基本計画

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(案)

(2) 制度の目標 1 過去の取り組みとその評価本事業は 前述の米国のSBIRをモデルに 再生可能エネルギー分野等の技術シーズを提案公募により新規に実施するものである 2 本事業の目標中小企業等 ( ベンチャー含む ) の保有する潜在的技術シーズを活用した技術開発の推進を支援するとともに 新事業の創

P00041

4 本事業のねらい中小企業等 ( ベンチャー企業を含む ) の保有する潜在的技術シーズを活用した技術開発の推進を支援するとともに 新事業の創成と拡大等を目指した事業化 ビジネス化を支援することを目的とする そのため 新エネルギーの分野における技術の選択肢を拡大するとともに 中小 ベンチャー企業等の革

平成14年1月28日

システムの開発は 国内において 今後の普及拡大を視野に入れた安全性の検証等に係る研究開発が進められている 一方 海外展開については 海外の事業環境等は我が国と異なる場合が多く 相手国のユーザーニーズ 介護 医療事情 法令 規制等に合致したきめ細かい開発や保守 運用までも含めた一体的なサービスの提供が

化学物質総合評価管理プログラム

(2) 産業 市場の動向 a. 蓄電池の産業 市場の動向 2016 年の蓄電池の世界市場規模は約 7.9 兆円である 今後 民生用 車載用 電力貯蔵用等の各用途でプラス成長が予想され 2025 年には約 14 兆円に成長するとの予測がある 民生用の小型リチウムイオン電池については 市場規模が数千億円

新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

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「蛋白質発現・相互作用解析技術開発」産業科学技術研究開発基本計画

平成 30 年 8 月 6 日 報道機関各位 東京工業大学 東北大学 日本工業大学 高出力な全固体電池で超高速充放電を実現全固体電池の実用化に向けて大きな一歩 要点 5V 程度の高電圧を発生する全固体電池で極めて低い界面抵抗を実現 14 ma/cm 2 の高い電流密度での超高速充放電が可能に 界面形

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リチウムイオン電池用シリコン電極の1粒子の充電による膨張の観察に成功

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活動指標及び 活動指標標準仕様書 導入手順書策定数 ( 改定を含む ) 活動見込 31 活動見込 2 活動指標及び 活動指標 RPA 補助事業の完了数 活動見込 31 活動見込 5 活動指標及び AI 実証地域の完了数 活動指標 活動見込 31 活動見

事例8_ホール素子

参考資料3(第1回検討会資料3)

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第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

2 研究開発項目 高信頼リモート管理技術の研究開発 (1) リモート管理プロトコルポータル リモート管理マネージャプロトコル仕様書の作成 およびエージェント向けリモート管理マネージャ API 仕様書の作成を行った (2) リモート管理マネージャ技術リモート管理マネージャ通信基盤基本設計書の作成とリモ

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2 表 1 電池特性評価一覧 クル寿命特性評価と同様の分析をすると共に,X 線 CT 撮影を実施した. 5フロート特性評価は 60 雰囲気下において CC 充電で SOC=100%( 終止電圧 4.2 V) とした電池を 4.2 V で 168 時間の期間,CV 充電することにより行った. 評価前後

資料 3 産総研及び NEDO の 橋渡し 機能強化について 平成 26 年 10 月 10 日経済産業省

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

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はじめに 本書は NEDO 技術委員 技術委員会等規程第 32 条に基づき研究評価委員会において設置された 太陽光発電多用途化実証プロジェクト ( 事後評価 ) の研究評価委員会分科会 ( 平成 29 年 10 月 16 日 ) 及び現地調査会 ( 平成 29 年 9 月 4 日於株式会社カネカ未来

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

4-(1)-ウ①

に個人 企業情報が残っているか否かの調査等を行うこととし 今回は 中古乗用車に実 装されていた HDD ナビゲーション装置 を評価しましたので その結果をご報告申し上げ ます (1) 個人 企業情報の消去 破壊を前提としたリユース ( リペアメントを含む ) リサイクルの推進を目指すガイドラインの策

国際標準化に係る各国動向と 本の現状 従来から積極的な活動を進める欧州 国に加え 韓国 中国の企業がグローバル市場でシェアを急速に拡 するとともに 標準化活動への取組みを急速に強化 本の活動は 欧 主要国等と 較して低調 本の ISO/IEC への寄与状況 ( 出典 ) 経産省情報通信審議会情報通信

