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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

平成 25 年 7 月 17 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 5 月 29 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史麻子 同 呰 真 希 被 告 有限会社サムライ 訴訟代理人弁理士 小 谷 悦

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異議の決定 異議 東京都荒川区東日暮里 3 丁目 27 番 6 号商標権者株式会社エドウイン 東京都渋谷区広尾 商標異議申立人 EVISU JAPAN 株式会社 東京都港区西新橋 1 丁目 18 番 9 号西新橋ノアビル4 階朝比 増田特許事務所代理人弁理士朝比

基本的な考え方の解説 (1) 立体的形状が 商品等の機能又は美感に資する目的のために採用されたものと認められる場合は 特段の事情のない限り 商品等の形状そのものの範囲を出ないものと判断する 解説 商品等の形状は 多くの場合 機能をより効果的に発揮させたり 美感をより優れたものとしたりするなどの目的で

本件は, 商標登録取消審判請求に対する審決の取消訴訟である 争点は,1 被告又は通常実施権者による標章使用の有無及び2 使用された標章と登録商標との同一性の有無である 1 本件商標商標登録第 号商標 ( 以下, 本件商標 という ) は, 下記の構成からなり, 第 25 類 運動靴,

平成 29 年 5 月 15 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 3 月 6 日 判 決 原 告 BERNARD FRANCE SERVICE 合同会社 訴訟代理人弁護士笹本摂 向多美子 訴訟代理人弁理士木村高明 被 告 ラボラ

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同法 46 条 1 項 1 号により, 無効とすることはできない, というものである 第 3 当事者の主張 1 審決の取消事由に関する原告の主張 (1) 取消事由 1( 商標法 3 条 1 項柱書該当性判断の誤り ) 審決は, 本件商標に関し, 願書に記載された指定商品又は指定役務に使用していること

(1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) に係る商標権 ( 以下 本件商標権 という ) を有している ( 甲 25) 商標登録第 号商標の構成千鳥屋 ( 標準文字 ) 登録出願日平成 23 年 12 月 21 日設定登録日平成 25 年 2 月 8 日指定商品第

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

年 1 月 9 日に第 40 類 布地 被服又は毛皮の加工処理 ( 乾燥処理を含む ), 裁縫, ししゅう, 木材の加工, 竹 木皮 とう つる その他の植物性基礎材料の加工 ( 食物原材料の加工を除く ), 食料品の加工, 廃棄物の再生, 印刷 を指定役務 ( 以下 本件指定役務 という ) とし

1 原告の請求を棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求の趣旨 1 特許庁が無効 号事件について平成 25 年 5 月 9 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ( 当事者間に争い

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

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審決取消判決の拘束力

一括して買い受けた なお, 本件商品である コンタクトレンズ は, 本件商標の指定商品 眼鏡 に含まれる商品である (3) 使用商標は, ハートO2EXスーパー の文字からなるところ, 本件商品の容器に表示された使用商標は, ハート の文字部分だけが赤い字で, かつデザイン化されており, これに続く

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平成 28 年 10 月 11 日判決言渡 平成 28 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結の日平成 28 年 7 月 7 日 判 決 原 告 オーガスタナショナルインコーポレイテッド 同訴訟代理人弁護士 中 村 稔 同 松 尾 和 子 同 田 中 伸 一 郎 同訴訟代

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

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事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

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31 日にした審決を取り消す 2 訴訟費用は被告の負担とする 第 1 原告の求めた裁判 主文同旨 事実及び理由 第 2 事案の概要 本件は, 商標登録を無効とした審決の取消訴訟である 争点は, 商標法 4 条 1 項 10 号該当性 ( 引用商標の周知性の有無 ) である 1 特許庁における手続の経

最高裁○○第000100号

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平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

令和元年 5 月 30 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 23 日 判 決 原告ジー エス エフ ケー シー ピー株式会社 被告ケーシーピーヘビーインダスト リーズカンパニーリミテッド 訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

求める事案である 1 本件商標被告は, 平成 17 年 3 月 7 日, rhythm の文字を横書きしてなる商標 ( 以下 本件商標 という ) について, 第 25 類 履物, 乗馬靴 を指定商品として, 商標登録出願し, 同年 9 月 16 日に設定登録を受けた ( 登録第 号

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を構成し, その結果, 本願意匠が同法 3 条 1 項柱書の 工業上利用することができる意匠 に当たるか否かである 1 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 27 年 3 月 16 日, 意匠法 14 条 1 項により3 年間秘密にすることを請求し, 物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

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平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

靴下, ゲートル, 毛皮製ストール, ショール, スカーフ, 足袋, 足袋カバー, 手袋, 布製幼児用おしめ, ネクタイ, ネッカチーフ, バンダナ, 保温用サポーター, マフラー, 耳覆い, ずきん, すげがさ, ナイトキャップ, ヘルメット, 帽子, ガーター, 靴下止め, ズボンつり, バンド

