福岡県のCTやMRIと医療費の関係に関する研究

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【最終版】医療経営学会議配付資料 pptx

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計画の今後の方向性

各論第 3 章介護保険 保健福祉サービスの充実

福祉用具貸与 介護予防福祉用具貸与 心身機能が低下した高齢者に 日常生活の自立を助ける用具をレンタルします 自 宅 に 住 ん で 自 宅 で 受 け る サ ー ビ ス ( 生活環境を整える ) 貸与品目 福祉用具購入費の支給 住宅改修費の支給 手すり スロープ 歩行器 歩行補助杖 車いす ( 付

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平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

2 居宅サービス事業所の状況

特別養護老人ホーム 優雅 社会福祉法人 桜寿会 ( 特別養護老人ホーム優雅 ) 福島県南会津郡南会津町田島字北下原 111 番 TEL: FAX: ( 郡山オフィス ) 福島県郡山市菜根一丁目 22 番 10 号 T

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

同一建物に居住する利用者の減算 特別地域加算 前年度の 1 月あたりの平均実利用者数の分かる書類 ( 地域に関する状況 ) 1 訪問看護ステーション ( 規模に関する状況 ) 前年度の 1 月あたりの平均延訪問回数の分かる書類 13 訪問看護 2 病院又は診療所 3 定期巡回 随時対応サービス連携

1102 請求誤りによる実績取り下げ 1109 時効による保険者申立ての取り下げ 1112 請求誤りによる実績取り下げ ( 同月 ) 1129 時効による公費負担者申立ての取り下げ 1142 適正化 ( その他 ) による保険者申立の取り下げ 1143 適正化 ( ケアプラン点検 ) による保険者申

サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要 バリアフリー化や居住者への生活支援の実施等の基準を満たす住宅について都道府県等が登録を実施 サービス付き高齢者向け住宅の登録制度は 高齢者の居住の安定確保に関する法律 ( 高齢者住まい法 ) の改正により 平成 23 年 10 月に創設 料金やサービス内容

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

地域包括ケアシステムの構築について 団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年を目途に 重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう 医療 介護 予防 住まい 生活支援が包括的に確保される体制 ( 地域包括ケアシステム ) の構築を実現 今後

別表 有料老人ホームの類型及び表示事項 類型介護付有料老人ホーム ( 一般型特定施設入居者生活介護 ) 介護付有料老人ホーム ( 外部サービス利用型特定施設入居者生活介護 ) 住宅型有料老人ホーム ( 注 ) 健康型有料老人ホーム ( 注 ) 類型の説明介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設で

月額報酬対象サービス月途中の事由 区分変更( 要介護 1~ 要介護 5の間 要支援 Ⅰ 要支援 Ⅱ) 小規模多機能型居宅介護介護予防小規模多機能型居宅介護複合型サービス ( 看護小規模多機能型居宅介護 ) 区分変更( 要介護 要支援 ) サービス事業所の変更( 同一サービス種類のみ ) 事業( 指定

加算 栄養改善加算 ( 月 2 回を限度 ) 栄養スクリーニング加算 口腔機能向上加算 ( 月 2 回を限度 ) 5 円 重度療養管理加算 要介護 であって 別に厚生労働大が定める状態である者に対して 医学的管理のもと 通所リハビリテーションを行った場合 100 円 中重度者ケア体制加算

2 基本理念と基本目標 本市のまちづくりの指針である 第 2 次柳井市総合計画 は 平成 29 年 3 月に策定 されました この総合計画では すべての市民が健康で安心して暮らせる 人にやさ しいまちづくり を健康 福祉分野の基本目標に掲げ その実現を目指しています これは 高齢者も含めた全ての市民

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介護保険事業状況報告 ( 全国計 ) 第 1 表第 1 号被保険者のいる世帯数 ( 単位 : 世帯 ) 前年度末現在当年度中増当年度中減当年度末現在 23,856,459 1,319, ,241 24,261,177 第 2 表第 1 号被保険者数 ( 単位 : 人 ) 年齢区分 前年度

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小規模多機能型居宅介護 介護予防小規模多機能 区分変更 ( 要介護 1~ 要介護 5 の間 要支援 Ⅰ 要支援 Ⅱ) 型居宅介護く ) 区分変更 ( 要介護 要支援 ) サービス提供日 サービス事業所の変更 ( 同一サービス種類のみ ) ( 通い 訪問又は宿泊 ) 事業 ( 指定有効期間 ) 受給資