政策体系における政策目的の位置付け エネルギー基本計画 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) において 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を 2020 年までに 10% とすることを目指す と記載 地球温暖化対策基本法案 ( 平成 22 年 10 月 8 日閣議決定 )

平成20年度税制改正(地方税)要望事項

制度見直しに関する主な方向性については 次の通り考えるものとする 1. ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し 個人情報及びプライバシーの保護に配慮したパーソナルデータの利用 流通を促進するため 個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータに関し 個人情報及びプラ

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第1章 プレゼン

はじめに 本書は NEDO 技術委員 技術委員会等規程第 32 条に基づき研究評価委員会において設置された 先進 革新蓄電池材料評価技術開発 ( 前倒し事後評価 ) の研究評価委員会分科会 ( 平成 29 年 8 月 3 日 ) 及び現地調査会 ( 平成 29 年 7 月 18 日於技術研究組合リチ

水素供給設備整備事業費補助金平成 28 年度概算要求額 62.0 億円 ( 新規 ) 省エネルギー 新エネルギー部燃料電池推進室 事業の内容 事業イメージ 事業目的 概要 燃料電池自動車 (FCV) は 水素を燃料とする自動車で 内外の自動車メーカーによって 開発競争が進め

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

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熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52%

( ( 政策評価 経済 財政再生アクション プログラムとの関係 政策評価 アクシ経ョ済ン 財プ政ロ再グ生ラム 政策 施策 改革項目 第 K 一 P 階 I 層 ) 測定指標 第 K 二 P 階 I 層 ) 分野 : 定量的指標 定性的指標 KPI ( 第一階層 ) KPI ( 第二階層 ) 項目 中

特許マップ ( 二次電池分野 ) 技術の全体概要携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器には 高性能蓄電池が使用されるようになり 現在では 電気容量 電気エネルギー密度の最も大きい リチウムイオン二次電池 (LIB) が広く使用されるようになっている リチウムイオン電池は主に正極 (+ 極 ) 電

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公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

平成 30 年 3 月 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 理事長古川一夫殿 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構 研究評価委員会委員長 小林直人 NEDO 技術委員 技術委員会等規程第 34 条の規定に基づき 別添のとおり評価結 果について報告します

平成 29 年 7 月 10 日 報道機関各位 東京工業大学広報 社会連携本部長岡田清 超イオン導電特性を示す安価かつ汎用的な固体電解質材料を発見 - 全固体リチウムイオン電池の実用化を加速 - 要点 [ 用語 液体の電解質に匹敵するイオン伝導率 1] 11 mscm -1 を持つ新たな固体電解質材

( 出所 ) 中国自動車工業協会公表資料等より作成現在 中国で販売されている電気自動車のほとんどは民族系メーカーによる国産車である 15 年に販売された電気自動車のうち 約 6 割が乗用車で 約 4 割弱がバスであった 乗用車の中で 整備重量が1,kg 以下の小型車が9 割近くを占めた 14 年 8

科技表紙PDF200508

「○○技術開発」

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ナショナルプロジェクトの PDCA サイクルの活用及び事業化の具体例 -NEDO 衛星関連プロジェクトを実例として - 大重隆 古谷章 北村斉 岡田桃子 (NEDO 技術開発機構 ) はじめに 産業化を目指す研究開発においては 不確実性 外部性 不可分性といった特徴を有するため 市場原理のみでは投資

火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

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水素エネルギーに関するNEDOの取り組み

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

本事業の意義 実効性 ( 見直しの必要性 ) 医療情報データベース基盤整備事業 ( 平成 23 年度 ~ 10 協力医療機関 ) 日本再興戦略 ( 平成 25 年 6 月 14 日 ) 医療 介護情報の電子化の促進 医薬品の副作用データベースシステムについて データ収集の拠点となる病院の拡充や地域連

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今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

電波に関する問題意識(原座長提出資料)

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目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1


資料 4 テクノロジーの進展と電力ネットワークの高度化や新ビジネスについての諸外国の動向 ( 第 1 回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会 第 1 回用参考資料 ) 2018 年 10 月 15 日

