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(協会)300829事務連絡(国内在住者扶養認定QA)

年金・社会保険セミナー

強制加入被保険者(法7) ケース1

点及び 認定された日以降の年間の見込みの収入額のことをいいます ( 給与所得等の収入がある場合 月額 108,333 円以下 雇用保険等の受給者の場合 日額 3,611 円以下であること ) また 被扶養者の年間収入には 雇用保険の失業等給付 公的年金 健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれます

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Q1 社会保険とはどのような制度でしょうか 会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い いざというときの生活の安定を図る目的でつくられた制度のことで 一般的に健康保険や厚生年金保険のことを 社会保険 といいます 健康保険法第 1 条では 労働者の業務外の事由による疾病 負傷若しくは死亡又は出

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伊丹市市民福祉金条例の一部を改正する条例(平成12年  伊丹市条例第  号)

時効特例給付制度の概要 制度の概要 厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律 ( 平成 19 年 7 月 6 日施行 ) に基づき 年金記録の訂正がなされた上で年金が裁定された場合には 5 年で時効消滅する部分について 時効特例給付として給付を行うこととされた 法施行前

資格取得( 認定日 ) 出生 離職 婚姻 離婚 1カ月以内の届出 出生日 喪失日から 市区町村受理日 1カ月を越えた届出 出生日 健康保険組合受付日 被扶養者の範囲被扶養者となるためには 主として被保険者の収入によって生活していることが必要です 扶養の程度の基準としては 被扶養者となる人の年間収入が

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国民年金

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被用者年金一元化法

Q3 なぜ 必要な添付書類が変わるのですか? A3 厚生労働省より 日本国内にお住いのご家族の方を被扶養者に認定する際の身分関係及び生計維持関係の確認について 申立のみによる認定は行わず 証明書類に基づく認定を行うよう 事務の取扱いが示されたことから 届出に際して 確認書類の添付をお願いすることとな

被扶養者になれる者の判定

[ 別添 ] 生計維持 生計同一関係等に係る認定基準及びその取扱いについて 1 総論 (1) 生計維持認定対象者 (2) 生計同一認定対象者 2 生計維持関係等の認定日 (1) 認定日の確認 (2) 確認の方法 ( 別表 1 関係 ) 3 生計同一に関する認定要件 (1) 認定の要件 (2) 認定の

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高齢者福祉

第14章 国民年金 

【文 書 名】田辺三菱製薬健康保険組合 被扶養者認定基準(案)

第 2 節強制被保険者 1 第 1 号被保険者頻出 択 ( 法 7 条 1 項 1 号 ) 資格要件 日本国内に住所を有する20 歳以上 60 歳未満の者 ( 第 2 号 第 3 号被保険者に該当する者を除く ) 例 ) 自営業者 農漁業従事者 無業者など 適用除外 被用者年金各法に基づく老齢又は退

Ⅰ 改正について 児童扶養手当法の改正 Q&A ( 公的年金等と合わせて受給する場合 ) Q1 今回の改正の内容を教えてください A: 今回の改正により 公的年金等 * を受給していても その額が児童扶養手当の額 より低い場合には 差額分の手当が受給できるようになります 児童扶養手当 は 離婚などに

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(5) 認定対象者に収入がある場合は 厚生労働省通知並びに関係法令 本基準に定める範囲内であること (6) 認定対象者を被扶養者として認定する事が実態と著しくかけ離れたものではなく かつ社会通念上妥当性を欠いていないと認められること ( 扶養義務者が複数の場合の認定対象者の帰属 ) 第 4 条認定対

健康保険 被扶養者資格について

第 1 号被保険者 資格取得の届出の受理 種別変更の届出の受理 資格喪失の承認申請 ( 任意脱退 ) の受理 資格喪失届出の受理 資格喪失の申出 第 1 号被保険者 任意加入被保険者 付加保険料の納付の申出の受理 付加保険料の納付しないことの申出の受理 に申請 届出または申出をした場合 被保険者 世

