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けた この間 生産指数は 上昇傾向で推移した (2) リーマン ショックによる大きな落ち込みとその後の回復局面平成 20 年年初から年央にかけては 米国を中心とする金融不安 景気の減速 原油 原材料価格の高騰などから 景気改善の動きに足踏みが見られたが 生産指数は 高水準で推移していた しかし 平成

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[ 参考 ] 先月からの主要変更点 基調判断 3 月月例 4 月月例 景気は 急速な悪化が続いており 厳しい状況にある 輸出 生産は 極めて大幅に減少している 企業収益は 極めて大幅に減少している 設備投資は 減少している 雇用情勢は 急速に悪化しつつある 個人消費は 緩やかに減少している 景気は

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GDP + subsektorer (kvartal)

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28 GCC UAE GCC (2) 大きく上昇した食料価格と住居費 GCC GCC GCC 図表 2 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価上昇率 (28 年 ) 図表 3 湾岸協力会議 (GCC) 諸国の消費者物価指数に占める食料品と住居費の割合

Transcription:

第 4 部 1 マクロ経済動向 (1)GDP と物価 2008 年の米投資銀行リーマン ブラザースの破綻以降 深刻化した世界金融危機は 経済に大きな影響を与え 実質経済成長率は2009 年には0.7% にまで低下した その後 2010 年には 1997 年のアジア通貨危機後に見せたV 字回復の再現とも言うべき目覚ましい回復を見せ 6.5% の成長を達成した しかし 2011 年には欧州の財政危機の影響を受け 成長率は再び低下し3.7% に止まり それ以降は2~3% 台の成長が続いている 2017 年の経済成長率は3.1% で 需要項目別の寄与度で見ると 内需では消費 ( 民間最終消費 ) は1.3% 投資( 固定資本形成 ) は2.5% を記録した 一方 外需 ( 財 サービスの純輸出 ) の寄与度はマイナス2.5% となっている ( 図 4-1-1) 1 一方 物価上昇率を見ると 2008 年には為替レートの大幅な減価により輸入物価 ( ウォンベース ) の上昇率は36.2% に上昇した この影響で国内物価の上昇率も 生産者物価が8.5% 消費者物価が4.7% と高まった ( 図 4-1-2) しかし 2009 年に入ると為替レートの減価は継続したが 原油など資源価格の低下によって 輸入物価はマイナス4.1% と低下し 生産者物価もマイナス0.2% となり 消費者物価も2.8% と ほぼ金融危機前の水準に戻った 2010 年以降は再び輸入物価の上昇傾向が見られ 国内物価も上昇した 2012 年以降は資源価格の下落などにより 輸入物価が再び下落に転じ 2015 年にはマイナス15.3% となった これに伴い生産者物価はマイナス4.0% とマイナスを記録し 消費者物価も0.7% となった 続く2016 年は輸入物価がマイナス4.2% 生産者物価はマイナス1.8% 消費者物価は1.0% と推移した しかし2017 年には輸入物価が6.5% と大きくプラスとなり 生産者物価は3.5% 消費者物価は1.9% とそれぞれ上昇した 54

図 4-1-1 実質 GDP 成長率の推移と項目別寄与度 ( 注 )2010 年価格 ( 出所 ) 銀行 図 4-1-2 物価上昇率の推移 ( 出所 ) 統計庁 55

