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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

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同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

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31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

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情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

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平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

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年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

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令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

平成 25 年 5 月 30 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 25 日 判 決 原告 X 訴訟代理人弁理士田中聡 被告東洋エンタープライズ株式会社 訴訟代理人弁理士野原利雄 主 文 原告の請求を棄却する 訴訟費用は原

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

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一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

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第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

最高裁○○第000100号

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平成  年(オ)第  号

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

平成 25 年 12 月 17 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 10 月 17 日 判 決 原告エイトマイハートイン コーポレイテッド 訴訟代理人弁護士 五十嵐 敦 出 田 真樹子 弁理士 稲 葉 良 幸 石 田 昌 彦 右

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

審決取消判決の拘束力

最高裁○○第000100号

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

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第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

(イ係)

平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

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平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

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にした審決を取り消す 第 2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯被告は, 発明の名称を レーザ加工方法, 被レーザ加工物の生産方法, およびレーザ加工装置, 並びに, レーザ加工または被レーザ加工物の生産方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータが読取可能な記録媒体 とする特

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

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に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

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1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

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主文同旨 第 2 事案の概要本件は, 商標法 50 条 1 項に基づく不使用取消請求 ( ただし, 一部の指定商品について ) を認めた審決の取消訴訟である 争点は, 指定商品の使用の有無である 1 特許庁における手続の経緯 (1) 原告は, 本件商標権者である ( 甲 19) 本件商標 登録 32

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

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第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

平成25年5月  日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

第 2 事案の概要本件は, 原告が有する下記商標登録 ( 本件商標 ) について, 被告が行った商標法 51 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求に対し, 特許庁がこれを認容する審決をしたことから, 原告がその審決の取消しを求めた事案である 争点は,1 原告による下記の本件使用商標 1 及び2(

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

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主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

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☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第24号-

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

の商標権者である ( 甲 1,45) 登録商標 : 別紙 1 本件商標目録記載のとおり登録出願 : 平成 26 年 3 月 14 日登録査定日 : 平成 26 年 8 月 22 日設定登録 : 平成 26 年 9 月 26 日指定役務 : 第 35 類 広告業, 経営の診断又は経営に関する助言, 市

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被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

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算税賦課決定 (5) 平成 20 年 1 月 1 日から同年 3 月 31 日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正のうち還付消費税額 6736 万 8671 円を下回る部分及び還付地方消費税額 1684 万 2167 円を下回る部分並びに過少申告加算税賦課決定 (6) 平成 20 年 4 月

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平成 13 年 ( 行ケ ) 第 530 号審決取消請求事件 ( 平成 14 年 11 月 18 日口頭弁論終結 ) 判決原告株式会社アイコム訴訟代理人弁護士本山信二郎同弁理士松田雅章被告アイコム株式会社訴訟代理人弁護士梅本弘同川村和久同片井輝夫同池田佳史同池野由香里同嶋津裕介同内藤裕史主文特許庁が平成 11 年審判第 31667 号事件について平成 13 年 10 月 10 日にした審決を取り消す 訴訟費用は被告の負担とする 事実及び理由第 1 請求主文と同旨第 2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告は, 下記ア記載の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者, 被告は, 本件商標の不使用による登録取消しの審判請求人であり, その経緯は下記イのとおりである ア登録第 3189080 号商標構成別添審決謄本写し末尾の 本件商標 欄記載のとおり指定役務別表第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成又は保守, 電子計算機による計算処理その他の情報の処理, 電子計算機のプログラムの設計 作成又は保守のコンサルティング, 電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路 磁気ディスク 磁気テープの貸与 登録出願平成 4 年 9 月 30 日設定登録平成 8 年 8 月 30 日イ平成 11 年 12 月 15 日本件商標の指定役務の全部について不使用による登録取消しの審判請求 ( 平成 11 年審判第 31667 号 ) 平成 12 年 1 月 26 日上記審判の予告登録平成 13 年 10 月 10 日本件商標の商標登録を取り消す旨の審決同年 10 月 22 日原告への審決謄本送達 2 審決の理由審決は, 別添審決謄本写し記載のとおり, 本件商標が上記予告登録日である平成 12 年 1 月 26 日前 3 年以内 ( 以下 本件期間内 という ) にその指定役務について使用されていたことを認めることはできないから, 本件商標の登録は, 商標法 50 条の規定により取り消すべきものとした 第 3 原告主張の審決取消事由 1 審決は, 本件商標が本件期間内にその指定役務について使用されたとは認められないとの誤った認定をした ( 取消事由 ) ものであるから, 違法として取り消されるべきである 2 取消事由 ( 本件商標の指定役務についての使用に係る認定の誤り ) (1) 原告は, ソフトウェアの開発及び販売, システム導入コンサルティング等を業務として行うソフトハウスであるところ, その業務は, 本件商標の指定役務中の 電子計算機のプログラムの設計 作成又は保守, 電子計算機による計算処理その他の情報の処理, 電子計算機のプログラムの結成 作成又は保守のコンサルティング である そして, 原告は, 本件商標を, 当該業務について, 以下のとおり本件期間内に使用した ア原告は, その開発及び販売に係る配車支援システムの広告宣伝のため, 平成 7 年 3 月ころ甲 9のパンフレットを, 平成 8 年 10 月ころ甲 13のパンフレットをそれぞれ作成し, 平成 9 年 10 月 30 日及び31 日に開催された 数値地図フ