年金請求に必要な添付書類 年金請求書 を提出される前に 添付書類をご確認ください 戸籍 住民票 所得関係書類 戸籍 住民票 所得関係書類 の確認方法 スタート 配偶者や子ますか * 子については ( 注 1: パンフレット3ページ下段 ) をご覧ください ご本人の厚生年金保険の加入期間の合計は 20

老齢基礎年金 老齢基礎年金を受けられる方 老齢基礎年金は 原則として受給資格期間が 25 年 (300 ヵ月 ) 以上ある方が 65 歳になったときから受けられます 受給資格を満たしているときは 本人の希望により 60 歳から 70 歳までの間で年金を受け始める年齢を変更することができます (17

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02【通知案】年管管発 第号(周知・機構宛)

1

二いて 同法第二十八条の規定により記録した事項の訂正がなされた上でこの法律の施行の日(以下 施行日 という )以後に当該保険給付を受ける権利に係る裁定が行われた場合においては その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付を受ける権利に基づき支払うものとされる保険給付(当該裁定前に生じた保険給付

1 2

児童扶養手当制度について 児童扶養手当制度は 父母の離婚などにより 父又は母と生計を同じくしていない児童 を育成されている家庭 ( ひとり親家庭 ) 等の生活の安定と自立を助け 児童の福祉の増進 を図るための国の制度です 受給できる方 手当を受けることができる人は 次の条件に当てはまる 18 歳に達

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現在公的年金を受けている方は その年金証書 ( 請求者及び配偶者 請求者名義の預金通帳 戸籍謄本 ( 受給権発生年月日以降のもの ) 請求者の住民票コードが記載されているもの ( お持ちの場合のみ ) 障害基礎年金 受給要件 障害基礎年金は 次の要件を満たしている方の障害 ( 初診日から1 年 6か

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年金請求に必要な添付書類 年金請求書 を提出される前に 添付書類をご確認ください 戸籍 住民票 所得関係書類 戸籍 住民票 所得関係書類 の確認方法 スタート 配偶者や子ますか * 子については ( 注 1: パンフレット3ページ下段 ) をご覧ください ご本人の厚生年金保険と共済組合等の加入期間の


由積立型 ) において退職時に医療保険や一時払退職後終身保険に移行した場合は 疾病 災害入院給付金 手術給付金 高度先進医療給付金 特定疾患給付金 死亡 高度障害保険金 災害死亡 高度障害保険金をお支払いします 第 11 条 ( 脱退一時金 ) 脱退一時金額は 当該加入者の払込実質保険料累計額と積立

( 扶養義務者が複数の場合の認定対象者の帰属 ) 第 4 条 認定対象者にかかわる扶養義務者が複数ある場合は 扶養義務者の収入および扶養能力 被保険者の被扶養者としなければならない経緯または理由 生計維持の事実などを総合的に審査して組合がその帰属を判定する なお 夫婦 親子等社会通念上被保険者よりも

年金・社会保険セミナー

(3) 父又は母が規則で定める程度の障害の状態にある児童 (4) 父又は母の生死が明らかでない児童 (5) その他前各号に準ずる状態にある児童で規則で定めるもの 3 この条例において 養育者 とは 次に掲げる児童と同居して これを監護し かつ その生計を維持する者であって その児童の父母及び児童福祉

飯塚市在日外国人高齢者福祉給付金支給要綱

4 恩給 ( 文官恩給 旧軍人恩給 旧軍人遺族恩給等 ) 5 労働保険 ( 雇用保険給付金 労災年金 一時金等 上積み補償を含む ) 6 社会保険 ( 公的年金を除く傷病手当金 出産手当金等 健康保険組合の場合は付加給付を含む ) 7 事業収入 ( 自営業 農業 漁業 林業 畜産業等 ) 休業補償費

強制加入被保険者(法7) ケース1

遺族年金における遺族概念の社会的変容 計同一要件を満たすだけでなく 所定の収入 所得要件を満たす場合に認めている わが国において民間企業の被用者を対象とした年金制度は 1939( 昭和 14) 年の船員保険法による船員の年金制度が最初である その後 1941( 昭和 16) 年に労働者年金法が制定さ

