要約 * オーストラリアの LNG プロジェクト動向と日本への影響 戦略 産業ユニット電力 ガス事業グループ研究員鈴木幸祐 ( 現 静岡ガス株式会社 ) 1. はじめに 1
2. 日豪関係の現状 (1) 政治 経済関係 図表 1 オーストラリア貿易相手国 ( 上位 10 カ国 ) < 輸出 > < 輸入 > ( 単位 :100 万豪ドル,%) 順位 国名 金額 シェア 順位 国名 金額 シェア 輸出総額 138,861 100.0 輸入総額 155,797 100.0 1 日本 28,393 22.6 1 米国 21,401 13.7 2 中国 16,064 13.4 2 中国 21,344 13.7 3 韓国 10,938 7.8 3 日本 17,113 11.0 4 米国 9,263 7.3 4 ドイツ 8,704 5.6 5 ニュージーランド 9,001 6.0 5 シンガポール 8,646 5.5 6 インド 6,976 3.8 6 英国 6,186 4.0 7 台湾 5,519 3.1 7 マレーシア 6,086 3.9 8 英国 4,969 3.1 8 ニュージーランド 5,399 3.5 9 タイ 4,127 2.5 9 韓国 5,197 3.3 10 シンガポール 3,960 2.2 10 フランス 4,995 3.2 ( 出所 )JETRO ホームページ 2
図表 2 日本貿易相手国 ( 上位 10 カ国 ) < 輸出 > < 輸入 > ( 単位 :100 万米ドル,%) 順位 国名 金額 シェア順位 国名 金額 シェア 輸出総額 598,215 100.0 輸入総額 518,638 100.0 1 米国 134,889 22.6 1 中国 109,105 21.0 2 中国 80,340 13.4 2 米国 64,497 12.4 3 韓国 46,880 7.8 3 サウジアラビア 28,739 5.5 4 台湾 43,910 7.3 4 アラブ首長国連邦 25,324 4.9 5 香港 36,132 6.0 5 オーストラリア 24,609 4.7 6 タイ 22,601 3.8 6 韓国 24,536 4.7 7 ドイツ 18,761 3.1 7 インドネシア 20,937 4.0 8 シンガポール 18,545 3.1 8 台湾 18,187 3.5 9 英国 15,174 2.5 9 ドイツ 17,966 3.5 10 オランダ 13,203 2.2 10 タイ 15,667 3.0 ( 出所 )JETRO ホームページ 図表 3 オーストラリアの対日輸出項目及びシェア 金属及び同製品 6% 非金属鉱物製品 1% 繊維製品 0% 機械機器 1% その他 4% 食料品 17% ( 内訳 : 肉類 53%) 化学製品 1% 鉱物性燃料 50% ( 内訳 : 石炭 65% LNG 24%) 原料品 20% ( 内訳 : 鉄鉱石 62% 非鉄金属鉱 25%) ( 出所 )JETRO ホームページ (2) LNG プロジェクトにおける関係 3
図表 4 オーストラリアの LNG 輸出先 (2005 年 ) 韓国 7% 台湾 3% インド 1% スペイン 1% 総輸出量 1,141 万トン 2005 年 日本 88% ( 出所 )The LNG Industry 2005 GIIGNL より作成 4
NWS ( トレイン 1~3) ( トレイン 4~5) Darwin ( トレイン 1) Pluto ( トレイン 1~2) Gorgon ( トレイン 1~2) (*1)2015 年からは 92 万 5,000 トン / 年に拡大 図表 5 オーストラリアの LNG 契約 契約量 ( 万トン / 年 ) 契約期間 ( 契約年数 ) 東京電力 118 30 1989~2009~2017(20 年 )(8 年 ) 中部電力 105 50 1989~2009~2016(20 年 )(7 年 ) 関西電力 113 40 1989~2009~2017(20 年 )(8 年 ) 中国電力 111 最大 143 1989~2009~2021(20 年 )(12 年 ) 九州電力 105 70 1989~2009~2017(20 年 )(8 年 ) 東京ガス 79 53 1989~2009~2017(20 年 )(8 年 ) 東邦ガス 23 76 1989~2009~2019(20 年 )(10 年 ) 大阪ガス 79 50 1989~2009~2015(20 年 )(6 年 ) KOGAS 50 2003~2009~2016(6 年 )(7 年 ) 九州電力 50 2004~2026(22 年 ) 東京ガス 107 2004~2029(25 年 ) 東邦ガス 30 2004~2029(25 年 ) 大阪ガス 100 2004~2034(30 年 ) 東北電力 40 2005~2019(14 年 ) 静岡ガス 14 2005~2029(24 年 ) 中部電力 60 2009~2024(25 年 ) 関西電力 50(*) 2009~2023(24 年 ) CNOOC 330 2006~2031(25 年 ) Shell 5 年間で最大 370 万トン 2004~2009(5 年 ) 東北電力 60 2010~2019(9 年 ) 東京電力 200 2006~2023(17 年 ) 東京ガス 100 2006~2023(17 年 ) 東京ガス 150~170 2010~2025 (15 年 +5 年オプション ) 関西電力 175 2010~2025(15 年 ) 東京ガス 120 中部電力 150 2010~2035(25 年 ) 大阪ガス 