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30 ロケット再突入データ取得システムの空力設計検証試験について 青木良尚, 南吉紀, 高間良樹, 石本真二 ( 宇宙航空研究開発機構 ) Aerodynamic Design Validation Tests of Rocket Re-entry Data Acquisition System Yoshihisa Aoki, Yoshinori Minami, Yoshiki Takama, Shinji Ishimoto (JAXA) 概要 JAXA 研究開発部門第四研究ユニットでは, ロケットの溶融解析に関わるデータの取得と, 再突入機および将来輸送系に係る技術の蓄積を主な目的として, カプセル型のロケット再突入データ取得システムを開発している.2014 年度 ~2015 年度初めに空力設計検証試験を行ったので, 結果の概要と試験における課題について報告する.

第 91 回風洞研究会議論文集 31 ロケット再突入データ取得システムの空力設計検証試験について 青木良尚 南吉紀 高間良樹 石本真二 (JAXA) 1 内容 1. ロケット再突入システムについて 2. 空力設計等検証計画 3. 検証試験結果 4. 検証試験で判明した試験における課題 5. まとめ 2

32 ロケット再突入データ取得システムの目的 1. ロケットの溶融解析に係るデータの取得 ミッション終了後のロケット上段の落下傷害リスクを適切に評価するために 費用対効果に優れた低コストの ロケット再突入データ取得システム を開発し 大気圏再突入時の溶融解析に係るデータを取得する 2. 再突入機および将来輸送系に係る技術の蓄積 開発したシステムを飛行実験プラットフォームとして活用することにより 低コストで飛行機会を確保し 再突入機のシステム設計技術 および将来輸送系の研究に資するデータ取得 評価技術を蓄積する 3. 研究能力の強化 可能な限り JAXA インハウス体制で取り組むことにより JAXA のシステム設計技術 データ取得 評価技術を強化する 研究開発部門第四研究ユニットロケット再突入データ取得システム開発チームにより 2016 年度打ち上げ予定の H IIB6 号機への搭載を目標として 開発中 3 ロケット再突入データ取得システムの概要 H-IIB ロケット軌道離脱燃焼終了後 システム起動 ロケットの主ミッション中は電源オフ ロケット再突入の溶融解析データ取得 大気圏再突入 H-IIB ロケット第 2 段機体破壊 再突入モジュール ( 計測システム本体 ) の分離 ( 空力加熱による受動的な分離 ) 再突入モジュール単独飛行 パラシュート開傘 再突入機の設計データ取得 イリジウム衛星携帯電話サービス衛星 アブレータ等分離投棄 着水 / 浮遊 / データ送信 ( 機能停止後水没 ) 回収はしない 4

第 91 回風洞研究会議論文集 33 ロケット再突入データ取得システムの空力設計 参考文献 ( JAXA RM 04 016 平成 16 年度 HTV 搭載カプセルシステム検討成果報告書 ) で検討された鈍頭形状の静安定の増加を目的として 修正形状を検討 側面の傾斜角を中心として 8 個の修正形状を設定 極超音速域と低速域の静安定 動安定を簡易推定により検討し 形状を決定 初期形状修正形状代表例最終形状 速度域静安定動安定 極超音速 簡易推定法による静安定と動安定の検討 ニュートニアン法 過去の風試データからの類推 DATCOM 低速 DATCOM DATCOM 5 ロケット再突入データ取得システムの内部計測系 再突入機の設計データ取得 機体内部の温度時刻歴から機体表面の空力加熱率を精度よく推定する技術の獲得に向けて 機体内部の温度を計測する フラッシュエアデータシステムの実用化に向けて 機体表面の圧力を計測する その他 フライバイワイヤレスシステムの実用化に向けたワイヤレスセンサによる計測や INS/GPS 計測 機体内部の圧力 温度の計測を行う予定 計測項目 よどみ点圧力及び側面圧力 (a, d) アブレータ温度 (b, c) よどみ点圧力センサ配管温度 よどみ点付近筐体温度 筐体内温度 圧力 a) よどみ点圧力 d)50% 胴体長側面圧力 c)25% 胴体長側面 20 mm 深さアブレータ下温度 b) 前頭中間位置 20mm 深さアブレータ温度 目的 CFD 風洞試験の検証 FADS を目的とした圧力計測法の検証 CFD 風洞試験の検証 ( 空力加熱率の評価 ) よどみ点圧力計測配管の設計検証及びヘルスモニタリング ヘルスモニタリング ヘルスモニタリング 6

