【IR付属資料2】120116地方公共団体の基金に係る資金の性質に応じた運用手法について

Similar documents
Microsoft PowerPoint 【IR付属資料】

HP用 _地方公共団体向け付属資料

平成28年度公金管理運用計画

平成26年度公金管理運用計画

Microsoft Word - <公表版>H29資金管理方針

基金の収益性向上の取組

【11】ゼロからわかる『債券・金利』_1704.indd

【資金管理計画】

平成29年度公金管理運用計画

○ 問合せ先専用フリーダイヤル


ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

老後生活資金の債券運用

Microsoft Word - (最終)H28資金管理方針

ご留意いただく事項

1

経済学でわかる金融・証券市場の話③

一部解約可能型定期預金(複利型)規定

<8DE08C60944E8BE02E786C73>

豊橋市公金管理指針 第 1 総則 1 趣旨この指針は 本市の公金の適正な管理に関し必要な事項を定めるものとする 2 定義この指針において 公金 とは 歳計現金 歳入歳出外現金 基金に属する現金 公営企業会計 ( 水道事業会計 下水道事業会計及び病院事業会計をいう 以下同じ ) に属する現金及び一時借

22101_PremierTouch_A011_H10B11_201906_2

16FBI特会テキスト_01編.indd


日本円単位型特別勘定月次運用レポート 単位型特別勘定の運用方針等 2018 年 12 月末現在 主として円建ての債券に投資することにより 満期時の所定の金額の確保を目指しながら 中長期的に高い投資成果をあげることを目標とします 基本保険金額と同額の成果を目指す 安定運用部分 と 株式市場の環境に応じ

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

第1章 財務諸表

フ ァ ン ド の 特 色 ハイグレード ハイグレード オセアニア オセアニ ニア ボンド マザーファンド マザーファンド を通じて オーストラリア ドル建ておよびニュージーラ ドル建ておよびニュージーランド ドル 建ての 債券等 に投資します 債券等 には コマーシャル ペーパー等の短期金融商品を

〔商品概要説明書記載例〕

特別勘定運用レポートをご覧いただくにあたって 当資料をご覧いただく際にご留意いただきたい事項 当資料はご契約者さま等に対し 三井住友海上プライマリー生命のえがお ひろがる 積立金自動移転特約付通貨選択一般勘定移行型変額終身保険 の特別勘定および特別勘定が主たる投資対象とする投資信託の運用状況を開示す

Microsoft PowerPoint - 月次レポート(BL)(18.10).pptx

< E97708AC28BAB82C982C282A282C42E786C73>

平成24年度 業務概況書

重要事項の説明

計算書類等

【42】今日から使える「債券・金利」_1704.indd

平成 29 年度連結計算書類 計算書類 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 連結計算書類 連結財政状態計算書 53 連結損益計算書 54 連結包括利益計算書 ( ご参考 ) 55 連結持分変動計算書 56 計算書類 貸借対照表 57 損益計算書 58 株主

平成11年度決算:計数資料

( 以下 中間利息定期預金 といいます ) とし その利率は 中間利払日における当行所定の利率を適用します 満期払利息は満期日に元金に組入れ 中間利息定期預金の元利金とともに合計して自動継続自由金利型 2 年定期預金 (M 型 ) に継続します 3 預入日の3 年後 4 年後 5 年後および10 年

(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

重要な注意事項

株式会社神奈川銀行

財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

商品概要説明書 スーパー定期貯金 < 単利型 > ( 平成 26 年 2 月 3 日現在 ) 商品名 スーパー定期単利ご利用いただける方 個人および法人( 団体を含む ) 期間 定型方式 1か月 2か月 3か月 6か月 1 年 2 年 3 年 4 年 5 年 期日指定方式 1か月超 5 年未満 定型

個人向け国債とは? 個人向け国債とは? 個人向け国債とは 日本国が発行する国債の一種で 個人のお客さまのみ購入可能な債券です 通常の国債の場合 入札方式により銀行 証券会社 生損保等の金融機関が購入後 個人のお客さまや機関投資家へ販売されますが 個人向け国債の場合は 金融機関を通じてお客さまが直接国


