揮発油税等の当分の間税率とその環境効果 揮発油税の概要 揮発油税及び地方揮発油税の税率は 昭和 49 年度税制改正において税率引上げが行われた際に 暫定的な措置として 租税特別措置法により税率の特例措置が講じられて以来 平成 20 年度改正において平成 30 年 3 月末までの 10 年間の措置とし

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新車販売台数のシェア 分析の前提条件 燃費 [km/l] 燃料種別新車販売台数のシェアは 自動車産業戦略 の平成 42 年度のシェアに向かって線形に変化し 技術開発等により乗用車販売平均燃費も改善すると仮定 2 この仮定を踏まえつつ 平成 27 年度燃費基準と平成 32 年度燃費基準の

分析手法の選択 燃費や車体重量 排気量に応じて減税措置が異なるエコカー減税 グリーン化特例の分析には 車種別データ等を扱うことができる非集計モデルが適切である 分析手法の分類 車体課税における税制グリーン化の分析に係る先行研究の多くは 部分均衡分析の手法が使われている 本分析手法のロジットモデルは

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

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新とする理由⑴ 政策目的 車体課税については 平成 23 年度税制改正大綱において エコカー減税の期限到来時までに 地球温暖化対策の観点や国及び地方の財政の状況を踏まえつつ 当分の間として適用される税率の取扱いを含め 簡素化 グリーン化 負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討 することとされて

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

お知らせ

②平成29年度環境省関係税制改正について

平成18年度地方税制改正(案)について

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平成 31 年度 税制改正の概要 平成 30 年 12 月 復興庁

車体課税の見直しの考え方 ( 地方税 ) < 当面の対応 > 環境への配慮 我が国自動車産業の技術的優位性の確保 向上等の観点から 一律の負担軽減ではなく 環境性能等に優れた戦略的商品の普及を重点的に促進していくという視点が重要 自動車取得税 一律の負担軽減は 環境性能が劣る自動車が相対的に有利とな

新又は延長を必要とする理由設 拡充⑴ 政策目的 1 社会保障 税一体改革大綱 ( 平成 24 年 2 月 17 日閣議決定 ) 等に基づき 自動車取得税及び自動車重量税について 廃止 抜本的な見直しを強く求める 等とした平成 24 年度税制改正における与党の重点要望に沿って 国 地方を通じた関連税制

地方税法等の一部を改正する法律案の概要 総務省 1 地方法人課税における新たな偏在是正措置 平成 31 年 10 月 1 日施行 都市 地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築の観点から 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案 において特別法人事業税 ( 国税 ) を創設することに併

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

資料2-1 課税段階について

参考資料 5 ( 平成 26 年 10 月 24 日合同専門家会合第 1 回資料 4-1 より抜粋 データを最新のものに更新 ) 温室効果ガス排出量の現状等について 平成 27 年 1 月 23 日

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 4-5 福島 震災復興 租税特別措置等により達成しようとする目標 政策の達成目標と同じ 租税特別措置等による達成目標に係る測定指標 仮設施設の整備数 8 有効性等 政策目的に対する租税特別措置等の達成目標実現による寄与 東日本大震災で

平成 22 年度税制改正大綱 ( 抄 ) 第 3 章 各主要課題の改革の方向性 7. 個別間接税 (3) 暫定税率 地球温暖化対策のための税等 4 地方環境税の検討 喫緊の課題である地球温暖化対策を推進するためには 地域において主体的な取組を進め 地球環境に貢献することが求められています CO2の排

(*2) ハイブリッド自動車 ハイブリッドバス トラック ハイブリッド乗用車等車両総重量 3.5t 以下は 車 (*4) かつ燃費基準 +25% 達成車 (*5) 車両総重量 3.5t 超は重量車 車 (*9) かつ重量車燃費基準達成車 (*7) (*3) クリーンディーゼル乗用車平成 21 年排出

所得税 12 兆 6,14 億円 ( 歳入比 13.7%) これまで行われてきた度重なる税率構造の累進性の緩和や各種控除の拡充などにより 個人所得課税の負担は大きく軽減されてきています 所得税収の推移 ( 注 ) 所得税収は 21 年度以前は決算額 22 年度は予算額です なお 所得譲与税による税源

