2018・2019 年度 経済見通し(1 次改訂)

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2017・2018 年度 経済見通し

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米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

経済見通し

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

目次 A 足元の動向 3 頁 国内経済 国際経済 金融 商品市況 B 日本経済の見通し 頁 個人消費 住宅投資 設備投資 公共投資 輸出入 消費者物価 C 見通しにあたっての前提条件 11 頁 米国 中国 欧州 通関原油価格 円 / ドル為替レート D 経済見通し総括表 実質 GDP 季節調整値の推

経済・物価情勢の展望(2018年1月)

経済・物価情勢の展望(2017年10月)

長と一億総活躍社会の着実な実現につなげていく 一億総活躍社会の実現に向け アベノミクス 新 三本の矢 に沿った施策を実施する 戦後最大の名目 GDP600 兆円 に向けては 地方創生 国土強靱化 女性の活躍も含め あらゆる政策を総動員することにより デフレ脱却を確実なものとしつつ 経済の好循環をより

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

Economic Indicators   定例経済指標レポート

チーフエコノミスト : 高田創 [ 経済予測チーム ] 山本康雄 ( 全体総括 ) 米国経済小野亮 山崎亮

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Economic Indicators   定例経済指標レポート

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建設経済モデルによる建設投資の見通し

建設経済モデルによる建設投資の見通し

建設経済モデルによる建設投資の見通し

October vol

経済・物価情勢の展望(2016年10月)

( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 2, 15, 1. 金 16, 額 12, 12, 9, 営業利益率 経常利益率 当期純利益率 , 6, 4. 4, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 1 社 ( 単位 : 億円 ) 215 年度 216 年度前年度差前年度

当面の金融政策運営について(貸出増加支援資金供給の延長等、12時29分公表)

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第45回中期経済予測 要旨

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2017年夏のボーナス見通し

月例経済報告

物価の動向 輸入物価は 2 年に入り 為替レートの円安方向への動きがあったものの 原油や石炭 等の国際価格が下落したことなどから横ばいとなった後 2 年 1 月期をピークとし て下落している このような輸入物価の動きもあり 緩やかに上昇していた国内企業物価は 2 年 1 月期より下落した 年平均でみ

[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

【No

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

関西経済レポート (2019 年 9 月 ) 令和元年 (2019 年 )9 月 30 日 ~ 輸出減少が継続 インバウンド消費はプラスの伸びを維持 ~ 足元の経済情勢と当面の見通し 関西経済は輸出 生産が斑模様であるが 内需が下支えとなり底堅く推移している 企業部門では 輸出は中国経済の減速等によ

1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

関西の景気動向 2013 年 11 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター 1. 景気の現状関西の景気は 持ち直しのペースがひところと比べて鈍化している 輸出 ( 円ベース )

わが国の経済・物価情勢と金融政策

月例経済報告

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マネーマーケットマンスリー 2018年3月

2018年夏のボーナス見通し

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

2019年の日本経済

第2章_プラントコストインデックス

第1章

今月の経済金融情勢2018年12月25日号

今月の経済金融情勢2018年11月30日号

関西の景気動向 2013 年 5 月株式会社日本総合研究所調査部関西経済研究センター 1. 景気の現状関西の景気は 持ち直している 輸出は 円安が進み 米国経済も回復基調をたどるなど 環境が

Invesco Premia Plus Fund

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2014~2016年度 東海経済見通し

1 ( ) 4.1% 4.4% 4.% 1 ( ) 1.2%( ) 1.6% 3.8% 1( ) 5.6% 4, % 8 6.5% % 2 4.3% 47.8% 18.8% % 13 2, % 2.2% 13.% 218 ( ).

現代資本主義論

名目国内総生産 ( 兆円 ) 実質国内総生産 ( 兆円 ) 内 需 民 間 需 要 図表 年度経済見通し 2018 年度予測 2019 年度予測 前回 上期 下期 2018 年 5 月 上期 下期

ロシア 3節 第 第3節 ロシア 1 マクロ経済動向 ロシア経済は 緩やかな回復基調にある 2014 年 7 以下 輸出 個人消費 消費者物価 金融市場の動 月以降のウクライナ危機発生及びクリミア併合に伴う 向を中心に概観する 欧米からの経済制裁に加え 2015 年以降 原油価格 の下落を主因として

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

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個人消費の回復を後押しする政策以外の要因~所得の減少に歯止め、節約志向も一段落

