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情報の開示を求める事案である 1 前提となる事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) 当事者 ア原告は, 国内及び海外向けのモバイルゲームサービスの提供等を業とす る株式会社である ( 甲 1の2) イ被告は, 電気通信事業を営む株式会社である

最高裁○○第000100号

被告に対し, 著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償として損害額の内金 800 万円及びこれに対する不法行為の後の日又は不法行為の日である平成 26 年 1 月 日から支払済みまで年 % の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である 1 判断の基礎となる事実 ( 当事者間に争いのない事実又は後掲の各

( 以下 プロバイダ責任制限法 という )4 条 1 項に基づき, 被告が保有する発信者情報の開示を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実並びに後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実 ) (1) 当事者 原告は, 肩書地に居住する者である ( 甲 1) 被告は,

平成 30 年 10 月 26 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 9 月 28 日 判 決 5 原告 X 同訴訟代理人弁護士 上 岡 弘 明 被 告 G M O ペパボ株式会社 同訴訟代理人弁護士

第 2 事案の概要本件は, 原告が, 被告に対し, 氏名不詳者が被告の提供するインターネット接続サービスを利用して, インターネット上の動画共有サイトに原告が著作権を有する動画のデータをアップロードした行為により原告の公衆送信権 ( 著作権法 23 条 1 項 ) が侵害されたと主張して, 特定電気

1 本件は, 別紙 2 著作物目録記載の映画の著作物 ( 以下 本件著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 以下 本件投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイト FC2 動画 ( 以下 本件サイト という )

平成 28 年 4 月 28 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 3 月 22 日 判 決 原 告 A 同訴訟代理人弁護士 松 村 光 晃 中 村 秀 一 屋 宮 昇 太 被告株式会社朝日新聞社 同訴訟代

平成 28 年 4 月 21 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 27 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 28 年 2 月 25 日 判 決 原告株式会社 C A 同訴訟代理人弁護士 竹 村 公 利 佐 藤 裕 紀 岡 本 順 一 石 塚 司 塚 松 卓

平成 29 年 2 月 20 日判決言渡同日原本交付裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 29 年 2 月 7 日 判 決 原 告 マイクロソフトコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 村 本 武 志 同 櫛 田 博 之 被 告 P1 主 文

応して 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の著作権者であると主張する原告が, 氏名不詳者 ( 後述する本件各動画の番号に対応して, 本件投稿者 1 などといい, 併せて 本件各投稿者 という ) が被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェ

最高裁○○第000100号

原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから, 同行為により原告の著作権 ( 複製権及び公衆送信権 ) 及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律 ( 以下 プ ロ

年 10 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 3 被控訴人 Y1 は, 控訴人に対し,100 万円及びこれに対する平成 24 年 1 0 月 18 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 4 被控訴人有限会社シーエムシー リサーチ ( 以下 被控訴人リサーチ

最高裁○○第000100号

事実 ) ⑴ 当事者原告は, 昭和 9 年 4 月から昭和 63 年 6 月までの間, 被告に雇用されていた ⑵ 本件特許 被告は, 次の内容により特定される本件特許の出願人であり, 特許権者であった ( 甲 1ないし4, 弁論の全趣旨 ) 特許番号特許第 号登録日平成 11 年 1

並びにそのコンサルタント業務等を営む株式会社である ⑵ 株式会社 CAは, 別紙著作物目録記載 1ないし3の映像作品 ( 以下 本件著作物 1 などといい, 併せて 本件各著作物 という ) の製作に発意と責任を有する映画製作者 ( 著作権法 2 条 1 項 号 ) であるところ, 本件各著作物の著

とは, 原告に対する名誉毀損に該当するものであると主張して, 不法行為に基づき400 万円の損害賠償及びこれに対する不法行為日以降の日である平成 24 年 9 月 29 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いがないか,

平成  年 月 日判決言渡し 同日判決原本領収 裁判所書記官

平成 30 年 6 月 15 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 30 年 ( ワ ) 第 5939 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 5 月 9 日 判 決 5 当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主 文 1 被告は, 別紙対象目録の 原告 欄記載の各原告に対し,

被告は,A 大学 C 学部英語専攻の学生である (2) 本件投稿等被告は, 大学 2 年生として受講していた平成 26 年 4 月 14 日の 言語学の基礎 の初回講義 ( 以下 本件講義 という ) において, 原告が 阪神タイガースがリーグ優勝した場合は, 恩赦を発令する また日本シリーズを制覇

1 前提となる事実等 ( 証拠の摘示のない事実は, 争いのない事実又は弁論の全趣旨から容易に認められる事実である ) (1) 当事者原告は, X1 の名称を使用してウエブサイトの制作請負を行っている者であり, 被告は, 不動産業を主な業務としている特例有限会社である (2) 原告によるプログラムの制

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指定商品とする書換登録がされたものである ( 甲 15,17) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平成 21 年 4 月 21 日, 本件商標がその指定商品について, 継続して3 年以上日本国内において商標権者, 専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないことをもって, 不使用に

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

平成 31 年 1 月 29 日判決言渡平成 30 年 ( ネ ) 第 号商標権侵害行為差止等請求控訴事件 ( 原審東京地方裁判所平成 29 年 ( ワ ) 第 号 ) 口頭弁論終結日平成 30 年 12 月 5 日 判 決 控訴人 ジー エス エフ ケー シ ー ピー株式会

(1) 本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団である控訴人が, 被控訴人が企画, 編集した本件雑誌中に掲載された本件各記事において WDSC の表示を一審被告 A( 以下, 一審被告 A という )

インターネット上の誹謗中傷対応の基礎(Web公開用)

めた事案である 1 前提事実 ( 当事者間に争いのない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実 ) (1) 当事者ア原告は, 映画プロデューサーである ( 甲 1,2) イ被告は, 新聞社であり, ウェブサイト 朝日新聞デジタルAJW を運営するものである (2) 原告の著

告ツイッタージャパンの間では全て原告の負担とする 事実及び理由 第 1 請求 ( 主位的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 1) 記載の各情報を開示せよ ( 予備的請求 ) 被告らは, 原告に対し, 別紙発信者情報目録 ( 第 2) 記載の各情報を開示せよ 第 2 事案の

第 2 事案の概要本件は, レコード製作会社である原告らが, 自らの製作に係るレコードについて送信可能化権を有するところ, 氏名不詳者において, 当該レコードに収録された楽曲を無断で複製してコンピュータ内の記録媒体に記録 蔵置し, イン ターネット接続プロバイダ事業を行っている被告の提供するインター

最高裁○○第000100号

に表現したものということはできない イ原告キャッチフレーズ1は, 音楽を聞くように英語を聞き流すだけ/ 英語がどんどん好きになる というものであり,17 文字の第 1 文と12 文字の第 2 文からなるものであるが, いずれもありふれた言葉の組合せであり, それぞれの文章を単独で見ても,2 文の組合

