ベトナムの新労働法典雇用法の改正 新労働法は多くの草案及び議論の後 長期に待って改訂された後 2012 年 6 月 18 日に国会に承認されました ( 新労働法 ) 新労働法は 数ヶ月後に公布される約 21の政令及び通達と共に2013 年 5 月 1 日から施行されることになります このリーガル アップ デートにおいて新労働法の最も顕著な変化に関する情報をお届けします 労働契約について 労働契約の執行上の禁止事項及び労働契約の執行について新労働法第 20 条は労働者の権利を更に保護するために雇用者が労働契約を執行する上で禁止される2つ事項を新たに定めました 被雇用者の専門能力資格証明書原本の保持 被雇用者に対する労働契約執行の保証 ( 金銭又は財産 ) の要求 雇用が技術 経営秘密に直接関連する労働契約内容の特定経営秘密の重要性及び需要の増加を認識する上で 新労働法 23 条は雇用者の技術 経営秘密に直接関連する場合には 雇用者は契約違反による損害賠償を含め 技術経営秘密の保護に関する書面の規定を被雇用者と交渉し合意することができると定めました 雇用者は実際にこの条項をもって 技術 経営秘密を含める知的財産の保護に関する契約上の制限を特定して定めることが認められます 試用期間の調整 試用期間の賃金の上限の上昇 2013 年 5 月 1 日に施行される新労働法によって廃止される現行労働法では 特殊又は高度な技術スキル 1
を求める仕事に60 日の試用期間 他の仕事に30 日の試用期間 を定めました しかしながら この規則は 特殊又は高度な技術スキル という用語の不明な意味に起因する一貫性が欠ける恣意的な運用につながる可能性があります 新労働法第 27 条では 試用期間が仕事を行うために必要な専門能力のレベルによって決められると定めます 従って 試用期間は 大学卒又はそれ以上の資格を必要とする仕事に60 日以内 高等専門学校卒の資格を必要とする仕事に30 日以内 そして他の仕事に6 日以内です また 試用期間の給料については 新労働法第 28 条が現行規定に定める 当該仕事に支払われる給料の最低 70% から85% へ上昇して定めました 労働契約の無効及びその効果について新労働法の第 3 省第 4 節では 労働契約の遵守を図って労働契約を無効とする以下の具体的なケースを定めました 労働契約の内容がすべて労働法に反する場合労働契約を署名する者が完全に委任されない場合労働契約に定める作業は法律に禁じられる場合労働契約が被雇用者を労働組合の加盟を妨げ又は防止する場合 労働契約の一部が法律に反する場合にはその部分が無効とされるが その部分は契約書の他の部分に影響を及びません 組織である雇用者には その法定代表者が労働契約を締結する完全な権限を有する者であることに注意する必要があります 従って 第二の権限者がが有効契約を無効にしてしまう可能性があるために その者 ( 組織の法定代表者以外の者 ) が雇用者としての完全な権限を委任されるかどうかを確保する必要があります また 新労働法では 契約無効の宣言について 裁判所に限らず 労働監督者もその権限を与えられることに注意する必要があります 労働契約が無効とされる場合には 被雇用者の権利義務は法律によって定められます ただし 一部無効とされる契約には 無効の部分を労働協約又は労働法に適合させるように修正しなければなりません 労働契約の解約 労働契約の一方的な解約新労働法第 38 条は雇用者が一方的に労働契約を解約できる場合を変更しました すなわち 同法は 解雇という懲戒処分を受けた従業員に対して一方的な労働契約を解約する場合 ( 下記する解雇規制に関する変更を参照 ) 及び組織である雇用者が営業活動を終了する場合を排除して 被雇用者が労働契約の停止期間が終了した日より15 日以内に職場に出勤しない場合に雇用者が一方的な労働契約の解約をできるという規定を定めました ただし 当事者が別途の合意がある場合にはその限りではありません ただし 新労働法は被雇用者が出勤する期間を15 日より短く合意することができるかどうかを明記しません 2
