2, 3 回の立ち話程度の会話が交わされただけである しかしプーチンとしては どうしても首脳会談を実現したかったようである プーチン自身 われわれの担当者が残念ながらスケジュール調整に失敗した為 米露首脳会談が実現しなかった これは担当者のミスであり 彼らは処分される と 語っている プーチンがわざ

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合同軍事演習中止は在韓米軍撤退にも繋がる それはトランプ自身が言及した通りである 6 月 16 日の東亜日報は 合同軍事演習中止が在韓米軍撤退論に繋がりかねない との悲観論を訴えている ここの動きだけを見ていると確かにアメリカが韓国を見捨てつつあるという印象をもつが 筆者に言わせれば韓国側があまりに

< 海外情勢 > [ トランプを過小評価した金正恩の誤り ] 藤井厳喜 ( 国際政治学者 ) 2 月 27~28 日 ベトナムの首都ハノイで開催された米朝首脳会談は 何ら前向きの成果を生み出すことなく終了した 日本のマスコミは一般に 交渉決裂 あるいは 交渉失敗 という報道を流したが これは必ずしも

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的に進めた欧州諸国や日本の企業に対する警告だと考えられる これは トランプ政権が本気であり どれだけアグレッシブにイランに対する制裁を履行しよう としているのかを見せつける一種の 脅し だと考えるべきである 5 月 13 日にはジョン ボルトン大統領補佐官が 欧州企業は米国の制裁に直面する可能性が

情勢分析_シリア分割への道? 競合する停戦枠組み

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

北朝鮮に対するトランプ政権の真意 8 月 8 日 北朝鮮の威嚇的な発言を受けて トランプ米大統領は次のように語っている 北朝鮮はアメリカへの脅迫行為を続けるべきではない さもなければ 世界が未だに目にしたことのないような炎と怒りに直面するだろう トランプ大統領の強い口調は 後半だけ取り上げると あた

2 を米メディアが報じていることだ トランプ氏はかつて モスクワで美人コンテストを開催するなどロシアでのビジネスに関与し その際に 不名誉な 情報を握られたとされる ロシア側は疑惑を全面否定している トランプ氏を持ち上げすぎて疑いを深めるのは得策ではないだろう それでも 自由や人権といった 普遍的な

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配下に収め 事実上の自治地域を拡大させてきた しかしこれは トルコ政府にとっては テ ロリストが領土を拡大させていることを意味するため クルド武装組織の勢力拡大は国家安 全保障上の脅威だ として 米国に抗議を続けてきた それでも米国は YPG/SDF への支援をやめないため トルコは 2016 年以

日本 米に関税 500 億円の追加へ ( スプートニク 2018 年 05 月 18 日 00:48) プーチン大統領シリアのアサド大統領とソチで会談ペスコフ報道官 ( スプートニク 2018 年 05 月 18 日 04:37)

「これだけは学んでおきたい! 最新時事問題&現代用語 2013」 - 夏号(サンプル)

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の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関

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【ロシア最新経済金融週報】

サイル (ICBM) と定義づけられる約 5,400 キロメートルの射程距離には及ばないものの グア ムとアリューシャン列島の攻撃を可能にするミサイルである そして 7 月には 2 回にわたり ICBM 火星 14 を発射 射程 5,400 キロを超える ICBM の発射実験を成功させ 11 月 2

バーたちのプロパガンダ ゲームに利用されることを許してはならない とイランの大統領は述 べ 米国の不当な行為から 国際法や国際秩序を守るべきだと訴えた トランプ大統領とロウハニ大統領が国連で演説をする前日の 9 月 24 日 欧州連合 (EU) のモゲリーニ外交安全保障問題担当上級代表とイランのザリ

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2017 年の主な軍事ニュース ( スプートニク 2017 年 12 月 28 日 23:03 アントン シチコフ ) 中国 制裁を迂回した北朝鮮への石油販売を否定 ( スプートニク 2017 年 12 月 28 日 23:11)

る 参照ページの上の図はツイッターでのサポートだが 下の図からはどのような国々がイラクとシリアに 兵士 を提供しているかが分かる 参照ページ :The countries where ISIS finds support, in two charts

朝鮮半島リポート【第4回】

2016 年 6 月 24 日大統領選挙どうして今年の大統領選挙は重要なのか? 戦後最も注目されている今回の選挙 最大の理由は 今回の大統領選終了後 大統領制への移行となるからです 2017 年 4 月 16 日 トルコでは 大統領権限強化を盛り込む憲法改正の是非を問う国民投票 が実施されました 結

