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認定後の活動としては大きく2つあります 一つは 技能奨励 後継者育成 人材育成の取り組 みとして イベントで熟年の技を実演披露していただく ことです 今年度も かわさき市民まつりや区民祭に 出展していただき 素晴らしい技の披露や展示を行い 市民の方々にその活動をPRしました 図7参照 また 子ども達にものづくりの素晴らしさを伝えるた めに 学校での講習会や外部講師としての派遣を行 うなどして 本物の技能を見てもらったり 実技指導等 の職業体験なども行っています さらに 最近は 学校 の先生方も ものづくりに携わる進路が分からないとい う方が多いことから ものづくりの道への進み方につい 図7 ても説明しています また 市民向けの講習会も行っており ものづくりの指導として体験教室などを実施しています 今回 の講師であるキルト工芸さんについても 毎年椅子づくりの講習会を実施していただいております 今年度も 平成26年2 月に てくのかわさき 川崎市生活文化会館 にて 椅子の革張り教室を行っていただきます 高級な素晴らしい革を使 い 椅子の革張りを体験いただくことも企画しておりますので 皆様の参加をお待ちしております 3 経済振興の取り組み 次に 経済振興の取り組みについてですが マイスターの 方々を対象に研修会等を開催し その素晴らしい技能をより 一層発揮していただけるように マーケティングや市場開拓 の知見を高めていただくような取り組みも実施しています ま た 最近注目を浴びた取り組みとして マイスターの方々の 技能を終結したものづくりプロジェクトがあります 図8参照 図8 昭和20年代製造の高さ約2メートルの置時計を 3年の月 日をかけて 今年8月に完成した時計修復事業です マイ スターの方々の皆さんにより デザイン 企画 設計 製作 全てを行ったものです 図9参照 図9 この事業は 素晴らしいものづくりをしたいという思いのもとに 各々の分野で卓越した技能を持つマイスターが結集し 平成22年にスタートしたものです 図9の下方にあるのがアルミを加工して製作した かわさきマイスター のシンボルマー クであり 150Kgほどもあるアルミをフライス盤で加工したものです マイスターの方々は50回以上の会議を重ね 会議終 了後もさまざまな職種のマイスターの方々が親睦を深めていきました 新聞等にも掲載され ご存知の方もいらっしゃると思 います 完成した置時計は 9月4日に川崎市に寄贈いただきました 図10参照 デザインは 川崎市の 川 と 川崎市の母なる川である多摩川の 川 の字を青いパイプでイメージしています 下の方 3 平成25年度かわさき産業ミュージアム講座 第2回講義録
に先ほどご説明した かわさきマイスター のシンボルマークが大きく鎮座しており その背景にステンドガラスがあり それ が多摩川の河原の水面を表現していまして このステンドガラスの上方に鮎が4匹ほどおり この鮎が多摩川を遡上するよ うなイメージで上下する置時計です 図10 図11 置時計の巻上げは手動で駆動する場合が多いですが この時計は自動式で 稀にみる世界唯一の時計と確認し ております 今は市民ミュージアムの1階案内横にて一般 公開しておりますので ぜひご覧ください また 経済振興の取り組みとして ものづくりコーディネ ート支援事業 を昨年から実施しております マイスターの 方々は中小企業の方が多くいらっしゃいます 中小企業で は 大手企業から下請け業務を受注しているところも多く その際は発注者の仕様に従ったものをつくりますが その ような場合にマイスターの凄技を全て活かし切ることは難し いと思われます 図12 また 製品のうち その各部品をつくっていることもあり マイスターの凄技が直接製品に出てこないことがあります そうしたことから この事業は マイスターの素晴らしい技能 を製品化し その製品を消費者に直接販売しようとする仕 組みとなっています すでに製品化したものがあるのでご 紹介します 図12の写真の金属の盃は73,500円します 下の台座と上の皿は 溶接で接合されているのではなく カシメ という技術により接合されており 大きさは直径17 ほどのものです 図12の右側の写真が F1 エンジンバ ルブのレプリカです 川崎区大川町にある日の出製作所が 昔F1 エンジンバルブを製作していたことから こちらに勤務 図13 されるマイスターの方がそのレプリカを製作しました 最近話題となったTBSドラマ 半沢直樹 第1話に この製品と製作 者であるマイスターの方が出ておられます その他にも 図13の写真の鯉のサンプルやマフラーなどもあります これらの 製品は インターネットにて販売しております 実際に販売実績もあり 贈答品としてもご活用いただいております 経済振興の取り組みとして マイスターの訪問ツアーも実施しております マイスターの方がマイスターの仕事場を訪問 し 相互交流の促進を図っております 4 平成25年度かわさき産業ミュージアム講座 第2回講義録
お手元に本日の講師であるキルト工芸の出井さんのマ ンガが配布されておりますが これは マンガでわかる か わさきマイスター という刊行物からの抜粋となります この 刊行物は 51名のマイスターの方々のお話をお一人ずつA 4サイズ4ページ分にマンガ化して まとめたもので 2年前 に発行しました 学校での講習会や職業体験などに参加す る子ども達に マイスターの素晴らしい技能やその生き様を 分かりやすく伝えたいと思い 作成したものです インター ネットでも公開しておりますので 是非ご覧ください 図14 その他の取り組みに 東日本大震災被災者支援活動として チャリティー洋菓子教室やイベントなども開催し 被災地 を忘れないでほしいという思いも込めて活動しています 今後の かわさきマイスター の活動としては より一層の活 動の充実を図っていきたいと思っております 図15参照 川崎市はものづくり都市として発展を続けており 海外進出 した企業が円安の傾向で日本に帰ってくる事例も増えてきて おり また 本日皆様にご参加いただいているように ものづく りに対する市民の方々の理解や感心も深まってきております こうした中で ものづくりの匠といわれる方々がもっと活躍し 魅 力あるものづくりがより一層振興していけるように 技術 技能 者の将来像を掲示するとともに かわさきマイスターブランド を構築をしていきたいと思います 図15 それでは 本日の講師である出井さんと 出井さんが勤務される株式会社キルト工芸について ご紹介します 出井さ んは平成22年度にかわさきマイスターとして認定されました 出井さんは川崎区の浜町出身で 1974年にキルト工芸へ 入社されています キルト工芸を代表する椅子張りの匠の方です キルト工芸は元々新橋に会社がありましたが 1989年に工場を今の川崎区大川町に移し再創業されました 先代の社 長さんは昭和天皇の玉座も製作したこともある素晴らしい技能を持っておられる方で 出井さんはその最後の弟子として 技能を習得されています キルト工芸では 数百万円もする古い外国製の椅子の復刻を手がけるとともに 新作の椅子も 数多く製作されております お配りしたマンガに出てくる FUJI という椅子は デンマークの女性デザイナーによるもので 平成22年にグッドデザイン賞を受賞しました また シンガポール航空の A380 という2階建ての飛行機のビジネスクラス の座席の試作や 新幹線N700系の運転席なども手がけておられます 5 平成25年度かわさき産業ミュージアム講座 第2回講義録
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