原告は, 被告に対し, 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は,1 原告が, 自らの作成に係る別紙 1( 甲 12の1 以下 本件本体部 分 という ) 及び別紙 2( 甲 12 の 2 以下 本件ライブラリ部分 と

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被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

最高裁○○第000100号

最高裁○○第000100号

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

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最高裁○○第000100号

指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

とは, 原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して, 不法行為に基づき400 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日以降の日である平成 24 年 9 月 29 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いがないか,

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

<4D F736F F D A A835290B695FA BC96BC8F88979D8DCF816A2E646F63>

同目録記載の番号により 本件著作物 1, 本件著作物 2 といい, 本件著作物 1 及び本件著作物 2を併せて 本件各著作物 という ) の著作権を有する株式会社 CAを吸収合併し, 同社の権利義務を承継したところ, 被告が本件各著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

( 事案の全体像は複数当事者による複数事件で ついての慰謝料 30 万円 あり非常に複雑であるため 仮差押えに関する部 3 本件損害賠償請求訴訟の弁護士報酬 分を抜粋した なお 仮差押えの被保全債権の額 70 万円 は 1 億円程度と思われるが 担保の額は不明であ を認容した る ) なお 仮差押え

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

21855F41214EA DB3000CCBA

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

権 ) を侵害するとともに, 原告をプロデューサーとして表示しない点及び劇場用映画として制作された本件映画をインターネットで公表する点において, 本件映画につき原告が有する著作者人格権 ( 氏名表示権及び公表権 ) を侵害する行為であり, 被告が今後本件映画を上映, 複製, 公衆送信若しくは送信可能

平成 27 年 12 月 9 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 27 年 11 月 6 日 判 決 東京都荒川区 < 以下略 > 原 告 株式会社オールビユーテイ社 同訴訟代理人弁護士 山 本 隆 司 同 植 田

判決【】

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

令和元年 6 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 31 年 ( ワ ) 第 2629 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 16 日 判 決 5 原告日本コロムビア株式会社 原告株式会社バンダイナムコアーツ 10 原告キングレコード株式会社 原告ら訴訟代理人

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

最高裁○○第000100号

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

0A8D6C A49256C A0

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

最高裁○○第000100号

期分本税 831 万 1900 円の合計 以下 本件租税債権 という ) (3) 東京国税局国税徴収官 B( 以下 B 徴収官 という ) は 同局特別国税徴収官 C( 以下 C 特官 という ) の決定に基づき 平成 20 年 3 月 6 日 原告がA 証券に対して有していた本件証拠金の返還請求権

めた事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実 ) (1) 当事者ア原告は, 映画プロデューサーである ( 甲 1,2) イ被告は, 新聞社であり, ウェブサイト 朝日新聞デジタルAJW を運営するものである (2) 原告の著

平成23年12月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

撮影を,3 株式会社 MONDESIGN Japan( 以下 モンデザイン という ) に対して全体的なデザインをそれぞれ依頼し, 上記 1につき平成 23 年 4 月頃,2につき同年 5 月頃,3につき同年 6 月頃, 各成果物を受領し, その際, 各成果物に係る著作権の譲渡を受けた ( 甲 9,

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人株式会社バイオセレンタック, 同 Y1 及び同 Y2は, 控訴人コスメディ製薬株式会社に対し, 各自 2200 万円及びこれに対する平成 27 年 12 月 1 日から支払済みまで年 5 分の割

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

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ト化して自らの作品に使用して販売した行為が, 原告の当該写真素材に係る著作権 ( 複製権, 翻案権及び譲渡権 ) を侵害すると主張して, 被告に対し, 不法行為に基づき, 損害賠償金 62 万 3000 円及びこれに対する不法行為後である平成 28 年 月 1 日から支払済みまで商事法定利率年 6

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

事実及び理由控訴人補助参加人を 参加人 といい, 控訴人と併せて 控訴人ら と呼称し, 被控訴人キイワ産業株式会社を 被控訴人キイワ, 被控訴人株式会社サンワードを 被控訴人サンワード といい, 併せて 被控訴人ら と呼称する 用語の略称及び略称の意味は, 本判決で付するもののほか, 原判決に従う

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

(イ係)