34 よどみ点圧力計測に関する検討 高温となるアブレータ表面のよどみ点圧力計測に関する検討を実施 配管根本温度 500 ( アブレータの昇華温度 ) とした時の 熱伝導方程式による配管端温度を検討 ( 材料は SUS304 及びアルミニウム 断熱壁を仮定 ) 外径 8mm 内径 4mmの二次元熱伝導方程式による配管端温度と 一次元熱伝導方程式による配管端温度は ほぼ一致したので この配管厚さのケースでは 一次元で近似可能 アルミニウムは ステンレスと比較して 急速に温度上昇 配管長 50mmでは 6 分間で350 程度 配管長 70mmでは 8 分間で300 程度 圧力配管の温度と配管詰まり 及びアブレータに圧力孔を開ける影響は 実機と同様の設置台とアブレータを用いた アーク風洞試験で検証 端部温度をプロット 外部定常温度 500 長さ L 端部断熱条件 配管材料を SUS304 配管長 7cm とする 7 高温における圧力計測に対応する圧力センサの選定 配管温度検討結果に基づき よどみ点圧力計測では最高計測温度 400 を条件として 機体に設置できる重量 大きさのセンサを選定 よどみ点圧力計測には1を 側面圧力計測には2を採用 1 Kulite XTEH 10L 190 環境温度 : 55~538 温度補償 :25~454 2 Kulite XTE 190 環境温度 : 55~273 温度補償 :25~232 8

第 91 回風洞研究会議論文集 35 2. 空力設計等検証計画 低速 ~ 極超音速までの静 動安定および よどみ点圧力計測に関する検証試験を実施 1. 静特性はCFD 及び風洞試験で検証する ベース圧は バリスティックレンジ試験で検証する 2. 動安定は CFD 及びバリスティックレンジ試験で検証する 3. よどみ点圧力計測法の妥当性は アーク風洞試験で検証する 項目 2015 年 3 月 4 月 5 月 9 16 23 30 6 13 20 27 4 11 バリスティックレンジ試験 超音速風洞試験極超音速風洞試験遷音速風洞試験アーク風洞試験 9 CFD による静 動安定の検証 1. 静特性は 構造格子で 乱流モデル (SA R) を用いて FaSTAR で計算 2. 動安定は DES により計算 振動中心は迎角 0 振幅は 10 振動周期は 計算効率を考慮して 50Hz で実施 項目 マッハ数 0.4 での弱い静安定と 遷音速での動的不安定が確認された CFD 計算マッハ数 計算マッハ数 静特性 0.4 0.8 0.95 1.05 1.4 2.5 4.0 動安定 0.9 1.1 1.4 3.0 静特性計算例 ( マッハ数 2.5 迎角 20 ) 動安定計算例 ( マッハ数 0.9 ) 10

36 バリスティックレンジ試験計画 1. 模型サイズは 圧力センサ等の内挿を考慮して バリスティックレンジで使用できる最大サイズ ( ベース面直径 0.1m) とした 2. ベース圧を計測できるように 圧力孔を穿孔 圧力センサを設置できるようにした 前部 : アルミ 後部 :NC ナイロン 圧力孔 kulite XT 140M 模型 2 個 サボー 20 個を製作 加速度計測と圧力計測は 使用するデータロガーが異なるため 別々に実施 11 遷 超 極超音速風洞試験計画 HTV R 回収機風洞試験用天秤を使い すべての風洞で同一の模型を使用する方針とした 0.5m 極超音速風洞ブロッケージ限界 超音速風洞 M1.4 ブロッケージ限界 遷音速風洞ブロッケージ限界 JAXA1m 1m 超音速風洞マッハ数 1.4の通風と JAXA0.5m 極超音速風洞マッハ数 5.0の通風 及び 12 天秤容量を考慮して ベース面直径 0.1mの模型を使用する事とした

