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ファクトシート : モルプレ B(5&6 号機 ) 石炭火力発電事業 2017 年 10 月 13 日 環境 持続社会 研究センター (JACSES) 1. 事業の概要 1 モルプレ B 石炭火力発電所 (5&6 号機 ) 建設事業は ボツワナ共和国のパラピエ地区おいて 既存のモルプレ B 発電所

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により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

コミュニテイー経済への影響など, サイトの様々な事情によりプロジェクトの完成までは大変長い年月を必要とする場合が多い 特に大規模 (1,000MW 以上 ) 河川の本流での建設は環境社会に対する影響が大きいことから, 実現が困難な場合が多い 電力エネルギー省の計画リストに入っているプロジェクトでも,

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RIETI Highlight Vol.66

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手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

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電力事情 BOP 実態調査レポート 電力の使用状況 ケニアでは 多くのエネルギーが経済発展のために使われているが 主なエネルギー源は電力 なかでも水力発電による電力とされていた しかし エネルギー省が 2011 年に発表した数字では バイオマス燃料がその主流を占めていることが判明した 多くのケニア人

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

(3) インドネシアインドネシアの電力供給は 石炭が 5 割 コンバインドサイクル 2 割 ディーゼル 1 割 水力 1 割 その他 1 割となっている 2015 年の総発電設備容量は PLN 3 が約 8 割 IPP が 2 割弱を 残り数 % を自家発電事業者 (PPU) が占めている 同国で

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表1-4

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

豊橋市 PPP/PFI 手法導入優先的検討方針 効率的かつ効果的な公共施設等の整備等を進めることを目的として 多様なPPP/P FI 手法導入を優先的に検討するための指針 ( 平成 27 年 12 月 15 日民間資金等活用事業推進会議決定 ) に基づき 公共施設等の整備等に多様なPPP/PFI 手

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無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

現代資本主義論

需要国へと変貌する東南アジアの需要国へと変貌する東南アジアの

〈参考〉

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

JETRO 2016 年 3 月ジェトロ ヨハネスブルク事務所作成 EDM の改定電力マスタープラン (1) 1. 背景世界銀行 フランス開発庁 (AFD) 欧州投資銀行(EIB) アラブ基金の協調融資である National Energy Development and Access Progra

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

現状では天然ガスが圧倒的なシェアを占めているが 国外市場において有効な外貨獲得手段となるため 国内発電には石炭の使用を拡大 ( 政府計画では現状の 5% 弱から 11~12% に拡大 ) し 天然ガスは極力輸出を増やそうとしている 石油 2% 石炭 4.8% 発電エネルギーの構成 石炭ガス化ガス 0

2017(平成29)年度第1四半期 決算説明資料

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包括的アライアンスに係る基本合意書の締結について

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仮設建物費 ( 建築分野のみに適用 ) 工事等協力の対象となる地域によって 安全上の配慮から日本人常駐管理者の宿泊施設が JICA もしくは在外公館によって指定される場合には 指定された宿泊施設の中から見積を取り その金額 (JICA 等との間に料金に係る取極めがある場合にはその金額 ) に基づいて

0528事業事前評価表(円借款+附帯技プロ)final.doc

2. エネルギー政策推進の 3 本柱と MP3EI ここ 10 年のインドネシアの経済成長率は数パーセントで推移し この高い経済成長を背景に電力需要が急速に増加している 特に 電力需要は経済成長率よりも 1~2% 高く推移してきているため 電力エネルギーの安定供給は 官民一体となった国家事業として位

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注 1: 要件の判断に係る算定に当たっては 複数の発電用の電気工作物が同一の接続地点に接続している場合は 一つの発電用の電気工作物とみなす 注 2: 特定発電用電気工作物に該当しない電気工作物は 発電事業の要件 ( 小売電気事業用等接続最大電力の合計が 1 万 kw 又は 10 万 kw を超えるも

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別添 表 1 供給力確保に向けた緊急設置電源 ( その 1) 設置場所 定格出力 2 発電開始 2 運転開始 公表日 3 姉崎火力発電所 約 0.6 万 kw (0.14 万 kw 4 台 ) 平成 23 年 4 月 24 日平成 23 年 4 月 27 日 平成 23 年 4 月 15 日 袖ケ浦

