ケーブルテレビの現状 ( 日本 ) わが国におけるケーブルテレビの普及状況をみると 2 年 3 月時点で全世帯の 37.2% に普及しているものの ケーブルテレビによる多チャンネル放送視聴世帯に限ると 同 5.9% といまだ限られたものとなっている 今後は BS デジタル放送や 11 度 CS デジタル放送など競合するメディアが一層充実する予定であり 家庭と外部をつなぐ情報通信ネットワークで支配的な地位を獲得するため 更なる競争激化が予想される ケーブルテレビは 基本的に加入者を獲得する前にヘッドエンドや伝送路などの設備を整備する インフラ先行型の事業であるため 開業してから一定水準の加入者を獲得するまで事業者の負担が重い 93 年度以降の業界全体の収支動向をみると 売上高は着実に増加しているものの 損益的には赤字決算が続いている 同時期における事業者別の経営状況をみると 単年度収支が黒字決算となった事業者数は増加しているものの 99 年度時点で全体の 7 割強が繰越欠損を抱えている状態であり 依然として多くの企業が厳しい経営環境におかれているとみられる 日本のケーブルテレビの普及状況 日本における多チャンネル放送を行うケーブルテレビ (2 年 3 月 ) (355 局 ) の普及状況 (2 年 3 月 アンケート調査 ) 2.% 自主放送を行うケーブルテレビ 5.9% 11.8% 多チャンネル加入世帯 再送信のみ ケーブルテレビを利用していない世帯 17.2% 再送信のみを行う共聴施設 ホームパス外 58.4% 23.9% ホームパス内 未加入世帯 62.8% ケーブルテレビを利用する世帯 (37.2%) ( 出所 ) 総務省 ケーブルテレビの現状 放送ジャーナル社 CATV データマップ 2 より作成 ホームパス (42%) 日本のMVPDs( 多チャンネル放送業者 ) 総契約数に占める 自主放送を行うケーブルテレビの施設累計 加入累計 各サービスの割合 及びケーブルテレビ設備投資額の推移 ( 年月 ) ケーブルテレビ CSデジタル放送 1,4 ( 施設 万世帯 ) 95/3 [99 万件 ] 1.% 1,2 設備投資額 ( 右目盛 ) 施設累計 96/3 1.% 1, [122 万件 ] 加入累計 97/3 87.% 13.% 8 [181 万件 ] 98/3 6 68.9% 31.1% [287 万件 ] 4 99/3 62.7% 37.3% [377 万件 ] 2 2/3 54.6% 45.4% [511 万件 ] 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 2 % 2% 4% 6% 8% 1% ( 年度 ) ( 注 ) 設備投資額は 引込端子数 ( 伝送路と加入者宅を繋ぐ端子 ) が ( 注 ) [ ] 内は総契約数 1 万以上の施設に限るケーブルテレビ : ホームターミナル設置世帯数 ( アンケート調査 ) CSデジタル放送 : 直接受信契約数 ( 出所 ) 総務省資料より作成 ( 出所 ) 総務省 放送ジャーナル社資料より作成 わが国ケーブルテレビの収支動向わが国ケーブルテレビ事業者の経営状況 ( 億円 ) 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 5 調査対象社数 ( 注 ) 調査対象は 営利目的の事業者で 放送部門に限定 ( 出所 ) 総務省 ケーブルテレビの現状 より作成 ( 出所 ) 同左 311 2,458 2,244 175 93 94 95 96 97 98 99 ( 年度 ) 売上高営業費用経常損益 ( 社 ) 35 3 25 2 15 1 5-5 ( 社 ) 35 3 25 2 15 1 5 311 196 115 93 94 95 96 97 98 99 単年度収支 311 236 75 93 94 95 96 97 98 99 累積損益 ( 年度 ) 黒字赤字調査対象社数
