Microsoft Word - 高木雄基_ doc

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2018 年 ( 平成 30 年 )1 月市郡別 メーカー別 小型乗用車 登録台数 川越市 熊谷市 川口市 さいたま市

平成 29 年度 埼玉県学力 学習状況調査の結果について 1 埼玉県学力 学習状況調査について (1) 調査の概要 実施日平成 29 年 4 月 13 日 ( 木 ) 調査対象調査概要特徴 県内の公立小 中学校 ( さいたま市を除く ) に在籍する小学校第 4 学年から中学校第 3 学年の全児童生徒

本庄市 東松山市 春日部市 狭山市 羽生市 鴻巣市 深谷市 上尾市 草加市 埼玉りそな銀行 埼玉りそな銀行 埼玉りそな銀行 みずほ銀行 埼玉りそな銀行 埼玉りそな銀行 埼玉りそな銀行 埼玉りそな銀行 埼玉りそな銀行 群馬銀行 三菱東京 UFJ 銀

地震動推計の考え方 最新の科学的知見や過去の被害地震を踏まえ 5 つの想定地震を設定し 検証 首都圏に甚大な被害が想定される東京湾北部地震について 震源深さが従来の想定より浅いという最新の知見を反映した再検証の実施 1703 年に発生した巨大地震 ( 元禄型関東地震 ) を想定し 本県への影響を新た

目次 I. エリア別地図グラフの作成 事前の準備 保健所担当区域の作成 各種設定 埼玉県保健所 地図ファイルへの表 1の取り込み 重ね合わせ レイアウトの調整 地図ファイル保存...

女 男 埼衛研所報第 47 号 2013 年 討した. (2) 市町村の状況算出で得られた埼玉県内 63 市町村における平均余命, 健康寿命, 要介護期間及び健康割合の年次推移について検討した. また, 平成 13 年と 23 年の健康寿命の分布を検討した. 結果及び考察 1 各指標の算出結果埼玉県

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共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-


一般廃棄物焼却施設の排ガス中のダイオキシン類測定結果一覧表

熊谷地方気象台対象地域埼玉県 平成 26 年 2 月 8 日から 9 日にかけての大雪に関する 埼玉県気象速報 1 資料作成の目的 2 気象の状況 3 警報等の発表状況 4 災害の状況 平成 26 年 2 月 10 日 熊谷地方気象台 この資料は速報として取り急ぎまとめたもので 後日内容の一部訂正や

条例用

修課程修了者を含む ) 又は当該事業所における勤続年数と同一法人の経営する他の介護サービス事業所 医療機関 社会福祉施設等において直接処遇職員として勤続年数の合計が3 年以上の介護職員が送迎時に行った居宅内介助等 ( 電気の消灯 点灯 窓の施錠 着替え ベッドへの移乗等 ) を通所リハビリテーション

国語社会算数理科英語 =============== 採択地区 =============== 国語地理歴史公民数学理科英語光村東書東書東書 * 採択中 * 富士見市光村東書東書東書啓林館東書東書 光村東書東書東書 * 採択中 * 坂戸市光村東書東書東書啓林館東書東書 光村東書東書東書 * 採択中

改正案現行 法第四十六条第三項の規定による勧告及び命令 法第四十六条第三項の規定による勧告及び命令 法第四十六条第四項の規定による意見の聴取及び命令 法第四十六条第四項の規定による意見の聴取及び命令 法第五十八条第一項の規定による認可の取消し 法第五十八条第一項の規定による認可の取消し 0 施行規則

平成 30 年度 1 埼玉県学力 学習状況調査について 伸びが分かることで 良く伸ばしている 力が伸びた児童生徒の割合伸び悩み学力レベル学低 学力が低くても良く伸ばしている学校 学力も低く伸び悩んでいる学校 学力も高く良く伸ばしている学校 学力が高くても伸び悩んでいる学校 高 H29 クラス 学力が

格建築物が対象である このため 建基法による完了検査済証が交付されていない場合 その確認をどのように行うかが課題となる ( 古い戸建住宅は完了検査を受検していない事例が特に多い ) また 要件が厳しく判断基準も明確ではないため実際の適用は難しく また 建築物所有者にとって不利益処分であるため 行政庁

月例速報 Market Watch 2015( 平成 27) 年 10 月度 INDEX Ⅰ. 中古マンションレポート 首都圏 都県別概況 2. 首都圏 都県別価格帯別件数 3. 地域別概況 2 Ⅱ. 中古戸建住宅レポート--

1 埼玉県 問合せ先 10 月 4 日から専用電話 : 埼玉県総務部入札審査課審査担当 ( 工事 ) TEL: 埼玉県に申請する場合は 申請日時点ですべての税目 ( 次の (1) ~(3)) について 未納がないことが要件です (2) 法人事業税 (

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年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

空き家の現状データ 参考資料 ⑴ 住宅数及び空き家数 表 1 住宅数の内訳 ( 資料 : 平成 25 年住宅 土地統計調査 ) 住宅数 居住世帯居住世帯なしあり総数一時現在者のみ建築中空き家 全国 60,628,600 52,102,200 8,526, ,800 88,100 8,19

平成28年度幸手市特別職報酬等審議会(第1回)

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2-2 需要予測モデルの全体構造交通需要予測の方法としては,1950 年代より四段階推定法が開発され, 広く実務的に適用されてきた 四段階推定法とは, 以下の4つの手順によって交通需要を予測する方法である 四段階推定法将来人口を出発点に, 1 発生集中交通量 ( 交通が, どこで発生し, どこへ集中

家族構成 三世代 4.3% その他.8% 無回答.3% 単身 8.% 単身 3 夫婦のみ 16 二世代 16 二世代 42.7% 夫婦のみ 44.% 三世代 16 その他 3 無回答 1 家族人数 6 人以上 人 3.7%.6% 4 人 17.3% 3 人 19.% 無回答.3% 1 人 8.% 2

2025年の住宅市場 ~新設住宅着工戸数、60万戸台の時代に~

平成19年就業構造基本調査結果概要

年 1 月期首都圏賃貸住宅指標 東京都 全域 23 区 市部 神奈川県埼玉県千葉県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%

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ヒートアイランド対策の計画的実施に関する調査報告書

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

川越市 川越市総務部契約課 ( ) 埼玉県川越市元町 ( 直通 ) 資本金 使用印鑑 () 許可通知書 ( 証明書 ) の写し () 許可が更新されなかったとき 更新がされなかった旨を記載した書面 許可が取り消されたとき 許可の取消又は消除の通知書の写し () 履歴事