き本件営業秘密の使用又は開示の差止め及び物件の廃棄を求めるとともに ( 以下, これらの請求を併せて 差止請求等 という ),(2) 被告が本件営業秘密を持ち出した行為は原告と被告の間の秘密保持契約にも違反し, これにより原告は損害を被ったと主張して, 同法 4 条又は債務不履行に基づき 1136

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原告は, 昭和 33 年 12 月 6 日生まれ ( 本件手術当時 24 歳 ) の男性である 被告 B 市は, 被告病院を開設し, これを運営している ア原告は, 被告病院を受診して十二指腸潰瘍との診断を受け, 昭和 58 年 9 月 2 9 日, 被告病院において, 本件手術を受けた ( 甲 A

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

3 被告は, 原告に対し, 金 3453 万 2652 円及びこれに対する平成 23 年 12 月 14 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件訴訟は, 原告が, 被告の製造販売に係るデジタルカタログについて, 原告の特許権を侵害している旨主張して, 被告に対し

平成  年(あ)第  号

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

<4D F736F F D208FA495578CA0904E8A FD782C982A882AF82E991B98A F9E8A7A82CC8E5A92E82096F6E05694FC89C02E646F63>

同訴訟代理人弁護士同同同同同同同同同同同 三好徹石田央子津田直和井川真由美鶴﨑有一石井修平山崎哲内田尚成前田香織本田雄巳黒木義隆籔之内千賀子 主文 1 控訴人の本件控訴を棄却する 2(1) 被控訴人の附帯控訴に基づき 原判決主文 1 2 項を次のとおり変更する (2) 控訴人は 被控訴人に対し 78

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成  年(オ)第  号

従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

平成20年7月11日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

 

平成 30 年 8 月 17 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官井上昌一朗 平成 29 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 7 月 11 日 判 決 5 原告株式会社 LoiLo 同訴訟代理人弁護士 渡 邉 太 郎 被 告 株式会社ベネッセコーポレーショ

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆

裁判年月日 平成 20 年 11 月 27 日 裁判所名 東京地裁 裁判区分 判決 事件番号 平 20( ワ )9871 号 事件名 管理費等請求事件 裁判結果 認容 文献番号 2008WLJPCA 東京都足立区 以下省略 原告上記代表者理事長上記訴訟代理人弁護士同同東京都世田谷区

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

インターネット上の誹謗中傷対応の基礎(Web公開用)

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

定している (2) 通達等の定めア 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について ( 昭和 29 年社発第 382 号厚生省社会局長通知 以下 昭和 29 年通知 という 乙 1) は, 一項本文において, 生活保護法第 1 条により, 外国人は法の適用対象とならないのであるが, 当分の間,

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C2-35 商標権侵害の虚偽事実の告知 流布 不正競争防止法事件 : 東京地裁平成 28( ワ )12829 平成 29 年 3 月 30 日 ( 民 47 部 ) 判決 < 請求棄却 > キーワード 商標権侵害, 虚偽の事実 流布 ( 不競法 2 条 1 項 15 号 ), 真正商品の並行輸 入

( 一 ) 被告は 建築土木の設計施工管理及び請負並びに資材販売業 及び 不動産の売買業 等を目的とする会社であり 原告らは 同社から昭和六三年一月頃別紙物件目録記載の分譲マンション ( 以下 本件マンション という ) を約二〇〇〇万円にてそれぞれ購入し 同年八月頃それぞれ引渡しを受けた ( 二

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平成 30 年 4 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成 28 年 ( ワ ) 第 44243 号損害賠償請求本訴事件平成 29 年 ( ワ ) 第 34440 号損害賠償請求反訴事件口頭弁論の終結の日平成 30 年 3 月 12 日 判 決 本訴原告兼反訴被告 A ( 以下 原告 という ) 本訴被告兼反訴原告 B ( 以下 被告 という ) 同訴訟代理人弁護士小林実 同風祭靖之 主 文 1 1 原告は, 被告に対し,12 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 2 被告のその余の反訴請求及び原告の本訴請求をいずれも棄却する 3 訴訟費用は, 本訴反訴ともに, これを 分し, その4を原告の 負担とし, その余を被告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 1 本訴請求 被告は, 原告に対し,9 万 3600 円及びこれに対する平成 28 年 8 月 1 2 6 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 2 反訴請求 1