150 Shell( メキシコ ) 250 2010 年 ~ ( 注 )NWS オリジナルについては 2007 年 2 月までに随時更改された契約分を既存契約分に併記している カタール 10.8% オマーン 1.7% アブダビ 8.9% オーストラリア 17.1% アメリカ 2.4% ブルネイ 10.9% ( 出所 )Asia Gas & Power および各社プレスリリース等 図表 6 日本の LNG 輸入量実績と 2010 年の契約量 2005 年 5,768 万トン アルジェリア 0.1% インドネシア 24.8% マレーシア 23.3% オマーン 3.6% アブダビ 6.0% カタール 8.4% オーストラリア 28.3% ( 出所 )GIIGNL および各社プレスリリース等 2010 年 ロシア 6.2% 7,184 万トン インドネシア 20.4% ブルネイ 8.4% マレーシア 18.9% 5
3. オーストラリアの LNG 供給ポテンシャル (1) 天然ガス確認埋蔵量 図表 7 天然ガス埋蔵量の推移 (Bcm) 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2001 2002 2003 2004 2005 2006 ( 出所 )Natural Gas in the World Cedigaz 6
92.8% 図表 8 オーストラリアの主な堆積盆とガス埋蔵量比率 (2004 年 1 月時点 ) Carnarvon Basin: 58.2% Bonaparte Basin:16.4% Browse Basin :18.2% Perth Basin :0.6% Amadeus Basin:0.1% Cooper-Eromanga Basin:1.3% Otway Basin:1.0% Bowen-Surat Basin:0.2% Gippsland Basin: 3.7% Bass Basin:0.3% ( 出所 ) オーストラリアガス協会資料に Australian Energy-national and state projections to 2029-30 ABARE 2005 年 10 月 P39 の表の数値を追加 (2) 天然ガス生産 LNG 輸出量見通し PJ 図表 9 天然ガス生産 LNG 輸出量見通し 6,000 5343.1 5,000 4884.5 4480.4 4,000 3650.2 3439.9 3204.2 2856 3,000 2396.9 1684.9 1947.5 2,000 1,000 576 1049 天然ガス生産量 (PJ) LNG 輸出量 (PJ) - 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 ( 出所 )Australian Energy-national and state projections to 2029-30 ABARE 2006 年 12 月 7
(3) LNG プロジェクト 図表 10 オーストラリアの既存および新規 LNG プロジェクト プロジェクト オペレーター 建設地点 生産能力 ( 万トン / 年 ) 生産開始 ( 予定 ) 年 Darwin ConocoPhillips Darwin 350 2006 既存 NWS( 第 1~2トレイン ) 500 1989 NWS( 第 3トレイン ) Burrup 半島 250 1992 NWS( 第 4トレイン ) 440 2004 Woodside 建設中 NWS( 第 5トレイン ) 440 2008 末 Pluto Burrup 半島 500-600 2010 末 Browse Browse Basin 700-1,500 2012-14 Sunrise N.A. 700 - 計画中 Gorgon Chevron Barrow 島 1,000 2011 末 Pilbara(Scaborough) BHP Billiton Onslow 600 2011 末 Timor Sea LNG(Tassie Shoal) Methanol Australia ティモール海 300 2011 Ichtys Inpex Browse Basin 600 2012 計 6,210-7,110 ( 出所 )Minerals and Energy(2006 年 11 月 ) ABARE およびヒアリングによる情報 その他各事業者ホームページ等 より作成 4. オーストラリア LNG プロジェクトに関わる主要リスク 8
(1) プロジェクトコスト上昇リスク 図表 11 LNG プロジェクトの EPC コスト (2005 年 ) ( 出所 )Poten & Partners ホームページ 1 掘削リグコスト 9
図表 12 海洋掘削リグの稼働率とコスト指数 ( 出所 )ODS Petrodata 2 鋼材コスト 10
図表 13 鉄鉱石の輸入価格および普通鋼の価格指数 ( 日本 ) 価格指数 (2000 年度 =100) 200.0 180.0 160.0 140.0 120.0 100.0 80.0 60.0 40.0 20.0 鉄鉱石輸入価格 ( 日本 ) 普通鋼の価格指数 ( 輸出ベース ) 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0.5 価格 ( 千円 / トン ) 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 ( 注 ) 鉄鉱石の輸入価格については年ベース 普通鋼の価格指数については年度ベース ( 出所 ) 財務省貿易統計 日本鉄鋼連盟鉄鋼需給統計月報 図表 14 非鉄金属の価格推移 ( 出所 ) 新日本製鐵決算説明会資料 11