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

名目国内総生産 ( 兆円 ) 実質国内総生産 ( 兆円 ) 内 需 民 間 需 要 2016 年度実績 ( 前年比 %) 2017 年度予測 2018 年度予測 前回 上期 下期 2017 年 8 月 上期 下期 ( 前期比 ) 時点 ( 前期比 )

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退職等年金給付積立金 平成30年度第2四半期運用状況

富山県金融経済クォータリー(2018年秋)

マネーマーケットマンスリー 2018年12月

中小企業の動向

図表 年度経済見通し ( 前年比 %) 年度見込み 2018 年度予測 2019 年度予測 年度 実績 上期 下期 上期 下期 上期 下期 ( 前期比 ) ( 前期比 ) ( 前期比 ) 名目国内総生産 ( 兆円 )

FOMC 2018年のドットはわずかに上方修正

経済見通し

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

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平成14年1月20日

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

金融市場2018年12月号

富山県金融経済クォータリー(2018年夏)

平成22年7月30日

PowerPoint プレゼンテーション

2016年冬のボーナス見通し

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今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

1 概 況

名目国内総生産 ( 兆円 ) 実質国内総生産 ( 兆円 ) 内 需 民 間 需 要 図表 年度経済見通し ( 前年比 %) 2018 年度予測 2019 年度予測 前回 上期 下期 2018 年 8 月 上期 下期

4月CPI~物価は横ばいの推移 耐久財の特殊要因を背景に、市場予想を上回る3 ヶ月連続の上昇

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社団法人日本生産技能労務協会

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( 億円 ) ( 億円 ) 営業利益 経常利益 当期純利益 金 25, 2, 15, 12, 営業利益率 経常利益率 額 15, 9, 当期純利益率 6. 1, 6, 4. 5, 3, 2.. 2IFRS 適用企業 8 社 214 年度 215 年度前年度差 ( 単位 : 億円 ) 前年

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

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平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

1. 総論 総括判断 都内経済は 回復している 項目前回 ( 1 月判断 ) 今回 (3 年 1 月判断 ) 前回比較 総括判断回復している 回復している ( 注 )3 年 1 月判断は 前回 1 月判断以降 1 月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している ( 判断の要点 ) 個人消費

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

資料2

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Transcription:

情報メモ NO.3-1 ポイント 18 19 年度経済見通し (1 次改訂 ) 18 年 月 日産業調査部 - 内外需とも緩やかな成長が続く - 18 年度の実質 GDP は前年度比 +1.% を見込む 景気の拡大局面は以下 1 の要因から当面継続し 加えて年度後半には 19 年 1 月の消費税率引き上げを見込んだ駆け込み需要が一部で見込まれる ただし 3 の様な下振れリスクに注意が必要である 1 ひっ迫した雇用環境を受け名目所得は増加する一方で物価は低い伸びにとどまるため 実質所得の増加が続き 個人消費は緩やかに持ち直す 海外経済の持ち直しを受け 輸出は増加が続く 好調な企業業績や人手不足の状況を受けて 企業による更新投資や省力化投資などが引き続き増加基調で推移 3 国内外の政治情勢 米中貿易摩擦 米国利上げに伴う新興国からの資金流出等が金融市場の混乱を招き 企業活動を制約したり 企業や個人の景況感を下押ししたりするリスクがある 19 年度は同 +.% を見込む 19 年 1 月に予定される消費増税で 19 年度前半には駆け込み需要が 後半に反動減がみられる ただし 前回の消費増税時に比べると駆け込みと変動は小さくなるとみられ プラス成長は維持されると見込む 実質 GDP( 実額と前年比増減率 ) の推移 ( 兆円 ) 商工中金 55 +1.% +1.% +1.% +.% 5 53 +.%.3% +1.% 5 51 +3.% +.5% +.8% 5 9 8 1 11 1 13 1 15 1 17 18 19 ( 注 1) 実数は年度値 数値は年度間成長率 ( 注 ) いわゆる ゲタ :( 前年度の第 四半期の実質 GDP) ( 年度の実質 GDP)-1 ( 年度 ) 18 年度が約 +.% 19 年度が約 +.% 目次 A 足元の動向 頁 B 日本経済の見通し 頁 C 前提条件 ( 海外経済 為替 ) 8 頁 D 経済見通し総括表 1 頁 ご照会先 : 商工中金産業調査部高宮 ( 国内経済 ) 織田 ( 海外経済 ) 大里 ( 金融 ) 3-3-937 https://www.shokochukin.co.jp 本資料は 18 年 月 15 日時点で得られた情報に基づき作成 - 1 -