小手川大助 (CIGS 研究主幹 ): 質疑応答に入る前に二つ質問したい 第一に 現政権の作業小部会の活動は オバマ氏のホワイトハウス運営と比べてどうか? 第二に 最近共和党の現職議員が予備選挙で敗北したり 引退を発表したりしているが これは確かか? また中間選挙でトランプ氏はどんな戦略を取とると考

実であれば このように人命を盾にとって脅迫をするということは誠に許しがたく 強い怒りを覚えているという旨を発言をし そして防衛省としましても 防衛駐在官等を通じまして 情報収集に万全を期す所存である旨を伝えたところでございます そして わが国としてもテロに屈することなく 日英で協力をして 国際社会に

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ほか 2016 年 6 月には米ボーイング社がイラン航空と民間航空機 100 機の売却契約を締結した また 核合意の履行の一環として 米国はイランから重水 32 トンを 860 万ドルで購入することを決定している さらに オバマ政権は 米国による対イラン制裁が第三国とイランとの取引を妨害することはな

ロシアがウクライナ向けガス供給をストップ

2007年12月10日 初稿

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≪第47期一般課程国外現地研修≫

第16講  第二次世界大戦とドイツの戦略(1)

第2章中東と北アフリカ 第 6 節 も 日本経済界を代表する経済ミッションが同行し エネルギー インフラ開発 保健 医療 先端技術を始めとする幅広い分野で日 本の 強み を各国のハイレベルに積極的にアピールした 各 論 1 シリア情勢 シリア アラブ共和国では 2011 年 3 月以降の混乱に拍車が

国際協力銀行 ソチ投資フォーラムで遠隔医療プラットフォーム ドクティス への投資表明 ( スプートニク 2018 年 02 月 16 日 02:42 徳山あすか ) 日米 ミサイル対処シュミレーション訓練を実施へ ( スプートニク 2018 年 02

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部隊と共にパトロールを始めたのである トルコ軍の攻撃を避けるため YPG の車両には米 国の国旗が掲げられ 米軍と YPG の緊密さが強調された さらにこれに追い打ちをかけるように 5 月 8 日 トランプ大統領は YPG に対する直接の武 器供与を承認すると発表した すでにイラクではモスル西部地区

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特集 ロシア NIS 圏で存在感を増す中国特集 ロシアの消費市場を解剖する Data Bank 中国の対ロシア NIS 貿易 投資統計 はじめに今号では ロシア NIS 諸国と中国との経済関係を特集しているが その際にやはり貿易および投資の統計は避けて通れないであろう ただ ロシア NIS 諸国の側

ケンブリッジ アナリティカが廃業宣言スキャンダラスな公表の結末 ( アップデート 2018 年 05 月 04 日 03:23) ガスパイプライン ノルドストリーム 2 の敷設工事ドイツで開始 ( アップデート 2018 年 05 月 04 日 04:

私は今夜 犯罪者であるアサド政権を支援し 武器を与え財政的にも支援している2つの政府に対して言いたいことがある イランとロシアよ 女性や子どもたちを含む無実の人々を大量に殺害する殺人者と協力したい国とはいったいどんな国なのか と問いたい ( 中略 )2013 年にプーチン大統領と彼の政府は 世界に対

ギリシャ概況 (2018 年 5 月号 ) 1. 内政 16 日サケラリウ行政最高裁判所長官が辞任した 19 日国会がNOVARITS 社贈賄疑惑に関する国会の調査委員会に権限がないとし 本件を司法に差し戻すことを賛成票 168で承認した ( 議員 172 名が出席 ) 2. 外政 4 月 30 日

情勢分析_重大な流動化の様相を呈する中東情勢

ば 3 月 18から19 日にかけてシリア北部のIS 拠点ラッカで大規模な空爆があり 少なくとも民間人ら ( 女性 12 人 子供 13 人を含む )55 人が死亡した 空爆はロシア空軍によるものと見られている この空爆は停戦違反ではないが 巻き添えになる民間人の数が今後増えれば停戦の意義が問われる

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米韓国防相が電話会談北朝鮮のミサイル発射非難近くワシントンで会談 ( アップデート 2017 年 08 月 18 日 12:30) 米国防総省北朝鮮が米国へミサイル発射なら必ず迎撃 ( アップデート 2017 年 08 月 18 日 14:51) ht

