総合的な学習の時間とカリキュラム・マネジメント

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3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

愛媛県学力向上5か年計画

教育と法Ⅰ(学習指導要領と教育課程の編成)

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学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

り込んで獲得するものではなく 探究の過程を通して 自分自身で取捨 選択し 整理し 既にもっている知識や体験と結び付けながら 構造化され 身に付けていくものである そして こうした過程を経て獲得された知識は 実社会 実生活における様々な課題の解決に活用可能な生きて働く知識 すなわち概念として形成されて

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

山梨大学教職大学院専攻長 堀哲夫教授提出資料

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平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

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札幌市教育研究推進事業のあらまし Ⅰ. 札教研事業とは 1. 経緯 札幌市教育研究推進事業( 札教研事業 ) は 札幌市教育研究協議会 ( 昭和 25 年 5 月創設 ) いわゆる 札教研 の研究 研修活動部分を引き継ぐ形で 平成 19 年度より新たに教育委員会の事業として推進されて今日に至る 2.

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

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(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

人間関係を深めるとともに, 児童が自己の生き方についての考えを深め, 家庭や地域社会との連携を図りながら, 集団宿泊活動やボランティア活動, 自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない その際, 特に児童が基本的な生活習慣, 社会生活上の

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

訂されている 幼稚園 小 中学校学習指導要領改訂の基本的な考え方として 次の 3つがあげられる 1. 子供たちに求められる資質 能力を明確にし それらを社会と共有していくという社会に開かれた教育課程を実現していく 2. 現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で 知識の理解の質を高めていく 3

p.1~2◇◇Ⅰ調査の概要、Ⅱ公表について、Ⅲ_1教科に対する調査の結果_0821_2改訂

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

Q1: 社会に開かれた教育課程 の実現とは, どのようなことですか? A: 教育課程を編成する際には, よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念とともに, 子どもたちにどのような資質 能力を育むのかについて学校と社会が共有することが求められています さらに, 社会と連携 協働することでそ

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2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

各教科 科目において 基礎的 基本的な知識 技能の習得とともに 知識 技能を活用する学習活動を重視すること 各教科 科目において 義務教育と高等学校との間の系統性を重視した円滑な接続を図ること 豊かな心や健やかな体の育成のため 道徳教育の充実や健やかな心身の育成についての指導の充実を図ること 生きる

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

平成 30 年 4 月 1 日 平成 30 年度 第 70 回 日本連合教育会研究大会 桐生大会 大会主題 分科会研究協議題 等 Ⅰ 大会主題及び大会主題設定の趣旨 Ⅱ 分科会研究協議題 研究協議題設定の理由 研究協議の視点 (1) 第 1 分科会国語 (2) 第 2 分科会 社会 (3) 第 3

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

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各教科 道徳科 外国語活動 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする 各教科 道徳科 総合的な学習の時間並びに特別活動によって編成するものとする

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

カリキュラムマネジメント 新学習指導要領をはじめとして 行政文書では カリキュラム マネジメント と表記されるが 学術論文では報告者を含めてカリキュラムとマネジメントを一体的に捉える意図などにより のない表記が多い 大阪教育大学田村知子

①H28公表資料p.1~2

123

第 1 章総則第 1 教育課程編成の一般方針 1( 前略 ) 学校の教育活動を進めるに当たっては 各学校において 児童に生きる力をはぐくむことを目指し 創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する中で 基礎的 基本的な知識及び技能を確実に習得させ これらを活用して課題を解決するために必要な思考力 判


教育 学びのイノベーション事業 ( 平成 23~25 年度 ) 総務省と連携し 一人一台の情報端末や電子黒板 無線 LAN 等が整備された環境の下で 教科指導や特別支援教育において ICT を効果的に活用して 子供たちが主体的に学習する 新たな学び を創造する実証研究を実施 小学校 (10 校 )

算数でも 知識 (A) 問題 活用 (B) 問題とも 全領域で全国平均を上回りました A 問題では 14 問中 12 問が全国平均を上回り うち8 問が5ポイント以上上回りました 下回った2 問は 直径と円周の長さの関係理解 と 除法で表す2 量関係の理解 でした B 問題では 10 問中 9 問が

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自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

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平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

スライド 1

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平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

小学校におけるカリキュラム・マネジメントの在り方に関する検討会議 報告書本体

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

資料1 児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ(第1~第3回)における主な意見等

平成 30 年度全国学力 学習状況調査 北見市の結果等の概要 Ⅰ 調査の概要 1 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析するとともに教育施策の成果と課題を検証し その改善を図り 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等


フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

第4章 道徳

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

乳児期からの幼児教育について 大阪総合保育大学 大方美香

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<H19 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平成 23 年度は震災のため中止となりました 豊能町立小学校全国学力学習状況調査結果 ( 平均正答率全国を 1 として ) H19 H20 H21 H

幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

平成24年度全国学力・学習状況調査の結果について(概要)

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 生活・総合的な学習の時間専門部会(第7回)議事録・配付資料 [資料7]

管理職等育成プログラム(完成版8月28日)

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

主体的に学習に取学習意欲を向上させるためには 児童生徒が学習の目的を自覚して見通しり組む意欲 態度を立てたり 学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるように工夫し 学習することの意味をとらえたり 成長を実感できるようにしたりして 児童生徒の興味 関心を生かした学習指導を展開することが重

2021 年度入学者選抜について ~ ひとりひとりの個性と可能性を見つめる入試へ ~ 4 月 4 日 関西学院大学 関西学院の使命は キリスト教主義教育によって Mastery for Service を体現する世界市民 を育み 世に輩出することにあります 世界市民 とは 他者と対話し共感する能力を

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

(2) 学習指導要領の領域別の平均正答率 1 小学校国語 A (%) 学習指導要領の領域 領 域 話すこと 聞くこと 66.6(69.2) 77.0(79.2) 書くこと 61.8(60.6) 69.3(72.8) 読むこと 69.9(70.2) 77.4(78.5) 伝統的な言語文化等 78.3(

(2) 平成 26 年度からの研究社会の変化に対応し未来を拓くために必要な 思考力 を育成するための新教科 未来思考科 を位置付けた教育課程, 新教科の指導内容, 指導方法及び評価方法についての研究開発を行っている 本校が考える 思考力 とは, 平成 24 年度に出された国立教育政策研究所のプロジェ

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

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総合的な学習の時間と カリキュラム マネジメント 甲南女子大学教授村川雅弘

総合的な学習の時間の理念が 教育課程全体に

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 1 資質 能力の育成 2 主体的 対話的で深い学び 3カリキュラム マネジメント 4 社会に開かれた教育課程

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に PISA 平均得点の国際比較 分野 2000 年調査 2003 年調査 数学的リテラシー 1 位グループ (1 位 ) 1 位グループ (6 位 ) 科学的リテラシー 1 位グループ (2 位 ) 1 位グループ (2 位 ) 読解力 2 位グループ (8 位 ) 2 位グループ (14 位 ) 問題解決能力調査せず 1 位グループ (4 位 )

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に PISA の調査結果より 日本の子どもの学力低下 総合的な学習で学力低下!? 生活科 総合の研究指定校は 軒並み学力が向上 総合的な学習の時間の削減!!

総合的な学習の時間と学力との相関 H25 全国学力 学習状況調査 ( 小学校 6 年生 ) 総合的な学習の時間 では 自分で課題を立てて 情報を集めて整理して 調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んでいますか の回答と平均正答率のクロス集計 * 1 当てはまる 2 どちらかといえば 当てはまる 3 どちらかといえば 当てはまらない 4 当てはまらない 総合的な学習の時間 の趣旨に即した活動に取り組んでいる児童ほど 平均正答率 ( 特に B 問題 ) が高い 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 68.8 国語 A 1 2 3 4 1 2 3 4 100% 14ポイントの差 18ポイントの差 12ポイントの差 17ポイントの差 64.4 59.5 54.8 56.4 51.6 国語 B 45.8 38.6 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 81.4 78.775.0 算数 A 69.8 64.6 60.5 55.2 48.1 算数 B 1 2 3 4 1 2 3 4 グラフの横幅は各々の児童数の割合を反映

総合的な学習の時間と学力との相関 H25 全国学力 学習状況調査 ( 中学校 3 年生 ) 総合的な学習の時間 では 自分で課題を立てて 情報を集めて整理して 調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んでいますか の回答と平均正答率のクロス集計 * 1 当てはまる 2 どちらかといえば 当てはまる 3 どちらかといえば 当てはまらない 4 当てはまらない 総合的な学習の時間 の趣旨に即した活動に取り組んでいる児童ほど 平均正答率 ( 特に B 問題 ) が高い 100% 90% 100% 7ポイントの差 10ポイントの差 9ポイントの差 10ポイントの差 90% 80% 70% 79.8 78.4 75.6 73.1 72.5 80% 60% 50% 60% 50% 70.3 66.1 62.5 68.5 66.3 62.6 59.5 70% 47.4 44.6 40.2 37.3 40% 30% 国語 A 国語 B 1 2 3 4 1 2 3 4 40% 30% 数学 A 数学 B 1 2 3 4 1 2 3 4 グラフの横幅は各々の児童数の割合を反映

全国学調結果 ( 平成 28 年度調査 )

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総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 教科等と総合の関連 教科ー 習得 活用 総合ー 探究 ( 活用 ) 教科等 総合考え 教科を学ぶ意義学習意欲 質の高い成果達成感 自信