第 91 回風洞研究会議論文集 37 アーク風洞洞試験計画 実機と同一のアブレータ アブレータ厚さ 圧力センサ設置法で試験を実施 実機と同一の圧力センサ設置台を使用する為に 新たに支持装置を製作 ベークライトホルダ 気流 アブレータ 衝撃波 圧力センサ設置台 ( 配管長 7cm) 圧力センサ 支持装置 JAXA 750kW アーク風洞 全長 39mm アブレータ 13 3. 検証試験結果 第四研究ユニットの協力により 角田宇宙センターのバリスティックレンジで検証試験を実施 サボー分離板 射出口 キャッチャー バリスティックレンジ概観 高速度カメラによる供試体撮影 14

38 バリスティックレンジ試験結果ベース圧計測結果 マッハ数 0.25 でベース圧係数 0.24 程度 マッハ数 0.49 でベース圧係数 0.3~ 0.4 程度となり CFD の検証が出来た 模型とサボー分離板の接触により 回転運動が発生 ベース圧計測例 ( マッハ数 0.25) 15 遷 超 極超音速風洞試験結果 調布航空宇宙センターの風洞で検証試験を実施 1. CFDと風洞試験結果は 概ね一致 2. マッハ数 1.4では 迎角 20 付近に風洞試験とCFD の上面圧力の違いが発生 胴体上面静圧孔 3 点 胴体側面静圧孔 3 点 機体先端静圧孔 胴体下面静圧孔 3 点 機体先端圧力 実線 : 遷音速風洞試験 :CFD +: 超音速風洞試験 胴体下面静圧分布 圧力計測結果例 ( マッハ数 1.4) 胴体上面静圧分布 胴体側面静圧分布 16

第 91 回風洞研究会議論文集 39 遷 超 極超音速風洞試験結果 1. マッハ数 1.4 では 迎角 20 付近で CFD には見られないピッチングモーメントのキンクが発生 風洞試験と CFD の剥離の微妙な差が原因と推定 2. マッハ数 2.5 ではピッチングモーメントのキンクは完全に消滅 実際にはアブレータリセッションの影響により 形状が多少異なる 迎角 20 迎角 21 流れが付着 マッハ数 1.4 ( 超音速風洞試験 ) 流れが剥離 実線 : 上面静圧分布破線 : 下面静圧分布 17 遷 超 極超音速風洞試験結果 JAXA1.27m 極超音速風洞で空力加熱率計測試験を実施 設計検証用の層流空力加熱率を計測出来た 空力加熱率計測結果 迎角 0 迎角 10 迎角 20 迎角 30 迎角 50 18

40 750kW アーク加熱風洞試験結果 よどみ点加熱率 1.76MW/m 2 衝撃圧 13.9kPaを目標値として 総加熱量を実機と合わせる為に127 秒間通風を実施 ( 実機最大よどみ点加熱率 1.42MW/m 2 衝撃圧 9.74kPa ) 圧力センサ設置台の最大温度は 通風終了後約 170 秒で190 程度 圧力センサ取付け部では 60 程度 想定よりも温度が低いのは 配管設置台接触面の温度が アブレータ昇華温度に達していない事が主な原因と推定 高温対応圧力センサを用いれば 配管設置台にセンサを設置しても問題無し 配管先端であれば 通常の圧力センサでも問題無し 圧力計測値は 風洞測定値と比較して 最大 6.6kPa 程度の差が発生 圧力センサ設置台温度計測値 圧力計測値 19 750kW アーク加熱風洞試験結果 圧力配管中には ほこり程度が付着するのみで 大きいアブレータ片等や詰まりは無し アブレータリセッションにより 全長は27mmに減少 ( リセッション量 12mm) する また 元々直径 4mmの圧力孔周りに 最大直径 12mm 深さ6mmの窪みが出来る 圧力孔穿孔の影響は アブレータリセッション以外の影響 ( 分裂など ) は無し アブレータ背面は影響なし 軸対称モデル 気流 よどみ点圧力孔 圧力配管中の付着物 CFD 解析例 ( マッハ数 20 温度分布 ) 中心軸 通風前アブレータ前面通風後アブレータ前面通風後アブレータ背面 よどみ点圧力計測における圧力配管温度の妥当性 アブレータや配管への悪影響が無い事を確認できた 20