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平成 25 年 12 月 17 日判決言渡 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 10 月 17 日 判 決 原告エイトマイハートイン コーポレイテッド 訴訟代理人弁護士 五十嵐 敦 出 田 真樹子 弁理士 稲 葉 良 幸 石 田 昌 彦 右

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

認められないから, 本願部分の画像は, 意匠法上の意匠を構成するとは認めら れない したがって, 本願意匠は, 意匠法 3 条 1 項柱書に規定する 工業上利用する ことができる意匠 に該当しないから, 意匠登録を受けることができない (2) 自由に肢体を動かせない者が行う, モニター等に表示される

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7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

ある者の業務に係る商品であるかのごとく, 商品の出所について混同を生ずるおそれはないから, 本件商標は, 商標法 4 条 1 項 15 号に違反して登録されたものではない, とするものである 第 3 原告主張の取消事由の要点審決は, 本件商標と引用商標との類似性及び取引の実情についての判断を誤り,

平成 25 年 7 月 18 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 25 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 7 月 4 日 判 決 原 告 株式会社ファランクス 訴訟代理人弁護士 江 森 史 麻 子 呰 真 希 被 告 特 許 庁 長 官 指 定

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

キューピー図形事件:東京高裁平成15(行ケ)192号平成15年10月29日判決(認容・審決取消)

情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

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平成  年(オ)第  号

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

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Microsoft Word 資料1 プロダクト・バイ・プロセスクレームに関する審査基準の改訂についてv16

11総法不審第120号

淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

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第 2 事案の概要本件は, 原告が有する下記商標登録 ( 本件商標 ) について, 被告が行った商標法 51 条 1 項に基づく商標登録取消審判請求に対し, 特許庁がこれを認容する審決をしたことから, 原告がその審決の取消しを求めた事案である 争点は,1 原告による下記の本件使用商標 1 及び2(

次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

して, 損害賠償金 330 万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成 28 年 月 21 日 ( 原告が被告に本件請求の通知を送付した日の翌日 ) から支払済みまで民法所定の年 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨により容

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( イ ) 極めて簡単で かつ ありふれた音 ( 第 3 条第 1 項第 5 号 ) 1 単音及びこれに準じるような極めて単純な音 後述の 各国の審査基準比較表 ( 識別力 ) の 類型 3 に該当 資料 2 ( ウ ) その他自他商品役務の識別力が認められない音 ( 第 3 条第 1 項第 6 号

REPORT あいぎ特許事務所 名古屋市中村区名駅 第一はせ川ビル 6 階 TEL(052) FAX(052) 作成 : 平成 27 年 4 月 10 日作成者 : 弁理士北裕介弁理士松嶋俊紀 事件名 入金端末事件 事件種別 審決取消

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主文第 1 項と同旨第 2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 (1) 原告は, 平成 24 年 6 月 14 日, 発明の名称を 遊技機 とする特許出願をし ( 特願 号 請求項数 3 ), 平成 26 年 5 月 12 日付けで拒絶理由通知 ( 甲 8 以下 本件

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登録番号第 号出願日平成 15 年 8 月 25 日登録日平成 17 年 5 月 13 日登録商標 商品及び役務の区分第 24 類指定商品織物, 布製身の回り品, かや, 敷布, 布団, 布団カバー, 布団側, まくらカバー, 毛布, 織物製いすカバー, 織物製壁掛け, カーテン,

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

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ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

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1 特許庁における手続の経緯等 ( 後掲証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実 ) (1) 被告は, 次の商標 ( 以下 本件商標 という ) の商標権者である ( 甲 1, 2) 登録番号第 号登録出願日平成 26 年 3 月 27 日設定登録日平成 28 年 4 月 22 日登録

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( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

原告は, 平成 26 年 12 月 9 日, 指定役務を第 35 類 市場調査又は分析, 助産師のあっせん, 助産師のための求人情報の提供, 第 41 類 セミナーの企画 運営又は開催, 電子出版物の提供, 図書及び記録の供覧, 図書の貸与, 書籍の制作, 教育 文化 娯楽 スポーツ用ビデオの制作

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税務訴訟資料第 267 号 -70( 順号 13019) 大阪高等裁判所平成 年 ( ) 第 号更正をすべき理由がない旨の通知処分取消請求控訴事件国側当事者 国 ( 富田林税務署長 ) 平成 29 年 5 月 11 日棄却 上告受理申立て ( 第一審 大阪地方裁判所 平成 年 ( ) 第 号 平成

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被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

