静岡県アルコール健康障害対策推進計画骨子(案)

Similar documents
愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

多くの大学においては 新入生のオリエンテーション時やサークルの代表者に 未成年者の飲酒の防止と イッキ飲み 等過剰飲酒の禁止に関する指導や啓発が行われています また 平成 27 年度からは 県保健所 精神保健福祉センター等が中心となり 大学生向けのアルコール健康障害や適正飲酒の知識に関する出前講座を

歯科中間報告(案)概要

素案 北海道アルコール健康障害対策推進計画 ( 仮称 ) 平成 29 年 9 月 北海道

300308計画

目 次 第 1 章 計画の基本的な考え方 1 計画の策定趣旨 1 2 計画の位置付け 1 3 計画期間 2 第 2 章 アルコール健康障害に関する高知県の現状 1 飲酒者の状況 3 2 アルコール依存症患者の状況 6 3 アルコール関連問題の状況 8 4 県民のアルコール健康障害に関する意識 10

< F2D816994D48D FA957493FC816A >

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

京都府がん対策推進条例をここに公布する 平成 23 年 3 月 18 日 京都府知事山田啓二 京都府条例第 7 号 京都府がん対策推進条例 目次 第 1 章 総則 ( 第 1 条 - 第 6 条 ) 第 2 章 がん対策に関する施策 ( 第 7 条 - 第 15 条 ) 第 3 章 がん対策の推進

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

も少なくありません こうした状況に鑑み 舞鶴市は 言語としての手話の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進を図ることにより 全ての市民が障害の有無によって分け隔てられることなく 自分らしく安心して暮らすことができる地域社会を実現するため この条例を制定するものです 2. 条例の

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

第 2 章計画の推進及び進行管理 1 計画の推進 県 市町村及び県民が 関係機関等と相互に連携を図りながら 県民の歯 口腔の健康づくりを推進します 県における推進 (1) 全県的な推進 県全域の課題を踏まえた基本的施策や方向性を示すとともに 取組の成果について継続的な評価を行い 県民の生涯を通じた歯

福利厚生基本計画

●子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案

静岡県自殺対策行動計画

岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関 する条例 目次前文第一章総則 ( 第一条 - 第八条 ) 第二章基本的施策の推進 ( 第九条 - 第十六条 ) 附則 ( 前文 ) 手話が言語であることは 障害者の権利に関する条約において世界的に認められており わが国においても

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

特定健康診査等実施計画 東京スター銀行健康保険組合 平成 25 年 4 月

大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

特定健康診査等実施計画 ( 第 2 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 25 年 3 月 1 日

01 【北海道】

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

背景及び趣旨我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた しかし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する法律に

Ⅳ 第 2 次計画の目標 : 第 2 次計画で新たに設定した項目 府民主体 府民と行政と団体 行政と団体 1 内 容 新 規 栄養バランス等に配慮した食生活を送っている府民の割合 2 朝食欠食率 第 1 次計画策定時 35 現状値 第 2 次計画目標 第 2 次基本計画目標 24% 15% 60%

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

- 目次 - Ⅰ 計画策定の趣旨等 1 Ⅱ 船橋市における自殺の現状 2 Ⅲ 船橋市の自殺対策における取組 3 Ⅳ 船橋市の自殺対策推進体制 6

1_【鑑】「生活困窮者自立支援制度と介護保険制度との連携について(通知)」の一部改正について

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

平成13年度税制改正(租税特別措置)要望事項(新設・拡充・延長)


通知(写入)

計画の今後の方向性

●アレルギー疾患対策基本法案

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 ) 三重交通健康保険組合 平成 25 年 7 月

また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

1 計画策定の背景と趣旨 昭和 56(1981) 年の 完全参加 をテーマとする 国際障害者年 を契機に, 障害者福祉は大きく変化しました 国では, 平成 5(1993) 年 3 月に 障害者対策に関する新長期計画 が策定され, 同年 12 月には 障害者基本法 * が施行されました 以後も, 平成

特定健康診査等実施計画

(7)健診データの受領方法

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

Ⅰ 目標達成

特定健康診査等実施計画 ( 第 3 期 ) ベルシステム 24 健康保険組合 平成 30 年 3 月 1 日 ( 最終更新日 : 平成 30 年 7 月 27 日 )

Microsoft Word - 02 H28肝炎対策推進基本指針改訂(溶け込み)

1.【鑑】「生活困窮者自立支援制度と自殺対策施策との連携について」の一部改正について

アレルギー疾患対策基本法の施行について

<4D F736F F D20CADFCCDEBAD D9595B68E9A816A8AEC91BD95FB8E735F5F91E682558AFA89EE8CEC95DB8CAF8E968BC68C7689E >

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

三鷹市健康福祉総合計画2022

)各 職場復帰前 受入方針の検討 () 主治医等による 職場復帰可能 との判断 主治医又はにより 職員の職場復帰が可能となる時期が近いとの判断がなされる ( 職員本人に職場復帰医師があることが前提 ) 職員は健康管理に対して 主治医からの診断書を提出する 健康管理は 職員の職場復帰の時期 勤務内容

