Stewardship2017

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日本版スチュワードシップ コード についての第一生命の取組み 当社は 責任ある機関投資家 の諸原則 ( 日本版スチュワードシップ コード ) の趣旨に深く賛同し 受け入れることを表明し ます 当コードの原則 1 から 7 について 以下のような方針で取り組んでいきます 原則 1 機関投資家は スチュ

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

(資料4)運用機関とのコミュニケーションの取り方や情報開示の方法等(案).pdf

Ⅰ. 株主総会における議決権行使結果 (2015 年度 ) 当社は投資先企業の持続的成長をサポートし 中長期的な投資リターンの拡大を図ることを目的として 議決権行使基準を定めており 当該基準に則り 議決権行使を実施しています 2015 年度に株主総会が開催された国内上場企業のうち 当社の議決権行使の

議決権行使に係る事務取扱手続

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以下が 対話の方針全文です 平成 26 年 6 月 23 日制定 平成 27 年 12 月 21 日改正 投資先企業との建設的な対話の方針 大和証券投資信託委託株式会社当社は 投資先企業の状況の的確な把握と認識の共有に努めます 特に以下の観点について 重点的に対話を深めてまいります 経営方針 財務戦

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ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

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Institutional Shareholder Services Sumitomo Fudosan Kanda Building 16F 7 Kanda Mitoshirocho Chiyoda-ku, Tokyo T: 各位 2017 年 10

ガイドライン

コーポレート ガバナンスに関する報告書の主な開示項目 コーポレート ガバナンスに関する報告書 記載項目 ( 内訳 ) 記載上の注意 基本的な考え方 ( 記載例 : コーポレート ガバナンスについての取組みに関する基本的な方針 目的 ) Ⅰ コーポレート ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成

1 制定の目的 方針 当社におけるコーポレートガバナンスを向上させるための枠組みである パーク 24 コーポレートガバナンスガイドライン を制定し コーポレートガバナンスの強化 充実に努めることで 当社の中長期的な価値向上と持続的成長を実現する コーポレートガバナンスに対する基本的な考え方公正で透明

第 Ⅰ 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本ガイドラインは 群栄化学工業株式会社 ( 以下 当社 という ) が 次に定める 社是 理念 実現のため ステークホルダーと協働して企業価値を向上させ 持続的に発展できるよう より良い経営を実現することを目的とする 2. 当社は GCIグループ基本理念 を制

はじめに 当社の 議決権行使精査要領 は 中長期的な企業価値向上や 株主への利益還元姿勢 コーポレートガバナンス等の観点から 客観基準に基づくスクリーニングにより 論点のある議案を効率的かつ包括的に抽出することを目的に 1998 年度に策定したものです 策定以降 日本企業の置かれた状況や法令等の改正

2 名以上の独立社外取締役の選任状況 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社の比率は 市場第一部では 9 割を超え 91.3% に JPX 日経 400では 97.7% に 2 名以上の独立社外取締役を選任する上場会社 ( 市場第一部 ) の比率推移 ( 参考 ) 100% 88.0% 91.

コーポレートガバナンス基本方針

企業年金におけるスチュワードシップ・コード の受入れ促進に向けて

< 本制度の仕組みの概要 > 5 ポイント付与 委託者 当社 3 自己株式の処分 1 役員株式交付規程の 制定 2 信託 < 他益信託 > を設定 ( 金銭を信託 ) 3 払込 受託者 ( 予定 ) 三井住友信託銀行 ( 再信託受託者 : 日本トラスティ サービス信託銀行 当社株式 株式交付信託 信

開示府令改正案(役員報酬の開示拡充へ)

2017年度 決算説明会資料

< 目次 > 第 1 章責任投資についての基本的な考え方... 3 第 2 章責任ある投資家としての組織体制... 4 第 3 章 スチュワードシップ活動への取組み 1. 投資先企業の望ましい経営のあり方 (1) 社会的責任への適切な取組み... 5 (2) 資本の効率的な活用による価値創造...

