(1) 道内中堅 中小企業のアジア地域等への進出ニーズ 1 道内企業の海外進出の現状 道内企業の海外進出は 国内市場での競争激化から新たな市場を求めて増加傾向で推移したが 世界的な金融危機の影響等もあって このところ伸び悩んでいる 海外進出企業の事業展開は 北海道と近い位置関係にある北東アジア (

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管内中堅 中小企業のアジア地域等への進出ニーズ 地域特性及び特徴的な取組み並びに地域金融機関の支援体制 対応状況 1. 進出ニーズ等 当局管内 ( 沖縄県 ) においては 製造業が少ない産業構造であることや企業規模も中小 零細企業が太宗を占めていること等から 海外進出ニーズの形態については 輸出や販

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「第12回信用金庫取引先海外事業状況調査結果 資料編」

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新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

< 業種別 > D.I. 2 製造業主要判断 D.I. の推移 製造業 30/ /9 見込 /12 予想 < 製造業 > 当期 は 24.5( 前期比 +0.8) と景況感は横ばいであった

貿易特化指数を用いた 日本の製造業の 国際競争力の推移

7-3 海外展開 事業再編資金 支援対象者 : 次の (1) または (2) に当てはまる方 (1) 経済の構造的変化に適応するために海外展開することが経営上必要であり 次の 1~ 3 に当てはまる方 1 開始または拡大しようとする海外展開事業が 当該中小企業の本邦内における事業の延長と認められる程

B 輸出についてお伺いします 輸出を行っている方 ( A-1 で 1 直接輸出 2 間接輸出 のいずれかを回答 ) B-1 現在, 主力の輸出先となっている国 地域と, 今後重視又は検討している国 地域を下記の選択肢から 選び, それぞれ上位から記載してください 該当がない場合は, 直接, 回答欄に

中小企業海外展開支援大綱の改正について

6次産業ガイドブック表1

平成 29 年度 事業計画書

主な国 地域別内訳 ( 単位 : 億円 ) 国 地域名 平成 27 年 平成 28 年 増減額 増減率 世界 7,451 7, % 香港 1,794 1

仮訳 日本と ASEAN 各国との二国間金融協力について 2013 年 5 月 3 日 ( 於 : インド デリー ) 日本は ASEAN+3 財務大臣 中央銀行総裁プロセスの下 チェンマイ イニシアティブやアジア債券市場育成イニシアティブ等の地域金融協力を推進してきました また 日本は中国や韓国を

中小企業等経営強化法の概要

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

平成22年度         タイトル

平成 31 年度 事業計画書

み状 (3) お取引先への専門家派遣必要に応じて お取引先へ税理士や中小企業診断士などの専門家を直接派遣する 外部専門家派遣制度 を活用し 経営支援機能の強化を図っています 19 況中小企業の経営の改善及び活性化のための取組み状況 中小企業の経営の改善及び活性化のための取組 3. 中小企業の経営支援

PowerPoint プレゼンテーション

< 業種別 > 2 製造業主要判断 の推移 製造業 29/ /3 見込 /6 予想 < 製造業 > 当期 は 8.0( 前期比 -1.7) 当期 は 9.1( 同 -8.9) 当期 は 5

平成 29 年度下期新潟市景況調査 ( 本報告 ) Ⅳ テーマ別調査結果 93

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四校

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「第12回信用金庫取引先海外事業状況調査結果」

資料 2 平成 27 年度の政策対話等の実施実績及び予定について ( 未定稿 ) 1. 概要 平成 27 年度は 以下の取組につき 各国の状況に応じ組み合わせて実施 (1) 各国との政策対話の実施 (2) 対話の場を活用した 我が国食関連産業と先方政府 先方民間企業のとの情報共有 マッチングの促進

Microsoft PowerPoint アンケート調査

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1. 沖縄県における牛肉の輸出動向 2015 年は 輸出額が過去最高 数量 金額 2015 年は数量が 18,424 KG( 前年比 97.0%) 金額が 87 百万円 ( 同 111.8%) となり 輸出額が過去最高を記録しました 沖縄県の輸出額シェアは 1.1% となっています 国別金額シェア