リストラ又は 経済理由 による失業について新労働法第 44 条では 雇用者はその組織リストラ 技術変更又は 経済理由 で複数の被雇用者に雇用の影響を及ぶ場合に 同法に定める労働しよう計画を作成し 実施しなければなりません 雇用者がこの労働計画に基づいて被雇用者を継続して雇用することができない場合に 一方的に労働契約を解約することができるが 被雇用者に雇用年数に応じて一年当たり平均月給を支払う義務を負います ただし この期間には被雇用者が失業保険に加入する期間又は雇用者が退職手当を計算する期間が除かれます ( もしあれば ) 新労働法は現行の労働法に比べて その用語がかなりわかりにくく 以下のいずれかのシナリオに該当すると考えられます 1リストラの出来事によって一人の従業員を解雇する権限は 当該出来事が複数の被雇用者に影響を及ぼす場合に限って執行することができる 2リストラ計画の企画は リストラ出来事による解約が複数の被雇用者に影響を及ぼす場合に限って 初めて求められる さらに 新労働法に定める労働者の使用計画がそれを適用する雇用者に対して厳格な遵守を定めました 一方 経済理由 という不明な規定が追加されたことで雇用者がこの規制における規定を利用して これまで制限されてきた場合を拡大して 事業限定又は経済不況の間に雇用者を解雇することができると考えられます 給与 夜勤の超過勤務の手当の計算方法の変更現行の労働法及びその施行細則では 夜勤残業手当を日勤残業手当 ( 少なくとも常勤時間に適用される賃金の150% 200% 又は300%) と夜勤賃金比率 ( 少なくとも常勤の30%) を乗じて計算すると定めました しかし 新労働法第 97 条では夜勤の残業手当を日勤残業手当率 ( 少なくとも常勤時間に適用される賃金の150% 200% 又は300%) 夜勤賃金率( 少なくとも常勤賃金の30%) と少なくとも日勤賃金 20% の比率によって計算することを定めました この新しい計算方法が複雑なものでるために 我々はそのガイドラインを待ち この事項に関して新しい情報を提供します 勤務及び休暇 最大限の勤務時間の増加新労働法第 106 条では 月間の超過勤務時間として30 時間を超えてはならず また特別の場合の最大の超過勤務時間として年間 300 時間を超えてはならないと定めました 注目すべきことは 新労働法第 107 条では 以下の場合に雇用者が被雇用者に対して超過勤務を求めることができ 被雇用者がそれを拒否できないと定めました すなわち 国家が戦争又は緊急事態にある場合 重大な災害 火事 洪水 台風 地震 疫病又はその他の災害によって発生し 又は発生するおそれのある緊急事態によって生じた財産の損失又は死亡或いは危険性を防止する場合 休日 新労働法第 115 条は被雇用者にとって喜ばしい規定を定めました すなわち 旧暦正月休日が4 日から5 日まで増えました これによって 年間休日が9 日から10 日まで増えました さらに外国人労働者がその伝統的な新年休日と建国記念日の二日間を休日として休めます 外国人重要 3
員を雇用する雇用者は国際休日を通知して この事項を管理する政策を求められます ただし 外国人従業員にはその正月休日又は建国記念日が週末休日に重なる場合にはベトナム従業員のように振り替え休日を適用されません 産休期間の増加新労働法第 157 条では 通常の産休は4ヶ月から6ヶ月へ増加されました このように産休期間が50% 増加するので 雇用者が一時的な人員不足を補完する計画を検討する必要があります 就業規則 就業規則違反による懲戒処分の軽減新労働法第 125 条をもって 6ヶ月以内より低い賃金で他の仕事へ異動するという懲戒処分はもはや存在しなくなりました 従って 新労働法に定める就業規則の違反による懲戒処分は以下の通りです 警告 6 ヶ月以内に賃上げの延長又は降格 解雇 解雇処分による補完的な活動解雇処分は 労働法に定める特定の場合に限って認められます 新労働法は解雇処分に関する補完的な活動を定めました すなわち 同法第 126 条では 解雇処分は以下の状況において懲戒処分として認められます 被雇用者が窃盗 横領 賭博 暴行や職場での薬物の使用又は危害を加える行為を犯した場合又はビジネス 技術や知的財産の秘密 又は重大な損害を引き起こし 又は企業の資産や存続に深刻な被害を引き起こすおそれがある場合賃上げの延長又は降格という懲戒処分をされる間に再度違反を繰り替える場合被雇用者が月間 5 日又は年間 20 日に適切な許可を得ずに欠勤する場合 労働安全 従業員への定期な健康診断雇用者が従業員に対して定期健康診断を実施させるために新労働法第 152 条は 現行労働法に定める規制を直接定めました すなわち 職業訓練研修生を含めて従業員に対して年次の健康診断 またハードで危険な仕事を勤める従業員 ジュニア従業員 1 シニア従業員 2 に対して半年ごとの健康診断を 実施しなければなりません 労働者の派遣 労働者の派遣という新しい法律規定労働者の派遣契約は はじめて新労働法によって定められたベトナムでの新しい法的概念ですが 短期 1 18 歳以下の労働者 2 60 歳以上の男性労働者 55 歳以上の女性労働者 4
