マスター タイトルの書式設定

Similar documents
平成20年度 大学院シラバス(表紙)

エントリーが発生 真腔と偽腔に解離 図 2 急性大動脈解離 ( 動脈の壁が急にはがれる ) Stanford Classification Type A Type B 図 3 スタンフォード分類 (A 型,B 型 ) (Kouchoukos et al:n Engl J Med 1997) 液が血管

5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

は減少しています 膠原病による肺病変のなかで 関節リウマチに合併する気道病変としての細気管支炎も DPB と類似した病像を呈するため 鑑別疾患として加えておく必要があります また稀ではありますが 造血幹細胞移植後などに併発する移植後閉塞性細気管支炎も重要な疾患として知っておくといいかと思います 慢性

研究協力施設における検討例 病理解剖症例 80 代男性 東京逓信病院症例 1 検討の概要ルギローシスとして矛盾しない ( 図 1) 臨床診断 慢性壊死性肺アスペルギルス症 臨床経過概要 30 年前より糖尿病で当院通院 12 年前に狭心症で CABG 施行 2 年前にも肺炎で入院したが 1 年前に慢性

入した場合には 経気道的な散布巣として臓側胸膜から 2-3mm 離れた内側に小葉中心性粒状影や tree-in-bud といわれる小葉中心性病変を呈しますが この所見をみた場合には呼吸器感染症を強く疑います 汎小葉性病変は 小葉間隔壁に囲まれた ほぼ 1, 2cm 四方の小葉内が細胞浸潤や滲出物ある

<30358CC48B7A8AED C838B834D815B8145E4508CB E089C88A772E786477>

頭頚部がん1部[ ].indd

に 真菌の菌体成分を検出する血清診断法が利用されます 血清 βグルカン検査は 真菌の細胞壁の構成成分である 1,3-β-D-グルカンを検出する検査です ( 図 1) カンジダ属やアスペルギルス属 ニューモシスチスの細胞壁にはβグルカンが豊富に含まれており 血液検査でそれらの真菌症をスクリーニングする

年呼吸器系の疾患 (Respiratory Disease) 責任者 : 木島貴志主任教授 長谷川誠紀主任教授 内科学呼吸器科 木島貴志主任教授 栗林康造准教授 横井崇特任准教授 三上浩司講師 南俊行講師 柴田英輔助教 金村晋吾助教 袮木芳樹助教 藤本英利子助教 外科学呼吸器外科 長谷川誠紀主任教授

佐賀大学附属病院 高度救命救急センター                 阪本雄一郎

耐性菌届出基準

saisyuu2-1

330 先天性気管狭窄症 / 先天性声門下狭窄症 概要 1. 概要気道は上気道 ( 鼻咽頭腔から喉頭 ) と下気道 ( 気管 気管支 ) に大別される 指定難病の対象となるものは声門下腔や気管に先天的な狭窄や閉塞症状を来す疾患で その中でも先天性気管狭窄症や先天性声門下狭窄症が代表的な疾病である 多

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

「             」  説明および同意書

2009年8月17日

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

<955C8E862E657073>

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを


で言われています このような 副鼻腔炎と喘息の合併のことを 同一の気道で起こるので One airway one disease と呼ばれ久しくなっています それぐらいに 上気道と下気道の関連が密接であることが 広く認識されています また 副鼻腔炎に下気道の慢性炎症を合併する疾患としては 副鼻腔気管

胸痛の鑑別診断持続時間である程度の鑑別ができる 数秒から1 分期外収縮筋 骨格系の痛み 心因性 30 分以内 狭心症食道痙攣 逆流性食道炎 30 分以上 急性心筋梗塞 解離性大動脈瘤 肺塞栓症 急性心膜炎自然気胸 胸膜炎胃 十二指腸潰瘍 胆嚢炎 胆石症帯状疱疹 急性心筋梗塞の心電図変化 R P T