A 足元の動向 1. 国内経済景気は緩やかに回復している 1.1 個人消費 天候不順による一時的な下押しから回復し 持ち直しの動き 1. 住宅投資 足元やや増加するも 相続税対策としての貸家着工は一巡しており減少基調 1.3 設備投資 緩やかな増加基調が継続している 1. 公共投資 足元やや増加 1.5 輸出入 海外経済の緩やかな拡大を受け 増加基調が継続している 1. 雇用 所得雇用環境は良好な状態が続き 雇用者所得は増加基調にある 1.7 鉱工業生産緩やかな増加基調 1.8 物価 企業物価 消費者物価 ( 生鮮食品除く ) とも 前年比上昇 1.9 GDP 18 年 1-3 月期の実質 GDP は前期比年率.%( 次速報 ) 個人消費は前期 比.1% 輸出は同 +.% ( 万戸 ) (11 年 =) 11 11 15 95 9 85 [ 図 A-1] 新設住宅着工戸数 ( 左目盛 : 季節調整値の年率換算 ) 消費総合指数 ( 右目盛 ) ( 月次 :~18/) 8 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 15 1..9.8.7 ( 兆円 ) [ 図 A-] 鉱工業生産指数 ( 右目盛 ) 設備投資機械受注 ( 船舶 電力を除く民需 : 左目盛 ) (1 年 =) 11 ( 月次 :~18/). 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 15 95 9 85 [ 図 A-3] (1 年 =) 15 5. [ 図 A-]. 実質輸出 実質輸入 ( 月次 :~18/) 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 1 115 11 15 95 9.5. 3.5 3..5 失業率 ( 左目盛 ) 消費者物価指数 ( 生鮮食品を除く総合 ) 前年比 ( 右目盛 ) ( 月次 :~18/). 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 3.. 1.. -1. ( 資料 ) 内閣府 国土交通省 経済産業省 日本銀行 総務省 - -

. 国際経済米国は拡大基調が続き 中国は緩やかな減速が続いている.1 米国個人消費の増加が続くなど景気は拡大基調 18 年 1-3 月期実質 GDP( 次速報値 ) では前期比年率 +.% と米国景気の堅調な推移が確認された. 中国 アジア中国は固定資産投資の伸びがやや鈍化するも景況感は持ち直している その他アジア諸国の経済指標も 概ね安定した推移 3. 金融 商品市況国内長期金利は概ね横ばい 米国長期金利の上昇を起点に 一時日米株価の下落 円高が進行するなど不安定な動き 3.1 国内金利 国内の長短金利は横ばい 3. 為替 イタリアの政治情勢等を受けて円高が一時進行するなど不安定な動き 3.3 株価 18 年に入り下落したが 月ごろから反転 好調な企業業績を映し堅調な推移 3. 商品市況 原油や銅など資源価格は 世界経済の拡大への期待から高止まり 3..5. [ 図 A-5] 米国雇用平均時給前年比 ( 左目盛 ) ( 月次 :~18/5) 米国個人消費小売売上高前年比 ( 右目盛 ) 1.5 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 7 5 3 1 [ 図 A-] 1 アジア各国の実質 GDP 成長率 ( 前年同期比 ) 8 韓国 中国 タイ ( 暦年 / 四半期 :~18 年 1-3 月期 ) - 13:1 1:1 15:1 1:1 17:1 18:1 [ 図 A-7] 長期金利 1 年国債利回り ( 月平均 ) 1..8.. ( 千円 ) ( 円 / ドル ) 13 1. 1. 円 / ドル為替レート 1 ( 月平均 右目盛 ) 9 短期金利 -. 日経平均株価円 カ月 TIBOR( 月平均 ) 1 ( 月次 :~18/5) ( 月平均 左目盛 ) ( 月次 :~18/5) -. 8 8 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 13/1 7 1/1 7 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 ( 資料 ) 米国商務省 米国労働省 中国国家統計局 韓国銀行 NESDB EUROSTAT 欧州委員会 日経 Financial-Quest ThomsonReutersDATASTREAM CEIC 18 [ 図 A-8] 1 11-3 -