2015 年 6 月 19 日 ジェトロバンコク事務所 タイ日系企業進出動向調査 2014 年 調査結果について ~ 日系企業 4,567 社の活動を確認 ~ 1. 調査目的 タイへの日系企業の進出状況については 2008 年当時の状況について ( 独 ) 中小企業基盤 整備機構が タイ日系企業進出

4-(1)-ウ①

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

プロジェクト関連図12年6月

目次 1 貿易への取り組み 7 ~グローバル企業に円安の恩恵 ~ 2. 海外進出への取り組み 今後の国内事業展開 14 ~ 中小企業の国内外への事業拡大意欲が増加 ~ 3. 海外進出への取り組み ( 国 地域別 機能 ) 23 ~ 米国での拡大意欲が増加 メキシコも上昇 ASEANが3 年連続で中国

[ 調査の実施要領 ] 調査時点 製 造 業 鉱 業 建 設 業 運送業 ( 除水運 ) 水 運 業 倉 庫 業 情 報 通 信 業 ガ ス 供 給 業 不 動 産 業 宿泊 飲食サービス業 卸 売 業 小 売 業 サ ー ビ ス 業 2015 年 3 月中旬 調査対象当公庫 ( 中小企業事業 )

もみじ銀行:もみじ銀行について>進捗状況について(平成22年度)

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,112 1,630 1,992 1,879 2,674 3,912 はじめに ア


2. 景気後退の影響 (2) 2008 年 10 月以降の世界的な景気後退の影響 ( 業種別 ) 大きなマイナス若干のマイナス影響なし 若干のプラス 大きなプラス 製造業 印刷 出版 (n=14) ゴム製品 (n=35) 金属製品 ( メッキ加工を含む

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< 目次 > 概要 1 1. 香港 2. 台湾 3. 韓国 4. 中国 5. シンガポール 6. マレーシア 7. ブルネイ 8. インドネシア 9. タイ 10. ベトナム ミャンマー 12. フィリピン 13. インド 14. 中

ニュースリリース 中小企業の雇用 賃金に関する調査結果 ( 全国中小企業動向調査 2013 年 月期特別調査 ) 年 4 月 8 日株式会社日本政策金融公庫総合研究所 3 割の企業で正社員は増加 3 社に 1 社で給与水準は上昇 従業員数 2013 年 12 月において

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東京センチュリー株式会社統合レポート2018

従業員に占める女性の割合 7 割弱の企業が 40% 未満 と回答 一方 60% 以上 と回答した企業も 1 割以上 ある 66.8% 19.1% 14.1% 40% 未満 40~60% 未満 60% 以上 女性管理職比率 7 割の企業が 5% 未満 と回答 一方 30% 以上 と回答した企業も 1

ところが 1 現地銀行からの直接調達では 借入にかかる現地銀行との直接折衝や高めの金利設定などがマイナス要因となっており 敬遠されているのが実態です 以下では も提供可能となります 2 3 についてご説明したいと思います 3. による資金調達にかかるの支援による資金調達の形態としましては 次のとおり

平成 24 年 11 月 13 日 新潟縣信用組合 中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律第 7 条第 1 項に規定する説明書類 第 1 第 6 条第 1 項第 1 号に規定する法第 4 条及び第 5 条の規定に基づく措置の実施に関する方針の概要 当組合は 地域に根差し 地

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 30 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 30 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 30 年 1~3 月期 来期平成

はじめに は 日本中の中小企業が今よりもっと容易に海外進出を果たす為の仕組みづくりとして 海外進出コンソーシアムを結成します このコンソーシアムは 当社と大手貿易支援企業のパートナー関係を中核とし 貿易に関して得意分野を持つ企業とのコラボレーションにより構成されます Copyright(C) 201

Ⅱ 用語等の説明 今期の状況 来期の状況 前年同期 ( 平成 28 年 4~6 月期 ) と比べた今期 ( 平成 29 年 4~6 月期 ) の状況 前年同期 ( 平成 28 年 7~9 月期 ) と比べた来期 ( 平成 29 年 7~9 月期 ) の状況 前期平成 29 年 1~3 月期 来期平成

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

図 12 HACCP の導入状況 ( 販売金額規模別 ) < 食品販売金額規模別 > 5,000 万円未満 ,000 万円 ~1 億円未満 億円 ~3 億円未満

製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

20 21 The Hachijuni Bank, LTD.

