栃木県土地利用基本計画 平成 23 年 3 月 栃木県
目 次 序章計画の性格 1 第 1 章 土地利用の基本方向 2 1 土地利用の基本方向 2 2 五地域区分の土地利用の原則 2 (1) 都市地域 2 (2) 農業地域 3 (3) 森林地域 4 (4) 自然公園地域 5 (5) 自然保全地域 6 第 2 章 土地利用の調整に関する事項 7 1 五地域区分の重複する地域における土地利用の調整指導方針 7 (1) 都市地域と農業地域とが重複する地域 7 (2) 都市地域と森林地域とが重複する地域 7 (3) 都市地域と自然公園地域とが重複する地域 7 (4) 都市地域と自然保全地域とが重複する地域 8 (5) 農業地域と森林地域とが重複する地域 8 (6) 農業地域と自然公園地域とが重複する地域 8 (7) 農業地域と自然保全地域とが重複する地域 8 (8) 森林地域と自然公園地域とが重複する地域 9 (9) 森林地域と自然保全地域とが重複する地域 9 2 その他の考慮すべき事項 9 参考 地域区分の重複する地域の土地利用の調整指導方針 ( 表 ) 10
序章 計画の性格 この栃木県土地利用基本計画は 国土利用計画法 ( 昭和 49 年法律第 92 号 ) 第 9 条に基づき 栃木県の区域における国土 ( 以下 県土 という ) の利用に関し必要な基本的事項について定めるものです また 国土利用計画 ( 全国計画及び栃木県計画 ) を基本として策定し 国土利用計画法に基づく土地取引の規制 遊休土地に関する措置及び土地利用に関する他の諸法律に基づく開発行為の規制その他の措置を実施するに当たっての基本となる計画です すなわち この計画は 都市計画法 ( 昭和 43 年法律第 1 0 0 号 ) 農業振興地域の整備に関する法律 ( 昭和 44 年法律第 58 号 ) 森林法 ( 昭和 26 年法律第 2 4 9 号 ) 自然公園法 ( 昭和 32 年法律第 1 6 1 号 ) 自然環境保全法 ( 昭和 47 年法律第 85 号 ) 等 ( 以下 個別規制法 という ) に基づく諸計画に対する上位計画として行政内部の総合調整機能を果たすとともに 土地取引に関しては直接的に 開発行為については個別規制法を通じて間接的に規制の基準としての役割を果たします - 1 -
第 1 章 土地利用の基本方向 1 土地利用の基本方向 県土の利用にあたっては 国土利用計画栃木県計画の 第 2 章 え方 を基本とします 県土利用の基本的な考 2 五地域区分の土地利用の原則土地利用は 土地利用基本計画図に表示された都市地域 農業地域 森林地域 自然公園地域及び自然保全地域の五地域ごとに それぞれ次の原則に従って適正に行わなければなりません また 土地利用規制の観点からみて無秩序な開発や施設立地などの問題が生じるおそれのある地域においては 制度の的確な運用などを通じ 地域の環境を保全しつつ 地域の実情に応じた総合的かつ計画的な土地利用の実現を図るものとします なお 五地域のいずれにも属さない地域 ( 白地地域 ) においては 当該地域の特性及び周辺地域との関連などを考慮して適正な土地利用を図るものとします (1) 都市地域 都市地域は 一体の都市として総合的に開発し 整備し 及び保全する必要がある地域とします 都市地域の土地利用については 良好な都市環境の確保 形成 都市機能の集積 災害に対する安全性の向上やバリアフリー化 自然環境との調和などに配慮しつつ 既成市街地等の整備を進めるとともに 市街化区域 ( 都市計画法第 7 条第 1 項の市街化区域をいう 以下同じ ) 又は用途地域 ( 都市計画法第 8 条第 1 項第 1 号の用途地域をいう 以下同じ ) においては 市街地再開発事業や土地区画整理事業等により機能的な都市基盤を整備することを基本とします 本県においては 人口減少 少子高齢化社会を迎え 今後は 総世帯数の増加や利便性に応じた新たな集積などに伴う土地需要が当面見込まれるものの 全体としては 市街化圧力は中長期的に低下するものと見通されることから 集約型都市構造の構築による持続可能な都市づくりを推進することによって 土地利用の質的向上を図るものとします 都市地域 都市計画法第 5 条により都市計画区域として指定されることが相当な地域 - 2 -
