2 抗インフルエンザウイルス薬と異常行動の議論と今後の予定 平成 21 年に取りまとめられた報告書以降の知見を改めて報告書にまとめ 以下の議論がなされた 平成 21 年以降の非臨床研究及び 10 年に及ぶ疫学研究の科学的な知見を総括し 以下の事実から タミフル服用のみに異常行動と明確な因果関係がある

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インフルエンザ定点以外の医療機関用 ( 別記様式 1) インフルエンザに伴う異常な行動に関する調査のお願い インフルエンザ定点以外の医療機関用 インフルエンザ様疾患罹患時及び抗インフルエンザ薬使用時に見られた異常な行動が 医学的にも社会的にも問題になっており 2007 年より調査をお願いしております

( 別添 ) インフルエンザに伴う異常な行動に関する報告基準 ( 報告基準 ) ( 重度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 重度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください ( 軽度調査 ) インフルエンザ様疾患と診断され かつ 軽度の異常な行動を示した患者につき ご報告ください イン

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改訂後 ⑴ 依存性連用により薬物依存を生じることがあるので 観察を十分に行い 用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること また 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により 痙攣発作 せん妄 振戦 不眠 不安 幻覚 妄想等の離脱症状があらわれることがあるので 投与を中止する場合には 徐々に

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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別紙 平成 30 年 11 月日 各医療機関御中 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究班 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究に対する協力のお願いについて 時下益々御清栄のこととお慶び申し上げます さて 標記について 昨年度に引き続き 平成

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別紙 平成 25 年 11 月 1 日 各医療機関御中 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究班 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動の情報収集に関する研究に対する協力のお願いについて 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます さて 平成 25 年度厚生労働科学研究地球規模保健課

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

別紙 平成 29 年 11 月日 各医療機関御中 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究班 インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究に対する協力のお願いについて 時下益々御清栄のこととお慶び申し上げます さて 標記について 昨年度に引き続き 平成

から (3) までの具体的な予定については添付 2 の図のとおりですので申し添 えます

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4 耐性ウイルス添付文書によれば, タミフルを投与した患者の1.4%( 小児では4.5 %) に耐性ウイルス, つまりタミフルが効かないウイルスが出現しています ( 1) また, 後述のように, 乳幼児の場合は18~33% と報告されています ( 4) 2 タミフルの副作用はタミフルが承認されるまで

アビガン錠 200mg に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 アビガン錠 200mg 有効成分 ファビピラビル 製造販売業者 富士フイルム富山化学株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特定されたリスク 頁 重要な潜在

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査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

過去の医薬品等の健康被害から学ぶもの

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朝 1 回内服しているのは 腎臓から分泌される昇圧物質を抑制するアンギオテンシン受容体拮抗薬と血管を拡張するカルシウム拮抗薬の 2 種類でした ( 愛知三の丸クリニックだより ( 平成 30 年 12 月号 ) を参照してください ) 2 種類内服していても血圧が十分に低下しない場合は 別の種類を追

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

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する 研究実施施設の環境 ( プライバシーの保護状態 ) について記載する < 実施方法 > どのような手順で研究を実施するのかを具体的に記載する アンケート等を用いる場合は 事前にそれらに要する時間を測定し 調査による患者への負担の度合いがわかるように記載する 調査手順で担当が複数名いる場合には

医薬品たるコンビネーション製品の不具合報告等に関する Q&A [ 用いた略語 ] 法 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年法律第 145 号 ) 施行規則 : 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 ( 昭和 36 年

医療事故防止対策に関するワーキング・グループにおいて、下記の点につき協議検討する

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

この薬は 細菌感染症には効果がありません この薬を予防に用いる場合は 原則としてインフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者である下記の人が対象となります 高齢の人 (65 歳以上 ) 慢性心疾患の人 代謝性疾患の人 ( 糖尿病等 ) 腎機能障害の人 この薬は 治療に用い

日本医師会作成版を元に北上医師会会員向けに一部修正を加えました ( 以下赤文字及び下線部は 各医療機関の実情に応じて記載 変更する ) 新型インフルエンザ等発生時における診療継続計画 ( 案 ) 医院 本計画は当院 新型インフルエンザ等に関する院内対策会議 により平成 年 月 日作成され たものであ