原告は, 被告に対し, 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は,1 原告が, 自らの作成に係る別紙 1( 甲 12の1 以下 本件本体部 分 という ) 及び別紙 2( 甲 12 の 2 以下 本件ライブラリ部分 という ) の各ソースコードから成るプログラム ( 以下 本件プログラム という ) の著作権を有しているところ, 被告において原告の許諾なく本件プログラムを複製して販売していることが, 原告の上記著作権 ( 複製権又は譲渡権 ) を侵害すると主張して, 被告に対し, 不法行為に基づく損害賠償金 9 万 3600 円及びこれに 対する不法行為日以後である平成 28 年 8 月 16 日から民法所定の年 分の割 合による遅延損害金の支払を求める ( 本訴 ) のに対し,2 被告が, 原告において被告と交わした電話での通話内容 ( 原告が被告による上記著作権侵害を主張する内容である ) を録音してインターネット上で配信等した行為が被告の名誉権及びプライバシー権を侵害すると主張して, 原告に対し, 不法行為に基づく損害賠 1 償金 万円及びこれに対する不法行為後である平成 29 年 3 月 1 日から支払 済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める ( 反訴 ) 事案である 1 前提事実 ( 証拠等を掲げた事実以外は, 当事者間に争いがない ) 本件プログラム 本件プログラムは, 外国為替証拠金取引 (FX 取引 ) の自動売買を行うため のソフトウェアである FX 取引における値動きの分析手法は, ファンダメンタルズ分析 ( 国や地域の経済活動等の状況を示す基礎的な要因をもとに今後の為替の動向を予想する手法 ) とテクニカル分析 ( 過去の値動きを表したチャートからトレンドやパ 2 ターンを把握して今後の為替の展開を予想する手法 ) に分けられる 本件プロ グラムは, テクニカル分析のみを利用し, 多くのテクニカル分析の指標の中か 2

らいくつかを抽出して, 各指標が一定の数値となった場合に自動的に売買の発注をするものである ( 甲 1,2, 甲 12の1,2, 甲 14, 弁論の全趣旨 ) 被告の販売行為 被告は, 別紙 3 記載の各商品 ( 以下 各被告商品 という ) をインターネッ トオークションに出品して少なくともその一部を販売した ( 甲 6, 弁論の全趣旨 ) 原告の動画配信 投稿行為ア原告は, 平成 28 年 月 日午前 2 時すぎころ, 被告に対し, 電話で, 僕の EA( 判決注 :FX 自動売買ソフトの意と解される ) を転売していま すよね, だからなんで俺のそもそも持ってんのか答えろ言うとるやろが, どこやねん, 住んどんの,( 住所は省略 ) か? お前, お前なめてんのか, こら, お前 などと告げた上, うん, 警察いくわ お前の録音しといたから, 僕の持っている, 僕が譲ったソースを, まぁいじって売ってい 1 ることが問題なんですよ, いや被害届まず出しますよ, 応じないんだ ったら, だから法的手段に移りますよって, 僕からソースをもらったって認めた で, 示談には応じない なので, 僕は法的手段を取らざるをえない状態になりました, あのー, 著作権に, あのー, ソースに載っている時点でダメなんですよ, あのー, オリジナル, 自分で作ったもの売ってない んじゃないとダメですよ, まあ, 売れた本数が って言ってたから, 大 体 万で0 万くらいは損失, 機会奪われていますね, 0やで, 本 万円で,0 万円の損失が生まれましたっていう話 などと, 被告が本件プログラムについての原告の著作権を侵害しているとして, 0 万円の支払に応じなければ警察に被害届を提出する等の法的手段を 2 採る旨を告げた ( 乙 22) イ原告は, その後, 原告が被告と上記アのやり取りをしている様子を撮影し 3