する 理 由 第 1 事案の概要 1 本件は, 平成 21 年 ( 受 ) 第 602 号被上告人 同第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X1 という ) 及び平成 21 年 ( 受 ) 第 603 号上告人 ( 以下 1 審原告 X 2 といい,1 審原告 X 1と1 審原告 X 2を併せ

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は, 歯科医師らによる自主学習グループであり, WDSC の表示を使用して歯科治療技術の勉強会を主催する活動等を行っている法人格なき社団であ る原告が, 被告株式会社シーエム ( 以下 被告シーエム という ) が企画, 編集

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平成 23 年 10 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 23 年 9 月 29 日 判 決 原 告 X 同訴訟代理人弁護士 佐 藤 興 治 郎 金 成 有 祐 被 告 Y 同訴訟代理人弁理士 須 田 篤

上陸不許可処分取消し請求事件 平成21年7月24日 事件番号:平成21(行ウ)123 東京地方裁判所 民事第38部

2 被控訴人らは, 控訴人に対し, 連帯して,1000 万円及びこれに対する平成 27 年 9 月 12 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要 ( 以下, 略称及び略称の意味は, 特に断らない限り, 原判決に従う ) 1 本件は, 本件意匠の意匠権者である控訴人が

事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人は, 原判決別紙被告方法目録記載のサービスを実施してはならない 3 被控訴人は, 前項のサービスのために用いる電話番号使用状況調査用コンピュータ及び電話番号使用状況履歴データが記録された記録媒体 ( マスター記録媒体及びマスター記録

平成  年(オ)第  号

平成 30 年 3 月 29 日判決言渡同日原本受領裁判所書記官 平成 28 年 ( ワ ) 第 号損害賠償請求事件 口頭弁論終結日平成 30 年 3 月 9 日 判 決 5 原告株式会社フィールドアロー 同訴訟代理人弁護士 青 山 友 和 被 告 ソ メ ヤ 株 式 会 社 同訴訟代理

ものであった また, 本件規則には, 貸付けの要件として, 当該資金の借入れにつき漁業協同組合の理事会において議決されていることが定められていた (3) 東洋町公告式条例 ( 昭和 34 年東洋町条例第 1 号 )3 条,2 条 2 項には, 規則の公布は, 同条例の定める7か所の掲示場に掲示して行

原告は, 被告に対し, 万円及びこれに対する平成 29 年 3 月 1 日から支払済みまで年 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要本件は,1 原告が, 自らの作成に係る別紙 1( 甲 12の1 以下 本件本体部 分 という ) 及び別紙 2( 甲 12 の 2 以下 本件ライブラリ部分 と

(イ係)

判決【】

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

7 という ) が定める場合に該当しないとして却下処分 ( 以下 本件処分 という ) を受けたため, 被控訴人に対し, 厚年法施行令 3 条の12の7が上記改定請求の期間を第 1 号改定者及び第 2 号改定者の一方が死亡した日から起算して1 月以内に限定しているのは, 厚年法 78 条の12による

平成 27 年 2 月までに, 第 1 審原告に対し, 労働者災害補償保険法 ( 以下 労災保険法 という ) に基づく給付 ( 以下 労災保険給付 という ) として, 療養補償給付, 休業補償給付及び障害補償給付を行った このことから, 本件事故に係る第 1 審原告の第 1 審被告に対する自賠法

丙は 平成 12 年 7 月 27 日に死亡し 同人の相続が開始した ( 以下 この相続を 本件相続 という ) 本件相続に係る共同相続人は 原告ら及び丁の3 名である (3) 相続税の申告原告らは 法定の申告期限内に 武蔵府中税務署長に対し 相続税法 ( 平成 15 年法律第 8 号による改正前の

平成 25 年 3 月 25 日判決言渡 平成 24 年 ( 行ケ ) 第 号審決取消請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 2 月 25 日 判 決 原 告 株式会社ノバレーゼ 訴訟代理人弁理士 橘 和 之 被 告 常磐興産株式会社 訴訟代理人弁護士 工 藤 舜 達 同 前 川 紀 光

発信者情報開示関係WGガイドライン

平成22年5月12日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成  年(オ)第  号

同目録記載の番号により 本件著作物 1, 本件著作物 2 といい, 本件著作物 1 及び本件著作物 2を併せて 本件各著作物 という ) の著作権を有する株式会社 CAを吸収合併し, 同社の権利義務を承継したところ, 被告が本件各著作物のデータを動画共有サイトのサーバー上にアップロードした行為が公衆

任の下に表現され 掲載されるものであり ブログ投稿ユーザーは掲載した情報の信頼性 真実性 正確性 妥当性 適法性 完全性を当社及びブログ投稿ユーザーを含む閲覧ユーザー並びにあらゆる第三者に対して保証するものとします なお 当社は これらについて何ら保証するものではなく また 掲載された情報等が本規約

求めるなどしている事案である 2 原審の確定した事実関係の概要等は, 次のとおりである (1) 上告人は, 不動産賃貸業等を目的とする株式会社であり, 被上告会社は, 総合コンサルティング業等を目的とする会社である 被上告人 Y 3 は, 平成 19 年当時, パソコンの解体業務の受託等を目的とする

 

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淡路町知財研究会 (松宮ゼミ)

た損害賠償金 2 0 万円及びこれに対する遅延損害金 6 3 万 9 円の合計 3 3 万 9 6 円 ( 以下 本件損害賠償金 J という ) を支払 った エなお, 明和地所は, 平成 2 0 年 5 月 1 6 日, 国立市に対し, 本件損害賠償 金と同額の 3 3 万 9 6 円の寄附 (

本教材の利用について 本教材は 平成 28 年度特許庁産業財産権制度問題調査研究 デザインの創作活動の特性に応じた実践的な知的財産権制度の知識修得の在り方に関する調査研究 ( 請負先 : 国立大学法人大阪大学知的財産センター ) に基づき作成したものです 本教材の著作権は 第三者に権利があることを表

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次のように補正するほかは, 原判決の事実及び理由中の第 2に記載のとおりであるから, これを引用する 1 原判決 3 頁 20 行目の次に行を改めて次のように加える 原審は, 控訴人の請求をいずれも理由がないとして棄却した これに対し, 控訴人が控訴をした 2 原判決 11 頁 5 行目から6 行目

達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

令和元年 6 月 20 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官 平成 31 年 ( ワ ) 第 2629 号発信者情報開示請求事件 口頭弁論終結日平成 31 年 4 月 16 日 判 決 5 原告日本コロムビア株式会社 原告株式会社バンダイナムコアーツ 10 原告キングレコード株式会社 原告ら訴訟代理人