海外支援事例

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

2 アニメ ファッション 食 地域産品 伝統文化 匠の技術など海外で人気の高いクール ジャパンの魅力と底力を産業化し 海外市場開拓及び海外顧客の訪日を促進するため ターゲット国と分野を決め 業種を超えたチームづくり 市場開拓 成果の検証 他事業への応用 実際の事業展開 という企業や若手人材の一貫した

平成 28 年度 事業計画書

各 位 平成 27 年 5 月 11 日 会社名株式会社みちのく銀行代表者名取締役頭取髙田邦洋 ( コード番号 8350 東証第一部 ) 問合せ先経営企画部長須藤慎治 ( ) 第四次中期経営計画の策定について 株式会社みちのく銀行 ( 頭取髙田邦洋 ) は 平成 27 年 4

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律

電通、「ジャパンブランド調査2019」を実施

以前 製造業 食料品製造業 畜産食料品製造業

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律

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賛同企業が提供するフィールドのイメージ 資料 年 11 月 20 日 大阪ガス株式会社 ハグミュージアム ( 外観 内観 ) 株式会社タブチ 本社工場 ( 外観 内観 ) 日立造船株式会社 先端情報技術センター ( 外観 内観 ) 以上

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< 業務提携イメージ図 > 2. セミナー開催概要 名 称 販路拡大支援セミナー ~ 飲食店を活用した販路拡大の可能性について考える~ 八戸会場 : 平成 27 年 6 月 11 日 ( 木 )14:00~15:30 みちのく銀行八戸営業部 3F 会議室 開催日時 弘前会場 : 平成 27 年 6

日本の国際競争力調査

EXPORT PROMOTION STRATEGIES

外国人労働者の雇用実態に関するアンケート調査結果 速報版 平成 30 年 12 月 山形県商工労働部 1. 調査目的 県内における外国人労働者の実態等について調査を実施し 今後の外 国人材の活用施策の検討材料とする 2. 調査期間 平成 30 年 10 月中旬 ~11 月中旬 3. 調査対象 方法

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目次 要旨 1 Ⅰ. 通信 放送業界 3 1. 放送業界の歩み (1) 年表 3 (2) これまでの主なケーブルテレビの制度に関する改正状況 4 2. 通信 放送業界における環境変化とケーブルテレビの位置づけ (1) コンテンツ視聴環境の多様化 5 (2) 通信 放送業界の業績動向 6 (3) 国民

オリンピック パラリンピック東京大会におけるホストシティ タウン構想に係る自治体における国際交流の取組についてのアンケート 1. 調査概要配布先 : 都道府県 市区町村時期 : 平成 26 年 9 月 30 日 ~10 月 30 日 ( 年内にとりまとめ ) 調査趣旨 : 2020 年オリンピック

熊本県メーンバンク調査

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となっている イタリアとロシアでの意向が特に強いが 欧米エリアでは全体的に強い傾向にある 国や地域によって 興味 関心は異なる 例えば ご当地 ラーメン に関心が高いのはフィリピン 世界遺産 はイタリア 城 城址 はロシア 和牛 は香港など 日本の地方への関心は アジアだけではなく欧米エリアにも拡大

外部支援機関と連携した支援として 政府系金融機関との連携融資 信用保証協会の経営サポート会議 中小企業再生支援協議会の再生計画の策定事業 及びひょうご産業活性化センターとの専門家派遣事業 割賦制度等を活用した支援を行い 最適なソリューションの提案を行いました 中小企業の経営支援のための関係省庁の施策

地域産業活性化コース 厚生労働省採択事業 (H28 ~ 30 年度 ) 平成 29 年度 三重県地域活性化 雇用創造プロジェクト事業 地域産業 活性化コース 対象業種 食料品製造業 情報サービス業飲料 たばこ 飼料製造業 木材 木製品製造業 パルプ 紙 紙加工品製造業 印刷 同関連業 なめし革 同製