2017年度 決算説明会資料

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平成 25 年 12 月 12 日 各位 株式会社みちのく銀行 株式会社民間資金等活用事業推進機構 への出資および 地方公共団体向け PFI セミナー の開催について ~PFI に関する内閣府 日本政策投資銀行との共催セミナーは 県内金融機関で初の取組み ~ みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は

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2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

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力率 1.0(100%) の場合 100% の定格出力まで有効電力として発電し 出力できます 力率 0.95(95%) の場合は 定格出力の 95% 以上は有効電力として出力できません 太陽光発電所への影響 パワコンの最大出力が 95% になるので 最大出力付近ではピークカットされます パワコンの出

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

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これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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また 関係省庁等においては 今般の措置も踏まえ 本スキームを前提とした以下のような制度を構築する予定である - 政府系金融機関による 災害対応型劣後ローン の供給 ( 三次補正 ) 政府系金融機関が 旧債務の負担等により新規融資を受けることが困難な被災中小企業に対して 資本性借入金 の条件に合致した



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1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

ベトナム ハイフォン石炭火力発電事業 グリーン イノベーション ディベロップメント センター (GreenID) (2015 年 4 月 17 日 ) 事業概要 2005 年 11 月 15 日 国際協力銀行 (JBIC) は ハイフォン市トゥイグエン県タムフン村でのハイフォン第 1 石炭火力発電所

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Ⅱ 主な改革内容 上記の 3 つの目的からなる電力システム改革につき 以下の 3 つの柱を中心として 大胆な改革を現実的なスケジュールの下で着実に実行する 1. 広域系統運用の拡大 電力需給のひっ迫や出力変動のある再生可能エネルギーの導入拡大に対応するため 国の監督の下に 報告徴収等により系統利用者

第1章

2018年度 第3四半期累計 1-9月 実績 2017年 19月期 2018年 19月期 増減 () 9,302 9, % +4.1% 営業利益 % 0.0% % +9.7% 親会社の所有者に 帰属する四半期利

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目 次 Ⅰ. 今後の電力需給見通しと燃料について Ⅱ. 原油 重油を巡る状況について Ⅲ.LNGを巡る状況について IV. 石炭を巡る状況について V. 電力の燃料調達について ( まとめ ) 2

平成

日本企業による国外での環境への取り組みに係る

併せて 先進事例を統一的なフォーマットでデータベース化する また 意欲ある地域が先進的な取組みを行った人材に 目的に応じて容易に相談できるよう 内閣官房において 各省の人材システムを再点検し 総合的なコンシェルジュ機能を強化する 各種の既存施策に加え 当面 今通常国会に提出を予定している 都市再生法

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2018年度第1四半期 決算説明資料

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介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

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取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

平成 29 年 7 月 地域別木質チップ市場価格 ( 平成 29 年 4 月時点 ) 北東北 -2.7~ ~1.7 南東北 -0.8~ ~ ~1.0 変動なし 北関東 1.0~ ~ ~1.8 変化なし 中関東 6.5~ ~2.8

豊田通商株式会社 CSR Report 2011

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Transcription:

報告書概要 カンボジアにおける石炭資源の存在は確認されてはいたものの 他の天然資源とは異なりこれまで石炭の資源開発は手付かずのままであった 本調査は近年カンボジア北部で発見された石炭の実践的な開発戦略を分析しその事業形成計画を提案するものである 情報は限定されている物もあるものの 現地調査による各種開発 投資環境状況 専門家からの情報等を総合した検討の結果 本提案事業である 石炭開発 火力発電統合事業 は 少なくとも 20 年以上のカンボジアの経済成長に寄与すると考えられる 本提案事業は 貧弱なエネルギーインフラの向上と共に熟練 非熟練労働者の直接雇用創出 関連及び各種産業での様々な間接雇用の創出を整備が進むカンボジア電力公社 (EDC: Electricite Du Cambodge) の電力網近郊でもたらす事を可能にする 整備が進められている EDC の全国規模の送電網整備は 多数の国際援助機関等 ( 国際協力銀行 (JBIC) アジア開発銀行 (ADB) や世界銀行 (WB)) の支援によって現在進行中である 該当する石炭資源は 400MW の火力発電所を 30 年以上稼働するに十分な供給量が期待できる 2005 年の時点で 全国の総発電能力は 250MW に満たない為 400MW の追加増強は EDC の国内電力網の電力供給に信頼性向上とエネルギーの安全保障をもたらす事ができる また国内での石炭利用によって これまでカンボジアの経済を圧迫してきた化石燃料の 100% 輸入依存からも解放される しかしながらカンボジアの国内需要拡大に伴い 提案する 400MW の発電量 Offshore coal & gas power Onshore coal power は短期間で容量超過となる事が確実である そのため タイ湾岸沿いの既存 計画中の外洋港湾周辺に計画される計数千 MW の石炭火力電源及び 順次整備が進む EDC の輸入電力網 ( タイ ベトナム ) 更にはメコン流域圏の安定的な電力供給を狙う ASEAN 送電網整備計画 ( タイ カンボジア ラオス ベトナム ) を利用した電力輸入を統合した総合的な整備計画が必要となる 切望されるカンボジアの電力インフラ改善政府は半世紀にも及ぶ混乱期を乗り越え ここ十年の間で目覚ましい復興を遂げてきたが 基本的なインフラ改善の面では近隣諸国に比べるとまだ十分なレベルには達していない エネルギー分野での政府の取り組みは 電力供給公社 (EDC) による散在した地域レベル送電網の設置に留まっている 限られた国家予算の下 政府はエネルギーセクター向上のための政策として 官民協働 (PPP) の導入による効果的で迅速なエネルギーインフラ開発を掲げている (Cambodia Power Sector Strategy 1999-2016, MIME 1999) カンボジア政府は国内外からの投資誘致のために 長期法人税免除をはじめ 投資保証 ( 多国間 二国間投資協定 ) 特定事業の関税免除等の魅力的な投資環境整備を行って 概要 1

来た その結果 主要都市では近年の政治的安定 有利な投資政策 非熟練労働力供給等の好条件を背景に エネルギー供給が十分でない環境下でも外国直接投資 (FDI) の誘致に成功している 現在 EDC の商業用電力料金は 小規模で高価なディーゼル又は重油の電源により近隣諸国に比べ約 2~3 倍程高額である 商業 産業セクターでの実際の電力利用は現在値の数倍とも予想されるが これらの利用者の多くは EDC の不安定で許容力の無い電力に頼ることが出来ないのが現状である 商業 産業利用者の多くは ディーゼル及び重油を燃料とした自家発電機を導入して事業活動を行っている カンボジアでは政府の補助等殆ど無い状態で輸入燃料を調達しているため 自家発電に寄る電力供給は非情に高額にならざるをえない状況が続いている 従って 安定且つ安価な電力供給はカンボジアの商業 産業分野の発展にとって最も深刻な課題である 輸入燃料への完全依存により 2008 年 7 月まで続いた継続的な化石燃料の価格上昇は カンボジアへの FDI 呼び込みや国内の産業に多大な悪影響を与えた 産業分野での電力需要に加え 一般家庭での電力需要も堅調に高まっている 近年続く持続的な経済成長の結果 都市住民の生活水準はこの 5 年間で劇的に向上し 人口も社会経済の安定を背景に持続的に増加している しかし生活水準向上に伴う電力への急速な需要拡大によって ピーク時の電力需要は発電能力を大きく上回るため EDC の電力網では停電が多発している カンボジアの堅調な経済成長を持続するためには 持続的に実施が可能で実現的な電力インフラの改善対策が早急に必要である 本提案事業である 石炭開発 火力発電統合事業 は カンボジアの緊急を要する情況に対する理想的な解決策であると言える この事業は エネルギーセクター向上だけでなくエネルギーの海外依存度軽減によりカンボジアの持続的開発を可能にする最も有効的な PPP 事業の一つである さらにこのプロジェクトは 鉱山業とエネルギー分野の産業開発に大きく寄与すると共に新しい世代に広範な直接 間接雇用を生み出す事ができる 石炭開発 火力発電統合事業概要新しく発見された石炭はカンボジア北部 Seam Reap から車でおよそ 100km 程度の距離に位置する この地域は地理学的には ジュラ期中期 の岩層であり タイ側で既に開発されている石炭と類似した性質をもつ 採掘時に必要な機材を輸送する道路は存在するが 道路や橋梁の一部は提案事業実施のためには整備が必要であると予想される 炭鉱開発権を獲た事業者から入手した情報によると 石炭埋蔵箇所は 2 箇所あり その埋蔵量はそれぞれ 3,400 万トンと 1 億 2,000 万トン 合計 1 億 5,000 万トンに相当する 石炭の質はタイの褐炭に類似した 3,000kcal 程度であり ボイラー 各種産業用熱源用の燃料に適している 本提案事業の規模はカンボジアでは最大規模のプロジェクトであり 今後投資家や銀行等での融資協議に必要となる 詳細な石炭埋蔵量と品質の調査が必要である 発見された石炭は低品質である為 国際市場での競争力は小さいが カンボジア国土に 概要 2

