土木学会論文集 E1( 舗装工学 ), Vol.69, No.3( 舗装工学論文集第 18 巻 ), I_149-I_17, 213. 鋼床版補強用新型ハイブリッドポーラスコンクリート舗装の開発 遠藤大樹 1 竹津ひとみ 2 久利良夫 3 鎌田修 4 横田慎也 1 正会員住友大阪セメント株式会社セメント コンクリート研究所 ( 1-21 大阪市大正区南恩加島 7-1-) E-mail : taendou@soc.co.jp 2 正会員住友大阪セメント株式会社セメント コンクリート研究所 ( 1-21 大阪市大正区南恩加島 7-1-) 3 正会員博 ( 工 ) 阪神高速道路技術センター企画研究部 ( 41-4 大阪市中央区南本町 4--7) 4 正会員博 ( 工 ) 鹿島道路株式会社技術研究所 ( 182-36 東京都調布市飛田給 2-19-1) 正会員鹿島道路株式会社技術研究所 ( 182-36 東京都調布市飛田給 2-19-1) 近年, 鋼床版に発生する疲労ひび割れ低減に寄与させるため, アスファルト舗装の替わりに鋼繊維補強コンクリート (SFRC) が適用される事例がある. しかし,SFRC 上の表層としてアスファルト混合物を舗設した場合,SFRC 層が薄くなると同時に, 防水処理工, アスファルト混合物舗設工等の 2 つの工程が必要となる. そこで, コンクリート中のモルタルにチクソトロピー性を付与し,1 層施工で表面はアスファルト舗装と同等な騒音低減性と路面排水機能を有し, かつ底面は密実な状態でコンクリート版全体では遮水機能を併せ持つ, 新しいコンクリート舗装技術の開発について検討した. その結果, 良好なフレッシュ性状, 硬化性状を得ることができ, 実機により通常のポーラスコンクリートと同様な敷均しが可能であることを確認することができた. Key Words : steel plate deck, permeable, waterproof property, thixotopic workability 1. はじめに近年, ライフサイクルコストの観点から, コンクリート舗装が注目されている. コンクリート舗装は, アスファルト舗装に比べて流動わだち掘れが生じにくく, 油漏れが原因のポットホールや骨材飛散が起こりにくい等の長所がある. また, 鋼床版舗装の基層に鋼繊維補強コンクリート (SFRC) を適用して鋼床版の疲労ひび割れ低減に寄与させる適用事例もある. しかし, 一般的に表層とする場合, 交通騒音が大きくなり易く,SFRC 上の表層としてアスファルト混合物を舗設する複合体の場合は, コンクリート舗装厚が薄くなり疲労対策効果が低くなると同時に,SFRC を打設後に防水処理工, アスファルト混合物舗設工等の 2 つの工程が必要となる. 交通騒音の低減に効果のあるコンクリート舗装としては, ポーラスコンクリート舗装が有効であるが, 鋼床版上に適用する場合には, 雨水が浸透することにより, 鋼床版に発錆が予想されるため, 防水面に課題が生じる. 低騒音化舗装の既存技術として小粒径粗骨材を用いたコンクリートの洗い出し工法があるが, 密粒度アスファル トと同等の騒音レベルという報告例 1) もあり, 効果の確実性に課題がある. 表面がポーラスコンクリートのような騒音低減機能や路面排水機能を有し, 舗装断面の中央から底面に遮水機能を併せもつコンクリート舗装であれば, 上記の課題が解決でき, 更に施工工程を減らすことが可能となれば, 非常に機能的かつ効率的なコンクリート舗装となる. アスファルト舗装では,1 層施工で騒音低減機能と遮水機能を併せ持つ混合物が開発され 2), 3),NEXCO で 高機能 Ⅱ 型用混合物 として適用されている. しかし, 剛性の関係から鋼床版補強には適さない. そこで筆者らは, 供用中の既設鋼床版の補強を対象として, コンクリートの打設から交通開放までを1 日と設定し,1 層施工で表面がポーラスな状態で騒音低減機能 路面排水機能および遮水機能を併せ持つ, 新しいコンクリート舗装技術を開発することとした. 2. チクソトロピー性を利用した新型ハイブリッドコンクリート舗装の開発 I_149