<4D F736F F F696E74202D20332E8CFA90B6984A93AD8FC E18F8A93BE8D8297EE8ED293998F5A82DC82A B68A888E B8E968BC682CC8D6C82A695FB B8CDD8AB B83685D>

平成 28 年度 自殺予防週間 実施要綱 1 趣旨平成 28 年 4 月 1 日に施行された自殺対策基本法の一部を改正する法律 ( 平成 28 年法律第 11 号 以下 改正法 という ) において 自殺予防週間を9 月 10 日から9 月 16 日までとし 国及び地方公共団体は 啓発活動を広く展開

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

特定健康診査等実施計画 豊田合成健康保険組合 平成 30 年 3 月

<4D F736F F D EC090D196DA E5816A8251>

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF E95FB8CF68BA CC82C982A882AF82E CC90A782CC90AE94F C982C282A282C42

児童虐待防止対策体制総合強化プラン 平成 30 年 12 月 18 日 児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定 1. 目的 2016 年 5 月に全会一致で成立した児童福祉法等の一部を改正する法律 ( 平成 28 年法律第 63 号 以下 平成 28 年改正法 という ) においては 子ども

PowerPoint プレゼンテーション

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

特定健康診査等実施計画

Microsoft Word - 4㕕H30 �践蕖㕕管璃蕖㕕㇫ㅪ�ㅥㅩㅀ.docx

00.xdw

第 1 部 施策編 4

DOTS 実施率に関する補足資料 平成 26 年 12 月 25 日 結核研究所対策支援部作成 平成 23 年 5 月に改正された 結核に関する特定感染症予防指針 に DOTS の実施状況は自治体による違いが大きく実施体制の強化が必要であること 院内 DOTS 及び地域 DOTS の実施において医療

特定健康診査等実施計画

第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

広島市障害者計画 2013 ー 2017 平成 25 年 3 月 広島市

【通知】海外療養費・出産育児一時金の支給の適正化に向けた対策等について

法律 出典 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律 ( 昭和 35 年 8 月 10 日法律第 145 号 ) 政令 医薬品 医療機器等の品質 有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 36 年 1 月 26 日政令第 11 号 ) 省令 医薬品 医療機器等の品質

年中児スクリーニングの事後支援 年中児スクリーニングの事後支援として 22 市町村が園巡回を実施しているが SST は 5 市町村の実施 ペアレントトレーニングは 7 市町村の実施に止まっており 事後支援を実施する市町村の拡大が課題 園巡回 : 専門職が保育所 幼稚園を巡回し 保育士等に指導 助言

2 基本理念と基本目標 本市のまちづくりの指針である 第 2 次柳井市総合計画 は 平成 29 年 3 月に策定 されました この総合計画では すべての市民が健康で安心して暮らせる 人にやさ しいまちづくり を健康 福祉分野の基本目標に掲げ その実現を目指しています これは 高齢者も含めた全ての市民

⑤5 地方公共団体における検証等に関する調査結果

三重県新地震・津波対策行動計画(中間案)130308

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

平成23年9月29日WG後修正

目 次 はじめに 1 第 1 条目的 2 第 2 条定義 3 第 3 条基本理念 5 第 4 条市民の責務 7 第 5 条歯科医療等関係者の責務 9 第 6 条保健医療等関係者の責務 10 第 7 条事業者の責務 11 第 8 条市の責務 12 第 9 条基本的施策 13 第 10 条基本計画 16


介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

PowerPoint プレゼンテーション

0-1表紙

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

平成27年度事業計画書

背景及び趣旨 我が国は国民皆保険のもと世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を達成してきた し かし 急速な少子高齢化や国民の意識変化などにより大きな環境変化に直面しており 医 療制度を持続可能なものにするために その構造改革が急務となっている このような状況に対応するため 高齢者の医療の確保に関する

1_【鑑】「生活困窮者自立支援法の施行に伴う多重債務者対策担当分野との連携について(通知)」の一部改正について

乳幼児健康診査について

データヘルス計画 ~健康増進に向けた医療保険者の機能強化~

< F2D E968BC681698E968CE3816A817A C8250>

特定健康診査等実施計画 ( 第二期 : 平成 25 年度 ~ 平成 29 年度 ) リクルート健康保険組合 平成 25 年 4 月 1

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

5) 輸送の安全に関する教育及び研修に関する具体的な計画を策定し これを適確に実施する こと ( 輸送の安全に関する目標 ) 第 5 条前条に掲げる方針に基づき 目標を策定する ( 輸送の安全に関する計画 ) 第 6 条前条に掲げる目標を達成し 輸送の安全に関する重点施策に応じて 輸送の安全を確 保