1 概 況

北海道MICE戦略(仮称)

現状 課題 海外の消費者ニーズを踏まえ 更なる高付加価値化を実現すべく 日本産酒類のブランド力と品質を向上させます 国内外で高い評価を受けた 高付加価値な酒類が輸出される傾向にある 今までの傾向を踏まえ 日本産酒類の高付加価値化を進めるとともに 海外において製造されている酒類との差別化を図ることが課

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【事例】平成○年度○○カテゴリーに係る全体方針の策定

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立木販売のご案内 ~ 多くの森林が主伐期を迎える中で立木販売を進めています ~ 四国森林管理局

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

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金融円滑化に対する当金庫の取組状況 平成 27 年 11 月 13 日 高岡信用金庫

特許庁工業所有権保護適正化対策事業

Transcription:

道内中小企業等のアジア地域等への進出状況と地域金融機関等の支援体制 平成 23 年 2 月 3 日北海道財務局 問い合わせ先理財部金融監督第一課内線 4355 記載されている内容は おおむね 1 月中 ~ 下旬までに得られた情報に基づくものです

(1) 道内中堅 中小企業のアジア地域等への進出ニーズ 1 道内企業の海外進出の現状 道内企業の海外進出は 国内市場での競争激化から新たな市場を求めて増加傾向で推移したが 世界的な金融危機の影響等もあって このところ伸び悩んでいる 海外進出企業の事業展開は 北海道と近い位置関係にある北東アジア ( 中国東北部 上海等 ) や極東ロシアが中心となっている 道内企業の海外拠点数の推移 道内企業の海外進出にみられる特徴 拠点社中国ロシア企業数 ( 右目盛 ) 400 160 350 114 企業 140 300 120 250 193 拠点 100 200 80 150 60 100 40 50 20 0 0 2001 年度 2002 年度 2003 年度 2004 年度 2005 年度 2007 年度 2008 年度 2009 年度 *2006 年度は集計時期相違により未計上資料 :JETRO 北海道の企業アンケート調査結果より 道内企業の海外進出が伸び悩んでいる要因としては 世界的な金融危機の影響や道内経済の停滞から 海外事業を縮小して国内基盤の立て直しを図る企業が多いことがある 進出先は 北海道と近い位置関係にある北東アジアや極東ロシアが中心となっている 特に 北東アジアでは 中国東北部の大連市や瀋陽市 極東ロシアではユジノサハリンスクへの進出が目立っている 既進出企業においては 今後の新規進出先として ベトナム タイ シンガポールなどを有望視している 特に ベトナムについては 中国に比べて法制度が整備されている 治安が良く政情が安定している 労働力などの投資コストが安い 勤勉で穏やかな国民性 をメリットとしてあげている 注 : 海外拠点 とは 現地法人 駐在員事務所 委託生産 の進出によるもの 海外進出にあたっての問題点 極東ロシア 10 拠点サハリン州 9 ロシア 6% アジア 12% アメリカ 7% 韓国 3% タイ 4% 道内企業の国別海外拠点数 9% 中国 51% 台湾 8% 中国 97 拠点上海 21 大連 17 瀋陽 7 広州 6 香港 5 東北部 31 共通 ~ 高率な関税や煩雑な通関手続き 中国 品質管理が弱く 不良品率が高い 納期が不安定 経済活性化に伴い労働コストが上昇 日本からの輸出可能な農産物がりんご なし 茶 米に限定 資料 :JETRO 北海道の企業アンケート調査結果 (2010 年 6 月 ) より ロシア 投資関連法が不安定 不透明 資金調達 送金 回収が難しい 積極的な進出を図る中国 韓国企業との競合 1

