2 I Peri. de. tw/n pneumatikw/n 12 : : I : 3 14 : 2 14 : : : 4 14 : 4 14 : 5 14 : : : : 2

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B2 神はどのようなお方か 1Chro.29:10-12 Dt.10:12-13 Ps.95:1-7 B3 イエス キリストはどのようなお方か John.14:8-10 Mk.6:31-56 John.10:30-33 Heb.2: John.4:2-3 2John.7-10 B4 三位

1 それは キリストにのみ適用される御名である (2) 旧約聖書では 御使いたちは 神の子たち と呼ばれた Job 38:7 そのとき 明けの星々が共に喜び歌い / 神の子たちはみな喜び叫んだ 1 新約聖書では 信者が 神の子たち と呼ばれる ( ヨハ 11:52) 2しかし 御子 ( ヒュイオス

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01

表1表4.ai

としたこと それに対してイエスは 今は 止めないでほしい 正しい ことをすべて行うのは 我々にふさわしいことです ( マタイ 3 15) と 言って ヨハネから洗礼をお受けになったと伝えています しかしマルコ福音書は そういうことは何も伝えていません イエス は ユダヤの全地方から集まって来た大勢の

一 マリヤへの恵みある教会に 何かというと 恵まれた女よ おめでとう と言う人がいました 女性のための聖書のクラスで 誰かが正しい答えを言ったら 恵まれた女よ おめでとう 感謝なことの証しをしたら 恵まれた女よ おめでとう 誰かが牧師に祈ってもらっている姿を見たら 恵まれた女よ おめでとう 彼女はい

全国担当者2009 プレゼン資料

ひょうごつまずきポイント指導事例集について 次ページ 示 ポイント 過去 全国学力 学習状況調査 結果 うち 特 課題 あた問題をも 作成したひう 状況調査 等 結果 明 したも あ 各学年 領域 共通 内容 い た4ページ~5ページポイントをも 各領域 やそ 学習内容を整理した系統表を掲載しい 各

(3) まっすぐにしなさい 1 されば衰へたる手 弱りたる膝を強くし ( 文語訳 ) 2ギリシア語の アノルソオウ である 上げる まっすぐにする 強くする 3ルカ 13:13(18 年も病の霊につかれ 腰が曲がって 伸ばすことができない ) Luk 13:13 手を置かれると 女はたちどころに腰が

聖霊降臨節第 15 主日 [ 平和月間 ] 礼拝説教 そこに愛はあるのか? 要旨 詩編 62 編 2~3 節 2 わたしの魂は沈黙して ただ神に向かう 神にわたしの救いはある 3 神こそ わたしの岩 わたしの救い 砦の塔 わたしは決して動揺しない コリントの信徒への手紙 Ⅰ 12 章 27 節 ~1

<4D F736F F D AAE90AC94C5817A E7793B188C481698D5D E7397A791E58A A778D5A814094F68FE3816A2E646F63>

習う ということで 教育を受ける側の 意味合いになると思います また 教育者とした場合 その構造は 義 ( 案 ) では この考え方に基づき 教える ことと学ぶことはダイナミックな相互作用 と捉えています 教育する 者 となると思います 看護学教育の定義を これに当てはめると 教授学習過程する者 と

Rev 7:1 この後 私は見た 四人の御使いが地の四隅に立って 地の四方の風を堅く押さえ 地にも海にもどんな木にも 吹きつけないようにしていた (1) この後 私は見た 1 物事の時間的流れではなく ヨハネが見た幻の順番を示している 2この幻は 神の裁きが迫っていることを示唆している 3 地の四方

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り そして キリストがその天使を送って僕ヨハネにお伝えになったものである 1:2 ヨハネは 神の言葉とイエス キリストの証し すなわち 自分の見たすべてのことを証しした 1:3 この預言の言葉を朗読する人と これを聞いて 中に記されたことを守る人たちとは幸いである 時が迫っているからである 1:4-