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[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

新株予約権発行に関する取締役会決議公告

議決権行使に関するガイドライン (日本株式)

【PDF】コーポレートガバナンス・ガイドライン

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

また 代表取締役社長直属の内部監査部門を設置し 法令遵守 内部統制の有効性と効率性 財務内容の適正開示 リスクマネジメントの検証等について 各部門 工場 グループ会社などの監査を定期的に実施し チェック 指導するとともに 監査役との情報共有等の連携を図っております 1-4( 中長期的な経営戦略等 )

PowerPoint Presentation

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2. 本制度の仕組み 株式市場 残余財産の給付残余株式の無償譲渡 消却94 当社株式 4 代金の支払 1 本株主総会決議 54配代当金の支6 委託者 議決権不行使の指図8当社 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 BIP 信託 当社株式 金銭 4

野村資本市場研究所|公表された厚生年金基金連合会の株主議決権行使基準 (PDF)

2015 年度 ~2017 年度中期経営経営計画 14 中計 1. 当社が目指すもの企業理念と Vision E 2.11 中計 中計 (2nd STAGE / 2012~ 年度 ) の成果 - Vision E における 11 中計の位置づけと成果 - 1

コーポレートガバナンス ガイドライン 2015 年 10 月 27 日制定 2018 年 12 月 13 日改定 大王製紙株式会社 1

平成30年度 スチュワードシップ活動報告

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2 政策保有株式に係る議決権行使の基準政策保有株式の議決権行使に当たっては 投資先企業の中長期的な企業価値向上が株主利益への向上にも繋がるものであることを前提とし 株主への還元方針 コーポレートガバナンスや企業の社会的責任への取組み等総合的観点から議決権を行使する (4) 買収防衛策は 経営陣 取締

コーポレートガバナンス・ガイドライン

PowerPoint プレゼンテーション

平成 26 年 5 月 13 日 各 位 会社名カルビー株式会社代表者名代表取締役社長兼 COO 伊藤秀二 ( コード番号 :2229 東証第一部 ) 問合せ先上級執行役員財務経理本部長菊地耕一 (TEL: ) 業績連動型株式報酬制度の導入に関するお知らせ 当社は 平成 26

基本原則

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コーポレート・ガバナンス基本方針

業績連動型株式報酬制度の導入に関するお知らせ

コーポレートガバナンス コードについて 本コードにおいて コーポレートガバナンス とは 会社が 株主をはじめ顧客 従業員 地域社会等の立場を踏まえた上で 透明 公正かつ迅速 果断な意思決定を行うための仕組みを意味する 本コードは 実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたも

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8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は

業活動を行う上で関わる顧客をはじめとするすべてのステークホルダーとの良好なネットワークおよび関係を構築 維持することが大切であると考えます そのために 以下のコーポレートガバナンス コードにおける基本的な考え方に則って コーポレート ガバナンスの充実に取り組みます (1) 株主の権利を尊重し 平等性

2. BIP 信託の仕組み 1 本株主総会決議 株式市場 9 残余財産の給付 8 残余株式の無償譲渡 消却 4 当社株式 5 配当 委託者 当社 受託者 ( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 ( 株 ) 日本マスタートラスト信託銀行 ( 株 ) 本信託 3 信託設定 7 当社株式等

東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び委員会の設置状況 2017 年 7 月 26 日株式会社東京証券取引所

定いたします なお 配当の回数は原則として中間配当と期末配当の年 2 回といたします 3 自己株式 当社は 経営環境の変化に機動的に対応し 株主価値の向上に資する財務政策等の経営の諸施策を実行することを可能とするため 市場環境や資本効率等を勘案しながら適宜自己株式を取得いたします (3) 政策保有株

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規則フォーマット

2019 年 6 月 26 日 各 位 会社名 代表者名 問合せ先 株式会社スターフライヤー代表取締役社長執行役員松石禎己 ( コード番号 :9206 東証第二部 ) 取締役常務執行役員柴田隆 (TEL ) コーポレートガバナンス方針 の改定について 当社は 2019 年 6

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XBRL導入範囲の拡大

平成27年5月20日

( 別紙 1) BIP 信託の概要 株式市場 残余財産の給付4 本件株式 4 代金の支払い 1 株主総会決議 委託者 5配当 受託者( 共同受託 ) ( 予定 ) 三菱 UFJ 信託銀行 日本マスタートラスト信託銀行 本 BIP 信託株式 金銭 6 議決権不行使の指図93信託設定7 株式交付 8 残

「Ⅰ 資本市場」 

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スチュワードシップ コード改訂に当たって 平成 29 年 5 月 29 日 スチュワードシップ コードに関する有識者検討会 1. 平成 26 年 2 月 26 日 日本版スチュワードシップ コードに関する有識者検討会 によりスチュワードシップ コードが策定されてから約 3 年が経過した この間 スチ