(1) 道内中堅 中小企業のアジア地域等への進出ニーズ 2 海外進出における地域特性等 既進出企業においては 食料品や木材 木製品関連の製造業や卸小売業 建設業など北海道の基幹産業である 食分野 や寒冷地技術を活かした 住宅分野 などでの事業展開を図っており 引き続きこの分野での需要が見込まれる 海外拠点数産業別内訳 (2009 年度 ) 業種別の内訳上位 ( 拠点数 ) 北海道における地域特性 貿易商社 10 (5%) 41 (21%) 拠点数 193 拠点 卸 小売業 74 (39%) 製造業 68 (35%) 1 食料品 41 2 木材 木製品 23 3 自動車部品 16 4 家具 インテリア 11 4 建設 土木 不動産 11 6 貿易商社 10 7 情報処理 ソフトウエア 9 北海道の産業構造を反映して 食品関連や建設 住宅関連の企業の進出が比較的多い 飲食店では ラーメンチェーン店 ( 札幌ラーメン 旭川ラーメン ) の進出が殆どで 拠点数を増加している 進出の形態は 単独での現地法人が多いが 直接投資によるリスクを伴うことから 委託生産による進出が増加傾向にある 主要進出先の中国においては 北海道は 農産物が豊富 というイメージがあり 食品関連では 北海道ブランド が定着しつつある 国策によるインフラ整備が進められている極東ロシアにおいては 北海道の寒冷地住宅建設技術が注目されている 駐在員事務所 9% 現地法人 ( 合弁 ) 19% 7% 委託生産 25% 海外進出拠点の形態別比率 (2009 年度 ) 現地法人 ( 単独 ) 40% 駐在員事務所 21% (2001 年度 ) 7% 現地法人 ( 合弁 ) 26% 資料 :JETRO 北海道の企業アンケート調査結果より 現地法人 ( 単独 ) 33% 委託生産 13% 2 北海道における特徴的な取組み 北海道庁が 道産品輸出用シンボルマーク を制定 (2010 年 6 月 ) 海外市場で認知度が高い 北海道ブランド の活用 海外市場に出回る紛らわしい商品との差別化 2010 年 3 月に中国 香港 台湾に対し商標登録を出願 同年 6 月に出願受理されたため 上海万博で活用するなど PR を展開 北海道貿易物産振興会が北海道庁の委託を受け 北海道どさんこプラザ ( アンテナショップ ) のアジア出店に向けた市場調査を実施 2010 年 6 月に台湾 香港 中国 韓国 シンガポールを対象に道産品の浸透度や市場規模等を調査 2011 年まで調査を行って開設先を決定 食品加工品 日本酒の販売を検討しており 将来は化粧品や家具 農機具等の幅広い製品の販売も視野