平成 30 年 9 月 10 日判決言渡 平成 30 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 7 月 11 日 判 決 原告ハワード株式会社 同訴訟代理人弁護士 窪 田 英一郎 乾 裕 介 今 井 優 仁 中 岡 起代子 本阿弥 友 子 同訴訟代理人弁理士

平成 25 年 4 月 24 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 3 月 11 日 判 決 原 告 X 訴訟代理人弁理士 松 下 昌 弘 被 告 特 許 庁 長 官 指定代理人 井 出 英一郎 同 水 莖 弥 同 堀 内 仁 子

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上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

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求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

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平成 13 年 ( 行ケ ) 第 395 号審決取消請求事件平成 14 年 10 月 24 日口頭弁論終結判決原告ヴァルキリーコーポレイション訴訟代理人弁護士志知俊秀被告ベアーユーエスエーインコーポレーテッド訴訟代理人弁護士吉武賢次, 弁理士菊地栄, 復代理人弁護士宮嶋学主文特許庁が平成 11 年審判第 35776 号事件について平成 13 年 4 月 19 日にした審決のうち, 登録第 3335699 号の指定商品中 洋服, コート, セーター類, ワイシャツ類, 寝巻き類, 下着, 水泳着, 水泳帽, ずきん, すげがさ, ナイトキャップ, ヘルメット, 帽子 についての登録を無効とする との部分を取り消す 訴訟費用は被告の負担とする 本判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30 日と定める 事実及び理由第 1 原告の求めた裁判主文 1,2 項と同旨 第 2 前提となる事実関係等 1 特許庁における手続の経緯 (1) 本件登録商標 ( 以下 本件商標 という ) 商標権者原告登録出願日平成 6 年 12 月 1 日設定登録日平成 9 年 8 月 1 日登録番号第 3335699 号商標の構成別紙審決書写しの別掲 (1) 本件商標参照 指定商品第 25 類 洋服, コート, セーター類, ワイシャツ類, 寝巻き類, 下着, 水泳着, 水泳帽, ずきん, すげがさ, ナイトキャップ, ヘルメット, 帽子, 運動用特殊衣服, 運動用特殊靴 ( 乗馬靴 を除く ) (2) 本件手続無効審判請求日平成 11 年 12 月 24 日 ( 平成 11 年審判第 35776 号 ) 審決日平成 13 年 4 月 19 日審決の結論 登録第 3335699 号の指定商品中 洋服, コート, セーター類, ワイシャツ類, 寝巻き類, 下着, 水泳着, 水泳帽, ずきん, すげがさ, ナイトキャップ, ヘルメット, 帽子 についての登録を無効とする その余の指定商品についての審判請求は成り立たない 審判費用は被請求人の負担とする 審決謄本送達日平成 13 年 5 月 9 日 ( 原告に対し ) 2 審決の理由審決の理由は, 別紙審決書の写し ( 以下 審決書 という ) のとおりである 要するに, 本件商標は, 引用商標 ( 登録第 2667318 号商標で審決書の別掲 (2) 引用商標として示されたもの 平成 3 年 10 月 16 日出願, 平成 6 年 5 月 31 日設定登録, 指定商品は旧第 17 類 被服, 布製身回品, 寝具類 ) と類似するものであって, 本件商標の指定商品中 洋服, コート, セーター類, ワイシャツ類, 寝巻き類, 下着, 水泳着, 水泳帽, ずきん, すげがさ, ナイトキャップ, ヘルメット, 帽子 は, 引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから, 本件商標は, 上記の同一又は類似する指定商品については, 商標法 4 条 1 項 11 号に違反して登録されたものであって, その登録を無効とすべきであり, 他方, その余の指定商品についての登録には, この違反はないから, これを無効とすることはできない, というものである 3 基本的な事実関係 (1) 1978 年 ( 昭和 53 年 ) にワーナーブラザーズインコーポレーテッド ( ワーナー ) は, サーフィン映画 ビッグ ウェンズデー ( 本件映画 ) を製作した 原告は, 本件映画の監督であった A が設立し, 代表者を務める法人である 本件映画は,3 人のサーファーとサーフボードを製作する者との友情を描いた青春