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仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

HP掲載後微修正】日本側共同声明案和文

ペスコフ報道官プーチン大統領とトランプ大統領の会談日程を発表 ( スプートニク 2017 年 05 月 11 日 22:31) 露大使韓国が朝鮮半島問題の解決でロシアと協力することに期待している ( スプートニク 2017 年 05 月 11 日 23

総 論

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国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)結果の推移

経済変動論 0


2 本においても復活し 再び日本の進路を誤らせようとしているようです 第一の軍事力信仰の強まりは いうまでもなく安倍首相本人において極めて強烈なものがあります 安倍首相も 安全 や 平和 を口にしますが 非軍事的安全保障という発想はなく 安全 はあくまでも軍事力によってもたらされるものであり 平和

2 マイケル マクデビット加藤洋一 望を持たせる兆候となる しかし その一方で 北朝鮮が長い間にわたり核開発計画を放棄してこなかった長い歴史を振り返れば 今後 北朝鮮が再び深刻な挑発に走ることを なお考えないわけにはいかない とりわけ もし北朝鮮の核とミサイルの能力が 抑制を受けないまま野放しとなれ

シリア情勢を分析中 極めて興味深い情報 ( 噂 ) に接した 今年 1 月初めロシア軍情報機関のトップが突然死し その死因は心臓発作だという発表がなされていたが 最近になり 実は彼の死は暗殺だったという驚くべき情報がもたらされたのである その情報 ( 噂 ) を通して見えてくるものは シリアのアサド

情勢分析_核合意後のイラン政治・社会の現況

ポール ゴールドスタイン氏 パシフィック テック ブリッジ (PTB) 社長兼 CEO: 数週間前 私は経団連米国事務所で講演を行った その際 多くの出席者から 北東アジアで起きているシフトの性質に関する具体的な質問があった 国際関係論の教授や同分野の専門家 日中韓を専門とする研究者のほとんどは 現

中東問題再考 119 を交わすことになった 幸いイラクのシーア派 スンニ派 世俗派を代表する三人の副大統領 そしてクルド派を代表する二つの政党の一つであるクルド愛国同盟(PUK)のトップと一時間ずつ個別に懇談を行い また国連イラク支援ミッションのウォルポール副代表とも夕食を共にしながら議論する機会を

国際エネルギー機関(IEA) 月報 国際エネルギー機関 (IEA) は13 日公表した月報で 石油輸出国機構 (O PEC) と非加盟産油国が ( 協調減産を通じて ) 世界の原油在庫を望ましい水準に引き下げる役割を達成したようだと分析 さらに 供給抑制が続いた場合には 石油市場が逼迫する可能性を示

表紙で使用している写真について 弾道ミサイル発射訓練 ( 朝鮮通信 = 時事 )2 サミット / ワーキングセッションに臨む各国首脳 ( 時事 )3 シリア北部アレッポ県で立ち上る煙 ( ゲッティ= 共同通信社 )4 立入検査 5

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き続き求めてまいります と申し上げました また 北朝鮮による拉致問題についても 日本や韓国の国民のみならず タイやレバノン ルーマニアなど世界各国においても拉致された方々がおられるとされており 基本的人権の侵害という国際社会全体における普遍的な問題 として問題解決への協力をこの場でお願いをいたしまし

A: 最近の韓国での出来事だとか 日本での出来事などについて率直に意見交換をしたわけでございますが 私が感じたのは長官の話を通じて 韓国のこの平和と朝鮮半島の平和と安定 これは日本にとっても安全保障上 大変重要なことでございまして 韓国の防衛政策も伺えましたけど 非常にしっかりとしたものであります

第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

当然 スエズ運河を通じてタンカーでも原油や天然ガスを運ぶことも出来る 誰が考えても, パイプラインのほうが安価である しかし これに加え タンクローリーでも原油を運んでいるのである IS もシリア イラクモスルの原油を タンクローリーで販売し 資金源にしていたのである エルドアン大統領の息子が 原油

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安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

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学習指導要領

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

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のウランを解体することであり イラン側がかなり譲歩した形となっている 両者の主な公約内容は以下の通りであり 2014 年 1 月 20 日より履行された イラン側の公約 濃度 5% を超える高濃縮ウランの製造停止 製造済みの濃縮度 20% のウランの解体 稼働する遠心分離機の種類と数量を制限 アラー