発表内容 1. 事業の位置づけ 必要性 (1) 事業目的の妥当性 (2)NEDO の事業としての妥当性 2. 研究開発マネジメント (1) 研究開発目標の妥当性 (2) 研究開発計画の妥当性 (3) 研究開発の実施体制の妥当性 (4) 研究開発の進捗管理の妥当性 (5) 知的財産等に関する戦略の妥当

1 事業全体の成果 2

5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

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研究開発評価システムの在り方に関する検討 WG 資料 5 海外における追跡評価の事例 2012 年 3 月 23 日 ( 金 ) 田原敬一郎 Copyright IFENG All Rights Reserved

27 年度当初予算 28 年度要求主な増減理由円)平 7 単 位 2 : 8 百年万度予訳(成 ( 目 ) 啓発広報費 2 平成 26 年度限りの経費 ( 重要事項に関する戦略的国際広報諸費に統合 ) 計 0 0 算内

1 日本再興戦略 2016 改革 2020 隊列走行の実現 隊列走行活用事業モデルの明確化ニーズの明確化 ( 実施場所 事業性等 ) 技術開発 実証 制度 事業環境検討プロジェクト工程表技高齢者等の移動手段の確保 ( ラストワンマイル自動走行 ) 事業モデルの明確化 ( 実施主体 場所 事業性等 )

PRESS RELEASE (2013/7/24) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

資料3 船舶ワーキンググループにおける検討方針等について

沖縄でのバス自動運転実証実験の実施について

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P13007 先進 革新蓄電池材料評価技術開発 基本計画 スマートコミュニティ部 1. 研究開発の目的 目標 内容 (1) 研究開発の目的 1 政策的な重要性 蓄電池戦略 (2012 年 7 月 経済産業省 ) においては 2020 年に世界全体の蓄電池市場規模 (20 兆円 ) の 5 割のシェアを我が国関連企業が獲得することが目標に掲げられている この目標を達成するためには 定置用蓄電池では低コスト化の技術開発が 車載用蓄電池では電気自動車 (EV) の航続距離向上とコスト低減を進めるため 性能向上に寄与する材料の研究開発が必要であるとしている 本研究開発は 我が国の将来の成長の糧となるイノベーションを創出する未来開拓研究プロジェクトの一つとして実施されるものである 2 我が国の状況携帯電話 ノートパソコン等の民生用リチウムイオン電池市場において 我が国企業の世界シェアは2000 年度において90% 超を占めていた しかしながら ウォン安 政策支援に起因するコスト競争力の強みなどを背景として 韓国企業が急速に追い上げ 我が国企業のシェアは2011 年度において40% 程度まで落ち込んでいる 民生用電池の市場は今後 成長が鈍化すると予想されるものの 今後も市場の拡大は見込まれている また 出力が不安定な再生可能エネルギーの大量導入時における電力貯蔵や電力系統の安定化対策 EV 等の次世代自動車の本格的な導入 普及において 蓄電池は重要な技術であり 今後 市場は大きく成長すると共に 世界的な企業間競争が激化することが予想される そのため 我が国の競争力確保に向けた技術開発 実証及び国際標準化を戦略的に推進する必要がある 3 世界の取り組み状況現在 世界各国において 蓄電池の更なる高性能化や低コスト化を図る研究開発が進められている 米国は エネルギー省 (DOE) の Vehicle Technology Program において先進的なリチウムイオン電池及びその材料の研究開発を行っている また Advanced Research Projects Agency Energy (ARPA-E) の中にある Batteries for Electrical Energy Storage in Transportation (BEEST) において コストを現状の 1/3 エネルギー密度を現状の 2~5 倍を開発目標として マグネシウム電池 亜鉛空気電池 リチウム硫黄電池等の革新型蓄電池が開発されている さらに 2012 年 11 月 DOE は 5 年間で 1 億 2,000 万ドルを 1

