( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

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別紙 答申 1 審査会の結論 委託事業者の企画提案書 及び 選考会議の資料 について行われた部分公開の決定は 妥当である 2 異議申立ての趣旨 (1) 異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 神戸市情報公開条例 ( 以下 条例 という ) に基づき 以下の公開請求 ( 以下 本件請求 という

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第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

諮問庁 : 防衛大臣諮問日 : 平成 28 年 2 月 25 日 ( 平成 28 年 ( 行情 ) 諮問第 192 号 ) 答申日 : 平成 29 年 1 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 694 号 ) 事件名 : 洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準 運用上の留意事項等に

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横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

第1 審査会の結論

Taro-答申第64号

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

ついて その取消しを求めるというものである (2) 異議申立ての理由異議申立人が 異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な理由は 次のように要約される ア異議申立書における主張異議申立人の配偶者が一方的に有り得ない夫婦間暴力の被害申告 ( 以下 虚偽 DV 被害申告 という ) を 警察署

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ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

大情審答申第 号

異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

イ不動産鑑定評価書のうち次の部分 ( ア ) 鑑定評価額並びに鑑定評価額を導くための単価 補正係数 補正事項 想定係数及び想定事項 ( イ ) 取引事例に関する情報 ( 市町村名を除く ) (3) 開示しない理由ア (2) のア当該文書の作成又は取得をしていないためイ (2) のイの ( ア ) 条

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Microsoft Word - 答申第41号.doc

答申

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

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横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

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諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

情報公開答申第733号本文(諮問第923号)

て本学が過去に公表した内容は除く ) 及び 3 当該事故に係る診療科, 機構への報告日その他報告内容に係る情報として事務担当者が加筆したメモ について全部開示を求める 少なくとも患者, 医師の個人情報に係らない部分については開示すべき そもそもこの報告書は同じような事故が起きないようにするために医師

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

横情審答申第 1352 号 平成 28 年 10 月 14 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市の保有する情報の公開に関する条例第 19 条第 1 項の規定に基づく 諮問について ( 答申 ) 平成 28 年 4 月 21 日建都計第 136 号による次の

情報公開に係る事務処理規則 ( 平 18 規則第 16 号平成 18 年 8 月 1 日 ) 改正平 19 規則第 52 号平成 19 年 9 月 21 日平 26 規則第 2 号平成 26 年 5 月 13 日平 26 規則第 22 号平成 27 年 3 月 31 日 第 1 章総則 ( 目的 )

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

警備の下にあり 仮に本件対象文書が開示されたとしても院内への不法な侵入及び院内での不法な活動は困難であり 犯罪の予防 鎮圧等に支障を及ぼすとは考えられず 合理性を欠いている したがって 本件対象文書は法第 5 条第 4 号には相当せず 規程第 4 条第 3 号に定める事務局不開示情報に該当しないこと

平成25年2月 日

おいて開催されていた法の制度運営に関する検討会の報告 ( 平成 17 年 3 月 29 日 ) では, 法の運用に関する改善措置として, 理由付記に関して 特に, 文書不存在を理由とする不開示決定については, 例えば, 請求対象文書をそもそも作成 取得していない, 作成したが保存期間が経過したので廃

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Microsoft Word - 答申第141号.doc

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

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ありどのような証言がなされたのか ( 請求人にとって虚偽と思われる証言が無いか等 ), また産業医が本人の意見を聞かずにどう判断し診療録に記載したのかを知る権利が請求人にはあると考える 3 請求人については, 特定理由等から特定機関等が千葉大学に対して診療録の開示を求める可能性もあり得るが, 千葉大

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

答申第203号(公表用)

大津市情報公開 個人情報保護審査会答申 ( 答申第 3 0 号 ) 平成 27 年 7 月 2 日 大津市情報公開 個人情報保護審査会

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

                       高情審答申第    号

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

論 点 整 理 表

問にさらされることはむしろあるべき姿であり, それによって一層公益の増進に資するともいえる 特に, 本件のような面接試験の場合には, 試験結果の開示が, 面接試験以外の事由で受験者を選抜したのではないことを示すといった効果もあり, 面接試験が適正に行われることを確保するに大きく資すると言える したが

基づき, 平成 27 年 9 月 29 日付けで, 特定労働基準監督署( 以下 特定署 という ) へ特定日までに提出された特定事業場の就業規則, 就業規則届及び意見書 36 協定書, 同月 30 日付けで, 特定署に提出された特定事業場の36 協定書 3 年分 に係る開示請求を行った (2) 三重

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

業務 とあるが, 当該支払の一時差止めに係る決定を除く と, されている すなわち, 決定に係る業務は, 事業管理課長である ウその決定に係る文書及びデータは存在する 事業管理課長の決定により, 年金機構は, 障害者の年金給付を一時差し止めるための電算処理をしている事実がある そして, その事実から