こうした私自身の中東に関する経験や, 中東の多くの友人から, これまで頂いた様々な貴重な助言を胸に私は外務大臣として, 中東の平和と安定の実現により深くコミットしていく考えをここに表明します 本日は, その基本的な考え方と新たなイニシアティブについてお話しします 2. 日本にとっての中東, 平和と繁

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待も大きくなる 世界が今期待していることは オバマ大統領のイラン訪問である 前アハマデネジャド大統領は前ブッシュ大統領をテヘラン大学へ招待したが 当然ながら前ブッシュ大統領は断った 今 ロハニ大統領がオバマ大統領を招待すればオバマ大統領はどうするか アメリカの外交政策の専門家たちは 大統領はおそらく

Institutional Shareholder Services Sumitomo Fudosan Kanda Building 16F 7 Kanda Mitoshirocho Chiyoda-ku, Tokyo T: 各位 2017 年 10

取引または行為の内容

合意内容わかりやすく表にまとめてみましたが ほぼ全ての点で EU の主張が通っており メイ首相が 4 回の演説を通して訴えた内容とはかけ離れた合意となったことが判ります これだけ大幅な譲歩を迫られたということは 見方を変えれば英国政府は自分達の交渉能力を過信しすぎた結果とも言えます 今回の合意につい

この長期にわたる紛争に対する政治的解決を達成することとマグレブ アラブ連合の加盟国間の協 力の強化は 安定および安全 同様にサヘル地域の全ての人々のための仕事 成長および機会を導き出 すことに貢献するであろうことを認識し 国際連合西サハラ住民投票監視団 (MINURSO) を含む 全ての平和維持活動

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サウジ・イランの二極対立が顕在化する中東 非資源国中心に成長続くアフリカ経済

スプートニク日本 リンク PDF( ~ ) 世界選手権へ出場はザギトワか メドベージェワか? ( スプートニク 2018 年 12 月 20 日 19:51) ソ連崩壊を残念に思うロシア人 過去 10 年間で最大に

北朝鮮政策の再検討 分断国家の核武装にいかに対処すべきか 小此木政夫安全保障外交政策研究会シニアアソシエイツ慶應義塾大学名誉教授 六つの提言 非核化のための政策 1 北朝鮮の核武装はほとんど既成事実となり 非核化を実現することは一世代をかけた長期の課題となった このため 核武装してもミサイル開発して

24 日付当地紙グランマにて,21 日に開催された閣僚評議会の概要について報じられた 同評議会でなされた説明, 決定等は以下のとおり (1) 国家医薬プログラムの一部修正案及び自然療法 伝統医学の発展プログラムの現代化が提示され, これに対し, ラウル カストロ議長は, このプログラムを具体化するた

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刻な問題である オバマ外交の最大の難関となりそうである 混迷するシリア情勢ー鍵を握るのは米露関係 5 月 5 日 イスラエルがシリア国内を空爆したがこれはレバノンに拠点をおくイスラム組織ヒズボラへ武器を供給する補給車列を狙ったものだった この空爆に対してシリアは報復も辞さないほどに激怒し シリア内戦

Transcription:

拡大する米露協調と深化する米中対立 北朝鮮問題の背後で転換する大国関係 藤井厳喜 < 国際政治学者 > 2017 年秋の国際情勢を俯瞰すると 米露中の大国間関係が大きく構造転換したことに気づかされる 単純に言えば 米露関係は一挙に改善したが 一方 米中関係はかなり険悪なものになってきている 日本のマスコミでは 北朝鮮問題のみがクローズアップされがちだが 実は北朝鮮問題の背後で米露中の 3 国関係は大きな構造転換を遂げていたのである 日本としては この動きを正確に把握した上で日米同盟の強化と自主防衛力の向上によって 急変する国際情勢に対応してゆかなければならない 北朝鮮のミサイル危機自体は 本質的には日本にとっては大きな脅威ではない 北朝鮮が暴発して日本に核弾頭ミサイルを撃ち込んでくる可能性は殆どない 北朝鮮情勢の背後にある中露の動きにこそ 我々は注目しなければならないだろう 米露協調関係の進展 11 月 11 日 トランプとプーチンはシリア情勢に関する米露共同声明を発表した ベトナムのダナン市で開催された APEC 首脳会議の場を利用しての発表であった 趣旨は ISの掃討作戦で 今後とも協力しシリア和平を推進するというものであった スケジュールの調整が上手くゆかず 両大統領による首脳会談は実現しなかった 行政調査新聞 (2017 年 12 月 16 日 ) http://www.gyouseinews.com/ 1

