ISSN 1883-3691 2013
地域社会研究 第 6 号 図1 湊公民館への支援企業の地理状況 半径 2 km の円 番号は表 3 の順番より 3 八戸市災害対策本部への救援物資からみる支援 湊地区避難所での対応とは別に八戸市災害対策本部の受付からの支援を見てみる 表 4 からわかる ように地震発生後迅速に支援をしている事業所が 1 社あり しかもこの事業所は災害時応援協定締結 していることからこの事業所の取り組みをヒアリングすることで公助としての災害援助の形が見える ことを想定した また 地震発生後翌日の提供者においてそのほとんどを市内から20 km 以上の遠隔 地である南郷区 島守自治会は南郷区に位置する からの支援が目を引くことからこの地域のヒアリ ングを行ないその意思決定や情報伝達及び実際の製造と物流を明らかにすることとした 表4 No. 1 月日 八戸市への救援物資等一覧 災害対策本部受付分 八戸市災害対策本部 提供者 提供物資等 3月11日 ユニバース カップ麺 5,904食 レトルトご飯 480食 ほか多数 3/12多数 毛布 3,600枚 パン 20,000個 工藤パン 3/13りんご 1,050 2 3月12日 青森県 箱 電池 600本 牛乳 8,000本 おにぎり 1,200個 3/14 水 900箱 3 3月12日 山崎ストアー 南郷 おにぎり 1,530個 4 3月12日 グリーンプラザなんごう おにぎり 702個 5 3月12日 山の楽校 おにぎり 630個 6 3月12日 市野沢保育所 おにぎり 710個 7 3月12日 島守保育所 おにぎり 611個 8 3月12日 島守第1区自治会 おにぎり 508個 9 3月12日 島守第2区自治会 おにぎり 276個 10 3月12日 島守第3区自治会 おにぎり 682個 11 3月12日 島守第4区自治会 おにぎり 488個 12 3月12日 島守第7区自治会 おにぎり 651個 13 3月12日 島守第8区自治会 おにぎり 382個 14 3月12日 島守第10区自治会 おにぎり 1,075個 15 3月12日 島守第11区自治会 おにぎり 107個 16 3月12日 島守第12区自治会 おにぎり 18個 17 3月12日 島守第13区自治会 おにぎり 244個 18 3月12日 五戸町 りんごジュース 3,000本 19 3月12日 陸上自衛隊 3/16おにぎり 5,000食 3/14 3/15弁当等配送 42 根拠 協定 協定
(N) N = T = (t θ - t 0 ) N < T N > T (T ) (γ)
q r b c P F t0 G t0 π A π B π C γ A γ B γ C
地域社会研究 第 6 号 調査項目は次のとおりである 1 新幹線開業に向けた観光の受入体制 2 金沢城の観光面での位置付け 3 加賀野菜などの地域ブランドと観光の相乗効果 4 その他 観光への住民参加 他地域との連携 調査は石川県観光交流局次長 北村修氏 同専門員 巽陽一氏に対するインタビュー 取得資料の 考察 により遂行した 3 2 調査項目に対する結果状況 2.1 新幹線開業に向けた観光の受入体制 北陸新幹線金沢開業は 2015年が予定されている 石川県は 3 大都市圏を重要誘客地域としてい る 特に首都圏からの誘客を 中京圏 関西圏の総計と同等レベルへ向上させる目標を立ててい る 図表 1 この目標を実現すべくアクションプラン STEP21 Shinkansen Two-way Exchange Plan を策定し 3 つの基本戦略 3 つの重点プロジェクトを推進している 図表 2 そのような 取組みを首都圏へ情報発信することを後述するキャッチコピーの設定を含め 戦略的に取り組むこと としている 図表 1 誘客構想 図表 2 出所 石川県観光交流局 2.2 誘客戦略と組織体制 出所 石川県観光交流局 金沢城の観光面での位置付け 歴史 景観を活かした地域づくりが推進されている ブランド イメージを向上させるために 金 沢城公園の復元整備等を進め 加えて演出を高める諸取組みが並行して実施されている 図表 3 4 夜の観光資源を活用した 宿泊しなければ体験できない旅行商品の造成も促進している 図表 3 歴史 景観を活かした地域づくり 図表 4 出所 石川県観光交流局 98 歴史 景観を活かした地域づくり 出所 石川県観光交流局