211 年 2 月 25 日発行 TVI( タス空室インデックス )( 過去 2 年推移 ) ポイント 全域 23 区市部神奈川県埼玉県千葉県 年月 東京都全域 23 区市部 神奈川県 埼玉県 千葉県 29 年 1 月

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本章のまとめ 第 4 章当市の人口推移 本章のまとめ 現在までの人口推移は以下のとおりである 1. 人口の減少当市の人口は平成 23 年 7 月 (153,558 人 ) を頂点に減少へ転じた 平成 27 年 1 月 1 日時点の人口は 151,412 人である 2. 人口増減の傾向年齢 3 区分で

埼玉県北足立郡伊奈町

ここからは 更に 新宿区と渋谷区を取り上げて詳細検証を進めて見ましょう 1 人口動態 ( 年齢別 ) 人口割合 (40 代以下 ) 人口 平成 10 年 10 月現在 平成 23 年 10 月現在 新宿区 増加 61% 61% 30~40 代 /60 代以上増加が顕著 ( 別表 ) 渋谷区 増加 6


空き家数の推移と種類別内訳 住宅 土地統計調査 ( 総務省 ) によれば 空き家の総数は この 20 年で 1.8 倍 (448 万戸 820 万戸 ) に増加 空き家の種類別の内訳では 賃貸用又は売却用の住宅 等を除いた その他の住宅 ( いわゆる その他空き家 ) がこの 20 年で 2.1 倍

子どもの貧困第2稿.indd

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4-2 地域の課題人口の減少により 町内では老朽化した空き家 空き店舗が随所に見られるようになっており 平成 28 年 3 月に町内を調査したところ 空き家 空き店舗と思われる建物が 159 軒存在していることが判明した 特に 商店街 公共機関 医療機関等が近接する利便性の高い中心市街地における空き

(2) 金沢市の世帯数の動向 350, , ,000 ( 人 世帯 ) ( 人 / 世帯 ) 世帯数 世帯人員 , , , , ,1

第 5 章液状化の想定液状化とは 地震により地盤が揺すられ それまでしっかりしていた地盤が泥水のように軟らかくなり 場合によっては横に動くことのある現象である 液状化可能性の想定手法については 5.1 節に 物性値については 5.2 節に示した これらを踏まえ 相対的な液状化のしやすさについて 5.

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平成 2 9 年度 大気汚染物質の常時監視測定結果について 平成 3 0 年 8 月 3 日埼玉県環境部大気環境課 (1) 測定結果の概要ア大気汚染常時監視体制県 大気汚染防止法の定める政令市 ( さいたま市 川越市 川口市 所沢市 越谷市 ) 及びその他の2 市 ( 草加市 戸田市 ) では 大気

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マンション棟数密度 ( 東京 23 区比較 ) 千代田区中央区港区新宿区文京区台東区墨田区江東区品川区目黒区大田区世田谷区渋谷区中野区杉並区豊島区北区荒川区板橋区練馬区足立区葛飾区江戸川区

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目 次 第 1 計画の目的と対象 2 1. 計画策定の背景 2. 計画の目的 3. 計画期間 4. 計画の対象 5. 計画の改訂について第 2 大阪市の空家の現状 5 1. 大阪市の空家 ( 住宅用途 ) の状況 2. 空家の発生の経緯等第 3 空家等対策の基本的な方針と目標 基本的な方

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空家

資料01 和光市特別職報酬等審議会条例 H27.8

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

図 1 平成 19 年首都圏地価分布 出所 ) 東急不動産株式会社作成 1963 年以来 毎年定期的に 1 月現在の地価調査を同社が行い その結果をまとめているもの 2

中古マンション概況 首都圏における 214 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,993 件 ( 前年同期比 3.4% 増 ) で 1 期連続で前年同期を上回っています 都県 地域別に見ると埼玉県および横浜川崎地域を除く各都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

用への助成を除くと 住宅に関する融資や助成制度等の情報提供の充実 との回答割合が高い( 子育て住み替え意識調査 ) 以上のことから 住宅が手狭であることを理由に市外へ転出する若い世代が相当数存在し また その傾向が強まっていることがうかがえる また 住み替え後は4LDKの間取りを中心とした持ち家 (

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目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

平成29年版高齢社会白書(全体版)

団地別利用可能方式一覧 ( ) うらわイーストシティかえで街 K,N アーバンみらい東大宮東一番街 うらわイーストシティひのき街 K,N K,N コーポレート与野本町 N,U アーバンみらい東大宮西一番街 K,N コーポレート南与野 K,N,U アーバンハイツ与野 K,N コーポレート浦和中島 N

団地別利用可能方式一覧 ( ) コーポレート与野本町 2 K,N,U コーポレート中浦和 N コンフォール大宮植竹 K,N コンフォール与野本町西 K,N コンフォール西本郷 コンフォール南浦和 アーベイン大宮 (7~9 (4~6 10 ~12 16 ~26 ( K,N K,N K

H28秋_24地方税財源


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団地別利用可能方式一覧 ( ) FTTH VDSL ADSL CATVインターネット N (15 (4~ コンフォール南浦和 ~12 16 K,N (16~26 市 号 ~26 号 棟のみ ) 棟 ) N (7 号 アーベイン大宮 (2 4 5 K,N 市棟のみ )

団地別利用可能方式一覧 ( ) コーポレート東浦和 K,N,U コーポレート与野本町 2 K,N,U コーポレート中浦和 N コンフォール大宮植竹 K,N コンフォール与野本町西 K,N コンフォール西本郷 コンフォール南浦和 アーベイン大宮 (7~9 (4~6 10 ~12 16 ~26 (2 4

2011年12月21日

資料-6

平成27年版高齢社会白書(全体版)

本書の利用法 一問一答 式問題 正しいか誤りか を〇か で判断する 基礎学習にもってこいのアイテムです 付属の赤字消しシートで解答 解説を隠せるので いつでもどこでも何度でもチャレンジできます! また 各問にはチェック記入欄を設けましたので たとえば 間違えた問題に を入れておくなど あとで学習しや

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( 万人 ) 図 1 12 大都市の人口の推移 H 注 1) 各 10 月 1 日現在の推計人口

調査結果の概要 1 人口 (1) 本県の人口 平成 30(2018) 年 10 月 1 日現在の本県の総人口は 1,952,926 人 ( 男 973,794 人 女 979,132 人 ) で 平成 29(2017) 年 10 月 1 日現在に比べ9,037 人の減少 ( 男 3,309 人減少