ストックオプション(新株予約権)の発行に関するお知らせ

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第 分科会 / 分科会 B 改正会社法等への対応状況と今後の課題 ディスカッションポイント ( 例 ) 参考資料 関西支部監査役スタッフ研究会報告書 改正会社法及びコーポレートガバナンス コードへの対応状況と監査役 監査役スタッフの役割と今後の課題. 監査役会の運営 改正会社法等により監査役会の開催

株主各位 平成 29 年 8 月 2 日東京都港区虎ノ門三丁目 1 番 1 号 ITbook 株式会社代表取締役会長兼 CEO 恩田饒 ストック オプション ( 新株予約権 ) の発行に関する取締役会決議公告 当社は 平成 29 年 7 月 19 日開催の取締役会において 当社取締役 執行役員および

企業アンケート ( 東証一部 二部の 941 社が回答 ) の結果等のポイント 指名委員会を設置済み 又は設置を検討中 検討予定の企業 : 55% 報酬委員会 : 5 3 ページ参照 社長 CEOの選定 解職の決定に関して監督を行なうことについて 社外取締役が役割を果たしている と回答 した企業 委

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< 本制度の仕組みの概要 > 5 ポイント 付与 委託者 当社 3 自己株式の処分 2 信託 < 他益信託 > を設定 ( 金銭を信託 ) 3 払込 1 株式交付規程の制定 受託者 ( 予定 ) 三井住友信託銀行 ( 再信託受託者 : 日本トラスティ サービス信託銀行 ) 当社株式 株式交付信託 金

2. 株式併合 (1) 株式併合の目的上記 1. 単元株式数の変更 に記載のとおり 当社株式の単元株式数を変更するにあたり 中長期的な株価変動を勘案しつつ 投資単位を証券取引所が望ましいとする水準 (5 万円以上 5 0 万円未満 ) に調整することを目的として 株式併合 (2 株を1 株に併合 )

お客様への約束 1. 安全の確保を最優先とします - 安全確保を最優先に 全てにおいて万全のコンディションでお客様をお迎えします 2. お客様の時間を大切にします - 欠航 遅延は最小限にします - やむを得ない場合は代替の移動手段の確保に努め お客様にご迷惑をおかけしないよう全力を尽くします -

様式第一六(第12条関係)

2 併合の方法 比率平成 30 年 10 月 1 日をもって 平成 30 年 9 月 30 日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主様の所有株式 5 株につき1 株の割合で併合いたします 3 減少株式数株式併合前の発行済株式総数 ( 平成 30 年 3 月 31 日現在 ) 124,415,013

特に 独立社外取締役の割合を高めることを指向していること 独立社外取締役も指名 報酬委員会において重要な役割を果たすべきとしたこと 取締役会の多様性においてジェンダーや国際性について具体的に言及したことを支持する 対話ガイドラインは 投資家と企業の双方の期待を形成するために有益である 6 7 コード

定款の一部変更に関するお知らせ

TNPSC Asia Strategic Partners 第2号投資事業有限責任組合のご案内

Microsoft Word - ②要約文.docx

_コーポレートガバナンス基本方針

株式併合、単元株式数の変更および定款の一部変更に関するお知らせ

注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) : 無 新規 社 ( 社名 ) 除外 社 ( 社名 ) (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 : 無 2 1 以外の会計方針の変更 : 無 3

ANNUAL REPORT

Microsoft PowerPoint 年3月期決算発表0510用(最終版).pptx

(3) 当社グループの基本的な理念 当社グループは 以下の基本的な理念のもと 持続的な成長と企業価値の継続的な向上の実現を目的としてグループ全体でビジネスを実践し 株主を始めとしたさまざまなステークホルダーからの信頼に応え 生活者の豊かな未来の創造 経済の伸長 社会の発展に貢献していきます グループ

マエザワ CG 基本方針 ( 平成 27 年 12 月 11 日施行 ) 前澤工業株式会社

Microsoft Word - 大和コーポレートガバナンス ガイドライン201810

注記事項 (1) 期中における重要な子会社の異動 ( 連結範囲の変更を伴う特定子会社の異動 ) : 無 新規 社 ( 社名 ) 除外 社 ( 社名 ) (2) 会計方針の変更 会計上の見積りの変更 修正再表示 1 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更 : 有 2 1 以外の会計方針の変更 : 無 3

2006年5月10日

(2) 変更の内容 定款変更の内容は別紙のとおりであります (3) 日程 定款変更のための株主総会開催日平成 28 年 6 月 17 日 ( 金曜日 ) 定款変更の効力発生日平成 28 年 6 月 17 日 ( 金曜日 ) 以上 - 2 -