マタイ 25 章 14 節 各自に任された財産 1A 神より与えられている財産 1B 創造の源 2B 信仰の量り 2A 清算の時 1B 永遠の報い 2B 報酬の時 3A 求められていること 1B 心のはかりごと 2B 自分の行程 3B 小さな事への忠実 4B 信じる事 本文 マタイによる福音書 25

(ACT0436K06616W)


6ユダヤ人は 人種的 宗教的理由によって サマリヤ人を軽蔑した * ユダヤの格言 私の目が サマリヤ人を見ることがないように 7サマリヤ人も ユダヤ人を軽蔑し 敵対した * ユダヤ人がエルサレムから下ることは許したが 上ることは許さなかった 8 現代もサマリヤ人の子孫たちが存在している ( 千名以下






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29



喀痰吸引

平成18年度「商品先物取引に関する実態調査」報告書

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KONNO PRINT

Transcription:

1 報告 研究ノート I コリント書 14 章を読む 吉田 新 はじめに あなたがたは集まったとき それぞれ詩編の歌をうたい 教え 啓示を語り 異言を 語り それを解釈するのですが すべてはあなたがたを造り上げるためにすべきです I コリ 14 : 26 I コリント書 14 章では パウロは彼の論敵を念頭に起きつつ 霊の賜物たる預言と異 言の意義について詳細な説明を加えているその際 パウロは教えや預言 異言は人 そ して教会 evkklhsi,a を 造り上げること 建てること oivkodomh, であると説いている 教会とは何か という問いを正面から論じた I コリント書において 何度も用いられるこ の単語は パウロの教会論を理解する核となる重要な語句だと思われる 本稿では この言葉を中心にパウロの教会形成の真意を確認したいコリント教会の預 言 異言の役割を見極めつつ 今日の教会における説教の意義について考えたい 1 I コリント書 14 章における預言と異言 本書簡の宛先であるコリント教会は パウロが第二回伝道旅行の際に建てた教会といわ れている 使徒 18 : 1-8 参照 I コリント書は彼の第三回伝道旅行の間 エフェソ滞在 中 紀元後 53-55 年頃 に執筆された 1 コリ 16 : 8 参照 冒頭の宛名に記されている ように コリントにある神の教会 1 : 2 に送られたこの書簡の中心的テーマは 教会 論である書簡を通して 争いがあるコリント教会 1 : 10 以下 の諸問題に関してパウ ロの回答を提示しているそれらはいずれも 冒頭に について Peri. de. という導 入句を用いて始められている 7 : 1, 25, 8 : 1, 4, 12 : 1, 16 : 1, 12 パウロはこの書簡に よって 彼がコリントを離れた後に教会内に入ってきた論敵たちによってもたらされた混 乱を沈静化させ 教会の一致を促している 55

2 I 14 1 12 1 Peri. de. tw/n pneumatikw/n 12 : 31-13 : 13 1 2 I 14 14 : 3 14 : 2 14 : 13 14 : 16 14 : 4 14 : 4 14 : 5 14 : 29 14 : 5 27 14 : 14 14 : 22 14 : 22 14 : 23 ta. krupta. th/j kardi,aj auvtou/ 3 14 : 25 26 14 : 28 14 : 40 1 11 : 27 21 : 10 13 : 1 2 2013 508 3 I 4: 5ta. krupta. tou/ sko,touj 8 : 27 I 5 : 20 56