投資する計画で アルゴンヌ国立研究所を中心とする次世代電池の研究拠点を設立しており 研究成果の事業化を図る役割で化学メーカや自動車部品メーカ等も参加している 欧州は 欧州連合 ( E U ) の科学技術研究開発への財政支援制度である第 7 次 Framework Program ( 2006~2012 年 ) においてナノケミストリーを活用したリチウムイオン電池用材料の開発を行っている また EUとは別に ドイツは 2008 年に閣議決定された 国家 E-モビリティ開発計画 の中で EV 用蓄電池の研究開発を行っている 韓国は 2010 年に 二次電池競争力強化方案 として 2020 年までに企業及び政府で 15 兆ウォンを投資し 中 大型蓄電池での世界市場シェア 50% 電池用素材の国産化率 75% を目指すとの政策を打ち出している 特に本格輸出国家として浮上するため グローバル素材メーカを 10 社以上育成する等 電池メーカのみならず 横断的な国際競争力を高める方針である また 電池性能も日本と同レベルの目標 (EV 用途でエネルギー密度 250Wh/kg) を掲げ リチウムイオン電池の開発を推進している 中国は 国家ハイテク研究発展計画 (863 計画 ) において 7 億元規模 (2011 年 ~2013 年の 3 年間合計 ) の資金を投入し EV 関連技術の開発を推進しており この中にはエネルギー密度 500Wh/kg 以上を目標としたリチウム硫黄電池やリチウム空気電池の開発が含まれている また 中国国家重点基礎研究発展計画 (973 計画 ) において新型蓄電池の基礎研究を行っている 4 本事業のねらい世界的な企業間競争が激化しつつある蓄電池産業において 我が国の競争優位性を確保するためには 高性能 低コストの蓄電池を他国に先駆けて開発し 継続的に市場へ投入していく必要がある そのため 本事業においては 先進リチウムイオン電池 1 や革新電池 2 の技術進展に合わせて 産業界の共通指標として機能する材料評価技術 ( 標準電池モデルの仕様 作製法 性能評価条件 手順等 ) を確立し 国内材料メーカからの迅速な新材料提案や国内電池メーカの開発効率向上を促進することで 高性能 低コストの蓄電池 3 の早期実用化を図る 1: 先進リチウムイオン電池高電位 高容量正極材料 高容量負極材料 高電圧耐性を有する電解質材料等を用いて 高性能化や高耐久化 低コスト化を図ったリチウムイオン電池 2: 革新電池リチウムイオン電池のエネルギー密度の理論限界 (250Wh/kg) を超えての実用化が期待できる電池 全固体電池 多価カチオン電池 金属空気電池等 3: 高性能 低コストの蓄電池の実用化目標車載用蓄電池及び定置用蓄電池の 2020 年実用化目標を以下に示す なお 車載用蓄電池については電池パックとしての目標値 定置用蓄電池についてはパワーコンディショナを含んだ蓄電池システムとしての目標値を示している 2

車載用蓄電池の2020 年実用化目標値 項 目 PHEV 次世代 HEV 用 EV 用 エネルギー密度 200Wh/kg 250Wh/kg 出力密度 2,500W/kg 1,500W/kg カレンダー寿命 10~15 年 10~15 年 サイクル寿命 4,000~6,000サイクル 1,000~1,500サイクル コスト 2 万円 /kwh 2 万円 /kwh 定置用蓄電池の2020 年実用化目標値 項目 電力系統用電力貯蔵短周期周波数変動 中規模グリッド 産業 家庭用 寿命 20 年 20 年 15 年 コスト 2.3 万円 /kwh 8.5 万円 /kw 4 万円 /kwh (2) 研究開発の目標 1 過去の取り組みとその評価 次世代自動車高性能蓄電システム技術開発 (2007~2011 年度 ) EV 及びプラグイン ハイブリッド車の早期普及を目指し 2015 年以降の実用化を想定して高性能リチウムイオン電池とその構成材料並びに周辺機器 ( モータ 電池制御装置等 ) の開発 新規の概念に基づく革新的な電池の構成とそのための材料開発 電池反応性制御技術の開発 加速寿命試験法の開発 劣化因子の解明 電池性能向上因子の抽出 安全性基準 電池試験法基準の策定等を実施した 次世代蓄電池材料評価技術開発 (2010~2014 年度 ) 現行のリチウムイオン電池の高性能化や低コスト化を促進するため リチウムイオン電池材料の共通的な評価技術の開発を推進している 安全 低コスト大規模蓄電システム技術開発 (2011~2015 年度 ) 2020 年代における再生可能エネルギーの大量導入と電力貯蔵市場での競争力強化に向けて 低コスト 長寿命で安全性の高い蓄電システム及び要素技術の実用化開発を推進している 対象としている蓄電池はリチウムイオン電池 ニッケル水素電池 鉛電池である リチウムイオン電池応用 実用化先端技術開発事業 (2012~2016 年度 ) 2020 年代における次世代自動車の大量導入と車載蓄電池市場での競争力強化に向けて 車載用リチウムイオン電池の高性能化 低コスト化のための実用化開発を推進している 革新型蓄電池先端科学基礎研究事業 (2009~2015 年度 ) 2030 年代における実用化を想定し エネルギー密度としてリチウムイオン電池の限界値 (250Wh/kg) を遥かに超える500Wh/kgを実現する革新電池の基礎研究を推進し 3