ア原告は, 平成 26 年 12 月 26 日に設立された, 電気機械器具の研究及び開発等を目的とする株式会社である イ合併前会社ワイラン インクは, 平成 4 年 (1992 年 ) に設立された, カナダ法人である 同社は, 平成 29 年 (2017 年 )6 月 1 日付けで, 他のカナダ法

権 ) を侵害するとともに, 原告をプロデューサーとして表示しない点及び劇場用映画として制作された本件映画をインターネットで公表する点において, 本件映画につき原告が有する著作者人格権 ( 氏名表示権及び公表権 ) を侵害する行為であり, 被告が今後本件映画を上映, 複製, 公衆送信若しくは送信可能

定している (2) 通達等の定めア 生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について ( 昭和 29 年社発第 382 号厚生省社会局長通知 以下 昭和 29 年通知 という 乙 1) は, 一項本文において, 生活保護法第 1 条により, 外国人は法の適用対象とならないのであるが, 当分の間,

平成  年(行ツ)第  号

Microsoft Word - シャトルロック利用規約+個人情報の取扱いについてver4-1.docx

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

主 文 1 本件控訴をいずれも棄却する 2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由 第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人 P3 及び被控訴人会社は, 大阪府内, 兵庫県内, 京都府内, 滋賀県内及び和歌山県内において, 千鳥屋という名称を使用して菓子類を販売してはならない

(2) 訴訟費用は 被告らの負担とする 2 被告国 (1) 本案前の答弁ア原告の被告国に対する訴えを却下する イ上記訴えに係る訴訟費用は 原告の負担とする (2) 被告国は 本案について 原告の被告国に対する請求を棄却する旨の裁判を求めるものと解する 3 被告 Y1 市 (1) 本案前の答弁ア原告の

平成年月日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

( 登録の審査及び登録 ) 第 7 条市長は, 前条の規定による申請を受けたときは, 第 5 条に規定する登録の要件を満たしていることを確認の上, 届出のあった情報を登録するものとする ( 登録情報の利用 ) 第 8 条市長は, 次に掲げる事由に該当するときは, 市民等の生涯学習活動を促進し, 又は

第 1 控訴の趣旨 控訴人は, 原判決取消しとともに, 被控訴人らの請求をいずれも棄却する判決を 求めた 第 2 事案の概要 被控訴人らは日本舞踊の普及等の事業活動をしている 控訴人はその事業活動に 一般社団法人花柳流花柳会 の名称 ( 控訴人名称 ) を使用している 被控訴人ら は, 花柳流 及び

☆ソフトウェア特許判例紹介☆ -第31号-

Unit1 権利能力等, 制限行為能力者 ( 未成年 ) 1 未成年者が婚姻をしたときは, その未成年者は, 婚姻後にした法律行為を未成年であることを理由として取り消すことはできない (H エ ) 2 未成年者が法定代理人の同意を得ないで贈与を受けた場合において, その贈与契約が負担付の

税研Webセミナー利用規約

2 控訴費用は, 控訴人らの負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 被控訴人株式会社バイオセレンタック, 同 Y1 及び同 Y2は, 控訴人コスメディ製薬株式会社に対し, 各自 2200 万円及びこれに対する平成 27 年 12 月 1 日から支払済みまで年 5 分の割

なお, 基本事件被告に対し, 訴状や上記移送決定の送達はされていない 2 関係法令の定め (1) 道路法ア道路管理者は, 他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については, その必要を生じた限度において, 他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

併等の前後を通じて 上告人ら という 同様に, 上告人 X1 銀行についても, 合併等の前後を通じて 上告人 X1 銀行 という ) との間で, 上告人らを債券の管理会社として, また, 本件第 5 回債券から本件第 7 回債券までにつき上告人 X1 銀行との間で, 同上告人を債券の管理会社として,

ない 4 訴訟費用は, 第 1,2 審とも被控訴人の負担とする 第 2 事案の概要 1 事案の要旨本件は, 原判決別紙 商標権目録 記載の商標権を有する控訴人が, 被控訴人に対し, 被控訴人が原判決別紙 被告標章目録 記載の標章をインターネットホームページのサイトで使用する行為が, 控訴人の商標権を

政令で定める障害の程度に該当するものであるときは, その者の請求に基づき, 公害健康被害認定審査会の意見を聴いて, その障害の程度に応じた支給をする旨を定めている (2) 公健法 13 条 1 項は, 補償給付を受けることができる者に対し, 同一の事由について, 損害の塡補がされた場合 ( 同法 1

従業員 Aは, 平成 21 年から平成 22 年にかけて, 発注会社の課長の職にあり, 上記事業場内にある発注会社の事務所等で就労していた (2) 上告人は, 自社とその子会社である発注会社及び勤務先会社等とでグループ会社 ( 以下 本件グループ会社 という ) を構成する株式会社であり, 法令等の

により容易に認められる事実 ) (1) 当事者等ア原告は,Aの子である イ Aは, 大正 年 月 日生まれの男性であり, 厚生年金保険の被保険者であったが, 平成 年 月 日, 死亡した ( 甲 1) (2) 老齢通算年金の受給 Aは, 昭和 年 月に60 歳に達し, 国民年金の納付済期間である18

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選挙運動FAQ

審決取消判決の拘束力

1 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されている不動産については, 当該価格により当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を決定するものとする旨を定め, 同条 2 項で, 道府県知事は, 固定資産課税台帳に固定資産の価格が登録されていない不動産又は当該固定資産

である旨の証券取引等監視委員会の指導を受け, 過年度の会計処理の訂正をした 本件は, 本件事業年度の法人税について, 控訴人が, 上記のとおり, その前提とした会計処理を訂正したことにより, 同年度の法人税の確定申告 ( 以下 本件確定申告 という ) に係る確定申告書の提出により納付すべき税額が過

5. 当社は 会員に対する事前の通知を行うことなく 本規約を変更できるものとします この場合 本サービスの提供等については 変更後の規約が適用されるものとします 6. 前項の場合 当社は変更前に又は変更後遅滞なく 変更後の本規約を本サイト上にて告知するものとします 第 4 条 ( 本サービスの利用料

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4 年 7 月 31 日に登録出願され, 第 42 類 電子計算機のプログラムの設計 作成 又は保守 ( 以下 本件役務 という ) を含む商標登録原簿に記載の役務を指定役 務として, 平成 9 年 5 月 9 日に設定登録されたものである ( 甲 1,2) 2 特許庁における手続の経緯原告は, 平

職選挙法等の改正により一部改められたものの,1 人別枠方式は維持されたまま, 衆議院が解散され, 選挙区割りの未了を理由に, 従前の選挙区割りに基づいて本件選挙を施行するものとされたことにより, 投票価値の平等が害されたまま投票を行わざるを得ないという重大な損害を被ることとなったのであり, 憲法違反

