4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色の皮膚筋炎における診断的有用性 論文審査委員主査教授呉 繁夫 教授青木正志 教授相場節也 論文内容要旨 背景 皮膚筋炎は 小児期から高齢期まで全年齢に発症する 最も多い特発性炎症性筋疾患の一 病型である 臨床的には 近位筋優位の筋力低下に特有の皮膚症状を伴う 筋病理学的には ( 筋束周辺筋萎縮 ) と 血管周囲の単核細胞浸潤や血管壁の肥厚などの血 管の異常所見が特徴的である また膜侵襲複合体 (membrane MAC) の筋内鞘の毛 細血管への沈着は 感度も特異度も高い皮膚筋炎の診断的指標であると報告されている 本研究では 皮膚筋炎において非特異的エステラーゼ (nonspecific NSE) 染色により 筋内血管の内皮細胞が染色される fnse 陽性血管 に初めて着目した 通常の筋内血管は NSE 染色で は染色されず NSE 陽性血管についての報告はない またインターフエロン 誘導蛋白質のひと つである myxovirus (MxA) は 皮膚筋炎において筋線維や筋内血管に高率に 発現していることが報告されているが 皮膚筋炎における MxA の感度や特異度については報告がな いことから 検討を行った 目的 第一に NSE 陽性血管が 皮膚筋炎に特有の所見ではなし かと仮説を立て 検証した また MAC の感度 特異度 並びに精度を比較した 第二に perifascicular atrophy を伴わない皮膚筋炎例では 筋病理学的な診断的指標は知られていないことから perifascicular を伴わない例に NSE MxA MAC の陽性例が存在するのかを検討した 方法 ( 独 ) 国立精神 神経医療研究センターの骨格筋レポジトリーから 典型的な臨床症状およ び 筋病理所見を呈する小児皮膚筋炎群 30 例 成人皮膚筋炎群 10 例 多発筋炎群 10 例 封入体筋炎 群 10 例 非炎症性筋疾患の対照群 (NSE には 530 例 MxA MAC には 124 例 ) を抽出した 各群にお ける NSE MxA MAC の陽性率を調べ 感度 特異度 精度を算出した NSE 陽性血管については 単 核細胞浸潤を伴う NSE 陽性血管 j と 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 両者を含む 全ての NSE 陽性血管 を区別して評価した また perifascicular atrophy を伴わなし \/J 児 成人皮膚筋炎 26 例についても NSE MxA MAC の陽性率を調べた 結果 単核細胞浸潤を伴う NSE 陽性血管 は 小児 成人皮膚筋炎群のみではなく 多発筋炎群 封入体筋炎群 対象群にも観察された 一方 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 J は 小児皮 膚筋炎群の 80.0 弘および成人皮膚筋炎群の 70.0 犯のみに認められた また MxA および MAC の陽性例は 小児 成人皮膚筋炎群のみで観察された 感度は MxA (75.0 弘 ) や MAC (32.5 弘 ) に比して 全て の NSE 陽性血管 が 92.5 怖と最も高かった D 特異度は 小児 成人皮膚筋炎群を多発筋炎群 封入体 筋炎群と比較すると MxA および MAC では 100.0% だ ったが 全ての NSE 陽性血管 では 75.0% であ った しかし 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 の特異度は 100.0 怖と MxA および MAC と同 等で あった Perifascicular atrophy を伴わなし 小児 成人皮膚筋炎 26 例の検討では 全ての NSE 可
陽性血管 のある例は 38. 5 弘 MxA 陽性例は 19.2 弘 MAC 陽性例は 26. 仰を占めた Perifascicular atrophy を伴わない例で観察された NSE 陽性血管は 全て単核細胞浸潤を伴うもので あった 考察 単核細胞浸潤を伴う血管は 非皮膚筋炎群においても NSE 陽性を示すため 全ての NSE 陽性血管 の特異度は低かった 一方 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 は 小児 成人皮膚筋炎群に特異的で あった NSE 陽性血管は 血管変性に伴う何らかのエステラーゼ活性の充進を反映していると推察されるが 今後さらなる研究が必要である MxA と MAC は 両者ともに特異度は高かったが 感度は NSE 陽性血管に比して低かった MxA と MAC の感度は おそらく皮膚筋炎の病勢や病期によっても異なると考えられた また perifascicularatrophy を伴わなし 小児 成人皮膚筋炎例にも NSE MAC の陽性例が存在することから これらの指標は筋病理診断の補助になる可能性が示唆された さらに対象数を増やして NSE MxA MAC の診断的有用性を検討することが 今後の課題である口 結論} 本研究では NSE 陽性血管が 小児 成人皮膚筋炎群で高率に観察される感度の高い所見であることを初めて明らかにした D また 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 および MxA の筋線維と筋内血管への発現は 小児 成人皮膚筋炎群に特異的であることを示した 9
