遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は

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7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

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処分済み

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処分済み

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

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ものであるから 法定相続における遺産分割とパラレルに考えるべき事案であって 相続による不動産の取得 として 法 7 3 条の 7 第 1 号を適用して非課税とされるべきものである 処分庁は 私的取引社会における事実の流れを勝手に分断し その一部だけに税法を適用しており 裁量権の逸脱であって許されない

の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

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特例適用住宅 という ) が新築された場合 ( 当該取得をした者が当該土地を当該特例適用住宅の新築の時まで引き続き所有している場合又は当該特例適用住宅の新築が当該取得をした者から当該土地を取得した者により行われる場合に限る ) においては, 当該土地の取得に対して課する不動産取得税は, 当該税額から

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処分済み

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<4D F736F F D2095BD90AC E D738CC2816A939A905C91E D862E646F63>

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

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平成  年(オ)第  号

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

き一 修正申告 1 から同 ( 四 ) まで又は同 2 から同 ( 四 ) までの事由が生じた場合には 当該居住者 ( その相続人を含む ) は それぞれ次の 及び に定める日から4 月以内に 当該譲渡の日の属する年分の所得税についての修正申告書を提出し かつ 当該期限内に当該申告書の提出により納付

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

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平成 30 年 9 月 25 日 諮問 平成 30 年 11 月 13 日審議 ( 第 27 回第 4 部会 ) 平成 30 年 12 月 11 日審議 ( 第 28 回第 4 部会 ) 第 6 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

1 A 所有の土地について A が B に B が C に売り渡し A から B へ B から C へそれぞれ所有権移転登記がなされた C が移転登記を受ける際に AB 間の売買契約が B の詐欺に基づくものであることを知らなかった場合で 当該登記の後に A により AB 間の売買契約が取り消された

< F2D96AF A88CA081408D C52E6A7464>

〔問 1〕 A所有の土地が,AからB,BからCへと売り渡され,移転登記も完了している

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

20 第 2 章 遺留分減殺請求権の行使 遺留分侵害行為の特定 () 遺言遺言のうち 相続分の指定 相続させる遺言 包括遺贈 特定遺贈 が遺留分を侵害する行為です (2) 生前贈与生前贈与のうち 相続開始前 年間になされた贈与 遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた贈与 特別受益 不相当な対

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

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不動産登記法(各論Ⅰ)

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非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

- 2 - 二一の遺言書は 法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならないものとすること (第四条第二項関係)三一の申請は 遺言者の住所地若しくは本籍地又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあって

高島市職員措置請求に係る監査の結果について 第 1 請求の受付 1 請求書の提出平成 29 年 9 月 28 日 2 請求人 3 請求の要旨 ( 高島市職員措置請求書 の原文のまま記載) 1 請求の要旨高島市長による平成 29 年度の固定資産税の賦課において 別紙の固定資産について 家屋の未評価によ

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平成 21 年 4 月 19 日 おいじたくあんしんネットレジュメ 不動産登記と相続 司法書士石川亮 1. 不動産登記法改正 1. オンライン申請の導入 ( 不登法 18 条 ) ( ア ) 不動産登記法が改正され 条文上原則オンライン申請となった ( イ ) オンライン申請促進のため登録免許税が軽

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返還の必要性を十分説明しており 手続は適法である 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件の争点は 本件保険が法第 4 条第 1 項に規定する 利用し得る資産 に該当するかどうかであるが その判断に当たっては 処分庁が判断の要素

Unit1 権利能力等, 制限行為能力者 ( 未成年 ) 1 未成年者が婚姻をしたときは, その未成年者は, 婚姻後にした法律行為を未成年であることを理由として取り消すことはできない (H エ ) 2 未成年者が法定代理人の同意を得ないで贈与を受けた場合において, その贈与契約が負担付の

総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

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次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

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第 1 民法第 536 条第 1 項の削除の是非民法第 536 条第 1 項については 同項を削除するという案が示されているが ( 中間試案第 12 1) 同項を維持すべきであるという考え方もある ( 中間試案第 12 1 の ( 注 ) 参照 ) 同項の削除の是非について どのように考えるか 中間

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

○不動産を売買した場合の申請書の様式・記載例(オンライン庁)