ポーラスコンクリートは, 粗骨材の周りにモルタル被膜を作り, 締固め時に空隙を確保しつつ, モルタル被膜が結合して強度が得られる. このモルタル被膜を配合上で厚くし, コンクリート内部の空隙を十分に埋めるとともに表面付近のモルタル被膜のみをポーラスコンクリート並みにできれば, アスファルト舗装の機能性 SMA や高機能 Ⅱ 型用混合物のような性状のコンクリートができるものと考えられる. しかし, ポーラスコンクリートの被膜を単純に厚くするといった配合にするには, 粗骨材に対するモルタルの量が多くなり, 材料分離が生じ易くなる. そこで, この課題を解決するために筆者らはチクソトロピー性を利用することに着目した. 粘度 せん断 静止 せん断 時間 図 -1 チクソトロピー性概念図 チクソトロピー性を有したモルタル 粗骨材 表面 : ポーラスな状態 (1) チクソトロピー性混和材チクソトロピー性とは, 図 -1 に示すように, 物質にあるせん断速度で振動等を与えた場合に粘度が低下し, 静止させると粘度が回復する現象をいう. 図 -2 に新たに開発したハイブリッドコンクリートのイメージ図を示す. 新型ハイブリッドコンクリートは, 通常のポーラスコンクリート 4) よりモルタルの量を多くし, チクソトロピー性を有した混和材を混入することにより, 舗設時の敷均しや締固め時の振動を加えることでモルタルの粘性が小さくなり, 表面付近の余剰なモルタルを下部に落とし込むことが可能となる. また, 振動除去後はモルタルの粘性が大きくなるため, 過度のモルタルの流動を防ぐことによって, 表面付近がポーラスコンクリートと同等の状態となり, 下面には落とし込んだモルタルが遮水性を確保するものである. 写真 -1 に新型ハイブリッドコンクリートの硬化性状を示す. 結果, 表面がポーラスの状態となり, 透水層を有し, 底面は密実な状態となり, 版全体では遮水層を有する構造となる. チクソトロピー性を付与する混和材は, 減水成分とチクソトロピー性を付与させた樹脂を主成分とする新たに開発した専用の粉体特殊混和材である. 低水セメント比での混合を可能とさせ, 静止状態ではモルタルの流動を防ぎ, 振動を加えた際にモルタルの流動性を向上させることができるものである. (2) 目標性能鋼床版疲労対策への適用や重交通路線への適用を考慮した場合, 密実なコンクリート層は厚い方が良いことから, 厚さ方向には上部から粗骨材数個分のみをポーラスな状態とし, それより下部は遮水性を持たせるようにし, 同時に, ポーラス部の骨材飛散抵抗性を確保することを目標とした. 表面付近のポーラスな部分の透水層の厚さやモルタルの被膜厚さは, モルタル量や振動を加えた際 モルタル沈降底面 : 密実な状態振動を加えている状態振動除去後の静止状態図 -2 新型ハイブリッドコンクリート概念図 側面表面底面 写真 -1 新型ハイブリッドコンクリート硬化性状のモルタルの流動性が寄与し, 配合で調整できる. モルタルの流動性は, 混和材量やモルタルに対する細骨材の量等で調整することが可能である. ただし, 細骨材で調整する場合, 骨材の産地や細骨材の粒度が極端に変われば, モルタルの流動性も異なる. 本論文では, 室内試験により骨材種類がフレッシュ性状および硬化性状に及ぼす影響を確認し, 実機試験により製造, 運搬, 敷き均しの可否, 硬化性能を確認した. 3. 室内試験室内試験における検討は, それぞれ産地が異なる細骨材と粗骨材を組み合わせた 2 種類の骨材を使用してフレッシュ性状および硬化性能を確認した. (1) 使用材料使用材料を表 -1 に示す. 本研究では 1 日での交通開放 I_1
を可能とする補修工事を対象とし, 超早強セメントを使用した. 骨材は, 粗粒率, 実積率の異なる細骨材および粗骨材を組み合わせた 2 種類を使用した. 組み合わせた骨材の性状を表 -2 に示す. 骨材 1は, 細骨材の粗粒率が小さく細かいものであり, 骨材 2は, 細骨材の粗粒率が骨材 1より大きく, 粗めであるが, 粗骨材は骨材 1よりも実積率が大きく締固め易い骨材を使用した. (2) コンクリートの配合検討した配合を表 -3 に示す. 配合は, 粗骨材に対するモルタルの容積比 (Vm/Vg) でおおよその締固め率を調整し, モルタルに対する細骨材の容積比 (Vs/Vm) でモルタルの流動性等のフレッシュ性状を調整した. それぞれの骨材を用いて Vs/Vm を変化させ, 静止状態で材料分離をせず, かつ振動を加えたときに敢えて材料分離を起こすようなモルタルの流動性を確保できる配合を決定した. (3) フレッシュ性状評価方法新型ハイブリッドコンクリートのフレッシュ性状の評価方法を写真 -2 に示し, 以下に試験方法について述べる. a) 動的ダレ試験新型ハイブリッドコンクリートの施工時における必要なフレッシュ性状として, 静止状態ではモルタルの流動性が低く, 振動時ではモルタルの流動性を増大させる必要がある. 