為替リスクについてこの保険は 一時払保険料の払込通貨と契約通貨が異なる場合や 死亡保険金 解約払戻金 年金および定期支払金等 ( 以下 保険金等 ) 受取時の通貨が一時払保険料の払込通貨と異なる場合等に 為替相場の変動による影響を受けます したがって 保険金等を一時払保険料の払込通貨で換算した場合の

特に重要なもの

あさか野子育て_2018

2019年年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)

円貨建て債券が 15 年変動利付国債である場合には その利子は 10 年国債の金利の上昇 低下に連動して増減しますので このような特性から 15 年変動利付国債の価格は 必ずしも上記のような金利水準の変化に対応して変動するわけではありません 円貨建て債券の発行体または債券の発行体または円貨建て債券の

( 契約締結前交付書面 ) 平成 30 年度富士の国やまなし県民債の説明書 平成 30 年度富士の国やまなし県民債の契約締結にあたっては この書面の記載事項をよくお読みいただいたうえで お申し込みください ( 平成 30 年 12 月 3 日現在 )

8. 付加できる 自動継続扱いのものは総合口座の担保とすることができます 特約事項 ( 貸越利率は担保定期預金の約定利率に0.50% を上乗せした利率 ) 預入期間 2 年のものは中間払利息を定期預金とすることができます 9. 預金保険の適用 10. 元本欠損リスクと要因 11. 権利行使上の制限

あおぞらダイレクト定期預金規定

平成 27 年 5 月 8 日 各位 株式会社大和証券グループ本社 本日 当社グループ大和証券株式会社および株式会社大和ネクスト銀行よりプレスリリース 外債 外貨預金セットプランキャンペーン 実施のお知らせ を発表いたしましたので ご報 告申し上げます 以上

CC2: 連結貸借対照表の科目と自己資本の構成に関する開示項目の対応関係 株式会社三井住友フィナンシャルグループ ( 連結 ) 項目 資産の部 イロハ 公表連結貸借対照表 (2019 年 3 月末 ) 現金預け金 57,411,276 コールローン及び買入手形 2,465,744 買現先勘定 6,4

目 次 1. 休眠預金等について P.1 Q1 休眠預金等 とは どのような預金ですか Q2 休眠預金等 になると どうなるのですか Q3 休眠預金等になりうる 預金等 の種類を教えて下さい Q4 休眠預金等になる預貯金などの額に基準はありますか Q5 異動 とは何ですか 例えば 通帳の記帳は異動に

退職等年金給付積立金等の管理運用の方針

2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

2 資産 地域 時間等を分散して投資することを基本とし 短期的には市場価格の変動等はあるものの 長い投資期間を活かして より安定的に より効率的に収益を獲得し 併せて 年金給付に必要な流動性を確保する 分散投資 一つの籠に卵を盛るな という西洋のことわざがありますが 年金積立金の運用に限らず 一般に

1. 国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 抜粋 翻訳 ) 国際財務報告基準に準拠した財務諸表の作成方法について当行の国際財務報告基準に準拠した財務諸表 ( 以下 IFRS 財務諸表 という ) は 平成 27 年 3 月末時点で国際会計基準審議会 (IAS B) が公表している基準及び解釈指針に

紛争解決措置外部の紛争解決機関を利用して解決を図りたい場合は 次の機関を利用できます 上記当 JAリスク統括本部または JAバンク相談所にお申し出ください 兵庫県弁護士会 ( 電話 : ) 東京弁護士会 第一東京弁護士会 第二東京弁護士会 ( 以上の弁護士会には直接お申し立てい

商品分類 属性区分 委託会社の情報 1


財務諸表に対する注記 1. 継続事業の前提に関する注記 継続事業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況はない 2. 重要な会計方針 (1) 有価証券の評価基準及び評価方法 満期保有目的の債券 償却原価法 ( 定額法 ) によっている なお 取得差額が少額であり重要性が乏しい銘柄については 償却原価

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

米ドル単位型特別勘定月次運用レポート 単位型特別勘定の運用方針等 主として米ドル建ての債券に投資することにより 満期時の所定の金額の確保を目指しながら 中長期的に高い投資成果をあげることを目標とします 基本保険金額 ( 米ドル建て ) と同額の成果を目指す 安定運用部分 と 株式市場の環境に応じて機

目 次 1. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) における運用環境について 2. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) のポートフォリオ別の運用状況 3. ベンチマーク インデックスの推移 ( 参考 ) 被保険者ポート

