全に関する資質 能力 ( 平成 28 年 12 月 21 日中央教育審議会 ) ( 知識 技能 ) 様々な自然災害や事件 事故等の危険性 安全で安心な社会づくりの意義を理解し 安全な生活を実現するために必要な知識や技能を身に付けていること ( 思考力 判断力 表現力等 ) 自らの安全の状況を適切に評価するとともに 必要な情報を収集し 安全な生活を実現するために何が必要かを考え 適切に意思決定し 行動するために必要な力を身に付けていること ( 学びに向かう力 人間性等 ) 安全に関する様々な課題に関心をもち 主体的に自他の安全な生活を実現しようとしたり 安全で安心な社会づくりに貢献しようとしたりする態度を身に付けていること 具体的な方策 視点 1 安全を守るための資質 能力の育成 これらの能力を高めていくために 前述の学校における人的体制の整備や学 校安全に関する教職員の研修を推進していく必要がある 安全を守るために必 要な資質 能力について 教職員が理解を深め 児童生徒等の実態に応じた指 導目標を設定するとともに その具現化に向けた手だてを講じていく必要があ る 視点 2 自助 共助 公助の視点を適切に取り入れた教育課程編成 各学校は 自助 共助 公助の視点を適切に取り入れながら 地域の特性や 児童生徒等の実情に応じて 各教科等の安全に関する内容のつながりを整理し 教育課程を編成することが必要である 具体的には 各教科や総合的な学習の 時間 特別活動等において年間を通じて指導すべき内容を整理して 学校安全 計画に位置付けることにより 系統的 体系的で実践的な安全教育を計画的に 実施することが求められる また 児童生徒等が安全に関する資質 能力を教科等横断的な視点で確実に 育むことができるよう 児童生徒等の意識の変容等の教育課程の実施状況に関 する各種データの把握 分析を通じて 安全教育に関する取組状況を把握 検 証し その結果を教育課程の改善につなげていく等 カリキュラム マネジメ ントの確立を通じて地域の特性や児童生徒等の実情に応じた安全教育を推進 することが必要である 13

第 3 章学校安全を推進するための方策 (2) 指導の改善 充実 課題 方向性安全で安心な生活や社会づくりに向けて主体的に行動する態度を育成するためには 様々な機会を通じて 体験的 実践的な学習を展開することが重要である 第 1 次計画期間中 各学校においては 通学路の安全マップの作成等 地域の安全課題に応じて 関係機関等と連携した教育や体験的 実践的な取組が行われつつあるが 例えば 事前に日時等を告げない避難訓練の実施率は 43.7% であり 工夫した取組を検討していく必要がある 危険予測学習 (KY T) の実施については取組が浸透しつつあるが 児童生徒等がより主体的に学習に取り組めるようにする必要がある また 地域や学校の実情に即した学校作成資料の活用については 34.1% にとどまっているのが現状であり 今後 積極的な取組が必要である 安全教育の推進が次世代の安全で安心な社会づくりに寄与するという観点からは より大人に近い年齢である中学生や高校生に対して 安全という価値を内面化するための教育を行うことの社会的意義は大きい また 青年期にある中学生や高校生が 地域の安全課題に対して一定の役割を担い その改善に貢献することは 生徒の自己肯定感の向上やキャリア意識の涵養につながると考えられる このため 中学校や高等学校においても 積極的な安全教育の展開が必要である また 自然災害や犯罪による被害防止に関する教育を行う際には 自然がもたらす恩恵や児童生徒等の安全を守る地域の努力についても触れることなどにより 児童生徒等が自身の暮らす地域に対して愛着をもつことができるようにすることへの配慮も必要である 具体的な方策視点 1 主体的 対話的で深い学び の実現に向けた授業改善事故等の発生に対して 自ら主体的に行動する態度を育むためには 児童生徒等が自ら危険予測し 安全な行動や社会づくりまでを考えるような体験的 実践的な学習が重要であることは言うまでもない このため 主体的 対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の必要性を踏まえつつ 児童生徒等の適切な意思決定や行動選択につながるような指導を行うために工夫改善が必要である 14