第 91 回風洞研究会議論文集 41 4. 検証試験で判明した試験における課題 1. バリスティックレンジ試験 模型が回転する現象が発生 原因としては そもそも静安定が弱いので擾乱に弱い サボー 模型分離時の物理的 空力干渉の可能性が考えられる 飛行速度を上げられない 重量を考慮せずに模型を最大サイズにしたため 最大マッハ数が 0.49 となった この重量でこれ以上飛行速度を上げるには キャッチャーの改修等が必要 空力特性の同定には 計測値の処理を考慮した加速度センサの配置等の事前検討が必要 2. アーク風洞試験 欲を言えば 空力加熱率と動圧を飛行条件に合わせられるとより良い 3. 極超音速風洞試験 遷 超音速風洞試験と同様の圧力計測方法を採用したため 圧力配管長が 2.3m 程度となった この為 配管内部の粘性の影響により 測定部圧力 0~80Pa 程度の範囲で 圧力センサ出力に変化が無くなった 天秤温度が懸念されたが 50 を超えないことが分かった 但し 天秤の温度勾配による温度ドリフトの影響は懸念される 4. 遷 超音速風洞試験 通常の遷 超音速風洞試験における模型の設計法を用いたので 特に問題は無かった 21 5. まとめ 空力設計等検証試験を実施し 以下の事が分かった カプセル形状は単純な形状であるので 風洞試験結果と静特性の定常 CFD 計算結果が良く合った 但し マッハ数 1.4 付近のピッチングモーメントのキンクのような 剥離を伴う現象には CFD は弱い事が分かった これは 非定常 CFD 計算により改善の可能性がある バリスティックレンジ試験における圧力計測試験は 余り事前の検討をせずに 有効なデータを得ることが出来る 力計測等より有効なバリスティックレンジ試験の実施には 空力特性の検討や模型 サボーの設計等 事前準備が必要である 極超音速風洞試験における圧力配管を用いた圧力計測は 圧力配管応答の他 粘性の影響による真空付近の圧力応答の消滅の回避が課題である 22

42 謝辞 空力設計等検証試験の実施には 多くの皆様の御協力を頂きました ( 敬称略 ) ここに感謝の意を表します 1. バリスティックレンジ試験 丹野英幸 小室智幸 他 2. アーク風洞試験 藤田和央 鈴木俊之 水野雅仁 滝沢直美 ( 供試体設計 熱電対計装 ) 足立寛和 ( 供試体製作 ) 藤井啓介 水野雅仁 吉田哲生 猪野秀幸 平間一貴 他 ( 支持装置設計 試験計画 実施 ) 3. 超音速風洞試験 満尾和徳 渡辺光則 飯島秀俊 安藤法久 西島寛典 平野貴司 他 4. 極超音速風洞試験 藤井啓介 津田尚一 小山忠勇 板橋幸広 中川宗敬 中村晃祥 5. 遷音速風洞試験 永井伸治 渡邉篤史 知念大実 平間一貴 真城仁 馬込誠 我那覇義人 他 ( 試験計画 実施 ) 口石茂 越智康浩 ( ハイブリッド風洞 ) 6. 事務手続き 佐藤美砂子 23