(2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職 再就職 老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 ( 一部又は全額支給停止 ) 3 年金決定請求 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありますの

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●国民年金法等の一部を改正する法律案

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と事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を 配偶者 には 婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を 婚姻 には 婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとする 5 この条例において 医療保険各法 とは 国民健康保険法 ( 昭和 33 年法律第 192

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児童扶養手当とは 父母の離婚などにより 父又は母と生計を同じくしていない児童の健やかな成長を願い 児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進のために支給する手当です 1 手当を受けることができる人児童扶養手当は 次のいずれかに該当する児童を 父又は母が監護している場合に支給されます ( 父又は母が

[ 特別控除の一覧 ] 控除の内容 特定扶養親族控除 ( 税法上の扶養親族で満 16 才以上 23 才未満の扶養親族 ) 老人扶養親族 配偶者控除 ( 税法上の扶養親族で満 70 才以上の扶養親族 ) 控除額 1 人につき 250,000 1 人につき 100,000 障がい者控除寡婦 ( 夫 )

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問 28 保険医療機関等 保険医等 (1) 難度 B 64 問 29 保険医療機関等 保険医等 (2) 難度 B 68 問 30 保険医療機関等 保険医等 (3) 難度 B 70 問 31 療養の給付の一部負担金難度 C 74 問 32 入院時食事療養費難度 B 76 問 33 入院時生活療養費難度

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ご契約のしおり・約款 指定代理請求特約

介護保険・高齢者福祉ガイドブック


老齢年金の繰下げ支給に係る支給開始時期の見直し 70 歳に達した後に繰下げ支給の申出を行った場合に 年金額は 70 歳の時点で申出を行った場合と変わらないにもかかわらず 申し出のあった月の翌月以降の年金しか支払われない扱いとしていることについて 繰下げの申出を行うまでの期間の給付も行うこととする (

52 (2) 再就職後 年金受給権が発生した場合正規職員無職一般企業 無職 共済組合員 A 厚生年金 B ( 一般厚生年金 ) 退職再就職老齢厚生年金支給開始年齢 1 年金待機者登録 2 公的年金加入 3 年金決定請求 ( 一部又は全額支給停止 ) 1 退職した際は 年金の受給権発生まで期間がありま

被扶養者異動届認定要領 異動理由の確認認定対象者の確認被扶養者の範囲収入要件 追加 ( 被扶養者が増えたとき ) 被保険者と認定対象者との関係 (1) 続柄 (2) 同居 別居の別 (3) 生計維持関係の有無 認定対象者について (1) 年齢 (2) 収入の有無 (3) 障害者であるか (4) 他の

平成 30 年分給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 ( マル扶 ) の手引き 平成 29 年末に記載する際は 平成 30 年 1 月 1 日時点の情報を書きましょう 平成 30 年の年末調整にて再度記入する際は 平成 30 年 12 月 31 日時点の情報に書き換えます X A 9/19

年管管発 0928 第 6 号平成 27 年 9 月 28 日 日本年金機構年金給付業務部門担当理事殿 厚生労働省年金局事業管理課長 ( 公印省略 ) 障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて 厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令 ( 平成 2

議案第49号-医療福祉費支給に関する条例の一部改正【確定】

3 老齢厚生年金に係る年金額誤りの概要について 平成 16 年 8 月 6 日公表 概要 老齢厚生年金の受給権発生月に厚生年金保険の資格喪失及び同日付の資格取得があった場合でかつ当該日に賞与が支給された場合の年金額計算のプログラム誤り ( 社会保険業務センターの指示誤り ) のため 未払い 過払いが

諸規程

目次 はじめに 3 頁 被扶養者認定参考事項 4 頁 被扶養者について 5 頁 被扶養者の範囲 7 頁 添付書類一覧表 8 頁 被扶養者認定日 9 頁 収入の対象 9 頁 被扶養者の申請の申し出があったときに 確認していただきたいこと 10 頁 特殊な取り扱い 12 頁 2