2 人口密度 人口密度 ( 人 / km2 ) 全県 1, 蕨 市 14, 川 口 市 9, 草 加 市 8, 志 木 市 7, ふじみ野市 7, 和 光 市 7, 朝 霞 市 7, 戸

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Ⅱ 方法と対象 1. 所得段階別保険料に関する情報の収集 ~3 1, 分析手法

意見集計結果 平成 30 年 月 5 日から2 月 5 日までの間, つくば市空家等対策計画 ( 案 ) について, 意見募集を行った結果,3 人 ( 団体を含む ) から2 件の意見の提出がありました これらの意見について, 適宜要約した上, 項目ごとに整理し, それに対する市の考え方をまとめまし

団地別利用可能方式一覧 ( ) FTTH VDSL ADSL CATVインターネット さいたま コンフォール本郷町 K,N 市 さいたま N (2 号棟 コンフォール領家 K,N 市のみ ) 川越市アクティ川越 K,N 川越市 川越ニューシティいせはらリバーサイド弐番街 K,N 川口市川口栄町 川口

1 測定の概要 (1) 測定期間平成 28 年 5 月 ~ 平成 29 年 2 月 (2) 測定機関埼玉県 国土交通省 さいたま市 川越市 越谷市 熊谷市 川口市 所沢市 春日部市 草加市 狭山市 上尾市 久喜市 (3) 測定の種類 1 概況調査地域の全体的な地下水質の状況を把握するための調査 (

6. まちづくりマップ 6-1.From-to 分析 ( 滞在人口 ) 6-2. 滞在人口率 6-3. 通勤通学人口 6-4. 流動人口メッシュ 6-5. 事業所立地動向 6-6. 施設周辺人口 6-7. 不動産取引 81

地域住宅計画 計画の名称千葉市地域 (3 期 ) 都道府県名千葉県作成主体名計画期間平成 27 年度 ~ 31 年度 千葉市 1. 地域の住宅政策の経緯及び現況 千葉市は千葉県のほぼ中央部に位置し 人口は約 96 万人 世帯数は約 42 万世帯の地域で地域面積は k m2である 本市では

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中古マンション概況 首都圏における 213 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,663 件 ( 前年同期比 12.2% 増 ) で 6 期連続で前年同期を上回り 増加率は 2 ケタに拡大しています すべての都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

平成28年版高齢社会白書(概要版)

本局不動産 法人登記部門 午前 ( 金 ) 午後 ( 金 ) 午前 ( 木 ) 午後 ( 木 ) 午後 ( 金 ) 午後 ( 金 ) 午後 ( 木 ) 午後 午前 12 月 3 日 ( 月 ) 午後 12 月 3 日 ( 月 ) 午前 12 月 3 日 ( 月 ) 午後 ( 月 ) 午後 12 月

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高齢化社会における空き家の発生構造に関する研究 高木雄基 1 稲村肇 2 1 非会員株式会社建設技術研究所都市部 ( 13-843 東京都中央区日本橋浜町 3-21-1) E-mail:y-takagi@ctie.co.jp 2 正会員東北工業大学名誉教授 ( 982-8577 仙台市太白区八木山香澄町 35-1) E-mail:hajime.inamura@gmail.com 本研究では, 高齢化社会における空き家の発生構造について, 時系列で現象を明らかにし, まちづくり政策を行う際の一指標とすることを目的としている. まず, 空き家の発生構造について, 空き家の発生要因および減少要因を整理する. そして, 空き家数と総住宅数および総世帯数の関係性より, 住宅数および世帯数に関する分析を行った. 分析の結果として, 空き家数は総住宅数と総世帯数の変化によって概ね説明できることが明らかになった. 総住宅数は新設住宅着工戸数と滅失戸数で概ね説明でき, 総世帯数の増減は転入超過世帯数と高齢者世帯数減少数で概ね説明できる. そして, 首都圏における総世帯数の 1 年間程度の中期的変化は, アクセス性による 転出転入世帯数 と 高齢者世帯数 によって概ね説明可能である. Key Words : 高齢化社会, 空き家, まちづくり 1. はじめに近年, 我が国の人口は既にピークを迎え減少へと転じており, 少子高齢化社会が進行している. 国立社会保障 人口問題研究所の予測 1) によると, 世帯数についても219 年にピークを迎え, 今後は減少していくと予測されている. 図 -1に示すように総住宅数と総世帯数の推移を見ると, 総住宅数と総世帯数の差である 居住者のいない住宅 は年々増加しており, 平成 25 年度には853 万戸に達し, 空き家率も13.5% と上昇している. この空き家問題は不動産業界を中心に従来から関心を持たれてきたが, 関心の中心はそのマーケットにおける流通であり, 新規住宅建設に与える影響であった. 空き家が社会問題として取り上げられ始めたのは平成 1 年に総務省が住宅 土地統計調査 2) を始めた頃からである. この住宅 土地統計調査は, 住宅統計調査として昭和 23 年に第 1 回が実施され, 以来 5 年ごとに実施してきたものを, 空き家問題の内容を拡充するとともに調査名を変更したものである. そのデータが公表されてから不動産業界以外でも大きな大きな反響があった. 例えば, 鳥取県では平成 1 年の住宅 土地統計調査結果の概要の第 2 章 3) で 総住宅数の1 割を超えた空き家 として警鐘を鳴らしている. 総住宅数及び総世帯数の推移 - 全国 ( 万 ) ( 昭和 33 年 ~ 平成 25 年 ) (%) 7, 21. 居住者のいない住宅 6, 853 万戸 18. 5, 4, 3, 2, 1, 昭和昭和昭和昭和昭和昭和昭和平成平成平成平成平成 33 年 38 年 43 年 48 年 53 年 58 年 63 年 5 年 1 年 15 年 2 年 25 年 総住宅数 ( 戸 ) 総世帯数 ( 世帯 ) 空き家率 (%) 図 -1 総住宅数および総世帯数 空き家率の推移 15. 12. 本統計を利用した本格的な空き家に関する研究は, 平成 2 年の第 3 回調査結果が公表され, 空き家の増加が住宅統計調査の時代と大きく変容してきたことが分かってからである. 米山ら 4) は全国のマクロ推計から 空き家率は28 年の13.1% から228 年には23.7% に上昇するとしている. 一方, 国土交通省はゴミ屋敷問題など空き家に関する安全 衛生 環境問題の社会問題化に対応して, 空き家 9. 6. 3.. 1

