1 平成 29(2017) 年度検査結果について (1) 検査体制等農政部農地整備課の検査員 2 名以上により 1 土地改良区等あたり1 日間から3 日間実施しました 農業振興事務所の土地改良区指導担当職員及び関係市町職員が立会いました (2) 検査件数 定期検査 42 件 ( 土地改良区 :40 土地改良区連合 :2) 特別検査 1 件 2 検査結果について (1) 指摘事項の傾向検査を実施した土地改良区等の数 :43 指摘件数 :256 件検査事項別の内訳は以下のとおりです 組織及び運営 1 地区及び組合員に関すること 27 件 2 総 ( 代 ) 会に関すること 13 件 3 理事 監事に関すること 50 件 4 定款 規約その他諸規程に関すること 26 件 事業 5 事業に関すること 44 件 会計 6 賦課金 予算決算 出納事務に関すること 96 件 平成 29(2017) 年度土地改良区等検査の指摘件数割合 1 地区 組合員 11% 6 会計経理 37% 2 総 ( 代 ) 会 5% 3 理事 監事 20% 5 事業 17% 4 定款諸規程 10% -1- 栃木県農地整備課
(2) 事項別の指摘事項について 1 地区及び組合員に関すること 27 件 ( 指摘事項の 11%) 定款の地区と維持管理計画書の地域又は土地原簿の土地が整合していませんでした 資格得喪通知による修正が行われていませんでした 地区及び組合員に関すること (1) 定款の地区と維持管理計画書の地域又は土地原簿の土地が整合していませんでした 17 (2) 土地原簿が 資格得喪通知により修正されていませんでした 4 (3) 土地原簿が整備されていませんでした 2 (4) 土地原簿又は組合員名簿に記載不備がありました 1 (5) その他 3 (1) 定款 維持管理計画書 土地原簿で定める地区がそれぞれ整合していないものが確認されました (2) 資格得喪通知による修正を行っていない事例 資格得喪通知によらずに修正している事例が確認されました (3) 土地原簿の記載が整備されてしていない事例が確認されました (4) 土地原簿及び組合員名簿について 必要事項が記載されていない事例が確認されました 土地原簿 組合員名簿は 土地改良区の運営全般の基本となる書簿であり 事務所への備え付け 必要記載事項 修正方法等について 法律及び省令で規定されており 法令に基づいた適正な書簿を整備する必要があります -2- 栃木県農地整備課
2 総 ( 代 ) 会に関すること 13 件 ( 指摘事項の 5%) 総代選挙に係る手続きが適正ではありませんでした ( 政令 定款で規定された各種手続きが行われていないか 行われているか確認できない また 行われていても規定どおりに行われていない ) 総 ( 代 ) 会において 必要な事項が付議されていませんでした ( 賦課金の減免 賦課の時期及び方法 積立金の処分 特別会計の設置 款相互間の予算の流用等 ) 総 ( 代 ) 会に関すること (1) 総代選挙に係る手続きが適正ではありませんでした (2) 総代会の付議事項が適正ではありませんでした 5 6 (3) 総代会の議決方法が適正ではありませんでした 2 (1) 書類が適切に保管されていないため 手続きが行われているか確認できないもの 手続きが適正ではないもの等が確認されました (2) 法令定款等で定められた必要事項が付議されていないものがありました ( 賦課金及び賦課徴収の方法 補正予算の調製 積立金の処分 繰替運用 事業報告書の承認 ) (2) 適正に議決が行われていないものがありました ( 採決に参加すべき者が参加していない等 ) 総 ( 代 ) 会は 土地改良区等の最高意思決定機関であり 必要な付議事項を適正に議決した上で土地改良区等の運営が行わなければなりません また それらを構成する総代の選挙に当たっては 法令 定款に基づき 適正な手続きで選出されなければなりません -3- 栃木県農地整備課