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

乳児家庭全戸訪問事業(一部改正)

【資料1】結核対策について

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

特定健康診査等実施計画 ( 第 3 期 ) 三菱製紙健康保険組合 平成 30 年 4 月

(この実施計画は「高齢者の医療の確保に関する法律」第19条の規定に基づき作成し、

審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

第3章 指導・監査等の実施

平成30年度精神保健に関する技術研修過程(自治体推薦による申込研修)

Transcription:

静岡県アルコール健康障害対策推進計画 2018 年 3 月 静岡県

目次 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨 1 2 計画の位置づけ 期間 基本目標 2 3 国 地方公共団体 事業者 県民 医師等健康増進事業実施者の責務 2 Ⅱ 本県のアルコール健康障害をめぐる状況 3 Ⅲ アルコール健康障害対策の基本的な考え方 1 基本理念 9 2 基本的な方向性 9 発生予防 (1) 正しい知識の普及及び不適切な飲酒を防止する社会づくり 進行予防 (2) 誰もが相談できる相談場所と 必要な支援につなげる連携体制づくり (3) 医療における質の向上と連携の促進 再発予防 (4) アルコール依存症者が円滑に回復 社会復帰するための社会づくり 基盤整備 (5) アルコール健康障害対策に向けた体制の整備 人材の確保 調査研究等 3 重点目標 重点課題及び達成目標 10 重点目標 (1) 飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し 将来にわたるアルコール健康障害の発生を予防 (2) アルコール健康障害に関する予防及び相談から治療 回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備 Ⅳ 計画の体系 12 Ⅴ 基本的施策 1 発生予防対策 (1) 教育の振興等 13 (2) 不適切な飲酒の誘引の防止 14 2 進行予防対策 (1) 相談支援の充実 15

(2) 健康診断及び保健指導 15 (3) アルコール健康障害に関連して飲酒運転等をした者に対する指導等 16 (4) アルコール健康障害に係る医療の充実等 16 3 再発予防対策 (1) 社会復帰の支援 18 (2) 民間団体の活動に対する支援 18 4 基盤整備 (1) アルコール依存症の相談拠点の明確化及び治療の拠点となる専門医療機関の整備 19 (2) 人材の確保等 19 (3) 調査研究の実施 19 Ⅵ 推進体制等 1 関連施策との有機的な連携 20 2 推進体制 20 3 進行管理 20

Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨 酒類は 祝いの場や懇親の場などで欠かせない存在として浸透しています 一方で 酒類は依存性や致酔性といった特性を持つ嗜好品であり 不適切な飲酒の仕方をすれば 健康への影響や様々な事件 事故等を引き起こします アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく その家族への深刻な影響や飲酒運転 暴力 虐待 自殺等の重大な社会問題を生じさせる危険性が高いため アルコール健康障害対策は極めて重要な課題です このため 2014 年 6 月に アルコール健康障害対策基本法 が施行され 基本法において 地方公共団体の責務は アルコール健康障害対策に関し 国と連携を図りつつ 地域の実情に応じた施策を策定し 実施することとされるとともに 計画を策定するよう努めるものとされました このような状況を踏まえ 本県では アルコール健康障害対策を総合的に推進するため 国が 2016 年 5 月に策定した アルコール健康障害対策推進基本計画 を基本としつつ 県の実情に即した アルコール健康障害対策推進計画 を策定することとしました 本県では この計画策定以前より 行政と民間団体が連携してアルコール健康障害に取り組んできた歴史があります 行政団体の取り組みとしては アルコールに係る自助グループの静岡県断酒会が 1964 年に断酒互助会として誕生して以降 県内は勿論 隣県にも支部として地域活動を活発に行ってきました 行政との連携では 保健所での相談支援等に協力するとともに 1979 年には県の事業により静岡県断酒会館が建設され 現在も団体としての取組のほか 県精神保健福祉センターにおける相談支援を行っています このほかの団体においても静岡県小売酒販組合連合会におけるアルコール健康障害対策啓発活動等が活発にされてきた経緯があります これまでの個々の団体の活動を 本計画において 各種団体のとの連携につなげ より効果的なアルコール健康障害対策としていきます 県は この計画に基づき 国 市町 関係機関 団体と連携し アルコール健康障害の発生 進行及び再発の予防対策を図ることにより 富国有徳の理想郷 ふじのくに づくりを目指し 誰もが健康で安心して暮らすことのできる社会の実現に取り組んでいきます 1