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平成 25 年 6 月 20 日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官 平成 23 年 ( ワ ) 第 15245 号損害賠償等請求事件 口頭弁論終結日平成 25 年 4 月 18 日 判 決 原 告 P 1 被 告 株式会社ソシオコーポレーション 同訴訟代理人弁護士 平 野 耕 司 同 山 崎 哲 同 渡 邊 清 朗 同 近 藤 美 紀 同 楠 純 一 同 高 橋 雅 喜 同 田 畑 哲 同 古 川 亮 主 文 1 原告の請求をいずれも棄却する 2 訴訟費用は原告の負担とする 事実及び理由第 1 請求 1 被告は, 原告に対し, 被告の運営するロケットニュース24に掲載された別紙記事記載の記事及び同記事に付された別紙コメント覧記載の書き込みを削除せよ 2 被告は, 原告に対し, 別紙謝罪文 1 及び別紙謝罪文 2 記載の各謝罪文を, 前項のロケットニュース24のウェブサイトのトップページ上にて, 最上部及び最下部のバナー広告欄 (468x60,300x250) に, 白黒で6 日間掲載せよ - 1 -

3 被告は, 原告に対し,60 万円及びこれに対する平成 23 年 6 月 9 日から支払済みまで年 5 分の割合による金員を支払え 第 2 事案の概要原告は, 被告において, 原告が著作者である動画を, 自社の運営する ロケットニュース24 と称するウェブサイト( 以下 本件ウェブサイト という ) に無断で掲載し, これに原告を誹謗中傷する別紙記事記載の記事 ( 以下 本件記事 という ) を掲載し, さらに本件記事下部のコメント欄に, 読者をして原告を誹謗中傷する別紙コメント欄記載の書き込み ( 以下 本件コメント欄記載 という ) をさせ, これを削除しなかったことが, 原告の名誉を毀損するとともに, 原告の著作権 ( 公衆送信権 ) 及び著作者人格権 ( 公表権, 氏名表示権 ) を侵害するものであるとして, 被告に対し, 名誉権に基づき, 本件ウェブサイトに掲載された本件記事及び本件コメント欄記載の削除を求めると共に, 著作権及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく名誉回復措置として別紙謝罪文 1 記載の謝罪文を, 名誉毀損の不法行為に基づく名誉回復措置として別紙謝罪文 2 記載の謝罪文を, 本件ウェブサイトに掲載するよう求めている また, あわせて原告は, 主位的に, 著作権及び著作者人格権侵害の不法行為に基づく損害賠償の一部として30 万円及びこれに対する損害発生日である平成 23 年 6 月 9 日から支払済みまで民法所定の年 5 分の割合による遅延損害金並びに名誉毀損の不法行為に基づく損害賠償の一部として30 万円及びこれに対する前記起算日から前記割合による遅延損害金を請求し, 予備的に, 被告の上記行為は, 原告の肖像権を侵害するとして, 被告に対し, 肖像権侵害の不法行為に基づく損害賠償の一部として10 万円及びこれに対する前記起算日から前記割合による遅延損害金並びに名誉毀損の不法行為に基づく損害賠償の一部として50 万円及びこれに対する前記起算日から前記割合による遅延損害金を請求している - 2 -

1 判断の基礎となる事実以下の各事実は当事者間に争いがないか, 掲記の各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる ( 証拠の記載のない事実は当事者間に争いがない ) (1) 当事者原告は, 平成 23 年 6 月当時, 株式会社ニワンゴ ( 以下 ニワンゴ という ) が提供するインターネット上の動画共有などのサービス ( 平成 2 4 年 5 月以降 niconico と総称されるが, 当時は ニコニコ動画 と総称されていた 乙 2) のニコニコプレミアム会員として, 後記 ニコニコ生放送 による動画のライブストリーミング配信 ( テレビ番組におけるいわゆる生放送と同様, 即時的な動画配信のことである ) 等を行っていた 被告は, 情報提供サービスなどを目的とする株式会社であり, 様々なニュース等をとりまとめ, これに見出しと記事を加え, 読者がコメントを投稿することのできるサービスとして, 本件ウェブサイトを運営管理している ニワンゴが niconico において提供するサービスには, ウェブサイト上で動画を共有してこれにコメントを付すことのできる ニコニコ動画, ライブストリーミング配信される動画を視聴することができる ニコニコ生放送 などがある ニコニコ生放送 に配信される動画は, niconico( 平成 23 年 6 月当時はニコニコ動画 ) の会員のみ視聴することができ, 有料のニコニコプレミアム会員は, 自ら ニコニコ生放送 でライブストリーミング配信をすることもできる また, niconico では, タイムシフト機能 と称して, 前記ライブストリーミング配信終了後も, 一定期間, ニコニコ生放送 の内容を視聴し得るサービスを提供している (2) 被告による本件ウェブサイトへの本件記事の掲載等 ( 甲 1,3,4, - 3 -

6,7) 原告は, 平成 23 年 6 月 5 日, カメラ等を持参し, 自身が上半身に着衣をせず ( 頭に猫耳状の飾りと首に首輪状の飾りのみ ), 大阪市内のマクドナルド店に入店する模様や, 原告自身が店員や警察官と対応する様子等を撮影し, これを動画として, ニコニコ生放送 にライブストリーミング配信した ( 以下 本件生放送 という ) 原告以外の第三者( 特定されていない ) は, 本件生放送のうち, 原告がマクドナルドに入店する直前から, 駆けつけた警察官と共に交番へ赴き, 注意を受けるまでの約 15 分間の部分 ( 以下 本件動画 という ) を, 動画共有サイト ニコニコ動画 にアップロードし ( 本件生放送又は前記タイムシフト機能によって配信された内容を第三者が録画した上, ニコニコ動画 にアップロードしたものと推測される ), 同サイトへアクセスした者であれば, いつでも視聴し得るようにした 本件動画内での原告などの発言内容は, 別紙本件動画内発言記載のとおりである ( 発言者の明示がないものは原告の発言 ) 被告は, 本件動画に着目し, 同月 9 日, 本件ウェブサイト内に別紙記事記載の記事 ( 以下 本件記事 という ) を掲載するとともに, ニコニコ動画 上の本件動画に付されていた引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力して, 本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックすると, 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にし, 本件記事の末尾に, 参照元: ニコニコ動画 と記載した (3) その後の経過 ( 甲 5, 乙 1) 本件記事の下部には, パソコン等の端末から誰でもコメントを書き込むことができるコメント欄があり, 平成 23 年 6 月 9 日から同年 8 月 1 日まで, 本件動画又は本件記事に対し, 本件コメント欄記載の書き込みがあった - 4 -