ア 市街化区域 市街化区域は 既に市街地を形成している区域及びおおむね10 年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であるので 安全性 快適性 利便性等に十分配慮した市街地の開発 交通体系の整備 都市排水施設等の整備を計画的に推進するとともに 既成市街地等の土地利用の高度化と低 未利用地の有効活用を促進します また 当該区域内の樹林地 水辺空間等良好な自然環境を形成しているもので 都市環境上不可欠なものについては 積極的に保全していくものとします イ市街化調整区域 ( 都市計画法第 7 条第 1 項の市街化調整区域をいう 以下同じ ) 市街化調整区域は 市街化を抑制すべき区域であり 都市機能を中心市街地へ集積 させる観点から 特定の場合を除いて都市的な利用を制限し 良好な都市環境を保持 するために緑地等の保全を図るものとします ウ 域 市街化区域及び市街化調整区域に関する都市計画が定められていない都市計画区 用途地域内の土地利用については 市街化区域における土地利用に準ずるものとし 用途地域以外の地域においては 土地利用の動向を踏まえ 自然環境及び農林地の保 全に留意しつつ都市的な利用を認めるものとします (2) 農業地域 農業地域は 農用地として利用すべき土地があり 総合的に農業の振興を図る必要がある地域とします 農業地域の土地利用については 農用地が食料等を生産する上で欠くことのできない最も基礎的な土地資源であり 良好な生活環境や自然環境の維持 県土の保全 保水機能等多面的かつ重要な役割を果たしていることから 現況農用地は極力その保全と有効利用を図るとともに 県土の有効利用 生産性の向上などの見地から 農用地区域 ( 農業振興地域の整備に関する法律第 8 条第 2 項第 1 号の農用地区域をいう 以下同じ ) において 今後も必要とされる農用地を計画的に確保 整備することとします また 本県農業の強みや発展可能性を活かしながら 魅力ある産業として農業の持続的な発展を目指すこととし 優良農用地の確保と農業生産基盤の整備を進めるとともに 農用地の利用集積などによる効率的 合理的利用や 耕作放棄地の解消等により 適正 農業地域 農業振興地域の整備に関する法律第 6 条により農業振興地域として指定されることが相当な地域 - 3 -
な土地利用を図るものとします なお 中山間地域等における耕作放棄地については 農用地としての活用を積極的に図るものとしますが 森林化等の土地利用状況に応じて 農用地以外への有効利用を認めるものとします ア 農用地区域 農用地区域内の土地は 農業生産の基盤として確保されるべき土地であることから 土地改良等の農業生産基盤の計画的な整備とともに担い手への利用集積を推進することにより 農用地の効率的な利用と生産性の向上を図るものとし 他用途への転用は行わないものとします イ 農用地区域を除く農業地域 農用地区域を除く農業地域内の農地等については 都市計画等農業以外の土地利用 計画との調整が図られた場合には その計画に沿って土地利用を進めるものとします が 周辺農用地区域に影響を及ぼすような転用は行わないものとします (3) 森林地域 森林地域は 森林の土地として利用すべき土地があり 林業の振興又は森林の有する諸機能の維持増進を図る必要がある地域とします 森林地域の土地利用については 森林が木材等の林産物を安定的に供給する経済的機能のほかに 県土の保全 水源のかん養 地球温暖化防止のための二酸化炭素の吸収 自然環境の保全などの公益的機能を通じて県民生活に大きく寄与していることから 森林を県民全体の理解と協力のもとで次世代に引き継ぐため 大規模な開発から積極的に保全することを基本に 森林の有する多面的機能が高度に発揮されるよう 整備 保全を図るものとします 特に 原生的な森林や貴重な動植物が生息 生育する森林の保全に努めるものとともに 優良な人工林及び天然林については 公益的機能の発揮とともに森林資源としての循環利用を積極的に図るものとします また 身近な自然景観や良好な生活環境を確保するため 里山林の積極的な保全 活用を図るものとします なお 森林を他用途へ転用する場合には 周辺地域にある森林の保続培養と林業経営 森林地域 森林法第 2 条第 3 項に規定する国有林の区域又は同法第 5 条第 1 項の地域森林計画の対象となる民 有林の区域として定められることが相当な地域 - 4 -