(2) 労働市場と所得格差雇用関係の指標を見てみると 失業率はアジア通貨危機後の1998 年に7.0% まで上昇した後 景気回復によって低下し 2002 年以降は3% 台で安定的に推移してきた 2009 年の失業率はマクロ経済の停滞を受けて前年の3.2% から3.6% に上昇したが アジア通貨危機の際と比較すれば 悪化の程度は軽微だったといえる 近年は 2015 年は3.6% 2016 年は3.7% 2017 年は3.7% と推移している ( 図 4-1-3) 図 4-1-3 失業率の推移 ( 出所 ) 統計庁 所得格差の推移を見ると 都市勤労者世帯 (2 人以上 ) のジニ係数 2 はアジア通貨危機後に格差が急拡大し 1997 年から1999 年まで高まった後 縮小傾向にあったが 2004 年以降 再び上昇しはじめ 2009 年には0.32となった ( 図 4-1-4) さらに統計の拡充により2003 年からデータが把握できるようになった全国世帯 (2 人以上 ) は2008 年まで 2006 年から把握できるようになった全世帯は2009 年まで それぞれ上昇の傾向を示しており 所得格差の拡大が継続していたことを示していた その後 2009 年以降については金融危機の影響にも関わらず全世帯のデータで見てもやや低下傾向にあった さらに成長率が再び低下した2011 年以降についても ほぼ横ばいの状態が続いていた しかし 2016 年は全世帯のデータで前年の0.34から0.35に上昇している 所得格差の拡大の背景には非正規雇用の増大など 雇用の質の変化が指摘されている 図 4-1-5は通貨危機を挟んだ失業率と非正規雇用比率 3 の推移を示したものである 非正規雇用比率 Aは通貨危機以前に40% 台半ばであったが 1999 年に51.6% まで上昇し その後は徐々に低下して 2017 年には32.9% となっている 一方 雇用形態等を加味した非正規雇用比率 Bは 56

調査開始の2001 年の26.8% から 2004 年には37.0% まで高まり その後やや低下しているが 2017 年には32.9% となっている 図 4-1-4 ジニ係数の推移 ( 出所 ) 統計庁 図 4-1-5 非正規雇用比率の推移 ( 出所 ) 統計庁 57

2 対外経済関係 (1) 為替レートと貿易収支 2008 年の世界金融危機で ウォンは大きく減価した 対ドル為替レートは 2007 年の1ドル=929ウォンから 2008 年は同 1103ウォン 2009 年は同 1276ウォンと減価した 一方 日本円に対する為替レートは 2007 年の100 円 =790ウォンから 2008 年は同 1077ウォン 2009 年には同 1363ウォンに減価し その幅は対ドルレートよりも大きかった ( 図 4-2-1) エレクトロニクス 自動車などの輸出品目で日本製品と競合する企業にとって こうした為替レートの動きは追い風となり 外需が景気の底支えを担う背景となった 2010 年にはウォンはドル 円の両方に対し増価したが 2011 年には対円では100 円 =1485ウォンと最安値を記録した これによって 製品の価格競争力は競合する日本製品に対し一段と高まった しかし 2012 年に入ると円安の動きが生じ 対円レートは100 円 =1247ウォンと一気にウォン高に動いた その後さらに円安が進み 2013 年には100 円 =1005 円 2014 年には同 920 円となり 対日価格競争力は一時大きく低下した その後は2015 年には100 円 =972ウォン 2016 年には同 1037 ウォンまで減価し 2017 年には同 949ウォンに増価している また対ドルレートも 2013 年に 1ドル=1055 ウォン 2014 年に同 1099とウォン高に推移した その後は 2015 年は同 1175 ウォン 2016 年には同 1209ウォンと減価し 2017 年には同 1071ウォンに増価している 貿易収支の動向を見ると 2008 年はアジア通貨危機の発生した1997 年以来となる133 億ドルの赤字となった ( 図 4-2-2) 2009 年には輸出額は3635 億ドルに減少したが 輸入額も 3231 億ドルとなったため 貿易収支は404 億ドルの黒字に復帰した 2010 年には輸出は回復し 4660 億ドルと危機前の2008 年を上回った 図 4-2-1 外国為替レートの推移 ( 出所 ) 銀行 58