3 ぎない教会で語られるべきは他者に向かうダイアローグであるこのように モノロー グの異言が厳しく退けられるのは それぞれの霊の賜物は 共同体である教会を建設する 役割があるからに他ならないとりわけ 教会の基盤が揺らいでいるコリント教会におい て この点を確認する必要がパウロにはあった4I コリント書 14 章以下は 預言と異言に ついての提言だけではなく それらが教会の中でどのような関係を持っているかを説いた 教会論が軸となって展開している5 I コリ 14 章 6 節 及び 26 節でも預言と異言と共に言及されている 教え didach, と は何か6初代教会の礼拝では 教師 dida,skaloj I コリ 12 : 28 ガラ 6 : 6 ロマ 12 : 7 と呼ばれる人物らが キリストの言葉 コロ 3 : 16 を伝え または聖書を朗読 解説していたと考えられる7教師は使徒 預言者に並んで初代教会で重要な役割に担って いたようである次に教会を造り上げ 建設するという言葉にはどのような真意が隠され ているのかを確かめる 2 人とこと パウロにとって教会は イエス キリストにおける信仰を通した dia. th/j pi,stewj evn Cristw/ VIhsou/ ガラ 3 : 26 神の子の集いであり 彼 彼女らは キリストの体 sw/ma tou/ Cristou/ ロマ 7 : 4 I コリ 6 : 15, 10 : 16, 12 : 12 以下他 に連なっているとり わけ I コリント書の前半部分において パウロはコリント教会の構成員は 神の畑で あり 神の建物 oivkodomh, であることを述べる I コリ 3 : 9 イエス キリストと いう既に据えられている土台を無視して だれもほかの土台を据えることはできません 3 : 10 イエス キリストが土台 qeme,lioj であるというメタファーを用いて教会につ いて語っている 同 3 : 10-11 ロマ 15 : 20 参照 この建築物の礎としてのイエス キ リストのメタファーは 同書 14 章以降でも用いられている同様の建築用語 造り上げる こと 建てること oivkodomh, に繋がっていく814 章 1 節以下は 3 章 1-17 節と密接に関 教会 evkklhsi,a という単語は新約では 114 回用いられているが そのうちパウロ書簡は 44 回 I II コリでは 31 回に及ぶ I コリは 19 回 5 Vgl. C. Wolff, Der erste Brief des Paulus an die Korinther, Leipzig 1996, S. 328. I コリント書で教会 に関する言及は 14 章に集中している14 : 19, 23, 26, 28, 33, 35 6 ロマ 6 : 17. 16 : 17 参照 7 山田耕太 新約聖書の礼拝 シナゴーグから教会へ 日本キリスト教団出版局 2008 年 47-56 頁 参照エフェ 4 : 11 使 13 : 1 ヤコ 3 : 1 ディダケー 11-15 参照 8 Lindemann は 様々な問題を論じている I コリント書の中心テーマは 教会 evkklhsi,a とそれ を 造り上げること oivkodomh に集約されると主張しているA. Lindemann, Der erste Korinther4 57

4 係しているパウロは I コリント書 14 章で 4 回 oivkodomh, II コリでも 4 回用いており 教会形成に関する文脈でこの言葉を好んで使ったと考えられる9 14 : 3 預言する者は 人に向かって語っているので 人を造り上げ 励まし 慰めま す oivkodomh.n kai. para,klhsin kai. paramuqi,an 14 : 5 略 異言を語る者がそれを解釈するのでなければ ためには i[na h` evkklhsi,a oivkodomh.n la,bh 預言する者の方がまさっています 14 : 12 あなたがたの場合も同じで 霊的な賜物を熱心に求めているのですから 教会 を造り上げるために pro.j th.n oivkodomh.n th/j evkklhsi,aj それをますます豊かに 受けるように求めなさい 14 : 26 略 あなたがたは集まったとき それぞれ詩編の歌をうたい 教え 啓示を語 り 異言を語り それを解釈するのですが すべてはあなたがたを造り上げるた めにすべきです pa,nta pro.j oivkodomh.n gine,sqw 名詞 oivkodomh,は 家 oi=koj を建てることに由来し 家などの構造物 を建てる こと 造り上げること 建築のみならず 霊的に 人を建てる 造り上げるとい う意味も含んでいる動詞 oivkodome,wも I コリント書では 6 回用いられる 8 : 1, 10, 10 10 : 23, 14 : 3-17 ここでパウロはおそらく 具体的な建築物を意味せずに 教会を形 成する人を造るという抽象的な意味としてこの動詞を使用している教会は具体的な建物 であるより イエス キリストが土台として基礎づけられ 3 : 9 霊の賜物を持ち寄り つつ 互いに造り上げ 建て合うイメージをパウロは持っていたようであるこのパウロ の言葉から 当時の建築資材である石材をひとつひとつ積み上げていくようなイメージが 読み手に立ち上ってくる I コリント書 12 章で 教会に属する一人一人が キリストの体に結ばれ 互いに補 い合うことを強く訴えるそれぞれの霊が 全体の益 12 : 7 になるためであるこの ことを確認し それぞれの賜物を携え 主体的に参加するのが礼拝であった 14 : 26 まさに礼拝は oivkodomh, を確かめ合う場である11そして 愛が人を造り上げる h`. brief, Tübingen 2000, 15-17. 9 その他 ロマ 14 : 19, 15 : 2 I コリ 3 : 9 II コリ 5 : 1, 10 : 8, 12 : 19, 13 : 10 10 その他 パウロ書簡ではロマ 15 : 20 ガラ 2 : 18 I テサ 5 : 11さらに 上に建てる 建て上 げる evpoikodome,w は I コリで 4 回使用されている 3 : 10, 12, 14 11 同様の主張が以下の書で見出される 礼拝は oivkodomh, を現実のものとする場であるつまり 58