(2) 進出ニーズに対する地域金融機関の支援体制 対応状況 : 北海道銀行 北海道銀行においては インフラ整備が進められている極東ロシアに特に着目し 現地事務所を開設して進出企業のサポート等を行っている 寒冷地技術などの道内企業の強みを活かした支援に重点を置いている 支援組織 体制 当行においては 北海道と環境や歴史的な結びつきが強い極東ロシア及び中国東北部での企業進出支援に重点を置いている 企画 推進部門 本部 ( 国際部 ) 2010 年 1 月 国際業務室を国際部に昇格させ 海外進出支援体制を強化 ネットワーク 中国室 ロシア室 駐在員事務所 2 か所 ユジノサハリンスク駐在員事務所 (2009 年 3 月開設 ) サハリン州 ハバロフスク市との経済協定締結 ロシア貿易銀行との連携 ( 短期間でのルーブル送金ルートを構築 ) 瀋陽駐在員事務所 (2006 年 8 月開設 ) 遼寧省 瀋陽市 長春市 ハルビン市等との経済協定締結 駐在員事務所による取引先企業支援 海外進出支援 ( 現地法人設立支援等 ) 現地情報の調査 提供 現地投融資の相談 支援 ビジネスマッチングのアレンジなど 参考 台湾 ATM の設置 ~ 台湾観光客の消費拡大を図る ~ 2010 年 1 月 台湾の主要銀行 (9 行 ) が発行するキャッシュカードが使える専用 ATM を札幌市内などに設置 ( 国内初 ) し 台湾の銀行のカードで日本円を引き出せるサービスを開始した また 同カードによるデビット決済サービスもあわせて開始し デパートや温泉ホテルなど約 200 か所での利用を可能としている 邦銀としては唯一の極東ロシア拠点 北海道企業が優位な技術に着眼した支援 北海道農業の強化のための支援 ロシア極東での支援事例 道内企業の特性を活かした支援 地域産業の振興に資する支援を主眼に置いた取り組みを行っている 2010 年 10 月には 極東ロシアで寒冷地住宅研究視察 ( 参加企業 5 社 ) 及び農業視察 ( 同 8 社 ) 等を実施し 地元企業等とのマッチングを行った また 大学や研究機関も参加する 道銀寒冷地住宅関連研究会 ( 企業等 22 団体 ロシアの建設協会等 ) を立ち上げるなど ニーズにあった事業推進に取り組んでいる 1 寒冷地技術を活用した住宅建設 販売等を拡大するための支援住宅建設企業等では 得意分野の寒冷地技術 ( 高断熱 高気密等 ) を活用した住宅の現地での施工 資材輸出の拡大を図っている 当行では 関連企業 大学等で研究会を立ち上げ 技術研究や資材開発を行っているほか JETRO 等との連携により ロシア企業の招へいを行うなど 住宅販売 資材輸出への支援に取り組んでいる また 道内企業は寒冷地向け舗装の技術を活かした受注拡大に取り組んでおり 当行では 現地企業を対象とした技術紹介セミナー開催等の支援を行っている 2 飼料を安定的かつ低コストで確保するための支援道内の A 肉牛肥育牧場は ロシア沿海地方の未整備農地を活用し 飼料を自ら生産 輸入することを計画している オーストラリア 米国等からの輸入に比べ 経費削減が図られるとともに 国際的市況に左右されない仕組みを構築し 安定的かつ国際競争力の確保を目指すとしている 当行では 試験栽培用地確保のための現地交渉等の支援を行っている 相談事例からみた問題点 ロシアの法律 税制や煩雑な通関等の手続き等を相談できる窓口が少ない 極東ロシアを得意とする商社など提携できる先が少なく 事業の具体化が難しい ロシア企業との信用状取引はまだ少ないなど 資金決済のリスクが大きい 今後の展望 ( 多様なニーズに対応できる人材の育成 ) 取引先からのロシア等海外進出に関する相談は急増しており 多様な問い合わせに対応できるよう 海外研修などを通じ 国際業務に精通した人材を育成する ( 金融アクションプランへの取組み ) JETRO 等への要員派遣などについては 具体的な要請があれば検討する 3

(2) 進出ニーズに対する地域金融機関の支援体制 対応状況 : 北洋銀行 北洋銀行においては 道内取引先に対して 中国を中心とした海外展開に必要なノウハウ 資金 人材等の面で支援体制を構築している これにより取引先のさまざまな段階におけるニーズに合わせたサービスの提供が可能となっている 支援組織 体制 国際課 ~ 営業店サポート 中国デスク等 資金為替課 ~ マーケット部門 国際業務課 ~ 外為の事務集中部門 ネットワーク 大連駐在員事務所 2005 年 3 月開設 上海駐在員事務所 2005 年 6 月開設 北海道サハリン事務所に職員 1 名を派遣 現状の取組み等 現地地方政府等との経済交流協定を締結 (10 箇所 ) 大連市 瀋陽市 上海市 青島市 遼寧省 吉林省 黒龍江省 香港特別行政府 中国国際貿易促進委員会大連市分会 大連銀行 人材育成の一環として 営業店から毎年 1 名トレーニーを受入 (1 年 ) 大連 上海 道内企業に対する最近の支援事例 上海への水産品輸出にあたり 現地業者を紹介 ( 水産品卸 ) 枕の輸入にあたり 貿易事務や通関業者を紹介 ( 健康用品卸 ) 道路建設に伴う仮設工事を請負う現地法人 ( 北京 ) の設立を支援 ( 土木 建設 ) 北京への道産品 ( 菓子やミネラルウォーター ) 輸出にあたり 現地業者を紹介 ( 貿易商社 ) 大連において包装資材 ( 包装紙 菓子箱 ) 製造委託先を紹介 ( 資材卸 ) レンタル用スキーウェアの輸入にあたり 上海の製造企業を紹介 ( スポーツ用品卸 ) JETRO など外部機関との連携 当行が JETRO 北海道と共催して JETRO 食品輸出商談会 を開催 (2010 年 6 月 開催地 : 札幌 ) 当行が主催してベトナムセミナーを開催 (2010 年 8 月 開催地 : 札幌 ) ( 当行の拠点がない地域 ( 特に ASEAN 香港 台湾など ) については メガバンク系の調査会社と業務提携をすることで情報をカバーしている ) 当行独自の取組み ものづくり商談会 (2010 年 9 月 開催地 : 上海 ) 機械関係団体の視察団現地受入れ (2010 年 9 月 開催地 : 大連 ) 信用金庫トップセミナーにおいて中国事情の講演を実施予定 (2011 年 3 月 開催地 : 札幌 ) (1) 情報の提供 (2) 現地訪問サポート (3) 商談機会の創出 (4) 商品の提供 ビジネス商材の発掘 セミナー等の開催 取引先のニーズに応じた支援体制を構築し実行 個別企業の相談サポート 相手企業への同行 現地での展示会等参加サポート 海外バイヤーの招聘 4 中国国内における人民元建て融資保証 両替等 今後の展望 ( 製造業における委託生産 ) 製造コストが依然として日本よりも低位にあるため 道内取引先のニーズにあった海外企業の情報を紹介し 成約に結びつける ( 食品を中心とした道産品販売 ) 商社同士をマッチングさせることでより多くの輸送量を確保する工夫などして更なる市場開拓の支援をする ( 金融アクションプランへの取組み ) 当行に拠点のない香港や ASEAN への要員派遣は情報収集の観点で関心がある