2015 年には輸出は5268 億ドル 輸入は4365 億ドルで 貿易収支は903 億ドルの黒字となった 2016 年には輸出は4954 億ドル 輸入は4062 億ドルと減少し 貿易収支の黒字は892 億ドルとなった 2017 年には輸出は5737 億ドル 輸入は4785 億ドルとなり 貿易収支の黒字は952 億ドルとなった 図 4-2-2 貿易収支の推移 ( 出所 ) 貿易協会 (2) 輸出の動向 2017 年の輸出を品目別に見ると 基幹産業であるエレクトロニクスの輸出額が1920 億ドルとなり 全体の33.5% を占めている この他の主要輸出品目では化学製品が11.4% 機械類が 11.0% 鉄鋼製品が8.2% 船舶が7.2% 自動車が6.8% を占めている ( 図 4-2-3) 図 4-2-3 品目別輸出額の推移 ( 出所 ) 関税庁 59

輸出先別に見ると 中国は 2003 年に米国を抜いて第一位の輸出相手国となり 以後その地位 を維持してきた 2017 年の中国向け輸出のシェアは 全体の24.8% に達している 米国は 12.0% 日本は4.7% をそれぞれ占めている ( 図 4-2-4) 図 4-2-4 国別輸出額の推移 ( 注 ) ヨーロッパはイギリス ドイツ フランス イタリア オランダの計である ( 出所 ) 貿易協会 (3) 輸入の動向 2017 年の輸入を品目別に見ると 燃料が 22.7% で首位を占めている 主要輸出品である電気 電子機器は 中間部品として輸入されるため輸入品目としても輸入額が高く 20.0% で続いている また 資本財である機械類のシェアが 13.2% と高いのも の輸入構造の特徴である ( 図 4-2-5) 図 4-2-5 品目別輸入額の推移 ( 出所 ) 関税庁 60

相手国別に見ると 2007 年に中国が日本を抜いて輸入先として第一位となっている 現在 中国は輸出入の両方での第一の貿易相手国である 2017 年の輸入額に占める各国のシェアは 中国が20.5% 日本が11.5% 米国が10.6% となっている ( 図 4-2-6) 図 4-2-6 国別輸入額の推移 ( 注 ) ヨーロッパはイギリス ドイツ フランス イタリア オランダの計 中東はサウジアラビア UAE の計である ( 出所 ) 貿易協会 (4) 直接投資の動向 2017 年の対韓直接投資額は229 億ドルで前年を上回った 国 地域別ではEUが70 億ドルで 米国 日本を抑えて首位となっている ( 図 4-2-7) 図 4-2-7 国別対韓直接投資額の推移 ( 出所 ) 産業通商資源部 61

一方 2017 年のの対外直接投資を見ると 437 億ドルで前年を上回った 投資先では中国が2002 年に米国を抜き2007 年まで第一位を継続してきたが 2008 年以降は米国がほぼ毎年中国を上回っている ( 図 4-2-8) 2017 年のシェアでは 米国が23.3% 中国が9.8% となっている 図 4-2-8 地域別対外直接投資額の推移 ( 出所 ) 輸出入銀行 1 2 3 年次によってGDPの項目別構成比が異なるため ここで示した各項目の寄与度の合計は各年の実質 GDP 成長率に一致しない ジニ係数は経済における家計間の所得格差を示す指標 0と1の間の数で示され 全家計の所得が等しい場合は0 一つの家計に全ての所得が集中している場合は1となる 二種類の非正規雇用比率うち Aは通貨危機以前から公表されていたもので 賃金労働者全体に占める臨時職 ( 雇用期間 1カ月以上 1 年未満 ) 及び日雇い ( 雇用期間 1カ月未満 ) の割合を示したものである 単純に雇用期間の長さで正規雇用と非正規雇用を分けたものである これに対しBは 雇用形態の多様化が進んでいること考慮し 雇用期間に加え 労働時間 労働提供の方式などの点を総合的に加味して非正規雇用を定義したもので 2001 年から新たに公表が開始されている 具体例としてはパートタイマー 派遣労働者 下請用役 在宅勤務者などが該当する 62