映画であるところ, 登録第 3335700 号の商標 ( 本件商標の SNOW が SURF となっているほかは, 同一のもの この商標は, 本件商標と同様に平成 11 年審判第 35777 号事件として審理され, 平成 13 年 ( 行ケ ) 第 396 号事件として審決取消訴訟が係属している 以下, この商標を 原告別件商標 という ) が本件映画のために創作され, 映画中で ベアー というニックネームで呼ばれるサーフボード職人が製作し, 主人公である 3 人のサーファー達の 1 人が使用したサーフボードや, 上記 ベアー の経営するサーフ ショップで売られ, 主人公達が着用する T シャツなどのブランド マークとして用いられた 本件映画は, 米国内興行収入が約 850 万米ドル, 米国外興行収入が約 340 万米ドルとヒットし, 全世界でのテレビ放映は 800 回を超え, ビデオ,DVD も全世界で約 8 万本売り上げている また, 本件映画は, 日本における平成 14 年の BS デジタル映画祭 (NH K,WOWOW 及び民放 BS 各局の共同企画 ) の夏休み選りすぐりの 300 本の 1 本にも選ばれて放送された 原告は,1991 年 ( 平成 3 年 )11 月 7 日にワーナーから原告別件商標に関する権利を譲り受けたものである ( 以上の事実につき, 甲 6,7,8 の 1~3,9 の 1~18,24,25, 弁論の全趣旨 ) (2) 日本における原告別件商標に関する経済活動のうち, 広告宣伝活動は, 主として, ファッション雑誌, サーフィン専門誌, 繊研新聞などにおける広告をし, 宣伝広告費は, 平成 12 年から 14 年までの間は年間 2000 万円弱から 2650 万円強の間で推移している ( 甲 30~36,37 の 1~3, 弁論の全趣旨 ) 日本における被服の年間売上げは, 平成 9 年 12 月から平成 13 年 11 月までの間, 約 25 億円, 約 31 億円, 約 19.6 億円, 約 14.6 億円と推移し, その後, 平 14 年 5 月までの半年で約 9.5 億円となっており, 原告別件商標を付した商品全体でみると, 同じ期間において, 約 28 億円, 約 35 億円, 約 23 億円, 約 19.7 億円と推移し, 平成 14 年 5 月までの半年で約 10.56 億円となっている ( 甲 38, 弁論の全趣旨 ) (3) 本件商標は, 原告別件商標における SURF が SNOW となっているほかは, これと同一のものである ( 甲 3 の 1 の 1) すなわち, 本件商標は, 審決書の別掲 (1) 本件商標として記載されたとおりであり, 菱形に近い輪郭を有する枠 ( 菱形状の枠 ) を備え, 菱形状の枠は, 黒塗りの菱形状の太線の内側に細線で描かれた菱形を有し, 菱形状の枠の内部には, 枠から上半身を乗り出し, 首を右に曲げて観察者の正面を向いた羆 ( ヒグマ ) のように見える熊の上半身の図が写実的に描かれ ( 熊の手足は描かれていない ), 熊の図の胸の前方に, 菱形状の枠と B と R の文字が部分的に重なり, B の下部, R の右下部が菱形状の枠からはみ出しているように配置された大きな文字で BEAR と表示されており ( 文字は白抜きの籠字で,B の文字が E,A,R の文字よりもやや大きくなっている ), 菱形状の枠の内部で熊の両側の余白位置に, SNOW の文字と BOARDS と文字が BEAR よりも小さい字で表示されている (4) 引用商標は, 審決書の別掲 (2) 引用商標として記載されたとおりであり, BeaR とのアルファベット 4 文字からなり, 第 1 文字と第 4 文字が大文字, 第 2 文字と第 3 文字が小文字である 引用商標は, 平成 3 年 10 月 16 日, 株式会社フルーツ ( フルーツ ) によって出願され, 特許庁審査官から拒絶理由通知がされたが, フルーツが意見書を提出し, 平成 6 年 5 月 31 日設定登録 ( 指定商品は旧第 17 類 ) された そして, 平成 8 年 3 月 29 日フルーツから被告に引用商標が譲渡され, 同年 7 月 8 日その旨登録された ( 甲 3 の 7 の 1~2,5 の 2, 弁論の全趣旨 ) 第 3 原告主張の審決取消事由の要点 1 本件商標と引用商標とは類似しない 審決の本件商標を無効とした部分は, 認定を誤っており, 取り消されるべきである その理由は, 以下のとおりである 2 商標の登録阻却要件としての類似性の判断をするについては, 一般に次のような事項が考慮されるべきである (1) 不使用商標の類似性は狭く解釈すべきである (2) 取引実情を考慮すべきである 登録の場面においては, 商標自体ではなく, 商品の出所に関する混同のおそれが評価基準とされるべきであり, 商標の認知度などの取引の実情を具体的に斟酌すべきである (3) 自他識別機能が欠如しているなどの理由により独占させるべきでない部分を共通にするにすぎない場合には, 類似性が否定されるべきである