平成 29 年 12 月 22 日林野庁 平成 30 年度林野庁税制改正事項 新規 拡充事項 森林吸収源対策に係る地方財源を確保するため 次期通常国会における森林関連法令の見直しを踏まえ 森林環境税 ( 仮称 ) 及び森林環境譲与税 ( 仮称 ) を創設する 木質バイオマス発電設備等の再生可能エネル

第1章

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本要望に対応する縮減案 3 自動車の取得段階では消費税と自動車取得税が二重課税となっており 保有段階でも自動車重量税のほかに自動車税 ( 又は軽自動車税 ) の 2 つの税が課されており 自動車ユーザーに対して複雑かつ過大な負担を強いている 特に 移動手段を車に依存せざるをえず複数台を保有する場合が

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

扉〜目次

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目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

平成 31 年度税制改正 ( 租税特別措置 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 ) 制度名車体課税の抜本的見直し 税 目 ( 経済産業省製造産業局自動車課 ) 自動車重量税 ( 自動車重量税法全文 自動車重量税法施行令全文 自動車重量税法施行規則全文 租税特別措置法第 90 条の 12 自動車重量譲

事例2_自動車用材料

研究成果報告書

3 車体課税 自動車取得税の見直し 自動車取得税の税率 ( 一定税率 ) を以下のとおり引下げ ( 平成 26 年 4 月 1 日以降 ) 自家用自動車 ( 軽自動車を除く ) 5%( ) 3%( ) 営業用自動車 軽自動車 3%( ) 2%( ) いわゆる エコカー減税 について 環境性能に優れた

新設 拡充又は延長を必要とする理由16-2 ⑴ 政策目的 1 平成 29 年度与党税制改正大綱等を踏まえ ユーザー負担の軽減や簡素化等の観点から 自動車重量税の当分の間税率の廃止を前提にしつつ 自動車税の税率引下げ等の車体課税の抜本的な見直しに向けた検討を行い 必要な措置を講ずる 2 自動車市場の拡

地球温暖化対策のための税の効果について 1. 平成 20 年 11 月中央環境審議会グリーン税制専門委員会 環境税等のグリーン税制に係るこれまでの議論の整理 より 税収を温暖化対策の費用に充てる 又は温暖化対策に係る減税に活用する場合 CO 2 削減に関し大きな効果が見込める ( 前略 ) 環境利用

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番号文書項目現行改定案 ( 仮 ) 1 モニタリン 別表 : 各種係 グ 算定規程 ( 排出削 数 ( 単位発熱量 排出係数 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 -

エコカー減税グリーン化特例(自動車税 軽自動車税)(自動車税 軽自動車税)環境性能割車体課税の見直し ( 自動車重量税 自動車取得税 自動車税 軽自動車税 ) トラック バス タクシーについては 営自格差 を堅持するとともに 一部見直しを行った上で エコカー減税 グリーン化特例を 2 年間延長 また

取組概要 ( 申請書からの転記 ) 全 般 排 出 量 の 認 識 取組名称 認証取得者名取組の概要 適用したカーボン オフセット第三者認証基準のバージョン認証の有効期間オフセット主体認証ラベルの使途 認証対象活動 認証番号 :CO 有効期間満了報告書受領済み 持続可能な島嶼社会の発展に

平成 30 年度与党税制改正大綱の概要 基本的考え方 我が国経済の成長軌道を確かなものとするため 生産性革命 と 人づくり革命 を断行するとともに 人生 100 年時代を見据え 誰もが生きがいを感じられる 一億総活躍社会 を作り上げる必要がある このため 税制面においては 働き方の多様化を踏まえ 様

第 3 章隠岐の島町のエネルギー需要構造 1 エネルギーの消費量の状況 ここでは 隠岐の島町におけるエネルギー消費量を調査します なお 算出方法は資料編第 5 章に詳しく述べます (1) 調査対象 町内のエネルギー消費量は 電気 ガス 燃料油 ( ガソリン 軽油 灯油 重油 ) 新エ ネルギー (

租税のあらまし 租税のあらまし 1. 我が国の税金 (1) 税金の役割 1 公共サービスの主要な財源私たち住民が円滑な日常生活を送るためには 国や地方団体が分担する様々な公共サービスの提供などが必要となります 国は 外交や司法など国の存立に関わる見地から行う仕事を担い 地方団体は 地域社会に密着した