対策に関する法律 5) を214 年 11 月に施行した. この法律は環境上問題となる特定空き屋に対する課税強化, 空き家の利用促進を目的とするものである. この法律の準備に対応する研究も表れる. 樋野 6) は空き家関連の地方自治体の管理条例や外国における空き家対策を研究し, これが法制化に寄与したと思われる. ゴミ屋敷問題が深刻であった東京都は従前から空き家対策に取り組んでおり, 東京市町村自治調査会は自治体の空き家対策に関する調査研究報告書 7) で様々な空き家対策を提案している. 大きな話題になったのが, 空き家の除却を進めないと 1 年後の223 年に全国で空き家は14 万戸に達し, 空き家率が21% になるという野村総合研究所のニュースリリース 8) である. この研究は推計手法も推計結果も米山の研究とほぼ同一であるがマスコミが大きく取り上げ, 話題となった. これらの成果の結果, 空き家研究は新たな局面を迎え, 多くの研究が公表されるようになった. 9)1)11) しかし, これらの多くは全国ベースの長期予測に基づく警告であり, 社会的対策などの提案である. よって, 地域問題である空き家に関して, 地域単位での研究, 空き家の発生メカニズムに関する研究は非常に少ない. 上田等は,215 年度に鹿児島市をケーススタディーとして, 標準メッシュ単位での空き家発生 分布メカニズムの解明を行っている 12). この研究は3カ年計画であり, 今後に関し以下のように述べており, 今後が期待される. 平成 28 年度には, 利用するデータの拡充や対象市町村の拡大を行った上で手法を精査し, 空き家分布把握手法の確立を目指す予定である. また, この結果を踏まえ, 平成 29 年度には, 空き家発生 分布メカニズムの解明を図り, 将来の空き家発生を予測する手法を検討することを想定している. このように, 空き家問題に関する調査研究は多いが, 実際の政策を担当する市町村の空き家対策やまちづくりの基礎となるような研究はまだ始まったばかりである. これらの研究のベースとなるデータは住宅 土地統計調査であるが, 調査票の変化もあり, 時系列分析にはまだ多くの課題がある. そこで, 本研究では, 高齢化社会における市町村単位での空き家の発生 分布のメカニズムを住宅 土地統計調査データを中心とし, 国勢調査データ, 関連社会データを利用して, 明らかにすることで, まちづくり政策を行う際の一指標とすることを目的とする. つまり, その地域における空き家の発生構造を理解し現象を把握することで, 有効な空き家対策を含めたまちづくり政策を検討及び実施することができると考える. 2. 市町村単位の空き家発生の現況 図 -2に示すように, 平成 25 年の住宅 土地統計調査の結果では, 居住者のいない住宅 のうち殆どを占める 82 万戸が 空き家 である. 空き家 には 賃貸用, 売却用, 別荘などの 二次的住宅, 長期不在や取り壊し予定等のそのままにされている その他の住宅 の4つに分類される. その中でも, 近年は特に その他の住宅 が増加しており, 空き家増加の大きな要因となっている. 直近の平成 25 年住宅 土地統計調査では, 平成 2 年から増加した空き家のうち8 割が その他の住宅 であった. また, 売却用 と分類しているが, 実際には買い手の付かないまま空き家となっている住宅もあり大きな問題となっている 13). H15 年及びH25 年の住宅 土地統計調査より,1 年間の 空き家数 と 総住宅数 および 総世帯数 の関係性について, 埼玉県の市町村を例として図 -3に整理した. この様に, 住宅総数 と 総世帯数 の差は概ね 空き家数 と一致することが分かる. 空き家の増加数 (H15 25) 居住者のいない住宅 853 万戸 空き家 82 万戸 ( 空き家率 13.5%) 賃貸用 429 万戸 売却用 31 万戸 二次的住宅 ( 別荘など ) 41 万戸 その他住宅 318 万戸 ( 長期不在 取り壊し予定等 ) 一時的使用 24 万戸 建築中 9 万戸 図 -2 居住者のいない住宅の分類 (H25 年度 ) 6, 5, 4, 越谷市 川越市 川口市 東松山市 所沢市 3, 戸田市 上尾市 春日部市 狭山市 2, 坂戸市 毛呂山町 新座市 草加市 本庄市 朝霞市ふじみ野市 1, 杉戸町蕨市桶川市 寄居町 入間市 上里町 八潮市 鳩山町 白岡市 1, 松伏町 1, 三芳町吉見町 2, 3, 4, 5, 6, 1, 総住宅数- 総世帯数 の増加数 (H15 25) 図 -3 空き家数と総住宅数 総世帯数の関係性 (H15-25, 埼玉県 ) 2