切[ 所定様式 13No.l) 大学院の課程による者 ( 課程博 医学 ) 審査結果の要ヒ = ー日 博士論文題目...NQg: 印何迫 ~.~.$.t~x.~~~. 染色およ.V.m y':?çqyir~~.r~ 足前 ~.D:ç~.P 切除民 A 免 - 疫 組織化主染. 色り皮膚筋炎 i 三おは.9 診断的在思健一一一 所属専攻 分野名医科学専攻 小児病態学分野 学籍番号一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 -------- 一 氏名一一一一鈴本一一一理恵一一一 皮膚筋炎は 小児期から高齢期まで全年齢に発症する 最も多い特発性炎症性筋疾患の一病型である 臨床的には 近位筋優位の筋力低下に特有の皮膚症状を伴う 筋病理学的には perifascicular ( 筋束周辺筋萎縮 ) と 血管周囲の単核細胞浸潤や血管壁の肥厚などの血管の異常所見が特徴的である また膜侵襲複合体 (membrane MAC) の筋内鞘の毛細血管への沈着は 感度も特異度も 高い皮膚筋炎の診断的指標であると報告されている 本研究では 皮膚筋炎において非特異的エステラーゼ (nonspeci NSE) 染色により筋内 血管の内皮細胞が染色される inse 陽性血管 に初めて着目した 通常の筋内血管は NSE 染色では染色さ れず NSE 陽性血管についての報告はない またインターフエロン 誘導蛋白質のひとつである (MxA) は 皮膚筋炎において筋線維や筋肉血管に高率に発現している ことが報告されているが 皮膚筋炎における MxA の感度や特異度については報告がないことから 検討 を行った 第一に NSE 陽性血管が 皮膚筋炎に特有の所見ではないかと仮説を立て 検証した また NSE MAC の感度 特異度 並びに精度を比較した 第二に perifascicular atrophy を伴わない皮膚筋炎例 では 筋病理学的な診断的指標は知られていないことから perifascicular atrophy を伴わない例に NSE MxA MAC の陽性例が存在するのかを検討した ( 独 ) 国立精神 神経医療研究センターの骨格筋レポジトリーから 典型的な臨床症状および筋病理 所見を呈する小児皮膚筋炎群 30 例 成人皮膚筋炎群 10 例 多発筋炎群 10 例 封入体筋炎群 10 例 非炎症性筋疾患の対照群 (NSE には 530 例 MxA MAC には 124 例 ) を抽出した 各群における NSE MAC の陽性率を調べ 感度 特異度 精度を算出した NSE 陽性血管については 単核細胞浸潤を伴う NSE 陽性血管 と 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 j 両者を含む 全ての NSE 陽 ' 性血管 J を区別して評価した また peri atrophy を伴わない小児 成人皮膚筋炎 26 例についても NSE MAC の陽性率を調べた 単核細胞浸潤を伴う NSE 陽性血管 は 小児 成人皮膚筋炎群のみではなく 多発筋炎群 封入体 筋炎群 対象群にも観察された 一方 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 は 小児皮膚筋炎群の 80.0 先および成人皮膚筋炎群の 70.0% のみに認められた また MxA および MAC の陽性例は 小児 成人皮 膚筋炎群のみで観察された 感度は MxA (75.0%) や MAC (32.5%) に比して 全ての NSE 陽性血管 が 92.5 おと最も高かった 特異度は 小児 成人皮膚筋炎群を多発筋炎群 封入体筋炎群と比較すると MxA および MAC では 100.0% だったが 全ての NSE 陽性血管 では 75.0% であった しかし 単核細胞 浸潤を伴わない NSE 陽性血管 j の特異度は 100.0% と MxA および MAC と同等であった Perifascicular atrophy を伴わない小児 成人皮膚筋炎 26 例の検討では 全ての NSE 陽性血管 J のある例は 38. 問 MxA 陽性例は 19. 2% MAC 陽性例は 26. 9% を占めた Perifascicular atrophy を伴わない例で観察された NSE 陽性血管は 全て単核細胞浸潤を伴うものであった 単核細胞浸潤を伴う血管は 非皮膚筋炎群においても NSE 陽性を示すため 全ての NSE 陽性血管 の 特異度は低かった 一方 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 は 小児 成人皮膚筋炎群に特異的 であった NSE 陽性血管は 血管変性に伴う何らかのエステラーゼ活性の克進を反映していると推察され るが 今後さらなる研究が必要である MxA と MAC は 両者ともに特異度は高かったが 感度は NSE 陽性 血管に比して低かった MxA と MAC の感度は おそらく皮膚筋炎の病勢や病期によっても異なると考えら れた また perifascicular atrophy を伴わない小児 成人皮膚筋炎例にも NSE MAC の陽性例がハワ血にリ
存在することから これらの指標は筋病理診断の補助になる可能性が示唆された さらに対象数を増やして NSE MxA. MAC の診断的有用性を検討することが 今後の課題である 以上は NSE 陽性血管が 小児 成人皮膚筋炎群で高率に観察される感度の高い所見であることを初めて明らかにし 更に 単核細胞浸潤を伴わない NSE 陽性血管 J および MxA の筋線維と筋内血管への発現は 小児 成人皮膚筋炎群に特異的であることを示した画期的な研究であり 学位論文としてのふさわしい内容である事を認める -260 一