デンマークの環境に対する市民意識と環境関連政策 日本貿易振興機構 海外調査部
地球温暖化問題への関心を受け 各国では環境関連政策の整備が進み 政府の啓発活動に伴い市民の環境に対する意識が高まりつつある 環境意識の高まりは地球温暖化問題だけに向けられているものではなく 健康 安心 安全 居心地の快適さ バリアフリーなどへの関心と相まっており 意識の高まりに伴い 市場が大きく変化する兆しを見せている こうした動きは先進国だけでなく新興国でも見られ 特に台湾や ASEAN ではビジネス環境の急転が見込まれている サッカー ワールド カップとオリンピックを控えているブラジルでも 政府や自治体は市民に対する環境教育にいっそう力を入れるようになった こうした世界的なトレンドを受け ジェトロでは 主要 30 カ国 地域を選び 市民の環境への意識および環境関連政策について 概要を取りまとめることとした 環境関連政策としては (1) 電力 エネルギー (2) 廃棄物処理 (3) 交通 (4) 住宅 建築をとりあげた また ビジネスの参考として 環境関連の経済指標および当該国 地域の気候関連情報についても盛り込むこととした 本レポートは この一連の調査のデンマーク版である なお本レポートは 環境政策関連のデータベースを運用する民間のシンクタンク Enhesa, Inc. 1 に委託した調査の報告書 Environmental Policy Research 2010 を基に ジェトロが編集 改訂を行ったものである 2011 年 1 月海外調査部 環境に対する市民意識と環境関連政策 レポート掲載国 地域一覧 EU 英国 フランス ドイツ イタリア スペイン スウェーデン ハンガリー ポーランド デンマーク チェコ サウジアラビア UAE インド シンガポール マレーシア インドネシア タイ フィリピン ベトナム カンボジア 台湾 中国 韓国 オーストラリア カナダ 米国 メキシコ ブラジル チリ 1 www.enhesa.com 1
1. 位置 気候 デンマークは 北欧諸国の一つである デンマーク本土はユトランド半島と周囲の島嶼からなる 首都コペンハーゲンは 北海からバルト海に通じるカテガット海峡の南にある バルト海最大の島シェラン島にあり スウェーデンのマルメの対岸に位置する ユトランド半島とスカンジナビア半島とは フュン島 シェラン島を経て橋とトンネルで結ばれている デンマーク本土の総面積は約 43,100 km 2 で 海洋面積は 700 km 2 に及ぶ 2 緯度は北緯 54 度から 58 度の間に入る 偏西風と北大西洋海流の影響で 高緯度の割には 冬は極寒に至らず夏は温暖である 最も寒い月は 2 月で 平均日中気温は約 0 であり 最も暖かい月は 7 月で 平均日中気温は約 17 である デンマーク本土は 一年を通じて定期的に雨が降り 乾燥した季節はない デンマークの年間降雨量は平均 610 mm とそれほど多くは無いが コペンハーゲンの平均降雨日数は 170 日あり 雨天日が多い 雨が最も多いのは 9 月から 11 月にかけてである 雪はほとんど降らない デンマークの本土は平坦な国土を持ち 高低差はほとんど存在せず 平均海抜は 31 メートルである 森林は本土の約 12.8% に相当する 54 万 4,000 ヘクタールである デンマーク王国は デンマーク本土に加えて北米北東部のグリーンランドと グレートブリテン島の北方にあるフェロー諸島を領有する グリーンランド フェロー諸島ともに自治領である うち グリーンランドは欧州共同体 (EEC) の領域だったが 1982 年の住民投票を経て EEC から離脱 EU にも属していない このため EU 議会への参政権は持たないが EU 市民権は認められている フェロー諸島も EU に属していない フェロー諸島の市民は EU 市民権の対象外となっている ただしデンマーク市民として EU 領域への自由な移住が可能である 2. 