労働者のニーズをカバーするために派遣社員を雇用する外国の雇用者によく知られている概念です 労働者派遣とは 派遣先が派遣元が募集した従業員を派遣先の管理下の仕事を与えることであるが 労働関係が労働者と派遣元の間に継続しながら労働者と派遣先 ( 企業など ) の間に存在しないということです すなわち 派遣元は雇用者としての権利義務を また逆に労働者は派遣元に対してその権利義務を実施する必要があります 新労働法では 労働者派遣事業は条件付ビジネスであり 特定の雇用に限って適用されます これは企業にとって短期労働者の需要を対応するための極めて有用な手段でありながら 従業員の雇用による直接の責任を負う必要がありません さらに企業が労働者の募集費用と責任を負担せずに特定のスキルセットを持つ従業員を雇用することができます 労働者派遣に関する当事者の権利義務新労働法第 56 条によれば 労働者派遣事業主は以下の権利及び義務があります 派遣先の要求に従って有能な従業員を派遣すること労働者派遣契約の内容を派遣労働者に通知すること新労働法に従って労働者と労働契約を締結すること労働者の履歴書や従業員の特定要件 ( ある場合 ) について派遣先に通知すること法の規定に従って 派遣労働者に賃金 祝日の賃金 年次休暇 解約の支払い 退職手当 社会保険 健康保険と失業保険を支払う責任を負うこと派遣労働者に対して 派遣労働者と同様のレベルで同一又は類似の業務を遂行する派遣先の従業員の賃金を下回らないレベルの賃金を支払うこと派遣労働者の人数 派遣先企業 派遣費用に関する報告書を作成して省級労働局に報告すること派遣先の就業規則に違反した理由で派遣先から返された労働者への懲戒処分を行うこと 新労働法第 57 条によれば 派遣先は以下の権利及び義務があります 派遣従業員に自社の就業規則及びその他の規則を指導すること就労条件について 自社の従業員と派遣従業員との差別取扱をしないこと派遣契約の範囲を超えて 派遣従業員を超過勤務又は夜勤へ動員する場合に派遣従業員とそれを合意すること派遣従業員をその他の雇用者へ異動させないこと派遣契約の期間中に派遣従業員の正式な雇用を希望する場合に派遣元及び派遣従業員と合意する 合意された要求に対応できない派遣従業員を派遣元に返却すること派遣元が就業規則に違反した派遣従業員を処分するために派遣元に派遣従業員による就業規則の違反証拠を提供すること 新労働法第 58 条によれば 派遣従業員は以下の権利及び義務があります 派遣元との労働契約に従って就労すること 派遣先の規則 内部規定 就業規則及び労働協約を遵守すること 5
同様のレベルで同一又は類似の業務を遂行する派遣先の従業員の賃金を下回らないレベルの賃金を支払われること派遣先が労働者派遣契約に違反する場合には派遣元に苦情をすること新労働法第 37 条に従って 労働派遣元との労働契約を一方的に解約すること労働派遣契約を終了した後又は当該契約の一方的な解約権を適法に執行した後に派遣先と労働契約を締結すること 外国人労働者 外国人労働者の雇用に関する新しい条件外国人労働者を雇用している外国企業が注意すべきことは 新労働法第 170 条は 現行労働法に比べて外国人労働者の雇用に関して新たな条件を定めました 外資系企業は外国人を雇用する前にその需要を当局に説明し その承認を得なければなりません ただし 外国企業 の定義が 外資系企業を含めるかどうかを法の実施上明らかにする必要があります 労働許可の最大期間の削減注意すべきことは 新労働法第 173 条では外国人の最大労働期間を36ヶ月から24ヶ月へ削減されました その他の事項 家事メードに関する具体的な規定新労働法第 11 章第 5 節は 家事メードという労働関係の特性に基づき家事メードのみを定める規定を置きました 同法によれば 雇用主は労働法に定められた所定の情報を含む家事メードとの書面による労働契約を締結する必要があります 新労働法では 一方の当事者は15 日の予告期間を持って この労働契約を一方的に解約することができます 雇用主がストライキ中に事業の一時的停止を認められる 新労働法第 214 条第 3 項は 企業の一時的停止 の定義は新しい概念として定められました これによれば 雇用主は 被雇用者のストライキ中にその財産を保護し 又はストライキを利用して企業を妨害しようとする過激派や扇動者を防止し 或いは事業活動を行う従業員が不足するために一時的に事業を停止することができます フレイザー法律事務所 2013 年 2 月 6