3 理事 監事に関すること 50 件 ( 指摘事項の 20%) 理事会において 必要な事項が付議されていませんでした ( 請負契約の実施 随意契約の実施 項相互間及び目相互間の予算流用 過怠金の減免 職員給与 他目的使用の承認及び農地転用等についての意見書 ) 役員選挙 ( 選任 ) の手続きが適正ではありませんでした ( 適切な時期に行われていない 必要な手続きが実施されていない等 ) 理事 監事に関すること (1) 理事会において 必要な事項が付議されていませんで した 32 (2) 監査の実施が適正ではありませんでした (3) 役員選挙 ( 選任 ) の手続きが適正ではありませんでし た 4 5 (4) 監事会又は監査の開催回数が適正ではありませんでし た 3 (5) その他 ( 議事録の未調整 職員雇用の根拠規程 契約の 不備 理事会の実施回数の不適正等 ) 6 (1) 定款及び規約等で定められた付議事項が適正に議決されていないことが確認されました (2) (4) 監査を年に 1 度しか行っていない事例等が確認されました (3) 役員の選挙 ( 又は選任 ) において 通知 公告又等の手続きが適正に行われていないことが確認されました 執行機関である理事会と 牽制機能をもつ監事会は 土地改良区の運営において重要な役割を担っており 必要な付議事項を適正に議決しなければなりません また それらを構成する役員の選挙 ( 又は選任 ) に当たっては 役員選挙 ( 選任 ) 規程に基づき適正な手続きで選出されなければなりません -4- 栃木県農地整備課
4 定款 規約その他諸規程に関すること 26 件 ( 指摘事項の 10%) 定款に規定された経費分担の基準と実際の賦課が整合していませんでした ( 地区ごとの差 水の使用形態による差 用途ごとの差等 ) 規約 会計細則 その他諸規程が実態と整合していませんでした 定款 規約その他諸規程に関すること (1) 定款に規定された経費分担の基準と実際の賦課 が整合していませんでした 16 (2) 規約 会計細則 その他諸規程が実態と整合して いませんでした 4 (3) 他目的使用規程と実態が整合していませんでい た ( 規程がないにもかかわらず慣習で使用させてい る 規程があるにもかかわらず慣習を優先している ) 3 (4) その他 ( 実施していない事業が定款に記載されて いる 上位規程に反する内容が規定されている等 ) 3 (1) 定款では すべての農地で地積割に賦課することを規定しているにもかかわらず 田と畑で異なる賦課基準や 地区ごとに異なる賦課基準を設けている事例が確認されました (2) 見直しが行われず 実態とかい離している規程が確認されました (3) 規程によらずに慣習によっている事例が確認されました 定款は 土地改良区等の経費分担や地区などについて定める最も重要な内部規則であり 実態と整合するよう整備しなければなりません その他の諸規程も 土地改良区の行為や決定の根拠となる重要なルールであるため 実態と整合するよう見直しを行わなければなりません -5- 栃木県農地整備課
5 事業に関すること 44 件 ( 指摘事項の 17%) 請負工事における契約方法が適切ではありませんでした ( 契約書を作成すべき工事で契約書を作成していない 1 者見積りにより随意契約を締結等 ) 競争入札すべき金額の工事を 随意契約により契約していました 事業に関すること (1) 請負工事における契約方法が不適切でした 16 (2) 維持管理計画書又は土地改良施設台帳が整備されていませんでした (3) 競争入札すべき金額の工事を 随意契約により契約していました (4) 維持管理計画書の記載内容が適切ではありませんでした ( 管理すべき施設と不整合 土地原簿の土地と不整合等 ) (5) その他 ( 完成検査の未実施 工事関係書類不備 理事経営の会社と請負工事契約等) 5 6 9 8 (1) (3) 施設の維持管理に係る工事について 契約手続きが 会計細則の規定と異なっていることが確認されました (2) (4) 維持管理計画書 土地改良施設台帳が現状と整合していないことが確認されました 契約事務は 各土地改良区等で定める会計細則に基づいて適正に行う必要があります また 土地改良区等は 農地や土地改良施設を特定し その管理方法や維持管理費を明らかにした維持管理計画書に基づき 土地改良事業 ( 維持管理や整備など ) を実施しなければなりません -6- 栃木県農地整備課