環境に対する市民意識 デンマークはプロイセン オーストリア連合軍と戦った 1864 年の第二次シュレスヴッヒ ホルシュタイン戦争でユトランド半島南部の穀倉地帯を失い 半島中 ~ 北部の森林や原野を開拓せざるを得なくなった 一方で 市民は長年にわたり環境問題に積極的に取り組んできた 飲料容器のデポジット制は 20 世紀初頭から導入され EU の政策を受け入れるまで長らくの間 ビールと清涼飲料水の使い捨て容器の使用を禁じてきた EU の政策を受け入れた後も 容器の 95% 以上の回収を関係業界に義務付けている 各家庭でもリサイクル活動が盛んに行われ 一般家庭や職場で環境に配慮した商品が幅広く受け入れられてきた 市民の自然への愛着も強く 子供の頃から自然に親しませる市民活動として 1950 年代に世界に先駆けて 森の幼稚園 が誕生した 森の幼稚園の園児は 殆どの時間を森の中で過ごし 幼いときから自然の中で思い思いに遊び 想像力を養う 通常の幼稚園の園児に比べて基礎学力に劣るものの 健康 情緒の安定 表現力 2 U.S. CIA World Factbook https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/da.html Denmark - The official website of Denmark http://www.denmark.dk 2
やコミュニケーション力に長けるという特徴がみられるとされる 森の幼稚園は次世代の市民への環境教育の場として大きな影響を与えてきた スウェーデンやドイツなどにも伝わり ドイツでは 1990 年代から数が急増している 市民の再生エネルギーに対する関心は 1970 年代の第一次石油危機を機に高まった 深刻な石油不足を経験し 政府が原子力発電へ傾斜することに対して 市民が風力などの自然エネルギー重視に動いたことが 大型風力発電業界の発展に繋がった 政府は 国連のアジェンダ 21 3 に応える形で持続可能な発展に向けた国家戦略を策定してきた 持続可能な発展を目的とした次の 8 つの目標と原則を打ち出している 1) デンマークの福祉社会の発展は 成長と環境への影響を切り離すことで推し進められなければならない 2) すべての国民にとって健康的で安全な環境が整備され 高い水準の保護手段が維持されなければならない 3) 生物多様性が促進され 生態系が保護されなければならない 4) 資源がより有効に活用されなければならない 5) デンマークは 国際的に重要な役割を果たすべきである 6) 環境への配慮は あらゆる部門で積極的に推し進められなければならない 7) 市場は 持続可能な発展を支えなければならない 8) 持続可能な発展は 測定可能な目標との共同責任でなければならない 戦略は次のいくつかの産業分野と分野横断的なテーマにおいて策定されている 1) 産業分野 ⅰ) 食品製造 ⅱ) 林業 ⅲ) 工業 ⅳ) 運輸 ⅴ) エネルギー ⅵ) 都市開発 2) 分野横断的な活動 ⅰ) 気候変動 ⅱ) 生物多様性 ⅲ) 環境と健康 ⅳ) 資源と資源効率 ⅴ) 科学効率 ⅵ) 国民参加 次の項目は 戦略に基づき策定された指標の例である 1) 男性と女性の平均余命 2) 工業 運輸 一般家庭 農業 および廃棄物に関連した二酸化炭素 (CO2) の平均排出量 3) 分類および規制された化学物質の数 3 http://www.unep.org/documents.multilingual/default.asp?documentid=52 3
4) 環境ラベルが添付された製品の数 5)EMAS または ISO 登録企業の数 および製造と雇用におけるそれらの企業のシェア 3. 環境関連政策 デンマークは深刻な酸性雨被害を経験した国のひとつである 1970 年 ~80 年代にかけ 政府は環境問題に関する強固な規制を整備した 近年は地球温暖化問題など これまでに取り組まれていなかった数多くの課題と新たに生じた問題にも対応している 経済協力開発機構 (OECD) によれば デンマークの環境民主主義は OECD の加盟国の中で最も進んでいるもののうちの一つであると考えられている 4 さらに OECD はデンマークの環境政策について 様々な意見が交換される開かれた環境で政策決定が行われ 国民と当事者が参加し 環境に関する情報が提供され それらを入手できる環境が整い 行政措置や法的措置を取る権利を保証するための方法が数多く存在すると指摘する 環境政策は 特に以下の分野に重点を置いている 1) 酸性雨 2) 栄養流出と地下水汚染 3) 生物多様性 4) 気候変動などの地球規模の問題 