の安定に留意しつつ 災害の発生 環境の悪化などの支障をきたさないよう十分に考 慮するものとします ア保安林 ( 森林法第 25 条第 1 項及び第 25 条の 2 第 2 項の保安林をいう 以下同じ ) 保安林については 保安林が県土の保全 水源のかん養 生活環境の保全などの諸機能の積極的な維持増進を図るべきものであることから 適正な管理を行うとともに 保安林として望ましい森林について指定を行っていきます また 他用途への転用は原則として行わないものとします イ 保安林以外の森林地域 保安林以外の森林地域については 経済的機能及び公益的機能等の維持増進を図るものとし 林地の保全に特に留意すべき森林 施業方法を特定されている森林 水源として依存度の高い森林 優良人工造林地又はこれに準ずる天然林等の機能の高い森林については 極力他用途への転用を避けるものとします (4) 自然公園地域 自然公園地域は 優れた自然の風景地で その保護及び利用の増進を図る必要がある地域とします 自然公園地域の土地利用については 自然公園が優れた自然の風景地であり 県民の保健 休養及び自然体験 学習等ふれあいの場としての利用に資するものであること また 生態系ネットワークの中核として生物多様性を保全するうえで重要な役割を果たしていることから 優れた自然の保護とその適正な利用を図るものとします 本県は 世界に誇る日光国立公園をはじめ 尾瀬国立公園や8 箇所の県立自然公園を有していることから 国又は県が策定した公園計画に基づき 優れた自然の風景地を積極的に保護するとともに その適正な利用を図るものとします ア 特別地域 ( 自然公園法第 20 条第 1 項又は栃木県立自然公園条例 ( 昭和 33 年栃木県 条例第 11 号 ) 第 12 条第 1 項 の特別地域をいう 以下同じ ) 特別地域においては 地域指定の趣旨に沿ってその風致の維持を図るものとします 自然公園地域 自然公園法第 2 条第 1 号の自然公園として指定されれることが相当な地域 平成 23 年 4 月 1 日以降は 栃木県立自然公園条例第 19 条第 1 項となります - 5 -
また 特別保護地区 ( 同法第 21 条第 1 項による特別保護地区をいう ) においては 地区指定の趣旨に沿って その景観の厳正な維持を図るものとします イ普通地域 ( 自然公園地域のうち特別地域に含まれない区域をいう 以下同じ ) 普通地域においては 都市的利用又は農業的利用を行うための大規模な開発その他 自然公園としての風景の保護に支障をきたすおそれのある土地利用は 極力避けるも のとします (5) 自然保全地域 自然保全地域は 良好な自然環境を形成している地域で その自然環境の保全を図る必要がある地域とします 自然保全地域の土地利用については 自然環境が人間の健康的で文化的な生活に欠くことのできないものであること及び自然公園地域とともに生態系ネットワークの中核としての役割を果たしていることを考慮し 広く人々が自然環境や生物多様性からの恵みを享受するとともに 次の世代にこれを継承できるよう 積極的に保全を図るものとします 現在 本県はミヤコタナゴやトチノキの原生林など貴重な動植物が生息 生育している27 箇所の自然環境保全地域を有していますが 本県の生態系ネットワークの維持 形成を図るうえで核となる地域については 新たな指定を行い その保全を図ります ア 特別地区 ( 自然環境保全法第 25 条第 1 項又は自然環境の保全及び緑化に関する 条例 ( 昭和 49 年栃木県条例第 5 号 ) 第 15 条第 1 項の特別地区をいう 以下同じ ) 特別地区においては その指定の趣旨に沿って 特定の自然環境の状況に対応した 適正な保全を図るものとします イ じ ) 普通地区 ( 自然環境保全地域のうち特別地区に含まれない区域をいう 以下同 普通地区では 原則として土地の利用目的を変更しないものとします 自然保全地域自然環境保全法第 14 条の原生自然環境保全地域 同法第 22 条の自然環境保全地域又は同法第 45 条第 1 項に基づく都道府県条例による都道府県自然環境保全地域として指定されることが相当な地域 - 6 -
第 2 章 土地利用の調整に関する事項 1 五地域区分の重複する地域における土地利用の調整指導方針 都市地域 農業地域 森林地域 自然公園地域又は自然保全地域のうちの2 地域が重複している地域においては 次に掲げる調整指導方針に即し また 3 以上の地域が重複する地域においては 次に掲げる調整指導方針におけるそれぞれの関係からみた優先順位 指針の方向等を考慮して 国土利用計画栃木県計画で示される県土利用の方向に沿った適正かつ合理的な土地利用を図ります (1) 都市地域と農業地域とが重複する地域 ア市街化区域及び用途地域 ( 市街化区域内の用途地域を除く 以下同じ ) 以外の都市地域と農用地区域とが重複する場合農用地としての利用を優先するものとします イ市街化区域及び用途地域以外の都市地域と農用地区域以外の農業地域とが重複する場合土地利用の現況に留意しつつ 農業上の利用との調整を図りながら 都市的な利用を認めるものとします (2) 都市地域と森林地域とが重複する地域 ア都市地域と保安林の区域とが重複する場合保安林としての利用を優先するものとします イ市街化区域及び用途地域と保安林の区域以外の森林地域とが重複する場合原則として 都市的な利用を優先するが 緑地としての森林の保全に努めるものとします ウ市街化区域及び用途地域以外の都市地域と保安林の区域以外の森林地域とが重複する場合森林としての利用の現況に留意しつつ 森林としての利用との調整を図りながら 都市的な利用を認めるものとします (3) 都市地域と自然公園地域とが重複する地域 ア市街化区域及び用途地域と特別地域以外の自然公園地域とが重複する場合自然公園としての機能をできる限り維持するよう調整を図りながら都市的な利用を図っていくものとします - 7 -