平成 28 年度介護保険事業状況報告 ( 年報 ) のポイント 1 第 1 号被保険者数 (28 年 3 月末現在 ) (29 年 3 月末現在 ) 3,382 万人 3,440 万人 ( 対前年度 +59 万人 +1.7% 増 ) ( 単位 : 万人 ) 3,500 3,000 2,500 2,0

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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17★ 訪問看護計画書及び訪問看護報告書等の取扱いについて(平成十二年三月三十日 老企 厚生労働省老人保健福祉局企画課長通知)


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4 小規模多機能型居宅介護 介護予防小規模多機能型居宅介護 通い を中心として 利用者の様態や希望などに応じ 随時 訪問 や 泊まり を組み合わせてサービスを提供することにより 在宅生活の継続を支援するサービスです 介護予防小規模対機能型居宅介護は 介護予防を目的とした小規模多機能型居宅介護で 要支

06 参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について

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私たちの人生 病気やケガのリスクと 経済的影響は? 50 ( 千人 ) 1, 通院入院 ( 歳 )

北多摩南部圏域 東京都 武蔵野市 三鷹市 府中市 調布市 施設 36% 小金井市 狛江市 凡例 円グラフの大きさ 1,百万円未満 延べ 5百人未満 施設 居住系 1% 在宅 51% 在宅 71% 居住系 13% 大 中 小 1,百万円以上 1,百万円未満 1,百万円以上 5百人以上 1,百人未満 1

第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

小規模多機能型居宅介護介護予防小規模多機能型居宅介護複合型サービス ( 看護小規模多機能型居宅介護 ) 区分変更( 要介護 1~ 要介護 5の間 要支援 Ⅰ 要支援変更日 区分変更( 要介護 要支援 ) サービス事業所の変更( 同一サービス種類のみ ) 事業( 指定有効期間 ) 事業所指定効力停止の

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{国土交通省}審議会

スカイラ サービス付き高齢者向け住宅料金表 部屋タイプ 月額 内訳 料金 家賃 45,000 円 A タイプ (18m2) 138,000 円 食事 ( 1,6 0 0 円 / 日 ) 48,000 円共益費 35,000 円 サービス費 10,000 円 家賃 65,000 円 B タイプ (20

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平成18年4月制度改正にかかる請求明細書・給付管理票の記載例について

Ⅱ 各論第 2 章 各 論 第 2 章 介護と医療 関係機関の連携 第 1 節 介護と医療 関係機関の連携 1 連携のための関係機関のネットワークづくり 現状 課題 平成 19 年度に内閣府が公表した 高齢者の健康に関する意識調査 によると 多くの高齢者が要介護状態になっても 可能な限り住み慣れた地

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2. 経口移行 ( 経口維持 ) 加算 経口移行 ( 経口維持 ) 計画に相当する内容を各サービスにおけるサービス計画の中に記載する場合は その記載をもって経口移行 ( 経口維持 ) 計画の作成に代えることができる 従来どおり経口移行 ( 経口維持 ) 計画を別に作成してよい 口腔機能向上加算 口腔

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高齢者を取り巻く状況 将来人口 本市の総人口は 今後も減少傾向で推移し 平成32年 2020年 には41,191人程度にまで減少し 高齢 者人口については 平成31年 2019年 をピークに減少に転じ 平成32年 2020年 には15,554人程度 になるものと見込まれます 人 第6期 第7期 第8

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

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体制強化加算の施設基準にて 社会福祉士については 退院調整に関する 3 年以上の経験を有する者 であること とあるが この経験は 一般病棟等での退院調整の経験でもよいのか ( 疑義解釈その 1 問 49: 平成 26 年 3 月 31 日 ) ( 答 ) よい 体制強化加算の施設基準にて 当該病棟に

2 5 ページ ( 第 1 号訪問事業 ) 訪問介護 : ロング ライフ訪問介護事業所 訪問型サービス費 1,168 月 訪問型サービス費 2,335 月 * 訪問型サービス費 (Ⅲ) 3,704 月 20 分未満 20 分以上 30 分未満 30 分以上 60 分未満 60 分以上 20 分以上

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正誤表

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平成21年度 介護サービス事業者における事故発生状況

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要支援 介護保険負担額 (1 割月額 ) 介護保険負担額 (2 割月額 ) 要支援 1 1,843 円 要支援 1 3,686 円 要支援 2 3,779 円 要支援 2 7,557 円 サービス加算について (2 割負担の方は約 2 倍の料金となります ) 項目金額単位適用 内容 運動機能向上加算