2017 年 2 月 1 日放送 ウイルス性肺炎の現状と治療戦略 国立病院機構沖縄病院統括診療部長比嘉太はじめに肺炎は実地臨床でよく遭遇するコモンディジーズの一つであると同時に 死亡率も高い重要な疾患です 肺炎の原因となる病原体は数多くあり 極めて多様な病態を呈します ウイルス感染症の診断法の進歩に

Microsoft Word - 【要旨】_かぜ症候群の原因ウイルス

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

本文/開催および演題募集のお知らせ

適応病名とレセプト病名とのリンクDB

腹腔鏡下前立腺全摘除術について

を急性膿胸とし 胸膜の肥厚 死腔の固定化 肺の膨張不全を来す いわゆる器質化期以降を慢性膿胸と定義すべきであろう 4) 肺炎や横隔膜下膿瘍などの炎症が波及して発症する無瘻性膿胸と 肺切除術後の気管支断端の縫合不全や肺膿瘍の自壊に伴い気管支と胸腔が交通して発症する有瘻性膿胸がある 有瘻性膿胸は急速に膿

1-A-01-胸部X線写真の読影.indd

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

BMP7MS08_693.pdf

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

石綿による健康被害の救済に関する法律の解説

Microsoft PowerPoint - komatsu 2

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

Microsoft PowerPoint - 指導者全国会議Nagai( ).ppt

TOHOKU UNIVERSITY HOSPITAL 今回はすこし長文です このミニコラムを読んでいただいているみなさんにとって 救命救急センターは 文字どおり 命 を救うところ という印象が強いことと思います もちろん われわれ救急医と看護師は 患者さんの救命を第一に考え どんな絶望の状況でも 他

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

Microsoft Word - todaypdf doc

スライド 1

CCU で扱っている疾患としては 心筋梗塞を含む冠動脈疾患 重症心不全 致死性不整脈 大動脈疾患 肺血栓塞栓症 劇症型心筋炎など あらゆる循環器救急疾患に 24 時間対応できる体制を整えており 内訳としては ( 図 2) に示すように心筋梗塞を含む冠動脈疾患 急性大動脈解離を含む血管疾患 心不全など

Microsoft PowerPoint - AISㇳㅼã…⁄㇣ㅳㇰJan2016plain.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

富士

平成 29 年度九段坂病院病院指標 年齢階級別退院患者数 年代 10 代未満 10 代 20 代 30 代 40 代 50 代 60 代 70 代 80 代 90 代以上 総計 平成 29 年度 ,034 平成 28 年度 -

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

Microsoft Word - 肺癌【編集用】

褥瘡発生率 JA 北海道厚生連帯広厚生病院 < 項目解説 > 褥瘡 ( 床ずれ ) は患者さまのQOL( 生活の質 ) を低下させ 結果的に在院日数の長期化や医療費の増大にもつながります そのため 褥瘡予防対策は患者さんに提供されるべき医療の重要な項目の1 つとなっています 褥瘡の治療はしばしば困難


別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに


学会名 : 日本免疫不全症研究会 アンケート 1 1. アンケート 2 に回答する疾患名 (1) X 連鎖無 γ グロブリン血症 (2) 慢性肉芽腫症 2. 移行期医療に取り組むしくみあり :1 年に1 回の幹事会で 毎年 discussion している また 地区ごとの地方会で 内科の先生方にいか

心房細動1章[ ].indd

U 開腹手術 があります で行う腎部分切除術の際には 側腹部を約 腎部分切除術 でも切除する方法はほぼ同様ですが 腹部に があります これら 開腹手術 ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術を受けられる方へ 腎腫瘍の治療法 腎腫瘍に対する手術療法には 腎臓全体を摘出するU 腎摘除術 Uと腫瘍とその周囲の腎