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

米ドル単位型特別勘定月次運用レポート 単位型特別勘定の運用方針等 主として米ドル建ての債券に投資することにより 満期時の所定の金額の確保を目指しながら 中長期的に高い投資成果をあげることを目標とします 基本保険金額 ( 米ドル建て ) と同額の成果を目指す 安定運用部分 と 株式市場の環境に応じて機

スーパー定期

経済学b 第1回

本債券の特徴 株価参照期間中に いずれかの参照指数の終値が 一度でもノックイン価格と同じかそれを下回った場合 償還金額は償還額算出対象指数 1 の参照価格により変動します そのため 償還金額が額面を下回り 損失を被るリスクがあります ( 詳細は 2 ノックインについて をご参照ください ) 各利払日


資産運用関係補足説明資料

〔商品概要説明書記載例〕

Microsoft Word - 57_1

添付資料 1 下記の事項は 選択の達人 をお申し込みされるお客さまに あらかじめご確認いただきたい重要な事項としてお知らせするものです お申し込みの際には 下記の事項および投資信託説明書 ( 交付目論見書 ) および目論見書補完書面 商品基本資料の内容をよくお読みください 当ファンドに係るリスクにつ

第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

山口フィナンシャルグループ:IR資料室>平成30年3月期(平成29年度)>平成30年3月期決算短信

12 70, , , , , , , , , , , , , ,0

有価証券等の情報(会社計)162 満期保有目的の債券 がを超えるもの がを超えないもの 公社債 435, ,721 31, , ,565 29,336 外国証券 ( 公社債 ) 1,506,014 1,835, ,712 1,493,938 1,778

Microsoft Word  地方公共団体金融機構.docx

最低預入額 10 万円 預入額の上限ございません 預入日 2019 年 1 月 22 日 ( 火 ) 満期日 2019 年 2 月 7 日 ( 木 ) 判定日 2018 年 2 月 5 日 ( 火 ) の午後 3 時 ( 日本時間 ) 特約レート ( 幅 ) 0 円 未定 2019 年 1 月 23

パーソナル外貨定期預金

Microsoft PowerPoint - CSIS 【三井住友銀行】 FOMC後のスペシャルレポート(USHY).pptx


第1業務第 1 章債券の基礎知識 5 債券債券投資に限らずどんな投資対象を選ぶ場合にも大切なことは その投資対象を収益性 安全性 流動性 ( 換金性 ) の 3 つの面から検討することです 収益性 安全性 流動性 ( 換金性 ) 債券の投資者には 発行から償還に至るまでの全期間中あらかじめ約束された

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )

預金 譲渡性預金残高 ( 単位 : 百万円 ) 種 類 平成 26 年度末 平成 27 年度末 金額構成比 (%) 金額構成比 (%) 流動性預金 87, , 預 金 定期性預金 127, , うち固定金利定期預金 1

(訂正・数値データ訂正)「平成25年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」の一部訂正について

各 位 平成 26 年 3 月 28 日 株式会社大和ネクスト銀行 大和証券株式会社 ダイワの NISA 口座開設キャンペーン ( 第 2 弾 ) 大和ネクスト銀行円定期預金 金利優遇キャンペーン ( 第 3 弾 ) および ご家族 ご友人紹介キャンペーン ( 第 3 弾 ) 実施のお知らせ 大和証

平成 28 年度第 3 四半期退職等年金給付組合積立金運用状況 警察共済組合

<4D F736F F D2095BD90AC E937890C590A789FC90B382C98AD682B782E D5F E646F63>

- 有価証券等の時価情報 ( 一般勘定 )- 有価証券等の時価情報 (一般勘定) 有価証券の時価情報 ( 一般勘定 ) 1 売買目的有価証券の評価損益 [ 単位 : 百万円 ] 区分 2 有価証券の時価情報 ( 売買目的有価証券以外の有価証券のうち時価のあるもの ) [ 単位 : 百万円

Ⅰ 平成 24 年度高鍋町財務書類の公表について 平成 18 年 6 月に成立した 簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律 を契機に 地方の資産 債務改革の一環として 新地方公会計制度の整備 が位置づけられました これにより 新地方公会計制度研究会報告書 で示された 基準モデル