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 1 資質 能力の育成 2 主体的 対話的で深い学び 3カリキュラム マネジメント 4 社会に開かれた教育課程

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 育成を目指す資質 能力の三つの柱との関連この時間のねらい ( 平成 10 年 ) 自ら課題を見付け 自ら学び 自ら考え 主体的に判断し よりよく問題を解決する資質や能力を育てること 学び方やものの考え方を身に付け 問題の解決や探究活動に主体的 創造的に取り組む態度を育て 自己の生き方を考えることができるようにすること 育成を目指す資質 能力 の三つの柱 1 生きて働く 知識 技能 の習得 2 未知の状況にも対応できる 思考力 判断力 表現力等 の育成 3 学びを人生や社会に生かそうとする 学びに向かう力 人間性等 の涵養

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 1 資質 能力の育成 2 主体的 対話的で深い学び 3カリキュラム マネジメント 4 社会に開かれた教育課程

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に カリキュラム マネジメント 〇教育課程とは 学校教育の目的や目標を達成するために 教育の内容を子供の心身の発達に応じ 授業時数との関連において総合的に組織した学校の教育計画 〇学習指導要領等を受け止めつつ 子供たちの姿や地域の実状等を踏まえて 各学校が設定する学校教育目標を実現するために 学習指導要領等に基づき教育課程を編成し それを実施 評価し改善していくこと 中央教育審議会答申 ( 平成 28 年 12 月 21 日 )

総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 総合的な学習の時間の理念が教育課程全体に 1 資質 能力の育成 2 主体的 対話的で深い学び 3カリキュラム マネジメント 4 社会に開かれた教育課程

総合的な学習の時間における 見方 考え方

総合的な学習の時間における 見方 考え方 各教科等における見方 考え方を総合的に活用して 広範な事象を多様な角度から俯瞰して捉え 実社会や実生活の文脈や自己の生き方と関連付けて問い続けること

深い学びの結果としての知識 技能の習得

4 深い学びの結果としての知識 技能の習得社会に開かれた教育課程 この時間の目標の 育成を目指す資質 能力 の三つの柱の一つ目 何を理解しているか 何ができるか ( 生きて働く 知識 技能 の習得 ) に関しては 格段の配慮が必要 どのような課題に取り組んだとしても その取組みが充実していればしているほど 子どもは深く学ぶ 豊かな体験を通しているだけでなく 多様な立場や年代の人へのインタビューや調査 専門家からの助言 文献や資料あるいはインターネットなどからの情報を理解し繋げ自分の言葉で表現し 第三者に発信していく活動を通して 理解を深めたり 情報収集力や表現力等を高めたりする 探究的な学びを通して その結果として知識 技能を習得する 知識 技能の習得がこの時間において目的化することのないように十分に気をつけたい

目標を実現するにふさわしい探究課題

目標を実現するにふさわしい探究課題 今次改訂では 探究課題 という表現が随所に使われている 書籍やインターネットで調べたり 専門家に尋ねればすぐに答えが出るような課題を取り上げたり 体験が目的化している実践が少なくない 当面の課題を解決することや理解することが総合的な学習の時間の目標ではない 一つの教科等の枠に収まらない課題に取り組む学習活動を通して 各教科等で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け 学習や生活に生かし それらが児童生徒の中で総合的に働くようにすること や 多様な他者と協働し 異なる意見や他者の考えを受け入れる中で 実社会や実生活との関わりで見いだされる課題を多面的 多角的に俯瞰して捉え 考えること と 探究課題の解決を図っていく過程において 先行き不透明な社会を生き抜くと共に新たな価値を創造していく力 の育成が求められている

スパイラルに繰り返す探究的な学習の過程

探究のプロセス 探究のプロセス 1 課題の設定体験活動などを通して 課題を設定し課題意識をもつ 2 情報の収集必要な情報を取り出したり収集したりする 3 整理 分析収集した情報を 整理したり分析したりして思考する 指導資料 p.17 4 まとめ 表現気付きや発見 自分の考えなどをまとめ 判断し 表現する

探究のプロセス 探究のプロセス 指導資料 p.17

探究のプロセス 探究のプロセス 1 課題の設定体験活動などを通して 課題を設定し課題意識をもつ 2 情報の収集必要な情報を取り出したり収集したりする 3 整理 分析収集した情報を 整理したり分析したりして思考する 指導資料 p.17 4 まとめ 表現気付きや発見 自分の考えなどをまとめ 判断し 表現する 5 振り返り自己の成長やその要因を明らかにする

探究のプロセス 町の実態を知る ( 職場体験 :1 学期 ) 他地域の取り組みを調べ 発表する ( 夏休み自由研究 ) 他の町の取り組みに学び まとめる ( 修学旅行 2 学期 ) 活性化プランを地域に提言する (3 学期 )

