子どもは 成長とともに徐々に友達と一緒に過ごす時間を増やしていきます そして 友達と一緒に遊んだり活動したりする中で 共に過ごす楽しさを味わうようになります その様子を見守ったり 援助したり 仲立ちしたりする保育士等の役割は重要であり 一人一人の子どもの友達への興味や関心 仲間関係などを把握する必要

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を生かした環境を構成することも求められます 3 安全で保健的な環境次に 施設などの環境整備を通して 保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること としています 子どもの健康と安全を守ることは保育所の基本的かつ重大な責任です 全職員が常に心を配り 確認を怠らず 子どもが安心 安全に過ごせる保育の環境

高松っ子いきいきプラン策定の趣旨 本プランは, 就学前の子どもが幼稚園 保育所 幼保一体化施設など, どこに在籍していても, 等しく質の高い教育 保育を受けられるよう, 各施設が積み上げてきたものを生かしつつ, 今後, 重点的に取り組むための方針や具体的な取り組みを示しています さらに小学校との連携

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7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

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13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

保育の内容の見直しを行い 改善を図ること 指導計画を作成することは子どもの生活を見通してデザインしていくことですが それは 保育の過程 という考え方で理解することができます 保育実践は子どもの生活実態を理解することから始まります そしてその生活を見通して作成した指導計画をもとに 保育を柔軟に実践して

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1 歳児の教育 保育の取り組み 登園時には保育教諭と一緒に言葉や動作で挨拶をする心地よさを感じられるようにしていきます 又 降園時にはハイタッチをし 明日も元気に登園できるようにします 絵本の読み聞かせの時間を設けることにより 絵本を見る楽しさを味わい 言葉を育みます 遊具や玩具を自由に使って遊び

1 対象児童 省略 2 児童の実態 省略 発達障害 情緒障害通級指導教室自立活動学習指導案 コミュニケーションに課題のある児童の指導 平成 30 年 11 月 6 日 ( 火 ) 第 5 校時 3 指導観これまでに通級指導教室では 落ち着いた環境の中で 精神的安定を図り 本来持っている能力を発揮し

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全身運動がなめらかになり ボールをつきながら走ったり 跳び箱を跳んだり 竹馬に乗るなど様々な運動に意欲的に挑戦するようになります 同時に細かな手の動きが一段と進み 自分のイメージしたように描いたり ダイナミックな表現とともに細やかな製作をするなど 様々な方法で様々な材料や用具を用いて工夫して表現する

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保育所保育指針

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

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第 2 第 3 第 4 食育の推進 環境及び衛生管理並びに安全管理 災害への備え 第 4 章第 1 第 2 第 3 子育ての支援子育ての支援全般に関わる事項幼保連携型認定こども園の園児の保護者に対する子育ての支援地域における子育て家庭の保護者等に対する支援 - 2 -

幼保連携型認定こども園教育・保育要領(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第1号)

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

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2 期のねらい第 9 期 (11 月 ~12 月 ) 友達と一緒に見通しやめあてをもって活動していく時期 <ねらい> 共通の目的に向かって考えを出し合ったり 協力したり工夫したりしながら遊びを進めていく 自分なりの見通しやめあてをもって遊びに取り組み 個々の力を発揮していく 季節や生活の変化に興味や

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総合的な探究の時間 は 何を 何のために学ぶ学習なのか? 総合的な探究の時間 は与えられたテーマから みなさんが自分で 課題 を見つけて調べる学習です 総合的な探究の時間 ( 総合的な学習の時間 ) には教科書がありません だから 自分で調べるべき課題を設定し 自分の力で探究学習 ( 調べ学習 )

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て子どもたちの心の育成に当たる姿勢を喪失しつつあるという指摘もある さらに 文部科学省編の 幼稚園における道徳性の芽生えを培うための事例集 を手掛かりにしながら 幼児の道徳性の芽生えと保護者の持つ道徳性の関係 また保育者の持つ道徳性と幼児の培う道徳性の関係を視野に入れ 幼児の道徳性の発達にかかわる基

61.8%

この章に示す ねらい は 第 1 章の1の (2) に示された保育の目標をより具体化したものであり 子どもが保育所において 安定した生活を送り 充実した活動ができるように 保育を通じて育みたい資質 能力を 子どもの生活する姿から捉えたものである また 内容 は ねらい を達成するために 子どもの生活