2 計画の位置づけ 期間 基本目標 (1) 計画の位置づけこの計画は アルコール健康障害対策基本法 ( 平成 25 年法律第 109 号 )( 以下 基本法 という ) 第 14 条第 1 項の規定による都道府県計画として策定します (2) 計画の期間この計画の期間は 2018 年度から 2022 年度までの5 年間とします (3) 計画の基本目標この計画は アルコール健康障害の発生 進行及び再発の予防並びに当事者及びその家族への支援の充実により 誰もが健康で安心して暮らすことのできる社会の実現を目指します 3 国 地方公共団体 事業者 県民 医師等 健康増進事業実施者の責務 アルコール健康障害対策基本法 では 国 地方公共団体 事業者 県民 医師等 健康増進事業実施者の責務が定められています (1) 国基本法の基本理念にのっとり アルコール健康障害対策を総合的に策定し 実施する (2) 地方公共団体基本法の基本理念にのっとり アルコール健康障害対策に関し 国と連携を図りつつ 地域の状況に応じた施策を策定し 実施する (3) 事業者酒類の製造又は販売を行う事業者は 国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力するとともに 事業活動を行うに当たって アルコール健康障害の発生 進行及び再発の防止に配慮するよう努める (4) 県民アルコール関連問題に関する関心と理解を深め アルコール健康障害の予防に必要な注意を払うよう努めなければならない (5) 医師等国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力し アルコール健康障害の発生 進行及び再発の防止に寄与するよう努めるとともに アルコール健康障害に係る良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない (6) 健康増進事業実施者国及び地方公共団体が実施するアルコール健康障害対策に協力するよう努めなければならない 2

Ⅱ 本県のアルコール健康障害をめぐる状況 1 アルコール依存症者 継続的に受療している者 入院患者数 1,388 人 568 人 出典 :2014 年厚生労働省 630 調査 2 飲酒者の状況 (1) 飲酒習慣のある者の割合 飲酒習慣のある者 * の割合は 男性は減少傾向 女性は横ばいとなっている 表 1 飲酒習慣のある者の割合年次推移 区分 2003 年 2008 年 2013 年 男性 39.4% 34.6% 29.6% 女性 5.7% 4.7% 6.5% 図 1 飲酒習慣のある者の年次推移 出典 : 県民健康基礎調査 (%) 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 39.4 34.6 男性 29.6 5.7 6.5 4.7 女性 2003 年 2008 年 2013 年 * 飲酒習慣のある者 : 週 3 日以上 1 回日本酒換算して 1 合 ( 純アルコールで 約 20g 程度 ) 以上の者 3

(2) 毎日飲酒する者の市町別マップ ( 政令市は区ごと ) 2014 年特定健診 ( 特定健康診査 ) の問診票において 毎日飲酒 と答えた者の市町別に集計した結果 男性では中部地区 伊豆地区において 毎日飲酒 の割合が静岡県平均 * と比べて高い傾向にあり 女性では伊豆地区 政令市において 毎日飲酒 の割合が高い 図 2 毎日飲酒する者 ( 男性 女性 ) の市町別マップ 全県に比べて 有意に多い 有意ではないが 全県に比べて多い 2014 年特定健診 全県 毎日飲酒 ( 男性 ) 有意ではないが 全県に比べて少ない 全県に比べて 有意に少ない 2014 年特定健診 全県 毎日飲酒 ( 女性 ) * 静岡県全体を基準としており 当該市町の割合が基準より大きい場合 当該市町の該当者出現率は静岡県全体よりも高く 基準より小さい場合 静岡県全体より低いことを示す 4

(3) 不適切な飲酒者の状況 静岡県における生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている者の割合は 2016 年の調査では 男性が 11.9% 女性 8.3% となっており 2013 年調査と比較すると 男性は 2.1% の減少 女性は 1.8% の増加となっている また 2014 年国民健康 栄養調査によると 全国の割合は 男性は 15.8% 女性は 8.8% で いずれも静岡県は全国平均よりも割合が低い状況となっている 表 2 生活習慣病のリスクを高める量 * を飲酒している者の割合 区分 2013 年 2016 年全国 (2014 年 ) 男性 14% 11.9% 15.8% 女性 6.5% 8.3% 8.8% 出典県 : 県民健康基礎調査 全国 : 国民健康 栄養調査 2016 年度の生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている人の年代別の割合は 30 歳代が男女ともに高い状況となっている 図 3 生活習慣病のリスクを高める量の飲酒をしている人の割合 ( 年代別 ) 25.0 20.0 15.0 (%) 10.0 5.0 0.0 19.2 男性 女性 16.4 14.6 10.8 10.2 11.7 13.0 12.7 11.9 9.1 10.4 8.3 6.1 5.1 1.6 0.0 20 歳代 30 歳代 40 歳代 50 歳代 60 歳代 70 歳代 80 歳代 合計 出典県 :2016 年度県民健康基礎調査 5