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平成13年11月8日

「コーポレートガバナンス・コードに関する当社の取り組み」一部改定に関するお知らせ

しております 2. 株式併合により減少する株式数 は 株式併合前の発行済株式総数に株式の併合割合を乗じた理論値です (3) 株式併合による影響等本株式併合により 発行済株式総数が 2 分の 1 に減少することとなりますが 純資産等は変動しませんので 1 株当たり純資産額は 2 倍となり 株式市況の変

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

株主間契約書 投資事業有限責任組合 ( 以下 A という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 B という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 C といいい A B C を総称し 投資者 といい 個別に 各投資者 という ) と 以下 D という ) と ( 以下 D という ) ( 以下 E といい

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Japan Proxy Voting Guidelines 2016 年版日本向け議決権行使助言基準 2016 年 2 月 1 日施行 ISS Institutional Shareholder Services

CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果《概要版》

コーポレートガバナンス・ガイドライン

Transcription:

2018 年 8 月 29 日 明治安田アセットマネジメント株式会社 2017 年度スチュワードシップ活動の概況 明治安田アセットマネジメントでは 経営理念の一つとして インベストメント チェーンの一員として持続可能な社会の形成に貢献する ことを掲げています この理念のもと 当社は 責任ある投資家の諸原則 ( 日本版スチュワードシップ コード ) の精神に賛同し 同コードの全ての受け入れを表明しております 当社ではスチュワードシップ責任を果たすためのスチュワードシップ活動として 投資対象企業に関する深い理解に基づいた 目的を持った対話 ( エンゲージメント ) と 適切な議決権行使を行っています 投資対象企業との対話においては 中長期的な視点から議論を行い認識の共有を図るとともに 投資対象企業の経営状況に課題を認識した場合には 必要に応じて問題の改善に資する建設的な議論を行うよう努めています また 議決権行使を投資家としての意思表示を行う重要な機会と捉え 適切な議決権行使と企業との対話を通じて企業価値向上を促す働きかけに努めております こうした取組みが投資対象企業の企業価値向上や持続的成長を促し 当社にとっての お客さま 受益者 の中長期的な投資リターンの拡大に結び付くとともに 経営理念に掲げる 持続可能な社会 の形成 にも貢献するとの認識を持って スチュワードシップ活動を積極的に実施しております 2017 年度の当社におけるスチュワードシップ活動の概況は以下の通りです 1. 投資対象企業との対話の概況 (1) 投資対象企業との対話の主な視点 当社では 主に投資対象企業のリサーチ活動の一環として 国内株式のアナリストが企業との対話を行っております 投資対象企業の企業価値の評価においては 中長期の業績予想を算出しておりますが この業績予想算出にあたり 企業との対話を以下の視点に基づき実施し 認識の共有に努めております 当年度は これまでの 目的を持った対話 や適切な議決権行使に加え 非財務要素である ESG ( ) に特化した経営層との対話も積極的に実施しました このような対話により 投資対象企業との認識の共有を図るとともに 企業のファンダメンタルズに関しても更に深い分析が進んだと考えています ESG とは 環境 (Environment) 社会(Social) ガバナンス(Governance) の頭文字をとったもので 中長期的な企業の成長力を評価するうえで重要と考えられています 1/5

事業戦略 資本政策 項目 視点 中長期的な企業価値向上に向けて 企業経営が行われているか 事業の成長性や競争力を分析し 投資を行っているか等 企業が中長期的な資本政策の考え方を持っているか 株主還元策が企業の成長ステージに合致しているか等 財務戦略 負債と株主資本の関係が適正な水準となっているか等 ガバナンス 環境 社会 ガバナンスが機能するような取締役の員数 構成となっているか 社外取締役の責任や活動内容は適切か等 環境 (E:Environment) や社会 (S:Social) の観点から 企業価値の向上に向けた取組みが行われているか パリ協定や持続可能な開発目標 (SDGs) などに対する企業の取組み状況等 (2) 投資対象企業との対話の実施状況 2017 年度は 投資対象企業の経営層等と 575 件の個別の対話を行いました ヒアリング項目別 の対話件数は以下の通りです 2017 年度投資対象企業との対話件数 ヒアリング項目件数うち経営層との対話事業戦略 186 102 資本政策 103 58 財務戦略 42 30 ガバナンス 117 61 環境 社会 127 50 合計 575 301 ( うち ESG に特化した対話 ) 108 44 ( 注 ) 件数は 企業の経営層等との 1 対 1 または少人数での対話のみを集計 経営層は執行役員以上を指します 参考 ESG に特化した経営層との対話は 下記のプロセスに沿って実施しております 1 ESG に関する資料 ( 当社オリジナル ) の作成 投資対象企業へ事前質問等送付 2 当社作成資料をもとに対話を実施 ( 経営層の出席をリクエスト ) ( ア ) 当社の ESG に関する取組み ESG の評価項目 ( 表 1 参照 ) などを説明 議論 ( イ ) 投資対象企業の環境 社会 ガバナンスについてそれぞれ課題や取組みの方向性について 議論 認識を共有 ( 分析能力 戦略立案力 推進 監督体制を中心に ) 3 評価 検証 < 表 1:ESG に関する主な評価項目 > ESG 全般 環境 社会 ガバナンス 企業理念 情報開示 温暖化ガス 水資源 廃棄物 生物多様性保全 事業の社会性 人材マネジメント 労働安全衛生 製品 サービスの安全性や品質 サプライチェーンの管理 経営体制 取締役会の実効性 資本コスト リスク管理体制 2/5