第 3 章学校安全を推進するための方策 視点 2 危険予測学習 (KYT) 資料の活用 充実危険予測学習 (KYT) は 子どもたちが危険性を主体的に学び 予測できる事故や災害による被害を未然に防止する上で有効な方法である より主体的な学びを促進するために 地域や学校の実情に即した資料を作成し 活用することで充実を図る必要がある 作成資料を学校間や地域間で共有し 取組の差を解消していくために 県教委では 各地域 学校における実践事例を定期的に取りまとめるとともに 学校安全関連サイトマップ の充実を図り 各学校等で作成した効果的な教材等の普及を促進する 視点 3 日時等を事前に告げない避難訓練等の実践的な学び学校における避難訓練については 火災を想定した訓練の実施率は 100% となっているものの 豪雨や土砂災害等を想定した訓練の実施率が十分ではない 今後 豪雨や土砂災害等を想定した訓練の実施を徹底するとともに 日時等を事前に告げない避難訓練を実施することにより 万が一に備えた実践的な学びの場を設定して 検証 改善していく必要がある なお 日時等を事前に告げない避難訓練の実施にあたっては 児童生徒等の発達の段階や行動特性及び学校の実情に合わせた方法に留意する 緊急時の保護者への児童生徒等の引き渡し訓練については 継続した取組により マニュアルの改善を図るとともに 保護者に対してはルールの周知等を徹底する必要がある 視点 4 地域学習の一環としての安全教育安全教育の推進に向けた指導の工夫改善の取組を 学校教育活動の中に定着させていくために 学校は教育課程全体を見通して どの教科等において何に取り組むのかということや それぞれの活動がどのように関連しているのかということについて あらかじめ整理し 教職員の共通理解を得ておくことが必要である 例えば 地域の防犯 交通安全 防災に係る安全マップづくりは 児童生徒等自身に周囲の環境における危険箇所の確認や危険予測を行わせたり 具体的な行動を考えさせたりする上で有効であるが 地域の歴史や自然環境を学ぶための活動と関連させることにより 児童生徒等が地域を様々な観点から理解することにも役立つものとなる このため 安全教育の観点だけでは 15

第 3 章学校安全を推進するための方策 なく 各教科等の目標を踏まえ地域学習の一環として位置付けるなどの工夫が必要である なお 共助 公助の観点から 中学生や高校生については具体的な行動ができるように 自らの果たすべき役割を自覚させていく必要がある (3) 現代的課題への対応 課題 方向性近年では スマートフォンやタブレットをはじめとして様々な電子機器からインターネットへの接続機会が増えるとともに SNSの普及などインターネットを経由したコミュニケーションツールの多様化への対応も求められている また スマートフォン等の携帯端末を利用しながらの歩行や自転車運転のマナー違反についても問題として取り上げられている また 人為的な影響による地球温暖化に伴う気候変動に関する科学的知見を踏まえると 風水害や高潮 土砂災害は 極端な気象による激甚化が予想されており 過去の経験を上回る可能性があることにも留意が必要である さらに 諸外国において日本人が巻き込まれるテロや犯罪被害が相次いでいる 児童生徒等の成長に伴いその活動範囲が海外にも広がることも念頭に置いて 安全教育を行うことが重要である 加えて 弾道ミサイルの発射に伴う被害の防止についても 国や県から示される対応に即した行動ができるように備えておく必要がある 具体的な方策視点 1 インターネット等の有害情報への対応 情報モラルの育成児童生徒等をインターネット上の有害情報から守り また 児童生徒等の情報モラルを育成するとともに 携帯端末を利用しながらの歩行や自転車運転等による交通事故をなくすため 教職員や保護者が児童生徒等を取り巻く ICT 環境の現状を正確に理解し 学校 家庭 地域 関係団体等が一体となって 技術の進展に柔軟に対応した教育に取り組む必要がある また 児童生徒等が海外を含めた様々な環境においても 適切な情報収集や危険予測により 自他の安全を守るために必要な行動をとる必要が生じることを念頭に置いて 安全に関する資質 能力を確実に身に付けさせることが必要である 16