2005年 vol.17-2/1     目次・広告

がん登録実務について

外来在宅化学療法の実際

2014 年 10 月 30 日放送 第 30 回日本臨床皮膚科医会② My favorite signs 9 ざらざらの皮膚 全身性溶血連鎖球菌感染症の皮膚症状 たじり皮膚科医院 院長 田尻 明彦 はじめに 全身性溶血連鎖球菌感染症は A 群β溶連菌が口蓋扁桃や皮膚に感染することにより 全 身にい

pdf0_1ページ目

1)表紙14年v0

Microsoft Word - todaypdf doc

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復

心疾患患による死亡亡数等 平成 28 年において 全国国で約 20 万人が心疾疾患を原因として死亡しており 死死亡数全体の 15.2% を占占め 死亡順順位の第 2 位であります このうち本県の死亡死亡数は 1,324 人となっています 本県県の死亡率 ( 人口 10 万対 ) は 概概ね全国より高

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

補足 : 妊娠 21 週までの分娩は 流産 と呼び 救命は不可能です 妊娠 22 週 36 週までの分娩は 早産 となりますが 特に妊娠 26 週まで の早産では 赤ちゃんの未熟性が強く 注意を要します 2. 診断 どうなったら TTTS か? (1) 一絨毛膜性双胎であること (2) 羊水過多と羊

呼吸器内科学 臨床感染症学 呼吸器内科学 1 臨床実習の概要 実際症例に即して医療情報を捉え その情報を合理的に組み立てて診断に到達する方法を学ぶ その中から必要な検査法の適応 検査結果の読み取り方から 各検査結果の総合的把握により診断と病状は決定され 医療方針が明らかになってくる まず臨床において

Transcription:

専門医に聞く ( 呼吸器領域 ) 兵庫医科大学呼吸器外科 橋本昌樹 2016/7/30 第 3 回兵庫県放射線技師会読影セミナー @ 神戸

2016/7/29 2 はじめに 呼吸器専門医は少数呼吸器の緊急疾患に対応可能な病院はごくわずか 呼吸器疾患はよく遭遇する

2016/7/29 3

2016/7/29 4 本日の内容 救急現場でよく見る呼吸器疾患症状 疾患 呼吸器領域の外傷 呼吸器疾患と間違えられやすい疾患 救急現場で異常が偶然見つかったら? 症例提示

2016/7/29 5 救急現場で多い呼吸器疾患 症状編

2016/7/29 6 救急外来で多い症状 発熱 咳嗽 (+ 喀痰 ) 呼吸困難 胸痛 血痰 喀血 その他 ( 顔が腫れる 頸部腫脹 嗄声 )

発熱 風邪? 気管支炎? 呼吸器疾患が原因では無い可能性 重篤な場合は他の症状 ( 咳嗽 喀痰 ) を併発していることが多い 重症度 縦隔炎膿胸肺炎 肺化膿症感冒 気管支炎 頻度は低いが重篤な疾患が背景に存在することもある

2016/7/29 8 咳嗽 呼吸器症状として最もpopular どのような咳が出るのか? 喀痰は伴うのか? 他に症状は? 合併疾患は? 考えられる疾患 1. 気管支炎 気管支喘息 肺炎 2. 百日咳 結核 3. 気胸 胸水貯留 4. 気管支異物 気管内腫瘍 肺手術後

2016/7/29 9 長期間持続する咳嗽は いわゆる慢性咳嗽の原因は多岐にわたります 下記のようなものが挙げられますが 咳喘息 アトピー咳嗽 副鼻腔気管支症候群 ( 気管支拡張症 副鼻腔炎 ) 風邪症候群後遷延性咳嗽 非定型肺炎後の慢性咳嗽 ( マイコプラズマ クラミジア肺炎あるいは気管支炎 ) 胃食道逆流 タバコ気管支炎 降圧剤の使用 (ACE 阻害剤 β 受容体遮断薬 ) 心因性咳嗽 喉頭アレルギー ( 下気道ではありませんが ) 結核の存在を忘れてはいけません!!