平成 23 年 6 月 27 日, 原告が, 被告に対し, 本件動画を本件ウェブサイト上で視聴できる状態にしたことは, 原告の著作権及び肖像権を侵害するとして抗議したところ, 被告は, 同日, 本件ウェブサイトの編集画面から本件動画に付されていた引用タグ又はURLを削除して, 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できないようにした 原告は, 被告に対し, 同年 6 月 30 日付けの通知書を送付し, ロケットニュース24において, 著作権及び肖像権を侵害した記事を配信していたことについて, 本書到達後 1ヶ月以内に慰謝料の一部として金員 2 00 万円を 支払うよう求めた 原告は, 現在に至るまで, 本件コメント欄記載の各書き込みについて, 被告に対し, 個別の書き込みを特定して削除を求めたことはなく, 被告も, 本件記事及び本件コメント欄記載を削除していない 2 争点 (1) 著作権及び著作者人格権に基づく請求関係 ア本件動画は映画の著作物に該当するか イ公衆送信権侵害の有無 ウ 引用 該当性 ( 争点 1-1) ( 争点 1-2) ( 争点 1-3) エ報道の目的上正当な範囲内での利用といえるか ( 争点 1-4) オ著作者人格権 ( 公表権, 氏名表示権 ) 侵害の有無 ( 争点 1-5) カ原告の損害 キ名誉回復措置の必要性 ( 争点 1-6) ( 争点 1-7) (2) 名誉毀損に基づく請求関係 ア本件動画及び本件記事の名誉毀損該当性イ違法性阻却事由の有無ウ本件コメント欄記載削除義務の有無エ原告の損害 ( 争点 2-1) ( 争点 2-2) ( 争点 2-3) ( 争点 2-4) - 5 -

オ名誉回復措置の必要性 ( 争点 2-5) (3) 肖像権に基づく請求関係 ア肖像権侵害の有無 イ原告の損害 ( 争点 3-1) ( 争点 3-2) 第 3 争点に対する当事者の主張 1 争点 1-1( 本件動画は映画の著作物に該当するか ) について 原告の主張 本件動画は, 原告の表情や会話内容など, 具体的には, 猫耳と首輪を付けた原告の姿や, ギガマック, 裸で何が悪いんですか などといった会話を含んでおり, 様々な思想を, 視聴覚的効果を生じさせる方法で創作的に表現したものである そして, 本件動画は, もともと生放送で配信されたものであるが, 何者かがこれをキャプチャーし, 動画共有サイト ニコニコ動画 にアップロードしたものであるから, 固定 ( 著作権法 ( 以下 法 という )2 条 3 項 ) されたといえる したがって, 本件動画は, 映画の著作物 ( 法 10 条 1 項 7 号 ) に当たる 被告の主張 本件動画が 映画の著作物 に当たるとの主張は否認する 固定 の要件を満たしているかが明らかでない 2 争点 1-2( 公衆送信権侵害の有無 ) について 原告の主張 被告が, 本件ウェブサイトにおいて, 本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックすると, 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にしたことは, 送信可能化 ( 法 2 条 1 項 9 号の5) に当たり, 原告の公衆送信権 ( 法 23 条 1 項 ) を故意又は過失により侵害するものである - 6 -

この点, 被告は, 本件動画を自身の管理する本件ウェブサイトのサーバに記録したわけではなく, ニコニコ動画 で公開されていた本件動画にリンクを貼ったに過ぎない旨主張するが, 本件動画を本件記事と一体のものとして視聴できる状態とし, これを商用目的で利用していたのであるから, 損害賠償責任を免れるものではない 被告の主張 被告が本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にしたことは認める しかし, 被告は, ニコニコ動画 で公開されていた本件動画に付されていた引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力した, すなわち, リンクを貼って本件動画の所在を示したに過ぎない 本件動画そのものは, 被告の管理するサーバに記録されたわけではなく, 本件ウェブサイトの閲覧者が再生ボタンをクリックした場合も, 本件動画のデータは, 被告のサーバを経ることなく, ニコニコ動画 のサーバから, 閲覧者の端末へ送信されていた したがって, 被告は, 本件動画を 公衆送信 しておらず, リンクを貼ったことは 送信可能化 にも当たらない 3 争点 1-3( 引用 該当性) について 被告の主張 被告が本件動画へのリンクを貼った行為は, 公平な慣行に合致し, かつ報道及び批評という目的上正当な範囲内で行われたものであるから, 著作権の効力は及ばない ( 法 32 条 ) 原告の主張 原告は日光浴の帰りにマクドナルドに寄ったところを警察官に注意されただけであり, 本件記事のように非常識などと一方的に書かれる筋合いはないし, 報道や批評を理由に, 被告による本件動画の無断利用が正当化されるものではない - 7 -

4 争点 1-4( 報道の目的上正当な範囲内での利用といえるか ) について 被告の主張 被告が本件動画へのリンクを貼った行為は, 時事の事件の報道に伴う利用であり, 報道の目的上正当な利用の範囲内にあるから, 著作権の効力は及ばない ( 法 41 条 ) 原告の主張 前記 3 原告の主張 欄記載と同じ理由により, 被告による本件動画の無断利用が正当化されるものではない 5 争点 1-5( 著作者人格権 ( 公表権, 氏名表示権 ) 侵害の有無 ) について 原告の主張 (1) 公表権侵害被告が, 本件動画を本件ウェブサイト上で視聴できる状態にしたことは, 原告の同意を得ないで公表された著作物である本件動画を公衆に提供又は提示したものとして, 原告の公表権 ( 法 18 条 ) を故意又は過失により侵害するものといえる (2) 氏名表示権侵害本件動画の表題には, 原告の変名である P2 が使用されており, 被告は, 本件動画を上記のとおり公衆に提供又は提示したことにより, 原告の氏名表示権 ( 法 19 条 ) を故意又は過失により侵害した 被告の主張 (1) 公表権侵害の主張について被告は, 本件動画へのリンクを貼っただけであり, 本件動画を公衆に提供又は提示したとはいえない そもそも, 本件動画は, 原告自身が, 登録会員数 2946 万人, プレミアム会員数 175 万にもなる ニコニコ生放送 に配信した本件生放 - 8 -