指導に当たっては, 作品に対する解釈は開かれていることから, 子供たちがそこから何を感じどのように考えたか, 子供の思いを大切にしたい そのために, 子供が自分の感じたことを進んで話したり, 友達の思いに興味を持って聞いたりできるような雰囲気づくりに努めることが大切である 自分と異なった捉え方や感じ

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幼児の実態を捉えると共に 幼児が自分たちで生活をつくり出す保育の在り方を探り 主体的 に生活する子どもを育むための教育課程及び指導計画を作成する 3 研究の計画 <1 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉える 教育課程 指導計画を見直す <2 年次 > 主体的に生活する幼児の姿を捉え その要因につ

 

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自己紹介をしよう

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

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3 児童の意識の流れ 友達の名前をおぼえよう みんなであそぼう 3 友達と名前カード を交換したよ 初めて お話できた 子がいるよ 友達が増えたよ 学校に行くのが楽しいな 他のクラスの子ともお友達になりたいな 握手すると心が あったかくなるね 学校たんけんをしよう 9 校長先生の お部屋があったよ

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いろいろな衣装を知ろう

目次 第 1 章策定の趣旨 1 第 2 章現状と課題 2 第 3 章基本理念と基本目標 4 第 4 章基本方針 6 第 5 章担い手とその役割 10 用語の定義 本指針において使用する用語の定義は以下のとおりとします 乳幼児期 生後から小学校に入る前まで 幼児期 概ね3 歳から小学校に入る前 幼児教

では 望ましい関わり方をしながら 楽しく遊ぶこができるこをねらう そのために 話合い遊びの前に モデル演示をして 使いたい キラキラカード を選択させる この段階で行う 単位時間の導入場面では 単元の見通しをもつこへの意識意欲の持続を図るために 神様からの学習内容に合わせた 友達相談する必然性 の内

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図人権教育を通して育てたい資質 能力 人権教育の指導方法等の在り方について [ 第三次とりまとめ ] をもとに作成 5

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

4 単元の指導計画 (10 時間扱い ) 時間 1 次問 (2) いをもつ 2 次調 (4) べる 3 次振 (4) り返る発信する 育てたい資質 能力 主な学習活動 内容 未来への創造 評価 地域の祭りについて話し合う グローバル化に 地域の祭りや伝承について知っていること 対応する力 を話し合う

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内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

2017 年度は 過去 年間の経験を踏まえ 以下の 5 項目を事業計画とした 認定子ども園豊中愛光幼稚園 2017 年度事業計画 (1) 豊中愛光幼稚園の質の向上に努める 1. 教育 保育の質の向上を目指して 幼児クラスの保育のあり方を再確認する 特に 幼児クラスの預かり保育時間 (1:00~18:

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第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

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5 指導の構想 H 1 8 年度中学校家庭科課題研修講座テーマ ~ 進んで生活を工夫 創造する能力と態度を育てる家庭科の授業改善 ~ 生活の自立と衣食住 の学習内容は 生徒の興味 関心も高く 学習したことがすぐに 生活に生かすことができる しかし 家族と家庭生活 の内容の中でも特に 幼児とのかかわり

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基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります 基本方針 2 児童 生徒一人ひとりに応じた学習を大切にし 確かな学力の育成を図ります (1) 基礎的 基本的な学力の定着児童 生徒一人ひとりが生きる力の基盤として 基礎的 基本的な知識や技能を習得できるよう それぞ

Transcription:

の思いやりが育つことはたいへん重要です 子どもは保育所での生活の中で 考えながら行動したり 友達と協同して遊んだりすることを通して徐々に社会性を身に付けていくのです こうした ねらい を達成するために 保育士等が援助して子どもが環境に関わって経験する事項を次の 内容 で示しています ( イ ) 内容 1 安心できる保育士等との関係の下で 身近な大人や友達に関心を持ち 模倣 して遊んだり 親しみを持って自ら関わろうとする 子どもは 特定の保育士等への安心感を基盤として 徐々に人間関係を広げていきます 人生のかなり早い時期に 自分とよく似た子どもの存在を認め 同じものを見つめたり 同じ遊具を手にしたりしながら 徐々に保育士等が仲立ちとなり 同じ動作や身振りをしたり 友達に手を伸ばしたり 笑い合ったりするようになります 友達との関わりが増えるにつれて 友達の様子を観察したり 一緒に遊ぼうとしたり また 友達のすることに関心を持ったり刺激を受けながら遊びの幅を広げていきます やがて 一緒に遊ぶことを喜び 友達と役割分担をしながら協力して遊ぶようになります こうした人間関係の広がりと深まりの基盤となるのは 常に子どもが保育士等や友達に受け入れられているという安心感と人への信頼感です 子どもは 保育士等が様々な人とより良い関係を築こうとしているその姿をよく見ています 保育士等は子どもにとって最も身近な人的環境であるとともに 子どもにとってモデルとなっていることを常に心に留めましょう 2 保育士等や友達との安定した関係の中で 共に過ごすことの喜びを味わう 66

子どもは 成長とともに徐々に友達と一緒に過ごす時間を増やしていきます そして 友達と一緒に遊んだり活動したりする中で 共に過ごす楽しさを味わうようになります その様子を見守ったり 援助したり 仲立ちしたりする保育士等の役割は重要であり 一人一人の子どもの友達への興味や関心 仲間関係などを把握する必要があります 子どもが友達の様子を観察し模倣したり 一緒に遊ぶ喜びを味わうことは 社会性の発達を促し ひいてはより豊かな人間理解へとつながっていきます また 子ども同士で遊ぶ体験を重ねることにより 創造力を発揮しながら 長時間にわたって組織的な遊びを豊かに展開していくようになります 友達や保育士等と共に過ごすことの楽しさを十分に味わうことが 乳幼児期には特に重要です 3 自分で考え 自分で行動する 子どもが生活する中で 自分なりに考え自分でやってみようとすることは 主体的に生きていく力の基礎を培う上で重要です きめ細やかな援助を受け 十分に依存したり 守られたりする経験を重ねた子どもが 安心して自己主張するようになり 自我を形成していきます そして 人との関わりの中で自分の考えや気持ちをみいだし 自ら環境に働きかけ 活動を生み出していきます 子どもは自ら行動することで 創造力を発揮したり 先の見通しを立てたり 期待や目的を持って 遊びや活動を発展させていきます そうした姿を保育士等や友達に認めてもらうことで 自分とは異なる人の気持ちに気付き その考えを聞き 更にもう一度自分で考えるようになります 子どもが 様々な遊びや活動の中で 試行錯誤を重ねながら 自分なりにじっくりと考えて行動することができるように 子どもの気持ちに寄り添って保育していくことが大切です 67

4 自分でできることは自分でする 子どもは 安心できる保育士等との関係の下で 食事や排泄など生活に必要なことを自分でしようとするようになります 子どもが自分でできることの喜びや自信を持つことができるよう援助するとともに できたことを褒めるだけではなく 自分でしようとする意欲や姿勢を十分に見守り 認めていくことが必要です 成長の途上で 子どもは自分でやりたい気持ちがかなえられず 思い通りにいかないことで泣いたり かんしゃくを起こしたりする姿も見られます 反抗しながらも大人に依存するなど 子どもの自立は一直線に進むのではなく 大人への依存と自律を繰り返し 行きつ戻りつしながら成長していくものです 子どもが自ら選択して行動できるよう 保育士等にはじっくりと待つ姿勢と発達過程への深い理解が求められます 5 友達と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う 子どもは自分と同じものに興味を示したり 同じような行動をしたり 同じ遊びをする身近な子どもの存在を やがて 友達 と理解します そして 友達と一緒に遊ぶことに喜びや楽しさをみいだし 関わりを深めていくことで仲間意識を持つようになりますが その中で反発したり 競争心を持ったり 複雑な感情を経験します けんかをしたり 自己主張し合うことも多くなりますが 共に過ごす中で徐々に互いの気持ちに気付いたり 相手の感情を理解していきます 嬉しいときや悲しいときに 共に喜んだり 共に悲しんだりしてくれる友達の存在は子どもにとって心の支えとなります 子どもは友達とやり取りを重ねる中で 友達の喜びや悲しみに気付き 他者を思いやる気持ちを育んでいきます 68