2016/7/29 10 喀痰 痰が出てしんどい 切れが悪くてしんどい とよく言われます どんな色の痰が出るのか? 透明 特別な問題はないでしょう 黄色 緑色 感染性! 上気道か下気道かは不明 鉄錆色 慢性的な下気道で炎症が存在? 鮮血 どこからか血が出ている 量は? 黒色 おそらく古い血どこかで出ていた? まずはレントゲンで check 何かあれば必ず CT を! 血痰がある場合は CT では出血の原因精査を! 肺炎の有無 結核 肺化膿症など

2016/7/29 11 呼吸困難 息がしんどい と言われるとレントゲンは必ずとります 考えられる疾患として 肺炎 間質性肺炎の急性増悪 胸水貯留 気胸 気道狭窄 肺うっ血 心不全 肺血栓塞栓症 基本的に入院必要急ぐ必要は?? ただし呼吸困難を認識するのは脳であるので 訴えと身体所見に解離があることもある

胸痛 胸が痛いとよく言われますが 胸痛の原因はさまざま 呼吸器疾患 気胸胸膜炎肋骨骨折 肋間神経痛 ( 要は胸膜胸壁に何かある時 ) 循環器疾患 ACS TAA 心外膜炎など 消化器疾患 逆流性食道炎 食道炎 食道破裂 一つの科の疾患と決めつけずに精査する必要がある!! 2016/7/29 12

喀血 言葉の定義として血痰 痰に血が混じる喀血 血を吐く 吐血との区別が難しい 一般的に咳嗽とともに出る 気管から肺末梢までのどこかで出血している 気管支炎 ( 咳のし過ぎ ) 血痰まで 特殊な肺炎 ( 放線菌症など ) 気管支拡張症 結核 アスペルギローマ 気管気管支腫瘍 腫瘍 ( 肺癌 転移性肺腫瘍 ) 患者の申告する量よりも実際は多くの血液を 喀血していることが多く 注意が必要 2016/7/29 13

その他の症状 これらの症状だけで来院することはないが 診断の手掛かりに 顔面腫脹上大静脈症候群 心タンポナーデ 頸部腫脹縦隔炎 皮下気腫 気管損傷 嗄声 TAA 肺癌 縦隔腫瘍など

2016/7/29 15 救急現場で多い呼吸器疾患 疾患編

2016/7/29 16 肺炎 感染性肺炎 細菌性肺炎 ウイルス性肺炎 非定型肺炎 ( マイコプラズマ レジオネラなど ) 非感染性肺炎 間質性肺炎 薬剤性肺炎 アレルギー性肺炎 ( 過敏性肺臓炎など ) 酸素化が不良かつ 通常の細菌性肺炎とは違う肺炎像の場合は 呼吸器専門医 ( もしくは救命センター ) での治療が望ましい

2016/7/29 17 気胸 概念 : 胸腔内に空気が貯留した状態肺から空気が漏れているかどうかではない 気胸の分類 1. 自然気胸背景に特別な肺疾患がなくブラ ブレブの破裂によって生じたもの 2. 続発性気胸何らかの基礎的肺疾患が存在しそれに起因する気胸の総称 3. 外傷性気胸胸壁や肺 気管支 食道などが外傷で損傷した際に発症する気胸の総称

2016/7/29 18 自然気胸 咳嗽や怒責を契機にブラが破裂し肺尖部の胸膜直下のブラ ブレブの破裂により発症する 男女比は 7:1 背が高くやせた人に多い ( 気胸体型 ) (20 歳代に最も多く 10~40 歳代で全体の約 80% 保存的治療では約半数が再発

気胸の分類 気胸は肺虚脱の程度によって大きく 3 段階に分類される 軽度中等度高度

治療のフローチャート 軽度の虚脱 中等度の虚脱 高度の虚脱 安静観察 胸腔ドレナージ 手術 胸膜癒着術 軽快

胸腔鏡下肺のう胞切除術

胸腔鏡下肺のう胞切除術 肺虚脱

胸腔鏡下肺のう胞切除術

胸腔鏡下肺のう胞切除術

続発性気胸 び漫性肺疾患が背景にあるもの 肺気腫 間質性肺炎 炎症性疾患に伴うもの 結核 胸膜炎 肺化膿症 腫瘍性疾患に伴うもの 原発性肺癌 転移性肺腫瘍 月経随伴性気胸 臓側胸膜に異所性子宮内膜症があり 月経時に反復して気胸