Asakura ミニマムテキスト 2 所有権保存登記の抹消 (1) 申請人 所有権登記名義人が単独で申請する (2) 添付情報 a 登記識別情報 所有権登記名義人の登記識別情報が必要 b 印鑑証明書 所有権登記名義人が単独で申請するが, 真意で申請したことを確認するために必要

2006 年度 民事執行 保全法講義 第 4 回 関西大学法学部教授栗田隆

がある 7 平成 28 年 3 月 28 日 処分庁は 同日付で審査請求人に対し 借入金収入 円の未申告により生じた保護費過払い分について 法第 78 条第 1 項の規定により費用徴収を行う決定を行い 同年 7 月 7 日 費用徴収決定通知書を審査請求人に手交した 8 審査請求人は 平成 28 年

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

税金の時効 税務では 時効のことを更正 決定処分の期間制限 = 除斥期間 といいます その概要は 以下の通りです 1. 国税側の除斥期間 ( 通則法 70) 1 期限内申告書を提出している場合の所得税 相続税 消費税 税額の増額更正 決定処分の可能期間 : 法定申告期限から 3 年 2 無申告の場合

仕事の依頼に諾否の自由はなく 業務の内容及び遂行方法について本件会社の指揮命令を受け アシスタント雇用等に関する規程等により 業務を他人に代替させえない 所得税の源泉徴収 雇用保険 厚生年金 健康保険の保険料徴収がある 営業所 机 パソコン 文具等は本件会社の提供に係るものであり 経費は立替精算であ

5 根抵当権者の会社分割 61 根抵当権者の会社分割 Ⅰ ケース概要甲野銀行は 乙野商事に対する融資取引の担保として乙野商事所有の土地につき根抵当権の設定を受けていたが その後 丙川銀行を承継会社とする吸収分割が行われた 今般 当該確定前の根抵当権について 他の事由により登記を行うこととなったため

<4D F736F F D D7390AD8BE689E682CC95CF8D5882C994BA82A4936F8B4C96BC8B60906C939982CC8F5A8F8A82CC95CF8D5882C98C5782E9936F8B4C8E9

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

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#210★祝7500【H30税法対策】「登録免許税ほか」優先暗記30【宅建動画の渋谷会】佐伯竜PDF

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19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

固定資産評価審査申出とは

H 沖縄会レジュメ税務

実務の視点Ⅴ(18).indd

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達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

(2) B 社に係る破産事件等東京地方裁判所は, 平成 21 年 2 月 24 日,B 社を再生債務者として, 再生手続開始の決定をした しかし, 東京地方裁判所は, 同年 3 月 24 日,B 社の事業継続を不可能とする事実が明らかになったとして, 再生手続廃止の決定をするとともに, 再生手続廃止

被上告人に対し, 上記各賦課決定の取消しを求めている事案である 2 原審の適法に確定した事実関係等の概要は, 次のとおりである (1) 上告人は, 東京都渋谷区内に所在する面積が200m2以下である本件土地及びこれを敷地とする第 1 審判決別紙物件目録記載の建物 ( 以下 旧家屋 という ) を所有

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異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

52 第 1 章親族第 1 親族一般 554) 遺贈はいつでも撤回ができるとする民法 1022 条も準用されます ( 最判昭 民集 判時 ) 死因贈与においても 遺贈と同様に贈与者の最終意思が尊重されるためです なお この撤回権は 贈与者本人のみが行使で

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

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b c.( 略 ) 2 不動産取得税の軽減に係るの発行信託会社等の地方税法附則第 11 条第 12 項に基づく不動産取得税の軽減のための同法施行令附則第 7 条第 12 項に規定するの発行等については 以下のとおり取り扱うものとする イ ロ.( 略 ) 載があること c d.( 略 ) 2 不動産取

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

koku

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

認可地縁団体が所有する不動産に係る登記の特例について < 制度の概要 > 通常 登記名義の変更手続きは 登記権利者 ( 新たな名義人 ) と登記義務者 ( 現在の名義人 死亡している場合にはその相続人 ) 双方の共同で行う必要があります そのため 登記簿に表示された所有者や相続人の所在が分からない場

Transcription:

答 申 審査請求人 ( 以下 請求人 という ) が提起した地方税法 ( 以下 法 という ) の規定に基づく各不動産取得税賦課処分及び各督促処分に係る各審査請求について 審査庁から諮問があったので 次のとおり答申する 第 1 審査会の結論 本件各審査請求は いずれも棄却すべきである 第 2 審査請求の趣旨本件各審査請求の趣旨は 東京都 都税事務所長 ( 以下 処分庁 という ) が 請求人に対し 平成 2 9 年 5 月 1 0 日付けの各納税通知書 ( 3 通 ) により行った別紙 1 物件目録 1 記載の土地及び同目録 2 及び3 記載の各家屋 ( 以下併せて 本件各不動産 という ) の取得に係る各不動産取得税賦課処分 ( 内容は 別紙 2 賦課処分目録 1 ないし 3 記載のとおり 以下併せて 本件各賦課処分 という ) 及び 同年 6 月 3 0 日付けの各督促状 ( 3 通 ) により行った本件各賦課処分に基づく徴収金に係る各督促処分 ( 以下併せて 本件各督促処分 といい 本件各賦課処分と併せて 本件各処分 という ) について いずれもその取消しを求めるものである 第 3 請求人の主張の要旨請求人は 以下のように 本件各処分の違法性 不当性を主張している 請求人は 本件各不動産について 前所有者から遺贈を受けた受 - 1 -

遺者であったが 事情があって遺贈の放棄をした 民法 986 条の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされているから 前所有者から請求人に対する本件各不動産の所有権移転の事実は無かったものであり 請求人は本件各不動産を 取得 していないこととなる 本件各不動産について 不動産登記簿には 一旦は遺贈を原因とする所有権移転登記がなされたが 請求人による遺贈の放棄により 東京法務局 出張所平成 2 9 年 1 月 1 9 日受付にて錯誤を原因とする所有権移転登記抹消登記がなされている その後になされた本件各賦課処分は 民法の規定に違反する違法 不当な処分であり 本件各督促処分とともに取り消されるべきである 第 5 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項に よりいずれも棄却すべきである 第 6 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 29 年 10 月 17 日 諮問 平成 29 年 12 月 1 日審議 ( 第 15 回第 2 部会 ) 平成 29 年 12 月 26 日審議 ( 第 16 回第 2 部会 ) 第 7 審査会の判断の理由審査会は 請求人の主張 審理員意見書等を具体的に検討した結果 以下のように判断する 1 法令等の定め (1) 民法 9 6 4 条の規定によれば 遺言者は 包括又は特定の名義 - 2 -

で その財産の全部又は一部を処分することができ 同法 985 条 1 項の規定によれば 遺言は 遺言者の死亡のときからその効果を生じる また 同法 986 条 1 項の規定によれば 受遺者は 遺言者の死亡後 いつでも 遺贈の放棄をすることができ 同条 2 項の規定によれば 遺贈の放棄は 遺言者死亡のときに遡ってその効力を生じるとされている そして 同法 99 5 条の規定によれば 遺贈が放棄によってその効力を失ったときは 受遺者が受けるべきであったものは 遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き 相続人に帰属するとされる (2) 法 7 3 条の 2 第 1 項の規定によれば 不動産取得税は 不動産の取得に対し 当該不動産の取得者に課することとされている このことについて 判例によれば 法 73 条の2 第 1 項にいう 不動産の取得 とは 他に特段の規定がない以上 不動産所有権の取得を意味するものと解するのが相当であり その取得が認められる以上 取得原因のいかんを問わないものと解すべきである ( 最高裁判所昭和 45 年 10 月 23 日判決 最高裁判所裁判集民事 1 0 1 号 1 6 3 頁 ) さらに 不動産の取得 とは 不動産の取得者が実質的に完全な内容の所有権を取得するか否かには関係なく 所有権移転の形式による不動産の取得のすべての場合を含むものと解するのが相当である ( 最高裁判所昭和 48 年 11 月 16 日判決 最高裁判所民事判例集 27 巻 10 号 1333 頁 ) とされている また 不動産取得税は 不動産の取得者が当該不動産により取得しあるいは将来取得するであろう利益に着目して課せられるものではなく 不動産の移転という事実自体に着目して課せられるのをその本質とするものであることに照らすと 法 7 3 条の 2 第 1 項にいう 不動産の取得 とは 所有権の得喪に関する法律効果の側面からではなく その経過的事実に則してとらえた不動産 - 3 -