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

新設 拡充又は延長を必要とする理由15-2 ⑴ 政策目的 1 平成 28 年度与党税政改正大綱等を踏まえ 以下の要望を行う 自動車取得税については 消費税率 10% への引き上げ時に廃止が決まっていたが 消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置 ( 平成 28 年 8 月 24 日閣議決定 ) を

センタリング

平成 29 年度地方税制改正 ( 税負担軽減措置等 ) 要望事項 ( 新設 拡充 延長 その他 ) No 17 府省庁名経済産業省製造産業局自動車課 対象税目 要望項目名 要望内容 ( 概要 ) 個人住民税法人住民税事業税不動産取得税固定資産税事業所税その他 ( 自動車取得税 自動車税 軽自動車税

<4D F736F F D FC90B38A D8F63816E A A B837482A082E A68CEB904192BC82B58CE32E646F63>

経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

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自動車税制に関するアンケート調査[2016年9月]

平成 31 年度住宅関連税制改正の概要 ( 一社 ) 住宅生産団体連合会 平成 31 年 3 月 (1) 住宅ローン減税の拡充 ( 所得税 個人住民税 ) 消費税率 10% が適用される住宅取得等をして 2019 年 10 月 1 日から 2020 年 12 月 31 日までの間にその者の居住の用に

「自動車税制に関するアンケート調査」結果

租税特別措置法 ( 自動車重量税関係 ) の改正 701

日本内科学会雑誌第98巻第4号

日本内科学会雑誌第97巻第7号

216 岡田 啓 車 ( 低燃費かつ低排出ガス車 ) は2,443 万台であり 61% を占めている 2) 自動車税のグリーン化 エコカー減税という政策により乗用車がエネルギー効率の高いものに置き換わり 2000 年以降の新車燃費 ストックベース燃費は20% 上昇した 3) この燃費の上昇は自動車か

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改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

エコカー減税の対象範囲を 平成 32 年度燃費基準の下で 政策インセンティブ機能を回復する観点から見直すとともに 基本構造を恒久化する また 平成 25 年度及び平成 26 年度与党税制改正大綱に則り 原因者負担 受益者負担の性格等を踏まえる 軽自動車税については 一定の環境性能を有する四輪車等につ

【HP公開用】J-グリーン・リンケージ倶楽部(電気自動車)プロジェクト計画書案(別紙) 1205

新設 拡充又は延長を必要とする理由(1) 政策目的 1 平成 26 年度与党税制改正大綱を踏まえ 以下の見直しを行う 自動車取得税のエコカー減税について対象車の基準を 2020 年度燃費基準へ切替え 自動車取得税について消費税率 10% への引上げ時点 ( 平成 27 年 10 月予定 ) で廃止

目次 1. 奈良市域の温室効果ガス排出量 温室効果ガス排出量の推移 年度 2010 年度の温室効果ガス排出状況 部門別温室効果ガス排出状況 温室効果ガス排出量の増減要因 産業部門 民生家庭部門

環境税導入の都道府県別負担の評価

て具体的な結論を得る その際 累次の与党税制改正大綱に則り 原因者負担 受益者負担としての性格等を踏まえる なお 消費税率 10% への引上げの前後における駆け込み需要及び反動減の動向 自動車をめぐるグローバルな環境 登録車と軽自動車との課税のバランス 自動車に係る行政サービス等を踏まえ 簡素化 自

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする


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法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

2. 改正の趣旨 背景給与所得控除額の変遷 1 昭和 49 年産業構造が転換し会社員が急速に増加 ( 働き方が変化 ) する中 (1) 実際の勤務関連経費が給与所得控除を上回っても 当時は特定支出控除 ( 昭和 63 年導入 ) がなく 会社員は実際の勤務関連経費がいくら高くても実額控除できなかった

緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

政策体系における政策目的の位置付け エネルギー基本計画 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) において 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2020 年までに 10% とすることを目指す と記載 地球温暖化対策基本法案 ( 平成 22 年 10 月 8 日閣議決定 )