* 生活習慣病のリスクを高める量は 1 日当たりの純アルコール摂取量が 男性 40g ( 日本酒換算で2 合 ) 以上 女性 20g ( 日本酒換算で1 合 ) 以上です 主な酒類の換算の目安 お酒の酒類 ビール 清酒 ウイスキー ブランデー 焼酎 (25 度 ) ワイン 酒量 500ml 180ml 60ml 100ml 200ml アルコール度数 5% 15% 43% 25% 12% 純アルコール量 20g 22g 20g 20g 20g 出典 : 厚生労働省健康日本 21 アルコール健康障害対策推進ガイドブック 6

(4) 未成年の飲酒の状況 ( 全国数字 ) 全国中高生の飲酒率 ( 経験率 月飲酒率 週飲酒率 ) は 男女とも減少傾向 にある 表 3 未成年者 ( 中学生 高校生 ) の飲酒割合 区分 2010 年 2012 年 2014 年 中学 3 年生 男子 10.5% 9.6% 7.2% 女子 11.7% 9.0% 5.2% 高校 3 年生 男子 21.7% 16.1% 13.7% 女子 19.9% 16.6% 10.9% 出典 : 厚生労働科学研究費による研究班の調査 ( 調査前 30 日間に 1 回でも飲酒した者の割合 ) (%) 図 4 中学生 高校生の飲酒者割合の推移 出典 : 厚生労働科学研究補助金 未成年者の健康課題および生活習慣に関する実態調査研究 7

(5) 妊婦の飲酒 母子健康手帳交付時に飲酒している妊婦の割合は 2015 年までは横ばいに推移していたが 2016 年に大きく減少した 表 4 母子健康手帳交付時に飲酒している妊婦の割合全国 2013 年 2014 年 2015 年 2016 年妊娠中の飲酒 (2014 年 ) 4.1% 4.8% 4.5% 3.4% 4.3% 出典県 : 健康増進課調べ 全国 : 国民健康 栄養調査 8

Ⅲ アルコール健康障害対策の基本的な考え方 1 基本理念 アルコール健康障害の発生 進行及び再発の各段階に応じた予防対策を実施するとともに 当事者やその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むための支援を行うものとします アルコール健康障害対策を実施するに当たっては アルコール健康障害が 飲酒運転 暴力 虐待 自殺等の問題に密接に関連することに鑑み これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう 必要な配慮を行います 2 基本的な方向性 発生予防 (1) 正しい知識の普及及び不適切な飲酒を防止する社会づくり飲酒に伴うリスクや アルコール依存症について 正しく理解した上で お酒と付き合っていける社会をつくるための教育 啓発の推進及び酒類関係事業者による不適切な飲酒の誘引を防止する取組を促進します 進行予防 (2) 誰もが相談できる相談場所と 必要な支援につなげる連携体制づくり精神保健福祉センター各保健所等が中心となり アルコール関連問題の相談支援の場所を確保し 幅広い関係機関や 自助グループ及び民間団体の連携により 適切な指導 相談 社会復帰の支援につなげる体制づくりを行います (3) 医療における質の向上と連携の促進地域においてアルコール依存症の治療 研究 人材育成等の中心となる拠点機関の整備を進めるとともに アルコール健康障害への早期介入を含め 一般医療機関と専門医療機関との連携を推進します 再発予防 (4) アルコール依存症者が円滑に回復 社会復帰するための社会づくりアルコール依存症者の回復 社会復帰が円滑に進むよう 社会全体でアルコール依存症並びに回復及び社会復帰について 理解を促進します 回復 社会復帰を円滑に進めるためには 民間団体との連携は不可欠であることから その活動への支援をしていきます 基盤整備 (5) アルコール健康障害対策に向けた体制の整備 人材の確保 調査研究等アルコール健康障害対策に向けた基盤 体制を整備します 9

3 重点目標 重点課題及び達成目標重点目標を定め 重点課題を解消するため 達成目標を設定します 重点目標 (1) 飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し 将来にわたるアルコール健康障害の発生を予防 重点課題 1 未成年者の飲酒は 未成年者飲酒禁止法で禁止されているのにも関わらずゼロになっていません また 脳の萎縮や第 2 次性徴の遅れ アルコール依存症のリスクの高まりなど 心身の発育の影響が指摘されており 健全な心身の育成を図るため 未成年者の飲酒をゼロとすることが求められています 2 妊婦の飲酒は 胎児性アルコール症候群 ( アルコールの影響で胎児に脳の発達障害等がおこる疾患 ) や発育障害を引き起こすことが指摘されており 妊娠中は飲酒をしないことが求められています また 出産後も授乳中は飲酒を控えることが望ましいです 3 若年者は自身の飲酒量の限界が分からないことから等から 急性アルコール中毒のリスクが高いとの指摘があります 女性は 男性よりも少ない飲酒量で 生活習慣病のリスクが高くなること また 男性よりも短期間の飲酒でアルコール依存症を発症する傾向があることが指摘されています 4 アルコール依存症については 精神疾患であることが理解されず 本人の意思が弱いだけであるなどという誤解や偏見があることで 適切な支援や治療につながりにくくなることから アルコール依存症に関する正しい知識を普及させる必要があります 達成目標 飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し 将来にわたるアルコール健康障害の発生を予防し 以下の目標の達成を目指します 1 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合を 男性 10.0% 女性 6.4% まで減少させること 2 未成年者の飲酒をなくすこと 3 妊娠中の飲酒をなくすこと 10