6 自分の思ったことを相手に伝え 相手の思っていることに気付く 子どもは 保育士等や友達との安定した関係が築かれることにより 自分のしたいこと して欲しいことを主張するようになります 相手に自分の思いをぶつけ その気持ちが受け入れられたり 受け入れられなかったりする経験を経て 徐々に 相手にも分かるように話したり 相手の言うことを理解しようとするようになります また 遊びを楽しくする上で互いに合意することが大切だと気付いたり 対話を通してどうすることがよいのかを考えたりしていきます 子どもは 自己主張し合うなかから 自己抑制することを少しずつ体得していくのです 子どもは共に遊んだり 生活したりする中で 相手の気持ちを理解するだけでなく 相手に分かるように話すにはどうすればよいかを考えていきます 保育士等の言動は子どもが他者と関わる際のモデルになったり 他者と関わるきっかけとなったりすることに留意することも大切です 7 友達の良さに気付き 一緒に活動する楽しさを味わう 子どもは様々な友達と遊ぶ中で 自分とは異なる思いや感情を持つ友達の存在に気付き 徐々にそれぞれの友達の良いところを知っていきます 友達の得意な遊びや性格 特徴など 自分と違う友達の個性を認めて様々な感情を抱くようになります そして 人は皆違いがあり 違っていて良いことを実体験として感じ取っていくのです また 遊びや活動に取り組むプロセスで 様々に自己主張したり アイデアを出し合ったり 友達の考えや気持ちに耳を傾ける経験を通して 友達の良さに気付き 相互理解を図っていきます 保育士等は それぞれの良さを十分に認め そのことを子どもたちに伝えながら 一緒に活動する楽しさを味わえるようにしていきます 69

8 友達と一緒に活動する中で 共通の目的を見いだし 協力して物事をやり遂 げようとする気持ちを持つ 子どもは幼い頃から友達の存在を気にかけ 次第に同じ遊具で遊んだり 顔を見合わせて笑ったり 名前を呼び合ったりします そして ままごとなどのごっこ遊びを楽しんだり 言葉を交わしながら様々な活動に一緒に取り組んでいくようになります また 子どもは徐々に目標や期待を持って活動するようになりますが 失敗を恐れて活動することをためらったり 試行錯誤する中 やり続ける気持ちが途中で衰えてしまったりすることもあります そうした気持ちを 保育士等が敏感に感じ取り 子どもの気持ちを認め 励ますとともに 子ども自身が友達との関わりの中で意欲を高めていくことが大切です 途中であきらめず 友達と一緒に達成感や充実感を味わうことを通して 子どもは物事を最後までやり遂げようとする集中力や持続力を培っていきます 友達と活動する中で 共通の目的をみいだしたり 一緒に遊ぶ中で協力して遊びを発展させたり 子ども同士が力を合わせ取り組んでいく姿を保育士等は十分に認め 集団での活動が意義あるものとなるようにしていきます 9 良いことや悪いことがあることに気付き 考えながら行動する 子どもは 自分や友達のしたことに対して 周りの大人や友達が様々に対応する姿やその言動により 物事には良いことや悪いことがあることに気付いていきます 特に 保育士等が自分の行動を受け入れたかどうかに基づいて 自分のしたことが良いことだったのか 悪いことだったのかを判断しようとすることがあります 保育士等は子ども自身が気付き 考えていく過程を見守るとともに 適宜 良いこと 悪いことを明確に示すことが必要です 子どもは 保育士等の適切な援助を受けることで 相手の内面にも徐々に 70