5 avga,ph oivkodomei/ 8 : 1 ことを認め合う場でもある12Choi によれば oivkodomh,を実現 する礼拝を守るために パウロは二つのことを要求している13第一は礼拝において秩序 を重んじること 14 : 33, 40 第二は参加者全ての者に理解できるものあることである 14 : 27 以下 それゆえ モノゴールではなくダイアローグとして 互いが互いを造り 上げることが求められている一つ一つの石材として霊の賜物が重なり合って家 教会 を築き その土台はイエス キリストが支えているパウロは分裂の危機に瀕するコリン ト教会に対して 以上のようなイメージ豊かな提言を書簡として送ったのである 14 まとめ 最後に これまでの釈義的考察を踏まえ 今日の教会における説教の意義について考え たいもちろん パウロは I コリント書 14 章で説教そのものについて意見を述べたわけ ではないが 14 章の論述から説教のあり方を学ぶことができると考える以下のように まとめられるまず 預言と異言の相違から分かることは 教会で語るべきことはダイア ローグであり 人に向かって語るべきである時にそれは人の内に秘めたる事柄をあぶり 出す批判性を携えているそして それは人を造り上げだけではなく 目的を担っている説教は自己完結的なモノローグになってはいけない今日の教会の説 教者が念頭に置くべきことを パウロが残した言葉から学ぶことができるだろう 教会 Gemeinde の oivkodomh は礼拝の出来事を通して生じるといえるVgl. S. B. Choi, Geist und christliche Existenz : Das Glossolalieverständnis des Paulus im Ersten Korintherbrief 1Kor 14, Neukirchen-Vluyn 2007, 161. 12 Vgl. M.V. Lee, Paul, the Stoics, and the body of Christ, Cambridge 2006, p. 193. 13 Vgl. S. B. Choi, Geist und christliche Existenz, 163. 14 このようなパウロの提言がコリント教会で必ずしも好意的に受け止められなかったことは II コ リ ン ト 書 に 記 さ れ た 次 の パ ウ ロ の 言 葉 か ら 明 ら か で あ る あ な た が た を 打 ち 倒 す た め eivj kaqai,resin ではなく 造り上げるため eivj oivkodomh.n に主がわたしたちに授けてくださった権威 について わたしがいささか誇りすぎたとしても 恥にはならないでしょう II コリ 10 : 8 壊 すため eivj kaqai,resinå ではなく造り上げるため eivj oivkodomh.n に主がお与えくださった権威によっ て 厳しい態度をとらなくても済むようにするためです 同 13 : 10 59