環境政策の主要部分は環境省が担っている 06 年に制定された環境保護に関する法律 (1757/2006) は 持続的な社会の発展を可能にし 国民の生活条件を尊重し 動植物を保護できるように自然環境を保護することを目指している この法は空気 水 および土壌の汚染や振動と騒音に関連する諸問題の発生防止と対応 および国民の健康と環境の保護に関するもので 原料とその他の資源の利用と浪費を制限し クリーン技術の採用を促進し リサイクルを推進し 廃棄物処理に関連する諸問題の発生を制限することを目的としている デンマークは 環境課徴金 環境税 廃棄物の払い戻し制度などの経済的な手段を使って環境の管理を行っている グリーン税の改正と環境管理を目的とした経済的な手段の導入により 環境に悪影響をもたらした税制の抜け道がふさがれ 実質的な成果を上げている (1) 電力 エネルギー政策 デンマークのエネルギー政策 2008~2011 年 5 は 石油 石炭 ガスなどの化石燃料に対する国の依存度をさらに低下させることを目的としている この政策には 08 年 1 月に EU が示した気候とエネルギーに関する総合的な指令に関連した義務と誓約をデンマークが確実に満たすことを目的とした複数の戦略が含まれている これらの戦略は エネルギー節約 再生可能エネルギーの普及 エネルギー効率の向上 エネルギー税 より効果的なエネルギー技術 および輸送を扱っている 具体的な取り組み事例は次の通り 4 OECD Environmental Performance Reviews DENMARK http://www.dr.dk/nr/rdonlyres/3ccfef3a-bcb6-4528-a12f-00c545bcb0b7/712433/env_dk_e.pdf 5 http://www.denmark.dk/en/menu/climate-energy/denmarks-energy-policy-2008-2011/ 4
1) エネルギー節約 エネルギー総消費量の 06 年比 11 年までの 2% 削減 20 年までの 4% 削減を目標とした 環境負荷の小さい新築の建築物やエンドユーザー向けの高エネルギー効率の目標などに対するイニシアチブ 2) 再生可能エネルギー 地域暖房を担う都市の熱電併給局でのバイオマスや廃棄物の利用拡大と化石燃料使用の削減に向けたイニシアチブ 陸上と海上における風力発電施設の増設促進 太陽エネルギー 波力などを利用した再生可能エネルギー技術の開発への補助金交付 陸上 洋上の風力発電に対するフィードイン タリフの適用 25kW 以下の家庭用風力発電に対するフィードイン タリフの適用 3) エネルギー効率の向上 地域暖房エリア外の建物での需要に対する 暖房機器のエネルギーラベル表示などの情報キャンペーン およびヒートポンプ設置を含むエネルギー高効率の暖房機器への交換に向けた補助金交付 4) 運輸 自動車燃料のバイオ燃料比率の 10 年までの 5.75% 20 年までの 10% 達成 電気自動車を対象としている免税措置の 12 年までの延長 および水素エンジン自動車への免税措置の導入 5) 省エネルギー機器の普及 ノルディック エコラベル ( スワン ラベル ) 6 製品の普及 ノルディック エコラベル 北欧大臣会議は 1984 年に 共通のエコラベル ( 通称スワン ラベル ) の導入で合意した 現在 スウェーデン デンマーク ノルウェー アイスランド フィンランドで使用されている ノルディック エコラベルこのラベル制度は 強制制度ではなく ボランタリーとなっている スワンのロゴマークがついた商品は環境に優しいことを表す この緑色のシンボルは 現在 65 の製品群を対象としている 2009 年にエコラベリング デンマーク 7 が行った調査によれば デンマーク人の 89% がスワン ラベルを知っており デンマーク人の 70% がスワン ラベルの意味を理解している 企業はライセンス認定プロセスを経て 自社製品にスワン ラベルを使用する権利を取得する ライセンス申請の際には 当該商品は明確な基準が設定されている商品群のいずれかに属していなければならないが 対象外の商品群でも その基準がスワンの申請にふさわしいと考えられる場合には 新たな商品群として追加することを提案できる 6 http://www.nordic-ecolabel.org/ 7 http://www.ecolabel.dk 5