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

として本件対象文書にかがみを加えたものを特定した 本件開示請求に対しては, 法 11 条に規定する開示決定等の期限の特例を適用し, まず, 平成 27 年 4 月 20 日付け防官文第 6779 号により, かがみについて開示決定を行った後, 同年 9 月 3 日付け防官文第 号により

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

答申第693号

11総法不審第120号

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

っている以上, 被面接者においてそもそも特別な対応策を採る必要はないといえる ウよって, 本件対象文書の不開示部分は法 5 条 6 号に該当しないといえる (2) 意見書 ( 添付資料省略 ) ア裁判官の場合, 新任判事補志望者カードの全部が開示されている ( 資料 1) ことからすれば, 検事に関

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1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

Microsoft Word - 20年度(行情)答申第585号.doc

(1) 農林水産省の事務官である特定個人 Aが職務上作成した行政文書で公にできる行政文書は存在するはずであり, 公開しなければならない ( 諮問第 551 号 ) (2) 本来であれば, 開示できる文書が存在しない, 存否応答しない, 不存在と, 文書の性質によって, 処分内容が異なるはずである 特

メ 札幌市オンブズマン条例 平成 12 年 12 月 12 日条例第 53 号 改正 札幌市オンブズマン条例 平成 15 年 10 月 7 日条例第 33 号 平成 20 年 11 月 7 日条例第 36 号 目次第 1 章総則 ( 第 1 条 第 4 条 ) 第 2 章責務 ( 第 5 条 第 7

理の手引 は, 開示の実施においては, 行政文書をありのまま開示する (23 枚目 ) として, 原則として加工はしない ( 同上 ) としている したがって本件対象文書の電磁的記録の開示に当たっては, 当該電磁的記録をそのままのデータ形式で開示すべきである また, 同様な趣旨で本件対象文書の電磁的

取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

当該実施機関が保有しているものをいう ただし 公文書 ( 越谷市情報公開条例 ( 平成 11 年条例第 10 号 ) 第 2 条第 2 項に規定する公文書をいう 第 7 号において同じ ) に記録されているものに限る (4) 事業者法人その他の団体 ( 実施機関並びに国及び他の地方公共団体を除く )

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

平成11年6月8日

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2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

平20福情答申第 号

2 異議申立ての理由 文書不存在 はあり得ないと考える 第 4 実施機関の説明要旨 実施機関から提出された理由説明書の要旨は次のとおりである 1 本件開示請求と関わる可能性がある文書がないか調査した 開示請求のあった文書が 沖縄県と福建省との友好省県締結に関わるものであることが推測されたことから 対

諮問第 483 号 答 申 第 1 審査会の結論 千葉県教育委員会 ( 以下 実施機関 という ) の決定は妥当である 第 2 異議申立人の主張要旨 1 異議申立ての趣旨異議申立ての趣旨は 実施機関が平成 24 年 3 月 28 日付教財第 1947 号で行った行政文書不開示決定 ( 以下 本件決定

個人情報保護方針

北上市空家等対策規則 ( 趣旨 ) 第 1 条この規則は 北上市空家等対策条例 ( 平成 28 年北上市条例第 17 号 以下 条例 という ) の実施に関し必要な事項を定めるものとする ( 守秘義務 ) 第 2 条条例第 7 条に定める空家等対策審議会の委員は 職務上知り得た秘密を他に漏らしてはな

処分済み

り公表されないことが日米両政府間で合意されており, これを公にすることは, 米国との信頼関係が損なわれるおそれがあると認められることから, 法 5 条 3 号に該当するため不開示とする決定 ( 原処分 ) を行った (3) これに対し, 異議申立人は, 国土交通大臣に対して, 原処分の取消しを求めて

教員等の懲戒処分に係る審査に関する規程 ( 平成 21 年 9 月 16 日 ) ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 教育公務員特例法 ( 昭和 24 年 1 月 12 日法律第 1 号 以下 法 という ) 第 9 条第 2 項の規定に基づき 沖縄県立看護大学教授会 ( 以下 教授会 という )

三島市個人情報保護条例 Page 1 of /06/09 三島市個人情報保護条例平成 12 年 6 月 16 日条例第 23 号目次

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

横情審答申第 468 号 平成 18 年 8 月 24 日 横浜市長中田 宏様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 三辺夏雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) す 平成 18 年 2 月 2 日神納第 号による次の諮問

加西市監査公表第 1 号 加西市職員措置請求に係る監査結果の公表について 地方自治法第 242 条第 1 項の規定により平成 24 年 8 月 20 日付けで提出のあったみだ しの措置請求について 同条第 4 項の規定に基づき監査を行った結果を 同項の規定に基づき 公表する 平成 24 年 10 月