所有権取得の事実をいうと解され 売買契約の解除に基づく売主の所有権の回復も その経過的事実に則してこれをみれば それが合意によるものであると解除権の行使によるものであるとにかかわらず 一旦買主に移転した所有権が再び売主に移転したものというべきであり したがって 上記にいう 不動産の取得 にあたると解すべきである ( 最高裁判所昭和 4 8 年 1 1 月 2 日判決 最高裁判所裁判集民事 1 1 0 号 3 9 9 頁 ) とされ さらに 不動産取得税の課税要件である 不動産の取得 と同様の意義を有すると考えられる特別土地保有税の課税要件である 土地の取得 についても 所有権の移転の形式により土地を取得するすべての場合を含み 取得の原因となった法律行為が取消し 解除等により覆されたかどうかにかかわりがないと解するのが相当である ( 最高裁判所平成 1 4 年 1 2 月 1 7 日判決 最高裁判所裁判集民事 2 0 8 号 5 8 1 頁 ) とされている (3) 法 7 3 条の 3 4 の規定によれば 納税者が納期限までに不動産取得税に係る地方団体の徴収金を完納しない場合においては 徴税吏員は 納期限後 20 日以内に 督促状を発しなければならないと規定する ただし この 納期限後 2 0 日以内に との定めの部分は 訓示規定であり 納期限後 2 0 日を過ぎた後に発付された督促状も有効であると解されている ( なお 地方税の他の税目に係る督促処分に関して同様の定めを置いている法 329 条 3 7 1 条 4 57 条の各規定中 督促状の発付期限に関する部分は いわゆる訓示規定であり 期限後になされた督促も有効であるとの下級審判例 ( 徳島地方裁判所昭和 3 0 年 1 2 月 2 7 日判決 行政事件裁判例集 6 巻 12 号 2887 頁 ) がある ) 2 以上を前提に 本件について検討する (1) 本件各賦課処分について本件各不動産に係る登記の全部事項証明書及び処分庁が謄写し - 4 -

た登記申請書の添付書類 ( 遺言公正証書の謄本等 ) によると 請求人は 前所有者が死亡した平成 28 年 4 月 6 日 同人が生前作成した公正証書遺言に基づき 本件各不動産の所有権を特定遺贈を原因として承継取得したことが認められる 法 73 条の2 第 1 項にいう 不動産の取得 とは 不動産所有権の取得であり その取得が認められる以上 取得原因のいかんを問わないものと解すべきであるから 請求人において 本件各不動産について 同規定にいう 不動産の取得 があったことが認められるものであり 処分庁が 請求人に対して本件各賦課処分を行うための法律上の要件が備わっている ( かつ 法 73 条の 7の規定する非課税要件には該当しない ) と判断したことには 違法 不当な点はない (2) 遺贈の放棄に係る請求人の主張本件各不動産に係る登記の全部事項証明書によると 請求人への本件各不動産の所有権移転登記が経由された後 錯誤を原因として同登記の抹消登記手続が行われていることが認められる このことについて 請求人は 事情があって遺贈の放棄を行ったとして 遺贈の放棄は 民法の規定により遺言者である前所有者の死亡時に遡って効果が生じるため 請求人による本件各不動産の 取得 はなかったものであり 不動産取得税の課税要件を欠いている旨を主張する ( 第 3) 本件各不動産に係る上記所有権移転登記抹消登記の原因は 錯誤 とあるのみであり 登記申請書の添付書類 ( 写し ) を見ても その具体的な事由は明確とはならず 遺贈の放棄があった事実を資料上確認することができない上 請求人による遺贈の放棄が真実あったとしても 実際にいついかなる方法により行われたのかは 必ずしも明確ではない しかし 遺贈の放棄の事実が現にあったとすると 遺贈の放棄の法律効果は 遺言者の死亡の時に遡るとされているから ( 民法 986 条 2 項 ) 遺言者の死亡 - 5 -