企業がスワン ラベルを申請する際には ラベル表示対象商品を主として販売する国で申請を行う 許可されたライセンスは全北欧諸国で通用するが 申請国以外の参加国でスワン ラベルを使用するためには 当該国のノルディック エコラベル機関への登録が必要となる 基準が設定されている商品の主な分野は次のとおり 1 オフィス機器 ( コンピュータ等を含む ) 2 建材およびエネルギー 3 自動車およびボート 4 住宅 5 家電 6 公園および庭 7 サービス (2) 廃棄物処理政策 07 年 デンマーク政府は廃棄物をより効果的に処理するため 廃棄物処理の自由化を行った 8 これにより 再利用可能な商業廃棄物を扱う産業の成長余地が生まれ あらゆる企業が 自社の廃棄物をリサイクルするための適した施設を選択することが可能になった Denmark Statutory Order (48/2010) on Waste では 廃棄物 は所有者が廃棄する 廃棄するつもりである または廃棄することが求められる物質または物体として定義される 廃棄物の管理制度を制定するのは地方自治体の役目であると規定されている 一般的に 大きな市町村は独自に廃棄物を処理する一方 小さな市町村の多くは近隣の市町村と共同で処理している また デンマークには 家庭廃棄物と商業廃棄物の収集とリサイクルを行う民間企業が存在する デンマークでは廃棄物の発生防止が最優先され 次にリユース リサイクルが重視され 最終手段として廃棄が行われる 9 廃棄物管理の構造は Statutory Order (48/2010) on Waste に定められており 重要度に従い次のように示されている 1) 廃棄物の製造と有害性の防止と低減 2) 廃棄物および有害な廃棄物をなるべく発生させない製品の技術開発と販売 3) リサイクル 再使用 または再生による廃棄物の回収 4) エネルギー源としての廃棄物の活用 規定には 製造者が 製造する廃棄物について責任を持つ という原則が組み込まれている 製造者とは 業務として商品を製造 輸入 設置 または梱包する者であると定義されている 製造者とはまた 業務活動を通して環境保護の視点から特別な措置を講じることが求められる廃棄物を生み出す者であるとも定義されている 土壌汚染を引き起こす廃棄物の集積所および処理施設が新たに設置されることで 廃棄物の排出について責任を負う者は廃棄物の排出に関する許可を取得しなければならない 8 The Danish Environmental Protection Agency http://www.mst.dk/virksomhed_og_myndighed/affald/den_nye_affaldssektor 9 http://www.mst.dk/english/focus_areas/recyclingandwaste/ 6
(3) 交通政策 交通部門は デンマークの CO2 排出の約 2 割を占めている 10 政府は交通部門においてデンマークを化石燃料に頼らない国にするという長期的な構想を描いて研究と政策を進めている 11 政策の策定にあたっては 交通の市民生活における重要性に鑑み 市民生活の犠牲 ( コスト ) を低減した環境パフォーマンスを重視している 政府と主要政党は 07 年に 環境に優しい交通に関する協定を締結している 12 この協定では 環境に優しい交通政策の原則と 具体的な取り組みを明記している 原則は次の 7 項目である 1) 交通分野の二酸化炭素排出は削減されなければならず 自動車税によるコスト転換を通じて実施される 2) 公共交通は交通分野でシェアを増すべきである 鉄道は信頼があり 安全で近代的なものであるべきである 3) 道路のキャパシティは発展されなければならない 道路の必要性は最大である 今日既に最も充実しているが 経済と社会の発展に起因する将来の交通量の増加は社会資本のいっそうの拡大を必要とする 4) 自転車が交通の現実的なオプションの選択肢として奨励される 5) デンマークは 交通分野の環境に優しい技術のための実験場となる 6) 橋 道路 鉄道の建設に際し かけがえのない自然を破壊しない 