第101期(平成15年度)中間決算の概要

_ _合冊_目標利回り追求型債券ファンド

162 有価証券等の情報(会社計 満期保有目的の債券 ( 単位 : 百万円 ) がを超えるもの がを超えないもの )合計 2,041,222 2,440, ,058 1,942,014 2,303, ,434 責任準備金対応債券 ( 単位 : 百万円 ) が貸借対照表 公社債

受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

Transcription:

地方公共団体金融機構 IR 付属資料 2 地方公共団体の基金に係る 資金の性質に応じた運用手法について

目次 1. 主な基金に係る資金の性質とその運用例 2 2. 基金の一括運用による効率化 3 3. 主な基金に係る資金の性質 3-1. 財政調整基金 4 3-2. 減債基金 5 3-3. その他基金 ( 取り崩し型 ) 6 3-4. その他基金 ( 果実運用型 ) 7 4. 資金の性質に応じた運用手法例の特色 4-1. 一時的な資金運用 8 4-2. キャッシュ フロー マッチング 9 4-3. 金利予測に基づく運用及び長期債運用 10 4-4. ラダー型運用 11 5. キャッシュ フロー マッチングの構築例 12 6. ラダー型運用の構築例 6-1. ラダー型運用の構築例 1 13 6-2. ラダー型運用の構築例 2 14 6-3. ラダー型運用の構築例 1( 効果額試算 ) 15 6-4. ラダー型運用の構築例 2( 効果額試算 ) 16 7. その他の運用手法例 17-1-

1. 主な基金に係る資金の性質とその運用例 1 財政調整基金 一定額の資金は 不測の資金需要に対応するため 一時的な資金運用により流動性を確保しつつ 取り崩し時期が決まっていない資金 ( コア資金 ) は 金利予測に基づく運用やラダー型運用による運用を行う 2 減債基金 将来のキャッシュ フローを踏まえ 資金需要が見込まれる時期に債券等の満期日を合わせるよう運用 ( キャッシュ フロー マッチング ) を行うとともに コア資金がある場合は 金利予測に基づく運用やラダー型運用による運用を行う 3 その他基金 ( 取り崩し型 ) 一定額の資金は 不測の資金需要に対応するため 一時的な資金運用により流動性を確保しつつ 将来のキャッシュ フローを踏まえ 資金需要が見込まれる時期に債券等の満期日を合わせるよう運用 ( キャッシュ フロー マッチング ) を行うとともに コア資金は 金利予測に基づく運用やラダー型運用による運用を行う ( 果実運用型 ) 可能な限り償還期間が長い債券による運用 ( 長期債運用 ) を行う -2-

2. 基金の一括運用による効率化 基金の一括運用による効率化 複数の基金が設置されている場合 基金の一元的な管理を行い 同様の性質の資金については 基金を超えて 一括運用するなどの最適な運用を目指すことを検討する必要がある 埼玉県 ペイオフ全面解禁後の公金管理 より抜粋 自治体の短期の資金調達手段である一時借入金は 基金や歳計現金の残高の動きによって影響を受けるため 基金 歳計現金 一時借入金を一元的に管理することも必要 -3-

3-1. 主な基金に係る資金の性質 ( 財政調整基金 ) 資金の性質把握 1 一般会計等の財政収支見通しを踏まえ 今後の基金残高を推計 2 不測の資金需要に対応するため 過去の実績等を踏まえ 手元に確保しておきたい資金額を推計 3 上記 1 2 を踏まえ 取り崩し時期が決まっていない資金額を推計 イメージ図 基金残高 手元に確保しておきたい資金 一時的な資金運用 取り崩し時期が決まっていない資金 ( コア資金 ) 金利予測に基づく運用やラダー型運用 年限 -4-

3-2. 主な基金に係る資金の性質 ( 減債基金 ) 資金の性質把握 1 基金積立額及び取り崩し額の見通しを踏まえ 今後の基金残高を推計 イメージ図 コア資金 金利予測に基づく運用やラダー型運用 取り崩し時期が決まっている資金 取り崩し時期に合わせた運用 ( キャッシュ フロー マッチング ) 基金残高 年限 -5-