( 支給対象者等 ) 第 3 条医療費の支給の対象となる者 ( 以下 支給対象者 という ) は 次の各号に該当する母子家庭の母 父子家庭の父及びこれらの者に扶養されている児童並びに養育者に扶養されている父母のない児童とする (1) 本市に住所 ( 配偶者からの暴力を受けること等により本市への住所の

には 婚姻の届出をしていないが 事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含み 婚姻 には 婚姻の届出をしていないが 事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとする 5 この条例において 医療保険各法 とは 国民健康保険法 ( 昭和三十三年法律第百九十二号 ) 高齢者の医療の確保に関する法律 ( 昭

退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

年金請求に必要な添付書類 年金請求書 を提出される前に 添付書類をご確認ください スタート 配偶者はいますか いいえ 2ページ番号 1 をご覧ください は 住民票 所得関係書類が必要となる場合があります あらかじめご了承ください はい * ご本人の状況によっていいえご本人の共済組合等の加入期間は 2

監 事 監 査 規 程

独立行政法人勤労者退職金共済機構役員退職金規程

「公的年金からの特別徴収《Q&A

新規裁定当該期間 ( 月又は年度 ) 中に新たに裁定され 年金受給権を得た者が対象であり 年金額については裁定された時点で決定された年金額 ( 年額 ) となっている なお 特別支給の老齢厚生年金の受給権者が65 歳に到達した以降 老齢基礎年金及び老齢厚生年金 ( 本来支給もしくは繰下げ支給 ) を

 

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MR通信H22年1月号

3. 現況申立書 Q5 現況申立書については 参考例として示されていることから これまで使 用していた現況申立書を引き続き使用してよいか A. これまで使用していた現況申立書を使用しても差し支えないが 使用にあたっては 今回の通知に則した判定基準 ( 身分関係 生計維持関係 ) となっているか十分精

障害者福祉ハンドブック

に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者とする 3 病院等に入院等したことにより 本市の区域内に住所を変更したと認められる第 1 項各号に該当する者については 同項の規定にかかわらず受給資格者としない 4 第 1 項及び第 2 項の規定にかかわらず 次の各号のいずれかに該当する者は

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(1) 被扶養者とは主として組合員の収入によって生計を維持していると 共済組合に被扶養者の要件を備えていることが認定された者をいいます 家族が被扶養者に認定されるためには組合員が直接共済組合に申告しなければなりません (2) 家族を被扶養者にするには ア 被扶養者認定フローチャート で被扶養者の要件

の両方を提出する必要がある 問 3 還付額は 領収証に記載されている金額を還付するのか それともレセプト情報から自己負担分を計算するのか 領収証により保険診療に係る一部負担金の額を確認して還付する 問 4 領収証の紛失 または医療機関等の全壊等により 対象の被保険者が負担した一部負担金の額の確認が取

25 継続認定 25-1 家事手伝い又は求職中のため 25-2 子が高校 大学等に進学したため 25-3 収入が少ないため (18 歳以上 60 歳未満の者 ) 25-4 認定期間中に大学を中退し その後アルバイトをしているため 提出書類参考 それぞれの事例により 以下に掲げていない書類の提出を求め

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社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案《概要》

2 扶養親族の収入見込については 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書 扶養親族 ( 異動 ) 届に載のとおりです 3 私の配偶者若しくは親族等が受ける扶養手当又は民間その他のこれに相当する手当の支給の基礎とはなっておりません 4 ( 子を扶養親族とする場合 ) 私の費用負担は配偶者の費用負