動的ダレ試験は, 施工時の振動により, 表面付近の余剰なモルタルを下部に落とし込むことを模擬した試験方法であり, 振動を加えた際のモルタルの流動性を評価するためのものである. 試験は, 試料 2kg を 4.7mm ふるい上に投入し, 型枠バイブレータを使用して 3 秒間振動を与える. 振動によって 4.7mm ふるいを通過したモルタルの質量を測定し, 試料の質量との割合を動的ダレ率として評価する. 動的ダレ試験により, 静止状態では材料分離せず, 振動を加えることでモルタルが流動する最適なフレッシュ性状を決定することができる. b) タンパ締固め試験タンパ締固め試験は, 新型ハイブリッドコンクリートの締固め性を評価するためのものである. 表 -1 使用材料 材料 略記 仕様 密度 (g/cm 3 ) 水 W 上水道水 1. セメント C 超早強セメント 3.11 細骨材 S1 栃木県佐野産陸砂 2.64 S2 佐賀県唐津産海砂 2.9 粗骨材 G1 栃木県佐野産 6 号砕石 2.6 G2 兵庫県西島産 6 号砕石 2.62 混和材 TA 特殊混和材 1.2 鋼繊維 Fi 防錆型鋼繊維 7.8 表 -2 組み合わせ骨材の性状 材料 略記 粗粒率 実積率 骨材 1 S1 1.93 --- G1 6.29 9.3 骨材 2 S2 2.82 ---- G2 6.8 61.3 試験は, 圧縮強度試験用供試体型枠 (φ=1mm) を使用し, 型枠内に供試体厚さ 1mm で理論的締固め度が 1 となる重量の試料を投入する. 試料の上から電動タンパで 1 秒間締固めた際の締固め度を算出し, 締固め率とする. タンパ締固め試験により, 締固め性の良い配合を決定することができる. (4) 配合の決定方法新型ハイブリッドコンクリートの配合を決定する方法として, 動的ダレ試験と Vs/Vm の関係から最適な Vs/Vm を決定した. なお,Vm/Vg は締固め率が 1±% になる 2.% および.% とした. a) 動的ダレ率と Vs/Vm の関係動的ダレ率と Vs/Vm の関係を図 -3 に示す. 骨材の種類に関わらず,Vs/Vm が大きくなるに従い, 動的ダレ率は低下した. それに伴い, モルタルを下部へ落とし込みにくくなる. また,Vs/Vm が小さくなるに従い, 動的ダレ率は増加し, それに伴い静止状態でモルタルの材料分離が生じ易い結果となった. b) 骨材種類の影響骨材 1では, 図 -3 の動的ダレ率と Vs/Vm の関係から Vs/Vm=21% を境に動的ダレ率が大きく変わることが認められ,Vs/Vm=21% よりも小さい場合は, モルタルが軟らかくなり, ダレ易い. 逆に Vs/Vm=21% よりも大きい 骨材種類 配合 No. 1 W/C Vm/Vg Vs/Vm 16. Void 表 -3 配合表 単位量 (kg/m 3 ) W C TA S1 S2 G1 G2 119 433 17 13 148 骨材 1 2 21. 112 47 17 17 148 27.. 12 3 23. 18 394 17 191 148 4 26. 1 381 17 211 148 2. 17. 114 41 17 131 1488 骨材 2 6 27.. 21. 12 112 47 17 167 1464 7. 23. 18 394 17 187 1464 Vm/Vg: 粗骨材に対するモルタル容積比,Vs/Vm: モルタルに対する細骨材容積比,void: 空隙率 I_11
場合は, 硬くなり, 動的ダレ率が小さくなる傾向となった. そのため,Vs/Vm=21.% を最適な Vs/Vm として決定した. しかし, 骨材 1と骨材 2を比較すると動的ダレ率が大きく異なる結果となり, 骨材性状の違いによりモルタルの流動性が変わることがわかった. 目標とするフレッシュ性状は, 静止状態で材料分離を生じず, かつ動的ダレ率も確保されるものである. 骨材 1の細骨材は, 粗粒率が小さいためモルタルの粘性が強く, 静止状態では材料分離は生じにくい. 逆に振動を加えると, 動的ダレ試験用の 4.2mm ふるいをモルタルが通過し易くなり, 動的ダレ率が得やすい傾向にあった. 一方, 骨材 2の細骨材は, 骨材 1よりも粗粒率が大きいためモルタルの粘性が低く, 静止状態で材料分離が生じ易い結果となった. 粘性を確保するために Vs/Vm を増加させると, 振動を加えてもダレにくくなる傾向にあった. その中でも静止状態で材料分離を生じず, 動的ダレ率が確保できるVs/Vm=17.