イ市街化区域及び用途地域以外の都市地域と特別地域とが重複する場合自然公園としての保護及び利用を優先するものとします ウ市街化区域及び用途地域以外の都市地域と特別地域以外の自然公園地域とが重複する場合両地域が両立するよう調整を図っていくものとします (4) 都市地域と自然保全地域とが重複する地域 ア市街化区域及び用途地域以外の都市地域と特別地区が重複する場合自然環境としての保全を優先するものとします イ市街化区域及び用途地域以外の都市地域と特別地区以外の自然保全地域が重複する場合両地域が両立するよう調整を図っていくものとします (5) 農業地域と森林地域とが重複する地域 ア農業地域と保安林の区域とが重複する場合保安林としての利用を優先するものとします イ農用地区域と保安林の区域以外の森林地域とが重複する場合原則として 農用地としての利用を優先するものとしますが 農業上の利用との調整を図りながら 森林としての利用を認めるものとします ウ農用地区域以外の農業地域と保安林の区域以外の森林地域とが重複する場合森林としての利用を優先するものとしますが 森林としての利用との調整を図りながら 農業上の利用を認めるものとします (6) 農業地域と自然公園地域とが重複する地域 ア イ 農業地域と特別地域とが重複する場合自然公園としての保護及び利用を優先するものとします 農業地域と特別地域以外の自然公園地域とが重複する場合両地域が両立するよう調整を図っていくものとします (7) 農業地域と自然保全地域とが重複する地域 ア イ 農業地域と特別地区が重複する場合自然環境としての保全を優先するものとします 農業地域と特別地区以外の自然保全地域が重複する場合両地域が両立するよう調整を図っていくものとします - 8 -
(8) 森林地域と自然公園地域とが重複する地域 両地域が両立するよう調整を図っていくものとします (9) 森林地域と自然保全地域とが重複する地域 両地域が両立するよう調整を図っていくものとします 2 その他の考慮すべき事項 地方分権の進展に伴い 土地利用関係法令に基づく土地利用規制権限などの市町村への移譲が 今後さらに進むことが予想されます このため 市町村が策定する基本構想 ( 振興計画等 ) 国土利用計画市町村計画 都市計画マスタープランなどに沿った土地利用を実現するための市町村の主体的な取組に配慮しつつ 土地利用の現況と動向等の把握に一層努め 本制度のより適切な運用 管理を図るため 市町村の個別規制法担当部局との一層の連携を図るものとします - 9 -
参考 地域区分の重複する地域の土地利用の調整指導方針 五地域区分 都市地域 農業森林自然公自然保全 地域地域園地域地域 細市市そ農そ保そ特普原特普五区街街の用の安の別通生別通分化化他地他林他地地自地地地区調区域域然域域域整域環域及区境び域保区用全細途地分区地域分域 都市 地域 市街化区域及び用途地域 市街化調整区域 その他 農業農用地区域 地域その他 1 1 森林保安林 地域その他 2 3 3 4 5 自然特別地域 公園地域普通地域 6 原生自然環境保全地域 自然保全特別地域 地域普通地域 凡例 : 制度上又は実態上 一部の例外を除いて重複のないもの : 相互に重複している場合は 矢印方向の土地利用を優先する : 相互に重複している場合は 両地域が両立するよう調整を図る 1: 土地利用の現況に留意しつつ 農業上の利用との調整を図りながら都市的な利用を認める 2: 原則として都市的な利用を優先するが 緑地としての森林の保全に努める 3: 森林としての利用の現況に留意しつつ 森林としての利用との調整を図りながら都市的な利用を認める 4: 原則として農用地としての利用を優先するものとするが 農業上の利用との調整を図りながら森林としての利用を認める 5: 森林としての利用を優先するものとするが 森林としての利用を図りながら農業上の利用を認める 6: 自然公園としての機能をできる限り維持するよう調整を図りながら都市的利用を図る - 10 -