第 3 章学校安全を推進するための方策 視点 2 弾道ミサイル発射に係る対応現下の国際情勢に鑑み 校内だけでなく校外での授業も含め様々な状況を具体的に想定しつつ 地域の実状に応じた具体的な対応方策について検討し 危機管理マニュアル及び学校安全計画等の見直しを行う必要がある また Jアラート等を通じて緊急情報が発信された際の児童生徒等の避難誘導等の安全確保の方策について 全教職員で共通理解を図っておく必要がある そのためには 地域の実情に応じて関係部局等と連携した避難訓練の実施について検討していく必要がある 17

第 3 章学校安全を推進するための方策 3 学校の施設及び設備の整備 点検 (1) 学校施設の安全性の確保のための整備 課題 方向性第 1 次計画で指摘されているとおり 学校施設は 児童生徒等の学習 生活の場であり その安全性を確保することは極めて重要である 加えて 地域のコミュニティの拠点であり 災害時には避難所ともなることから 東日本大震災以降の教訓を踏まえ 耐震化及び耐震対策を促進してきた 県立学校の耐震化率は 100% を達成しているが 市町立の幼稚園 小学校 中学校においては 早期に耐震化を完了させる目標を掲げている 今後 熊本地震等を踏まえた 各学校における危機管理マニュアルの改定や 屋内運動場の吊り天井等の落下防止等 非構造部材の耐震対策が急務である 具体的な方策視点 1 耐震化や吊り天井落下防止への対応 災害への対策構造体の耐震化や体育館等の吊り天井の落下防止対策については 今後も引き続き推進する 今後 南海トラフ巨大地震等の発生が懸念されていることから 東日本大震災における津波被害の教訓を踏まえ 津波による浸水が想定される地域の学校は 関係機関との緊密な連携の下 引き続き津波対策を講じることが必要である また 地震 津波以外の災害についても 学校の立地等地域の特性に応じ 関係機関と連携し 必要な対策を図っていくことが重要である (2) 学校における非常時の安全に関わる設備の整備 点検 課題 方向性地域に開かれた学校づくりを進めていく上では 児童生徒等の安全が確保されていることが大前提であり 外部からの不審者等の侵入防止の対策がとられていることが不可欠である また 災害等の発生時に安全確保のための応急的な対応を確実にとることができるよう 必要な設備を整備 点検しておくことも不可欠である 現状として 学校内外におけるボランティアによる巡回や警備の実施率及びさすまたやAEDの設置率は高い一方で 児童生徒等を対象とした AEDの実習の実施率は低い 18

第 3 章学校安全を推進するための方策 具体的な方策視点 1 AEDや防犯設備等の点検 管理や教職員 児童生徒等による使用訓練 AEDや防犯設備等は 非常時に有効に活用できなければならないことから 学校は 定期的な点検 管理や複数配置を含む設置場所の適正化 教職員による使用訓練を行うことが必要である 実態に応じて 児童生徒等による使用訓練についても 実施を検討することが望ましい また 学校以外の施設における事故等も参考にしながら 設備等の必要な改善措置を講じることが重要である 19