新ほっと石川 観光プラン にみる地域ブランド マネジメント 2.3 加賀野菜などの地域ブランドと観光の相乗効果 文化 食 自然 芸術等の地域資源を観光資源としても活かすには地域住民の ふるさとを想う 心 や ふるさと自慢 がかかせない 県民が心をこめて観光客をお迎えする おもてなしの心 の 熟成を図る取組みが進んでいる 図表 5 おもてなしの心は 食文化の魅力向上等の他の施策に対 し 有機的に効果が期待される 図表 6 図表 5 おもてなしの向上 図表 6 出所 石川県観光交流局 2.4 食文化の魅力向上 出所 石川県観光交流局 その他 観光への住民参加等 いしかわ観光特使 制度や 観光ボランティアガイド 制度を創設し 住民レベルでの口コミや リピーターに繋がる取組みを推進している 図表 7 また 広域観光も推進されている 図表 8 図表 7 口コミによる情報発信 図表 8 出所 石川県観光交流局 広域観光の推進 出所 石川県観光交流局 3 若干の考察 背景にある考え方 3.1 戦略的デスティネーション ミックス 光 観光資源 によって 観光客をもてなし感動を与えること 石川県には 非常に多義に わたる特徴的な観光素材が広域に分布している これらの素材に対し 魅力づくり 及びアクセスへの仕組みづくりが 戦略性をもって体系的に施 策に落とし込まれているといえる すなわち 石川という地域全体のブランディングを目指す中で 各地域資源の位置付けを示し シナジーを派生させる戦略的なデスティネーション ミックス 目的 4 達成へ有益な要素を組み合わせる が実施されているといえる このような戦略性をもった施策の立案は 北陸新幹線金沢開業が大きな契機となっている 全て は 新幹線開業効果をいかに全県に波及させるかに注力されている おもてなし 食文化 歴史 景観 を 3 つの誘客柱として 加賀地域 金沢地域 白山地域 99
地域社会研究 第 6 号 能登地域 の 4 地域において 効果的な情報発信と魅力づくりを行なっている 図表 9 都市計画 的に換言するなら ゾーニング を行ない 歴史的展開や文化 風土が異なる 4 地域毎で 地域資 源を活かす自然な形でコンセプトを打ち出し ゾーン内の独自価値を再構築しているものといえる 具体的には 石川の観光ブランド として 4 地域が有する自然 文化 人情 等を 各 能登ふ 5 るさと博 加賀四湯博 金沢城 兼六園四季物語 プラチナルート白山周遊キャンペーン の代 表的イベントにて 能登丼 白山百膳 等の食文化の発信や夜の観光演出 おもてなしも併せ推進 していくといった ゆるやかな枠組み で複合的に魅力を打ち出している さらに これらを支え る歴史や景観を活かした街づくり 体験交流ツーリズムの開発 実施や おもてなしを充実させるべ くソフト面の強化 人材育成 陸上交通網の整備と広域周遊観光ネットワーク構築 等を有機的に 相乗効果が高まる形で推進している また 石川県地域のブランド ポリシーを共有し 各 4 地域の 戦略的 統合的に施策を束ねるものとして キャッチコピー いしかわ百万石物語 を設定 統一コ ンセプトによる誘客の推進をはかっている 図表10 図表 9 地域の魅力を高める取り組み 図表10 キャッチコピー 出所 石川県観光交流局 3.2 出所 石川県観光交流局 地域の人的資本を活かした誘客の推進 これらの施策立案はニーズ志向でなければならない 国内外からの観光客に対する 観光動態調 査 はもちろん 既設の 有識者で構成される 石川県観光創造会議 の活用や 担当部局 観光交 流局 以外の各部門の意見を取り入れるべく 横断型の 観光プラン推進委員会 を設置し 外から の視点が希薄にならないよう留意されている そのような中で企画 考案されたものに 人 を活用した 独自色ある旅行メニューの提案による 修学旅行誘致がある 専門家による歴史 文化や食の講義 観光業を志す高校生手作りの名所案内 など 学びの要素を取り入れた オンリーワンの旅行メニューの提供に取り組んでいる 6 この取組 みは これまでの蓄積の賜物である 伝統芸能や食等 各領域分野に精通した専門家で構成された スペシャルガイド や 個性的でユニークな取組みにより観光産業を牽引されてきた地域の人々を 今後も観光業界レベルアップへ先導的役割を担ってもらう仕組みとして制度化された 観光マイス ター の施策が 特色ある旅行企画提案を可能としている 以上の考え方や取組みにより 石川県は 2015年における観光消費額の目標を3,200億円に設定し ている 7 2009年時の観光消費額は2,374億円であり 既述したような首都圏からの入込客数増を達 成することにより実現を目指す 生産波及効果 他産業や雇用創出等の間接的効果 については 2015年時で4,352億円の目標を観光消費額 及び産業連関表から試算しており これは2009年時の3,229 億円より 1,123億円の増となっている 100