(3) 企業との対話の具体例 投資対象企業との対話の具体例について 主な対話事例をご紹介します < 主な対話事例 (2017 年 4 月 ~2018 年 3 月 )> 事業戦略 ( 食品 ) 対話目的対話内容対話の成果 評価 当該企業は事業の多角化が順調に進む一方で 海外進出が遅れており 特に市場の大きい中国での収益拡大が課題であると認識していました 経営トップとのミーティングにおいて 長期的な企業の成長にとって中国市場が重要となる可能性を示し 同社の強力なブランド力を生かして早期に事業展開を加速すべきであると対話を実施しました 対話後に発表された新しい中期経営計画において 取組むべき課題として海外事業の成長スピードアップが示され 中国が最注力地域に指定されました 戦略面については若干の相違があったものの 対話により事業の中長期的な方向性について認識の共有ができ 企業価値向上に結び付く可能性が高まったと評価しました 資本政策 ( 化学 ) 財務戦略 ( 精密 ) 当該企業は ROE が低水準であるにも関わらず 中長期視点に基づく戦略的意思決定を継続することに対して弊害となるとの理由から買収防衛策を継続していました 経営層との個別ミーティングにおいて 同社の収益性やバランスシート面から資本効率の改善余地が大きいことを説明し その改善を進めることで株価を上げ買収防衛につなげるべきではと対話を実施しました 当該企業は営業キャッシュフローに対して設備投資金額が過大で 自己資本に対する有利子負債比率が極めて高く財務健全性に問題があり 将来のリスクになると認識していました 経営層との個別ミーティングにおいて 成長に投資が必要であることに理解を示しつつも 財務レバレッジが効いているにもかかわらず ROE が低水準であり 先行投資より収益性の改善が優先されるべきではないかとの対話を実施しました 対話後 自己株式の取得が発表されました その後の株主総会で 買収防衛策は継続されましたが 株主意思確認手続を導入し 取締役会はその結果に従うこととするよう内容の修正が行われました 対話により 経営陣による資本コストへの意識が高まった結果 自社株買いが実施され また買収防衛策の発動条件の変更が行われたと評価しました 対話後の会社説明会において 有利子負債の回収見込みについて説明がありました 対話により 経営陣における財務健全性に対する意識が改善し 長期的な財務リスクが軽減したと評価しました ガバナンス ( 繊維 ) 当該企業は取締役人数が非常に多いことで 経営判断の遅れが生じるリスクがあると認識していました 経営層との個別ミーティングにおいて 当該リスクに対する懸念を示し 社外取締役の意見を尊重しつつ 改善を促すよう対話を実施しました 対話後の株主総会において 取締役人数を大幅に削減する議案が提示されました 対話により 経営陣のガバナンス体制に対する改善意識が高まった結果 取締役会の構成が改善に向かったと認識し 経営の意思決定の迅速化に対して期待が高まったと評価しました 環境 ( 建設 ) 社会 ( 小売 ) 当該企業が展開する事業は競合企業が多く また環境面では一般家庭の温室効果ガス削減のキーとなる業界であると認識していました 経営層との個別ミーティングにおいて 温室効果ガス削減対策として日本政府が主導するネット ゼロ エネルギーハウス ( ZEH ) を強みに事業拡大を図ることが中長期的な企業価値向上につながること また廃棄物リサイクルのガバナンス強化も必要であるとの認識を共有しました 当該企業が事業展開する流通業界は 労働生産性が低く また人手不足により優秀な人材の確保が困難になっており 長期的な成長には人材に対する投資が必要であると認識していました また ESG 全般に対する経営者の認識が不足していました 経営層との個別ミーティングにおいて 人材戦略の重要性の認識を共有し 長期的な企業価値向上には ESG に関する取組みも必要であることを説明しました 個別ミーティング後の対話において 同社では戸建住宅のみならず 分譲マンションにおいても ZEH の採用が拡大しており それらが収益拡大に寄与していることを確認しました また 別の機会に訪問した同社のリサイクル工場において 建築廃材のリサイクルにおける同社の先進的な取組みを確認しました 環境対応が単なるコストアップにとどまらず 収益 及び企業価値向上に結び付いていると評価しました 人材育成に関して 人事評価制度も含めた抜本的な人材マネジメント改革が実施されました また 中期経営計画で初めて ESG について言及し ホームページ上の ESG 関連情報の開示も拡充されました 当社との対話を重ねたことで 取組むべき最優先課題が認識され また経営者の ESG に関する意識が高まったと評価しました 3/5