第 3 章学校安全を推進するための方策 4 学校安全に関するPDCA サイクルの確立を通じた事故等の防止 (1) 学校における安全点検 課題 方向性本県では 学校の施設及び設備の安全点検の実施率は 100% である このうち 66.8% の学校において支障となる事項が見つかっていることから 定期的な安全点検を行うことの重要性は極めて高いと言える 通学 通園路に関しては 従前より 生活安全 交通安全 災害安全の観点から 保護者 地域住民 関係機関等の協力を得ながら 通学 通園時の児童生徒等の安全が確保されるよう 定期的な点検が行われてきている 実施率は 全国平均より高くなっているものの 100% には至っておらず 今後の課題である 具体的な方策視点 1 施設及び設備の安全点検 通学 通園路点検の確実な実施平常時のみならず 地震や台風等の自然災害に対する施設及び設備の構造上 安全性等を確認することも重要である このため 学校及び市町教育委員会は 学校の施設及び設備の経年劣化等による危険箇所等の点検 確認を法令に基づき確実に行うとともに 特に児童生徒等が使用する機会が多い施設及び設備は点検の頻度を増やし 支障となる事項があると認めたときには 遅滞なく その補修 修繕等の改善措置を講じることが必要である 通学 通園路の安全対策については 学校の周囲の交通環境や生活環境は移り変わっていくものであることから 関係機関との連携の下 継続的な点検を行い その結果を踏まえた対策の改善 充実を一連のサイクル (PDCAサイクル ) として実施することが必要である 学校は 施設及び設備 通学 通園路 学校の危機管理体制等の点検を行うに当たっては 固定された担当者による自己点検だけではなく 複数の教職員による実施や担当場所を交換しての実施 外部の有識者や関係機関と連携し 専門的 科学的な視点を積極的に取り入れていくことが必要である また 児童生徒等や保護者も参加して点検する機会を設ける等の工夫が必要である 20

第 3 章学校安全を推進するための方策 (2) 学校管理下において発生した事故等の検証と再発防止策 課題 方向性児童生徒等の安全を確保するに当たっては 事故等の発生を未然に防ぐことが第一であるが 万が一 学校管理下において事故等が発生した場合には 学校及び県 市町教育委員会は 児童生徒等の生命と健康を最優先に迅速かつ適切な対応を行うとともに 発生原因の究明や従来の安全対策の検証はもとより 児童生徒等に対する心のケアや保護者への十分な説明 再発防止等の取組が求められる これまで 事故等発生時の初動対応は 主に危機管理マニュアルに基づき取り組まれてきたが 事故等の検証や児童生徒等 保護者への対応等については 文部科学省が 平成 28 年 3 月 31 日にとりまとめた 学校事故対応に関する指針 ( 以下 事故対応指針 という ) を参考にする必要がある 学校管理下における県内の子どもたちの負傷 疾病者数は 近年減少傾向にあるが 日本スポーツ振興センターの示す災害共済給付の支給に係る数多くのデータから 具体的な事例に基づく予防策を参考にして さらなる減少に向けた方策の検討に努める必要がある 具体的な方策視点 1 危機管理マニュアルの周知 研修の推進を通した教職員の安全意識の向上学校管理下における事故等の未然防止や被害軽減のため 学校及び学校設置者等は アレルギー等の健康課題への対応も含めた事故等への対応に係る研修 訓練を実施することが必要である 特に 事故等発生後の対応については 事故対応指針に基づいた危機管理マニュアルの改善を図り これに基づき適切な対応を行うことができるよう 同指針 マニュアルの周知 研修を推進することが必要である その際 事故等の未然防止を含めて 学校管理下で発生する事故等への対応が形式化することなく 教職員の安全意識を向上させるとともに 危機対応力を強化することが重要である なお 学校は 関係機関が連携して科学的 実証的な安全対策に取り組むというセーフティプロモーション ( ) の考え方も参考にしつつ 学校安全に関する情報収集 分析を進めるとともに 適切な指標を設定し 将来の事故等の減少につながるPDCAサイクルの確立に取り組んでいくことが必要である 21

第 3 章学校安全を推進するための方策 ( ) セーフティプロモーション とは WHO が提唱する 傷害をもたらす事 故 犯罪被害 自傷行為等を部門や職種の垣根を越えた協働や科学的に評価 可能な介入により予防しようとする考え方である 22