(2) 進出ニーズに対する地域金融機関の支援体制 対応状況 : 信用金庫 信用組合 道内信用金庫 信用組合においては 海外進出に関する相談が極めて少なく 支援体制の整備にまで至っていない 信用金庫の取引先における進出のニーズ 担当部署には具体的な支援の相談は受けていない (A 信金 ) 環境問題に対する関心の高まりから環境関連事業のニーズが高まってくると予想している (B 信金 ) 北海道は全国と比べても国際業務に関する相談が少ない地域である 製造業が少なく 一次産品の原材料が中心だからではないかと思われる ( 信金中金北海道 ) 支援のニーズに対する支援体制 取引先の進出事例等 道産ワインを香港のコンビニで販売したところ好評だったため さらに食品見本市に出品するなどで認知度を高め 販路の拡大を図ろうとしている (C 信金 ) ロシア向けの水産加工機械製造ラインを国内で増設するための相談を受けた (D 信金 ) 地元農商工業関係者と中国東北部を訪問した際 米粉が有望とわかった (E 信組 ) いずれも資金支援にまで至っていない 商工会議所が主催する海外現地視察に同行し 得られた情報はセミナー 講演を通じて取引先に提供 (A 信金 ) 経営相談や経営改善支援の専担部署で海外進出ニーズにも対応できる態勢に改組した (B 信金 ) 取引先から相談があれば信金中金や JETRO を紹介しており 担当職員のノウハウの蓄積にはなお時間を要する ( 複数の信金 ) 今後の対応 地域経済の振興のために取引先の一層の啓発に努めたい (F 信金 ) 大手行 地方銀行 JETRO 等との情報交換を行い 取引先から相談があった場合の情報基盤整備を行う (G 信金 ) (2) 進出ニーズに対する地域金融機関の支援体制 対応状況 : 現状と今後の課題 ( まとめ ) 北海道における企業の海外進出は 海外現地法人数が全国の 1% にも満たない状況であり 進出企業数 海外拠点数とも低位に止まっている 食関連や寒冷地住宅などには海外からのニーズがあり 北海道の強みを活かせる分野である 地域金融機関には企業の海外進出ニーズを掘り起こし 一貫してサポートする役割が求められており 地域銀行では積極的な取組みを行っているが 4 拠点しかなく 国際部門の人員も限られており 対応できる範囲に制約がある よって 道内地域金融機関においては JETRO や国際協力銀行 (JBIC) 信金中金などとの連携をより強化しながら全体で取り組む枠組みの中で企業支援の幅を拡げる工夫が求められる 5