B 日本経済の見通し 個人消費 18 年度前年度比 +1.1% 19 年度同 +.% 個人消費は 18 年 1-3 月期に前期比.1% となった 天候不順等により一時的に消費が押し下げられたとみられる 18 年度は 個人消費は賃金の上昇を背景に全体として緩やかな増加を見込む 19 年度は 1 月に予定する消費増税に伴い 年度前半に駆け込み需要を 年度後半に反動減を見込む 但し 前回 1 年 月の消費増税に比べれば引き上げ幅が小さく 軽減税率の適用があることから駆け込み需要と反動減は 1 年に比べ小さくなり 年度全体では底堅く推移すると見ている 一方 財政再建の停滞感が払拭されず現役世代が将来不安を強く意識するようになると 個人消費が下振れする可能性もあり注意が必要である 以上から 18 年度は前年度比 +1.1% 19 年度は同 +.% を見込む ( 前年比 %) [ 図表 B-1] 所定内賃金 3.5 一般労働者所定内給与 3..5. 1.5 1..5 パートタイム労働者時間あたり所定内給与. 15/1 1/1 17/1 18/1 ( 注 ) パートタイム労働者の時間あたり所定内給与は 所定内給与の 前年比から所定内労働時間の前年比を差し引いて求めている ( 資料 ) 厚生労働省 毎月勤労統計 ( 基準 :5) 55 5 5 [ 図表 B-3] 消費者マインド ( 基準 :5) 35 15/1 1/1 17/1 18/1 景気ウォッチャー家計動向関連 ( 現状判断 DI) 消費者態度指数 ( 右目盛 ) ( 資料 ) 内閣府 景気ウォッチャー 消費動向調査 38 3 ( 前年差 万人 ) [ 図表 B-] 雇用形態別雇用者数 その他 パート アルバイト 15 正規の職員 従業員 雇用者数 5-5 - 15/1 1/1 17/1 18/1 ( 注 ) 役員を除く その他 は 派遣社員 契約社員 嘱託など ( 資料 ) 総務省 労働力調査 ( 兆円 ) [ 図表 B-] 個人消費の推移 315 31 35 3 +.% 95 +1.1% +.9% 9 85 8 ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ 15 1 17 18 19 ( 年度 / 四半期 ) - -

住宅投資 18 年度前年度比.3% 19 年度同 +.% 住宅投資は 18 年 1-3 月期に前期比 1.8% となり 3 四半期連続で減少した 相続税対策としての貸家着工需要は一巡したとみられる 18 年度は 年度前半は上記の減少傾向が続くものの 年度後半には 19 年 1 月の消費税率引き上げを控えた駆け込み需要が着工戸数を押し上げるとみられる 19 年度は 消費税率引き上げに伴い住宅着工戸数は減少に向かうものの 年度を通して微増を見込んでいる 以上から 18 年度は前年度比.3% 19 年度は同 +.% を見込む 千 ( 千戸 季調値 ) [ 図表 B-5] 新設住宅着工戸数 持家貸家 35 分譲住宅 [ 図表 B-] 住宅投資の推移 ( 兆円 ) 17..3% 1.5.3% 3 1. 5 +.% 15.5 15. 15 15/1 7 1/1 7 ( 資料 ) 国土交通省 建築着工統計 17/1 7 18/1 1.5 ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ 15 1 17 18 19 ( 年度 / 四半期 ) 設備投資 18 年度前年度比 +.8% 19 年度同 +1.1% 設備投資は 18 年 1-3 月期に前期比 +.3% となり 四半期連続して増加した 18 年度は 設備の老朽化に伴う更新投資や 人手不足対策の一環としての省力化投資の増加を見込む 東京オリンピック パラリンピックに関連する投資も見込まれる 19 年度には 更新投資等が一巡することにより 伸び率は鈍化するとみられる 但し 企業が景気先行きに警戒感を強めれば下振れの可能性もある その要因としては米中貿易摩擦の深刻化や EU 域内での政治対立激化 米国利上げに付随した新興国からの資金流出増大等による金融市場の混乱が想定される 以上から 18 年度は前年度比 +.8% 19 年度は同 +1.1% を見込む (1 億円 ) [ 図表 B-7] 機械受注と資本財出荷 (1 年 =) [ 図表 B-8] 設備投資の推移 ( 兆円 ) 1, 13 9 機械受注 ( 船舶電力除く民需 ) 95 資本財出荷 ( 輸送用機械除く 右目盛 ) 15 9 9 1 88 85 115 +1.1% 8 8 11 +.8% 8 75 15 8 7 +3.% 5 95 8 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ ( 注 ) 季節調整値 15 1 17 18 19 ( 資料 ) 内閣府 機械受注統計 経済産業省 経済産業統計 ( 年度 / 四半期 ) - 5 -