平成16年規程第03号_役員退職手当規程

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生計維持関係の認定基準及び認定の取扱い1 今回は 生計維持 生計同一関係の認定基準および認定の取扱いについて見ていきましょう 最初に 遺族基礎年金を例にして 国民年金法ではどのように規定されているかから始めます 法第 37 条の2 第 1 項には 遺族基礎年金を受けることができる配偶者または子は 被保険者または被保険者であった者の配偶者または子であって 被保険者または被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し と規定されています 生計維持関係の認定日 法第 37 条の2 第 1 項の 死亡の当時 の文言から 遺族基礎年金の受給権者であれば 死亡の当時 ( 死亡日 ) が生計維持関係の認定を行う時点となります この死亡の当時 ( 死亡日 ) のことを認定日といいます なお 遺族基礎年金のように認定日が 受給権発生日 となる類型のほか 認定日が 年金額を改定すべき事由が生じた日 となる類型もあります 例えば 障害基礎年金の受給権者が 受給権が発生した後に 新たに子を有した場合には その事実が発生した日 すなわち 子を有した日が生計維持関係の認定日となります 生計維持関係 生計維持認定対象者 この法第 37 条の2 第 1 項に規定される死亡者と配偶者または子との関係を指して 生計維持関係といいます また 配偶者または子のことを生計維持認定対象者といいます なお 国民年金法におけるその他の給付に関しては 老齢基礎年金の振替加算の対象者である配偶者 障害基礎年金の加算額の対象者である子 遺族基礎年金の受給権者である配偶者または子 寡婦年金の受給権者である妻が生計維持認定対象者に該当します 1

生計維持関係の認定基準及び認定の取扱い2 法第 37 条の2 第 1 項の 生計を維持 とは 具体的にどのような意味を表すのでしょうか 法第 37 条の2 第 3 項には 生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は 政令で定める とされており 国民年金法施行令第 6 条の4によると 生計維持認定対象者は 死亡者と生計を同じくしていた者 であって 厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のもの とされています ここで 生計を同じくしていた ことに関する認定の要件を 生計同一要件 といい 厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のもの であることに関する認定の要件を 収入要件 といいます つまり 生計同一要件と収入要件の両方を満たす場合に 死亡者と配偶者 子との生計維持関係があるものと認定できます これら認定の要件は 生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて ( 日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知 : 平成 23 年 3 月 23 日年発 0323 第 1 号 ( 最終改正 : 平成 26 年 3 月 31 日年発 0331 第 7 号 )) に定められています 生計同一に関する認定要件 では 法第 37 条の2の生計同一要件について 認定基準ではどのように規定されているか見ていきましょう 認定基準では 住民票上同一世帯に属していたとき 住民票上世帯を異にしていたとき または 住所が住民票上異なっていたとき の3つの場合に分けて規定されています 実務上は 別表 2に規定される世帯全員の住民票などの添付書類 生計同一関係の申立書に基づいて認定を行います 認定基準の抜粋は 業務支援ツールにも掲載されていますので そちらを確認してください 収入に関する認定要件 生計維持認定対象者の収入要件です 収入要件を満たす者とは 厚生労働大臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものその他これに準ずる者 をいいます 2

では 具体的に収入要件を見ていきましょう 収入要件の1つ目は 前年の収入が年額 850 万円未満であることです 厚生労働大臣が定める金額 は この年額 850 万円のことをいいます 2つ目は 前年の所得が年額 655 万 5 千円未満であることです 収入ではなく所得であることに注意しましょう 1つ目の要件 ( 収入が年額 850 万円未満 ) または2つ目の要件 ( 所得が年額 655 万 5 千円未満 ) のいずれか片方を満たせば 収入要件を満たしたことになります 3つ目は 一時的な所得があるときは 一時的な所得を除いた後 前年の収入が年額 850 万円未満または前年の所得が年額 655 万 5 千円未満であることです 4つ目は いま説明した3つの要件を満たさないが 定年退職等の事情により おおむね5 年以内に収入が年額 850 万円未満または所得が年額 655 万 5 千円未満であることです この判定に際しては 収入額または所得額に加えて おおむね5 年以内に予定される定年退職等の事情を確認する必要があります なお 障害基礎年金の加算対象者となる子について 4つ目の要件の おおむね5 年以内 の基準は適用されません 障害基礎年金の子の加算の認定は 時点時点で行うこととされております したがって 現時点における収入または所得の状況を確認してください いずれの要件も 前年の収入が確定していない場合は 前々年の収入で判断します 生計維持関係の認定基準及び認定の取扱い3 まとめると 生計維持関係の認定日において 生計同一要件と収入要件の両方を満たす場合には 受給権者または死亡した被保険者等と生計維持認定対象者との間に生計維持関係があるものと認定されます 3