た動画 ( 被告は映っていないが, 会話内容は全て録音されている ) を, インターネット上の動画共有サービス ニコニコ生放送 にストリーミング配信し, 平成 29 年 1 月又は2 月ころに削除されるまでの間, 同サービスの会員であれば誰でも上記動画を視聴可能な状態においた ( 以下 本件配信 とい う ) また, 原告は, 上記動画を ニコ生 EA 転売屋との対決 とのタイ トルを付してインターネット上の動画共有サイト YouTube に投稿し, 同年 1 月又は2 月ころに削除されるまでの間, 上記動画をインターネット上で誰でも視聴可能な状態においた ( 以下 本件投稿 という ) 2 争点 本訴請求について ア本件プログラムは著作物に当たるか ( 争点 1) イ本件プログラムの著作者は原告か ( 争点 2) ウ本件プログラムに係る原告の著作権 ( 複製権又は譲渡権 ) が侵害されたか ( 争点 3) 1 エ原告の損害額等 ( 争点 4) 反訴請求について反訴要件の有無 ( 本案前の争点 ) 3 争点に関する当事者の主張争点 1( 本件プログラムは著作物に当たるか ) について [ 原告の主張 ] 本件プログラムは, 効率的なFX 取引の自動売買を行うためのプログラムであるから, 売買の発動条件を規定する上で着目すべき指標及び数値の組み合わせが重要である このような本件プログラムの特性に鑑みると, プログラム著作物としての創作性は, 指標と数値の組み合わせの段階で把握されるべきであ 2 り, その組み合わせを実現する具体的手段の段階で把握されるべきではない したがって, 本件プログラムのうち創作性を有するのは, 売買の発動条件を 4

規定する指標及び数値の組み合わせ, すなわち本件本体部分中の 手法メモ ( 別紙 1の赤枠部分 以下 本件手法メモ部分 という ) をプログラムとして記述した部分である 本件プログラムは, 本件手法メモ部分において優れた独創性 個性を発揮しており, 著作物性が認められる [ 被告の主張 ] プログラムの著作物に対する著作権法による保護は, その著作物を作成するために用いる解法 ( すなわちプログラムにおける電子計算機に対する指令の組み合わせの方法 ) には及ばない ( 著作権法 条 3 項 ) このように, プログラムの著作物として保護されるのは, 具体的なプログラム記述の表現であって, アイデアやアルゴリズムは著作物として保護されるものではない 本件手法メモ部分は, 本件プログラムの作成に当たって, どのような指標をどのような数値で摘出し, どのように組み合わせるかにすぎず, まさにアイデア又はアルゴリズムそのものであるから, 本件プログラムは著作物として保護されるものではない 1 争点 2( 本件プログラムの著作者は原告か ) について [ 原告の主張 ] 上記のとおり, 本件プログラムのうち創作性を有するのは, 本件手法メモ部分をプログラムとして記述した部分である 本件手法メモ部分を実際にプログラムとして入力する行為の多くはC( 以下 C という ) が担 当したが,FX の自動売買という機能との関係で知的創作活動の本質を構成す るのは手法のロジックであり, ソースコードではない そして, 本件手法メモ部分に係る手法ロジックを創作したのは原告であるから, 本件手法メモ部分をプログラムとして記述した部分の著作者は原告である また, 本件プログラムには erupi との表示があるから, 著作権法 14 条に 2 より,erupi こと原告が著作者と推定されるところ, 被告は同推定を破る具体 的事情を主張していない

なお, 本件本体部分のうち本件手法メモ部分をプログラムとして記述した部分以外は, 原告とCがデータのやり取りをしながら意見交換をして共同で行ったもの, 本件ライブラリ部分は,Cが作成したものである しかし, これらの部分については, 誰が作成しても同じ内容になるものであって, 創作性はない 以上より, 本件プログラムの著作者は原告である [ 被告の主張 ] 本件本体部分の作成に当たって, 原告とCとの間でデータのやり取りはあったかもしれないが, 原告よりCの方が圧倒的にプログラミングの知識, 技量が上回っていた 本件手法メモ部分の内容は原告の発案に係るものであるが, 原 告はアイデアを出したにすぎず, 本件手法メモ部分についても具体的にプログ ラムとして記述したのはCである したがって, 本件プログラムが著作物に当たるとしても, その著作者はCであって, 原告ではない 争点 3( 本件プログラムに係る原告の著作権 ( 複製権又は譲渡権 ) が侵害さ 1 れたか ) について [ 原告の主張 ] 原告が, 各被告商品のうち, FX EA 自動売買勝てる本物限定残 4 バイナリー完成出品中 ( 以下 被告プログラムA という ) を入手して調べたところ, 被告プログラムAのライブラリを除いたソースコードは甲 7の とおりであった 同ソースコードの冒頭の変更履歴には, 13/08/23 新規作 成 ( erupi_sign_ea_jyunbari (ver.2.07) を元にして作成 と明記されている上, 数行を除き, ほとんど全部のソースコードが本件本体部分のソースコードと一致している また, 被告プログラムAのライブラリに係るソースコードも本件ライブラリ部分のソースコードと完全に一致している したがって, 被告プロ 2 グラム A は本件プログラムについての原告の複製権又は譲渡権を侵害する そ して, 被告は, 本件プログラム A 以外の各被告商品のソースコードが本件プロ 6