ケーブルテレビの現状 ( 米国 ) こうした日本の状況に対し 米国のケーブルテレビは 2 年 12 月時点で全米テレビ保有世帯の 67.8% の世帯に普及しており わが国の場合と比べて 普及率の点で圧倒的な違いが認められる 米国でここまで普及した理由としては 第一に難視聴地域が多く ケーブルテレビが極めて有力な難視聴解消の手段として認知されてきたこと 第二にビデオレンタルなどケーブルテレビと競合する娯楽サービスが本格化する以前に ケーブルテレビ専門番組が登場 発展したことなどが挙げられる 業界全体の売上高をみると 加入増加や 相次ぐベーシック料金の値上げなどによって顧客収入を増やしてきたほか 近年はその顧客基盤をいかして広告収入も拡大させている しかしながら 近年 衛星放送や大手電話会社による多チャンネル放送業への参入など競争圧力の増大を受けて 米国のケーブルテレビ事業者は これまで築いたネットワークをフル活用して様々なサービスを提供する方向にむかっている 具体的には インターネット接続サービスや電話などの通信事業や 双方向サービスなどの提供であり そのために必要な設備の高度化に対しても積極的である 米国のケーブルテレビの普及状況 (2 年 12 月 ) 4.4% ケーブルテレビ普及率の日米比較 8 (%) 7 ( 米国 ) ベーシックサービス 6 27.8% 67.8% ベーシックサービス加入世帯 ホームパス内の未加入世帯 ホームパス外 5 4 3 2 1 ( 日本 ) 自主放送を行うケーブルテレビ + 共聴施設 ( 出所 )NCTA Cable Television Industry OVERVIEW 2 より作成米国のケーブルテレビの施設数 加入世帯数 ( 施設 ) ( 百万契約 ) 12, 8 7 73 76 79 82 85 88 91 94 97 2 ( 日本 ) 自主放送を行うケーブ ( 日本 ) 多チャンネル放送を ( 年 年度 ) ルテレビ 行うケーブルテレビ ( 注 ) 米国は 対テレビ保有世帯数比 ( 各年 12 月時点 ) 日本は 対基本台帳世帯数比 ( 各年 3 月時点 ) ( 出所 ) 総務省 放送ジャーナル社 NCTA 資料より作成 米国のケーブルテレビの顧客収入の推移 ( 億ドル ) 5 9, 6 4 その他 ペイ収入 ベーシック収入 421 3 6, 4 2 3, ベーシック累計 ( 右目盛 ) 2 ペイ累計 ( 右目盛 ) 施設累計 75 77 79 81 83 85 87 89 91 93 95 97 99 ( 出所 )NCTA 資料より作成 ( 暦年 ) 1 8 82 84 86 88 9 92 94 96 98 2 ( 出所 )NCTA 資料より作成 ( 暦年 ) 米国のケーブルの平均月額料金の推移 ( ドル / 月 ) '96 自由化 3 '92 再規制 28.92 25 2 '84 自由化ベーシック 15 1 ペイ 8.4 5 8 82 84 86 88 9 92 94 96 98 ( 出所 )NCTA 資料より作成 ( 暦年 ) 米国 MVPDs 総契約数に占める各サービスの割合 ( 年月 ) 95/12 [6,849 万件 ] 96/12 [7,237 万件 ] 97/6 [7,365 万件 ] 98/6 [7,663 万件 ] 99/6 [8,88 万件 ] 2/6 [8,44 万件 ] ( 注 )[ ] 内は総加入契約数 ( 出所 )FCC 資料より作成 ケーブルテレビ DBS その他 87.7% 87.1% 85.3% 82.5% 8.2% 9.7% 3.2% 6.1% 5.9% 6.9% 9.4% 12.5% 15.4% % 2% 4% 6% 8% 1% 6.3% 6.% 5.2% 5.% 4.4%