輸出 18 年度前年度比 +.3% 19 年度同 +3.9% 輸出は 18 年 1-3 月期に前期比 +.% と 3 四半期連続で増加した 今後 海外経済が緩やかな拡大を続けることで 輸出も緩やかな増加を見込む IMF の最新の世界経済見通しによれば 18 19 年の世界経済成長率はそれぞれ前年比 +3.9% 同 +3.9% を見込んでいる 但し 世界的に保護主義の動きが強まると 日本の輸出が直接的 間接的に打撃を被るリスクがあり この点には注意が必要である 自動車など日本製品に対する米国による追加の関税引き上げは対米輸出の下押し圧力になりうる また 米中や米欧間等での報復関税措置の応酬が行われることで世界経済が停滞すれば 日本の輸出が制約される可能性がある 以上から 18 年度は前年度比 +.3% 19 年度は同 +3.9% を見込む 輸入 18 年度前年度比 +.% 19 年度同 +3.7% 輸入は 18 年 1-3 月期に前期比 +.3% と 四半期連続で増加した 今後は 個人消費や設備投資 輸出の増加に伴い 輸入も増加継続を見込む 以上から 18 年度は前年度比 +.% 19 年度は同 +3.7% を見込む (15 年 =) 13 1 [ 図表 B-9] 財別の実質輸出 中間財 (19.1) 自動車関連 (.) 情報関連 (1.3) 資本財 (17.5) ( 前年比 %) [ 図表 B-1] 世界経済の成長見通し 1 世界全体先進国途上国 8 11-9 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 ( 注 ) 凡例の () の数値は 17 年通関輸出額に占めるウェイト ( 百分比 ) ( 資料 ) 日本銀行 実質輸出入の動向 (1 年 =) [ 図表 B-11] 世界貿易量 ( 前年比 %) 18 7. 1 1 11 11 18 1 水準 前年比 ( 右目盛 ). 15/1 7 1/1 7 17/1 7 18/1 ( 注 ) 前年比は3カ月後方移動平均 ( 資料 ) オランダ経済政策統計局 CPB World Trade Monitor. 5.. 3.. 1. - 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 ( 注 ) はIMFの値 ( 年 ) ( 資料 )IMF World Economic Outlook [ 図表 B-1] 輸出の推移 ( 兆円 ) 15 +.% ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ 15 1 17 18 19 +.3% +3.9% 95 9 85 8 ( 年度 / 四半期 ) - -

公共投資 18 年度前年度比.1% 19 年度同 1.5% 公共投資は 18 年 1-3 月期は前期比.1% と 3 四半期連続して減少した 公共投資にかかる 18 年度当初予算案は 17 年度当初予算並みであるが 前年度の補正予算を加えたベースで比較すると減少しており 先行きの公共投資は緩やかに減少するとみられる 19 年 1 月の消費税率引き上げによる景気下押しを緩和するため追加の経済対策が講じられる可能性があるが 現時点では財政再建への懸念や東京オリンピック パラリンピックに向けた工事による建設業界の供給制約があるため 公共工事の大幅な増加は想定しにくい 以上から 18 年度は前年度比.1% 19 年度は同 1.5% を見込む ( 兆円 ) 1 1 1 8 [ 図表 B-13] 公共工事関連予算額 補正予算 ( 前年度分 ) 当初予算 [ 図表 B-1] 公共投資の推移.1% 1.5% ( 兆円 ) 7.5 7..5 1 3 5 7 8 9 1 11 1 13 1 15 1 17 18 ( 注 ) 補正予算は翌年度に計上 ( 資料 ) 財務省 日経 Financial Questデータベース. +1.% 5.5 5. ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣ 15 1 17 18 19 ( 年度 / 四半期 ) 消費者物価 ( 生鮮食品を除く総合 ) 18 年度前年度比 +1.% 19 年度同 +1.% 原油価格が前年比上昇し 企業物価は前年比上昇が続いている 川上の物価動向を受け 消費者物価 ( 生鮮食品を除く ) は前年比上昇が続き % 台後半の上昇率となっている 今後は 緩やかな原油価格上昇と円安が進むことに加え 国内経済も緩やかな成長が続くことから 消費者物価は前年比上昇が続くことを見込む ただし 上昇幅は小幅に留まり 期間内においては日本銀行の掲げる % の物価目標達成は困難であるとみている 以上から 18 年度は前年度比 +1.% 19 年度は同 +1.% を見込む [ 図表 B-15] 企業物価指数 ( 前年比 ) 素原材料最終財 ( 右目盛 ). 1.5 [ 図表 B-1] 消費者物価指数 ( 前年比 ) 生鮮食品 エネルギーを除く総合 総平均 ( 右目盛 ) 1..5 - -. - - -.5 生鮮食品を除く総合 - - -1. 15/1 1/1 17/1 18/1 15/1 1/1 17/1 18/1 ( 注 ) 素原材料 最終財は輸入品を含む 総平均は消費税を除くベース ( 注 ) 消費税の影響は調整済み ( 資料 ) 日本銀行 企業物価指数 ( 資料 ) 総務省 消費者物価指数 - 7 -