% を最適 Vs/Vm として決定した. () 硬化性能鋼床版上での施工を考慮して, 決定した配合に鋼繊維を 6kg/m 3 外割りで添加し, 曲げ強度および曲げじん性を確認した. なお, 事前に配合 No.2 に鋼繊維を添加したところ動的ダレ率が 7.% から 6.7% となり, その差は.8% であった. このため, 鋼繊維 6kg/m 3 の場合, 動的ダレ率等のフレッシュ性状に大きな変化がないことを確認している. 使用する鋼繊維は, ポーラス部からの雨水の浸入による発錆を想定して, 亜鉛メッキを施した防錆型鋼繊維とした. a) 供試体作製方法曲げ供試体は, 示方配合の設計密度から 1mm 1mm 4mm の角柱供試体容積分の重量を計量し, 上面をコテで軽く抑え, その上面を均すように型枠バイブレータで 3 秒間振動を加えて作製した. b) 曲げ強度試験結果曲げ強度試験結果を図 -4 に示す. 曲げ強度試験は, 供試体の作製上, 打設面にそのまま載荷し, 目標値は 1 日強度で 4.N/mm 2 とした. 骨材 1と骨材 2とでは, 曲げ強度に大きな違いはなく, 動的ダレ率の小さかった骨材 2でも曲げ強度に問題はないことがわかった. また, 鋼床版上に適用する場合, 条件によっては負曲げ状態の応力が発生する箇所が存在する. 供試体打設下面から載荷する方法を 負曲げ として骨材 1に対して試験を実施した. 新型ハイブリッドコンクリートは, 上部にポーラスな部分が存在するために, 負曲げ強度が下がることが懸念されたが, 負曲げ強度も通常の曲げ強度と同程度に確保できることがわかった. さらに, 比較として SFRC と骨材 1の材齢 7 日における曲げ強度試験結果を図 - に示す.SFRC は, 動的ダレ率 曲げ強度 (N/mm 2 ) 曲げ強度 (N/mm 2 ) 8 6 4 2 1 8 6 4 2 動的ダレ試験タンパ締固め試験写真 -2 フレッシュ性状評価方法 1 1 骨材 1 骨材 2 1 1 2 2 3 3 Vs/Vm 図 -3 動的ダレ率と Vs/Vm の関係 骨材 1 骨材 2 骨材 1 負曲げ 材齢 1 日 図 -4 曲げ強度試験結果 骨材 1 SFRC 骨材 1 ( 密実部 ) 供試体厚さ 1cm 材齢 7 日 SFRC 供試体厚さ cm 図 - 曲げ強度試験結果 (SFRC 比較 ) 超速硬セメントを用いて W/C=4%, 鋼繊維を 1kg/m 3 添加した通常鋼床版で使用されている配合とした. その結果 骨材 1は単体の SFRC の 7% 程度の曲げ強度となったが 骨材 1の密実部 (cm) と SFRC(cm) を比較すると 寸法効果の影響 ) はあるものの密実部には空隙部が少なくなったことにより, 曲げ強度が大きくなり, SFRC と同程度の曲げ強度を有していた. このことから新型ハイブリッドコンクリートの遮水層は,SFRC と同程度の曲げ強度を有していることがわかった. I_12
c) 曲げじん性試験結果曲げタフネス試験 6) により, 曲げ強度試験同様に骨材 1の密実部 (cm) と SFRC(cm) の材齢 7 日の変位量と荷重の関係を求めた代表的な曲げタフネス試験結果を図 -6 に示す. その結果 骨材 1の密実部 (cm) の曲げじん性は 3.8N/mm 2 であり, 単体 SFRC の曲げじん性は 6.2 N/mm 2 であったことから, 単体の SFRC の方が新型ハイブリッドコンクリートよりも曲げじん性が大きい結果となった. しかし, 図 -7 に示すように近年鋼床版の疲労対策として採用されている SFRC と密粒度アスファルト混合物との複合体と新型ハイブリッドコンクリートを比較した場合, 剛性と曲げじん性は, 新型ハイブリッドコンクリートが大きく上回っていることが確認できた. また, 新型ハイブリッドコンクリートの骨材 1と骨材 2 は同様な挙動を示しており, 曲げじん性においても骨材の違いによる大きな差はなかった. d) 骨材飛散抵抗性試験結果往復チェーン型ラベリング試験 7) を骨材 1の配合で実施し, 骨材飛散抵抗性を確認した. 試験時のすり減り量は,.31cm 2 であり, 過去に車道用ポーラスコンクリートの測定値が概ね.3~.6cm 2 であったことから, 骨材飛散抵抗性も確保していることがわかった. e) タイヤ落下試験結果タイヤ落下試験 8) を骨材 1の配合で実施し, 騒音低減効果を確認した. 