探究のプロセス 尾道市立因北中

総合的な学習の時間の校内研修課題

総合的な学習の時間の校内研修課題 1 年間指導計画の見直し 改善 ( 年度末や夏休み ) 2 身近な地域のフィールドワーク ( 年度始め ) 3 地域素材の教材化 ウェビングによるアイデアの創出 ( 年度始め ) 4 各教科等との関連 ( 年度始めや夏休み ) 5 資質 能力の 3 つの柱で活動を見直す ( 随時 )

4 総合的な学習の時間の校内研修課題社会に開かれた教育課程

4 総合的な学習の時間の校内研修課題社会に開かれた教育課程

4 総合的な学習の時間の校内研修課題社会に開かれた教育課程 よかった点や今後も続けるべきこと 問題点や改善すべき点 助言 改善策

総合的な学習の時間の校内研修課題 カリマネの PDCA 30 年 2 3 月 :DCA 授業の質的向上 30 年 4 5 月 :AP 子ども 地域の実態の反映 31 年 2 3 月 :DCA 広義の学力向上

4 総合的な学習の時間の校内研修課題社会に開かれた教育課程 授業づくりのポイント 1 探究的な学習問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動 2 協同的な学習他者と協同して課題を解決しようとする学習活動 指導資料 p.17-18 3 体験活動の重視体験活動を適切に位置付けた横断的 総合的な学習活動や探究的な学習 4 言語活動の充実体験したことや収集した情報を言語により分析したりまとめたりする学習活動 5 各教科等との関連総合的な学習と各教科等との関連を 6 地域貢献地域に学び地域に返す学習活動 意識した学習活動

4 総合的な学習の時間の校内研修課題社会に開かれた教育課程 探究的な活動 体験重視 教科 道徳 特活 外国語活動との関連 言語活動の充実 AL 協働的な学習 地域とのかかわり 社会貢献

総合的な学習の時間の校内研修課題 カリキュラム マネジメントの 3 側面 ⅰ) 各教科等の教育内容を相互の関係で捉え 学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと ⅱ) 教育内容の質の向上に向けて 子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき 教育課程を編成し 実施し 評価して改善を図る一連の PD CA サイクルを確立すること ⅲ) 教育内容と 教育活動に必要な人的 物的資源等を 地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること 中央教育審議会答申 ( 平成 28 年 12 月 21 日 )

総合的な学習の時間の校内研修課題 1 年間指導計画の見直し 改善 ( 年度末や夏休み ) 2 身近な地域のフィールドワーク ( 年度始め ) 3 地域素材の教材化 ウェビングによるアイデアの創出 ( 年度始め ) 4 各教科等との関連 ( 年度始めや夏休み ) 5 資質 能力の 3 つの柱で活動を見直す ( 随時 )

総合的な学習の時間の校内研修課題 1 年間指導計画の見直し 改善 ( 年度末や夏休み ) 2 身近な地域のフィールドワーク ( 年度始め ) 3 地域素材の教材化 ウェビングによるアイデアの創出 ( 年度始め ) 4 各教科等との関連 ( 年度始めや夏休み ) 5 資質 能力の 3 つの柱で活動を見直す ( 随時 )

4 総合的な学習の時間の校内研修課題社会に開かれた教育課程

総合的な学習の時間の校内研修課題 1 年間指導計画の見直し 改善 ( 年度末や夏休み ) 2 身近な地域のフィールドワーク ( 年度始め ) 3 地域素材の教材化 ウェビングによるアイデアの創出 ( 年度始め ) 4 各教科等との関連 ( 年度始めや夏休み ) 5 資質 能力の 3 つの柱で活動を見直す ( 随時 )

総合的な学習の時間の校内研修課題 1 年間指導計画の見直し 改善 ( 年度末や夏休み ) 2 身近な地域のフィールドワーク ( 年度始め ) 3 地域素材の教材化 ウェビングによるアイデアの創出 ( 年度始め ) 4 各教科等との関連 ( 年度始めや夏休み ) 5 資質 能力の 3 つの柱で活動を見直す ( 随時 )

A1 : 知識 技能 B1~B5: 思考力 表現力 判断力 C1~C6: 学びに向かう力

総合的な学習の時間の校内研修課題 ④社会に開かれた教育課程

参考文献 村川雅弘 ワークショップ型教員研修はじめの一歩 ( 教育開発研究所 2016) 田村知子 村川雅弘 吉冨芳正 西岡加名恵編著 カリキュラムマネジメント ハンドブック ( ぎょうせい 2016) 村川雅弘編著 アクティブ ラーニング研修 ( ぎょうせい 2016) 村川雅弘 野口徹 田村知子 西留安雄編著 カリマネ で学校はここまで変わる! ( ぎょうせい 2013)

総合的な学習の時間と カリキュラム マネジメント 甲南女子大学教授村川雅弘