2. 議決権行使の状況 議決権は 議決権行使に関する基本方針 に基づき行使しております また 議決権行使にあたり 個別議案の判断基準となる 国内株式議決権行使ガイドライン を定めており 適宜見直しを行っています 昨年度は 株主提出議案のうち役員報酬の開示に関する基準の明確化等の改訂を行いました なお 当社では国内株式の議決権行使において 外部助言会社を利用しておりません 直近 1 年の議決権行使結果としては 2017 年 7 月 -2018 年 6 月に株主総会が開催された企業のうち 当社では 1,421 社の企業に対し議決権を行使いたしました 会社提出議案は合計で 14,873 議案あり このうち反対行使した議案数は 1,889 議案でした また 株主提出議案は 142 議案あり このうち反対行使した議案数は 138 議案でした 会社提出議案に反対行使した主なケースは以下の通りです 配当性向 ( 当期の利益に占める配当の割合 ) が 20% 未満の剰余金処分案 たとえば 3 期連続 ROE( 株主資本から得られる利益の割合 ) が 8% 未満など当社議決権行使ガイドラインの数値基準を満たさない場合の取締役選解任議案 退任役員の退職慰労金の支給議案 役員報酬議案 社外取締役の導入がない もしくは 1 名のみの取締役選解任議案 独立性に問題がある社外役員選解任議案 金額の具体的開示がない もしくは一人当りの金額水準を推定できない退任役員の退職慰労金支給議案 株主価値向上に合致しない買収防衛策の導入 継続議案 なお 議案別の議決権行使結果については 以下の表 2 および表 3 をご参照ください < 表 2: 会社提出議案に対する賛成 反対 棄権 白紙委任の議案件数 > 賛成 反対 棄権 白紙反対計委任比率 会社機関に 取締役の選解任 (*1) 9,847 1,735 0 0 11,582 15.0% 関する議案 監査役の選解任 (*1) 1,168 50 0 0 1,218 4.1% 会計監査人の選解任 19 0 0 0 19 0.0% 役員報酬に 役員報酬 (*2) 493 26 0 0 519 5.0% 関する議案 退任役員の退職慰労金の支給 67 13 0 0 80 16.3% 資本政策に関 剰余金の処分 929 54 0 0 983 5.5% する議案 ( 定 組織再編関連 (*3) 19 0 0 0 19 0.0% 款に関する議 買収防衛策の導入 更新 廃止 36 6 0 0 42 14.3% 案を除く ) その他資本政策に関する議案 (*4) 79 0 0 0 79 0.0% 定款に関する議案 323 4 0 0 327 1.2% その他の議案 4 1 0 0 5 20.0% 合 計 12,984 1,889 0 0 14,873 12.7% (*1) 取締役の選解任 監査役の選解任については 1 候補者につき 1 議案として集計 (*2) 役員報酬額改定 ストックオプションの発行 業績連動型制度の導入 改訂 役員賞与等 (*3) 合併 営業譲渡 譲受 株式交換 株式移転 会社分割等 (*4) 自己株式取得 法定準備金減少 第三者割当増資 資本減少 株式併合 種類株式の発行等 4/5

< 表 3: 株主提出議案に対する賛成 反対 棄権 白紙委任の議案件数 > 賛成反対棄権 白紙委任 計 反対比率 合計 4 138 0 0 142 97.2% また 過去の議決権行使結果は 議決権行使に関する基本方針 内に掲載しておりますので ご参 照ください 以上 5/5