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CONTENTS

●租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案

環境税の具体案

鳩山政権の経済政策の効果

平成 27 年度税制改正 ( 消費税率 10% への引上げ時 ) における 車体課税に関する残された課題 平成 26 年度与党税制改正大綱 自動車取得税は 消費税率 10% への引上げ時に廃止 ~ 平成 26.3 平成 26.4~ 消費税率 10% 引上げ時 1 自動車取得税の廃止等及び自動車税にお

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2.1 標準式 : 燃料法 ( 燃料使用量から二酸化炭素排出量を算定 ) 燃料の使用に伴う二酸化炭素の発生は 燃料に含有される炭素分が燃焼することで酸化され 大気中に二酸化炭素として放出されることによります このため 燃料が完全燃焼することを前提にすれば 燃料の使用量から二酸化炭素排出量を算定する方

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平成26年版 特別会計ガイドブック

「自動車税制に関するアンケート調査」結果

スライド 1

資料3-1 温室効果ガス「見える化」の役割について

年度決算をもとにして自動車関連税の現状および地方財政における位置付けを都道府県間比較によって明らかにする そして第 3 章では 第 2 章での現状分析を踏まえながら 地方税としての自動車関連税制の在り方について地方税の原則を起点にして展開することで 論点を整理する 2. 自動車関連税の

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

電気自動車・燃料電池車の普及について

Chapter 1 Chapter 2

平成21年度 環境省重点施策

御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

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がある 3 改正の必要性ア. あるべき姿と現状のギャップ我が国皮革製品産業は 高付加価値化やコスト削減などの構造改善を進めることにより 欧州から輸入される高価格の製品と 主にアジア諸国から輸入される低価格製品に対抗できる競争力の確保を図る必要がある しかしながら 近年 アジア諸国においては欧州及び米

平成26年 自動車関係税制のあり方に関する検討会

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資料 2 揮発油税等の当分の間税率による環境効果の分析について ( 経過報告 )

揮発油税等の当分の間税率とその環境効果 揮発油税の概要 揮発油税及び地方揮発油税の税率は 昭和 49 年度税制改正において税率引上げが行われた際に 暫定的な措置として 租税特別措置法により税率の特例措置が講じられて以来 平成 20 年度改正において平成 30 年 3 月末までの 10 年間の措置として延長されるまで 累次適用期限が延長されてきた 平成 22 年度税制改正大綱において 揮発油税 地方揮発油税 軽油引取税 自動車重量税及び自動車取得税の暫定税率は 道路整備のための財源として 道路整備計画と一体的なものとして延長されてきたが 財源の使途は平成 21 年 4 月に一般財源化された このような認識に立って 現行の 10 年間の暫定税率は廃止することとする 他方 現在は石油価格も安定しており 化石燃料消費が地球温暖化に与える影響についても度外視できない状況にもある また 急激な税収の落ち込みにより 財政事情も非常に厳しい状況にあることも踏まえる必要がある このようなことから 当分の間 揮発油税 地方揮発油税 軽油引取税について現在の税率水準を維持する とされ 暫定税率廃止と当分の間 現在の税率水準を維持することが決定した 平成 22 年 1 月 18 日の税制調査会において 平均ガソリン価格が連続 3 ヶ月間 1l につき 160 円超となった場合 ( 発動基準 ) 揮発油税 地方揮発油税の本則税率を上回る部分の課税措置を停止 平均ガソリン価格が連続 3 ヶ月間 1l につき 130 円を下回ることとなった場合 ( 解除基準 ) 元の税率水準に復元等の トリガー条項 が定められたが 東日本大震災への税制上の対応として トリガー条項 は現在一時凍結 ( 適用停止 ) となっている ( 出典 ) 財務省 租税特別措置法等 ( 揮発油税及び地方揮発油税 自動車重量税 たばこ税 酒税 印紙税等関係 ) の改正 ( 平成 22 年度税制改正の解説 ) 財務省 東日本大震災への税制上の対応 ( 第一弾 )( 国税 ) より作成 ( 参考 ) 揮発油税等の暫定税率廃止による CO2 排出量への影響試算 ( 国立環境研究所 (2011)) 暫定税率の廃止は それだけで実施すれば CO2 排出に相当規模の負の価格効果がある 燃料課税 ( 揮発油税 地方揮発油税及び軽油引取税 ) に限った試算でも 2012 年から暫定税率を廃止した場合 CO2 排出量は 2020 年には約 1,270 万トン CO2 増加 (1990 年エネルギー起源 GHG 排出量 1% 相当 ) 運輸 は ガソリン及び軽油の直接消費による CO2 排出量 運輸以外 は 運輸以外の商品やサービスの消費 生産活動の変化による二酸化炭素排出量 いずれも 暫定税率を維持した場合の排出量 (BAU) と比べた増加分を示す 1