3 本件商標の外観, 観念, 称呼等 (1) 原告別件商標は, 次のような構成となっている 1 菱形に近い輪郭を有する枠 ( 菱形状の枠 ) を備え, 菱形状の枠は, 黒塗りの菱形状の太線の内側に細線で描かれた菱形を有している 2 菱形状の枠の内部には, 枠から上半身を乗り出し, 首を右に曲げて観察者の正面を向いた黒い熊の上半身の図が描かれている ( 熊の手足は描かれていない ) 3 熊の図の胸の前方に, 菱形状の枠と B と R の文字が部分的に重なるように大きな文字で BEAR と表示されている 4 菱形状の枠の内部で熊の両側の余白位置に, SURF の文字と BO ARDS の文字が BEAR よりも小さく表示されている (2) 本件商標は, 上記原告別件商標の SURF の部分を SNOW に置き換えたものであり, 上記 1 ないし 4 の構成要素が一体不可分の関係になって構成されているものである 原告別件商標が本件映画の重要なシンボルとして創作され, 使用されていたことからしても, 需用者が本件商標の外観, 称呼及び観念を判別する場合に, 上記 1 ないし 4 の構成要素の一部だけを商標から分離してその分離した構成要素を本件商標の要部として認識することはない (3) 原告別件商標の図柄が, 前記のように, 本件映画で使用されたほか, 実際のマーケットにおいても,1978 年以来, 本件商標は, 原告別件商標とともに, 原告による世界的商品化がされ, 日本でも原告のライセンスの下,1980 年代後半からサーフボード,T シャツなどの衣類について宣伝, 広告活動, 商品展開が本格化した その結果, 本件商標は, 日本において, サーフブランドである原告別件商標とともに, 周知性, 著名性を獲得している 引用商標は, 平成 3 年 10 月 16 日に出願されたものであるが, 本件商標は, その出願前から, 世界的にも日本国内においても著名であった (4) 原告別件商標の観念は, 単なる 熊, ベアー, BEAR ではなく, 上記映画中の登場人物である ベアー のサーフボードを想起せしめるものであり, その称呼は, ベアーサーフボード, ベアーサーフ, サーフベアー なるものを有するものである そして, 本件商標は, 原告別件商標の SUR F の部分を SNOW に置き換えたもので, 原告別件商標と関連するブランドとして認識されているのであるから, 観念としては, 単なる 熊, ベアー, BEAR ではなく, 上記 ベアー のスノーボードを想起せしめるものであって, 称呼としても ベアースノーボード, ベアースノー あるいは スノーベアー なる称呼を有するものである 4 引用商標について (1) 引用商標は, BeaR というもので, 語頭及び語尾の各 1 文字をアルファベットの大文字で表し, 中間の 2 文字をアルファベットの小文字で表した 4 文字の商標であり, 上記 4 文字のアルファベット以外の文字や図形を含んでいない したがって, 引用商標の外観, 称呼及び観念は, この 4 文字のアルファベットだけから判断されることになる 審決は, 引用商標から 世人一般に親しまれている 熊 の意を有す英語 Be ar を容易に想起 する旨認定しているが, 引用商標のようにアルファベットの大文字, 小文字, 小文字及び大文字という特異な配列をとる英単語は存在しない B, e, a 及び R という文字の配列をみて, 直ちに 英単語 であることを想起させるというのは通常の経験則に反する不合理なものである したがって, 引用商標から Bear という英単語を想起し, あるいは ベアー 又は ベア の称呼, 熊 の観念を生じるものとすることもまた困難である (2) 引用商標の出願以前及び以後のいずれにおいても bear, BEA R, ベアー の文字を含んだ商標が多数登録されている この事実は, 引用商標の類似範囲が非常に狭いものであることを裏付けている また, 引用商標の出願の前後を通じて, 熊の図形とともに, BEAR, Bear を含む文字が表示された商標が登録されている これも引用商標の類似範囲が非常に狭いものであることを裏付けている 審決は, 上記の状況を認めつつも, ベアー ( 熊 ) の称呼, 観念が生じる登録商標は, 原告別件商標, 本件商標, 引用商標以外には, 本件商標より後に被告が登録を受けた商標 ベアー 及び BEAR しか存在しないことなどを根拠として, 引用商標についても ベアー ( 熊 ) の称呼, 観念が生じるとしているようであるが, そもそも, 商標 ベアー 及び BEAR は, 自他識別機能のないもの