びまん性疾患によるもの気胸 肺気腫や間質性肺炎を背景に発生するものが多い LAM( リンパ脈管筋腫症 ) や閉塞性細気管支炎など稀な疾患により生じることもある 特発性気胸に比べて残存肺機能が不良であることが多いので呼吸不全を生じやすく 早急に体操する必要がある

炎症性疾患によるもの気胸 肺内もしくは胸腔内の感染が 臓側胸膜に進展し臓側胸膜が破壊されることで生じる気胸 肺炎 結核 膿胸などにより生じる 自然気胸よりも重篤なことが多く 治療時期を逃すと致死的になることもある

腫瘍による気胸 肺癌や転移性肺腫瘍 ( 骨肉腫が多い ) 胸膜に浸潤 自壊し発症する 保存的治療では治癒が困難で手術を必要とすることが多い

月経随伴性気胸 病態は ( 胸膜や横隔膜における ) 異所性子宮内膜増殖症 右側に発症することが多い 月経開始と密接に関係して反復し 月経時以外には発症しない 発症年齢は比較的高齢である (30 歳代の発症が多い ) 妊娠時 排卵抑制剤服用中は発症しない 骨盤子宮内膜症が臨床病理学的に証明されることがある 右横隔膜に穿孔を認めることがある 開胸手術時 肺からの気漏を確認できないことがある 手術後再発例がある 月経開始 3 日前から 5 日後までの間に発症 2 ヶ月に 1 回以上の頻度で 3 回以上

月経随伴性気胸 症例 :45 歳女性現病歴 : 平成 15 年 12 月右自然気胸 平成 16 年 5 月右気胸再発 Bulla は認めず

月経随伴性気胸 ブルーベリースポット

月経随伴性気胸 H.E. 100 子宮内膜の間質様組織

緊急対応が必要な気胸 (1) 血胸合併気胸 気胸を繰り返していると肺尖部に癒着あり 気胸発症 癒着している部分が断裂時に新生血管が破綻 血胸を合併時にショックに 新生血管が流入 CT では肺の虚脱を認めるのみで明らかな所見は認めない

血胸合併気胸

緊急対応が必要な気胸 (2) 緊張性気胸 = 死に至る可能性あり! 呼吸困難 チアノーゼ頻脈 血圧の低下 意識消失

緊張性気胸 緊急胸腔ドレナージ

緊張性気胸 肺からの空気漏れ ( 気胸 ) 殆どの場合は肺が虚脱したところで空気漏れが止まる 肺が虚脱してもさらに空気漏れが続く場合 胸腔内圧が陰圧から陽圧へ 静脈還流低下 最悪の場合死亡 ( 心不全 )

膿胸とは 胸腔に膿が貯留した状態 発熱 胸痛 咳嗽 呼吸苦 原因となる疾患があり それに引き続き発症することが多い 時には急激に状態が悪化することがある

膿胸の原因疾患 肺内感染症 肺外感染症 外傷 外科手術後 肺炎 胸膜炎 肺化膿症 気管支拡張症 降下性壊死性縦隔炎食道破裂 横隔膜下膿瘍 胸腔内の挫傷部への感染残存する血腫への感染 肺 心大血管 食道など 胸部手術後

膿胸患者の基礎疾患 慢性の誤嚥 ( 高齢者に多い ) 糖尿病 アルコール多飲 ステロイド長期投与 免疫抑制剤の投与 人工透析施行症例 全ての症例が基礎疾患を有しているわけではない 健常者でも肺炎 肺化膿症 胸膜炎に対して適切な治療が行われなかったために発症することも多い