ている 2 本事業の目標第 1 期 (2013~2017 年度 ) の目標は以下の通りとする [ 中間目標 ](2015 年度 ) 先進リチウムイオン電池に用いられる新規材料について 初期特性 保存 サイクル劣化等の寿命特性 安全性 信頼性を評価する技術を開発する [ 最終目標 ](2017 年度 ) 革新電池のうち全固体電池に用いられる新規材料について 初期特性 保存 サイクル劣化等の寿命特性 安全性 信頼性を評価する技術を開発する また 必要に応じ 先進リチウムイオン電池の材料評価技術について 電池及び電池材料の開発の進展に対応した見直し 追加を行う なお 第 2 期 (2018~2022 年度 ) の目標は 第 1 期の進捗 2017 年度に実施する外部有識者による第 1 期の前倒し事後評価の結果及び技術 市場動向等を総合的に勘案して決定する 3 全体としてのアウトカム目標本プロジェクトの成果が直接寄与する蓄電池市場は 2020 年時点の世界市場が20 兆円規模に成長すると予想されている 我が国が強みを有する蓄電池材料開発が加速されることによって 高性能な新規材料を適用した蓄電池を他国に先駆けて市場に投入することが可能となり 蓄電池戦略 の目標である我が国関連企業による 5 割のシェア 4 の獲得に貢献できる また 高性能蓄電池の早期実現により 既存ガソリン自動車よりCO 2 排出量が少ない次世代自動車の普及が期待される 運輸部門は日本のCO 2 総排出量約 2 割を占めることから その貢献は非常に大きいと考えられる 4:5 割のシェアの内訳は 大型蓄電池が 35% 定置用蓄電池が 25% 車載用蓄電池が40% を想定することとしている (3) 研究開発の内容上記目標を達成するために 以下の研究開発項目について 別紙の研究開発計画に基づき研究開発を実施する [ 委託事業 ] 先進リチウムイオン電池及び革新電池用新規材料の材料評価技術の開発 2. 研究開発の実施方式 (1) 研究開発の実施体制本研究開発は NEDOが 単独ないし複数の企業 大学等の研究機関 ( 原則 本邦の企業等で日本国内に研究開発拠点を有していること なお 国外の企業等 ( 大学 研 4

究機関を含む ) の特別の研究開発能力 研究施設等の活用または国際標準獲得の観点から国外企業等との連携が必要な部分を 国外企業等との連携により実施することができる ) から 公募によって研究開発実施者を選定し委託により実施する なお 本事業実施にあたっては プロジェクトリーダー (PL) を設置する (2) 研究開発の運営管理 経済産業省 PL 研究開発実施者等と緊密に連携し 適切な運営管理を実施する また 外部有識者や産業界の意見等を踏まえ 研究進捗把握等のマネジメントを行う 3. 研究開発の実施期間本プロジェクトの実施期間は 2013 年度から2022 年度までの10 年間とする 全期間を2 期に分け 2013 年度から2017 年度の5 年間を第 1 期 2018 年度から2022 年度の5 年間を第 2 期として実施する 4. 評価に関する事項 NEDOは 技術的及び政策的観点から 研究開発の意義 目標達成度 成果の技術的意義並びに将来の産業への波及効果等について 外部有識者による研究開発の中間評価を2015 年度に実施する 中間評価結果を踏まえ 必要に応じプロジェクトの加速 縮小 中止等見直しを迅速に行う また 2017 年度に第 1 期の前倒し事後評価を実施し その評価結果を踏まえて 第 2 期における研究開発計画を策定する なお 評価の時期については 当該研究開発に係る技術動向 政策動向や当該研究開発の進捗状況等に応じて 前倒しする等 適宜見直すものとする 5. その他重要事項 (1) 研究開発成果の取扱い 1 共通基盤技術の形成に資する成果の普及得られた研究開発成果については NEDO 実施者とも普及に努めるものとする 2 知的基盤整備事業又は標準化等との連携得られた研究開発の成果については 知的基盤整備事業又は標準化等との連携を図るため データベースへのデータの提供 標準案の提案等を積極的に行う 3 知的財産権の帰属委託研究開発及び共同研究の成果に関わる知的財産権については 独立行政法人新エネルギー 産業技術総合開発機構新エネルギー 産業技術業務方法書 第 25 条の規定等に基づき 原則として すべて委託先に帰属させることとする (2) 基本計画の変更 NEDOは 研究開発内容の妥当性を確保するため 社会 経済的状況 内外の研究開発動向 政策動向 プログラム基本計画の変更 第三者の視点からの評価結果 研究 5