として, あるいは登録前後の状況から, いずれも登録されるべきものではなかったのであるから, 引用商標の権利範囲 ( 類似とされる範囲, 以下同じ ) の判断に当たって考慮されるべきでない (3) 引用商標の出願経過において, 拒絶理由通知が出され ( 既に登録されている GOLDBEAR の文字からなる商標 (A 商標 ), 熊の図柄と GOLD と BEAR の各文字の二段並記 の商標 (A 商標 ), GOLDEN BEAR の商標, ゴールデンベアー の商標が引用された ), これに対して出願人は, 意見書 ( 甲 5 の 2) において, 甲の英文字綴 BeaR に対して A の BEA R 及び A の BEAR がアルファベット共通文字を各々共有するものの甲のアルファベット綴の態様が特異であり一見して熊等を意味する英単語を想起することが困難である と, また 称呼上, 甲は ベアー 又は ビール である と主張した 引用商標について, 上記主張が客観的に正しいものと特許庁が判断したことから, 引用商標が登録されたものであるから, その権利範囲もかかる主張に沿って解釈されるべきである (4) ベアー ( 熊 ), BEAR( 若しくは Bear 又は bear) のみの外観, 称呼あるいは観念には, 自他商品識別機能がないことが明らかであるから, これらは引用商標の権利範囲から除かれるべきである ベアー ( 熊 ), BEAR( 若しくは Bear 又は bear) の文字を含んだ被服に関する商標が多数登録されており, 現実の取引においても, これらの文字が単独で使用される場合も含めて, 被服等の商品に多数使用されていることなどからも, これらが被服に関する標章として顕著性を欠き, 自他商品識別機能がないことが明らかである すなわち, これらは, 単独では自他商品識別機能がなく, これらに図形や他の文字が付け加わって初めて, 特別顕著性を有するようになるのである (5) 被告は, 引用商標を一切その商品に付して使用していない したがって, 引用商標の権利範囲は狭く解されるべきである 5 以上からすれば, 本件商標と引用商標との間で商品の出所の誤認混同を生ぜしめるような類似性はなく, 本件商標と引用商標とは, 外観, 称呼, 観念のいずれにおいても相違するものであり, 類似性は認められない 第 4 被告の主張の要点 1 本件商標について (1) 本件商標からは ベアー の称呼も生じる その理由としては, 原告主張のように ベアースノーボード と連続して称呼するには長いこと, 意味上も ベアー の スノーボード であり, 明確に2つに分けることができること, スノーボード は, 商品の種類ないし用途を示すものであって自他識別力を有する部分でないこと, BEAR の文字が本件商標の中央部分に大きく浮き出るような視覚的印象を呈するように表示されているのに対し, SNOW BOARDS の文字は, BEAR の文字より小さな文字でその左右に表示されているにすぎないこと, BEAR は 熊 であることを表す英語である上, 本件商標の中央部分の顕著に表示された 熊の上半身の図形 からも ベアー の称呼が生じることが挙げられる 原告は, 本件商標が周知, 著名であるというが, とても認められない そもそも, 原告別件商標自体も著名であることはおろか, 周知であることも全く認められないものである ビッグ ウェンズデー なる映画の日本における売上げは定かでない 仮に, 興行当時, 一定の周知性を獲得したとしても, 時の経過とともにその周知性は消滅したとみるのが自然である また, 本件映画中の原告別件商標の図柄も, 特に注目して観察していない限り, とりたてて印象に残るものとはいえず, 本件映画によって原告別件商標の図柄が多少知られることとなったとしても, 原告別件商標の図柄の知名度は, 本件映画の知名度に比べればかなり低いものというべきである 仮に, 周知, 著名であっても, それを理由に, 本件商標が ベアースノーボード なる称呼のみを生じ, ベアー との称呼を生じないことにはならない (2) 本件商標の中央部分に顕著に表示された 熊の上半身の図形 と, 中央部分の顕著に表示された熊を意味する英単語である BEAR からすれば, 本件商標が ベアー ( 熊 ) の観念を生じることは明白である 2 引用商標について