ェア 97 の出展ブースで来場者に配布するなどして, これを頒布した これらのパンフレットには, いずれも表紙の下部に本件商標が付されている また, 原告は, その業務の宣伝広告物ないし販促媒体として, 本件商標の付されたテレホンカード ( 甲 41) を, 平成 10 年 1 月以降頒布している イ原告は, 平成 11 年 8 月 2 日, 飼料工場監視制御システムのソフトウェア開発に関する見積書を FAX 送信メモ ( 甲 63,64) として取引先に送信しているところ, この FAX 送信メモ は, 本件商標の指定役務に関する取引書類であり, かつ, 本件商標が付されている ウ原告は, 本件商標の指定役務に該当するその業務に関して, 本件商標の付された名刺 ( 甲 5) 及び封筒 ( 甲 6,7,60) を, 本件期間内に使用した (2) 被告は, 甲 9,13 のパンフレットに記載されている配車支援システムは, 商標法上の商品に係るものであって, 役務性がないと主張するが, 原告が配車支援システムの一部をパッケージ商品 モニカ (MONICAR) として取り扱っているからといって, それ以外の配車支援システムの提供についてまで役務性が否定されるものではなく, このことは, 甲 9 の 中心となる地図エリアは納入時にすべてカスタマイズ致します との記載や, 甲 13 の 基本機能に加えて, 御要望に応じた各種カスタマイズも可能です との記載からも裏付けられる さらに, 甲 13 の アイコムではモニカの発売を機に, 車両関連システムの開発にさらに力を入れていくと同時に, 社内ネットワークの構築などもユーザーの要望に応えて積極的に取り組んでいく との記載からすれば, 同号証のパンフレットは, 本件商標の指定役務に係る原告の業務に関する広告宣伝の機能も果たしているというべきである 第 4 被告の反論 1 審決の認定判断は正当であり, 原告主張の取消事由は理由がない 2 取消事由 ( 本件商標の指定役務についての使用に係る認定の誤り ) について (1) 甲 9,13 のパンフレット, 甲 41 のテレホンカードは, 作成時期も, 配布の時期, 場所, 方法等も客観的証拠によって何ら明らかにされていないというべきである また, 甲 13 のパンフレットが, 原告の主張するように平成 8 年 10 月ころ作成されたものであるとしても, その直後に開催された 数値地図フェア 9 6 で配布し終わっていたと考えられる 仮に, 原告の主張する上記各パンフレットの本件期間内における頒布の事実が認められるとしても, それは 電気通信機械器具に類似する商品 について本件商標を使用する行為であって, 本件商標の指定役務についての使用が認められるものではない すなわち, 原告は, モニカ については, これがパッケージ商品であることを自認するところ, それ以外の配車支援システムについても, 車両位置監視図面の中心となる画面エリアを調製 ( カスタマイズ ) する程度のことは, 商品に付随し, 単独で商取引の対象となるものとはいえないから, 商標法上の 商品 に係るものであって, 役務性がないというべきである (2) 甲 63,64 の FAX 送信メモ は, 表紙 ( 甲 63) に お見積書のみ FAX 致します と記載していながら, その送付内容 ( 甲 64) は見積書ではなく, 通信内容が一致していない また, 同 FAX 送信メモ は特定の取引先に対するものにすぎず, 不特定多数の者に配布したことを立証するものではないから, 頒布 の事実は認められない (3) 名刺や封筒については, その使用時期が明らかでないほか, 原告の行っている業務のうちのいかなるものについて使用されたものか明らかでなく, 本件商標の指定役務との具体的関連性を欠くものである 第 5 当裁判所の判断 1 取消事由 ( 本件商標の指定役務についての使用に係る認定の誤り ) について (1) 前提となる事実について証拠 ( 甲 4,8,10~16,45~49, 乙 3,15-1,2) によれば, 原告は, 昭和 59 年 12 月に設立され, 会社案内パンフレット ( 甲 4) 中で, 自社の事業内容を ソフトウェアの開発 販売ソフトウェア開発の受託システム導入コンサルティングコンピュータ教育訓練サービス として紹介し, また, 起業家向けの新聞 ( 甲 49) 中で, 先進の無線データ通信技術で信頼性の高いシステム開発 をしている ソフト会社 で, 従業員 20 人の構成が SE5 人, プログラマー 15 人として紹介されているように, ソフトウェアの開発及び販売を主たる業務とする典型的なソフト会社 ( ソフトハウス ) であり, 本件商標を構成する欧文字も, 原告の設立当時注目されていた Artificial Intelligence ( 人工知能 )