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

1/4 ページ 学校法人吉田学園情報公開規程 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 学校法人吉田学園 ( 以下 当学園 という ) が保有する情報の公開に関し必要な事項を定め 当学園の情報公開が適正になされることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条この規程において 次の各号に掲げる用語の定義は 当該

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等に関する規則 平成 19 年 3 月 31 日規則第 15 号 改正 平成 21 年 2 月 16 日規則第 2 号平成 21 年 8 月 25 日規則第 28 号平成 28 年 3 月 25 日規則第 17 号鹿屋市公の施設に係る指定管理者の指定の申請等

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

(2) 電子計算機処理の制限に係る規定ア電子計算機処理に係る個人情報の提供の制限の改正 ( 条例第 10 条第 2 項関係 ) 電子計算機処理に係る個人情報を国等に提供しようとする際の千葉市情報公開 個人情報保護審議会 ( 以下 審議会 といいます ) への諮問を不要とし 審議会には事後に報告するも

3. さいたま市議会の議決すべき事件等に関する条例 ( 目的 ) 第 1 条この条例は さいたま市議会基本条例 ( 平成 21 年さいたま市条例第 55 号 ) 第 25 条の規定の趣旨にのっとり 市行政における基本的な計画の策定等を地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 96 条第

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社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

Transcription:

答申行文第 24 号 平成 24 年 9 月 1 9 日 奈良市長仲川元庸 様 奈良市情報公開審査会 会長伊藤忠通 行政文書不開示決定についての異議申立てについて ( 答申 ) 平成 24 年 7 月 4 日付け奈市生第 16 号で諮問のあった下記の件について 別紙のとおり答申し ます 記 諮問 : 行文第 24-1 号 新斎苑の選定候補地ドリームランドの跡地の資料の開示請求に対する不開示決定処分に対する異議申立てについて

( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に対し 奈良市情報公開条例 ( 平成 19 年奈良市条例第 45 号 以下 条例 という ) 第 5 条の規定により 新斎苑の選定候補地 ( ドリームランド跡地 ) の資料 の開示請求 ( 以下 本件開示請求 という ) を行った 2 実施機関の決定実施機関は 行政文書に含まれる不開示情報の精査を行うため 平成 24 年 5 月 21 日 奈市生第 12 号の2 行政文書開示決定等期間延長通知書 により決定等の期間延長を行った その後 同年 6 月 4 日 奈市生第 12 号の 3 行政文書不開示決定通知書 により 不開示決定( 以下 本件処分 という ) を行い 異議申立人に通知した 第 3 異議申立人の主張 1 異議申立ての趣旨異議申立人は 本件処分により開示請求文書が全く開示されなかったことを不服として 平成 2 4 年 6 月 7 日付けで行政不服審査法 ( 昭和 37 年法律第 160 号 ) 第 6 条の規定により 異議申立てを行った 2 異議申立ての理由異議申立人が異議申立書及び意見書において主張している異議申立ての理由は 本件処分の理由が納得できないため 開示されない理由を明確にわかりやすく示してほしいというものである 第 4 実施機関の主張 実施機関が 意見書及び口頭意見陳述において主張している本件処分にかかる意見は 概 ね次のとおりである 1

(1) 新火葬場に係る建設候補地については 選定作業途中であり 候補地を公にすることにより 周辺住民等の間に不当に混乱を生じさせるおそれや 特定の者に不当な利益を与え若しくは不利益を生じさせるおそれがある よって 本件開示請求の対象となる行政文書 ( 以下 本件行政文書 という ) の情報は条例第 7 条第 5 号に該当するため 本件処分は妥当である (2) 本件処分を行うにあたり 異議申立人には 選定作業における検討内容 選定理由及び不開示理由等について口頭による説明を行っている 第 5 審査会の判断当審査会は 異議申立人が提出した異議申立書及び意見書並びに実施機関が提出した意見書及び実施機関からの口頭意見陳述を基に 次のとおり判断した 1 基本的な考え方条例は その第 1 条にあるように 地方自治の本旨にのっとり 市民の知る権利を尊重し 行政文書の開示を請求する権利 ( 以下 開示請求権 という ) を明らかにするとともに 情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより 市の保有する情報の一層の公開を図り もって市の諸活動を市民に説明する責務を全うし 市政に対する市民の信頼を確保し 公正で開かれた市政を推進することを目的として制定されたものである したがって 実施機関は 開示請求された行政文書が存在する限り原則として公開すべきであるが 一方で開示請求権も無制限無制約な権利ではなく 当該行政文書に条例第 7 条所定の情報が含まれる場合 不開示とすることを認めている 開示請求された行政文書の中に公にすることにより特定の個人や団体の権利利益を害するおそれのある情報や特定の者に不当な利益を与え若しくは不利益を生じさせるおそれがある情報などが含まれる場合 市民の知る権利が制約されることもやむを得ない 当審査会は 上記の趣旨に照らし 本件行政文書に条例第 7 条所定の情報が含まれているか否かを判断することとする 2 争点について本件の争点は 本件行政文書が条例第 7 条第 5 号に示すような 不当に市民等の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれのある情報に該当するか否かである 3 本件行政文書の概要について本件行政文書は 奈良市市民生活部生活環境課が作成した新火葬場の建設候補地の選定資料である その内容としては 候補地として考慮すべき条件や検討課題を明らかにするとともに 具体的な候補地名並びに当該区域に対する検討項目ごとの詳細な分析 評価 問題点及び概 2