2, 3 回の立ち話程度の会話が交わされただけである しかしプーチンとしては どうしても首脳会談を実現したかったようである プーチン自身 われわれの担当者が残念ながらスケジュール調整に失敗した為 米露首脳会談が実現しなかった これは担当者のミスであり 彼らは処分される と 語っている プーチンがわざわざロシアにとって然程 重要性のない A P E C 首脳会談に往復 20 時間以上かけて出席したのは 実は米露の首脳会談が目的だったようだ アメリカ側としては当初 米露首脳会談に前向きであったが アメリカのメイン ストリーム メディアが ロシア ゲート問題 を騒ぎすぎるので 慎重にこれを避けたものと思われる さて 11 月 11 日には立ち話程度の首脳会談しかできなかったが 10 日後の 11 月 21 日には トランプとプーチンは一時間半近く電話会談を行なっている 内容はシリア問題のみならずウクライナ イラン アフガニスタンそして北朝鮮等の問題について米露で協調路線を模索するものであった トランプはこの電話会談について 記者団に対し 電話会談は 1 時間半近くに及び 素晴らしいものだった シリアに平和をもたらすことについて プーチン大統領とよく話し合った と述べている 同じ 11 月 21 日 プーチンはサウジアラビアのサルマン国王 イスラエルのネタニヤフ首相 エジプトのシシ大統領らと相次いで電話会談を行なっている シリアの和平と復興は当然必要だが 中東全体の安定化をロシア主導で実現したいとのプーチン大統領の思惑は ハッキリしている 実は 11 月 20 日シリアのアサド大統領は ロシア南部のソチを電撃訪問しプーチン大統領と 4 時間以上にわたって会談している ISの壊滅が今や現実となり その後のシリアの国家再建に向けてシリア和平会議が開かれる ロシアはアサド大統領を支援してこの会議に臨もうとしているが この 20 日の会談ではプーチンとアサドとの間で意見調整を行なったのであろう 20 日のアサドとの首脳会談を踏まえて プーチンは 11 月 21 日 トランプ大統領などとの電話会談を行なったことになる 更に 11 月 22 日には 同じソチにプーチンはイランのロウハニ大統領とトルコのエルドアン大統領を呼び ロシア イラン トルコの首脳会談を開催している 従来 トルコとロシア関係は 2015 年 11 月 トルコ軍機がロシア軍機を 行政調査新聞 (2017 年 12 月 16 日 ) http://www.gyouseinews.com/ 2

撃墜した事件以来 厳しく対立してきた しかし 2016 年 7 月のトルコのクーデター未遂事件をキッカケにトルコ ロシア間の対立は解消に向かった ロシア イラン トルコの 3 カ国は ここ数か月 カザフスタンの首都アスタナでシリア和平協議を継続して行なってきた これは通常 アスタナ プロセス と呼ばれている 11 月 17 日のテレビ演説で エルドアン トルコ大統領は ロシア イラン トルコの 3 カ国は シリア問題に関して 共通した認識を有している と語っている シリア問題に関しては ほぼ先行きが見えたようである 米露ビックディールは可能か? プーチン大統領はどうやら 様々な地域問題を包括的に解決するような米露協調路線を模索しているようである ビックディール ( 大きな取引 ) というのは 地域問題ごとに解決を模索するのではなく 米露間で包括的に地域問題を解決してゆこうというアプローチである 例えばプーチンとしては トランプに対して北朝鮮問題とウクライナ問題の取引を考えているようである これはロシアが北朝鮮に核とミサイルの開発問題で圧力をかけ ウクライナ問題では親ロシア派の東部の分離派に有利なようにアメリカがウクライナに圧力をかけるというものである もう一歩進めて言えば ロシアが北朝鮮の核とミサイルをストップする代わりに 東ウクライナを事実上のロシアの勢力圏として認めさせるというものである 残念ながら こういったビックディールは今のところ実現していない アメリカで ロシア ゲート問題 が持ち上がり アメリカの大手マスコミはこぞって米露協調路線に反対しているからである しかしこれも奇妙な話である リベラル色の強い米大手メディアは 本来 親ソ連であり親ロシアの傾向であった それに対しアメリカの保守派が反ソ連 反ロシアの立場なのであった ところが 2016 年の大統領選挙以来 これが逆転してしまっている 四捨五入していえば ヒラリー クリントンは 反露 親中 であり トランプは 親露 反中 であった 今やリベラル派の方が 露骨な反ロシアなのである 寧ろ米露協調を阻む為に意図的にアメリカの民主党と大手メディアが この反ロシア キャンペーンを展開し ロシア ゲート問題 なるものをでっち上げてきたと考えられる 行政調査新聞 (2017 年 12 月 16 日 ) http://www.gyouseinews.com/ 3