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改訂内容 ( 部追加 改訂 部削除 ) ビ シフロール 錠, ミラペックス LA 錠 共通 改 訂 後 改 訂 前 2. 重要な基本的注意 2. 重要な基本的注意 (5) レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により 病的賭博 ( 個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず 持続的に

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北里大学病院モニタリング 監査 調査の受け入れ標準業務手順 ( 製造販売後臨床試験 ) 第 1 条 ( 目的 ) 本手順書は 北里大学病院において製造販売後臨床試験 ( 以下 試験とする ) 依頼者 ( 試験依頼者が業務を委託した者を含む 以下同じ ) が実施する直接閲覧を伴うモニタリング ( 以下

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家族の介護負担感や死別後の抑うつ症状 介護について全般的に負担感が大きかった 割合が4 割 患者の死亡後に抑うつ等の高い精神的な負担を抱えるものの割合が2 割弱と 家族の介護負担やその後の精神的な負担が高いことなどが示されました 予備調査の結果から 人生の最終段階における患者や家族の苦痛の緩和が難し

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添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

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症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

医薬品の添付文書等を調べる場合 最後に 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 特定の文書 ( 添付文書以外の文書 ) の記載内容から調べる場合 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 最後に 調べたい医薬品の名称を入力 ( 名称の一部のみの入力でも検索可能

都道府県医師会医療安全担当理事殿 ( 法安 56) 平成 27 年 8 月 5 日 日本医師会常任理事今村定臣 酵素電極法を用いた血糖測定に使用する医療機器及び体外診断用医薬品に係る 使用上の注意 の改訂について グルコース分析装置 自己検査用グルコース測定器及び自動分析装置等並びに血液検査用グルコ

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料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

平成 29 年度定期監査 ( 第 1 回 ) の結果報告に基づき講じた措置内容等 墨田区長 監査委員意見について 監 査 結 果 の 内 容 措 置 内 容 (1) 事務処理の適正化について今回の監査では指摘事項に該当する事例はなかったものの 指導 注意事項の事例については これまでの重ねての指摘に

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9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

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2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

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た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

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して本剤の使用を差し控えること また 小児 未成年者については 万が一の事故を防止するための予防的な対応として 本剤による治療が開始された後は (1) 異常行動の発現のおそれがあること (2) 自宅において療養を行う場合 少なくとも2 日間 保護者等は小児 未成年者が一人にならないよう配慮することに

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Transcription:

抗インフルエンザウイルス薬の安全対策について 資料 1-7-1 平成 30 年 8 月 3 日医薬安全対策課 1 経緯 平成 19 年 タミフル を服用した中学生の転落死 2 例が大きく報道 タミフル服用と異常行動との因果関係は不明だが 異常行動の発現のおそれを医療機関へ注意喚起 併せて 予防的措置として 10 代患者の原則使用差し控え措置を実施 ( 添付文書の警告欄に追記 ) 当時 タミフルの他 リレンザも承認されていたが 転落死がタミフル服用後 に起き タミフルの処方実態が圧倒的に多かったため タミフルのみ措置 平成 21 年 タミフルの服用と異常行動等との関係に関し 安全対策調査会及びその下に設置されたWGにおいて 報告書をとりまとめ タミフルと異常行動との関係に係る明確な結論を出すことは困難とされ タミフルの 10 代患者の原則使用差し控え措置は継続 他の抗インフルエンザウイルス薬 ( リレンザ ラピアクタ イナビル ) は 10 代患者の原則使用差し控え措置は無く 異常行動の発現のおそれに係る注意喚起のみ添付文書の重要な基本的注意欄に記載 タミフルの方がより強い注意喚起が行われている状況 その後 毎年 前年の流行シーズン中の異常行動等の副作用報告状況 疫学調査 の結果等を踏まえ 安全対策の在り方を調査会で審議 タミフルの 10 代患者の原則使用差し控え措置を含めた安全対策措置は継続 一方 約 10 年にわたる知見を踏まえ 抗インフルエンザウイルス薬の安全対策に係る総括的な議論の必要性も指摘 AMED 研究班で 全国の医療機関に対し調査票を送付し インフルエンザ様疾 患と診断され 異常行動を示した患者に関する報告を求め 異常行動の背景に関 する実態を調査 ( 代表 : 川崎市健康安全研究所岡部先生 ) このような経緯を踏まえ 平成 21 年に取りまとめられた報告書以降の知見を整理し 今後の抗インフルエンザウイルス薬の安全対策の在り方に関して 平成 30 年 5 月 16 日及び 7 月 13 日の安全対策調査会にて審議 1