空き家が発生する要因は様々であり, 地域によって異なっていると考えられる. しかし, ひとつの主要な要因としては, 高齢者だけの世帯において所有者が亡くなり, 親族が家を引き取ったが住むことも売却することも取り壊して空地にすることもなかったり, そもそも相続されなかったりすることで, その結果として空き家になっていることが大きいと考えられる. つまり, 新しい入居者がいないことが, 空き家が発生する主要な要因である. さらに, 図 -4に示すように, 近年では単身世帯数が増加していると言われているが, それ以上に高齢者世帯数及び高齢者単身世帯の数が大きく増加していることが分かる. このことから, 高齢者世帯および高齢者単身世帯の増加は, 空き家数の増加に大きく影響しており, 着目して分析する必要がある. 空き家に対する規制としては, 増加する空き家と発生する諸問題に対応するため,214 年 1 月までに全国で約 4の自治体が 空き家条例 を制定している. 条例の内容も強制力を持つ代執行まで示されているものから勧告に留まるものまで様々である. しかし, 空き家が個人の資産であることから条例の積極的な運用は難しいのが現状である. これらの背景を踏まえ, 国では 空き家等対策の推進に関する特別措置法 が215 年 2 月に施行された. この法律には, 空き家の適切な管理や利活用の促進策が盛り込まれている. また, 空き家の利活用についても様々な取り組みが行われており, 全国的に行われている 空き家バンク の仕組みは25 年以降に約 5の自治体で導入されている. しかし, 導入した3 分の2の自治体ではこれまでの成約件数が1 件以下となっており, 効果を挙げているのは一部に留まっているのが現状である. 他にも, 空き家へ入居する際の補修費などを補助する制度や, 都市から地方への移住促進のために空き家を利用し家賃補助を行うなど, 全国各地で様々な取り組みが行われている. 45 4 35 高齢者単身 3 指数25 高齢者世帯 2 15 1 単身世帯 5 S58 S63 H5 H1 H15 H2 42 29 143 3. 分析手法 (1) 分析の流れ図 -5に空き家の発生構造と3つの分析の関係性について示す. 空き家の発生要因としては, まず1つ目の要因として, 世帯 の減少が考えられる. 世帯 の減少は主に, 死亡によって世帯が減少することによって生じると考えられるが, 結婚等により世帯が1つになるために減少することも想定される. 次に2つ目の要因として他市町村への転出, すなわち引っ越しによる要因が考えられる. そして3つ目の要因として, 新築や再開発による新たな住宅の供給およびその売れ残りによって空き家が発生すると考えられる. 一方, 空き家の減少要因としては, 他市町村からの転入と結婚等による世帯の増加が考えられる. これらの空き家の発生構造および, 空き家数 と 総住宅数 および 総世帯数 の関係性から 住宅数 および 世帯数 について3つの分析を行った.1つ目の分析は 住宅数 に関する分析であり, 総住宅数 と 新設住宅着工戸数 の関係性について分析を行った.2つ目と3つ目の分析は 世帯数 に関する分析である. 総世帯数 の増減は 世帯 の減少, 増加, 転出, 転入で説明できる. ただし, 本研究では, 世帯 の増加減少のうち結婚については難しいため除くものとする. これらを踏まえ,2つ目の分析では, 世帯数 の減少と 空き家数 の増減の関係性について分析を行った. そして,3つ目の分析では, 世帯 の転出転入と 都心 との関係性 ( 都心までの所要時間 ) について分析を行った. (2) 分析対象分析対象は, なるべく多くの経年データを取得でき, 地域特性を有することから, 埼玉県の46 市町村を対象として分析した. 埼玉県では, 図 -6に示したように人口増加率がプラスとマイナスの市町村があり, 都内への通勤 通学など生活面 経済面でも都心との関係性が強く, 様々な要因について分析することが可能である. 空き家の発生要因 世帯の減少 ( 死亡 結婚 ) 転出 ( 引越し ) 分析 2 新築 再開発 ( 売残り ) 分析 1 空き家の減少要因 他市町村からの転入世帯の増加 ( 結婚等 ) 分析 3 図 -4 世帯数の増加指数推移 (S 58=1) 図 -5 空き家の発生構造と 3 つの分析 3

滅失戸数 (1 年間 ) = 新設住宅着工戸数 - 総住宅数 (H15 25) 平均滅失率 ( 1 年間 46 市町村 ) = 滅失戸数 (1 年間 ) / 総住宅数 (H15) 残存戸数 (H15 25) = 総住宅数 (H15)- 平均滅失率 (1 年間 ) 総住宅数 (H15) 総住宅数 (H25) 残存戸数 (H15 25)+ 新設住宅着工戸数 (1 年間 ) 図 -7 総住宅数と新設住宅着工戸数の関係性 図 -6 埼玉県の人口増加率 (H12-H22) 4. 総住宅数 と 新設住宅着工戸数 の関係 住宅数 に関する分析として, 総住宅数 と 新設住宅着工戸数 の関係性に着目し分析を行った. (1) 分析手法 ( 分析 1) まず, 総住宅数 の増減は 新設住宅着工戸数 から 滅失戸数 を引いた値と考えられる. ここで, 滅失戸数 とは 新設住宅着工戸数 から 総住宅数 の増減を差し引いた値である. これらを踏まえ, 図 -7に示す式のように, 総住宅数 は 残存戸数 と 新設住宅着工戸数 の合計から概ね算出されると考えられる. 分析に使用するデータは, 住宅着工統計より埼玉県におけるH15からH24の 1 年間の新設住宅着工戸数について取得した. また, 住宅 土地統計調査よりH15,H2, H25 年調査における総住宅数を取得した. 総住宅数 (H25 実績 ) 1, 9, 8, 総住宅数 と 新設住宅着工戸数 の関係性平均滅失率 5.5% 平均滅失率 <5.5% 7, 新座市狭山市 戸田市 朝霞市 久喜市 6, 入間市課題三郷市 -1.6% ふじみ野市 5, 富士見市 坂戸市 本庄市 4, 八潮市 東松山市蕨市 鶴ヶ島市毛呂山町志木市 3, 蓮田市平均滅失率 >5.5% 幸手市北本市桶川市杉戸町宮代町羽生市吉川市 2, 小川町上里町日高市 川島町 伊奈町白岡市 1, 嵐山町 寄居町 吉見町鳩山町 三芳町松伏町 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 1, 残存戸数 ( 平均滅失率より算定 H15 24)+ 新設住宅着工戸数 (H15 24) 図 -8 新設住宅着工戸数と平均滅失率を用いた算定 5. 世帯数 減少と 空き家数 増減の関係 世帯数 に関する分析として, 世帯数 の減少と 空き家数 の増減に着目した分析を行った. 本分析においては, 首都圏における広域的な関係性を見るため, 埼玉県に限らず群馬県, 栃木県, 茨城県, 千葉県, 東京都, 神奈川県を加えた1 都 6 県について分析を実施した. (2) 分析結果 ( 分析 1) 分析の結果, 埼玉県のH1からH15までの1 年間における 平均滅失率 は5.5% となった. 図 -8に 平均滅失率 より算定した 残存戸数 と 新設住宅着工戸数 を足し合わせた 総住宅数 の算定値と, 総住宅数 の実績値の関係性を整理したグラフを示す. この様に,H25の 総住宅数 は 残存戸数 と 新設住宅着工戸 数の合計と概ね一致しており, 総住宅数数 は 平均滅失率 と 新設住宅着工戸数 で説明可能なことが分かる. ただし, この中には 平均滅失率 が1% を超える市町村もあり, 今後はその要因等についても分析していく必要がある. なお, のように 平均滅失率 がマイナスになってしまっている市町村もいくつかあり, 実現象と矛盾していることから, その要因については今後整理する必要がある. (1) 分析手法 ( 分析 2) 本分析では, 世帯 の減少の主たる要因である, 死亡による 空き家数 の発生について分析を行った. 本研究では, 死亡により 空き家 発生へとつながる主な世帯として, 高齢者世帯 に着目して分析を行った. さらに, 高齢者世帯 の中でも亡くなった後に 空き家 になる可能性が高いと考えられる, 高齢夫婦世帯 と 高齢単身世帯 に着目した. ここで, 高齢者世帯 における持ち家率が約 8 割であることから, 分析する 空き家 についても, その他住宅 と 売却用の住宅 を分析対象とした. 分析に用いるデータとして, 高齢世帯数 についてはH12,H17,H22の 国勢調査 より1 年間のデータを使用し, 空き家数 についてはH15,H2,H25の 住宅 土地統計調査 より1 年間のデータを取得し分析に用いた. 4