第 3 章学校安全を推進するための方策 5 家庭 地域 関係機関等との連携 協働による学校安全の推進 (1) 家庭 地域との連携 協働の推進 課題 方向性近年 学校が抱える課題が複雑化 多様化しているが 学校や教職員がそれらへの対応の全てを担うことは困難であることから 家庭や地域と連携 協働した教育活動の推進が不可欠である 特に 平素からの学校と家庭 地域との関係づくりが非常時に児童生徒等の命や安全を守ることにつながることからも 児童生徒等の安全に関する課題について家庭 地域と連携 協働した取組の推進が求められている これまでも スクールガードや防犯ボランティア等の協力団体との連携による活動は推進されてきたが チーム学校の視点や専門家の知見を取り入れた学校安全の取組が重要であり より一層の実施率の向上を図る必要がある 地域と連携 協働して児童生徒等の安全に関する取組を進めていくことは 1 児童生徒等が地域の一員として防災訓練に参画し 発達の段階に応じた役割を体験的に学ぶことなどにより 大人になったときにその地域を守る意識の向上に資することが期待できること 2 地域の中で緊急時に児童生徒等が駆け込める場所を増やし 表示することで 緊急時の安全確保だけでなく 防犯に熱心な地域であることが示されることとなり 犯罪の抑止にもつながること 3 学校と地域との日常的な連携 協働の結果として 災害時に学校が避難所となった際に避難所運営が円滑になること 等の効果が生じることについても指摘されている 具体的な方策視点 1 地域ぐるみの防犯 交通安全 防災等の取組学校は 関係団体との協議会等の場で 地域の関係者との情報共有や意見交換を日常的に行うことや やまぐち型地域連携教育の仕組みを生かして 学校安全の観点を組み入れた学校運営や地域ぐるみでの防犯 交通安全 防災の取組を実効性のあるものに充実させていく必要がある また 学校安全計画や危機管理マニュアルを基に 学校の安全教育 安全管理の方針を保護者や地域住民との間で具体的に共有することが必要である 例えば 参観日や PTA 総会 地域と学校が連携 協働した取組を実施する際等 23

第 3 章学校安全を推進するための方策 保護者や地域住民が来校する機会を活用し 学校は 安全に関する授業や避難訓練を実施するとともに インターネットの利用に起因した被害の防止を含め 防犯 交通安全 防災に関する情報提供や 事故等の発生時に求められる対応等についての保護者 地域住民への説明等を行うことによって 学校と目標を共有しながら家庭や地域でも安全に関する取組が行われるようにすることが必要である 特に 日常におけるルールやマナーを遵守することは 児童生徒等自身にとっての安全を確保する上でも非常に重要な要素であるが それらの基礎は家庭において育まれる部分が大きいことから 家庭も責任をもって学校と一緒に安全教育に取り組んでいくという考え方を共有することが重要である また 児童生徒等が地域の安全課題の改善に当たって一定の役割を担うことは 児童生徒等自身の成長にも寄与するという教育的意義を 関係者が共有して学校安全の取組を進めることが重要である (2) 関係機関等との連携による安全対策の推進 課題 方向性これまでも地域の実情 特性に応じて 関係機関との連携により 効果的な学校安全の取組が実施されてきた 児童生徒等の安全に関する課題には 学校だけでは対応が困難なものも多くあることから 引き続き 様々な観点から自治体の関係部局や関係機関と連携を図ることが重要である 具体的な方策視点 1 危機を想定した関係機関等との連携の強化各学校を取り巻く自然条件 交通環境等は 地域によって様々に異なる上 従来の想定を超える危機事象が発生する可能性もあることから 地域の特性等を適切に理解して安全教育や安全管理を行うことが重要である このため 学校及び市町教育委員会は 地域の自然条件等に関して専門的知識を有し 活動を行っている関係機関 団体や民間事業者と連携して 効果的な取組を進めていくことが必要である 学校を取り巻く危機事象は 時代や社会の変化に伴って変わっていくものであり 従来想定されなかった新たな危機事象の出現などに応じて 危機管理の在り方を柔軟に見直していくことが必要である 例えば 学校に対する犯罪予 24