(1) B e a R の 4 つのアルファベットは, 横一列に間断なく表記されており, ひとまとまりのものとして看取される そして, 日本の今日の英語教育水準からすれば Bear が 熊 を意味する英単語であることは容易に理解されるものである なお, R は大文字で記載されているが, これが r の大文字であることは容易に理解されるのであり, このことによって, 熊 を意味する英単語であることを看取することが妨げられることはない そして, Be ar の発音が ベアー であることは需用者に広く認識されていることは明らかである ビール という称呼が生じるとする原告の主張には理由がない (2) 引用商標は 熊 を意味する英単語を容易に想起させるのであるから, ベアー ( 熊 ) との観念を生じることは明らかである (3) 被告は, 引用商標を実質的に指定商品に使用している また, 既に引用商標につき, 日本国内の業者とライセンス契約を締結している そもそも, 商標法 4 条 1 項 11 号においては, 願書に記載された商標同士を対比するべきであり, 原告主張のように使用の有無という事情を斟酌すべきではない (4) 原告は, bear BEAR ベアー の文字を含んだ商標が多数登録されていることなどから, 引用商標の類似範囲が非常に狭いなどど主張するが, 本件商標出願以前に, ベアー ( 熊 ) の称呼, 観念が生ずるといえる登録商標は, 引用商標以外に存在しないのであるから, bear BEAR ベアー の文字を含んだ商標が多数登録されているとしても, ベアー ( 熊 ) の称呼, 観念が生じる商標同士の類似性判断には, 何の影響もないのである 原告の主張は, BEAR 等の文字と他の文字部分等が一体として要部となっている商標 ( 例えば, KING BEAR ) と, BEAR 等の文字部分が要部となっている商標 ( 例えば BeaR ) の類似性判断の場面において適用されるものであり, 本件に関しては関係のない主張である (5) 原告は, ベアー ( 熊 ), BEAR( 若しくは Bear 又は bea r) のみの外観, 称呼あるいは観念には, 自他商品識別機能が欠如していることから, これらは引用商標の権利範囲から除かれるべきである旨主張する しかし, 本件商標の出願以前に ベアー ( 熊 ) の称呼, 観念を生じるといえる登録商標は, 引用商標以外には存在しないのであり, ベアー ( 熊 ) などのみの外観, 称呼あるいは観念を有する商標が自他商品識別機能が欠如しているなどとはいえない 原告が挙げる証拠は, BEAR(bear) 以外のアルファベット, 図柄等が併存していたり, そもそも BEAR(bear) の部分が出所表示識別機能を有する部分でなかったりするものであり, これらの商品の存在によって, 原告の主張を裏付けることはできない (6) 原告は, 引用商標の出願手続における出願人の意見書を引用し, 引用商標の権利範囲もこの意見書の主張に沿って解釈すべきである旨主張する しかし, 出願人の意見書は審査官を何ら拘束するものではなく, 参考にすぎないのであって, 審査官が出願人の主張を客観的に正しいものと判断したことから引用商標が登録されたとはいえず, 原告の主張は失当である 引用商標の客観的に判断される外観, 称呼, 観念は, 既に主張し, 審決も認定判断したとおりである なお, 上記意見書では, 出願人は, 引用商標が ベアー なる称呼を生じ, 熊 なる観念を生じることも主張しており, 結局, 意見書でも, 引用商標が審決で認定された外観, 称呼, 観念を有することを何ら否定していない 3 本件商標と引用商標とは, 称呼, 観念を共通にするものであり, 両商標の外観の差異は, 互いの称呼, 観念上の類似性を凌駕するほどのものとはいえないとみるのが相当であるから, 両商標は, 類似の商標である 第 5 当裁判所の判断 1 本件商標は, 前記第 2の3 基本的な事実関係 に判示したとおりである 本件商標の称呼を検討するに, 原告は, ベアースノーボード, ベアースノー あるいは スノーベアー の称呼が生じると主張するが, 本件商標の中央部分に大きく表示された BEAR の文字は, 白抜きの籠字とされ, 全体の構成上も浮き出るような視覚的印象を与えるものであり, これに加えて中央部分に極めて強い印象を与える熊の上半身の図形が存在するのであり, 通常は, ベアー( 熊 ) の称呼を生じるものと認められる スノーボード は,1つの複合語であるとしても, スノーボード 又は スノー と ベアー とは, 別の単語である上, 意