(2) 分析結果 ( 分析 2) まず, 平成 12 年から平成 22 年までの1 年間の1 都 6 県における人口増加率について整理した. 図 -9に示すように, 都心から離れるほど人口減少が顕著なことが分かる. なお, 近隣主要都市への通勤圏やベッドタウンでは人口が増加していることも分かる. 次に, 平成 12 年から平成 22 年までの1 年間の世帯数増加率を図 -1に示す. 結果を見ると, 世帯数はほとんどの市区町村で増加しており, 埼玉 東京 神奈川ではデータのあるすべての市区町村で増加している. 特に東京都における世帯数増加率が高く, 人口が集中していることが分かる. 埼玉県と神奈川県についても都心近郊の市区町村では増加率が高くなっている. また, 先述した人口増加率と比べると, 人口増加率がマイナスであっても世帯数は増加している市区町村も多くあり, ズレが生じていることが分かる. その要因のひとつとして, 人口減少に伴う世帯数減少よりも, 平均世帯人員減少による世帯数増加の影響が大きいためと考えられる. これは, 人口と世帯数のピークがずれているためである. 次に, 平成 12 年から平成 22 年までの1 年間の高齢者世帯数 ( 高齢夫婦 + 単身 ) 増加率を図 -11に示す. これは, 平成 12 年度における65 歳以上の高齢夫婦世帯と高齢単身世帯の世帯数と, 平成 22 年度における75 歳以上の世帯数を比較したものである. つまり, 同一の世代を追っかけて見た場合に, どれくらいの高齢者世帯が減少しているかを見たものである. 結果は, 全市区町村において世帯数は減少しており, 地域において大きな差は見られない. ただし, 東京 23 区では比較的減少率が大きくなっていることが確認できる. 次に, 空き家数について整理する. 平成 15 年から平成 25 年までの1 年間の空き家数 ( その他 + 売却用 ) 増加率を図 -12に示す. 空き家数は特に都心郊外部における増加率が高くなっていることが確認できる. また, 都心部では空き家数が減少している市区町村もあり, 比較的空き家数の増加率が低いことが分かる. 次に, 世帯数 と 空き家数 の関係について整理する. 例として, 埼玉県における1 年間の高齢世帯 ( 夫婦 + 単身 ) の減少数と空き家 ( その他 + 売却用 ) の増加数との関係性を図 -13に示す. また, 高齢世帯 ( 夫婦 + 単身 ) の減少数と空き家 ( その他 + 売却用 ) の増加数との比率が1.となる線をグラフに追加し, さらに, 比率が.5と 1.5となる線を追加した. 図 -9 人口増加率 (H12-H22) 図 -1 世帯数増加率 (H12-H22) 世帯数 と 空き家数 の変化量の比率が.5を下回る市町村としては, さいたま市や川口市, 上尾市等であり, 高齢世帯 ( 夫婦 + 単身 ) の減少数に対し空き家 ( その他 + 売却用 ) の増加数が小さいため, 空き家の発生が抑えられている市町村であることが分かる. つまり, 高齢者世帯において世帯主が亡くなった場合でも, 新たな入居者がいるため, その後, 空き家のままである可能性が低いと考えられる. 5

次に, 世帯数 と 空き家数 の変化量の比率が.5-1.の市町村としては, 川越市や越谷市, 所沢市等が該当する. こちらは, 高齢世帯の減少数に対し空き家の増加数がやや小さい市町村である. これとは逆に, 世帯数 と 空き家数 の変化量の比率が1.-1.5の市町村としては, 蕨市やふじみ野市, 本庄市等が該当するが, 高齢世帯の減少数に対し空き家の増加数がやや大きい市町村である. 世帯数 と 空き家数 の比率が1. 前後の市町村では, 高齢世帯数の減少に対し同等数空き家が増加しているが, 様々な要因でどちらかが上回っているものと考えられる. 最後に, 世帯数 と 空き家数 の変化量の比率が 1.5を上回る市町村としては, や毛呂山町, 白岡市等が該当する. これらの市町村は, 高齢世帯の減少数に対し空き家の増加数が大きい市町村である. つまり, 高齢者世帯において世帯主が亡くなった場合でも, 新たな入居者がおらず, その後, 空き家のままである可能性が高いと考えられる. さらに, 高齢者世帯の増減以上に空き家が発生していることから, 若年層の転出に伴う空き家も発生しているものと想定されるため, 今後の検討において分析を進めていくものとする. また, 世帯数 と 空き家数 の比が1.5を上回る市町村の中でも, 特には突出して空き家の増加数が多い. では, 世帯数が平成 2 年から平成 22 年の 2 年間で約 1.5 倍に増加しており, 高齢化率も14% と小さい 14). これは, 駅周辺の区画整理や宅地整備により新たな住人が入ってきたため, 世帯数や人口が増加し, 高齢化率が低く抑えられているものと考えられる. また, における住宅のうち, 共同住宅の占める割合は76% と埼玉県の平均である42% を大きく上回っており, 埼玉県で最も高い値である. さらに, 空き家 ( その他 + 売却用 ) に占める共同住宅の割合も88% となっている. このように, の状況は他の市町村と異なり, 地域特性を有していることが分かる. 他の市町村においてもそれぞれ特有の要因があることが考えられ, 今後は更に深い分析を進めて行く必要がある. 図 -13に示したように, 世帯数 と 空き家数 の変化量の比率で分類した 世帯数 と 空き家数 の関係性を, 地図にプロットしたものを図 -14に示す. このように, 都心近郊部は高齢世帯 ( 夫婦 + 単身 ) の減少数に対し空き家 ( その他 + 売却用 ) の増加数が小さく, 空き家数と世帯数の比率が1. 未満の市町村が多く分布している. 一方, 郊外部には高齢世帯 ( 夫婦 + 単身 ) の減少数に対し空き家 ( その他 + 売却用 ) の増加数が大きく, 比率が1. 以上となる市町村が多く分布している. また, 都心部では空き家数が減少している市町村が点在している. 空き家 ( その他 + 売却用 ) の増加数 6 7 8 9 H12 65 ~ H22 75 ~ 図 -11 世帯数 ( 高齢夫婦 + 単身 ) 増加率 (H12-H22) 図 -12 空き家数 ( その他 + 売却用 ) 増加率 (H15-H25) 2,5 2, 1,5 世帯数 < 空き家数新たな入居者がいない 空き家増加大 寄居町 1.5 蕨市 空き家数 =1. 世帯数 越谷市 川越市 所沢市 ふじみ野市朝霞市 1, 毛呂山町狭山市小川町 世帯数 > 空き家数宮代町桶川市上里町杉戸町新たな入居者がいる羽生市東松山市嵐山町日高市蓮田市幸手市富士見市入間市新座市 空き家増加小 5 鶴ヶ島市草加市鳩山町本庄市八潮市上尾市吉川市久喜市白岡市坂戸市戸田市松伏町川島町北本市志木市春日部市 伊奈町三郷市 5 1, 1,5 2, 2,5 3, 高齢世帯 ( 夫婦 + 単身 ) の減少数 図 -13 世帯数 と 空き家数 の関係 (H15-H25).5 6