を意味する AI と 通信 を意味する communication を合成した造語からなること, 原告は, その業務の一環として,GPS 衛星を利用して営業車の位置や車速等の情報をリアルタイムに収集して運行状況を把握し的確な配車運行管理ができるようにした移動体管理 配車支援システム ( 以下 本件配車支援システム という ) を開発し, 平成 7 年 3 月ころその発売開始を新聞発表し, 同月 31 日の日経産業新聞はこれをトップ記事で扱ったこと, 原告は, 同年 4 月ころから本件配車支援システムの販売を始めたが, その後, 低価格化を実現したパッケージシステムを開発し, モニカ MONICAR の名称で販売することとして, 同年 9 月 13 日及び 14 日に東京都立産業貿易センターで開催された 数値地図フェア 95, 平成 8 年 11 月 28 日及び 29 日に同所で開催された 数値地図フェア 96 並びに平成 9 年 10 月 30 日及び 31 日に同所で開催された 数値地図フェア 9 7 に, 移動体管理 配車支援システムモニカ (MONICAR) を出展したこと, 原告は, 平成 10 年 3 月 26 日, 構成を モニカ とし, 指定商品を第 9 類 配車支援システム用のプログラムを記憶させた電子回路 磁気ディスク, 磁気テープ とする商標の登録出願をし, 平成 11 年 10 月 1 日, 商標登録第 4319356 号として設定登録を受けたこと, 原告は, 本件配車支援システムのうち, 低価格化を実現したパッケージシステム ( 甲 11,13~16) について, 上記 モニカ 商標を使用していることが認められ, 以上の認定に反する証拠はない (2) 甲 9,13 のパンフレットの頒布について甲 9,13 のパンフレットは, いずれも 移動体管理配車支援システム との標題のある原告作成のパンフレットであり, その表紙の下部には本件商標と同一の商標が明確に付されている なお, 甲 13 のパンフレットは白黒印刷のため, その使用に係る商標は, 水色で表された本件商標 ( 甲 52) と色彩においてのみ異なるものであり, 商標法 50 条の適用上, 両者を同一と認めるに妨げはない ( 同法 70 条 1 項 ) これらのパンフレットには, 作成日等を示す記載はないものの, 原告代表者の陳述書 ( 甲 57) 中には, 甲 9 のパンフレットは本件配車支援システムの新聞発表当時 ( 平成 7 年 3 月ころ ) に作成したもの, 甲 13 のパンフレットは平成 8 年 11 月の 数値地図フェア 96 に間に合わせるために作成したものであるとの記載内容があるところ, その内容は, 下記の客観的な証拠によっても十分裏付けられるものであって, 信用するに足りるものというべきである すなわち, まず, 甲 13 のパンフレットについて見るに, その記載内容は, 明らかに平成 8 年 8 月 1 日発行の コマーシャルモーター 掲載記事 ( 甲 11) を引用するものであるところ, これは, 上記陳述書中で述べられている作成時期と完全に符合する上, 平成 8 年 10 月 14 日付け原告宛請求書 ( 甲 39) は, パンフレット作成料 80000 - B4 両面 1000 枚 との記載との整合性から, 見開きで B4 両面である甲 13 のパンフレットに関するものと推認することができ, 上記請求書に対応する同年 11 月 6 日付け振込金受取書 ( 甲 40) を併せ考えると, 甲 13 の作成時期は同年 10 月ころと認めることができる また, 甲 9 のパンフレットについては, モニカ 商標が使用されていないから, 本件配車支援システムに関して, 上記のとおり同商標を使用したシリーズの展開を始めた平成 7 年 9 月の 数値地図フェア 9 5 ( 甲 14) より前の時期の作成に係るものと推認されるところ, それより前で モニカ 商標が使用されていないのは, 上記 (1) 記載の同年 3 月 31 日付け日経産業新聞の記事 ( 甲 8) だけであるから, 他に反対の証拠のない本件においては, 甲 9 の作成時期は同月ころと認めるのが相当である そこで, 進んで, これらのパンフレットが, 本件期間内 ( 平成 9 年 1 月 2 4 日 ~ 平成 12 年 1 月 25 日 ) に頒布されたかどうかを見るに, 上記 (1) の認定事実, 各パンフレットの記載内容及び作成時期並びに原告代表者の前掲甲 57 の陳述書及び原告の取引先の従業員である池渕高の陳述書 ( 甲 59) の記載を総合すれば, 原告が, これらのパンフレットの作成時 ( 甲 9 は平成 7 年 3 月ころ, 甲 13 は平成 8 年 10 月ころ ) 以後,3 回にわたって開催された上記 数値地図フェア 9 5~ 97 の出展ブースで来場者に配布するなどしてこれを頒布したことが優に認められるというべきであるから, そのうち, 平成 9 年 10 月に開催された 数値地図フェア 97 における配布が本件期間内に及んでいることになる この点について, 被告は, 平成 8 年 11 月開催の 数値地図フェア 96 までに上記パンフレットは配布し終わっていたと考えられる旨主張するが, 本件配車支援システムが大衆消費者を需要者とする類のものでないことは明らかであるから,1000 部