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届出書 体制等状況一覧表 ( 別紙 1-3) の添付書類一覧 定期巡回 随時対応型訪問介護看護 中山間地域等における小規模事業所加算 11 月当たりの平均延訪問回算定表 前年度の 4 月 ~2 月分 緊急時訪問看護加算 特別管理体制 ターミナルケア体制 サービス提供体制強化加算 (Ⅰ) サービス提供

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様式第九(附則第二条関係)

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様式 1 裏面 写しを貼付してください この面に介護保険被保険者証の

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入所利用料 NO.2 単価新 老人訪問看護指示加算 300 円 / 回 訪問看護ステーションに対し医師が訪問看護指示書を交付した場合 緊急時治療管理 認知症情報提供加算 511 円 / 日緊急的な治療管理を行なった場合 (3 日限度 ) 350 円 / 回認知症疾患医療センター等に紹介した場合 地域

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Transcription:

第 1 回 都市部の高齢化対策に関する検討会 平成 25 年 5 月 20 日 資料 7 CCRC の概念を応用した日本の高齢者ケア 九州大学大学院医学研究院 医療経営 管理学講座 馬場園明

CCRC CCRC とは 継続したケア (continuum of care) という理念に基づいて 加齢と共に移り変わる高齢者ニーズに応じて 住居 生活サービス 介護 看護 医療サービスなどを総合的に提供していく施設サービスのシステムである CCRC の運営母体は 入居者との間で契約を結び 住民に対してサービスなどを受ける権利を保障する代わりに 入居者は 入居一時金と月額利用料を払うことに同意することになっている 2

CCRC の特徴 CCRC は 100 年以上前に誕生し 1900 年にはおよそ 20 ヶ所しか存在しなかったが 2007 年には全米に 1,861 ヶ所 745,000 人が居住していると報告されている 広いキャンパスに住宅や各種施設が点在する郊外型から 市街地のビルに施設がある都市型まで 様々な形態がある しかしながら 高齢者が年齢を重ねると変わってくるニーズに合わせて住宅サービスやケアの対応を行うところは共通である すなわち 住民は自立して生活できる段階から 寝たきりで特別な看護が必要な段階を通して人生の終局まで 同じコミュニティ内で生活できる 3

トランスファーショック 病気や障害が起こった時に 病院に入院したり 施設に入所したりすることで環境が大きく変化するために トランスファーショックが起こることが知られている 高齢者は適応能力が低下しているために 環境が大きく変化すると 空間 時間 規則 言葉の落差 に適応できず 活動の低下 認知症の進行 生活に伴う事故が起こることもある また 孤独に苛まれて悲しむ人も少なくない 同じ場所で継続したケアを行う CCRC では トランスファーショックを防ぐことができる 4

高齢者コミュニティー CCRC の 3 つの住まい CCRC では入居者の健康レベルに応じ 3 つのレベルの住まいが用意されています ( 大規模なコミュニティであれば同じ敷地内にある ) 自立型住まい (IL) 支援型住まい (AL) 介護型住まい (NH) 健常 自立 自立型住まいは 生活住居スペースで 共同住宅形式が主流である ここでは 食事サービス 様々な娯楽文化サービスと 病気 寝たきりにならない為の保健 医療サーヒ スが提供されている 介護度 : 小 中 支援型住まいは 入居者が生活支援 介護支援が必要になったとき 健康型住まいから移り住む施設で 提供される 衣服の着替え 投薬 入浴介助 その他生活に必要なサービスが提供されている 介護度 : 大 介護型住まいは 常時介護が必要な入居者のためのものである 24 時間体制を必要とする短期 および長期の看護 医療サービスを提供する施設である

CCRC で提供されるサービス ハードウェア 食事サーヒ ス 医療サービス 介護サービス 予防サービス 家庭的建築デザイン 生活住居スペース 1DK 2LDK 共用生活スペースロビーレストラン浴場他 生活支援サービス 家事サーヒ ス移送サーヒ スほか 安全 救急サービス 文化活動サービス ソフトウェア

米国の CCRC の例 : 10 年かけて創り上げた CCRC 廃校になった大学のリノベーションから始まった 自立型すまい :1599 室 支援型住まい :132 室 介護型住まい :260 ベッド