開発費の確保状況 当該研究開発の進捗状況等を総合的に勘案し 達成目標 実施期間 研究開発体制等 基本計画の見直しを弾力的に行うものとする (2) 根拠法 本プロジェクトは 国立研究開発法人新エネルギー 産業技術総合開発機構法第 15 条 第 1 号ニに基づき実施する 6. 基本計画の改訂履歴 (1) 平成 25 年 3 月制定 6

( 別紙 ) 研究開発計画 ( 第 1 期 ) 研究開発項目 先進リチウムイオン電池及び革新電池用新規材料の評価技術の開発 1. 研究開発の必要性今後 大きな市場拡大が想定される定置用蓄電池や車載用蓄電池において我が国企業が競争力を維持するためには 現行のリチウムイオン電池と同等以上の安全性を確保しながら エネルギー密度 出力密度 耐久性を向上させつつ コストを低減した先進リチウムイオン電池や革新電池を他国に先駆けて開発し 継続的に市場へ投入していく必要がある そのためには 先進リチウムイオン電池や革新電池の技術進展に合わせて 産業界の共通指標として機能する材料評価技術 ( 標準電池モデルの仕様 作製法 性能評価条件 手順等 ) を確立し 国内材料メーカからの迅速な新材料提案や国内電池メーカの開発効率向上を促進することで 高性能 低コストの蓄電池の早期実用化を図る必要がある 2. 研究開発の具体的内容 (1) 電池モデルの策定新規材料の電池としての商品化 実用化の課題を的確に把握出来るよう 新規材料を組み込む電池モデルの構造 形状寸法 材料構成 電気出力 容量等を電池の種別や用途別 ( 定置用 車載用 汎用等 ) に策定する (2) 電池モデルの作製仕様書の策定上記 (1) で策定した各電池モデルに適用する正極 負極の構造 電池組立に関連する部品 材料 作製プロセス等を策定する (3) 性能評価手順書の策定上記 (1) で策定した電池モデルの性能評価に適用する試験条件 ( 雰囲気温度 充放電時間 速度等 ) 試験方法 試験手順等を策定する (4) 評価技術の妥当性検証上記 (1)~(3) の成果を用いて 民間企業が開発した新規材料や大学等が開発した新規材料を評価し 開発した評価技術の妥当性を検証する また 評価結果を工業的視点で分析して実用化の課題を抽出し 新規材料の開発者にフィードバックする なお 本プロジェクトは 文部科学省の所掌する 戦略的創造研究推進事業 / 先端的低炭素化技術開発 / 次世代蓄電池研究加速プロジェクト と連携し 同プロジェクトに参画する大学等が開発した新規材料を評価手法の妥当性検証に用いる 3. 達成目標 下記を基本とするが 各年度の目標は採択後に NEDO と協議のうえ個別に実施計画に 定める 7

[ 中間目標 ](2015 年度 ) 先進リチウムイオン電池に用いられる新規材料について 初期特性 保存 サイ クル劣化等の寿命特性 安全性 信頼性を評価する技術を開発する [ 最終目標 ](2017 年度 ) 革新電池のうち全固体電池に用いられる新規材料について 初期特性 保存 サイクル劣化等の寿命特性 安全性 信頼性を評価する技術を開発する また 必要に応じ 先進リチウムイオン電池の材料評価技術について 電池及び電池材料の開発の進展に対応した見直し 追加を行う 4. その他 初年度に公募により実施者を選定するが 2 年目以降も必要に応じて公募を行う 以上 8