( 甲 39 参照 ) ないし 3000 部 ( 甲 57 参照 ) ものパンフレットが短期間に配布し尽くされることが合理的に推認されるものではなく, かえって, 本訴においてこれらの書証の正本及び副本として原本が複数通 ( 甲 26 は甲 9 と同じ 甲 30 は甲 13 と同じ ) 提出されていることからも, 現時点でなお相当の在庫 ( 甲 55,5 6 はそれぞれ甲 9,13 の在庫の写真 ) が残っているとする前掲甲 57 の陳述書の記載は信用することができ, 結局, 被告の上記主張は採用することができない したがって, 本件商標の付された甲 9,13 のパンフレットは, 本件期間内に頒布されたものと認められる (3) 本件配車支援システムの役務性についてア被告は, 甲 9,13 のパンフレットが本件期間内に頒布されたとしても, 本件配車支援システムは, 商標法上の 商品 に係るものであって, 役務性がない旨主張する しかし, 上記各パンフレットの記載内容からも明らかなように, 本件配車支援システムは, 複数の車両に搭載される車載システムとパソコン又はワークステーションを使用したセンター側システムとを基本構成として, これに GPS カーナビゲーションシステムと無線データ通信ネットワークシステムを組み合わせた複雑なシステムであって, これらが全体として有体物である商標法上の 商品 としてパンフレットに記載されているとは到底認められない すなわち, 甲 9 のパンフレットの システム構成の概要 を見ても, 有体物である 商品 としての概念を把握することは困難であり, 上記のようなシステム構成が記載されているにすぎず ( 本件被告を原告とし, 本件原告を被告とする大阪地裁平成 10 年 ( ワ ) 第 429 2 号事件につき同裁判所が平成 13 年 3 月 13 日に言い渡した判決 乙 4 の認定判断は, 当裁判所の判断を左右するものではない ), また, 甲 13 のパンフレットの システム構成図 においても, 有体物としての 車載端末 が表示されてはいるものの, これが本件配車支援システムの一構成要素にすぎないことは明らかであって, システム全体が有体物である 商品 として記載されているものとはいえない さらに, 甲 9 の 中心となる地図エリアは納入時にすべてカスタマイズ致します との記載や, 甲 13 の 基本機能に加えて, 御要望に応じた各種カスタマイズも可能です との記載からも, 本件配車支援システムの提供が役務性を有することは明らかというべきである イところで, 甲 13 のパンフレットには, パッケージシステム としての モニカ についても記載されており, 原告はその限度ではこれが商品であることを自認するが, 甲 13 の表紙の記載及び 2 頁左欄の ( 株 ) アイコムでは 以前から低価格な移動体管理 メッセージ通信システムを販売していたが, このほどさらに低価格化を実現したパッケージシステムを開発 モニカ の名称でシリーズ展開を行っていく との記載を総合すれば, 同パンフレットでは, パッケージ商品化されていない 移動体管理配車支援システム と, パッケージ商品としての 配車支援システムモニカ (MONICAR) の広告が行われているものと見ることができるから, 少なくとも前者に関する限り, 役務性が否定されないことは上記のとおりである なお, 原告が, モニカ 商標について指定商品を 配車支援システム用のプログラムを記憶させた電子回路 磁気ディスク, 磁気テープ等 として商標登録し, 使用していることは上記 (1) のとおりであるが, これ自体, 上記の認定判断を何ら左右するものではない また, 被告は, 甲 9 のパンフレットに関し, 車両位置監視画面の中心となる画面エリアを調製 ( カスタマイズ ) する程度のことは, 商品に付随し, 単独で商取引の対象となるものとはいえない旨主張する しかし, 有体物としての商品の概念が明確に把握できることを前提に, これに付随的に提供されるサービスを独立の役務と見得るかどうかという議論であれば格別, 甲 9 のパンフレットに関しては, そもそも有体物である商品の概念が何ら示されていないのであるから, 被告の上記主張は前提を欠くものといわざるを得ない ウそして, 本件配車支援システムの提供に係る役務が, 本件商標の指定役務中の 電子計算機のプログラムの設計 作成又は保守, 電子計算機による計算処理その他の情報の処理, 電子計算機のプログラムの結成 作成又は保守のコンサルティング に該当することは明らかであるから, 原告は, 本件期間内に, 本件商標の指定役務に関する広告である甲 9,13 のパンフレットに本件商標を付して, これを頒布し, 商標法 2 条 3 項 7 号にいう 使用 をしたということができる (4) FAX 送信メモ に係る使用について甲 62~64 によれば, 原告は, 本件期間内である平成 11 年 8 月 2 日 1