重点目標 (2) アルコール健康障害に関する予防及び相談から治療 回復支援に至る切れ目 のない支援体制の整備 重点課題 1 アルコール健康障害については これを予防するための早期介入の取組が重要であると指摘されています 2 どこに相談にいけば良いか分からず 適切な相談や治療 回復につながっていないと指摘されており 地域における相談体制を確保する必要があります 3 相談窓口によっては 治療や回復支援を行う医療機関 自助グループや回復施設等の情報を把握していないため 必要な支援につながっていないと指摘されており 関係機関の情報共有が求められています また 一般医療機関と専門医療機関との連携が求められています 4 こうしたことを踏まえて アルコール健康障害を予防するために重要な早期介入の手法の普及や地域における相談拠点の明確化 関係者の連携体制の構築や治療等の拠点となる専門医療機関の指定により 予防 相談 治療 回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備を推進します 達成目標 アルコール健康障害に関する予防及び相談から治療 回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備のために 相談及び医療連携体制の構築を図ります 1 地域における相談拠点の明確化 2アルコール依存症の治療等の拠点となる専門医療機関の整備 11

Ⅳ 計画の体系 基本目標 アルコール健康障害の発生 進行及び再発の予防並びに当事者及びその家族への支援の充実により 誰もが健康で安心して暮らすことのできる社会の実現を目指します 重点目標 1 飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し 将来にわたるアルコール健康障害の発生を予防 2 アルコール健康障害に関する予防及び相談から治療 回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備 対策 基本的な方向性 基本的施策 発生予防 正しい知識の普及及び不適切な飲酒を防止する社会づくり 教育の振興等 不適切な飲酒の誘引の防止 進行予防 誰もが相談できる相談場所と 必要な支援につなげる連携体制づくり 健康診断及び保健指導 相談支援の充実 飲酒運転等をした者に対する指導等 医療における質の向上と連携の促進 アルコール健康障害に係る医療の充実等 再発予防 アルコール依存症者が円滑に回復 社会復帰するための社会づくり 社会復帰の支援 民間団体の活動に対する支援 基盤整備 アルコール健康障害対策に向けた体制の整備 人材の確保 調査研究等 相談拠点の明確化 治療等の拠点の整備 人材の確保等 調査研究の推進等 12

Ⅴ 基本的施策 1 発生予防対策 (1) 教育の振興等アルコール健康障害は 本人の身体問題のみならず 経済的困窮 家庭不和や子供の成長への影響といった家庭問題 社会的信用の失墜 飲酒運転といった社会的問題等があり 社会全体の問題といわれております また アルコール依存症は 飲酒をしていれば 誰でもなる可能性がある疾患ですが 誤解や偏見が存在しています 誤解や偏見は 本人や家族にアルコール依存症を否認させ 医療や就労支援の場でも障壁となっていることから 社会全体におけるアルコール依存症の正しい理解を浸透させていくことが必要です 1 学校教育等の推進 学校において 飲酒が健康に与える影響等基本的な内容について理解できるよう授業等での指導を推進します ( 健康体育課 ) 学校が実施する薬物乱用防止教室( 薬学講座 ) 等で飲酒が健康に与える影響に関する指導を推進します ( 健康体育課 ) 大学等と連携し 大学生等の急性アルコール中毒を含む不適切な飲酒の防止について啓発を推進します ( 障害福祉課 ) 2 家庭における啓発の推進 保護者会 PTA 総会等で学校に保護者が来校する機会を捉えて未成年者の飲酒に伴うリスクなどについて啓発を推進します ( 健康体育課 ) 高齢者の孤立からくるアルコール依存を防止するため 高齢者に対し 不適切な飲酒の防止について啓発を推進します ( 障害福祉課 ) 3 職場教育の推進 静岡労働局等と連携して 飲酒運転の防止や急性アルコール中毒など飲酒に伴うリスクのより一層の周知を事業者に促します ( 障害福祉課 ) 企業の経営手法である 健康経営 の視点を取り入れ 地域 事業所 家庭における健康づくりを推進する しずおか まるごと 健康経営プロジェクト を展開しており 従業員の健康づくりを推進するため 具体的な目標を宣言する ふじのくに健康づくり推進事業所 を拡大します ( 健康増進課 ) 4 広報 啓発の推進 アルコール関連問題啓発週間( 毎年 11 月 10 日から 16 日 ) や未成年者飲酒防止 飲酒運転撲滅の全国統一キャンペーン ( 毎年 4 月 ) 等を通じて 県 市 13