送の一部であるから, 未公表の著作物には当たらない したがって, 公表権侵害は認められない (2) 氏名表示権侵害の主張について被告は, 本件動画へのリンクを貼っただけであり, 本件動画を公衆に提供又は提示したとはいえないため, 氏名表示権侵害は認められない 6 争点 1-6( 原告の損害 ) について 原告の主張 被告の著作権侵害及び著作者人格権侵害により, 原告は精神的苦痛を被った その慰謝料は30 万円を超えるが, 本件訴訟ではその一部である3 0 万円を請求する 被告の主張 争う 財産権たる著作権侵害については, 特別の事情がない限り, 慰謝料の発生は否定される 本件で被告は, 原告の抗議を受けて直ちに本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できないようにしたのであるから, 慰謝料が発生すべき特別の事情があるとはいえない 7 争点 1-7( 名誉回復措置の必要性 ) について 原告の主張 原告の名誉を回復する措置として, 被告には, 別紙謝罪文 1 記載の謝罪文を本件ウェブサイトに掲載させる必要性がある 被告の主張 争う 8 争点 2-1( 本件動画及び本件記事の名誉毀損該当性 ) について 原告の主張 被告は, 本件ウェブサイトにおいて, 本件動画と共に, 警察官の注意を受けた, 優しく諭されていることを良いことに, 反省する様子さ - 9 -

え見えない, 彼の非常識な行動, 以前にも奇妙な行動を生放送していたことがある, 今回は裸で町に繰り出した, 周りの迷惑を考えてもらいたいものだ などと原告に対する偏見を助長する本件記事を掲載した 被告のこのような行為は, 原告の名誉を毀損するものである そのため, 原告は名誉権に基づき, 本件記事の削除を請求することができるし, また, 被告には故意又は過失も認められるため, 不法行為も成立する 被告の主張 被告は本件動画へのリンクを貼っただけであり, 本件動画に何らの編集等をしていない そして, 原告が本件生放送を配信した目的は, 常識から乖離した行動によって飲食店店員, 他の来店客及び警察官を困惑させ面白がるものである 本件記事は, 原告のこのような行動を正当に批評したもので, これによって原告の社会的評価が低下するものではなく, 被告が原告の名誉を毀損する行為をしたとはいえない 9 争点 2-2( 違法性阻却事由の有無 ) について 被告の主張 本件記事は,1 公共の利害に関する事実に係り,2 専ら公益を図る目的でなされており,3 摘示された事実は真実である, あるいは, 論評の前提としている事実が重要な部分で真実で, 論評としての域を超えていない そのため, 本件記事が原告の社会的評価を低下させるものであったとしても, 違法性は阻却される 原告の主張 本件記事の違法性が阻却される根拠について, 被告の主張は, 以下のとおり, いずれも理由がない (1) 公共の場において上半身裸が悪いという法的根拠はなく, そもそも飲 - 10 -

食店は公共の場ではないから, 公共の利害に関する事実とはいえない (2) 原告は日光浴の帰りにマクドナルドに寄ったところを警察官に注意されただけであり, 非常識などと一方的に書かれる筋合いはないし, 殊更にこれを記事にし, 商用目的で積極的に流布したことは悪質であり, 専ら公益を図る目的であったとはいえない (3) 本件記事は, 被告の都合のいいように独善的な誇張がされており, 摘示された事実, あるいは, 論評の前提とする事実の重要な部分が真実であるとはいえないし, 論評などといえるものでもない 10 争点 2-3( 本件コメント欄記載削除義務の有無 ) について 原告の主張 本件コメント欄記載は, 原告を誹謗中傷し, その名誉を毀損するものであるが, これらは被告の本件記事及び本件動画の掲載が発端となって書き込まれたものである そのため, 被告は, 原告の名誉権を侵害することがないよう本件コメント欄記載の全てを削除すべき義務を負っており, また, この義務を怠ったことによる不法行為責任を負うものである なお, 被告は, 本件コメント欄記載の個別的削除を検討するとしているが, 原告が求めているのは, 本件記事と一体を成す本件コメント欄記載の削除であり, 本件記事の削除よりも先に, 本件コメント欄記載の個別的削除を求めることはない 被告の主張 本件コメント欄記載も, 本件記事同様, 原告の名誉を毀損するものではない ただ, 被告は, 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の趣旨に従い, 原告が削除を求めるコメントを具体的に特定すれば, 被告としても削除を検討する旨原告へも回答してきた それにもかかわらず, 原告は, 現在に至るまで具体的な特定をせず, - 11 -

むしろ, そのような特定を拒否している そのため, 被告としては削除の対象となるコメントを特定できず, 削除義務を負うものではないし, 不法行為責任を負う理由はない 11 争点 2-4( 原告の損害 ) について 原告の主張 被告の名誉毀損行為により, 原告は精神的苦痛を被った その慰謝料は 50 万円を超えるが, 主位的請求ではその一部である30 万円を, 予備的請求ではその一部である50 万円を請求する 被告の主張 争う 12 争点 2-5( 名誉回復措置の必要性 ) について 原告の主張 原告の名誉を回復する措置として, 被告には, 別紙謝罪文 2 記載の謝罪文を本件ウェブサイトに掲載させる必要性がある 被告の主張 争う 13 争点 3-1( 肖像権侵害の有無 ) について 原告の主張 被告が, 原告の容姿等が映った本件動画を, 原告に無断で本件ウェブサイトに掲載し, また, 警察官から注意を受けたという原告にとって不本意な部分を殊更に取り出して本件動画及び本件記事を掲載したことは, 原告の肖像権を故意又は過失により侵害するものといえる 被告の主張 被告は, 第三者が公開していた本件動画へのリンクを貼っただけで, 被告が本件動画を公表したわけではない そのため, そもそも被告は, 原告の肖像を利用したとはいえない - 12 -

仮に被告が肖像を利用したと認められるにしても, 本件動画は原告自身が撮影し, 公表した本件生放送の一部であるから, もはや原告に肖像の公表を禁止する権利は認められるべきでない また, 本件動画の内容及び目的が, 常識から乖離した行動によって飲食店店員, 他の来店客及び警察官を困惑させ面白がるものであることからして, 本件動画における原告の肖像権は法的保護に値しない 加えて, 被告は, 原告のこのような行動に批評を加えるという正当な目的の下, 本件動画へのリンクを貼ったに過ぎないのであるから, 原告の受忍すべき限度を超えるものでもない したがって, 本件動画も, これに批評を加えた本件記事も, 原告の肖像権を侵害するものとはいえない 14 争点 3-2( 原告の損害 ) について 原告の主張 被告の肖像権侵害により, 原告は精神的苦痛を被った その慰謝料は1 0 万円を超えるが, 予備的請求ではその一部である10 万円を請求する 被告の主張 争う 第 4 当裁判所の判断 1 争点 1-1( 本件動画は映画の著作物に該当するか ) について本件動画 ( その前提となる本件生放送を含む ) は, 原告が上半身に着衣をせず飲食店に入店し, 店員らとやり取りするといった特異な状況を対象に, 主として原告の顔面を中心に据えるという特徴的なアングルで撮影された音声付動画であって ( 甲 3,4), 一定の創作性が認められる また, 前記判断の基礎となる事実記載のとおり, 原告が利用したニコニコ生放送には, タイムシフト機能と称するサービスがあり, ライブストリーミング配信後もその内容を視聴することができたとされるから, 本件生放送は, その配信と同時にニワンゴのサーバに保存され, その後視聴可能な状態に置 - 13 -

