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2.2 構造物内容 円形管 ( 泥土圧シールド工法 ) 一次覆工 2400 mm ( 194.40m ) 円形管 ( 泥土圧シールド工法 ) 一次覆工 ( 二次覆工一体型 ) 2400 mm 1061.55m 円形管 ( 泥土圧シールド工法 ) 二次覆工 2400 mm 194.40m 人孔 1 箇所 立坑 1 箇所 写真 2.2 シールドマシン 2.3 土質面の課題当該地域の地層は 粘性土 礫 砂質土からなる 本工事着手前の準備段階において追加の土質調査を行った結果 当該地域の地層に関して以下の二つの問題が浮上した 2.3.1 大径礫当初計画では 既存のボーリング調査結果から 礫の最大径を 70mm であると想定していた そこで シールドマシンは想定された礫径を 3 倍した 210mm を取り込めるよう計画していた しかし 現場着手後の追加調査結果により 地層には大径礫が多く 最大径は 250mm に及ぶことが判明した ( 写真 2.3~2.4) この結果 当初計画のシールドマシンでは スクリューコンベアが閉塞してしまうなど 不具合が出る可能性があるため マシンの設計を見直す必要が生じた 写真 2.3 礫サンプル写真 2.4 礫サンプル ( 拡大図 ) 2.3.2 流速の速い地下水今回 ボーリング孔を用いた熱量法によって 地下水の流向流速測定を行った その結果 対象層内には被圧された地下水が 1.2cm/ 分程度の流速で流れていることが確認された 砂礫層における通常の地下水が 1 10-1 ~ 1 10-2 1) cm/ 分であることを考えると 非常に流速が速いため 加泥材が流出するなど 地盤に影響を及ぼす恐れがあった ( 写真 2.5~2.6) 2

写真 2.5 地下水調査状況 写真 2.6 地下水調査状況 3. シールド線形の課題本工事では礫層をできるだけ避け 粘性土内を掘削するルートで計画されていた しかし 急激に地形及び地層構造が変化する一部区間では 礫層を急勾配 ( 105.1 ) で掘進する必要があり 安全性や工期面での対策が求められた ( 図 3.1) 図 3.1 シールド線形及び土質断面図 4. シールドマシンの変更及び安全対策前述のとおり 土質調査によって明らかになった大径礫 流速の速い地下水及び急勾配施工の 3 つの課題に対して 以下に示すシールドマシンの変更及び安全対策を行った 3

4.1 大径礫への対策 ( 1) カッタービット大径礫を掘削することによって カッタービットが想定以上に摩耗することや欠損することが考えられた そこで 当初設計よりもカッタービットを 24 箇所増設し 大径礫にも対応できるように変更した ( 写真 4.1 図 4.2) 写真 4.1 シールドマシン ( 前面 ) 図 4.2 シールドマシン ( 前面 ) ( 2) スクリューコンベア大径礫を取り込む際 スクリューコンベアが停止して 搬送作業ができなくなることが考えられた そこで スクリューコンベアの径を当初設計の 400mm から 450mm に増径して 大径礫を取り込めるようにした また 一般に掘削土砂に大径礫が含まれている場合には 軸を備えていない リボン式スクリューコンベア を使用するが これは止水性に劣っている 一方 軸付きスクリューコンベア は止水性に優れている そこで当現場のスクリューコンベアは 先端を リボン式 後端を 軸付き とすることで 大径礫の排出と止水性の両方を満足できる構造とした ( 図 4.3) ( 3) カッター支持方式上記のスクリューコンベア増径によって シールドマシン機内での作業スペースが縮小されてしまうことが懸念された そこで カッターの支持方式を当初計画の センターシャフトタイプ から 外周支持タイプ に変更することで 作業スペースを確保した ( 図 4.3) 4

外周支持タイプに変更 図 4.3 シールドマシンの変更内容 ( 側面 ) 4.2 流速の速い地下水への対策 ( 1) カッター駆動モーター流速の速い地下水への対策として 駆動能力の高いモーターに変更し 最大回転数を上げることで 掘削性能を向上させた ( 図 4.3) ( 2) 加泥材注入口流速の速い地下水によって 加泥材が流されてしまい 切羽の安定が保てず周辺地盤や家屋に影響を与えることが考えられた そこで 非常事態に備えて マシン外周やスクリューコンベア部等複数箇所から加泥材を注入できる機構として 加泥材が流された場合に迅速に追加注入できる加泥材注入口を 6 箇所増設し 計 8 箇所とした ( 図 4.4) 図 4.4 シールドマシン ( 前面 ) 加泥材注入口の増設 5

4.3 急勾配施工への対策 労働安全衛生規則第 202 条 には トンネル工事で用いられる軌条の勾配は バッテリー機関車等の動力車を使用する場合は 50/1000( 50 ) 以下とすること とされている 当現場では 105.1 の急勾配での施工であることから セグメント搬送等に使用されるバッテリー機関車の安全対策が問題となった そこで 当現場では機関車に ピンラック & ピニオン方式サーボロコ を使用した ( 写真 4.2) これは従来のサーボロコにピニオンギアを装備したものである 平坦部では通常の車輪の駆動力 急勾配部では軌条に設置したピンラックにピニオンギアが噛み込み ピニオンギアの駆動力によって牽引力とする方式であり ピンラックが逸走防止の歯止めの役割も兼ねている ( 写真 4.3) また サーボロコに浮上防止機構も装着した ピンラック上部にフランジがあり これを挟み込むように 上部に押え付け用ローラー 下部に補助板を有し 台車とピンラックが一体となることで 機械の浮上や転落を防止することも可能になっている ( 図 4.5) 後続台車についてもブレーキ機構がないため 急勾配対策を講じる必要があった 計画段階では 専属監視員を配置して 電動ウインチによる送出し方式等の検討もしたが ヒューマンエラーによる事故等が懸念された そこで安全を確実なものにするため 急勾配手前でシールド機と後続台車を切離し 後続台車を置き去りにし ホース 配管類を延長していく初期掘進方式を採用した ( 写真 4.4) 写真 4.2 サーボロコの稼働状況 写真 4.3 ピニオンギア設置状況 図 4.5 サーボロコの逸走防止及び浮上防止機構 6 写真 4.4 急勾配手前において切離した後続台車 ホース 配管類の延長部 ( 初期掘進方式掘削 )

5. おわりに今回 数々の厳しい施工条件の下で泥土圧シールド工法による施工を行った 250mm を最大径とする礫層掘進対策として カッタービットを 24 箇所増設し スクリューコンベアも増径するとともに リボン式スクリューと軸付きスクリューの複合型を採用して大径礫を取り込めるようにした また 流速の速い地下水対策として カッター駆動モーターの最大回転数を上げて掘削能力を向上させ 非常事態に備えて加泥材注入口も増設した さらに 105.1 の下り急勾配対策として ピンラック & ピニオン方式サーボロコ を使用して 逸走防止や浮上 転落防止を図った これらの対策によって 1,256m の一次覆工を完了し 平成 27 年 9 月に到達した ( 写真 5.1) 今回の事例が今後の類似工事において参考となれば幸いである 写真 5.1 シールドマシン到達状況 ( H27.9) 参考文献 1) 一般社団法人全国地質調査業協会連合会 : 機関誌 地質と調査 1990 年 7