7) 市街地での騒音と大気汚染を削減する 09 年に策定した デンマーク グリーン運輸構想 (Green Transport Vision Denmark 13 ) は グリーン運輸システムの確立を目指す長期的な政策である この構想は 持続可能性を実現するより良い公共交通システム 環境に配慮した新技術の開発 商業化に重点を置いている デンマーク グリーン運輸構想の採択を踏まえ 運輸省は 09 年にグリーン運輸センター (Centre for Green Transport 14 ) を設置した この機関は 民間企業と地元当局との戦略的な協力関係を通してエネルギー効率に優れた輸送手段を実現するための大規模な実験を遂行する予定である 政府は エネルギーと環境に配慮した運輸分野の構築を目的に 09 年から 13 年にかけて 2 億 8,400 万デンマーク クローネ (DKK: 1 クローネ =15.1 円 ) を割り当てた うち 2 億クローネがエネルギー効率的な交通に向けたソリューションに向けられている デンマークでは 3,500kg 以上の大型車両の市街地への乗り入れに規制を設けている 10 年 6 月以降 ユーロ 4 のエンジン搭載が義務付けられた 市街地乗り入れ規制の表示 10 http://www.denmark.dk/en/menu/climate-energy/greentransportvision/ 11 http://www.fstyr.dk/da/groen-transport.aspx 12 http://www.trm.dk/graphics/synkron-library/trafikministeriet/publikationer/2009/en_groen_%20transportpolitik.pdf#search=' Aftaler om En grøn transportpolitik' 13 http://www.denmark.dk/nr/rdonlyres/b76a435f-d820-4642-baaa-f99e896e5917/0/centreforgreentransport.pdf 14 http://www.centerforgrontransport.dk 7
政府はさらに自動車税の改定について具体的な提起を行う委員会も発足させ 都市中心部に環境に配慮した通行料金を導入する提案を行う予定である 運輸省は 10 年 6 月に 交通の気候適応戦略 15 というレポートを公表した 課題として 長寿命かつ気候変動に適応した道路や橋などのインフラ整備 豪雨に対する鉄道インフラの脆弱性の改善 豪雨や高潮に対する海底トンネルなどの脆弱性の改善 海岸線の侵食対策 空港の高潮への脆弱性の改善 地下鉄の地上部の風対策と地下部の浸水対策を挙げている なお デンマーク国鉄は JR 北海道と提携関係にある (4) 住宅 建築政策 70 年代の初めから 環境危機と環境に対する意識の向上を背景に デンマークでは従来とは異なる代替的かつ実験的な文化 新しい発想の生活様式 食料 建築技術 衣服などが生まれた 80 年代にはこれらの新しい考えの多くが広く受け入れられると同時に 環境やエネルギーに関する諸問題に対する認識も高まり 地方自治体は都市エコロジー 再生可能エネルギー 廃棄物 および住民参加型民主主義のコンセプトの導入を始めた 90 年代には セルフサプライ ( 自給 ) ソーシャル ケア ( 社会医療 ) 民主主義 およびより安価な建築物という発想に基づく新しいタイプの共同体が登場した エコ支援に関するプログラム キャンペーン および各種の多くの社会実験が 90 年代に始まった 政府が採択した気候 エネルギー発展計画は 地上自治体と地元当局に新しい役割と義務を担わせ 住宅と建設の気候 環境適用を推進し支援してきた 建築分野は気候とエネルギーに関する政策を構成する大きな要素であり 環境に優しい建築と住宅は デンマークの地方自治体が取り組むべき主要な政策分野となっている また 03 年の EU 指令である Energy Performance of Buildings Directive (EPBD) 16 に促される形で 建築物に必要とされるエネルギー量に関する情報を示す制度が確立された 建築物の竣工時 