かれたものと認められ, 固定 されたものといえる( 法 2 条 3 項 ) したがって, 本件生放送の一部である本件動画は, 映画の著作物 ( 法 10 条 1 項 7 号 ) に該当し, その著作者は原告と認められる 2 争点 1-2( 公衆送信権侵害の有無 ) について (1) 被告は本件動画を送信可能化したか原告は, 被告において, 本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックすると, 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態にしたことが, 本件動画の 送信可能化 ( 法 2 条 1 項 9 号の5) に当たり, 公衆送信権侵害による不法行為が成立する旨主張する しかし, 前記判断の基礎となる事実記載のとおり, 被告は, ニコニコ動画 にアップロードされていた本件動画の引用タグ又はURLを本件ウェブサイトの編集画面に入力することで, 本件動画へのリンクを貼ったにとどまる この場合, 本件動画のデータは, 本件ウェブサイトのサーバに保存されたわけではなく, 本件ウェブサイトの閲覧者が, 本件記事の上部にある動画再生ボタンをクリックした場合も, 本件ウェブサイトのサーバを経ずに, ニコニコ動画 のサーバから, 直接閲覧者へ送信されたものといえる すなわち, 閲覧者の端末上では, リンク元である本件ウェブサイト上で本件動画を視聴できる状態に置かれていたとはいえ, 本件動画のデータを端末に送信する主体はあくまで ニコニコ動画 の管理者であり, 被告がこれを送信していたわけではない したがって, 本件ウェブサイトを運営管理する被告が, 本件動画を 自動公衆送信 をした ( 法 2 条 1 項 9 号の 4), あるいはその準備段階の行為である 送信可能化 ( 法 2 条 1 項 9 号の5) をしたとは認められない (2) 幇助による不法行為の成否ところで, 原告の主張は, 被告の行為が 送信可能化 そのものに当た - 14 -

らないとしても, ニコニコ動画 にアップロードされていた本件動画にリンクを貼ることで, 公衆送信権侵害の幇助による不法行為が成立する旨の主張と見る余地もある しかし, ニコニコ動画 にアップロードされていた本件動画は, 著作権者の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることが, その内容や体裁上明らかではない著作物であり, 少なくとも, このような著作物にリンクを貼ることが直ちに違法になるとは言い難い そして, 被告は, 前記判断の基礎となる事実記載のとおり, 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能としたことにつき, 原告から抗議を受けた時点, すなわち, ニコニコ動画 への本件動画のアップロードが著作権者である原告の許諾なしに行われたことを認識し得た時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している このような事情に照らせば, 被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことは, 原告の著作権を侵害するものとはいえないし, 第三者による著作権侵害につき, これを違法に幇助したものでもなく, 故意又は過失があったともいえないから, 不法行為は成立しない (3) 小括以上より, 公衆送信権侵害の不法行為が成立する旨の原告の主張は採用できない 3 争点 1-5( 著作者人格権 ( 公表権, 氏名表示権 ) 侵害の有無 ) について (1) 公表権侵害について原告は, 本件動画の公開が, 人格権である公表権 ( 法 18 条 ) の侵害に当たると主張する しかし, 原告は, 被告による本件動画へのリンクに先立ち, 本件生放送をライブストリーミング配信しており, しかも原告の配信動画の視聴者数 - 15 -

については, 常時 400 人以上であり, 特に企画番組は人気で, この日は数千人の視聴者を超え ( 訴状 ) ていたとされる そうすると, 著作者である原告自身が, 本件生放送を公衆送信 ( 法 2 条 1 項 7 号の2) の方法で公衆に提示し, 公表 ( 法 4 条 1 項 ) したのであるから, 本件生放送の一部にあたる本件動画について, 公表権侵害は成立しない (2) 氏名表示権について原告は, 本件動画の 公衆への提供若しくは提示 に際し, 原告の変名である P2 を無断で使用し, 原告の氏名表示権を侵害した不法行為が成立する旨主張する しかし, 本件記事自体に原告の実名, 変名の表示はなく, 本件ウェブサイトに表示された本件動画のタイトル部分に被告の変名が含まれていたに過ぎない ( 甲 1) が, 前記 2 記載のとおり, 被告は, 本件動画へのリンクを貼ったにとどまり, 自動公衆送信などの方法で 公衆への提供若しくは提示 ( 法 19 条 ) をしたとはいえないのであるから, 氏名表示権侵害の前提を欠いている また, 原告自身, 本件生放送において, 原告自身の容貌を中心に撮影した動画を配信し, 原告の実名をも述べていることに加え, ニコニコ生放送 で本件生放送やその他の動画を配信する際にも P2 の変名を表示していたことがうかがわれる ( 甲 1,3,4, 乙 1, 弁論の全趣旨 ) のであるから, 上記 公衆への提供若しくは提示 を欠くことを措いて考えたとしても, 本件ウェブサイト上の上記表示が原告の氏名表示権の侵害になるとは認められない したがって, この点に関する原告の主張も採用できない 4 争点 2-1( 本件動画及び本件記事の名誉毀損該当性 ) 及び争点 2-2 ( 違法性阻却事由の有無 ) について (1) 原告は, 本件ウェブサイトに本件記事及び本件動画を掲載した被告の - 16 -

行為が, 原告の名誉を違法に毀損するものであるとし, 本件記事の削除と共に, 不法行為に基づく損害賠償等を求めている この点, 本件記事は, ある男性が上半身裸で街中を歩き, マクドナルドに入店して注文をした後, 警察官に任意同行を求められ, 交番内にて注意を受けたこと, その男性がその一連の模様を撮影し, ニコニコ生放送 に動画配信したこと, その男性が以前には皇居周囲の堀に入浴剤を入れ, その模様も ニコニコ生放送 で配信したことといった事実を摘示すると共に, これらの事実を前提に, その男性の行動が非常識で, 周囲に迷惑をかけるものであったなどの意見ないし論評を表明するものである 本件記事自体は, 原告の実名に触れているわけではなく, 対象とする ある男性 が原告であることを特定する情報を含んでいるわけではないが, 少なくとも原告の容貌及び実名を含む本件動画が, 本件記事と一体のものとして視聴可能な状態に置かれていた時期においては, ある男性 が原告であることは特定可能であったと解される そして, 本件記事の上記のような内容は, 一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば, 原告の社会的評価を低下させ, その名誉を毀損するものであったと見る余地があることは否定できない (2) しかし, ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損においては, その行為が公共の利害に関する事実に係り, かつ, その目的が専ら公益を図ることにあった場合に, その意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには, 人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り, その行為は違法性を欠くと解される ( 最高裁昭和 55 年 ( オ ) 第 1188 号同 62 年 4 月 24 日第二小法廷判決 民集 41 巻 3 号 490 頁, 最高裁昭和 60 年 ( オ ) 第 1274 号平成元年 12 月 21 日第一小法廷判決 民集 4 3 巻 12 号 2252 頁参照 ) - 17 -