膿胸の分類 急性膿胸 : 発症から 3 カ月以内 慢性膿胸 : 発症から 3 カ月以降 :3-4 週で慢性化する症例もある 有瘻性膿胸 : 膿胸腔から周囲臓器 * に交通があるもの無瘻性膿胸 : 交通を持たないもの * 気管支瘻 肺瘻 皮膚瘻など

急性膿胸 / 慢性膿胸 発症後 以前の皮切 2 週間 3 週間 滲出期 繊維素膿性期 抗菌薬 + 胸腔ドレナージ 抗菌薬 + 手術 4 週間 器質化期 抗菌薬 + 手術 2-3 ヵ月以降 慢性膿胸 抗菌薬 + 手術 2 期的手術になることが多い

有瘻性膿胸 胸腔内と気管支 肺などの気道と交通があるもの 胸腔内の炎症により肺実質や気管支断端 ( 肺葉切除後であれば ) に瘻孔が生じる 胸腔内に ニボー像がある時は要注意!! 膿汁を胸腔内から肺内 ( 特に健常肺 ) へ逆行性に吸い込むことで 低酸素血症をきたす可能性が高い すぐに適切な処置 ( ドレナージ 手術 ) を行わなければ救命できないこともある

60 歳代男性発熱 咳嗽 喀痰 ( 多い ) 緊急手術にて

2016/7/29 45 有瘻性膿胸のその後 一度 開窓 ( 外気と交通させて ) し 胸腔内の浄化を促し 再手術で閉創 ( 筋肉や大網を埋め込む ) を行う

2016/7/29 46 間質性肺炎 気道 肺胞内ではなく間質に炎症をきたすため 酸素の取り込みが阻害され 容易に低酸素血症をきたす 約半数が特発性 ( 原因不明 ) であり その他は自己免疫性疾患 膠原病に伴うもの 薬剤性 職業環境曝露によるものが多い 症状安定時は問題ないが急性増悪することがあり 急速に呼吸不全へと移行する 急性増悪をきたした場合 有効な治療法はなく 致死率が非常に高い

2016/7/29 47 70 歳代男性呼吸苦で来院 来院時 SpO2=80%(RA) O2=5L にて SpO2=93% 翌朝に急変 人工呼吸管理となる

2016/7/29 48 気道異物 小児 (4 歳以下 ) と高齢者に多い 小児は豆類 食物の種が7-8 割を占める 小児の場合 レントゲンで異物を指摘できないことが多いが 無気肺や呼気時のair-trappingを認めることがある 高齢者の場合 義歯 歯冠 魚骨 針などがある 治療には気管支鏡 ( 軟性 硬性 ) が第 1 選択であるが 長期間留置症例においては手術も検討される

60 歳代女性持続する咳嗽

気管支鏡下に歯冠を除去 2016/7/29 50

2 歳男児豆を誤飲 2016/7/29 51

2016/7/29 52 気管支拡張症 気管支拡張症は 感染や遺伝的素因など様々な要因で気管支粘膜に反復 持続的な炎症をきたし 不可逆的な粘膜 ( 気管支 ) の破綻をきたす疾患である 多くは幼少期の呼吸器感染症を契機に発症する 粘膜の破綻により気道内出血 ~ 血痰 喀血が生じる 慢性炎症により気管支動脈の血流量は正常の数倍 ~ 数十倍に至る 重篤な場合は気管支動脈塞栓術を行うことが多い

2016/7/29 53 気管支拡張症 気管支動脈が非常に発達

2016/7/29 54 肺結核 1940~50 年代は日本人の死因トップであったが その後減少 しかし 2000 年頃より横ばい 若年者 (20-30 代 ) と高齢者に多い 長引く咳 長引く発熱 ( 微熱 ) を呈する患者には要注意 日本はアメリカの 5 倍の罹患率大阪全体では東南アジアレベル西成区はアフリカレベル!?