グラムAとは異なることを具体的に主張しないから, 各被告商品は本件プログラムAと同一の構成を有すると考えられる したがって, 各被告商品はいずれも本件プログラムについての原告の著作権 ( 複製権又は譲渡権 ) を侵害する [ 被告の主張 ] 争う なお, 各被告商品のうち単価が 万円であるもの ( 別紙 3 記載 1 1,13~16,18) は, いずれもバイナリーオプションに係る商品であり, 本件プログラムとは全く関係がない 争点 4( 原告の損害額等 ) について [ 原告の主張 ] 被告は故意により上記著作権侵害行為を行ったものであり, これにより, 原告は次の損害を被った ア逸失利益複製権等の侵害者が侵害によって得た利益は, 著作権法 114 条 2 項によ 1 り, 著作権者に生じた損害と推定されるところ, 被告は, 被告ソフトの販売 によって合計 189 万 3600 円の利益を得たから, 原告には, 同額の損害 ( 逸失利益 ) が生じたと推定される イ弁護士費用被告が本件プログラムについての原告の複製権を侵害する不法行為を行 ったことにより, 原告は本訴請求に係る訴え提起を余儀なくされた これに よって原告が支払を余儀なくされた弁護士費用のうち 万円は, 被告による上記不法行為と相当因果関係がある [ 被告の主張 ] 争う 2 反訴請求に係る本案前の争点 ( 反訴要件の有無 ) について [ 被告の主張 ] 7

原告による本件配信及び本件投稿は, 被告が著作権侵害行為をした犯罪者であるとの印象を当該動画の視聴者に与えるものであり, 被告の社会的評価を低下させるものであるから, 原告の名誉を毀損するものである また, 原告は, 深夜に就寝していた被告にいきなり電話をかけ, 被告につい て著作権侵害行為をした犯罪者扱いをし, 示談金 0 万円の支払を要求する などして, その対応にとまどい困惑している被告の様子 ( 音声 ) を本件配信及び本件投稿により公開したから, 被告のプライバシーを侵害するものである したがって, 原告による上記行為は故意による不法行為に該当する 原告はこれにより著しい精神的苦痛を受けたから, これに対する慰謝料としては0 万円が相当であり, また, 弁護士費用としては 万円が相当である なお, 本件反訴に係る訴えは, 本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とするものであり, 反訴要件を満たす [ 原告の主張 ] 反訴は 本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする 1 場合に限り 認められるところ ( 民事訴訟法 146 条 1 項 ), 本件反訴請求の訴 訟物は, 名誉権及びプライバシー権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権であって, 本件本訴の目的である請求又は防御の方法と何ら関連性を有しないから, 本件反訴に係る訴えは反訴要件を欠き不適法である したがって, 本件反訴に係る訴えは, 実体審理に入るまでもなく, 直ちに不適法として却下される べきである 第 3 当裁判所の判断 1 本訴請求について争点 2( 本件プログラムの著作者は原告か ) について事案に鑑み, まず, 争点 2について判断する 2 ア原告は, 本件プログラムのうち本件手法メモ部分をプログラムとして記述 した部分に創作性があると主張する一方, その他の部分については具体的な 8

創作性の主張 立証をしない ( かえって, これらの部分については創作性がない旨主張する ) そこで, 本件プログラムに著作物性が認められるとした場合において, 本件手法メモ部分をプログラムとして記述した部分 ( ソースコード部分 ) の著 作者について検討するに, 証拠 ( 乙 1~18 枝番のあるものは枝番を含 む ) 及び弁論の全趣旨によれば, 本件手法メモ部分をプログラムとして記述した ( 同部分に係る具体的なソースコードを作成した ) のは専らCであると認められる この点, 原告も, 手法メモ部分のプログラムとしての入力 すなわち, 具体的なソースコードの作成の大部分をCが担当したと認めてい るのであって ( 第 回弁論準備手続における原告の陳述 ), ほかに原告が本 件手法メモ部分に係るソースコードの作成を行ったと認めるに足る事情はない ( なお, 原告は, 第 回弁論準備手続期日において, 本件手法メモ部分について原告が実際にプログラムの入力を行ったか否かを確認すると述べたが, 結局, 同事実を確認した旨の主張はない ) したがって, 本件プログ 1 ラムに著作物性が認められるとしても, 原告が創作性を主張する 本件手法 メモ部分をプログラムとして記述した部分 の著作者が原告であると認めることはできない イこれに対し, 原告は, 本件ソフトに erupi の表示があるから, 著作権法 14 条によって著作者が原告であると推定されると主張するが, erupi が 原告の実名に代えて用いられるものとして周知のもの であると認めるに 足る証拠はないし, 本件の全証拠によっても, erupi が 著作者名として通常の方法により表示されている とは認められないから, 著作権法 14 条を適用する前提に欠けるものというほかなく, 原告の上記主張を採用することはできない 2 ウまた, 原告は, 本件プログラムが効率的な FX 取引の売買プログラムであ り, 売買の発動条件を規定する指標と数値の組み合わせが重要であるから, 9