ブロードバンド接続サービスの比較 ( 日本 ) ブロードバンドの動向 ブロードバンドには CATV インターネット DSL FTTH 次世代携帯電話 FWA 衛星など様々な手段がある ブロードバンドの早期普及を目指して わが国でも技術面 制度面などの様々なボトルネックの解消が進んでおり 市場の急速な成長目当てに多くの事業者による本格的な参入が観察されるなど 21 年はわが国にとって ブロードバンド元年 と呼ぶべき年となろう 当然のことながら ケーブルテレビ事業者にとっても これまで構築したネットワーク網を有効活用できる大きな事業機会が到来しているといえよう 高速インターネットで先行しているとされる米国においては 96 年通信法の改定によって 市内通信 - 長距離通信 電話 - ケーブルテレビ間の相互参入が促進され 大規模な垂直 水平統合が活発化するとともに 将来の成長分野とみられるブロードバンド アクセス網を整備する動きが積極化している 特に CATV インターネットと DSL がともに目覚ましい成長を続けている 一方 わが国のブロードバンド接続は まだ本格的に始まったばかりであり 現時点では CATV インターネットが先行している DSL は 公正な競争実現のための条件整備など事業環境が整い 今後急速に成長していくことが予想されている FTTH は 速度の面で圧倒的な優位性を持つものの 所要投資額が巨額にのぼるとみられることから 全国規模での早期普及という観点ではやや不透明である 但し 首都圏など一部地域では既にサービスが始まっており 今後の動向が注目されている CATV FWA < 参考 > 名称 インターネット ADSL 光ファイバ (P-MP 方式 ) *1 フレッツ ISDN *2 アクセス網 ケーブルテレビ網 市内電話網 ( 銅線 ) 光ファイバ網 無線 (22/26/38GHz 帯 ) ISDN 網 エリアの条件 ケーブルテレビ網内に限られる ( 参入事業者は 21 年 3 月現在で 21 社 ) 電話局からの距離制限 光収容エリアでの制限など 光ファイバ網内に限られる 基地局からの距離制限あり ( 半径 1km) 集合住宅への導入 ( 流合雑音 改修 ) - ( 改修 ) - - ISDNとの関係 - ( 干渉問題 ) - - - 下り速度 (128~5kbps ~ (1/1Mbps) (1.5Mbps) (64kbps) 程度 ) (1.5/3/6/Mbps) アクセス網の利用形態 共有 占有 共有 共有 占有 速度保証 無 無 有 / 無 無 有 サービスエリア (FY) 地方都市 大都市圏 大都市圏 政令都市 県庁所在地 同 (1FY 見込 ) 地方都市 県庁所在地 大都市圏 政令都市 地方都市 備考 他のサービスとのパッケージ提供可能 ネットワークの全国整備に時間がかかる 設備設置期間が短い 主に企業向けサービス ( 家庭向けとしては設備が割高 ) ( 注 ) *1 :Point to Multiple Point の略 FWA 方式の一つ 1 つの基地局から半径約 1km 以内の複数のユーザで 1Mbps 程度の回線を共有する方式 他には 2 地点間を 1 対 1 で接続する P-P( ポイント ツー ポイント ) 方式もある *2 :2kbps 以上を一つの目安にすれば フレッツ ISDN はブロードバンドとは呼べない *3: 各社の公表資料より ( 出所 ) 各種資料より作成 NTT による提供 ISDN ユーザーを取り込みやすい ブロードバンド接続サービスの月間料金と下り速度 ( 日本 ) ( 千円 / 月 ) 2 FTTH (NTT) 15 北米 ( 米国及びカナダ ) のCATVインターネットとDSLの加入累計 ( 万契約 ) 6 CATV DSL 4 2 1 5 フレッツ ADSL DSL のイメージ FTTH (Usen) CATV インターネットのイメージ 1kbps 1kbps 1Mbps 1 1Mbps 1 1Mbps 1 ( 対数目盛 ) 12 /99 3 /2 6 9 12 ( 年月 ) わが国のインターネット接続サービスの利用者数累計 ( 手段別 ) 4, 3, 2, ( 万契約 ) 携帯電話電話回線等 CATV( 右目盛 ) DSL( 右目盛 ) ( 万契約 ) 4 3 2 1, 1 12 /99 3 /2 6 9 12 3 /21 ( 出所 )Kinetic Strategies 社資料 TeleChoice 社資料 総務省資料より作成 ( 年月 )