2011 年度試算について 2 前回 (2011 年 ) のガソリン暫定税率の廃止に伴う影響試算では 以下の二つの試算の合計をもって CO2 排出増を示した 1 価格弾性値モデルを用いた分析暫定税率廃止により ガソリンと軽油の価格が下落する その結果 ガソリンと軽油の需要増加に伴う 運輸部門の CO2 排出量増加 を試算 2 応用一般均衡 (CGE) モデルを用いた分析暫定税率廃止により 輸送用燃料の税込み価格が下落し 実質的な所得が増加する その結果 その他の製品 サービスの購入 ( 購買力 ) が増加することに伴う 運輸以外の部門における CO2 排出量の増加 を試算 2012 年度試算では 2020 年時点の CO2 排出増の約 3/4 が 1 による影響 約 1/4 が 2 による影響であった

価格弾性値モデル及び弾力性の推定結果 価格弾性値モデル ( 部門別多項分布ラグモデル ) E t :t 期におけるエネルギー消費量 GDP t :t 期における実質 GDP PRICE t :t 期における実質平均エネルギー価格 u t : その他項 α: 係数 β: 所得弾力性 γ i : 第 i 番目のラグ年数時の価格弾力性 (i = t-t,..., t: 最大ラグ年数は T 年 ) γ t : 短期の価格弾力性 γ t-t ~γ t の合計値 : 長期の価格弾力性 1 価格弾性値はシラー ラグ分布を用いた最小二乗法でエネルギー需要関数を 実質エネルギー価格 ( 燃料種別エネルギー価格を加重平均した値 ) を用いて推定 短期とは 当期 ( つまり経常時 ) の値 長期とは当期から最大ラグ期間 ( 産業 12 年 家庭 10 年 業務 12 年 旅客運輸 13 年 貨物運輸 14 年 ) での各年における係数推定値を合計した値 2 中央環境審議会第 2 回グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会 (2008) 資料 1 ( 天野 ) に準じた手法 エネルギー需要の価格弾力性の推定結果 推計期間 産業部門家庭部門業務部門運輸部門短期長期短期長期短期長期短期長期 1982-2014 年 -0.03-0.37-0.17-0.46-0.26-0.61 エネルギー需要の価格弾性値に関する過去の研究例 -0.02( 旅客 ) -0.02( 貨物 ) -0.40( 旅客 ) -0.15( 貨物 ) 2017 試算で活用 文献 推計期間 産業部門家庭部門業務部門運輸部門短期長期短期長期短期長期短期長期 天野 (2008) 1978-2006 年 -0.05-0.53-0.27-0.29-0.15-0.50 大塚 増井 (2011) 1978-2009 年 -0.03-0.44-0.16-0.50-0.23-0.52-0.17( 旅客 ) -0.05( 貨物 ) -0.10( 旅客 ) -0.02( 貨物 ) -0.49( 旅客 ) -0.30( 貨物 ) -0.57( 旅客 ) -0.39( 貨物 ) 星野 (2011) 1986-2009 年 - -0.22 - -0.33 - -0.64 - -0.15 2011 試算で活用 ( 出典 ) 天野 (2008) わが国におけるエネルギー需要の価格弾力性再推定結果について 中央環境審議会総合政策 地球環境合同部会第 2 回グリーン税制とその経済分析等に関する専門委員会 資料 1 大塚 増井 (2011) エネルギー需要の価格弾力性の推定とそれに基づく将来のエネルギー需要について 星野 (2011) 日本のエネルギー需要の価格弾力性の推計 - 非対称性と需要トレンドの影響を考慮して 電力中央研究所研究報告 Y10016 3

