TERAS V2 オープントレーサビリティツールプラットフォーム Tool Environment for Reliable and Accountable Software 一般社団法人 TERAS 開発チームリーダーキャッツ株式会社プロダクト事業本部第 3 技術グループグループマネージャー宮本貴之
TERAS とは Tool Environment for Reliable and Accountable Software Open Traceability Tool Platform 2
一般社団法人 TERAS について TERAS は NTT データグループ 豊通グループ 電通グループ 双日グループを含む 14 の企業 団体の参加 *1) により 2011 年 4 月に設立された 産学官横断のプロジェクトです このプロジェクトでは トレーサビリティの向上 や すり合わせ型開発 に有効な オープンなツールプラットフォームの構築 提供を通じて 日本のソフトウェア産業基盤強化に貢献することを目的としています *1) 参加企業数は 2011 年 8 月現在 TERAS:Tool Environment for Reliable and Accountable Software 設立 2011 年 4 月 7 日特別会員 : キャッツ 豊通エレクトロニクス 電通国際情報サービス 日商エレクトロニクス ベリサーブ エヌアイディー 情報技術開発 取組 1. 日本の開発手法に適合したオープンなトレーサビリティ管理プラットフォームの開発 2. 機能安全の国際規格への準拠活動 3. 海外市場へ展開することでグローバルな開発環境構築支援 4. 中小企業に対する付加価値の高いソフトウェア業務への転換支援 経済産業省平成 23 年度産業技術実用化開発事業費補助金 ( 組込みシステム基盤開発事業 ) の交付にて 開発費用の 3 分の 2 を国の助成により開発を行っていきます 3
経済産業省オープンツールプラットフォーム構築事業 http://www.meti.go.jp/information/data/c110615bj.html 4
ソフトウェア産業を取り巻く環境 1 近年では 開発規模の拡大やソフトウェアで実装する機能の複雑化に伴い 基本要件 詳細機能 プロジェクト進捗 検証テスト等の様々な管理業務が複雑化することで管理コストが膨大になる 大規模障害につながる といった不具合が生じています JR 東日本や東京メトロなどの 8 都県 662 駅 自動改札機と窓口処理機で同一のプログラム ミスで不具合再発 12007/10/12 自動改札機起動せず260 万人に影響 中央コンピュータからのデータをICカードに書き込むプログラムにミス 22007/10/18 PASMO-Suica 65 駅の窓口処理機で異常発生 10 月 12 日の自動改札機と同一のプログラム ミス みずほ銀行が大規模システム障害 2011 年 3 月 14 日 義援金振り込み集中をきっかけに 店舗でのサービス停止 ATM の取引停止などを連発 銀行統合によるシステム統合時の人為的プログラム ミスと 人手作業に依存するシステム運用管理が原因 5
ソフトウェア産業を取り巻く環境 2 機能安全規格である IEC61508 や ISO26262 に代表されるように 様々な業界で製品の安全に対する説明品質の担保が必要とされています 文書 ISO 26262 : 2011(E) Functional safety Part2 Management of functional safety Annex B: Examples for evaluating a safety culture AutomotiveSPICE ENG.4 ソフトウェア要件分析 Level 1 IEEE Standard for Software Verification and Validation (IEEE Std 1012-2004) 5.4.1 アクティビティ : コンセプト V&V ( プロセス : 開発 ) ESPR SYP2 システム アーキテクチャ設計 SYP2.2 システム アーキテクチャ設計の確認 2.2.1 システム アーキテクチャ設計書の内部確認 記述 - 貧弱な安全文化の指標例 : 説明責任 ( アカウンタビリティ ) が追跡可能ではない - 良好な安全文化の指標例 : 機能安全に関わる意思決定の説明責任の追跡可能を保証するプロセスである 参照元の要件とソフトウェア要件との間でトレーサビリティを作成しているか 獲得要求とシステム要件とのトレーサビリティを検証する システム要件とソフトウェア要件とのトレーサビリティを開始する システムを構成する機能ブロックの分割が適切であり システム要求で求められる事項が実現可能かどうか ( トレーサビリティの確認 ) システム要求やテスト仕様との対応 ( トレーサビリティ ) が取れているか 6
トレーサビリティとは? システムの品質確保の手段である要求の管理が 重要になっています 要件がすべて設計 実装 試験されているか変更要求に対する修正モレはないか 他の製品への影響はないか等々 これらを 関連する書類やプログラム 開発製品 関連部署 サプライチェーン企業群を含めた形で追っていける仕組みがトレーサビリティです トレーサビリティなし ( 暗黙知 ) トレーサビリティあり ( 形式知 ) 7