2016/7/29 55 結核 上葉 ( 右なら S1,2 左なら S1+2) と S6 が好発部位

2016/7/29 56 粟粒結核 空洞などを認めず 全肺葉に所見を認める感染力が非常に強く 専門病院 ( 結核病院 ) での治療が必要

2016/7/29 57 急性縦隔炎 ほとんどは先行する感染症に引き続き二次性に生じる 1 頭頸部の炎症 2 食道 気管損傷 3 開胸術 特に頭頸部の感染症が縦隔にまで波及して発症する降下性壊死性縦隔炎は病状の進展が早く致命的になりうる 以前は致死率 40-50% であった 医療の進歩した現在でも 15% 程度の致死率である

2016/7/29 58 降下性壊死性縦隔炎 頭頸部感染症が先行する 扁桃炎 扁桃周囲膿瘍喉頭蓋炎 耳下腺炎咽頭炎 咽後膿瘍歯肉炎 齲歯 魚骨 頭頸部より降下性に縦隔へ炎症が波及 頸部に発赤を認める 頚部は結合組織が疎であるため感染が縦隔内へ容易に波及する

2016/7/29 59 降下性壊死性縦隔炎 早急に診断を行い 早期治療 ( 手術 適切な抗菌薬投与 ) が必要である 様子観察は命取り 炎症の波及範囲を正確に評価することが必要 たとえ 呼吸器症状がなくて頸部だけの感染症と診断されていても胸部まで ( 可能なら造影 ) で CT を撮影すべき 縦隔への炎症の波及があれば 必ず耳鼻科 ( 口腔外科 ) と呼吸器外科医がいる総合病院へ

頚胸部 CT

61 呼吸器疾患と間違えられやすい疾患 1. 胸痛 虚血性心疾患 食道破裂 逆流性食道炎 肺血栓塞栓症 2. 呼吸困難 心不全 肺血栓塞栓症

2016/7/29 62 胸部外傷 肋骨骨折 外傷性気胸 外傷性血胸 肺挫傷 気管損傷 縦隔気腫

肋骨骨折 何本の肋骨がどのように骨折しているかが重要 3D-CT が診断に非常に有用 胸郭動揺 ( フレイルチェスト ) をきたした場合は奇異呼吸となるため 呼吸状態が悪化する可能性があり 高度医療機関での治療が必要 骨片が胸腔内に突出していると 肺を損傷し二次性の血気胸を引き起こすことがあり その場合は手術で整復することも検討される

2016/7/29 64 外傷性気胸 直接または間接的に胸部の外傷の結果として生じる気胸をさす ( 開放性気胸と閉鎖性気胸 ) 開放性気胸とは 胸壁の創部より外気と胸腔が交通し 胸腔内に空気が入る状態 閉鎖性気胸とは 肺が破れて胸腔内に空気が入る状態 肋骨骨折による肺損傷や 胸郭が急激に圧迫され 肺胞内圧が上昇し肺胞が破れて空気が胸腔内に入ることで発生する 胸部刺傷 交通外傷などによる胸部打撲

2016/7/29 65 外傷性血胸 鋭的 鈍的外傷のいずれも原因となりうる 胸郭損傷 胸膜損傷 肺損傷 心臓損傷 血管損傷 横隔膜損傷 いずれにしてもまず胸腔ドレナージ 以下の場合は緊急手術 ( 止血術 ) を考慮すべき 1. 胸腔ドレナージ施行時に1000ml 以上の出血 2. ドレナージ開始後に1 時間で1500ml 以上の出血 3. 2-4 時間で 200ml/h 以上の出血が持続 4. 輸血を継続的に必要とする場合

2016/7/29 66 60 歳代女性自転車で転倒 骨折した肋骨が内反しており 肺損傷をきたし 血胸を伴っていた 肋骨が内反している時は遅発性に血胸となることもあるので基本的に手術適応となる