2 抗インフルエンザウイルス薬と異常行動の議論と今後の予定 平成 21 年に取りまとめられた報告書以降の知見を改めて報告書にまとめ 以下の議論がなされた 平成 21 年以降の非臨床研究及び 10 年に及ぶ疫学研究の科学的な知見を総括し 以下の事実から タミフル服用のみに異常行動と明確な因果関係があるとは言えないことが確認された 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無 種類にかかわらず インフルエンザ罹患時には異常行動が発現 タミフル及び他の抗インフルエンザウイルス薬ともに 発現頻度は 10 代と 10 歳未満とで明確な差はない インフルエンザ罹患時に異常行動が発現していることを鑑みれば タミフルを含め 薬剤と異常行動との因果関係の否定も困難であり 因果関係は未だ不明と言わざるをえないが タミフルのみ積極的に 10 代患者の原則使用差し控えの予防措置をとる必要性は乏しい 今後は タミフルの 10 代患者のみに強い注意喚起を継続するのではなく いずれの薬剤の服用時も含め 生命に関わる重度の異常行動については 就学以降の小児 未成年者の男性で報告が多いことを踏まえ インフルエンザ罹患時の患者全般に幅広く異常行動のリスクがある旨の注意喚起を強め より一層医療関係者 保護者への周知徹底を図るべきである その際に 次の懸念を考慮して 全ての抗インフルエンザウイルス薬で 整合性のある注意喚起とするべきである タミフルの 10 代患者のみに強い注意喚起を行う状況は 他の薬剤がタミフルより安全だと誤って理解され 他の薬剤服用者を含むインフルエンザ罹患者に対する異常行動への注意が軽視される懸念 学会のガイドラインでも 重篤な患者等には タミフルの 10 代への投与の必要性が指摘されており 10 代への原則使用差し控え措置を予防的に講じることが 治療機会の損失につながる懸念 以上の議論を踏まえ 以下の具体的な対応について 今冬のインフルエンザ流行シーズンに見直し後の注意喚起が徹底されるよう 準備を進める 1 抗インフルエンザウイルス薬の添付文書の改訂 タミフルの 10 代患者の原則使用差し控え措置の削除 約 10 年にわたる具体的な知見の追記も含め 全ての抗インフルエンザウイルス薬で整合性のある注意喚起への改訂 2 インフルエンザ罹患時の異常行動に関する注意喚起の徹底 日本小児科学会等の協力の下 注意喚起資材を作成 厚労省 HP 関連学会 日本医師会及び日本薬剤師会等の職能団体 製造販売業者 文部科学省等を通じた注意喚起資材の配付 2

添付文書の改訂 タミフル警告 -( 関連記載なし ) 重要な基本的注意 重大な副作用 その他の抗インフルエンザウイルス薬 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず インフルエンザ罹患時には 異常行動を発現した例が報告されている ( 重大な副作用の項参照 ) 異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として 1 異常行動の発現のおそれがあること 2 自宅において療養を行う場合 少なくとも発熱から 2 日間 保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること について患者 家族に対し説明を行うこと なお 転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については 就学以降の小児 未成年者の男性で報告が多いこと 発熱から 2 日間以内に発現することが多いこと が知られている 精神 神経症状 異常行動 ( 頻度不明 ): 精神 神経症状 ( 意識障害 譫妄 幻覚 妄想 痙攣等 ) があらわれることがあるので 観察を十分に行い 異常が認められた場合には投与を中止し 症状に応じて適切な処置を行うこと 因果関係は不明であるものの インフルエンザ罹患時には 転落等に至るおそれのある異常行動 ( 急に走り出す 徘徊する等 ) があらわれることがある ( 重要な基本的注意の項参照 ) リレンザ ラピアクタ イナビル ゾフルーザ アビガン異常行動 ( 頻度不明 ): 因果関係は不明であるものの インフルエンザ罹患時には 転落等に至るおそれのある異常行動 ( 急に走り出す 徘徊する等 ) があらわれることがある ( 重要な基本的注意の項参照 ) アマンタジン意識障害 ( 昏睡を含む )( 頻度不明 ) 精神症状 ( 幻覚 妄想 せん妄 :5% 未満 錯乱 :0.1% 未満等 ) 痙攣 (0.1% 未満 ) ミオクロヌス ( 頻度不明 ) 異常行動 ( 頻度不明 ) 意識障害 ( 昏睡を含む ) 精神症状 ( 幻覚 妄想 せん妄 錯乱等 ) 痙攣 ミオクロヌスがみられることがある このような場合には減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと 特に腎機能が低下している患者においてあらわれやすいので注意すること 因果関係は不明であるものの インフルエンザ罹患時には 転落等に至るおそれのある異常行動 ( 急に走り出す 徘徊する等 ) があらわれることがある ( 重要な基本的注意の項参照 ) 3