C 見通しにあたっての前提条件 ( 海外経済 為替 ) 米国 18 年前年比 +.7% 19 年同 +.% 景気は拡大基調が続いている 個人消費は 雇用や所得環境の改善が 伸び率を押し上げ 設備投資は法人減税を追い風に 引き続き機械投資が全体を牽引 FRB( 連邦準備理事会 ) の政策金利の利上げペースは緩やかであることから 企業部門への悪影響は限定的と 米国の保護主義的な通商政策が国内輸入物価の上昇や世界経済の減速につながり 米実体経済の下押しリスクとなる [ 図表 C-1] 米国実質 GDP 成長率 ( 前期比年率 寄与度 ) - (~18/1Q) - 15/1Q 1/1Q 1/1Q 1/1Q 純輸出政府支出民間在庫民間設備民間住宅個人消費実質 GDP ( 資料 ) 米国商務省 Bloomberg 7 5 3 1 [ 図表 C-] 小売 飲食サービス売上高 ( 四半期 前年比 ) と失業率 15/1Q 1/1Q 17/1Q 18/1Q ( 四半期 ) 小売 飲食サービス売上高 失業率 ( 資料 ) 米国商務省 Bloomberg (~18/1Q) 中国 18 年前年比 +.% 19 年同 +.3% 引き続き堅調な成長が続く見込みだが 拡大ペースは緩やかに鈍化 個人消費は 所得水準の上昇や インターネット通販による裾野拡大が下支え 一方で固定資産投資は 住宅市場の過熱抑制策や鉱工業分野の過剰生産能力の削減などから伸び率は鈍化 米国の貿易制限措置により 外需を通じた更なる景気上振れは期待しにくい状況だが 財政 金融両面の政策により 過度な下振れは回避される見通し [ 図表 C-3] 実質 GDP 成長率 8. ( 前年比 %).5 1 [ 図表 C-] 消費財小売総額 7.5 前期比 ( 右目盛 ). 1 名目 7. 1Q Q 3Q Q 1Q Q 3Q Q 1Q Q 3Q Q 1Q 1.5 8 前年比実質 (~18/1Q).5 1. (~18/5) 15/1 1/1 17/1 18/1 15 1 17 18 ( 注 )1 月は未公表のため1- 月累計値 ( 資料 )CEIC 中国国家統計局 ( 暦年 / 四半期 ) ( 資料 )CEIC 中国国家統計局 1-8 -