6 賦課金 予算決算 出納事務に関すること 96 件 ( 指摘事項の 37%) 証拠書類の未添付 編てつ不備がありました 会計書簿 ( 会計主要簿 収入 支出命令書 ) の未整備 記載不備がありました 予算事務が適正ではありませんでした 賦課金 予算決算 出納事務に関すること (1) 証拠書類の未添付 編てつ不備がありました (2) 会計書簿 ( 会計主要簿 収支命令書 ) の未整備 記載不備がありました (3) 予算事務が適正ではありませんでした (4) 決算書 財産目録に不整合がありました (5) 命令によらない収入 支出がありました (6) その他 ( 滞納者に対する督促の未実施 収入年度の誤り等 ) 7 8 26 25 17 13 (1) 会計書簿 ( 会計主要簿 収支命令書 ) の一部が整備されていないもの 整備されていても記載事項を満たしていないものが確認されました (2) 特に収入に関する証拠書類の添付もれがありました また 証拠書類が適切に編てつされていないものが確認されました (3) 結果的に予算額を上回る支出を行っている等不適切な予算事務が確認されました (4) 決算書 財産目録 会計書簿がそれぞれ整合しないものが確認されました (5) 収入命令 支出命令による手続きを経ずに収入 支出を行っているものが確認されました 会計経理については 土地改良区等ごとに定めた会計細則に基づき 適切かつ正確な事務処理を行わなければなりません また 不正経理が 発生しないよう 組織的に会計経理を行う体制が必要です -7- 栃木県農地整備課
3 指摘事項の対応について (1) 改善策の提出検査結果の内容において指摘事項があった場合 土地改良区等に対し改善策の提出を求めています なお 指摘事項に係る土地改良区等への指導 助言は 関係農業振興事務所が行っています (2) 管理台帳の整備農業振興事務所は 土地改良区等から提出された改善策に基づき 管理台帳を作成し 指導事項に係る改善が図られるまで指導 助言及び進行管理を行います (3) 検査及び指導のフロー 土地改良区等 1 検査実施 立会い 4 改善策提出 3 指導 6 改善指導 助言 進行管理 農業振興事務所 2 結果通知 5 管理台帳提出 7 管理台帳提出 ( 改善されるまで ) 栃木県農地整備課 -8- 栃木県農地整備課
4 参考資料 (1) 命令記載例とチェックポイント 平成 年 月 日第 号 起案平成 年 月 日 命令番号の記載漏れはないか? 3 名以上で決裁しているか? 押印漏れはないか? 理事長会計担当理事事務局長会計主任 平成 年度 年度は正しいか? 一般会計 予算書の科目と あっているか? 款項説明種目 1 事務費 1 事務費 11 光熱費 一 金 15,000 円也 伺 住所記載漏れはないか? 複数債権 者の場合 一覧表はあるか? ただし 平成 年度電気料 ( 月分 土地改良区事務所分 ) として 支出内容は具体的 な記載か? 債権者住所 市 12-34 氏名 電力 ( 株 ) 上記金額を 上記の者に支出してよろしいか 平成 年 月 日 土地改良区理事長様 会計担当 印 栃木県会計細則例より抜粋 第 13 条収支計算出納には 次の書類を必要とする (1) 収入命令又は支出命令 (2) 証拠書類 第 14 条この土地改良区の収入は すべて収入命令によら なければならない 第 22 条この土地改良区の支出は すべて支出命令によら なければならない 各命令に証拠書類を添付し 款 項 説明種目ごとに編てつする必要があります 記載例は支出命令ですが 収入命令の記載における注意事項も基本的に支出命令と同様です -9- 栃木県農地整備課
(2) 支出の事務処理フロー 栃木県会計細則例より抜粋 第 38 条金銭出納簿は 収入命令又は支出命令により取扱日付順に転記しなければならない 第 39 条収入整理簿は収入命令により 支出整理簿は支出命令により それぞれ当該款 項及び説明種目の口座に転記するものとする フローは支出の例ですが 収入の場合のフローも支出と同様です 会計事務の基本は 収入命令又は支出命令から金銭出納簿及び収入整理簿又は支出整理簿への適切な転記です このため 収入 支出命令 金銭出納簿 収入 支出整理簿はセットで 記載事項や整合性を確認しなければなりません -10- 栃木県農地整備課