プログラム著作物としての創作性は, 組み合わせを実現する具体的手段の段階ではなく, 組み合わせの段階において把握すべきである旨主張する 原告の同主張は本件手法メモ部分それ自体についての創作性を主張するものと善解する余地もあるが, 本件プログラムが効率的なFX 取引を行う上で売買 の発動条件が重要であるとしても, その指令の組合せとしての表現に創作性 が認められなければ 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの であるプログラムの著作物としての著作物性は認められないところ, 本件手法メモ部分は, 特定の指標と数値の組み合わせそれ自体であって, アイデアにすぎな いから, プログラム著作物としての創作的表現であるということはできない したがって, 原告の上記主張についても採用できない 以上によれば, その余の争点について判断するまでもなく, 原告の本訴請求は理由がない 2 反訴請求について 1 本案前の争点 ( 反訴要件の有無 ) について 本件本訴及び本件反訴の各請求内容や本件の経過に照らせば, 本件反訴について反訴要件に欠けるところはなく, 本件反訴に係る訴えは適法であると認められる これに対し, 原告は, 本件反訴が 本訴の目的である請求又は防御の方法と 関連する請求を目的とする場合 に当たらないと主張するが, 本件反訴は, 本 訴の目的である著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求に係る請求権の行使又は催告等が, その態様に照らして原告の名誉権又はプライバシー権を侵害する不法行為に当たると主張して損害賠償を求めるものであるから, 本件本訴の目的である請求と関連する請求を目的とするものであると認められる し 2 たがって, 原告の上記主張は採用できない 反訴請求の本案について

原告は, 本件配信及び本件投稿につき明らかに争わないところ, 本件配信及び本件投稿に係る動画中における原告の発言は, 被告が原告の著作権を侵害したとの印象を与えるなど, 被告の社会的評価を低下させるに足るものと認められるから, 被告に対する名誉棄損の不法行為を構成するものと認められる ( な お, 被告は, 原告が被告に著作権侵害に係る示談金 0 万円の支払を要求す るなどし, その対応にとまどい困惑している被告の様子 ( 音声 ) を本件配信及び本件投稿により公開したとして, プライバシー権の侵害も主張するが, 被告の主張を前提としても, 被告のプライバシー権が侵害されたとは認められない ) そこで, 原告の損害額について検討するに, 証拠 ( 乙 ~23) 及び弁論 の全趣旨に照らすと, 上記不法行為によって生じた原告の精神的損害を慰藉するには被告に対し慰謝料 万円を支払わせることが相当と認められる また, 同金額のほか, 上記不法行為の態様, 本件の経緯, 原告の応訴態様など本件に現れた一切の事情を総合すると, 弁護士費用のうち2 万円については, 原告の 1 上記不法行為と因果関係を有する損害と認めるのが相当である したがって, 被告は, 原告に対し, 不法行為に基づく損害賠償金合計 12 万円及びこれに対する不法行為後の日である平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による遅延損害金を請求することができる 3 結論 以上によれば, 本訴請求には理由がなく, 反訴請求は主文第 1 項の限りで理由 がある ( なお, 仮執行宣言については相当でないからこれを付さない ) よって, 主文のとおり判決する 東京地方裁判所民事第 47 部 2 裁判長裁判官沖中康人 11

裁判官矢口俊哉及び裁判官 達人は, 転補のため署名押印できない 裁判長裁判官沖中康人 別紙省略 12