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平成24年度 第1回認定事業者

6次産業ガイドブック表1

第 6 節農業の高付加価値化等の推進 表 農業生産関連事業の年間総販売金額の推移 平成 22 年度 (2010) 23 (2011) 年間総販売金額 計 農産物の加工 農業経営体 農協等 計 農産物直売所 農業経営体 農協等 観光農園 ( 単位 : 億円 %) 農家レストラン等 16,5

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山形県米粉利用拡大プロジェクト

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沖縄県 生食用パインアップル産地の育成とブランド化 活動期間 : 平成 23 年度 ~ 継続中 1. 取組の背景国産パインアップルは 沖縄県の本島北部地域及び石垣島で生産が行われており 土壌酸度が低い酸性土壌の地域で栽培が行われてきた 生産された大部分は缶詰に加工されており 昭和 60 年には生産量

農山性化1 農山漁村の 6 次産業化の考え方 雇用と所得を確保し 若者や子供も集落に定住できる社会を構築するため 農林漁業生産と加工 販売の一体化や 地域資源を活用した新たな産業の創出を促進するなど 農山漁村の 6 次産業化を推進 現 状 農山漁村に由来する様々な地域資源 マーケットの拡大を図りつつ

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食肉製品の高度化基準 一般社団法人日本食肉加工協会 平成 10 年 10 月 7 日作成 平成 26 年 6 月 19 日最終変更 1 製造過程の管理の高度化の目標事業者は 食肉製品の製造過程にコーデックスガイドラインに示された7 原則 12 手順に沿ったHACCPを適用して製造過程の管理の高度化を

数値目標 H29 年 3 月末 H30 年 3 月末 H31 年 3 月末 観光客入込客数 ( 単位 : 千人 ) 大鰐温泉もやし生産者数 ( 単位 : 人 ) 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要本事業は大鰐温泉もやし増産プロジェ

中小企業海外展開支援大綱の改正について

和文表題(13P)あああああ

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3 小売業事例 地元の山ぶどうを使用したワインの販売 ( 差別化商品の開発 ) 13 純米大吟醸を原料にした無添加石鹸の開発 ( 差別化商品の開発 ) 14 生き残りをかけた日本酒の輸出 ( 新たな販売方式の導入 ) 15 地元特産品のきゅうりを使用した酒類の開発 販売 ( 差別化商品の開発 ) 1

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6 学校給食での地場産物活用に当たっての課題 学校給食における市町村産食材等の利用に関する調査 において 市町村に対し 学校給食で地場産物の活用を促進する上での課題について 市町村産食材と道産食材について それぞれ伺ったところ 次のような結果となりました 学校給食への地場産食材利用促進上の課題 関係

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問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

今年で記念すべき第 10 回目の開催を迎えた 地方銀行フードセレクション では 新企画として アトリウムを使用しての 新商品展示コーナー や 昨年よりも拡充して開催された 事前エントリー制個別商談会 等を実施し 出展社 バイヤーから嬉しいお声を多数いただくことができました 日本はそれぞれの地方が持つ

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個別の農産物など産業製品は市外への流通経路は確立しているが 市 内への流通が少なく 市民が地域の産業の素晴らしさを実感できておらず 地産地消が進んでいない 4-2 地方創生として目指す将来像本市特産物の産地である中山間地域では高付加価値のついた農産物を生産し 流通ルートの確保による農業収入の増加が図

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農業指導情報 第 1 号能代市農業総合指導センター環境産業部農業振興課 発行平成 26 年 4 月 25 日二ツ井地域局環境産業課 確かな農産物で もうかる 農業!! 農家の皆さんを支援します!! 農家支援チームにご相談ください! 今年度 農業技術センター内に農家支援


HACCP 導入率 ( 参考 ) 平成 27 年度 29% ( コーデックス原則のみ ) 29 年度 30 年度 31 年度 32 年度 33 年度 30% 40% 50% 60% 80% 推進に当たっては 以下を 中間アウトカム目標 として取り組んでいく 1 平成 31 年度までに業界団体による手