ツールの必要性 複雑化 多様化していく製品開発において 人手 (Excel 等 ) によるトレーサビリティ管理には限界がある ツールによるトレーサビリティ管理が必要 要求仕様書設計書実装テスト 要求 A-01 要求 A-02 要求 A-03 要求 B-01 要求 B-02 要求 B-03 要求 B-04-01 要求 B-04-02 第 1 版第 2 章第 1 節第 2 節第 3 節第 3 章第 1 節第 3 節第 5 節 $SC_KB923980$ パターン01 $SC_KB923981$ A01 $SC_KB923982$ A02 $SC_KB923987$ B05 $SC_KB924988$ $SC_KB924989$ パターン02 $SC_KB923995$ A03 $SC_KB923993$ A04 $SC_KB123994$ B04 要求 C $SC_KB123995$ 要求 D 要求 E-01 第 2 版 第 1 章第 1 節 $SC_KB923987$ パターン 03 B03 要求 E-02 第 2 節 バリエーション 例 ) 要求項目 A C D は Version1~3 で共通 例 ) 設計 003 は Version2 と 2A 間は共通だが Version3 と 3A 間は別である 要求 E-03 カバレッジ確認 第 3 節第 3 章第 1 節第 3 節第 5 節 Version 1 Version 3A 影響範囲検索 パターン 04 C04 B03 B02 C05 トレーサビリティマトリクス出力 例 ) Version3B の試験 C04 でバグが発見されたので Version2A まで遡って修正する (Version2 以前は必要ない ) 各種ドキュメント 成果物 8
トレーサビリティツールの利用イメージ 1 レビュー時に利用した場合 設計の成果物をレビューする際に この設計の要件が何かを 簡単に確認できる ( 項目が数百になると担当も思い出すのが大変 ) 要件に対してモレなく検討ができたどうかのチェックができる C F 要求 要件 A B D E 運用 サポート 設計 この設計の要件は A この試験の要件は D 試験 実装 9
トレーサビリティツールの利用イメージ 2 リリースした製品に不具合が発生した場合 不具合の影響範囲が明確になり 修正個所をモレなく迅速に対応することができる例えば 自動改札機と窓口処理機で同一のプログラム ミスで不具合を再発 のようなことを解決できる 2007 年 10 月 12 日 自動改札機起動せず 8 都県 660 駅の4300 台の改札機約 260 万人に影響中央コンピュータからのデータをICカードに書き込むプログラムにミス 2007 年 10 月 18 日 PASMO-Suica 窓口処理機で異常発生 5 事業者 65 駅の101 台約 400 人の処理できず 10 月 12 日の自動改札機と同一のプログラム ミス 製品 A と C は同一の ( ミスのある ) プログラムを使用している! 製品 A B C D 要求 要件 設計 実装プログラム 運用 10
トレーサビリティツールの利用形態 開発情報のトレーサビリティ確保のためのシステム構築は 以下の様な形態が想定されます 1 基幹システムとしてオールインワンの PLM ALM システムを導入してトレーサビリティが確保できるシステムを構築する 自動車 OEM 様 Tier-1 サプライヤ様などでのパターン 但し 仕掛系の各種現場ツールや サプライヤとのデータ連携 等 様々なツールとの連携をどう実現していくかは課題が残る 2 既存システムを残しつつ 各種ツール間を連携させるためのトレーサビリティ HUB を新規導入してトレーサビリティが確保できるシステムを構築する Tier-1 サプライヤ様 中小のサプライヤ様などに多いパターン 但し ニーズはあるものの各種ツール間を連携させる共通規格化が不十分等で 今まで有効でオープンな HUB ツールは存在していなかった 11
ツール連携の課題 ポイント間データ交換 単一リポジトリ ツールのサイロ化 バラバラなツール ツールの統合 オールインワン データ共有困難 連携困難 データ全体に対する分析 検索が困難 自動化困難 人手による連携 トレーサビリティの確保が困難 チーム内メンバでのデータ共有統合ツール間の連携 プロセスの自動化サードパーティツール間連携は困難既存ツールの変更が必要でユーザビリティが低下 Tool A Tool suite Tool B Tool A Tool B Tool C Tool D Tool D Tool C V.1 B C Cvt. Tool Tool C V.2 利用シーン 役割ごとに好きなツールを自由に選択し利用する ( オープンソース 商用のどちらでも ) ツール間で連携させたい場合には 独自にカスタマイズして作り込む必要がある 利用シーン 特定のベンダーが全てを提供 サポートしてくれるため 共通化された使い勝手やツール間連携が可能現在 利用しているツールを全面的に置き換える必要がある 12