第 3 章学校安全を推進するための方策 告への対応や周辺でテロが発生した場合の対応の在り方等について 学校及び市町教育委員会は 警察や危機管理担当部局等と連携して 平常時からあらかじめ検討しておくことが必要である 視点 2 避難所開設等に備えた防災担当部局等との連携大規模災害の発生時における学校の教職員の第一義的な役割は 児童生徒等の安全確保や安否確認 学校教育活動の早期正常化に向けて取り組むことであり 避難所の運営については 一義的には 市町の防災担当部局が責任を負うものである しかし 全国でのこれまでの状況を踏まえれば 発災後直ちに市町の防災担当部局が避難所運営の十分な体制を整えることが困難な場合もあり得ることから 発災から一定期間 学校の教職員が避難所運営の協力を行わざるを得ないことが予想される 教職員が避難所運営に協力し 円滑に市町の防災担当部局や住民の自主運営に移行すれば 早期の学校再開につながり 児童生徒等が日常生活をいち早く取り戻すことにも資するため 学校及び市町教育委員会は 市町の防災担当部局と連携して 教職員の過重な負担の軽減にも配慮しつつ 学校が避難所になる場合を想定した運営方策の検証 整備を行うことが必要である また 地域住民等と連携 協働した避難所開設訓練等についても 継続的に行うことが重要である 25

資料編 資料編 1 学校安全関係機関等連絡先 27 2 学校安全関連資料参照先 28 3 参考文献 31 26

資料編 1 学校安全関係機関等連絡先 学校安全全般山口県教育庁学校安全 体育課 083-933-4673 交通安全山口県環境生活部地域安心 安全推進室 083-933-2619 山口県土木建築部道路建設課 083-933-3705 山口県警察本部交通部交通企画課 083-933-0110 山口県警察本部交通部交通規制課 083-933-0110 山口県交通安全学習館 083-973-1900 山口市小郡下郷 3560 2 一般財団法人山口県交通安全協会 083-973-0054 山口市小郡下郷 3560 2 災害安全 ( 防災 ) 山口県総務部防災危機管理課 083-933-2360 山口県土木建築部砂防課 083-933-3750 山口県土木建築部河川課 083-933-3776 山口県土木建築部港湾課 083-933-3810 防犯を含む生活安全山口県環境生活部地域安心 安全推進室 083-933-2619 山口県警察本部生活安全部生活安全企画課 083-933-0110 27

資料編 山口県警察本部生活安全ふれあい館 0836-22-1900 宇部市常藤町 3 番 1 号公益社団法人山口県防犯連合会 083-925-0542 山口市大手町 2 番 40 号 保健 心のケア山口県健康福祉部健康増進課 083-933-2940 山口県精神保健福祉センター 0835-27-3480 防府市駅南町 13 40 サイバー犯罪山口県警察本部生活安全部サイバー犯罪対策室 083-933-0110 ネット相談子どもと親のサポートセンター ( ネットアドバイザー ) 083-987-1242 やまぐち総合教育支援センター内 2 学校安全関連資料参照先 (1) 山口県教育委員会 学校安全関連サイトマップ 県教委のWebページに 下記の学校安全に関係する各種資料 マニュアル等を掲載している ( 平成 29 年 11 月末現在 ) http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a50500/riskmanage/sitemap.html 1 学校安全全般 山口県学校安全推進計画 緊急時の基本対応と校内組織等 危険予測学習 (KYT) 学校安全の推進について H25 通学路の安全確保に向けて H25 学校安全に関する表彰 H15~ 子どもたちの安心安全総合推進事業 H27~ 学校安全実践事例集 H22~ 学校危機対応演習資料 H23~ 28