次に, 世帯数 と 空き家数 の比率と, 既に示した 総世帯数 の増加率との関係性について分析した. 図 -15に世帯数増加率と世帯数と空き家数の比率を整理したグラフを示す. このように, 世帯数増加率が大きい市町村ほど高齢世帯数と空き家数の比率が小さいことが分かる. これはつまり, 世帯数増加率の大きな市町村では, 高齢者世帯が亡くなることによって空き家が発生したとしても, 新たな入居者がいるため, 空き家のままにならないものと考えられる. また,, 嵐山町, 吉川市のように世帯数増加率が大きいが, 高齢世帯数と空き家数の比率も大きい市町村もある. これは, 新規開発等により, 住宅が過剰に供給されている可能性がある. これについては, 新規開発を行っており, 世帯数増加率が大きいが, 比率は小さい伊奈町のような自治体とその要因について, 今後比較分析する必要がある. 6. 世帯数 と 都心 との関係性 世帯数 と 都心 の関係性について分析を行った. 世帯 の転入転出の要因は色々あると考えられるが, 相対的な転入転出の要因はその地域の魅力によって決定すると考えられる. そして, 首都圏における最大の魅力は東京都心へのアクセス性である. 首都圏人口が急増した時代においては, 郊外への世帯移動が種であったが, 首都圏人口の増加率が減少した現在では, 利便性を求めた転出転入が主であると考えられる. これらのことを踏まえて本章では分析を行った. (1) 分析手法 ( 分析 3) 本分析では, 世帯の転出転入数を総世帯数の増減数と高齢者世帯の減少数を合計した値として分析を行った. その転出転入超過世帯数と都心との関係性について埼玉県を対象として東京までの所要時間を指標として分析を行った. 世帯数についてはこれまでと同様に, 国勢調査より1 年間のデータを整理した. 東京駅までの所要時間は, 各市町村の役所最寄り駅から東京駅までの所要時間を整理した. 条件として, 平時 9 時着とし, 新幹線 有料特急については利用しないものとして整理した. 14 所要時間 ( 東京駅まで ) 12 寄居町上里町本庄市 1 小川町羽生市嵐山町日高市毛呂山町東松山市坂戸市 8 狭山市入間市幸手市吉川市鶴ヶ島市宮代町伊奈町北本市久喜市 6 桶川市ふじみ野市春日部市三芳町白岡市富士見市上尾市志木市新座市蓮田市朝霞市 4 三郷市戸田市蕨市八潮市 2 草加市 川越市所沢市 越谷市 5, 1, 15, 2, 25, 転入超過世帯数 (H12 22) 図 -14 世帯数 と 空き家数 の関係 (H15-H25)( 分布 ) 図 -16 転入超過世帯数 と 都心 との関係 (H12-H22) 空き家数 ( その他 + 売却用 )/ 高齢世帯数 (H15 25) 3.5 3. 2.5 2. 小川町 鳩山町寄居町 宮代町 川島町 杉戸町 毛呂山町松伏町 羽生市 上里町 日高市 嵐山町 吉川市 1.5 蕨市蓮田市白岡市桶川市東松山市幸手市八潮市 1. ふじみ野市川越市鶴ヶ島市朝霞市狭山市越谷市富士見市久喜市坂戸市.5 所沢市北本市新座市戸田市入間市草加市本庄市上尾市志木市さいたま市春日部市伊奈町. 三郷市吉見町川口市. 1. 2. 3. 4. 5..5 大規模な三芳町土地区画整理事業 1. ( 計画人口 11, 人 ) 世帯数増加率 (H12 22) 図 -15 世帯数 増加率と比の関係(H15-H25) 14 ( 分 ) 所要時間 ( 東京駅まで ) 12 1 8 6 4 2 小川町 入間市 鶴ヶ島市ふじみ野市 狭山市 北本市 春日部市 久喜市 上尾市 蓮田市 富士見市 桶川市 本庄市 羽生市毛呂山町日高市東松山市幸手市坂戸市宮代町所沢市川越市三芳町志木市白岡市 蕨市 草加市 新座市 近接した市町村 ( 埼玉県北西部 ) 寄居町 三郷市 川口市 越谷市 朝霞市 上里町 戸田市 さいたま市 嵐山町 宇都宮 高崎 京浜東北 埼京線 東武東上線 西武池袋線 つくばエクスプレス 東武伊勢崎線 吉川市 大規模な土地区画整理事業 ( 計画人口 11, 人 ) 八潮市 伊奈町. 1. 2. 3. 4. 5. 転入超過世帯数 (H12 22)/ 総世帯数 (H12) 図 -17 転入超過世帯数 と 都心 との関係 (H12-H22) (%) 7