目標値を密粒度アスファルト混合物の実測値 99.dB(A) 以下とした. その結果,9.2dB(A) となり, 密粒度アスファルト混合物よりも 4.3dB(A) 程度騒音値が低く, 開発目的である騒音低減効果を確認できた. f) 乾燥収縮試験結果試験方法は JISA1129-2 を参考に, ゲージプラグのみ供試体表面のポーラス部と底面の密実部に貼り付け測定した. 供試体は脱型後 2±2 の水中に浸せきし, 材齢が 7 日になるまで養生し, 材齢 7 日を測定開始材齢とした. 新型ハイブリッドコンクリートの乾燥収縮試験結果を図 -8 に示す. 保存期間が 6 か月までの乾燥収縮量は表面と底面ともに μ 以下となった. また, 表面のポーラス部の収縮量が底面に比べて約 1μ 程度小さい結果となった. これは, 底面の密実部に比べてセメント量が少ないことや, 節点で構成している粗骨材量が多く, 骨材のかみ合わせによる影響であるものと考えられる. 4. 実用化に向けた検証室内試験で骨材の種類に関わらず, 良好な結果が得られたため, 実用化に向けてアジテータ車による運搬, 排出方法および敷均し方法による検証を実施した. 荷重 (kn) 荷重 (kn) 長さ変化率 ( 1-6 ) 1 8 骨材 1(cm) SFRC(cm) 6 4 2. 1 1. 2 2. 変位量 (mm) 図 -6 曲げじん性試験結果 ( 単体 SFRC 比較 ) 2 2 1 1 骨材 1 骨材 2 SFRC+ 密粒度アスファルト. 1 1. 2 2. 変位量 (mm) 図 -7 曲げじん性試験結果 ( 複合体比較 ) -2-4 -6-8 1 1 2 保存期間 ( 日 ) 図 -8 乾燥収縮試験結果 表 -4 使用材料 表面底面 材料略記仕様密度 (g/cm 3 ) 水 W 上水道水 1. セメント C 超早強セメント 3.11 細骨材 S2 佐賀県唐津産海砂 2.9 粗骨材 G2 兵庫県西島産 6 号砕石 2.62 混和材 TA 特殊混和材 1.2 鋼繊維 Fi 防錆型鋼繊維 7.8 W/C Vm/Vg 表 - 配合表 Vs/Vm Void Fi (kg/m 3 ) 27.. 21. 12 6 単位量 (kg/m 3 ) W C TA S2 G2 112 47 17 167 1464 Vm/Vg: 粗骨材に対するモルタル容積比, Vs/Vm: モルタルに対する細骨材容積比,void: 空隙率 (1) 使用材料使用材料を表 -4 に示す. 骨材は, 実機プラント所有の骨材を使用した. I_13
(2) 配合試験結果決定した配合を表 - に示す. 表 -3 の配合 No. でフレッシュ性状を確認したところ, 粗骨材に付着している細粒分 (mm 以下 ) が室内試験時より 2% 程度小さく, 動的ダレ率が 6.1%( 室内試験時 3.1%) となった. このため,Vs/Vm=17% から 21% に変更した結果, 動的ダレ率 3.% となったため, 最適 Vs/Vm を 21% に決定した. (3) 製造方法の検討室内ミキサで練混ぜる際は, 練落とし直後にコンクリートを採取するために, 経過時間による材料分離は生じにくい. しかし, 実際のアジテータ車運搬では, 運搬中の振動や経過時間によるモルタルの分離が懸念させる. そこで, 新型ハイブリッドコンクリートを実際のプラントのミキサで製造し, 製造した 3m 3 分をアジテータ車に積載し, 運搬方法および排出方法について検討した. a) 運搬方法実機プラントのミキサからアジテータ車へ練り落とし, アジテータ車のドラムを低速回転させて一般道を 3 分間運搬走行させた場合と, ドラムを回転させずに同様に 3 分間運搬走行させた場合のドラム内のモルタルの付着状況を確認した. アジテータ車のドラム内の状況を写真 -3 に示す. 回転の有無に関わらず, 大量のモルタルの付着は認められなかった. ただし, ドラムの回転なしの場合は, 運搬走行中にドラムの下部に材料が留まった状態にあったため, ドラムを回転させた場合よりもドラム内へのモルタルの付着が認められた. そのため, 運搬方法は, 低速で回転させながら運搬することが望ましいことがわかった. b) 排出方法新型ハイブリッドポーラスコンクリートは, 通常のポーラスコンクリートに比べ, 粘性が高く, かつモルタルの量が多い. そのため, 運搬走行中に材料分離が生じてしまう場合は, ドラム内にモルタルが残留し, アジテータ車から均一な材料を排出することが困難となる. そこで, 均一に材料が排出できる方法を検討した. 