自立型住まい 自立型住まい は 高齢者が自由と尊厳を保ち できる限り自立した暮らしを送るための住まいである 入居者にとっても 自立型住まい に暮らす期間が長ければ長いほど良い CCRC ではできるだけ自立して生活できる時間を長くするためのハード ソフトが備えられており 健康を維持するプログラムに加え 日常生活支援のサービスも充実し 社交や趣味 文化的行事への参加の機会も数多く用意されている 九州大学 UI プロジェクト Kyudai Taro,2007 8

支援型住まい 障害などによって生活する上で何らかの支援が必要になると 支援型住まい に移ることになる その目的は高齢者が残存機能をもってできるだけ自立して生活できるように ケアを提供し寝たきりの防止をすることができる 入居者はその目的のために リハビリテーションを受けることができる 九州大学 UI プロジェクト Kyudai Taro,2007 11

介護型住まい 常時介護が必要となった高齢者のためには 介護型住まい が用意されている 介護型住まい では必要な医療 介護サービスがすべて 24 時間体制で提供されている CCRC に居住する高齢者が 脳梗塞 心筋梗塞などを発症した場合は 連携している急性期病院にすぐ入院することができる そして 退院する場合でも CCRC でスムーズに受け入れてもらえる このような環境によって 高齢者に安心 安全なライフスタイルを提供でき 生活の質を向上させることができている 九州大学 UI プロジェクト Kyudai Taro,2007 15

CCRC の医療の理念 医療の目的は 自立するための支援である すなわち 病気を避け 意義のある生活をし 人生で何かを果たすための支援である 患者の支援には 感情 社会性 知性 健康 魂 仕事を考慮に入れるべきである

CCRC での医療方針 外来医療 リハビリのための短期入院 ナーシングケア ホームケア ホスピスケアを行っており コミュニテイ内で十分なケアができている このコミュニテイ内では経管栄養はしないようにしている 脳卒中後の患者は 時間さえかければ 食べさせることが可能である 高齢者は多くの病気をもっているが コミュニテイでは医療アプローチではなくライフアプローチであるために 検査や薬は少ない

CCRC の経済的なメリット CCRC の経済的なメリットは コスト優位を実現していくために規模の経済性 範囲の経済性 習熟効果を高めることができることである まず 支援する高齢者を増やすことで規模の経済性が高まり 固定費を分散させることができる 範囲の経済性とは 経営資源を共有して多様な事業を行うことによって経営効果を高めることを意味する そして スタッフの教育システムを構築することによって離職を防ぎ 習熟効果を高めることができる 20

わが国で行える CCRC わが国でも 都市の近郊で CCRC の機能をひとつのキャンパスで提供していくことは可能である しかしながら どこの地域でも CCRC を機能させる方法としては 高齢者住宅を中心として生活支援 医療 介護サービスを提供する複合施設を核として 複数の高齢者住宅をネットワークで支援を行う日本型 CCRC が現実的な選択肢となると考える また 日本型 CCRC では地域包括ケアシステムの機能も果たす必要がある 21

日本型 CCRC 日本型 CCRC とは 高齢者が年を経るごとに変わっていくニーズに応じて 継続して同じ場所で自分の意思が尊重された生活ができるように 複合施設を核として 他の自立型 支援型 介護型の高齢者住宅及び高齢者の自宅とネットワークを結び 地域包括ケアの機能も果たす一連のシステムである と定義する 22

日本型 CCRC のモデル 急性期医療機関 自立型高齢者住宅 複合型拠点 自立型高齢者住宅 介護型高齢者住宅 リハビリ施設 ヘルパーステーション 地域住民 地域交流センター 在宅療養支援診療所 訪問看護ステーション 地域住民 支援型高齢者住宅 支援型高齢者住宅 23

日本型 CCRC を機能させるために 日本型 CCRC を機能させるためには必要不可欠な要件がある それは 高齢者一人ひとりに責任をとる主介護者の存在である そして その主介護者が定期的に高齢者とコミュニケーションをとり 情報を電子データで管理し その情報を関係者がアクセスできることが必要である そして 発熱 胸痛 意識障害といった症状 脳卒中 心筋梗塞といった疾病に対応するためのマニュアルとそれらの緊急時に対応するシステムを作っておく必要がある 24