存在し 国内の安定的なエネルギー供給源としては十分魅力的であると言える 国内の主要都市やシハヌークビル港周辺 ( カンボジア唯一の外洋港湾 ) においては 石炭需要はある程度確認されている ( レンガやセメント産業等 ) しかしながら 炭鉱から同地域にトラックや鉄道で輸送した場合の販売可能な価格は現在の状況下では利用者にとって魅力的であるとは言えない 従って 鉱山の山元で電力にして EDC へ電力の長期電力供給事業は 民間の鉱山開発事業者 発電事業者 カンボジア政府双方にとって最も現実的で魅力的な選択肢である この石炭開発プロジェクトはカンボジア経済を活性化させ 投資環境の向上を促し 国内外の投資家が相互に有益なビジネス関係を構築することに寄与する またその結果 2 つの公共的利益として (i) 政府に対する PPP 事業による鉱物とエネルギーの総合開発形成のノウハウ提供と (ii) 地域の持続的開発を支える石炭開発 火力発電統合事業における技術移転と実施が期待される 従って 本提案事業の推進にいたっては 多様な事業体の参画と協力によって推進される事が推奨される 主要な事業関係者の相関関係は図 2.6 Project Formulation Program を参照のこと 石炭開発 火力発電統合事業の事業性評価電力インフラ開発に対する政府の政策では 水力発電を除いた電源開発は基本的に IPP によって実施され 高圧送電網整備や水力発電所等他のインフラ整備は政府が行う事とされている エネルギー創出 石炭開発ともに計画をまず相談する先は鉱工業エネルギー省 (MIME) である 採掘 エネルギー許可の取得のためには 提案するプロジェクトが政府の政策とどの様に合致し 国家への貢献に繋がるかを説明する必要がある MIME の理解が得られた場合 MIME の各許可当局 カンボジア電力庁 (EAC) から発電事業免許 MIME の鉱物資源総局から採掘免許が付与される事となる 発電事業免許に関しては 申請者が電力の販売を EDC へ売電事業としている場合 EDC との売電契約を別途結ぶ必要がある 現在入手可能な情報を下に検討を行うと 総発電能力 400MW( 単発 200MW を 2 基 ) が 技術的 経済的に最も適切な事業である 石炭火力技術は最も成熟した技術であることから 市場での入手が容易に可能である 石炭発掘と石炭発電所は共にその環境影響は大きい為 十分な配慮と適応可能な技術の導入が必要である また 本提案事業では 一般的な技術 環境社会配慮に加え 地雷への対処も必要である 現在地雷除去活動を行う 政府のカンボジア地雷対策センター (CMAC) との協力は 事業開発者 政府および地域住民にとって相互に有益である EDC が進める国内電力網整備計画には 現時点において本提案プロジェクトの事業実施地点までの整備計画は無いが 本提案プロジェクトとの協調によって 本提案事業の実現可能性と EDC の経済的且つ安定的な電源開発双方を実現することができる プロジェクト実施予定地と既存の EDC 電力網との距離は約 100km でその概略施設費用は 230KV の単送電線と 2 つ変電所を含めて 51 億ドル程度である 概要 3