TERAS によるシステム構築イメージ Model OSLC REST Requirements Traceability Manager has three features (1) UI (as a browser) and CRUD* operation (2) Search engine (like a Google) (3) Repository (big data) Adaptor Adaptor Adaptor Net Business Integrator External OEM or Supplier Version Adaptor Traceability Management Adaptor ALM Adaptor Adaptor Adaptor Bug tracking Configur ation PLM 13
TERAS によるシステム構築イメージ ( 続き ) 既存システムやオープンツールを中心にシステム構成を検討されるお客様には オープンなトレーサビリティ HUB ツールとしてシステム構築を支援します ALM ALM(Application Lifecycle Management) Traceability Plug-in 61508 Plug-in 26262 Plug-in ETSS Plug-in REST (Representational State Transfer) OSLC (Open Services for Lifecycle Collaboration) REST OSLC OSLC TRA OSLC SCM OSLC CM OSLC SPM Cloud Microsoft Office Traceability Repository TERAS-TRA Empirical Project Monitor Repository IPA Version Control Repository Subversion Bug Tracking Repository Trac MATLAB/Simulink EA MS Office TERAS 提供予定 オープン提供 サードベンダー提供予定 オープン / サードベンダー提供予定 14
今できること V1 15
TERAS-V1 機能概要 ~ 既存環境にトレーサビリティを導入 ~ TERAS-V1 では トレーサビリティ基本機能を中心に提供します 異なる設計間の対応関係を管理します 品質確保や安全規格認証への対応策となります カバレッジ確認対応関係を確認設計のモレヌケ防止! 影響分析変更時の影響範囲検討漏れを防止! 16
TERAS-V1 機能詳細 ~ カバレッジ確認と影響分析 ~ カバレッジ確認 上流と下流それぞれに対応関係を確認 判定し 設計のモレヌケを防止します 影響分析 変更時の影響範囲を上流と下流それぞれに検討します 要求 要件設計実装試験運用 エクスポート 登録された要素のリンク情報をマトリクス等で出力します 要求 要件設計実装試験 Doc1 Doc2 Mdl1 Mdl2 Mdl3 Cd1 Cd2 Doc3 要求 要件設計実装試験運用 17
他システムとの連携イメージ (OSLC) OSLC に対応します ALM ツール向けの標準 IF である OSLC に準拠した API を提供しますので 他ツールとも柔軟に連携できます http://open-services.net/ IBM Jazz OSLC 対応ツール 18
TERAS V1 イメージ ジャンプ機能などの I/F Client Server(DB のみ ) TERAS Client Plugin TERAS TRA JDBC トレーサビリティ情報 DB Office Importer PDF TERAS V1 ではトレーサビリティ機能を提供 成果物間リンク ファイル単位要素単位 Office(Word, Excel, PowerPoint), PDF カバレッジ確認影響範囲分析 エクスポート ( 例 : トレーサビリティマトリクス出力 ) 19
TERAS V2 イメージ iteras 機能強化 性能改善 トレーサビリティ情報 DB TERAS Client Plugin Office MATLAB/Simulink( プロト ) EA iteras Importer TERAS(OSLC) I/F TERAS SCM Service Platform TERAS SVN PDF TERAS V2 = V1の機能 +ツール連携, 機能強化 REST 対応 (OSLC 化 ) Subversion 連携プラットフォーム基盤機能 認証 ユーザ管理 共通基盤等 トレーサビリティ管理機能の強化 差分影響範囲検索 タブベースリンク ( 自動リンク ) 等 成果物間リンク ( 要素単位の強化 ) MATLAB/Simulink, EA 性能 品質改善 FD( 基本機能 ) 認証 プラグイン管理など 20
TERAS のコンセプト 既存資産をそのまま活用 オーサリングツールとトレースリポジトリの分離 トレーサビリティの差分更新 既存環境をそのまま活用 文書は Subversion で今まで通り管理 21