少額の資金であれば 融資の可否の判断を迅速に行います < 資金名 : スーパー L 資金 農業近代化資金 ( クイック融資制度 )> 認定農業者等 ( スーパー L 資金 ) 認定農業者等及び一定の要件を満たす集落営農組織 ( 農業近代化資金 ) スーパー L 資金 農業近代化資金について 500

1. 背景 1 2. 位置付け 2 3. 計画の期間 2 4. 計画の基本方針 3 5. 計画の内容 3 6. 基本目標 8

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

2. 県別の生産能力や売上の回復状況 3 県の全体では 生産能力が 8 割以上回復した業者は 4 売上が 8 割以上回復した業者は 2 生産能力が 8 割以上回復した業者は 岩手県では 5 宮城県 4 福島県 2 一方 売上が 8 割以上回復した業者は 岩手県では 4 宮城県 3 福島県 生産能力の

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工者 販売者 もち麦の消費者 そして 地域住民が 地域の振興をもちむぎの恵みと して実感できるような施設とする 数値目標 春日ふれあい会館利用者数 事業開始前 ( 現時点 ) 平成 28 年度 (1 年目 ) 平成 29 年度 (2 年目 ) 平成 30 年度 (3 年目 )

重点戦略事業土地改良事業補助事業 土地改良区が行う土地改良事業 ( 用排水施設の整備等 ) について 農家負担の軽減を図るため 事業費の一部を補助した 土地改良区が行う土地改良事業 ( 用排水施設の整備等 ) について 農家負担の軽減を図るため 事業費の一部を補助する 重点戦略事業基盤整備促進事業

2

農林水産省より 2015 年農林業センサス結果の概要 ( 確定値 ) が公表されましたので 富山県の概要について 次のとおりお知らせいたします 2015 年農林業センサス結果の概要 ( 確定値 ) について ( 農林業経営体調査 富山県分 ) - 農業経営体数が減少する一方 法人化や経営規模の拡大が

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目次 都道府県元機関名ページ名テーマ秋田県秋田県よろず拠点 1 農事組合法人立花ファーム餅菓子製造工程における衛生管理福岡県北九州地区中小プラットフォーム / 北九州商工会議所 2 セレーノ株式会社従業員の目標管理意識の定着化による生産性向上鹿児島県中小地域プラットフォームかごしま / 公益財団法人

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

クリックしてタイトルを入力

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が懸念されている 平成 22 年の就業人口は 15,475 人で 年々減少傾向にある 産業別就業者の構成比は 第 3 次産業就業者が最も高く 56.3% と 5 割を超え 産業構造の 3 次化が進んでいる 一方 第 2 次産業は 28.5% 第 1 次産業は 15.2% と減少傾向にある (4) 農

の差については確認できないが 一般的に定温で流通している弁当の管理方法等についてアンケートにより調査した その結果 大部分の事業者が管理温度の設定理由として JAS 規格と同様に食味等の品質の低下及び微生物の繁殖を抑えることを挙げ 許容差は JAS 規格と同様に ±2 としていた また 温度の測定方

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市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

社会・環境報告書2014 ハイライト

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6 6 大分市 次産業化 農商工連携の 手引き 手引きの内容 1. 商品開発の手引き 1 はじめに 2 商品化できる商品の洗い出しと絞り込み 3 原材料の供給体制 4 試作品づくり 5 原価計算 6 販売戦略 7 販路の拡大 2. 農林水産業の 6 次産業化に係る支援制度について (1) 国の支援制

改 正 平成 17 年 10 月 27 日農林水産省告示第 1616 号 改 正 平成 17 年 12 月 27 日農林水産省告示第 1999 号 改 正 平成 18 年 1 月 11 日農林水産省告示第 26 号 改 正 平成 18 年 2 月 17 日農林水産省告示第 169 号 改 正 平成

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平成22年度         タイトル

3 売れる農産物づくり (1) 農業産出額 目標 評価 755 億円 (22 年度 ) 760 億円 (25 年度 ) 755 億円 A (2) 県オリジナル品種の作付面積 141ha (21 年度 ) 197 ha (26 年度見込み ) 190 ha A (3) オリーブ牛出荷頭数 100 頭