注意を向けることができるようになります 自分の行動が相手にどのように受け止められたかについて子ども自身が考えられるような働きかけが必要です また 子どもが様々な感情を味わいながら 自分で考え判断していく経験を積み重ねていくことができるよう援助していくことが重要です 10 身近な友達との関わりを深めるとともに 異年齢の友達など 様々な友達と 関わり 思いやりや親しみを持つ 保育所は 0 歳から6 歳までの子どもが 共に生活しているところです 興味や関心の似通っている同年齢の子ども同士の関わりでは 自分の気持ちや欲求を出し合い 様々な遊びをつくり上げていきます また そうした活動を通して 友達との関わりを深めていきます 自分より年下の子どもに対しては 生活や遊びの様々な場面で手助けをしたり気持ちを汲んで慰めたり優しい言葉をかけたりするなど 思いやりの気持ちを持ったり 態度で示したりします また 年上の子どもに対しては 大きくなることの喜びやあこがれを持ち 自分が困っている時などに優しくされた経験があると 年下の子どもに同じように優しくしてあげようという気持ちを持つことでしょう このように 保育所の生活において 子どもは異年齢の子どもとの関わりを通して様々な感情を経験し 自分とは異なる存在を受け止めていきます 保育士等は このような経験が相互によいものとなるように 環境を設定したり 異年齢での活動を積極的に取り入れていくことが大切です 11 友達と楽しく生活する中で決まりの大切さに気付き 守ろうとする 保育所の生活の様々な場面には 順番を待つなど 生活や遊びをスムーズにするための決まりやルールがあります 子どもはまず 保育士等の関わりや言葉がけにより このような決まりの存在に気付きます また 保育士等に助けられて決まりの意味を理解したり 71

していきます 年齢が高くなるにしたがい 友達と一緒に簡単なルールのある遊びを楽しむ中で 次第に決まりを守ることができるようになります また自分と友達の欲求や思いがぶつかりあった時には 決まりに従うことで解決に結びつきやすいことにも気付いていきます 保育士等は 状況をよく把握しながら 子どもたち自身が様々な感情を表しながら ルールを作ったり ルールを変えたりなど仲間の中で調整したり 工夫したりする姿を見守り 必要に応じて援助します 子どもはこうした子ども同士のやり取りや集団での活動の中で 徐々に規範意識を身に付けていくのです 12 共同の遊具や用具を大切にし みんなで使う 保育所の中には 友達や仲間と共に使うものがたくさんあります 保育士等と共に遊具を使って楽しく遊ぶ経験をしたり 物の名前や役割を知ったりする中で 遊具などに親しみ それらが自分にとって大事なものになっていきます 遊具などに愛着を持ち 大切に取り扱う保育士等の姿は子どもにも伝わることでしょう また 子どもは友達と共に一つの遊具で遊んだり みんなで使って遊ぶ楽しさを味わったりすることを通して 遊具が遊びをおもしろくすることやその活用の仕方を理解していきます 保育士等は遊具や用具を介して子どもの遊びや生活が広がり 友達との関わりが深まっていくことにも留意し そうした中で共同のものを大切にしようとする気持ちや態度が育まれていくよう環境を整えていきます 13 高齢者を始め地域の人々など自分の生活に関係の深いいろいろな人に親し みを持つ 都市化や核家族化が進行する中 世代間の交流が乏しくなった現代では 72

子どもが高齢者などと触れ合う機会が少なくなっています こうした状況の中で 保育所に高齢者や地域の方を招き 伝承遊びを教えてもらったり 昔話を語ってもらったり 伝統芸能などを披露してもらったりすることは 人に対する親しみや感謝の気持ちを育む上で 重要な機会です こうした人々との触れ合いを通し 子どもが様々な文化に出会い 興味や関心を持ったり 自分の家族や身近な人のことを考えたりするきっかけとなることも大切でしょう また 子どもは 散歩などの機会に地域の人と挨拶を交わしたり 地域の高齢者施設などを訪れたりする中で 人への関心を深め 人は周囲の人と関わり 支え合いながら生きていることに気付いていきます 14 外国人など 自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ 異なる文化を持つ人々の存在は 近年 ますます身近になってきています 保育所においても 多くの外国籍の子どもや様々な文化を持つ子どもたちが 一緒に生活しています 保育士等は 一人一人の子どもの状態や家庭の状況などに十分配慮するとともに それぞれの文化を尊重しながら適切に援助することが求められます また 子どもが一人一人の違いを認めながら 共に過ごすことを楽しめるようにしていきます 保育所の生活の中で 様々な国の遊びや歌などを取り入れたり 地球儀や世界地図を置いたり 簡単な外国語の言葉を紹介していくことも 子どもが様々な文化に親しむ上で大切なことです 異なる文化を持つ人との関わりを深めていくことは子どもだけでなく保育士等にとっても重要であり 多文化共生の保育を子どもや保護者と共に実践していきたいものです ウ環境 周囲の様々な環境に好奇心や探究心を持って関わり それらを生活に取り入 73