3 労働コスト 図表 15 オーストラリア産業別労働コスト指数 (2003 年度 =100) 115 113 111 109 107 105 103 101 99 97 2004 年 3 月 2004 年 6 月 2004 年 9 月 2004 年 12 月 2005 年 3 月 2005 年 6 月 2005 年 9 月 2005 年 12 月 2006 年 3 月 鉱業建設業全産業平均 2006 年 6 月 2006 年 9 月 ( 出所 )Labor Price Index( オーストラリア統計局 ) より作成 (2) 西オーストラリア政府の州内天然ガス確保政策 (Domgas 問題 ) 12
図表 16 西オーストラリア州政府 Domgas 政策の概要 西オーストラリア政府は 十分なガスの供給により西オーストラリアの長期的なエネルギー安全保障及び経済発展を支えることを確約する 西オーストラリアの需要家が 持続的 確実に天然ガスの供給を受けられるように 政府は LNG 処理施設建設のための西オーストラリアの土地へのアクセスを条件に 州内へのガス供給義務について LNG プロジェクトの事業者と交渉を行う 州政府の方針は 州内市場向けに各 LNG プロジェクトから生産量の 15% 相当のガス供給を義務付けることである 当該目標は 州内ガス需要の将来予測と予測ガス埋蔵量及び LNG 生産量を考慮しており これら予測は定期的に見直しを行う 州政府は 州内ガス義務 (gas commitment) を課す方法については ケース バイ ケースで LNG プロジェクトの事業者と交渉を行い 他の供給ソースから義務を履行するなどのオプションも含め 事業者に最大限の柔軟性を提供するための市場メカニズムを考慮する 州内市場に供給されるガス価格については 生産事業者と消費者との間の商業ベースの交渉により決定される ( 出所 )WA Gavoernment Policy on Securing Domestic Gas Supplies 13
図表 17 西オーストラリア政府による州内需要見通し LNG 百万トン 30 25 20 15 10 5 0 2005 2010 2015 2020 2025 2030 ( 出所 )WA Gavoernment Policy on Securing Domestic Gas Supplies をもとに作成 (3) 環境問題 2035 2040 2045 2050 2055 14
図表 18 連邦政府および州政府のプロジェクト管轄区分 ( 例 : 西オーストラリア ) 連邦政府 -P(SL)A 1967 西豪州政府 -P(SL)A 1982 西豪州政府 - 石油法 1967 西豪州政府 - 石油法 1936 ( 出所 ) 西オーストラリア政府ホームページ 15
州政府プロセス EPA に対する概要照会 EPA:Public Environmental Review の評価レベル設定 事業者 :Environmental Scoping Document を提出 Environmental Scoping Document の合意と承認 EPA 評価報告書の作成 公表 州大臣 : 認可声明 図表 19 LNG プロジェクトに係わる環境認可プロセス 連邦政府と州政府の共同プロセス 事業者 : 州 / 連邦共同ドラフト PER の作成 提出 Public review 期間 (10 週間 ) 事業者 : ドラフト PER にパブリック コメントを補足し 最終 PER を作成 Public Appeal 期間 大臣 : 合意の可否 方法について DMA と協議 連邦政府プロセス DEH に対する概要照会 DEH:Public Environmental Report(PER) の評価レベル設定 DEH:PER のガイドライン作成 DEH 評価報告書の作成 連邦大臣 : 認可声明 ( 出所 )Pluto LNG Development Introduction Woodside ホームページ (4) 東ティモールとの領海問題 16
図表 20 ティモール海におけるオーストラリア 東ティモール間の領海問題と CMATS 条約 Greater Sunrise 歳入分配 50:50; ( 最大 100 億米ドルが東ティモールに配分される ) JPDA 歳入分配 90( 東ティモール ):10( 豪州 ) Bayu-Undan 東ティモールが 150 億米ドル相当受取 豪州 東ティモール間中間線 ( 出所 ) オーストラリア外務省ホームページ Fact sheet: Australia - East Timor Maritime Arrangements (http://www.dfat.gov.au/geo/east_timor/fs_maritime_arrangements.html) 等に加筆 5. 主要新規プロジェクトの動向とリスク 17
(1) NWS 第 5 トレイン (2) Pluto 18
(3) Gorgon 19
図表 21 CO 2 除去 圧入方法のイメージ ( 出所 )Gorgon Joint Venture ホームページより (http://www.gorgon.com.au/index.html) 20
(4) Ichthys 21
6. まとめ 22
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