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大分県農業共済組合 大分県農業共済組合作成 収入保険と既存制度の掛金及び補てん金の比較 ( 大分県 ) 品目 : 米 平均収入 100 万円作付面積 83a 単収 504kg/10a シナリオ 1 販売価格が 地域平均で シナリオ 2 販売価格が 個人のみで シナリオ 3 自然災害により 地域全体が

ニュースリリース 農業景況調査 : 設備投資 平成 2 9 年 3 月 24 日 株式会社日本政策金融公庫 農業者の設備投資意欲が過去最高 ~ 生産効率関連の農業機械投資が最多 後継者確保に課題も ~ < 平成 28 年下半期農業景況調査関連 > ( 注 1) 日本政策金融公庫 ( 略称 : 日本公

卵及び卵製品の高度化基準

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書き方 ( 例 ) 別記第 17 号様式 農業生産法人報告書 自 至 平成 年 月 日平成 年 月 日 伊達市農業委員会会長様 平成年月日 主たる事務所の所在地伊達市 町 番地 法人の名称株式会社 代表者氏名 印電話番号 次のとおり農地法第 6 条第 1

商品特性と取引条件 商品名 (1) 展示会 商談会シート 記入日 : 最もおいしい時期 (2) 賞味期限 消費期限 (3) 主原料産地 ( 漁獲場所等 )(4) JAN コード (5) 内容量 (6) 希望小売価格 ( 税込 )(7) 1ケースあたり入数 (8) 保存温度帯 (9) 発注リードタイム

ニュースリリース 食品産業動向調査 : 景況 平成 3 1 年 3 月 2 6 日 株式会社日本政策金融公庫 食品産業景況 DI 4 半期連続でマイナス値 経常利益の悪化続く ~ 31 年上半期見通しはマイナス幅縮小 持ち直しの動き ~ < 食品産業動向調査 ( 平成 31 年 1 月調査 )> 日

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はじめに 個人情報保護法への対策を支援いたします!! 2005 年 4 月 個人情報保護法 全面施行致しました 個人情報が漏洩した場合の管理 責任について民事での損害賠償請求や行政処分などのリスクを追う可能性がござい ます 個人情報を取り扱う企業は いち早く法律への対応が必要になります コラボレーシ

科目3 6次産業化実践論

流拠点としての那覇空港を備えており 沖縄県への物流を確立することにより本市農産物の輸出の可能性が広がることが期待できること さらには年間 790 万人の観光入込客数があり そのうち 160 万人が外国人であることから 今後のインバウンドの増加を見込んだPRを実施する場所として効果的であると考えている

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規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

東部地域の農業 農地の復旧 復興スケジュール 平成 23 年度平成 24 年度平成 25 年度平成 26 年度平成 27 年度 市復興ビジョン 復旧 再生期 発展 創出期 仙台の復興 仮設ポンプ設置 基盤整備対策 がれき撤去 排水機能復旧 ( 排水ポンプ場 排水路の改修等 ) 堆積土砂の除去 除塩事

求人票:リクルートスタッフィング様

連携 共同実施市区町村 所沢市 所沢商工会議所 本市においては 新規創業ビジネスプランコンペや所沢商工会議所と連携した創業支援セミナー等を実施してきたが 本計画により この取組を強化 体制整備し 平成 26 年 ~28 年度にかけて 150 件の創業者を輩出する 具体的には 所沢市による 新規創業ビ

賛同企業が提供するフィールドのイメージ 資料 年 11 月 20 日 大阪ガス株式会社 ハグミュージアム ( 外観 内観 ) 株式会社タブチ 本社工場 ( 外観 内観 ) 日立造船株式会社 先端情報技術センター ( 外観 内観 ) 以上

PROFILE

福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律 について <1. 特定復興再生拠点区域の復興及び再生を推進するための計画制度の創設 > 従来 帰還困難区域は 将来にわたって居住を制限することを原則とした区域 として設定 平成 29 年 5 月復興庁 地元からの要望や与党からの提言を踏まえ 1 帰還困難区