3-3. 主な基金に係る資金の性質 ( その他基金 ( 取り崩し型 )) 資金の性質把握 1 基金積立額及び取り崩し額の見通しを踏まえ 今後の基金残高を推計 2 不測の資金需要に対応するため 過去の実績等を踏まえ 手元に確保しておきたい資金額を推計 3 上記 1 2 を踏まえ 取り崩し時期が決まっていない資金額を推計 手元に確保しておきたい資金 一時的な資金運用 イメージ図 コア資金 金利予測に基づく運用やラダー型運用 基金残高 取り崩し時期が決まっている資金 キャッシュ フロー マッチング 年限 -6-

3-4. 主な基金に係る資金の性質 ( その他基金 ( 果実運用型 )) 資金の性質把握 1 基金積立額の見通しを踏まえ 今後の基金残高を推計 イメージ図 基金残高 取り崩し時期が決まっていない資金 可能な限り償還期間が長い債券による運用 ( 長期債運用 ) 年限 -7-

4-1. 資金の性質に応じた運用手法例の特色 ( 一時的な資金運用 ) 預金 ( 特徴 ) 一般的な預金である定期預金は 定期的に利子が支払われ 満期日に元本が返還される 運用期間は10 年以内であるのが一般的 ( 種類 ) 普通預金 : いつでも払戻しが可能であるが 金利は他の預金と比べて低い定期預金 : 預金金利は普通預金と比べて高いが 自由に払い戻しができない譲渡性預金 : 定期預金の一種で他人に譲渡可能だが 預金保険の対象にならない ( 定期預金金利例 ) 短期国債 期間 1 か月 6 か月 1 年 2 年 5 年 10 年 預金金利 0.025% 0.025% 0.030% 0.040% 0.080% 0.250% 平成 24 年 1 月 16 日現在 : みずほ銀行 ( 大口定期預金 1,000 万円以上 ) ( 特徴 ) 額面より低い価格で発行され 償還日 ( 満期日 ) に額面価格で償還される 償還期間は1 年以内で 償還日前に売却することも可能 ( 債券の利回り例 ) 期間 3か月 6か月 1 年 利回り 0.100% 0.100% 0.100% 平成 24 年 1 月 16 日現在 :Bloomberg データ -8-

4-2. 資金の性質に応じた運用手法例の特色 ( キャッシュ フロー マッチング ) キャッシュ フロー マッチングとは 将来発生する取り崩し時期及び金額に 債券等の償還を合わせるよう運用 イメージ図 取り崩し額 保有債券等の償還 償還年度 特色 取り崩し時期及び金額に合わせて運用を行うため 資金が必要な時期に資金を確保することができる -9-

4-3. 資金の性質に応じた運用手法例の特色 ( 金利予測に基づく運用及び長期債運用 ) 債券 ( 特徴 ) 定期的に利子が支払われ 償還日 ( 満期日 ) に元本が返還される仕組みは定期預金と類似している 運用期間は 10 年以上も可能で 償還日前に売却することも可能 なお 償還日前に売却する場合 元本を下回る金額しか返還されないリスク ( 中途解約リスク ) がある ( 債券の利回り例 ) 期間 2 年 5 年 7 年 10 年 20 年 30 年 利回り 0.129% 0.342% 0.543% 0.955% 1.729% 1.938% 金利予測の方法例 平成 24 年 1 月 13 日基準 : 財務省 ( 国債金利情報 ) 短期金利 : 一般的に 景気が良い時には 景気の過熱によるインフレを防ぐため 政策当局による金融引き締めが行われ 金利が高くなる傾向 一方 景気が悪い時には 景気の悪化を防ぐため 政策当局による金融緩和が行われ 金利が低くなる傾向 長期金利 : 一般的に 経済指標等により今後の経済の見通しを予測することとなる ( 経済指標例 ) 政策当局の景気判断 : 月例経済報告 ( 内閣府 ) 金融経済月報 ( 日銀 ) 景気動向の把握 : 景気動向指数 ( 内閣府 ) 景気ウォッチャー調査 ( 内閣府 ) 等 -10-

4-4. 資金の性質に応じた運用手法例の特色 ( ラダー型運用 ) ラダー型運用とは 毎年償還となる金額が一定となるように債券を保有 償還分を再投資することにより 満期構成を維持 イメージ図 償還金額 特色 年限 毎年一定額の債券を購入するため 毎年の金利変動を長期的に中立化できる 運用開始後も毎年一定額の償還があるため 債券償還金への対応など将来の資金需要にも計画的かつ柔軟に対応できる -11-