大統領選挙以来のトランプの演説を見ると 一貫してロシアとは提携して世界を安定させたいという願望を繰り返し表明している プーチンも前述のように 米露関係の大きなギブ & テイクには賛成である 今まで実現した米露協調は 対 IS 問題だけであったが 今後 その幅が広がってゆくことは十分に予測できる 世界一の軍事大国はアメリカであり 第二の軍事大国はロシアである そしてここが重要なのだが 両者とも現状維持こそが国益に適っている 世界ナンバーワンの軍事大国とナンバーツーの軍事大国が協調しなければ 世界政治の安定は有り得ない これは本来 日本も歓迎すべき事柄なのである 米朝関係の和解に動くロシア 米朝間で戦争への緊張感が高まっているのは事実である しかし 一方でロシアは米朝間の緊張緩和と交渉による解決を目指して 活発な仲介外交を続けている 勿論 これが成功するという保証はないが 相変わらずこういった重要な動きを日本のマスコミは無視し続けている 11 月 26 日から 28 日にかけてイーゴリ モルグロフ露外務次官は 韓国のソウルを訪問した このモルグロフ外務次官こそ 北朝鮮問題に関する 6 か国協議 のロシア首席代表を務めていた人物である モルグロフ外務次官は 米露両国が現在 北朝鮮問題に関して永続的な対話を行なっていることを明らかにしている 又 4~ 5 名からなるロシア下院の議員団が 11 月 27 日から 12 月 1 日にかけて 北朝鮮を公式訪問している この議員団代表のカズベク タイサエフ下院議員によれば このようなロシア議員団の北朝鮮公式訪問は 25 年ぶりとのことである ロシアはいわば ブリッジ交渉 を米朝間で行っているのである つまりロシアは一方で北朝鮮と交渉し また一方でアメリカと交渉し 何とか両者の橋渡し役を務めようと努力している 条件が整ったところで 米朝の 2 国間直接交渉が行われるという段取りである モルグロフ外務次官は 重要な経済政策の提言も韓国に対して行なってい る それは ロシアから北朝鮮経由で韓国にまで天然ガスのパイプラインを施 設するという経済プロジェクトである モルグロフ外務次官によれば このプ 行政調査新聞 (2017 年 12 月 16 日 ) http://www.gyouseinews.com/ 4

ロジェクトは実現性の高い段階にまで達しているという 北朝鮮が和平路線に転じれば このパイプライン構想が実現する そうなれば 北朝鮮は自国のエネルギー供給が容易になるばかりでなく パイプラインの通過料によって相当の収入が得られることになる 又 韓国の釜山にまで天然ガスのパイプラインが施設されれば 当然 天然ガスの輸出先としては 日本が浮上してくることになる 寧ろ 日本に天然ガスを輸出する為に この パイプライン プロジェクト が考えられていると言ってよい 経済発展と和平交渉を両立させるロシアの大きなプロジェクト提案である 日本としては当然 米露関係が和解的でなければ このようなプロジェクトを受け入れることは出来ない 逆に米露関係が進展し 米朝が一定の和解に到達すれば このようなプロジェクトは日本にとっては国益に適ったものとなる 金正恩体制が危険なことに変わりはないが 北朝鮮の体制転換は長い時間をかけて考えるべきものであろう ロシアはサハリンと北海道を繋ぐ 天然ガス パイプライン の建設計画も持っている 北海道から本州にパイプラインを伸ばせば 日本全体をもカバーすることが出来る 朝鮮半島経由の天然ガス パイプラインもサハリン経由のパイプラインも共に排他的なものではなく 両方実現したらよいというのがプーチンの思惑であろう 但しそうなると 日本は大事なエネルギー供給の源をロシアに握られてしまうことになる ロシア一国に依存するのではなく 天然ガスの輸入先も多様に確保しながらロシア外交の動向を見つめつつ 慎重に進展させるべきプロジェクトであろう 行政調査新聞 (2017 年 12 月 16 日 ) http://www.gyouseinews.com/ 5