HACCP 自主点検リスト ( 一般食品 ) 別添 1-2 手順番号 1 HACCP チームの編成 項目 評価 ( ) HACCP チームは編成できましたか ( 従業員が少数の場合 チームは必ずしも複数名である必要はありません また 外部の人材を活用することもできます ) HACCP チームには製品

1 課題 目標 山陽小野田市のうち 山陽地区においては 5 つの集落営農法人が設立されている 小麦については新たに栽培開始する法人と作付面積を拡大させる法人があり これらの経営体質強化や収量向上等のため 既存資源の活用のシステム化を図る 山陽地区 水稲 大豆 小麦 野菜 農業生産法人 A 新規 農業

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中小企業等経営強化法の概要

2 活動方針 (1) 市町村との連携県同行のもと 全市町村を巡回するなどにより 県が示した市町村毎の目標面積の達成に向けた意見交換等を行います 特に 重点実施地区においては 広域振興局 市町村 農業委員会等からなる 地域推進チーム (3の事業推進体制参照 ) と課題や対応方向等の情報を共有し 課題を

2

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号 ) を島根県しまねブランド推進課長 ( 以下 課長 という ) に提出する 3 県は 登録申請書の提出があった場合 登録申請書の内容審査及び登録申請者との面談等により登録の可否を判断し 適当と認められた場合はアドバイザーとして委嘱 登録する 2 アドバイザーの登録期間は 委嘱の日から当該年度の

資料 3 ー 1 環境貢献型商品開発 販売促進支援事業 環境省市場メカニズム室

平成 29 年度 事業計画書

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はじめに は 日本中の中小企業が今よりもっと容易に海外進出を果たす為の仕組みづくりとして 海外進出コンソーシアムを結成します このコンソーシアムは 当社と大手貿易支援企業のパートナー関係を中核とし 貿易に関して得意分野を持つ企業とのコラボレーションにより構成されます Copyright(C) 201

飛騨牛だけじゃない 奥飛騨温泉郷で育てた 飛騨サーモン のブランド化 株式会社穂高養魚場 所 在 地 岐阜県高山市 代 表 者 代表取締役 櫻井 聡 取組内容 養殖したマス イワナを活用した加 特徴 工品を製造し お土産商品として地域 の旅館等で 雇用者数 8名 売上高 194万円 加工品 URL

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Transcription:

地域支援機関等サポート事業 第 2 回 < 事例にみる > 地域加工食品開発 販路支援のポイント 第 1 回では 地域加工食品開発における課題と解決の方向性 と題して地域加工食品開発の課題解決や支援者の関わり方 そして新商品開発の基本ステップについて記述しました 第 2 回では 地域加工食品の開発 販売支援事例をもとに 地域加工食品開発 販路支援の実践的ポイントをご紹介していきます それぞれの事例は 取り巻く環境 事業者の組織能力や事業規模 開発された商品の売上や地域への波及効果の状況 支援の状況などが異なります 各事業者の努力と工夫に加え 連携事業者やそれを支える地域住民などの様々な要因が複雑に絡み合いながら進められています 今回は6 次産業化認定を通した地域での連携支援事例についてご紹介します 事例テーマ 6 次産業化認定を通した地域での連携支援 ( 有 ) まごころ農場 ( 青森県弘前市 ) 1