町 関係団体等が連携し 一般県民へ飲酒に伴うリスクに関する知識やアルコール依存症に関する正しい知識の普及を図ります ( 障害福祉課 ) 静岡県交通安全対策協議会( 会長 : 知事 ) が 関係機関 団体とともに実施する交通安全運動等を通じて 飲酒運転の根絶 に向けた啓発を行います ( くらし交通安全課 ) メディア等を積極的に活用し 一般県民へのアルコール依存症に関する知識の普及を図るとともに 県のホームページにおいても普及啓発に取り組みます ( 障害福祉課 ) (2) 不適切な飲酒の誘引の防止アルコール健康障害の発生を防止するためには 不適切な飲酒を誘引しない社会の形成が必要であり これまでも国税庁において 酒類小売業者に対し法令遵守や未成年者への酒類販売の禁止の周知がなされてきましたが アルコール基本法を踏まえ より一層 地方公共団体と酒類関係団体とが連携し 社会全体で不適切な飲酒の誘引を防止することが求められています 静岡県小売酒販組合連合会と連携し 酒類事業者に対し 未成年者への販売禁止の周知徹底と酒類販売管理者に対する業務研修の受講促進を図ります ( 障害福祉課 ) 年数回行われる風俗営業の管理者講習において 管理者に対し 未成年者への酒類提供の禁止について徹底を図ります ( 生活保安課 ) 風俗営業及び飲食店営業等における未成年者に対する酒類提供を認知した場合には 積極的に事件化を図るとともに 行政処分を実施します ( 生活保安課 ) 静岡県社交飲食業生活衛生同業組合等の関係機関と連携し 関係者に対する指導を図ります ( 生活保安課 ) 風俗営業所に対する立ち入り調査や風俗許可申請受理等など あらゆる機会をとらえ 関係者に対する指導を図ります ( 生活保安課 ) 14

2 進行予防対策 (1) 相談支援の充実アルコール関連問題においては 相談が必要となる問題の多くは先に家族に生じるといわれておりますが 家族の支援は医療機関で行えるとは限りません それぞれのケースの必要性に応じた介入 治療の総合的な対策が必要とされております このことからも 相談 治療 回復支援に関する関係機関の情報共有及び連携の促進を図るとともに 地域において アルコール健康障害を有する者及びその家族が適切な支援を受けられる体制の構築が必要です 精神保健福祉センターや保健所等を中心として アルコール健康障害を有する者及びその家族が分かりやすく気軽に相談できる相談拠点を明確化し ホームページ等を活用し県民に広く周知を図ります ( 障害福祉課 ) 精神保健福祉センターや保健所等を中心として アルコール関連問題の相談支援を行うに当たっては 地域における医療機関 行政 自助グループ等の関係機関の役割を整理し 地域の実情に応じた連携体制を構築します ( 障害福祉課 ) 本人や家族等に対しては 自助グループが行う相談会や集う会等の酒害相談活動と連携 支援していきます ( 障害福祉課 ) (2) 健康診断及び保健指導アルコール依存症は 早期に治療を開始すればそれだけ治療効果があがりやすい病気といわれております 逆に依存症になってからの治療 回復は 多くの労力を要します 早期介入 治療につなげるためには早期発見が重要となります そのためには 健康診断及び保健指導等の機会を捉え 適切な支援をつなげる必要があります 1 地域におけるアルコール健康障害への早期介入の推進 生活習慣病のリスクを高める量の飲酒の防止を目的として 禁酒 節酒支援についての研修会等を開催し 地域保健従事者の育成と資質向上に取り組みます 併せて 生活習慣病のリスクを高める量の飲酒について 情報提供します ( 健康増進課 ) アルコール依存症が疑われる者に対しては 精神保健福祉センターや保健所から適切な医療機関を紹介するほか 自助グループ等を紹介するなど断酒に向けた支援を行います ( 障害福祉課 ) 15