2016/7/29 67 肺挫傷 鈍的な外力や 急激な肺胞内圧の上昇などで肺胞や毛細血管が断裂し肺胞内出血 間質の出血や浮腫 周囲の微小無気肺などを生じた状態 交通事故や労災事故 墜落や転落などの非開放性外傷が原因であることが多い 症状はその程度によって大きく変わるが 受傷直後は無症状であっても 受傷数時間以降 24 48 時間後までは病態が悪化することがあるため CT による評価が必要

2016/7/29 68 20 歳代男性バイク事故 受傷当日 受傷 2 日後 左上葉の肺挫傷は軽快傾向となるも右下葉は内部で出血を伴い 無気肺となった

69 気管損傷 刺傷 切創 銃創などの開放性外傷 ( 鋭的外傷 ) と交通事故 労働災害 転落などの非開放性外傷 ( 鈍的外傷 ) に分けられる 開放性外傷の場合 肺実質や心大血管が同時に損傷を受けることが多く ショック状態となることが多い 非開放性外傷の場合 頸胸部に鈍的な外傷が加わり 胸郭圧迫により気道内圧が上昇し発生する 縦隔気腫や皮下気腫が見られ 損傷が胸腔内に波及すると気胸を呈する

開放性気管損傷 2016/7/29 70

開放性気管損傷 2016/7/29 71

2016/7/29 72 非開放性気管損傷 19 歳男性バイクで転倒呼吸苦と頸部腫脹あり 近医にて頸部に皮下気腫あり 気管損傷の疑いで転院 頸部気管に損傷有り 拡大傾向にあったので 気管内挿管を行い 1 週間後軽快 ヘルメットのベルトで頸部に強い外力が加わったためと思われる

2016/7/29 73 縦隔気腫 縦隔内に空気が貯留した状態 原発性 ( 特発性 ) と二次性に分けられる 原発性 ( 特発性 ) 縦隔気腫は若年男子に起こることが多く 瞬間的な気道内圧の上昇に伴い発生することが多い 起こるきっかけとして喘息発作や慢性気管支炎などの疾患 野球のスライディングやサッカーのトラップ 重量挙げやカラオケなどがある 原発性 ( 特発性 ) の場合 胸痛や呼吸苦 微熱を認めることがあるが 安静で軽快することがほとんどである 二次性は外傷や食道破裂 縦隔炎など重篤な疾患によりおこることが多く 早急な対応が必要 原発性 ( 特発性 ) か二次性かの判断が重要である

2016/7/29 74 縦隔気腫 ( 原発 / 二次性 ) 18 歳男子サッカーの試合中に胸部を強打し来院 60 歳代女性咽頭痛あるも放置 頸部腫脹と 意識消失を認め搬送となる

偶然見つかった所見は 肺腫瘍すりガラス状陰影 (GGN) か結節 (solid) か? 石灰化を伴う ( 陳旧性炎症 ) か否か? 5mm 以上の結節 10mm 以上の GGN であれば専門医受診を 縦隔腫瘍基本的にすべての縦隔腫瘍は手術の対象多くの場合 緊急性はないが専門医受診を 胸膜肥厚慢性炎症で肥厚することが多いが 腫瘍性病変の可能性も 胸水今までに指摘されたことがなければ専門医受診を早期の中皮腫は胸水のみが有意所見 2016/7/29 75

2016/7/29 76 Take Home Massage 早く呼吸器専門医 ( 特に呼吸器外科 ) へ!! 来院時にある程度の血性胸水が貯留しているとき 胸腔内にニボー像を認める時 膿胸 縦隔炎 ( 特に縦隔炎は時間との闘いです ) 気道の損傷を疑う時 咳嗽発熱の精査で異物が判明した時 放っておかないでこの所見!! 呼吸器内科へコンサルト!! 結核を疑う時 間質性肺炎の急性増悪かもしれない時 異型肺炎 ( レジオネラなど ) 偶然 発見された肺腫瘍 縦隔腫瘍 胸水貯留