1 時 27 分ころ, 取引先である株式会社新明製作所の システム計装部部長中澤和正様 宛に, 飼料工場監視制御システムの開発等に係る見積書をファクシミリ送信したこと, その FAX 送信メモ との標題の付された送信状の表紙の下部には, 本件商標と同一の商標 ( 色彩においてのみ異なるが, これが同一性を認める妨げにならないことは前示のとおりである ) が付されていることが認められ, このファクシミリ送信に係る見積書が, 本件商標の指定役務中の 電子計算機のプログラムの設計 作成又は保守, 電子計算機による計算処理その他の情報の処理, 電子計算機のプログラムの設計 作成又は保守のコンサルティング に関する 取引書類 ( 商標法 2 条 3 項 7 号 ) に当たることは明らかである 被告は, 表紙 ( 甲 6 3) の 見積書 との記載と送付資料 ( 甲 64) の 見積り資料 との記載との不一致をいうが, 見積り資料 に内訳を示された 人月 に, 表紙に記載された単価を乗じて, 全体として 見積書 としている趣旨は一目りょう然であって, 何ら不自然不合理な点はない そして, この取引書類を取引先にファクシミリ送信した行為は, 頒布 に当たるというべきである 被告は, 不特定多数の者への配布でないことを理由に, 頒布 とはいえない旨主張するが, 商標法 2 条 3 項 7 号にいう 取引書類に標章を付して頒布する ことは, 特定の役務に関する取引書類に標章を付して, 当該役務の提供を求める特定の取引先に対して配布することによってされるのが通常であり, 本件商標を付した取引書類が原告の内部資料にとどまっている段階であれば格別, これを取引先に現に送信した事実が認められる以上, 指定役務についての登録商標の使用と認めるに妨げはなく, 保護するに値しない, いわば権利の上に眠る商標として取り消されるべき理由はない したがって, 上記 FAX 送信メモ に関しても, 商標法 50 条 2 項に規定する使用の事実の立証は十分である 3 以上のとおり, 原告主張の審決取消事由は理由があり, この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから, 審決は取消しを免れない よって, 原告の請求は理由があるからこれを認容し, 主文のとおり判決する 東京高等裁判所第 13 民事部 裁判長裁判官篠原勝美 裁判官長沢幸男 裁判官宮坂昌利