通関原油価格 18 年度 1 バレル =3.3 ドル 19 年度同. ドル 原油需要量は世界経済の安定した成長を背景に 緩やかな増加が続くことが見込まれる 供給面では OPEC 諸国が協調的な減産を継続しているが 原油価格の上昇に伴って 米国ではシェールオイルが増産傾向にあり 需給の緩和要因となる さらに一部には OPEC 諸国やロシアによる協調減産見直し観測もあり 上値を抑える要因となり得る 原油価格は一時的に変動が大きくなる可能性はあるものの 当面は供給量と需要量が概ね拮抗した状況が続き 均してみれば 1 バレル = ドル台を中心に推移すると見込まれる ただし 中東の地政学リスクに注意が必要である 以上から 18 年度は 1 バレル =3.3 ドル 19 年度は同. ドルを見込む ( 百万バレル / 日 ) [ 図表 C-5] 世界の原油需給 1 差分 ( 生産 - 需要 右目盛 ) 1 生産計 需要計 98 9 9 9 9 ( 同左 ) 5 88-13/1 1/1 15/1 1/1 17/1 18/1 19/1 ( 注 ) は米国エネルギー省による ( 資料 ) 米国エネルギー省 Short-Term Energy Outlook 18 年 5 月 3 1-1 供給超過 [ 図表 C-] 原油価格と投機ポジション ( ドル / バレル ) ( 万枚 ) 1 8 投機ポジション ( 右目盛 ) WTI( スポット ) ドバイ ( スポット ) 買い越し ( 週足 :~18 年 月 15 日 ) 13/1 1/1 15/1 1/1 17/1 18/1 ( 資料 )Bloomberg 円 / ドル為替レート 18 年度 1 ドル =19.8 円 19 年度同 113. 円 円 / ドル為替レートは 日米金利差拡大による緩やかな円安進行を見込む 米国では 金融政策の正常化に向けて FRB のバランスシート縮小と 政策金利の緩やかな引き上げが続けられる 一方で 日本では現状の金融政策の継続を見込むことから 日米金利差の拡大傾向は維持され 緩やかな円安ドル高を見込む 米国の金融政策 通商問題 北朝鮮などの地政学リスクに対する金融市場の思惑により 為替レートの変動が大きくなる可能性があることには注意が必要 以上から 18 年度は 1 ドル =19.8 円 19 年度は同 113. 円を見込む - 9 -

図表 D-1 経済見通し総括表 (18 年 月 ) 1-1 項目別前年比 15 年度 1 年度 17 年度 18 年度 19 年度 実質 GDP 1. 1. 1. 1.. うち内需 1.3. 1.3 1.. ( うち民需 ) 1.. 1. 1.3. ( うち公需 ) 1.1.5.9.7. 民間最終消費.8.3.9 1.1. 民間住宅投資 3.7..3.3. 需 民間設備投資.3 1. 3..8 1.1 要 民間在庫投資 - - - - - 項 政府最終消費支出 1.9.5.7 1..9 目 公的固定資本形成 1..9 1..1 1.5 財 サービスの輸出.8 3...3 3.9 ( 控除 ) 財 サービスの輸入..8.. 3.7 名目 GDP 3. 1. 1.7 1.8 1.7 GDPデフレーター 1.5..1. 1.1 1- 項目別寄与度 15 年度 1 年度 17 年度 18 年度 19 年度 実質 GDP 1. 1. 1. 1.. うち内需 1.. 1. 1.. ( うち民需 ) 1.1.3 1. 1..5 ( うち公需 ).3.1...1 うち外需.1.8... 民間最終消費.5.1.5..3 民間住宅投資.1...1. 民間設備投資...5.. 需民間在庫投資..3.1..1 要政府最終消費支出..1.1.. 項目公的固定資本形成.1..1..1 財 サーヒ スの輸出.1. 1..7.7 ( 控除 ) 財 サーヒ スの輸入.1.1..7.7 1-3 主要経済指標 15 年度 1 年度 17 年度 18 年度 19 年度 1 鉱工業生産.9 1..1 1.9 1.3 完全失業率 3.3 3..7.. 3 国内企業物価指数 3.3..7 1.3 1.9 消費者物価指数 ( 生鮮食品を除く総合 )...7 1. 1. 5 名目雇用者報酬 1.5..3. 1.9 貿易収支 ( 兆円 ).3 5.8... 7 経常収支 ( 兆円 ) 18.3 1. 1.7 1..1 8 米国実質 GDP 成長率 ( 暦年 ).9 1.5.3.7. 9 中国実質 GDP 成長率 ( 暦年 ).9.7.9..3 1 原油通関価格 ( ドル / バレル ) 9. 7.3 57.1 3.3. 11 為替レート ( 円 / ドル ) 1.1 18. 11.8 19.8 113. ( 注 1) 断りの無い限り前年比 寄与度は簡便法により計算 その合計と内訳は四捨五入等により一致しないことがある ( 注 ) 国内企業物価指数の15 年度の前年比は公表資料に記載がない為 月次データを年率換算して算出した 本資料は情報の提供を目的としており 投資勧誘を目的としたものではありません 投資判断の決定につきましては お客様ご自身の判断でなされますようにお願いいたします また 文中の情報は信頼できると思われる各種データに基づいて作成しておりますが 商工中金はその完全性 正確性を保証するものではありません - 1 -