排出方法を表 -6 に示す. 評価方法は, 運搬方法の検討と同様に 3 分間運搬走行させた後, 各排出方法で排出された材料に対して,4.7mm ふるい通過量を測定した. 測定結果を表 -7 に示す. 排出前に撹拌を実施しなかったケース 1 は, 排出されたモルタルが少なくなり, 粗骨材が多くなった. 排出前に撹拌を実施しないと, 運搬中に徐々に材料分離を生じ, ドラム内にモルタルが残ったまま排出されることを確認した. 一方, 排出前に撹拌を実施したケース 2 およびケース 3 は, 材料分離が低減され, さらに低速から中速で排出口まで巻き上げられることによって, 粗骨材周りに適度な粘性を保ったモルタルの被膜が形成され, 均質な材料を排出することができた. 特に, 練混ぜ計量値に最も近い値となったケース 3 を最 方法 排出方法 回転なし回転あり写真 -3 アジテータ車ドラム内状況 条件 排出事前攪拌方法排出口までの巻き上げ方法 表 -6 排出方法 適な排出方法として決定した. ケース 1 ケース 2 ケース 3 攪拌なし低速 ~ 中速 表 -7 排出結果 2 分間中速攪拌低速 ~ 中速 試験条件 4.7mm ふるい通過質量 ケース 1 3.3 ケース 2 33.4 ケース 3 34.4 練り混ぜ計量値 34.2 表 -8 排出方法による硬化性能試験結果 試験 9) 現場透水試験 測定項目 1 分間高速攪拌低速 ~ 中速 アジテータ車ドラム残量初期中盤後半 透水量 (ml/1 秒 ) 1183 119 119 1),11) BPN 64 67 67 すべり抵抗性 DFT(μ8).44.43.41 往復チェーン型ラベリング 7) すり減り量 (cm 2 ).46.3.26 12) 加圧透水試験 透水係数 (cm/s) 不透水 不透水 不透水 排出初期排出後半写真 -4 排出別の平板表面状況 (4) 硬化性状の検討決定した製造および排出方法により作製した供試体を用いて硬化性状を確認した. a) 決定した排出方法による硬化性状排出方法ケース 3 で排出した際の表面性状の確認をするため, アジテータ車ドラム内の排出初期, 中盤 ( 残量 1.m 3 程度 ) および後半 ( 残量.3m 3 程度 ) で 8mm の供試体を作製した. 型枠は, 底板への振動の I_14
影響を無くすため, 側面だけ木枠を設置し, 既設コンクリート版にビニールシートを敷き, 直接材料を投入した. 仕上げは,22 22mm の平面プレートを取り付けた型枠バイブレータを 1 回だけ通過するように統一し, 作業時の振動による差がでないように注意した. それぞれの供試体で現場透水試験, すべり抵抗性試験 (BPN および DF テスタ ) を実施し, その後, 切り出して往復チェーン型ラベリング試験および加圧透水試験を実施した. 試験結果を表 -8 に示す. この結果から, アジテータ車ドラム内の残量に影響されず, 同等の性能を有していることが確認できた. また, 初期排出分と後半排出分で作製した供試体の表面性状を写真 -4 に示す. 何れも表面性状に大きな違いはなく, ポーラス部が確保されていた. b) 経時変化による硬化性状経時変化による表面性状の影響を確認するため, アジテータ車に 3m 3 積載し, 練り落しから 7 分および 1 分後の材料を採取し, 硬化性状の検討と同様に, 8mm の供試体を作製した. 作製した供試体で現場透水試験とすべり抵抗性試験 (BPN および DF テスタ ) を実施し, その後, 切り出して往復チェーン型ラベリング試験を実施した. 試験結果を表 -9 に示す. 練り落し 7 分から 1 分経過しても, 作製した供試体の硬化性状に大きな差はなかった. この結果から, 新型ハイブリッドコンクリートは, 通常の舗装工事で想定される範囲で十分に施工可能であることが確認できた. () 敷均し実験結果施工性を確認するため, 敷均し実験を実施した. 敷均し実験概要を表 -1, 平面図を図 -9 に示す. 実施場所は, 通常アジテータ車およびバラセメントローリー車が往来している構内道路であり, 大型車交通量としては,1 台 / 日程度である. 既設コンクリートを 8cm 切削し, 新型ハイブリッドコンクリートを舗設した. 人力施工には, 同配合で繊維なしの配合も敷均した. 既設コンクリート版との付着は, 人力施工部は, 鋼床版補修工事等で使用しているエポキシ樹脂を, 機械施工部は無収縮モルタルを使用した. a) 敷均し方法施工状況を写真 - に示す. 