算事業費等が記されている また 選定作業が複数回にわたって行われているため 回を追うご とに絞り込みがなされ 結果的に絞り込み状況を明瞭に確認できる文書となっている 4 本件行政文書の条例第 7 条第 5 号の該当性について実施機関は 本件行政文書を公にすることにより 周辺住民等の間に不当に混乱を生じさせるおそれや 特定の者に不当な利益を与え若しくは不利益を生じさせるおそれがあるとし 本件行政文書に記載された情報は条例第 7 条第 5 号に該当するとしている 条例が知る権利を尊重していることから 情報が条例第 7 条第 5 号に該当するためには 文書が公にされることにより周辺住民等の間に不当に混乱を生じさせる抽象的なおそれや 特定の者に不当な利益を与え若しくは不利益を生じさせる抽象的なおそれが存在するだけでは 不十分であり 具体的なおそれが認められることが必要である そこで検討するに 本件行政文書には 具体的に複数の候補地名の記載があり また 各候補地に対する詳細な評価や土地取得に係る概算価格等が記されていることから これらの情報が公になると投機の助長や土地価格の高騰若しくは下落等を招き 結果的に地権者等に不当な利益を与え若しくは不利益を及ぼす具体的なおそれがあることは否定できない また 当該情報が 現時点では実施機関の政策意思形成過程にある情報であることを考えれば そのような未成熟な情報を公にすることにより 市民の間に不要な誤解や憶測を招く具体的なおそれがあることもやはり否定できない よって 当審査会は 本件行政文書が条例第 7 条第 5 号に該当するとした実施機関の判断は妥当であると認める 5 部分開示による情報公開の可能性について上記のように 本件行政文書には条例第 7 条第 5 号に該当する情報が含まれているが そもそも条例は前述のように原則公開を趣旨としていることから その第 8 条において 不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは 当該不開示部分を除いた部分を開示しなければならないと規定している そこで 当審査会では条例の趣旨にのっとり 可能な限り情報開示を行うために 本件行政文書の部分開示が可能か否かを検討した 本件行政文書は 前述のとおり その大部分において具体的な候補地名並びに当該区域に対する検討項目ごとの詳細な分析 評価 問題点及び概算事業費等が記され 複数回の選定作業の結果を一連の資料として取りまとめたものであり 徐々に候補地が絞り込まれていく状況をつぶさに確認できる資料となっている そのため 仮に条例第 7 条第 5 号に該当する情報を黒塗り等で除いてその余の部分を開示すると 作業実施時点ごとの候補地件数等については確認することが可能であり 結果的に具体的な候補地名についても類推することが可能である 以上のことから 当審査会は 本件行政文書における不開示情報が 容易に区分して除くこと 3

ができないと判断した 6 結論よって 当審査会は 第 1 審査会の結論 のとおり判断する なお 実施機関においては 選定作業の検討内容や不開示理由等について 口頭による説明を行っているとのことであるが 今後とも市民の疑問に対して よりいっそう説明責任を全うされることを希望する 第 6 審査会の審査経過当審査会の審査経過は 次のとおりである 年月日審査経過平成 24 年 7 月 4 日実施機関から諮問を受けた 平成 24 年 7 月 18 日異議申立人から意見書の提出を受けた 平成 24 年 7 月 24 日実施機関から意見書の提出を受けた 異議申立てについての概要説明を行った 平成 24 年 8 月 22 日 実施機関から意見聴取を行った ( 平成 24 年度第 3 回審査会 ) 事案の審議を行った 平成 24 年 9 月 12 日事案の審議を行い 答申のとりまとめを行った ( 平成 24 年度第 4 回審査会 ) 平成 24 年 9 月 19 日実施機関に対して答申を行った 奈良市情報公開審査会委員 ( 敬称略 ) 氏 名 役職名 備 考 伊藤忠通 奈良県立大学学長 会 長 末吉洋文 帝塚山大学准教授 多田 実 弁護士 職務代理者 藤次芳枝 弁護士 戸城杏奈 弁護士 4