味上も常に一体のものとして把握しなければならないほどの関連性はないのであって, 本件商標登録時において本件商標の指定商品の需要者, 取引者の間で ベアースノーボード, ベアースノー あるいは スノーベアー という一体不可分の商標と認識される著名なものとなっていたとまでは認めるに足りない ( 雪 ( スノー ) は, 本件映画から直接想起されるわけでもない ) したがって, 原告の主張は採用の限りではない 次に, 本件商標の観念を検討するに, 上記の文字, 図形, 全体の構成にかんがみれば, 本件商標から観念されるのは, ベアー ( 熊 ) であると認められる なお, 原告は, 本件商標から, 単なる 熊, ベアー, BEAR ではなく, 本件映画に登場するサーフボード職人 ベアー ( ニックネーム ) のスノーボード が想起される旨主張する しかし, 指定商品である衣類等の需用者, 取引者の間において, ベアー にとどまらず スノーボード であるところまで観念が生じるほどに一体不可分のものとして認識されるものとなっていたことについて認めるに足りないことは, 称呼に関して検討したところと同旨である上, 本件商標から 本件映画に登場するサーフボード職人 ベアー ( ニックネーム ) までをも想起するのが通常であるといえるほどに周知のものであるとまでは認めるには足りない そうすると, 本件商標から想起される観念は, 熊 との意味を有する ベアー であると認められる 以上によれば, 本件商標の外観, 称呼, 観念に関する審決の認定に誤りがあるとはいえない 2 引用商標は, 前記第 2 の 3 基本的な事実関係 に判示したとおりである 被告は, 引用商標につき, 熊 を意味する Bear の第 4 文字を大文字にしたものと容易に認識することができ, 称呼, 観念ともに ベアー ( 熊 ) である旨主張し, 審決も同旨の認定判断をしているものと解される 確かに, そのような理解も可能ではある しかし, 英語の通常の表記によれば, BEAR, Bear, bear となるはずで, ひとつの単語を引用商標のように第 1 文字と最終文字のみを大文字で構成することは通常ではなく, 特異な態様ということができ, 引用商標の場合には, Bea と R を組み合わせたか, 又は B と R との間に ea を挟んだ造語ないし何らかの略称であると見ることも十分に可能である 前者によれば, 称呼, 観念ともに ベアー ( 熊 ) とされるが, 後者の場合には, 称呼は, ビー, アール 又は ビール であり, 特定の観念は生じさせないことになる 以上によれば, 引用商標 BeaR は, そこから生じる称呼及び観念において多分に不確定なものを含んでおり, 少なくとも, 引用商標から ベアー の称呼及び 熊 の観念が確定的に生じるということはできない なお, この点について, 引用商標の出願人であったフルーツも, 拒絶理由通知に対する平成 5 年 3 月 2 日付け意見書の中で, 甲 ( 判決注 : 引用商標のこと, 以下同じ ) のアルファベット綴の態様が特異であり一見して熊等を意味する英単語を想起することが困難である 称呼上, 甲は ベアー 又は ビール であるのに対し, 観念上, 甲は 熊 をはじめ 運ぶ, 耐える 等の意味を想起させるのに対し, などと主張していたところである ( 甲 5 の 2) したがって, 引用商標の称呼, 観念に関する審決の認定には, 上記に反する限度で誤りがあるといわざるを得ない 3 衣類 ( 被服等 ) には, かねてから, 熊, 犬, 猫, 馬などの動物名を使った標章が好んで多用されていることは, 公知であるが, BEAR, Bear 等に関する登録された商標の状況についてみると次のとおりである すなわち, 引用商標の出願日 ( 平成 3 年 10 月 16 日 ) よりも前のものをみただけでも, LUC KY BEAR, GOLD BEAR, BABYBEAR, GOLD EN BEAR, MAC BEAR, BEAR FAMILY, LI TTLE BEAR, ABCBEARS, SEABEAR, TINY BEAR, MAMABEAR, ROYALBEAR, DREAMY BEAR, GENTLE BEAR, POLAR BEAR, BE AR CLUB などおびただしい数に上っている ( 甲 5 の 1) 上記以後のものも含めると枚挙にいとまがないといって差し支えない このような状況に照らせば, 洋服, コート, セーター類, ワイシャツ類, 寝巻

き類, 下着, 水泳着, 水泳帽, ずきん, すげがさ, ナイトキャップ, ヘルメット, 帽子 という指定商品において, 単なる BEAR( ベアー ) という称呼や ベアー ( 熊 ) の観念のみによっては, 自他商品の識別はできず, 需用者, 取引者は, BEAR 等に付加された語句や図形などの差異によって, 種々存在する BEAR( ベアー ) の商標を識別しているものと推認される この観点からみると, 引用商標 BeaR は,4 文字の構成が, 大文字 - 小文字 - 小文字 - 大文字というもので, 特に末尾の R が大文字という特異でユニークな配列, 表記である点で自他商品識別能力を具備し得たものというべきである ( 単に文字だけで BEAR, Bear, bear, ベアー ( 熊 ) などという構成としたのであれば, 商標登録の有効性に多大の疑問が生じる ) 4 以上を踏まえて, 本件商標と引用商標との類否を検討する 本件商標の称呼, 観念は, ベアー ( 熊 ) であると認められる 他方, 引用商標 BeaR は, 前記のように, 多分に不確定なものを含んでおり, ベアー の称呼及び 熊 の観念が生じる余地もあるが, ビー, アール 又は ビール との称呼が生じるとともに, 特定の観念は生じない余地も十分にあり得る このように, 称呼, 観念において, 共通する点はあるものの, これをもって直ちに両商標が類似するとは断定し難い 次に外観をみると, 本件商標は, 前記のとおり, 羆のように見える熊の上半身の図柄が強烈な印象を与えるのに対し, 引用商標は, 文字のみによる商標であり, 末尾の R の大文字が特異な外観を呈するものである 外観において, 両商標は, 紛れる余地の全くないほどに非類似のものである そして, 前記認定のとおり, 被服等の取引分野においては, BEAR, B ear, bear, ベアー ( 熊 ) 等の文字を含む商標が多数存在するという実情と, 両商標の称呼, 観念, 外観として対比認定した点を総合すれば, 本件商標と引用商標とは, 出所混同のおそれのない, 類似しない商標であると認められる そうすると, 審決は, 商標の類否に関する認定, 判断を誤ったものであるというほかなく, この誤りは, 審決の結論に影響を及ぼすものとして, 審決は取消しを免れない 5 結論よって, 原告の請求は理由があるので, これを認容することとし, 主文のとおり判決する 東京高等裁判所第 18 民事部 裁判長裁判官永井紀昭 裁判官古城春実 裁判官田中昌利