重大な副作用 ( 類薬 ) -( 関連記載なし ) ラピアクタ アビガン精神 神経症状 ( 意識障害 異常行動 譫妄 幻覚 妄想 痙攣等 ) ( 現状記載のある 異常行動 を削除 ) 4

医療従事者の皆様へ ( インフルエンザの患者さんへの注意喚起 ) 異常行動による転落等の事故を予防するためのお願い インフルエンザの患者さんでは 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず 異常行動に関連すると考えられる転落死等が報告されています 異常行動 1 就学以降の小児 未成年者の男性で報告が多い ( 女性でも発現する ) 2 発熱から 2 日間以内に発現することが多い ( 異常行動の例 ) 突然立ち上がって部屋から出ようとする 興奮して窓を開けてベランダに出て 飛び降りようとする 人に襲われる感覚を覚え 外に走り出す 突然笑い出し 階段を駆け上がろうとする 自宅から出て外を歩いていて 話しかけても反応しない 変なことを言い出し 泣きながら部屋の中を動き回るなど 事故を防止するために発熱から少なくとも2 日間は 就寝中を含め 特に小児 未成年者が容易に住居外へ飛び出さないために 例えば 以下のような具体的な対策を講じるよう 保護者の方にご説明ください 玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する( 内鍵 チェーンロック 補助鍵がある場合は その活用を含む ) ベランダに面していない部屋で寝かせる 窓に格子のある部屋がある場合は その部屋で寝かせる 一戸建てにお住まいの場合は できる限り1 階で寝かせる ( 参照 ) タミフルと異常行動等の関連に係る報告書 (http://~~) 5

インフルエンザの患者さん ご家族 周囲の方々へ インフルエンザにかかった時は 飛び降りなどの異常行動をおこす おそれがあります ( 特に発熱から 2 日間は要注意!) 窓の鍵を確実にかけるなど 異常行動に備えた対策を徹底してください 異常行動による転落等の事故を予防するためのお願い インフルエンザの患者さんでは 抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず 異常行動に関連すると考えられる転落死等が報告されています 異常行動は 1 就学以降の小児 未成年者の男性で報告が多い ( 女性でも発現する ) 2 発熱から 2 日間以内に発現することが多いことが知られています ( 異常行動の例 ) 突然立ち上がって部屋から出ようとする 興奮して窓を開けてベランダに出て 飛び降りようとする 人に襲われる感覚を覚え 外に走り出す 突然笑い出し 階段を駆け上がろうとする 自宅から出て外を歩いていて 話しかけても反応しない 変なことを言い出し 泣きながら部屋の中を動き回るなど 万が一の転落等の事故を防止するため 発熱から少なくとも 2 日間は 就寝中を含め 特に小児 未成年者が容易に住居外へ飛び出さないために 例えば 以下のような対策を講じてください 玄関や全ての部屋の窓を確実に施錠する ( 内鍵 チェーンロック 補助鍵がある場合は その活用を含む ) ベランダに面していない部屋で寝かせる 窓に格子のある部屋がある場合は その部屋で寝かせる 一戸建てにお住まいの場合は できる限り 1 階で寝かせる 6