5. キャッシュ フロー マッチングの構築例 FLIP 債の活用 地方公共団体金融機構が運用期間のニーズに応じて発行する FLIP 債を活用することにより より有利かつ容易にキャッシュ フロー マッチングによる運用を行うことが可能 ( 例 1)6 年後に 100 億円を取り崩す必要がある場合 ( 例 2)14 年後に 100 億円を取り崩す必要がある場合 運用債券運用金額収益合計 FLIP 債 (6 年債 ) 100 億円 3 億円 5 年債 +1 年債 ( 1) 100 億円 2.1 億円 運用債券運用金額収益合計 FLIP 債 (14 年債 ) 100 億円 21 億円 10 年債 +2 年債 +2 年債 ( 2) 100 億円 11.6 億円 1 新発 5 年債により 100 億円を運用し 償還する 5 年後に新発 1 年債により同額を運用 2 新発 10 年債により 100 億円を運用し 償還する 10 年後に新発 2 年債により同額を運用し 償還する 2 年後に再度 新発 2 年債により同額を運用 試算の前提条件 利回り :1 年債 0.10% 2 年債 0.15% 5 年債 0.40% 6 年債 0.50% 10 年債 1.10% 14 年債 1.50% 購入時期に関わらず 利回りは一定と仮定 例 1 の場合は残存 6 年の既発債を 例 2 の場合は残存 14 年の既発債を証券会社等を通じて購入することもできるが 既発債購入の場合 希望する残存年限の債券を希望する額購入できない可能性や オーバーパーの購入となる可能性がある (FLIP 債はパー発行 ) -12-

6-1. ラダー型運用の構築例 1 ラダー型運用 (10 年 ) 平成 27 年度に向けて 1,000 億円債券運用する場合 償還年度 H23~H27:5 年債 10 年債各 100 億円購入 10 年ラダーの完成 H28~: 償還資金を 10 年債に再投資 メンテナンスの容易性 H32~:10 年債のみのラダーに 利回りアップ ( 単位 : 億円 ) H24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 残高計購入額 新規購入 償還額 H23 100 100 200 200 200 0 24 100 100 100 100 400 200 200 0 購入年度 25 100 100 100 100 100 100 600 200 200 0 26 100 100 100 100 100 100 100 100 800 200 200 0 27 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1,000 200 200 0 28 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1,000 100 0 100 29 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1,000 100 0 100 10 年ラダー完成 30 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1,000 100 0 100 31 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1,000 100 0 100 10 年債のみのラダー完成 32 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 100 1,000 100 0 100-13-

6-2. ラダー型運用の構築例 2 ラダー型運用 (20 年 ) 平成 29 年度に向けて 1,000 億円債券運用する場合 償還年度 H23~H27:5 年債 10 年債 20 年債各 50 億円購入 H28:H23 購入の5 年債の償還 14 年債 50 億円の購入資金に H23 購入の10 年債が残存 5 年を迎えたため 昨年度までの5 年債購入資金で13 年債 50 億円購入引き続き10 年債 20 年債を各 50 億円購入 H29:H24 購入の5 年債の償還 11 年債 50 億円の購入資金に引き続き10 年債 20 年債を各 50 億円購入 20 年ラダーの完成 H30~: 償還資金を20 年債に再投資 メンテナンスの容易性 H42~:20 年債のみのラダーに 利回りアップ ( 単位 : 億円 ) H24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 残高計購入額 新規購入 償還額 (H28)13 年債及び14 年債 (H29)11 年債購入でラダー構築を補完 H23 50 50 50 150 150 150 0 24 50 50 50 50 50 50 300 150 150 0 25 50 50 50 50 50 50 50 50 50 450 150 150 0 26 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 600 150 150 0 27 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 750 150 150 0 購入年度 28 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 900 200 150 50 29 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 150 100 50 30 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 31 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 32 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 33 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 20 年ラダー完成 10 年ラダー完成 FLIP 債の活用 20 年債のみのラダー完成 34 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 35 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 36 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 37 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 38 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 10 年債のみのラダー完成 39 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 40 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 41 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50 42 (50) 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 50 1,000 50 0 50-14-