販売時 または賃貸時は エネルギー性能に関する証明書が所有者 あるいは所有者によって買主または借主に提示されなければならない 証明書の有効期間は 10 年以下とされている この証明書には現在の法的基準および水準をはじめ 次の参考値が示され 消費者は建築物のエネルギー性能を比較し 評価することが可能になる 1) 建物の熱特性 2) 換気システム 3) 空調設備 ( 設置されている場合 ) 4) ラドン測定が実施されている場合 5) コスト効果を考えたエネルギー性能の向上に関する推奨事項 6) プロジェクト 15 http://www.trm.dk/da/publikationer/2010/klimatilpasningsstrategi/~/media/files/publication/2010/klimatilpasning%20juni2010/ Klimatilpasningsstrategi%20-%20netversion.ashx 16 http://eur-lex.europa.eu/lexuriserv/lexuriserv.do?uri=oj:l:2010:153:0013:0035:en:pdf 8
デンマークでは 長年にわたり家庭におけるエネルギー浪費の防止に力が注がれてきた 歴代の政権は建物に関する規定と共に一連のエネルギー節約に関する枠組みを導入してきた これらの規定と枠組みは 家庭におけるエネルギー消費の削減と環境への影響の最小化への貢献を目的として策定されている デンマークではドアや窓の断熱性とより確実な密閉性についての規定を含む建物に関する法律規定が強化されたことで 1975 年から 01 年にかけて床暖房を導入した空間が 30% 増えたにもかかわらず 費やされる暖房費は 20% も削減された デンマークで生み出された建物のエネルギー性能 および施行されている政策は 既存の建物と新たに建設される建物におけるエネルギーの節約を実現するための重要な経験蓄積であると見なされている 4. 経済指標 1 鉄道総延長 2,232 km (2010 年 ) 2 鉄道旅客輸送キロ 234 百万人 km (2009 年 ) 3 鉄道貨物輸送キロ 45 百万トン km (2009 年 ) 4 高速道路 アウトバーン総延長 1,130 km (2007 年 ) 5 国道総延長 379 km (2007 年 ) 6 水路総延長 160 km (2008 年 )( 海洋の内水航路 ) 7 住宅戸数 2,377,370 軒 (2010 年 )( 入居件数 ) 8 住宅建築着工許可件数 N/A 9 非住宅建築着工許可件数 N/A 10 乗用車登録台数 2,120,322 台 (2010 年 1 月 ) 11 商用車登録台数 N/A 12 乗用車普及率 (1,000 人あたり ) 408 台 (2010 年 1 月 ) 13 商用車普及率 (1,000 人あたり ) N/A 14 廃棄物量 4,364 千トン (2007 年 ) 15 廃棄物埋め立て処理率 5.1 % (2007 年 ) 16 廃棄物焼却処理率 53.3 % (2007 年 ) 17 水資源使用量 ( 地表水 ) 0.67 km3 (1998 年 ) 18 一人当たり水使用量 123 m3 (2002 年 ) 19CO2 排出量 48.4 百万トン (2008 年 ) 20CO2 一人当たり排出量 8.82 トン (2008 年 ) 出所 : 1デンマーク レールネット 2~71012デンマーク統計庁 14~16UNSD 1718 WWO 1920IEA 注 : 数値はデンマーク本土 以上 添付資料 : デンマークの気象データ 9
気象データ ( デンマーク本土 1961~1990 年平均 ) 17 Dagtemp = 日中気温 Middeltemp = 平均気温 Nattemp = 夜間気温 Nedbør = 降雨 Nedbørdage = 降雨日数 Solskinstimer = 日照時間 免責について当レポートは執筆に当たりその正確性 妥当性に努めておりますが 提供している情報は 利用者の判断 責任においてご利用ください またご利用において不利益等の問題が生じても ジェトロは一切の責任を負いかねますのでご了承ください 17 http://www.dmi.dk 10