2 職域における対応の促進 産業保健分野の関係機関と連携し アルコール健康障害について知識普及を 図ります ( 障害福祉課 ) (3) アルコール健康障害に関連して飲酒運転等をした者に対する指導等近年 飲酒運転による重大な死傷事件が後を絶たず 社会的な問題となっています そのため法的対策により 危険運転致傷罪の制定 自動車運転過失死傷罪を規定した刑法改正 さらには飲酒運転等の罰則強化がされてきました 飲酒運転による交通事故が死亡事故につながる危険性が高いことから これらに対する指導が必要です また アルコール関連問題は 飲酒する当人に限らず 当人を取り巻く周囲の人々や親の飲酒の影響を受けた胎児や子供にも広がることから 早期に介入し 相談 治療や支援につなげる必要があります 1 飲酒運転をした者に対する指導等 取消処分講習( 飲酒クラス ) において アルコール依存症のおそれのある者に対し 相談や治療の勧奨を 引き続き実施します ( 運転免許課 ) 刑務所や保護観察所と連携し 飲酒運転事犯者に対する相談や治療につなげる取組を推進します ( 障害福祉課 ) 2 暴力 虐待 自殺未遂等に対する取組 暴力 虐待 酩酊による事故を起こした者や自殺未遂者等について アルコール依存症が疑われる場合は 精神保健福祉センターや保健所等を中心に 関係機関が連携し 相談や支援 治療につなぐための取組を推進します ( 障害福祉課 ) (4) アルコール健康障害に係る医療の充実等アルコール依存症の診療が可能な医療機関は全国的にも静岡県においても充分ではない中で 適切に相談 治療 回復支援につなげるため 医療機関 行政 自助グループ等の関係機関との連携体制を構築していく必要があります 1 アルコール健康障害に係る医療の質の向上 アルコール健康障害の医療に関する治療及び人材育成のさらなる推進を図るため 県の中心となる拠点医療機関を定めるとともに 圏域ごとの拠点機関の整備を図ります ( 障害福祉課 ) 16

2 医療連携の推進 拠点医療機関において アルコール依存を含む依存症に関する取組の情報発信を行うことや医療機関を対象としたアルコール依存を含む依存症に関する研修などを実施することにより 一般医療機関やアルコール依存症の治療を実施していない精神科医療機関 民間団体等の関係機関との連携を強化します ( 障害福祉課 ) 17

3 再発予防対策 (1) 社会復帰の支援アルコール依存症が回復する病気であること等のアルコール依存症者に対する理解を進め 就労や復職における必要な支援を行うと共に 地域における自助グループや回復施設と情報共有や必要な連携を行うことで円滑な社会復帰を促進することが必要です 1 就労及び復職の支援 アルコール依存症の当事者の回復 社会復帰の支援が円滑に進むよう アルコール依存症が回復する病気であること等を 社会全体に啓発し アルコール依存症に対する理解を促します ( 障害福祉課 ) 2 アルコール依存症からの回復支援 アルコール依存症が疑われる者に対しては 適切な医療機関や相談窓口 自助グループ等を紹介するなど断酒に向けた支援を行います ( 障害福祉課 ) 依存症からの回復のための当事者向けグループミーティングを開催します ( 障害福祉課 ) アルコール依存症者が医療機関での受診後又は退院後において 社会復帰を視野に入れた支援 ( 生活上の指導等や民間支援団体の紹介 ) に取り組みます ( 障害福祉課 ) (2) 民間団体の活動に対する支援飲酒をコントロールできないのは意思の弱さではなく病気の症状です コントロールを失う病気であるため 自己で回復することは困難とされています 専門の医療機関のほか 同じ目的を持った仲間の集まりである自助グループの回復支援は重要な役割を果たしております これら民間団体の活動を広く周知し 支援していくことが必要となります 自助グループに対する支援を行うとともに 回復支援における自助グループの役割等を啓発します ( 障害福祉課 ) 18

4 基盤整備 (1) アルコール依存症の相談拠点の明確化及び治療の拠点となる専門医療機関の整備 精神保健福祉センター及び保健所を相談拠点として明確に位置づけ 相談体制を整備するとともに 治療の拠点となる専門医療機関を整備します ( 障害福祉課 ) (2) 人材の確保等 保健 医療及び福祉等の分野に従事する支援者向けにアルコール健康障害に対する理解や知識の啓発 対応方法習得のための研修会を開催します ( 障害福祉課 ) (3) 調査研究の実施 アルコール健康障害に係る実態把握に努め 施策の充実を図ります ( 障害福祉課 ) 19

Ⅵ 推進体制等 1 関連施策との有機的な連携本計画に基づく施策推進にあたっては 静岡県保健医療計画及び静岡県健康増進計画 いのち支える ふじのくに 自殺総合対策行動計画に基づく施策との有機的な連携により取り組むこととします 2 推進体制アルコール健康障害対策の推進に当たっては アルコール関連問題に関する施策との連携が図られるよう 庁内関係課室等を構成員とした連絡会の場を通じて 相互に必要な連絡 調整を行いつつ本計画の取組を推進します 3 進行管理計画を着実に推進するため 計画の目標の達成状況や施策の進捗状況については 静岡県アルコール健康障害対策連絡協議会において意見聴取を行い 適切に進行管理を行います また 計画に位置づけた取組の進捗状況や社会情勢の変化などを踏まえ 計画期間が終了する前であっても必要に応じて見直しを行います 20

静岡県アルコール健康障害対策推進計画 平成 30 年 3 月静岡県健康福祉部障害者支援局障害福祉課 420-8601 静岡県静岡市葵区追手町 9 番 6 号電話番号 054-221-2920 E-mail seisin@pref.shizuoka.lg.jp