街ごと CCRC にすることも可能 CCRC とは高齢者の意思を尊重して 変化していくニーズに対応して 同じ場所で継続的にケアを行っていくシステムである 街に複合施設が複数でき その近くに自立型 支援型 介護型の高齢者住宅及びネットワークを作る そして 自宅でケアが可能な高齢者には 複合施設から往診 訪問看護 訪問介護を提供する このシステムが街のすべての高齢者に機能すれば 街ごと CCRC にすることが可能となる 25

玉昌会モデル 医療法人玉昌会加治木温泉病院は 地方都市の高齢者医療ケアの問題を解決していくために 在宅支援複合施設 というコンセプトで在宅医療ケアセンターと高齢者住宅を核とした在宅施設を建設した それを拠点として 地域に適合した 高齢者在宅支援コミュニティ構想 を推進していく中で 住宅型有料老人ホームを核とする複合施設の運営を開始した これによって 通い 泊まり 訪問ができる複合施設と加治木温泉病院及び地域コミュニティとのネットワークによって 切れ目のない医療 介護サービスの提供を実現するシステムを構築することになった 26

玉昌会の CCRC モデル 加治木温泉病院 複合拠点 介護型高齢者住宅 地住住民 介護型高齢者住宅 小規模多機能 グループホーム 有料老人ホーム 小規模多機能 通所介護訪問介護訪問看護 在宅療養支援診療所 地住住民 居宅介護支援事業 地域交流センター 地住住民 27

複合施設 有料老人ホームである しあわせの杜 ケアレジデンス おはな は 2025 年に必要となっている 通い 訪問 泊まりと医療系サービス が包括的に提供できる 複合施設 を形成しており 同じ建物内の 1 階に 居宅支援事業所 訪問介護ステーション 訪問看護ステーション 通所介護施設が併設されており 緊密な連携のもとに サービスが提供されている 28

29

30

しあわせの杜 ケアレジデンス おはな 31

通所介護サービス 32

地域交流センター 地域交流センターでは 住宅型有料老人ホームの入居者コミュニティガーデン内のグループホームの入居者 小規模多機能施設の利用者 その家族 及び地域住民の方々に様々な支援プログラムを提供していく計画である 現在は ヨガ フラ ( ダンス ) のカルチャー教室や 地域の勉強会等に活用されている 今後は 地域のニーズに合致したプログラムを検討し 組み入れていく予定である また これらのミニカルチャー教室の講師は 近隣の高齢者によるボランティアによるものを集めていく方針である 33

地域交流センターでのイベント 34

地域の新しいケアシステム ネットワーク型 CCRC 地域の医療 福祉資源のネットワーク ネットワーク型 CCRC 日本においても それぞれの地域の中にある医療資源と福祉資源が 高齢者住宅を中心にネットワークを組み 新しい地域のケアシステムを作っていくことが必要になってきています

ネットワーク型日本版 CCRC 第 2 ステップ 在宅支援複合施設を中心に地域住民が地域交流センターを自由に訪問できるようにし 高齢者のネットワークをつくる 第 1 ステップ 高齢者住宅を核とした医療 介護サービスの複合拠点 ~ 在宅支援複合施設をつくる 第 3 ステップ 高齢者のニーズに合わせた 3 種類の住宅を作っていき それらを軸に 24 時間巡回型訪問サービスを機能させていく 36

地域医療 福祉資源の連携(地域ネットワーク)地域密着 連携型 CCRC のイメージ 老健 急性期病院 療養病床 協力 在宅療養支援診療所 訪問介護 看護ステーション 24 時間対応ステーション デイケア デイサービス 高齢者住宅を核として高齢者ニーズに対応する CCRC モデルの役割 併設 地域医療 福祉資源の発信 ( 地域密着 ) 新しい地域医療 福祉資源の拠点 高齢者住宅 (30~80 人 ) ここに居住する自立 ~ 要介護までの高齢者のそれぞれのニーズに対し 毎日の生活に密着したフルサービスで対応 スケールメリット 1~ 2 km 周辺地域の自宅に住む高齢者自立 要支援 ~ 要介護までの高齢者が自立した生活が送れるように 夜間対応を含む必要最低限の支援を行う

おわりに 今後ますます高齢者の割合が増加し 医療 介護 年金を中心とした社会保障費が急増していくことは避けられず 医療介護の効果的 効率的なシステムが求められている 在宅支援複合拠点を中心とした医療 介護 生活支援サービスからなる高齢者ケアが 求められている