人力施工および機械施工どちらも表面から振動を加えることにより, モルタルの粘度が低下し, 下部へ沈降させることを想定した方法とした. 人力施工は, アジテータ車から排出されたコンクリートをアメリカンレーキで敷均し, コンパネの上からビブロプレートで仕上げ, 通常のポーラスコンクリートと同様に施工した. 表面にポーラスな状態が得られたことから, 従来のポーラスコンクリートと同等の施工性を有していることが確認できた. 表 -9 経時変化による硬化性能試験結果 試験 測定項目 練り落とし経過時間 ( 分 ) 7 1 現場透水試験 透水量 (ml/1 秒 ) 122 1193 すべり抵抗性 BPN 6 62 DFT(μ8).43.39 往復チェーン型ラベリング すり減り量 (cm 2 ).3.44 加圧透水試験 透水係数 (cm/s) 不透水 1. 1-8 3m 項目 施工場所 施工規模 施工厚 表 -1 敷均し実験概要 実施内容 住友大阪セメント 堺第 2SS 構内道路 延長 2m 幅員 3m 1 工区 : 人力施工 Fi なし 2 工区 : 人力施工 Fi あり 3 工区 : 機械施工 Fi あり 8mm 2m m m 繊維なし 繊維あり 人力施工状況 人力施工 エポキシ樹脂 図 -9 敷均し実験平面図 機械施工状況 写真 - 施工状況 表 -11 敷均し後硬化性状 機械施工 無収縮モルタル 1m 繊維あり 試験往復チェーン密度測定試験 ラベリング施工条件 加圧透水試験 施工 繊維 トップ空隙率変動係数コート すり減り量 (cm 2 ) 透水係数 (cm/s) なしなし 1. 17.6.1 不透水 人力 あり --- ---.12 不透水 あり なし 16.4 12.4.17.3 1-2 あり --- ---.6 1.6 1-2 機械 あり なし 18.6 24.1. 6. 1-3 あり --- ---.2 7.4 1-2 供試体本数 n=3 機械施工は, アスファルトフィニッシャでの施工を実施し, 通常外構用ポーラスコンクリートの施工で使用されているクラスのフィニッシャでも十分施工が可能であった. ただし, 橋面上で付着材にエポキシ樹脂を使用す I_1
る場合を想定すると, エポキシ樹脂上にフィニッシャが載ることができないため, 改良が必要となる. また, 室内では通常のポーラスコンクリートと同程度の骨材飛散抵抗性を有することが確認できているが, 高速道路上に適用する場合, 表面処理を施すことも想定されるため, 人力施工および機械施工の幅員の半分にトップコートの塗布も実施した. b) 硬化性状敷均し後の硬化性状を確認するため, 現場で供試体を採取し, 密度測定試験 ( トップコートなしのみ ), 往復チェーン型ラベリング試験および加圧透水試験を実施した. 試験結果を表 -11 に示す. 人力施工の繊維なしの場合が最も設定空隙率 12% に近い値であった. しかし, 繊維を混合することによって人力施工および機械施工に関わらず, 締固め率が低下した. 底面に透水が認められたことから, 繊維を混合した場合の締固め性能について今後検討が必要である. 骨材飛散抵抗性については, 室内試験時よりも向上し, トップコートで表面処理を施すことにより, さらに骨材飛散抵抗性は向上した. なお, 施工後 7 か月時点では, 敷均した全ての箇所において骨材飛散などの不具合は認められず, 良好な性状を保持している.. 結論筆者らは鋼床版補強用のコンクリート舗装として, 1 層施工で, 表面がポーラスな状態で騒音低減機能, 路面排水機能および遮水機能を併せ持つ, 新しいコンクリート舗装技術を開発した. 得られた知見を以下に示す. (1) 通常のポーラスコンクリートと粗骨材の量を同程度とし, モルタルの量を多くして, 特殊混和材を用いてコンクリート中のモルタルにチクソトロピー性を付与させることにより, 表面がポーラスな状態で底部および内部が密実なコンクリートが作製可能となった. (2) 開発した新型ハイブリッドコンクリートの室内試験結果から, 骨材の種類に関わらず, 十分な曲げ強度, 水密性等を有することが確認できた. また, 開発の目的である騒音低減効果を確認できた. (3) 新型ハイブリッドコンクリートは, 実機プラントでの製造およびアジテータ車の運搬が可能であり, アジテータ車からの均一な材料を供給することが可能である. (4) 施工性は 通常のポーラスコンクリートと同様な施工方法で敷均しをすることが可能である. 