応用一般均衡モデルの概要 揮発油税等の当分の間税率の廃止による影響分析のため 国立環境研究所等が開発した AIM 経済モデル (AIM/CGE) を活用 減税によりエネルギー価格が下落し 燃料購入への支出が減少し それ以外の製品 サービスの支出や生産量が増加し 全体の活動量が増加する モデルの全体構造 燃料価格下落の経済影響 CO2 生産部門 エネルギー 生産された財 サービス 原材料生産要素 各市場 貿易 最終需要 外国部門 CO2 エネルギー最終需要 貿易収支 家計 実質的な所得 燃料価格 消費支出 雇用者所得 エネルギー価格の下落により活動量が増加 税収 企業 生産量 生産要素 最終需要部門 政府 AIM 経済モデル (AIM/CGE[Japan]) の概要 - 概要 : 日本を対象とした逐次均衡型の応用一般均衡モデル - 分析期間 :2005 年 ~ 2030 年 (1 年ずつ計算 ) - 活動 :40 部門 ( 発電はさらに 10 種に細分化 ) 43 財 4

今年度試算について 5 日本の約束草案が制定され 2030 年の温室効果ガス削減目標が定められたこと等も踏まえ 揮発油税等の当分の間税率が仮に 2018 年に廃止された場合の CO2 排出量への影響に関する試算を実施する 2011 年試算と同様 以下の二つの試算による排出量変化の合計をもって 日本全体への影響を推計する 1 価格弾性値モデルを用いた分析 ( 運輸部門への影響 ) 使用するモデルの概要と価格弾性値を 3 頁に記載 2 CGE モデルを用いた分析 ( 運輸以外の部門への影響 ) 使用するモデルの概要を 4 頁に記載 なお 2030 年に向けてのマクロフレーム ( 経済成長率等 ) は 日本の約束草案等に準拠させる

( 参考 )OECD による軽油課税への提言 OECD は 大気汚染や道路使用による外部費用を課税によって削減する観点から 軽油税率を引き上げるべきと指摘している OECD(2014) The Diesel Differential の概要 多くの国でガソリンよりも軽油の税率が低い ( 右図 ) OECD34 ヶ国のうち 33 ヶ国において 1L 当たり及び CO 2 排出 1 トン当たりともに 軽油税率がガソリンより低くなっている 軽油の消費がもたらす社会的費用に鑑みれば 軽油の税率を低くすることは不適切である 軽油を 1L 消費した場合の CO 2 排出量はガソリンよりも高く CO 2 排出量 1 トン当たりに換算した場合の税率は ガソリンより軽油が高くならなければならない 大気汚染物質の排出量についても 軽油はガソリンを上回り 1L 当たりの税率は軽油の方が高くならなければならない 軽油の方がガソリンよりも環境面から見て効率的という主張は正当化され得ない 税率が移動距離ではなく使用量ベースで課されている以上 環境面から見て 1L 当たりの環境負荷 (CO 2 排出量及び大気汚染物質の排出量 ) が大きい軽油が効率的であるとは言えない 軽油税率が低いことによる経済上の便益はすべて自動車所有者にもたらされ 移動距離の増加というリバウンド効果につながる 燃料や道路の使用による外部費用を削減するためには 幅広い政策を組合せて実施することが有効である 課税以外にも 燃費性能基準の強化は大気汚染の削減に有効であり 渋滞税や騒音税等の道路使用に対する課税は 外部性の削減に有効である ( 出典 ) OECD(2014) The Diesel Differential より作成 メキシコ米国カナダ豪州チリニューシ ーラント ポーランドハンガリーアイスランドエストニアルクセンフ ルクスペインスロベニア韓国 OECD 平均チェコスロバキアオーストリア日本ポルトガルデンマークアイルランドイスラエルスイスフランスベルギースウェーデンフィンランドドイツギリシャ英国イタリアノルウェーオランダトルコ 軽油ガソリン軽油ガソリンメキシコ固有単位米国 CO 2 単位カナダ当たり当たり豪州チリニューシ ーラント ポーランドハンガリーアイスランドエストニアルクセンフ ルクスペインスロベニア韓国 OECD 平均チェコスロバキアオーストリア日本ポルトガルデンマークアイルランドイスラエルスイスフランスベルギースウェーデンフィンランドドイツギリシャ英国イタリアノルウェーオランダトルコ EUR/L EUR/tCO 2 ( 図 )OECD34 ヶ国における軽油及びガソリンの税率比較 6