そこで検討するに, 本件記事が対象とするのは, インターネットを通じて不特定多数の者に動画配信を行うことを目的に, 公道や飲食店などといった公の場で上記 (1) 記載のような撮影をした原告の行動であるから, 公共の利害に関する事実に係り, かつ, その目的は専ら公益を図ることにあるといえる そして, 意見ないし論評の前提となっている上記 (1) 記載の事実については, 証拠 ( 甲 3,4) 及び弁論の全趣旨 ( 原告自身, これらの事実を積極的に争っていない ) によれば, いずれも真実であると認められる また, 本件記事中の 非常識な行動, 周りの迷惑を考えてもらいたいものだ 今後, 同様の行為を繰り返すべきではないだろう などの表現は, 人身攻撃にまで及んでいるとはいえず, 本件動画の内容や撮影場所なども考慮すれば, 意見ないし論評の域を逸脱しているとはいえない したがって, 被告が本件ウェブサイトに本件記事を掲載し, あわせて本件動画へのリンクを貼ったことに違法性はないというべきである (3) 以上より, 本件記事及び本件動画の本件ウェブサイトへの掲載が原告の名誉を違法に毀損するものである旨の原告の主張は採用できず, これを前提とする本件記事の削除及び損害賠償請求等の請求には理由がない 5 争点 2-3( 本件コメント欄記載削除義務の有無 ) について原告は, 本件コメント欄記載は原告の名誉を毀損するものであるが, 被告による本件記事及び本件動画の掲載が発端となって書き込まれたものであるから, 被告において, 本件コメント欄記載を全て削除すべき義務を負っており, また, これを怠ったことで不法行為責任を負う旨主張する しかし, 本件記事及び本件動画の掲載が原告の名誉を違法に毀損するものといえないことは前記 4で論じたとおりであり, 原告の主張はその前提を欠くものであるが, この点を措いて考えたとしても, そもそも本件記事は原告の実名に言及しておらず, 本件コメント欄記載も原告の変名に触れ - 18 -

るものこそあれ, その実名に触れるものはない 本件記事及び本件コメント欄記載と一体性のある体裁で本件動画 ( 原告の容貌及び実名を含む ) へのリンクが貼られていた当初においては, 本件コメント欄記載が原告に係る書き込みであることを一般読者が理解することはできたといえるが, 前記 2 記載のとおり, 被告は, 平成 23 年 6 月 27 日に原告から抗議を受けると, 直ちに本件ウェブサイトにおける本件動画へのリンクを削除し, その結果として, 本件コメント欄記載が原告に係るものであることを特定できないようにしている つまり, 被告は, 本件コメント欄記載によって原告の社会的評価が低下することを防止するための対応を適時にとっており, さらに加えて, 本件コメント欄記載を全て削除する義務まで負うものではなく, 同義務違反もないといえる また, 仮に本件コメント欄記載で触れられている原告の変名により, 本件動画へのリンクの削除後も原告を特定できる余地があるとしても, 本件コメント欄記載のコメント数は20ほどで, その内容は一様でなく, 明らかに原告の名誉を毀損しないものを含む一方, 本件コメント欄記載の前提となっている本件動画やその撮影に係る原告の行動に照らせば, 原告の名誉を違法に侵害することが明白とまでいえるものを含むとは認められない しかも, 本件コメント欄記載の各コメントはそれぞれ独立していて, 個別に削除することは可能であり, 被告も原告が削除を求めるコメントを具体的に特定すれば削除を検討するとの意向を示している ( 平成 25 年 1 月 1 8 日第 6 回弁論準備手続期日 ) にもかかわらず, 原告はそのような具体的特定をしようとしない このような事情からすれば, やはり本件ウェブサイトを運営管理する被告において, 本件コメント欄記載を削除すべき義務を負う状況にあるとはいえない したがって, 被告において, 本件コメント欄記載の削除義務を負うものではないし, そのような義務を怠ったことによる不法行為責任を負うもの - 19 -

ともいえない 6 争点 3-1( 肖像権侵害の有無 ) について原告は, 本件動画及び本件記事を本件ウェブサイトに掲載したことは, 原告の肖像権を違法に侵害し, 不法行為が成立する旨主張するが, 本件記事のような言語表現によって肖像権が侵害されることは想定できないため, 以下では, 本件動画へリンクを貼ったことが原告の肖像権を侵害するかについて検討する まず, 被告は, 本件動画につき, 原告自身が撮影し, 公表したものであるから, もはや原告に肖像の公表を禁止する権利は認められるべきでない旨主張するが, 原告が行った本件生放送は, ライブストリーミング配信時及びタイムシフトの期間のみ視聴されることを予定しており, タイムシフトの期間後に自身の肖像の映った本件動画が利用されることまで許容していたと認めることはできない しかし, 被告は, 本件動画を公表したわけではなく, 既に何者かによって ニコニコ動画 にアップロードされ, 公表されていた本件動画へリンクを貼ったにとどまるのであって, しかも本件動画は, 肖像権者である原告の明示又は黙示の許諾なしにアップロードされていることがその内容や体裁上明らかではない映像であり, 少なくとも, そのような映像にリンクを貼ることが直ちに肖像権を違法に侵害するとは言い難い そして, 被告は, 前記判断の基礎となる事実記載のとおり, 本件ウェブサイト上で本件動画を視聴可能としたことにつき, 原告から抗議を受けた時点で直ちに本件動画へのリンクを削除している このような事情に照らせば, 被告が本件ウェブサイト上で本件動画へリンクを貼ったことが, 原告の肖像権を違法に侵害したとはいえないし, 第三者による肖像権侵害につき故意又は過失があったともいえず, 不法行為が成立するとは認められない - 20 -

7 結論以上の次第で, 原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし, 主文のとおり判決する 大阪地方裁判所第 21 民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官松阿彌隆 裁判官松川充康 - 21 -

別紙記事 ( 掲載を省略 ) - 22 -

別紙謝罪文 1 ( 掲載を省略 ) 別紙謝罪文 2 ( 掲載を省略 ) - 23 -

別紙本件動画内発言 ( 掲載を省略 ) - 24 -

別紙コメント欄記載 ( 掲載を省略 ) - 25 -