6. まとめ筆者らはこれまでのコンクリート舗装の欠点を補い, 適用の範囲が広がる新型ハイブリッドコンクリートを開発した. この技術は, 鋼床版の舗装等の使用環境としては厳しい箇所のみではなく, 外構歩道等の小規模な箇所から大規模な箇所まで活用できる可能性がある. 現時点では, 主に床版疲労対策に効果のある騒音低減型舗装として高速道路上の橋面舗装への適用を検討している. 今後は, 実道での長期供用性等を検証し, 新たなコンクリート舗装技術として確立していく所存である. 参考文献 1) 七五三野茂他 : コンクリート舗装, 低騒音化への道, セメント コンクリート,pp.16-26,1997. 2) 市原利昭他 : 積雪寒冷地の排水性舗装に代わる機能性 SMA の検証, 雑誌舗装,pp.21-2 22. 3) 本松資朗他 : ハイブリッド舗装混合物の配合設計方法に関する研究, 土木学会論文集 No.82/Ⅴ-69,pp.197-28 2. 4) 中山栄作他 : 高速道路本線上におけるポーラスコンクリート舗装の室内試験による配合検討, 土木学会論文集 E1( 舗装工学 ),Vol.68 No.3( 舗装工学論文集第 17 巻 ),Ⅰ_147- Ⅰ_14,212. ) 吉田知弘他 : ポーラスコンクリートの曲げ強度の寸法依存性, 第 8 回土木学会年次学術講演会,V-484,pp967-968, 23. 6) ( 社 ) 土木学会 : 鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法 ( 案 ),pp.297-299,21. 7) ( 社 ) 日本道路協会 :B2 ラベリング試験方法, 舗装調査 試験法便覧第 3 分冊,[3]-17 8) 岡部俊幸他 : 簡易騒音測定法による低騒音舗装の騒音低減効果, 第 6 回土木学会年次学術講演会,Ⅴ-3 21. 9) ( 社 ) 日本道路協会 :S2 現場透水量試験方法, 舗装調査 試験法便覧第 1 分冊,[1]-122 1) ( 社 ) 日本道路協会 :S21-2 振り子式スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法, 舗装調査 試験法便覧第 1 分冊,[1]-92 11) ( 社 ) 日本道路協会 :S21-3 回転式すべり抵抗測定器による動的摩擦係数の測定方法, 舗装調査 試験法便覧第 1 分冊,[1]-98 12) ( 社 ) 日本道路協会 :B17T アスファルト混合物の加圧透水試験方法, 舗装調査 試験法便覧第 3 分冊,[3]-13 I_16
DEVELOPMENT OF THE NEW HYBRID POROUS CONCRETE PAVEMENT TO REINFORCE THE STEEL PLATE DECK Taiju ENDO, Hitomi TAKETSU, Yoshio HISARI Osamu KAMADA and Shinya YOKOTA This study is new Hybrid Porous Concrete Pavement (HPCP) for reinforcing the steel plate deck. Recently, for reinforcing it, mostly using Steel Fiber Reinforced Concrete (SFRC). This is because SFRC has an effect of reducing fatigue failure applicable to the steel plate deck. But, In case of paving asphalt mixture on the SFRC has many processes.(ex, placing of concrete, waterproofing, paving asphalt etc). HPCP has two kinds of performance, permeable surface texture and undersurface waterproof property. It was confirmed thixotopic workability and durability at the laboratory experimentation. Then in trial construction, It was confirmed a possibility of paving HPCP. I_17