(2) 分析結果 ( 分析 3) まず, 転入超過世帯数と東京駅までの所要時間を整理したグラフを図 -16に示す. しかし, 市町村の面積 人口 世帯数の規模等が異なるため, 総世帯数および路線別で整理した. 再度整理したものを, 図 -17に示す. 東京駅までの所要時間が短い市町村ほど世帯数は転入超過であることが分かる. つまり, 都心へのアクセスが良い市町村へは転入世帯が多いことが分かる. そして, 総世帯数の増減は転入超過世帯の社会増と高齢世帯減少数の自然減とで説明できると考えられる. 7. 結論と今後の課題本研究では, 高齢化社会における空き家の発生構造について, 時系列で現象を明らかにし将来予測を行うことで, まちづくり政策を行う際の一指標とすることを目的として分析を行った. まず, 空き家の発生構造について, 空き家の発生要因および減少要因を整理した. そして, 空き家数 と 総住宅数 および 総世帯数 の関係性を基本とした上で, 空き家の発生構造を整理し, 住宅数 および 世帯数 に関する3つの分析を行った. 本研究の結論を以下に示す. まず, 空き家数 は 総住宅数 と 総世帯数 の変化によって概ね説明できることが分かった. ここでの小さな差異は, 学生等の非世帯居住者や高齢者の施設入居により生じるものである. 特異な市町村については, 今後その理由等を分析する必要がある. 次に, 総住宅数 は 新設住宅着工戸数 と 滅失戸数 で概ね説明できることがわかった. ここで, 滅失戸数 は 新設住宅着工戸数 と 住宅総数 増加数の差で表すことができ,1 年後の 総住宅数 を 平均滅失率 と 新設住宅着工戸数 で概ね算定可能である. これは, 新設住宅着工戸数 の影響が大きいためである. 次に, 埼玉県の市町村では 都心へのアクセス によって 転入超過世帯数 を概ね説明できることが分かった. ここで, 地域的な分散は大きいが, マクロ的な傾向は明らかである. 路線毎の傾向や, 特異な値を示した市町村におけるその要因を分析することは今後の課題である. 次に, 総世帯数 の増減は 転入超過世帯数 ( 社会増 ) と 高齢者世帯数 の減少で表すことができると分かった. これは, 高齢化による自然減が大きく影響しているからである. さらに, 首都圏 ( 埼玉県 ) における 総世帯数 の1 年間程度の中期的変化は, アクセス性による 転出転入世帯数 と 高齢者世帯数 によって概ね説明可能であ ることが分かった. これらのことより, 本研究では, 首都圏近郊 ( 埼玉県 ) における空き家の発生構造を明らかにした. 今後の課題としては, 空き家の発生構造に関して3つの分析を行ったが, それぞれの関係性や, 具体的にどの市町村ではどのような発生構造で空き家が増加したりしなかったりしているのかを分析する必要がある. さらに, 既に深刻な空き家問題を抱えている地方部における空き家の発生構造についても分析が必要である. 本研究は, 空き家に関する経年的な統計データがあまりない中で, 空き家の発生構造に関する研究を行ったものである. 現在,215 年 2 月に 空き家等対策の推進に関する特別措置法 が施行されたことに伴い, 国から各都道府県, 市区町村において, 空き家の実態調査から計画策定, そして具体的な対策と, 空き家問題に関する取組が大きく動き出そうとしている. 本研究を通して, 早急に対策を急ぐのではなく, まずは空き家の実態をある程度正確にとらえた後に, その地域における空き家の発生構造を明らかにし, それに見合った空き家対策をすることが望まれる. そこで行われた細かい空き家の実態調査結果を収集分析することで, 更に詳しい空き家に関する研究が進んでいくであろう. 参考文献 1) 国立社会保障 人口問題研究所 : 将来推計人口 世帯数, http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/mainmenu.asp 2) 総務省統計局 : 住宅 土地統計調査, 平成 1 年, 平成 15 年, 平成 2 年, 平成 25 年 http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/kekka.htm 3) 鳥取県 : 平成 1 年住宅 土地統計調査, 鳥取県地域振興部統計課,http://www.pref.tottori.lg.jp/39564.htm 4) 米山秀隆 : 空き家率の将来展望と空き家対策, 研究レポート N.392,May 212, 富士通総研経済研究所 http://www.fujitsu.com/downloads/jp/archive/imgjp/group/fri/report/res earch/212/no392.pdf 5) 国道交通省 : 空家等対策の推進に関する特別措置法,214 年 11 月, 法律第 127 号 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/h26/h26ho127.html 6) 樋野公宏 : 空き家を巡る状況を概括する, 住宅,213 年 1 月,( 社 ) 日本住宅協会,pp4-14 http://www.kenken.go.jp/japanese/research/hou/topics/bouhan/pdf/131 4.pdf 7) 東京市町村自治調査会 : 自治体の空き家対策に関する調査研究報告書,214 年 3 月, 東京市町村自治調査会 https://www.tama-1.or.jp/cmsfiles/contents//376/all_l.pdf 8) 野村総合研究所 :News Release, 214 年 9 月 18 日 https://www.nri.com/~/media/pdf/jp/news/214/14918.pdf 8

9) 日本都市センター : 都市自治体と空き家 - 課題 対策 展望 -,215 年 3 月, 日本都市センター http://www.toshi.or.jp/app-def/wp/wpcontent/uploads/215/5/report147.png 1) 今井絢他 : 空き家問題 の今後と中古住宅の活用可能性, 知的財産創造,215 年 8 月号,pp2-37, 野村総合研究所, https://www.nri.com/~/media/pdf/jp/opinion/teiki/chitekishisan/cs215 8/cs21584.pdf 11) 松下啓一 : 空き家対策からまちづくりを考える, 国際文化研修,216 年 92 号,pp16-21, 全国市町村国際文化研修所 http://www.jiam.jp/journal/pdf/v81/tokushuu2.pdf 12) 上田章紘他 : 空き家発生 分布メカニズムの解明に関する研究 ( その1),PRI Review 61 号,216 年夏, 国土交通省 国土交通政策研究所,pp24-35, http://www.mlit.go.jp/pri/kikanshi/pdf/216/61-3.pdf 13) 国立社会保障 人口問題研究所 : 将来推計人口 世帯数, http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/mainmenu.asp 14), 平成 26 年度版統計わこう, http://www.city.wako.lg.jp/home/shisei/toukei/you_2_13/toukei- (216. 7. 31 受付 ) SPATIAL ANALYSIS OF INCREASING VACANT HOUSES IN TOKYO METROPOLITAN AREA AND ITS SOCIAL BACKGROUND Yuki TAKAGI, Hajime INAMURA Reveal the phenomenon in the time series for the development structure of the vacant house in the low birthrate and aging society. And by performing prediction in the future, it is intended to be single index for performing town development policy. Through to clarify the relationship with the elderly the number of households and the number of vacant house obtained from the results of statistical surveys, to analyze the generation structure of vacant houses in the region, carried out a study of the estimation formula. Then, we try to further predict the number of households and the number of vacant houses than population projections result in a town -chome unit. 9