6-3. ラダー型運用の構築例 1( 効果額試算 ) ラダー型運用 (10 年 ) ( 単位 : 億円 ) 5 年債 10 年債 合計 H23 100 100 200 24 200 200 400 25 300 300 600 26 400 400 800 27 500 500 1,000 28 400 600 1,000 29 300 700 1,000 30 200 800 1,000 31 100 900 1,000 32 1,000 1,000 収益 ( 年間利息 ) 試算 H23 1.5 H24 3.0 H25 4.5 H26 6.0 H27 7.5 H28 8.2 H29 8.9 H30 9.6 H31 10.3 H32 11.0 試算の前提条件 利回り :5 年債 0.40% 10 年債 1.10% 購入時期に関わらず 利回りは一定と仮定 -15-

6-4. ラダー型運用の構築例 2( 効果額試算 ) ラダー型運用 (20 年 ) 5 年債 10 年債 11 年債 13 年債 14 年債 20 年債 合計 H23 50 50 50 150 24 100 100 100 300 25 150 150 150 450 26 200 200 200 600 27 250 250 250 750 28 200 300 50 50 300 900 29 150 350 50 50 50 350 1,000 30 100 350 50 50 50 400 1,000 31 50 350 50 50 50 450 1,000 32 350 50 50 50 500 1,000 33 300 50 50 50 550 1,000 34 250 50 50 50 600 1,000 35 200 50 50 50 650 1,000 36 150 50 50 50 700 1,000 37 100 50 50 50 750 1,000 38 50 50 50 50 800 1,000 39 50 50 50 850 1,000 40 50 50 900 1,000 41 50 950 1,000 42 1,000 1,000-16- ( 単位 : 億円 ) 収益 ( 年間利息 ) 試算 H23 1.7 H24 3.4 H25 5.0 H26 6.7 H27 8.4 H28 11.1 H29 13.0 H30 13.7 H31 14.4 H32 15.1 H33 15.5 H34 15.9 H35 16.3 H36 16.6 H37 17.0 H38 17.4 H39 17.8 H40 18.1 H41 18.3 H42 18.5 試算の前提条件 単位未満四捨五入利回り :5 年債 0.40% 10 年債 1.10% 11 年債 1.15% 13 年債 1.40% 14 年債 1.50% 20 年債 1.85% 購入時期に関わらず 利回りは一定と仮定

7. その他の運用手法例 外債 為替リスクや投資した国の政治情勢 経済情勢などの変化により損失を被るカントリーリスクなどのリスクが存在する 為替リスクは先物為替予約等によりリスクをヘッジすることができるが 一般的に言えば 国内で運用しても海外で運用しても同じ収益となるように為替の先物レートが調整されるため 先物為替予約等を行う場合 国内の債券と比べて収益性が高くならない可能性がある 仕組債 利率や償還額などが特定の条件により変動する仕掛け等が内包された債券である仕組債は 一般的な債券等による運用より高い収益性を期待できる反面 条件の変動により 一般的な債券等による運用より低い収益性となる可能性がある また 仕組債によっては損失を被る可能性があるものもあり 複雑な条件であるほどリスクへの対応が難しい -17-

免責条項 1. 本資料は 参考情報として提供するものです 実際の資金運用にかかる政策判断や意思決定は 貴団体の責任と判断において実行してください 2. 本資料の一部あるいは全部について 公開情報を除き あらゆる権利を留保いたします 本資料の第三者に対する公表 譲渡は 事前承諾を受けた場合を除き コピー ファックス送付 郵送および手交等あらゆる手段において禁止されております 3. 本資料の内容について 真実性 正確性および完全性を保障するものではありません また 本資料の内容について 本資料作成時以降の環境変化などに伴い 変更することがあります 4. 本資料の受領者が本資料の一部または全部を利用することにより生じたいかなる紛争 損失 損害についても責任を負いません -18-

連絡先 地方公共団体金融機構資金部資金課 住所 : 100-0012 東京都千代田区日比谷公園 1 番 3 号市政会館内 電話 :03-3539-2697 ファックス :03-3539-2615 E-mail: funds-d@jfm.go.jp URL:http://www.jfm.go.jp/ ( 日比谷市政会館 ) -19-