という原因が生じた後に 相続財産の帰属先について それがどのように帰結することとなったのかという側面においては 遺贈の放棄後は 遺贈による所有権の移転は当初から存在しなかったものと法律上処理されることとなるものである (3) 不動産の取得 に係る経過的事実の存在についてしかしながら 遺贈により 一旦は遺言者の死亡時に遺贈の効果が生じるのであり ( 民法 985 条 1 項 ただし 遺贈が停止条件付である場合は条件成就時に効果を生じるが ( 同条 2 項 ) 本件の場合にはこれには当たらない ) 遺贈の放棄がなされたとしても その直前までは 受遺者に遺贈の対象たる財産が帰属している法律状態であったという経過的事実そのものは 否定されるものではない 現に 請求人は 特定遺贈により所有権を取得したのみならず 本件各不動産につき 所有権移転登記を経由しており この間 当該物権変動についての第三者対抗要件を備えていた時期があったものである 遺言は 遺言者による単独行為であり 受遺者の意思にかかわらないものであるが 遺贈を原因とする所有権移転登記は 登記権利者 義務者の双方申請で行われるのが原則であって そうとすると 請求人自らが上記対抗要件具備に与しているものであり かかる経過的事実の作出に請求人もまた積極的に関与していることは明らかである (4) 検討そこで 民法の上記規定 ( 9 8 6 条 2 項 ) により遺贈の放棄に遡及効が認められている趣旨と 不動産取得税の課税の際に課税要件である 不動産の取得 を経過的事実に則してとらえるべきとの法理との関係をどのようにとらえるかが問題となる 民法 986 条 2 項の規定が 遺贈の放棄の遡及効を定めている趣旨は 遺贈の放棄がなされれば この点に係る遺言者の意思は実現されないこととなり 受贈者が受けるべきであったもの ( 遺 - 6 -

贈の対象とされていた相続財産 ) は 原則として 相続人に帰属する ( 民法 99 5 条 ) こととなるが 放棄の効果を相続開始時に遡及させるのでなければ 受贈者が受けるべきであったものを 相続人が相続財産の一部として被相続人から直接に包括的に承継したとの構成がとれなくなって 法律関係が複雑化することとなるのであり そのような不適切な結果となることを避けるために 遺贈の放棄には遡及効があることを規定上明言したものであると考えられる 一方 前述 ( 1 (2)) のとおり 不動産取得税は 不動産の取得者が当該不動産により取得しあるいは将来取得するであろう利益に着目して課せられるものではなく 不動産の移転という事実自体に着目して課せられるのをその本質とするものであることに照らすと 法 7 3 条の 2 第 1 項にいう 不動産の取得 とは 所有権の得喪に関する法律効果の側面からではなく その経過的事実に則してとらえた不動産所有権取得の事実をいうと解され 取得の原因となった法律行為が覆されたかどうかにかかわりがないというべきである そして このことは 本件のように 不動産の取得の原因が特定遺贈であり 遺贈の放棄によって法律関係が覆された場合であっても 同様であると解せられる なぜなら この場合受遺者 ( 本件では請求人 ) に 不動産の取得 があるとして不動産取得税の課税を行っても 不動産取得税の課税要件の判断は あくまで経過的事実に則した不動産の移転をとらえるに過ぎないものであるから 相続財産の承継について規定する民法の規定により 所有権移転の効果が事後的に覆滅したこととは矛盾するものではないし また賦課処分自体は 相続を巡る財産の得喪に関する法律効果に直接の影響を及ぼすものではなく 民法の上記規定 ( 9 8 6 条 2 項 ) が存在する趣旨を没却するものでは何らないからである したがって 不動産取得税の - 7 -

賦課においては 民法 986 条 2 項の規定に該当する事実があることをもって 課税要件の認定を妨げる事由となるものではないと解せられる 以上によれば 請求人が主張するように 本件各不動産につき請求人による遺贈の放棄があった事実を理由として 本件各賦課処分が違法 不当となるものではない (5) 本件各督促処分についてまた 請求人は 本件各賦課処分による各不動産取得税の納期限である平成 29 年 5 月 31 日までに 同税に係る各徴収金の納付をしていない そのため 処分庁は 請求人に対して本件各督促処分を行ったものと認められ 同各処分は法令の規定に則ってなされたものであるから 違法 不当なものとすることはできない (6) 以上のとおりであるから 本件各処分を違法 不当とする請求人の主張には いずれも理由がない 3 請求人の主張以外の違法性又は不当性についての検討また 本件各処分において 課税標準額及び税額の算出に当たっての違算等 上記 2 に述べた以外の点においても違法又は不当があるとは認められない 以上のとおり 審査会として 審理員が行った審理手続の適正性や法令解釈の妥当性を審議した結果 審理手続 法令解釈のいずれも適正に行われているものと判断する よって 第 1 審査会の結論 のとおり判断する ( 答申を行った委員の氏名 ) 近藤ルミ子 山口卓男 山本未来 別紙 1 及び 2( 略 ) - 8 -