地域加工食品の開発 販路支援 第 2 回 事例にみる地域加工食品開発 販路支援のポイント < 事例テーマ >6 次産業化認定を通した地域での連携支援 1 事業概要 ( 有 ) まごころ農場は 代表者である斎藤靖彦氏が 平成元年に JA を退職し独立した法人である 当初は 100 坪のハウスでミニトマトの水耕栽培を開始した 平成 5 年ごろから事業が軌道に乗り始め その後毎年ハウスを増設していった 平成 12 年ごろになると トマトの価格が不安定なことをなくすためトマトの色を増やすことで他社にないトマトの開発を模索しはじめた 平成 17 年には新しい栽培施設を導入 米国からトマトの種を輸入してミニトマトの品種多様化に本格的に取り組んだ その結果 様々な品種の大玉トマトやミニトマトを栽培し その中から販売できる品種を選定するようになった 現在では定番の赤いミニトマトは弘前市内の市場や農協に卸しており カラフルなトマトは卸売業者を通じてホテルやレストランに直送し 事業の安定化を図ってきている 平成 23 年には 6 次産業総合化計画の認定を受け 農産物の多機能加工工場を設置し これまで自社で製造 販売してきたミニトマトジュース ミニトマトジャムに加えて 地域の特色ある農産物 ( 毛豆 ( 青森県内で栽培されている在来種の枝豆 ) ホウレンソウなど ) を使って 更に加工度の高い自社ブランド商品 ( ドレッシング レトルト食品 ゼリー ジェラート ) 及び業務用の 1 次加工 ( ピューレ パウダー ) を開発している 平成 24 年度からは 津軽の桃 の地域ブランド化に取り組んでいる地元の津軽みらい農業協同組合との連携で 桃の規格外品を 1 次加工し 地域内外の食品事業者への販売を開始した 地元の食酢メーカーの新製品に採用されたほか 洋菓子店のロールケーキ等のスイーツ 飲食店のソフトクリームや冷静スープなどに使用されて各所で好評を得ている このように自社ブランドの加工品の他に地域の農産物等の 1 次加工の基地として事業拡大を続けている 色彩豊かな 17 類のミニトマトを栽培 トマトジュース トマトジャム カラフルトマトゼリーなどの製品群 2

地域加工食品の開発 販路支援 第 2 回 事例にみる地域加工食品開発 販路支援のポイント < 事例テーマ >6 次産業化認定を通した地域での連携支援 2 支援の経緯 弘前市役所 商工振興部では 食関連の支援専門家である加藤哲也氏を食産業マネージャーとして招聘し 数年前から地元の企業の経営支援を行っている 加藤氏とまごころ農場の斎藤社長は 以前から様々な会合で顔を合わせる間柄であった 当初は挨拶程度で済ませていたが ある時齋藤社長から加藤氏に事業での相談があった 内容は 自社で生産している農産物の加工を本格的に進めたいとのことであった 加藤氏は当時から始まっていた 6 次産業総合化計画 の認定を受けて 事業構想実現のために加工工場建設をしてはどうかとの提案を行った 加藤氏の対応に信頼を抱いていた斎藤社長は 6 次産業化プランナーでもある加藤氏の支援のもと計画の作成に取りかかり 平成 23 年 6 月青森県では初めての第 1 回目の認定を受けた そして工場建設に向けて弘前市役所から継続的な支援を受けて 平成 23 年度 6 次産業化推進整備事業 を活用して農産物の多機能加工工場を建設した 弘前市役所担当主査笹田哲文氏 加藤氏 ( 左 ) からフォローアップ指導を受ける斎藤社長 ( 中 ) と加工場の斎藤早希子所長 ( 右 ) 農産物多機能加工工場外観 農産物多機能加工工場内部 3

地域加工食品の開発 販路支援 第2回 事例にみる地域加工食品開発 販路支援のポイント 事例テーマ 6次産業化認定を通した地域での連携支援 農家が食品加工に取り組むには 先ずは農産物 特に規格外品の 1次加工 を行うこと から始めるのが良いというのが加藤氏の考えである 1次加工品にはカット ペースト化 シロップ煮 乾燥などがあり これら1次加工された農産物は様々な料理や加工食品の中間 原料として飲食店や宿泊施設 給食業者 食品加工業者などに販売することができる また 農家自らが最終加工してジャムやドレッシング レトルト食品等に仕上げることもできる また 1次加工品は 例えばペースト品なら冷凍で 粉末品なら常温で1年間程度の長い賞 味期限を確保できることが多く 農家にとって1次加工品や最終加工品の販売活動が通年化 できるメリットは非常に大きい 前述の津軽みらい農業協同組合との連携も弘前市役所のコーディネートでまごころ農場と のマッチングが成功したものといえよう 桃の加工を受託して桃の1次加工品を製造し そ れを食酢メーカーに提案して新製品に採用していただいたり 様々な用途が地域で広がって おり 農商工連携が有機的に行われている 1次加工品を活用した製品が販売されている JAふれあいステーション アグリアス 桃1次加工品を使った もも酢 津軽の桃 販売コーナー 好評の ももソフトクリーム 発行 中小機構 支援機関サポート課 無断転載 複製を禁ず 4