められる場合などです 生計同一関係の認定基準及び認定の取扱い 次に 死亡一時金を例にして 生計同一関係について国民年金法ではどのように規定されているか見ていきましょう 法第 52 条の3では 死亡一時金を受けることができる遺族は 死亡した者の配偶者 子 父母 孫 祖父母または兄弟姉妹であって その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとする と規定されています 死亡者とこれらの配偶者等との関係を 生計同一関係といいます また 配偶者等のことを生計同一認定対象者といいます なお 国民年金法では 遺族基礎年金の受給権者である子 死亡一時金の受給権者である遺族 未支給年金の受給権者である遺族が生計同一認定対象者に該当します 事実婚関係の認定要件 次は 事実婚関係の認定要件です 事実婚関係にある者とは いわゆる内縁関係にある者のことをいいます 内縁関係とは 婚姻の届出を欠くが 社会通念上 夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいいます 戸籍簿上の婚姻関係にある当事者は 戸籍簿などにより把握できますが 事実婚関係にある当事者の場合 戸籍簿などにより把握することはできません したがって 事実婚関係にある当事者の生計維持関係等の認定に際しては 最初に事実婚関係の認定を行った上で 次に生計維持関係等の認定を行う必要があります 事実婚関係についても認定基準および認定の取扱いが定められており この基準に照らし合わせて認定を行います ここでは事実婚関係の認定要件を中心に説明します 生計維持関係 生計同一関係の認定要件の相違点 まとめると 1つ目について 生計維持認定対象者は収入要件を満たさなければなりませんが 生計同一認定対象者には収入要件は問われません 2つ目について 生計維持認定対象者は 受給権者または死亡した被保険者等に依存して生計を維持している実体が認められる必要があります 例えば スライドのような経済的援助の実体が認 4

事実婚関係の認定要件は2つあり 1つ目は 当事者間に 社会通念上 夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があることです 2つ目は 当事者間に 社会通念上 夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在することです 事実婚関係の認定を行った上で さらに生計維持関係または生計同一関係の認定を行います 除外の範囲 先ほど 説明をした事実婚関係の認定要件を満たす場合であっても その内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合は 事実婚関係にある者とは認められません 反倫理的な内縁関係とは 民法第 734 条の近親婚の制限や第 735 条の直系姻族間の婚姻禁止 第 736 条の養親子関係者間の婚姻禁止の規定のいずれかに違反することとなるような内縁関係のことです ただし 三親等の傍系血族間の内縁関係にある近親婚者は 事実婚関係にある者と認められる場合があります 重婚的内縁関係の認定要件 では 最後の項目の重婚的内縁関係の認定要件に進みます 重婚的内縁関係とは 届出による婚姻関係にある者が 重ねて他の者と内縁関係にあることをいいます 民法は 婚姻について 婚姻は 戸籍法の定めるところにより届け出ることによって その効力を生ずる と規定しており 当然に 届出による婚姻関係が内縁関係よりも優先されます しかし 国民年金法等における事実婚関係の認定に際しては 届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっているときに限り 内縁関係にある者が事実婚関係にある者と認められます なお 届出による婚姻関係がその実体を全く失ったものとなっていることを 法律婚の形骸化という場合があります 重婚的内縁関係にある事実婚関係の認定は 実務上難しい事例があるため 年金事務所などとよく相談した上で対応するよう心がけてください 5

次の問題について正しいか誤っているかを考えてく ださい 問題 1 です 寡婦年金の受給権者である妻は 生計維持認定対象 者に該当する 正解は マルです 問題 2です 遺族基礎年金の支給に当たり 被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時 その者と生計を同じくしていた配偶者又は子であって 年額 850 万円以上の収入又は年額 655 万 5 千円以上の所得を将来にわたって得られないと認められる者は その被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたと認められる 正解は マルです 6