オーサリングツールとトレースリポジトリの分離 Word や Excel など 既に普及している文書形式を尊重します これまで要件や仕様をWordやExcel 等で記述してきた開発者は そのままWordやExcelで記述してください TERAS TRA はWordやExcel 等の文書を解析し その構造とテキストを取り出します TERAS TRA は文書そのものを取り込みません 対応関係だけを記録します ファイルそのものは取り込まない 対応関係は TRA が記録 データの構造のみ 22
トレーサビリティの差分更新 取り込み元文書が 正 です 取り込み後も 文書のメンテナンスは Word や Excel 等で行ってください TERAS TRA にとってトレーサビリティの管理対象は あくまで文書そのものです 独自の文書エディタは提供しません 更新した文書を TERAS TRA に取り込むと差分だけが更新されます 既存のリンク情報はそのまま引き継がれますので 差分に関するトレーサビリティ情報の部分だけをメンテナンスしてください これまで通り Word や Excel で仕事ができる トレーサビリティだけ TERAS で 23
文書は Subversion で今まで通り管理 すべてを新しいツールの流儀に合わせる必要はありません TERAS TRA は構成管理や変更管理などを含みません Subversion や Redmine 等 使い慣れた他の管理ツールと組み合わせて使うことができます トレーサビリティは TERAS で 版管理はこれまで通り 24
TERAS のメリット 開発に関わるすべてのドキュメント間でトレーサビリティを取ることができる 従来から使用していたツール とくにソフトウェア技術者がよく利用するオープンツールに対応して トレーサビリティ管理が行える (SubversionやTRACなど ) オープンな仕様 (REST/ OSLC/ O-Data/ G-Data) なので 他の市販 内製ツールのプラグインが作りやすいクラウド対応により グローバルサプライチェーンに対応する 国プロによる基本プラットフォームの無償化 ( 拡張プラットフォームは有償 ) 3 年間 (2011~2013 年度 ) は無償評価が可能 ( 実証評価会員 ) セミナー コミュニティへの参加 プラットフォーム プラグインツールへの要望の提出 25
ロードマップ 2011 2012 2013 2014 2015 イベント TERAS 設立 METI 公募開始 METI 公募報告 ( 審査 ) METI 公募報告 ( 審査 ) METI 公募最終報告 補助事業枠 ツール P/F( 無償 ) ハ ーシ ョン 1 開発 ツール P/F( 無償 ) ハ ーシ ョン 2 開発 ツール P/F( 無償 ) ハ ーシ ョン 3 開発 TERAS Ver.1 可変登録種別 実証評価対応 民間枠 プラグインツールハ ーシ ョン 1 開発 ツール P/F( 有償 ) ハ ーシ ョン 1 開発 プラグインツールハ ーシ ョン 1 開発 プラグインツールハ ーシ ョン 2 開発 ツール P/F( 有償 ) ハ ーシ ョン 2 開発 プラグインツールハ ーシ ョン 2 開発 プラグインツールハ ーシ ョン 3 開発 ツール P/F( 有償 ) ハ ーシ ョン 3 開発 プラグインツールハ ーシ ョン 3 開発 TERAS Ver.2 REST / OSLC 対応 プラットフォーム j 化 Subversion 連携 実証評価対応 TERAS Ver.3 Jaspar ReqIF 対応 クラウド対応 実証評価対応 実証評価 ハ ーシ ョン 1 実証評価 ハ ーシ ョン 2 版実証評価 ハ ーシ ョン 3 版実証評価 事業 * ハ ーシ ョン 1 版ツール事業ハ ーシ ョン 2 版ツール事業ハ ーシ ョン 3 版ツール事業 ** 26
実証評価事業 実証評価会員へ TERAS システムと必要情報を提供しながら導入成果を出すための支援を行う TERASが開発する オープンなトレーサビリティP/F についての開発仕様の公開 およびトライアルシステムの提供 必要に応じて各種アドバンスサービスの提供 ( コンサルティング SI カスタマイズ クラウド環境構築 等 ) 導入成果を確実に出すための 機能安全やALM 構築に関する情報 および情報交換の場の提供 TERAS 開発側へ実証評価活動から得られた情報をフィードバックし TERASの拡張 改善につなげる P/FやプラグインI/Fに関する各社要望 トライアル評価結果から得られた改善点 改善要望 27
実証評価参加のおさそい ワークショップ ( セミナ + 情報交換会 ) を開催していきます 多くの皆様の参加をお待ちしております TERAS って何が出来るの? 全員参加 実証評価参加企業数 : 47 社 (2012 年 11 月現在 ) 開発部門 システム導入 管理部門 研究機関 機能安全規格クリアするには何すればよいのか? ソリューションプロバイダ 第三者検証機関 既存ツールも活用しながら ALM 構築するには? 28
TERAS が目指す安心 安全 心地よい社会 開発ライフサイクル実装要求保守 クレーム 利用者 利用品質 ユーザモデル 安心満足 設計 検証 つなげる 広がるトレーサビリティ 自動車 ソフト 住宅 街 メカ エレキ 産業 技術 29
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