地域加工食品の開発 販路支援 第2回 事例にみる地域加工食品開発 販路支援のポイント 事例テーマ 6次産業化認定を通した地域での連携支援 3 支援スキーム 弘前市役所では 外部専門家である食産業マネージャーと担当職員が市内の中小企業者や 農家の相談を随時受けつけている 担当職員は必要があれば相談先に出向き 相談者の課題 をヒアリングして食産業マネージャーが出勤する日に詳細を報告している 報告を受けた食 産業マネージャーは 絞り込まれた課題解決が明確になっているので密度の高い支援を行う ことができる 本支援案件の特徴として 支援先である(有)まごころ農場での加工設備導入を通じて同社 の6次産業化支援ばかりでなく 地元農家で栽培される農産物の規格外品を委託加工すると いう面的な支援がなされている点が地域支援の広がりを見せている また 地域で造られたものは地域で消費する という地産地消の販売ルートを中心とした 流通網が確立されており 地域での生産から消費までの支援スキームが構築されている 支援スキーム図 弘前市役所 地元農家 商工振興部 アドバイス 経営支援 加工原料提供 加工委託 HPで加工品販売 (有)まごころ農場 相談 農産物生産 加工品販売 加工 直売 1次加工品販売 連携 1次加工品 提供 加工委託 1次加工品販売 津軽みらい 農業協同組合 連携 地元食酢メーカー 地域内外の 食品メーカー 製品販売 JA直売所等 スーパー 土産店等 流通小売業 販売 販売 消費者 発行 中小機構 支援機関サポート課 無断転載 複製を禁ず 5

地域加工食品の開発 販路支援 第 2 回 事例にみる地域加工食品開発 販路支援のポイント < 事例テーマ >6 次産業化認定を通した地域での連携支援 4 支援のポイント 地元在住の食の専門家である加藤氏が 単なるアドバイスではなく支援企業と一緒になって事業を考えていくスタンスで支援を行っており 高い信頼関係が構築されている 個別具体的な支援は勿論のこと 何かあれば相談できる 相談役としての役割が有効に働いている 弘前市役所の支援担当 笹田氏が密度の高いフォローアップ支援を行っており 支援者から絶えず相談を受ける体制となっており 食産業マネージャーである加藤氏の支援には必ず同行して支援内容を把握している 加藤氏のアドバイスは 農家単独の 6 次産業化の視点に留まらず 地域の 6 次産業化 の視点で行っており 個社支援から地域活性化に広がりを見せている 事業計画策定の支援過程において 補助金等外部資金の活用法について的確にアドバイスし 支援企業の資金負担を低減している 商品開発の段階で支援企業単独の製品というカテゴリーに固執せず 1 次加工品開発という発想も組み入れて開発を進めている 農家の 6 次産業化には 今まで経験のない製造ライン構築や品質管理等様々な課題があるが 加藤氏のアドバイスを斎藤社長が受け入れ それをご自分できっちりと実践している 加藤氏が 斎藤社長のご息女である加工場 斎藤所長に販売促進 ( デザイン等 ) の勉強の場を首都圏でアレンジして自社内で新製品完成までの工程を完結できるようにしている 以上 今回は農家の皆さんの 6 次産業化を通して 地域事業者との連携を推進している事 例を紹介しました 次回も支援事例を通して地域加工食品開発 販路支援の実践的ポイント をご紹介していきたいと思います 制作著作 独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援部支援機関サポート課 作成担当髙橋順一 ( 平成 23~26 年度全国支援ネットマネージャー ) 地域支援機関等サポート事業ホームページ http://www.smrj.go.jp/keiei/chiikiryoku/index.html 6