資料編 傷病事故発生時の初期対応の重要性について - 被害の拡大を防ぐために- H20 H28 改訂 学校保健安全法の施行について 安心して学習できる環境をつくる 学校安全研究推進事業の取組 H18 19 学校安全計画のサンプル 山口県個人情報保護条例に基づく留意事項について 学校における事件 事故等発生時の報告 高校生学校安全アクション事例集 2 防犯を含む生活安全 防犯の取組 転落事故防止 遊具事故防止 プ-ル事故防止 水難事故防止 薬品事故防止 熱中症防止 スズメバチ刺傷事故防止 クマ イノシシ等出没時の対応 近隣工場爆発事故発生時の対応 学校施設の爆破予告への対応 安全点検 救急救命体制 3 交通安全 交通安全の取組 自転車の安心 安全確認テスト 交通安全教育実践地域事業 H18~20 4 災害安全 ( 防災 ) 災害安全の取組 火災発生時の対応 地震発生時の対応 29

資料編 台風等暴風発生時の対応 風水害 土砂災害発生時の対応 落雷 突風 竜巻事故防止 防災クイズ H27 防災教育テキスト 活用実践集 H26 防災訓練実践集 H25 避難所生活体験活動 H25~ 防災教育テキスト H24 防災訓練事例集 H24 実践的防災教育 H24 防災教育ハンドブック ( 改訂版 ) H23 防災教育支援事業 H20 専門家と連携した防災出前授業について H17~ 災害教訓事例集 ~ 過去の防災を語り継ぐ ~ H27 ( 防災危機管理課 ) (2) 文部科学省 1 学校安全トップページ 学校安全の推進に関する計画 学校事故対応に関する指針 等が掲載されている http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1289303.htm 2 学校安全 < 刊行物 > 学校防災のための参考資料 生きる力 を育む防災教育の展開 ( 平成 25 年 3 月文部科学省 ) 学校安全参考資料 生きる力 をはぐくむ学校での安全教育 ( 平成 22 年 3 月文部科学省 ) 等 学校安全関係刊行物を掲載している http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1289310.htm (3) その他 1 独立行政法人日本スポーツ振興センター 学校安全 WEB 学校事故事例検索データーベース 学校での事故防止対策集等を提供 掲載している http://www.jpnsport.go.jp/anzen/ 2 気象庁 (http://www.jma.go.jp/jma/index.html) 30

資料編 気象災害に関するリーフレットや防災教育で活用できる啓発ビデオ等を掲載している http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/index.html 3 内閣府防災情報のページ各種災害対策 災害教訓など防災に関する教育啓発に係る資料や防災教育で活用できる教材が掲載されている http://www.bousai.go.jp/ 4 警察庁 (http://www.npa.go.jp/) 自転車はルールを守って安全運転 ~ 自転車は 車のなかま ~ http://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/index.htm 子どもを犯罪から守るためのお役立ちリンク集 http://www.npa.go.jp/bureeau/safetylife/syonen/anzen_link.html 5 消防庁 (http://www.fdma.go.jp/index.html) 東北地方太平洋沖地震 ( 東日本大震災 ) 関連情報 http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldlist_h2303_shinsai.html 救急車利用マニュアル http://www.fdma.go.jp/html/life/kyuukyuusya_manual/index.html 6 山口県防災危機管理課消防防災データ 緊急災害情報 地域防災計画 消防本部一覧等 様々な防災関連情報を公開している http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a10900/index/ 3 参考文献 第 2 次学校安全の推進に関する計画 ( 平成 29 年 3 月文部科学省 ) 学校安全参考資料 生きる力 をはぐくむ学校での安全教育 ( 平成 22 年 3 月文部科学省 ) 31

第 2 次山口県学校安全推進計画 平成 29 年 (2017 年 )12 月 山口県教育庁学校安全 体育課 753-8501 山口市滝町 1 番 1 号 問合せ先 電 話 083-933-4673 ファックス 083-922-8737 メール a50500@pref.yamaguchi.lg.jp Webページ http://www.pref.yamaguchi.lg.jp /cms/a50500/index/