最近の類似案件や調査チームの経験から 400MW の発電とそれに必要な炭鉱開発費用は以 下のようになる 1) 炭鉱開発の資本コスト : 4000 万ドル 2) 石炭火力発電所の資本コスト : 4 億 4000 万ドル 3) 石炭鉱山の生産 維持管理コスト : 20 ドル / トン ( 石炭 ) 4) 発電所の発電 維持管理コスト : 11 ドル /kwh 各種コストと技術的な分析はまだ参照値ではあるが 電力料金が 0.09 ドル /kwh 以上であると この提案事業は内部収益率から判断して民間投資事業として十分可能な範囲である 本提案事業が前提とする長期供給契約の下では 0.08 ドル /kwh 以上でも十分な採算性がとれる投資であると言える 長期的な安定性と現在の EDC 電力料金を考慮すると 本提案プロジェクトの販売料金はカンボジア政府にとっても有益である プロジェクト作成計画 官民協働の役割 1. 石炭 エネルギー統合開発プロジェクトのための PPP 事業この石炭 エネルギー統合開発プロジェクトは カンボジア初の大規模石炭火力発電プロジェクトであり PPP 事業としての実施が適切である 石炭の採掘権を有する現地事業者は石炭火力発電事業との統合による総合開発に理解を示している 本統合事業は IPP 事業として実施される事となるが 配電網や変電所 環境保護装置等の開発は国際援助機関の支援の下カンボジア政府機関によって実施されることが理想的である 2. 官民の役割分担民間の役割 1) 石炭採掘 2) 石炭火力発電 政府の役割 3) 地雷撤去 4) 連結道路整備 5) プロジェクト予定地と Siem Reap の既存 EDC 送電網間の配電線設備 石炭開発 火力発電統合事業に係る日本コンソーシアムの設立この調査は 新しい炭鉱開発とその発電利用事業の潜在的な投資家の抽出と電力インフラ改善に関連する国際援助機関との協調の可能性を目的としているため 我々はこのプロジェクトを以下の コンソーシアム を形成し推進することを提案する 1) 事業推支援 コンサルタント :JDI および他の専門コンサルタント 2) 炭鉱及び発電事業主体 :( 邦発電事業者予定 ) 3) 事業投資 物流 :( 邦商社予定 ) 4) 技術 財政支援 : JICA(F/S T/A F/A) 5) IPP 事業協調融資 :JBIC( 投資金融 ) 及び邦民間銀行 概要 4

プロジェクト形成のアクションプラン 本提案プロジェクトは カンボジアの持続的な開発にとって危惧されている弱い電力インフラの改善を強化する事が可能で 同国にとって最も優先されるべき事業の一つである 現在カンボジア全土の電化率は約 15-17% で 主要都市 地方都市 農村等でそれぞれ独立した小規模な電力網で繋がれており 全国又は地域を繋ぐ電力網は存在しない その為 発電コストが高くなり 電力料金はメコン流域で最も高く 隣国ベトナムやタイの 2~3 倍に達している 電力の質は非常に悪く 首都であるプノンペンにおいても停電は不定期で頻繁に起こる状態である 停電による損失 サービスの低下を嫌う病院 ホテル 製造業は通常ディーゼル又は重油の自家発電機を主電源として利用している このような貧弱な電力整備状況は産業や観光の呼び込みに負に影響して来た 従って 実施能力のある民間との協力により 迅速な電力インフラ整備が必要である 本提案事業である 炭鉱開発 石炭火力発電統合事業 を迅速に進める為に 以下のアクションプランを提案する : 1 2009 2010 年 詳細な炭鉱の分布及び品質調査 ( 乾季に継続的 ) 2 2009 年初期 中頃まで 提案プロジェクトの開発コンソーシアム形成 潜在的な投資化との折衝 金融機関との折衝 3 2009 年中頃 ~2010 年炭鉱及び発電事業の詳細な事業実施可能性調査中頃 400MW の火力発電免許取得 (MIME EAC) とカ 4 2010 年中頃 ~2010 年ンボジア開発評議会 (CDC) からの事業開発認可末まで取得 電力の長期売買契約締結 (MIME EDC EGAT) 5 6 2010 年中頃 ~2010 年末 2011 年初期 ~2013 年初期より事業開始 資金調達計画 (JICA( 送電 ) JBIC( 炭鉱 発電 ) NEXI( 貿易保険 ) その他開発銀 民間金融等( 炭鉱 発電 )) 工事着工後約 2 年で事業開始 概要 5